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ドイツにおける解除制度の発展に関する考察 : 催告を中心として (1)

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Academic year: 2021

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(1)ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 一一催告を中心として. 大. ぶィ. 女屯. 一. (1. 折口. 祐. わが国の民法 541 条は,当事者の 一方が債務 を 履行しないとき ,相手方は, 柑 当の期間を定. による解除の 要件として位置づけているもの の ,その役割についての 理解は異なっている. これらの見解の 出現により,従来のわが国の催 告の意味の理解を 変更する時期が 到来している. めて履行を催告して ,その期間内に履行がな い. め だ るぅか .. 1. はじめに. ならば,契約を解除することができる ,と規定 している.この規定の意味に 関して,起草者で あ る 梅 博士は,たとえ債務者に債務不履行があ る 場合であ. っても,直ちに 契約を解除するのは ,. 債務者にとって 酷であ るのみならず ,契約締結 当時の当事者の 意思に反することになることが 多いからであ る, と 説明している ". このよ う に ,従来の遅滞解除における催告 (以下,単に 「催告」とする ) の意味は,債務不履行の 債務 者に ,. も. う. 一度債務を履行する 機会を与えるこ. さらに.解除制度自体の理解につ. ) て 再考しなければならない 必要,注があ るのだ ろ うか. 催告の意味は 従来の見解のままで 特に問題は 無いと考える.その意味で,催告に積極的な役 割を演じさせようとする 森田修説の見解は.従 来の見解を発展させるものといえる. しかしな がら,現代における催告の意味を 考えるために は ,催告の歴史的発展を概観し,考察する必要 があ ると考える.というのは,催告という要件 は ,現行民法典起草過程で,当初は想定されて. とで,当初の契約目的の達成を 可能にし,その. いなかったのであ. 一方で,相当の期間内に履行がないならば. ランス民法典とともに 母法とされるドイツ 民法 典 ( わが国の民法典が 制定された当時は 第一車. , 解. 除することができる ,とすることで,解除権者 と 債務者の利害の. 調整を図ったものであ る. 来の学説においても 同様に理解されている ". しかし,近年,このような 催告の理解に 対し て, 2 つの方向から 見解が出されている.まず ,. 第一に,解除の要件として,重大な義務違反と 統一して,過失を不要とし,さらに ,催告を重 大な義務違反の 一 要素とする見解が 出されてい. 63,. また,他方において ,遅滞解除の要件の 催告に積極的な 役割を演じさせようとする 見解 が 出されている。,,荷見解は ,催告を履行遅滞. り 引. ,また,後に 検討する フ. 業段階 ) でも,結倉曲折を経て現れて,採用さ れた制度であ る ". 両国が,如何なる 経緯で 催 告 という制度を 設けたかを明らかにすること で ,現代のあるべき催告の 意味を考える 上で有 益 であ ると考えるからであ る, 本論文は,このような 問題意識に基づいて. ,. まず,わが国の催告についての 歴史的発展を 検 訂 して,現在の問題状況を明らかにすることを 目的とする.そして.19 世紀から現在までの ド イソ 民法における 解除制度の発展を 上 ヒ校 する..

(2) (234). 92. 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 横浜国際社会科学研究. なぜなら,第一に , 19 世紀のドイツが 一般 史 の. みならず,法制史においても近代に移行ないし 属する時期であ り,解除制度の理解 や ドイツ民. 次のように規定した ". 法典の制定など 注目すべき変遷が 認められるか. ボアソナード 草案 441 条 すべての双務契約において. らであ. 第二に, 2002 午に改正された 新債務. 行し,もしくは ,その履行を申し出る当事者の. 法 における改正作業の 際にも,議論が行われ ", わが国の催告の 問題を考える 上ア 参考にすべき. ため,解除条件は ,他方当事者がその義務を全. る ".. 点があ るからであ る。、. ・. なお,特に説明のない 限り.「解@. 」. @. 「. 法. 定 解除」を意味するものとする の. 生Ⅰ 催. る あ で. 件. 要 の. 解. 除. 遅 干滞. ノ・ イ. 国と が成 わ形. ⅠⅡ. ここでは,わが国の履行遅滞解除の 要件であ る催告は如何なる 立法過程及びその 後の学説, 判例で,どのような意味を有してきたのかにつ いて検討する・. Ⅱ. 立法の経緯 わが国の民法典は ,いわゆるボア ソナード草. 案に基づいた 旧民法典が明治 23 年 (1890年 ) に 公布され,明治26 年 (1893年 ) U 月 1 日 より施行 予定であ ったが,その前年から法典論争が 生じ た .そこで,明治政府は ,明治26 年に法典調査. ,自己の債務を履. く履行しないとき。 常に存在する. この場合,解除は当然に成立しない.解除は 損害を受けた 者によって裁判所に 請求されなけ ればならない.ただし ,裁判所は,第 426 条に したがい,相手方に恩恵期間を与 え なければな らない. ボア. ソナード草案の 特徴は,解除は ,双務契. ること,裁判 所に解除を求めなければならないこと ,その場 約の中に黙示に 存在する条件であ. 合 ,裁判所は,債務者に 履行のための 期間 (恩 恵期間 ) を与えなければならないこと ,を挙げ ることができる.解除は,双務契約の中に黙示 に存在するものであ ること,裁判所に解除を求 めなければならないこと ,その場合, 裁 平打斤は ,. 債務者に履行のための 期間を与えることができ ると規定するフランス 民法典第 1184 条と同様の 特徴を有する 規定であ ると い え る ". なお,ボ ア ソナード草案 444 条では,解除と 共に損害賠 会を設け,穂積陳重,梅謙次郎,富井政章の 3 償が 認められており , ",, 後に分析する 解除と損 人を起草委員にして ,改めて民法典を起草させ ることにした.当時ドイツでは,民法の第一車 害賠償の二者択一の 立場を採ったドイツの 旧債 案が公表されており ,これを参照にして起草作 務法の解除規定とは 異なっている , 6.. 業を行った.そして ,総則・物権・債権 の三編は (2) 旧民法典 明治 28 年 (1895年 ), 親族,相続の:: 編は明治 30 明治 23 年 (1890 年 ) に公布された 旧民法典で 年 (1897年 ) に草案が完成し ,前者が明治29 年 は,解除は,現行民法典の 規定と異なり ,法定 (1898年 ), 後者が明治 31 年 (1891年 ) に公布さ 解除に関する 規定が,法典の 中で散らばって 規 定されていた ". ここでは,ボアソナード草案 れ ,両者揃って明治 31 年 7 月 16 日から施行され 441 条と同様な構成となっている「財産 編 第二 た.第二次世界大戦後の 家族法の大改正 " の 他 , 技術的な改正 " を経て現在に 至っている ". こ 章 義務 / 効力第四節義務 / 諸種 / 態様」の第一 のような立法の 経緯の中で,解除についての議 散「成立 / 単純,有期又 八条件 附 ナル義務」の 論を検討する. 421 条ないし 423 条を検討する.それらは次のよ (1) ボアソナード 草案 うな規定となっている ". 1879 年 ( 明治 12 年 ) 頃 に,旧民法典の起草が 始まり起草されたボ ア ソナード草案は ,解除を.

(3) ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 (大滝 ). 本来の履行を 請求できなくなる.. 第 421 条 凡ソ 双務契約二八義務. 速 ヲ為 セル当事者 ノ 義務不履行 /. ノ 一方. ヲ 履行. シ又ハ 履行 / 高. / 利益 / 為メ他ノ 一方. 場合ニ船イテ 第ニ解除条件. ヲ包. 含ス 此 場合ニ船 テ 解除 ハ 当然 行 ハレス損害%安ケ タル一方 ョリ之ヲ 請求スル コト %安 ス然レトモ 裁判所 ハ 第四百六条ニ 従 ヒ他 / 一方二恩恵上 / 期間 ヲ許与 スル コトヲ得. 第 422 条 当事者 ハ 前条 / 解除 コトラ 行. ラ行ハ. サル 旨ヲ明約 スル. 文当事者 ハ 履行 / 遅滞 ニ付 セラ. ン. タル一方二. 対シテ解除 / 当然 行 ハル 可キ旨ヲ明約 スル コト ヲ得 然 しトモ 遅滞ニ村セラ. ン. タル一方ハ仙. ノ一. 方 力其 解除 ヲ 甲立ツルニ 非 サレハ自己 ョリ亡ず 中立ツル コトヲ得ス 第 423 条 不履行 / 浩ニ損害%安ケタル 当事者 ハ 黙示 /. 解除 / 場合ニ股 テ未タ之ヲ 裁判上ニテ請求 セ サ ル間 又ハ 明示 / 解除 / 場合ニ船 テ末タ 2 %援用 スル 旨ヲ述ヘ サル間八具解除 ヲ抱棄 スル コトヲ 得. (235). 93. したがって,. 債務不履行の 一事をもって 直ちに解除がなされ. るべきでなく ,裁判で判断されるべきであ る, と 説明されている ,。, .. また.解除と共に損害賠償を 請求できること も 同様であ る (424 条,,, ) が,この損害賠償は , 不履行により 生じる一切の 損害ではなく ,積極 的損害に限られるとしている , ". なお, 422 条は, 解除権 行使・不行使について , 423 条は,解除 権 の放棄について 定めている.. (3). 法典調査会. 現行民法の起草過程における 法典調査会の 原 案 (現行民法典とほぼ 同じ ) では,次のような ボ ア ソナード草案・ 旧民法の規定とは 異なる 特 徴 が現れるようになる. 解除の説明の 際,起草委員であ る穂積博士は ,. 538 条 ( 現 540 条 ) の解除の行使方法において , 法律上当然の 解除,裁判による解除という構成 ではなく,意思表示による解除を採用したと 述 べる, ". まず,解除条件構成を採 m しないことにっ ぃ ては,「法律上当然/ 解除,一個人/ 解除ト串 シマスモノ ハ甚タ是ハ 簡便 デ ゴザイマシテ 人民 / 手数八掛ラ スコトデ ゴザイマスルガ 文 一方ニ. 旧民法典は,ボ ア ソナード草案 441 条の規定. 股 キマシテハ簡 ニ週 キマ シテ利害関係者 ガ能ク. と同様に,法定解除は 双務契約に限られること ,. 法律二通 シ 法律 / コトニ慣レテ 居 ラ ス人 テアル. 義務の不履行により ,双務契約に黙示に含まれ る解除条件が 成就 し ,解除がなされること (421条 1 項 ), そして,解除を選択する場合, 裁 判 所に請求しなければならず ,その際,裁判所 は,義務を履行しなかった 他方当事者に 対して, 履行のための 恩恵期間を付与することができる (421条 2 項 ), とする.富井博士は,旧民法典の 概説書 " で ,解除を裁判所に請求しなければな. らない理由は 2 つあ ると説明されている.第一 は,黙示の解除は意思解釈に基づくが ,意思の. ト自分 / 知 ラナイ十ニ 或ハ 権 利 ガ消ヘテ居ルト 力哉 ハ 義務 力 発生シテ 居 ルトカ 云フコトガ アリ マス 是ハ 簡便ニ週 ギテ却テ 人民二八実際上不便 ナルコ トガ アリ 得 ルノテアリマス」,。 ,として,. 簡便すぎて,自分の知らない間に ,権利が消滅 したり,義務が発生したりするのは ,実際上下 便 であ ることを理由としている. 次に, 裁平 打斤に 請求することによって 解除が なされるという 請求権 的構成については ,「足 ハ 第一二手数モ 掛 リマスシ又又時間 モ掛 リマス. 表彰を定めたものではない.実際に公平な結果 を生じさせようとして ,この規定 (421条 2 項 ). ル又費用二股 キマシテモ 随分掛り得ルモノテア リマス加之テラス 何 ウモ人民一般 / 感覚上ニ船. を 設けた.第二は,解除は,解除権 者 (債権 者 ). キマシテモ 契約上 杯 / コト余程 已んヲ得 ナイ コ. にとっては特権 であ るが,解除を選択すれば,. ト. テアリマセ. ス. ト,裁判所杯ニ 特出 シ或ハ 裁判.

(4) 94. (236). 横浜国際社会科学研究. 第 10巻第 2 号 (2005年 8 月 ). ,相当期間を定めた催告を 必要と する.その理由について ,旧民法典の裁判によ. 官打 / 前 ニ山 テ 人民 / 利害ニ行 テ 2 % 争 ウト 云 ウコトハ 如何ニモ 已ムヲ得 ナイ場合 デ ナイト 云. 解除の場合は. 何ウモ 面白クナイ…. 其 契約解除権 / 行使 ガ 面倒ナル力持 メ 二部 テ其 規則 ニ依テ 利益 ヲ得 ヌヤ ウナ 傾キ モナイトハ 言ヘ ナイ 位 テアリマス 失敗ニ個 9 モ裁判上 / 解除 元ウモノ ラ 通則二. る解除の利益は ,裁判所が履行を怠っただけで すぐに契約を 解除してしまうのは 債務者にとっ. ウト. ナクテ 寄ガ 多イ モノテアリマス 夫ョリハ 第三 /. 両 当事者 て酷であ り,また,履行するにしても にそれほど損害がないと 考えるとき,恩恵上の 期限を与えることが 穏当・親切な 方法であ ると 思われるからとしている 3,,. そして,これと同. 主義. じ効果は,「意思表示 / 主義二 依テ得 ラレル 一. ト. 至シマス ル / ハ不都合テア ッテド ウモ利益 ガ少 ( 筆者 註 :. 意思表示による 解除 ) ニ櫨 リマ. シテ当事者 / 意思ニ仏 テ 2 %解除スルトテ フ コ. 方 / 履行 ガ アリマセ. トヲ 通知スルトテプコ トヲ 自治二 任セテ置 キマ. ヲ定メテ其 履行 ヲ 催告スル ,デ異相当 / 期間 五. スル万カ一番間遠. フモノ ハ 取引 / 性質 テ定 マルモノ テ アルカラシ. ヒモ少 ナイ」 , 。,と説明されて. ス. トキ二股 テ ハ相当 / 期間 ト. いる・. テ 却テ 当事者 / 見込 / 方ガ 穏ヤカナコトガ アル. その他では,法定解除は双務契約に限られな いとした ", また,解除と共に損害賠償を 請求 できることはボアソナード 草案・旧民法の 規定 と同様であ るが,当時のドイツ民法・商法の 解. 力. 除と損害賠償の 二者択一主義 ( 後述 ) を意識し てか,かなり明確な説明がなされている , ". な. は次によ う に整理できるものと 思われる. ボ ア ソナード草案の 解除は,フランス民法典 1 84 条を下敷きにして ,解除は,双務契約に 限. お,北川教授は ,現行民法541 条の「当事者の 一方がその債務を 履行しない場合」とは ,履行 遅滞による解除を 定めた規定であ ると理解され ているが,法典調査会での審議では, ドイツ 商 法やスイス債務法の 遅滞による解除を 継受して いるものの ", この規定を履行遅滞による 解除 をきめたという 趣旨の説明はなされていないの であ り,さらに,この 債務を履行しないという 文言は, 415 条の「債務者がその 債務の本旨に 従った履行をしないとき」を 受けているとみら ,.そして, 541 条は,履行遅滞の場 れるとする,。 合のみ適用されることが 予定されていなかった. モ知レマセヌ 恩恵上 / 期限 ト云フ方 / 実際上. / 便益 ハ此 規定 ニ依テモ得 ラレル」 ," とする,。 ,.. (4). 小. 漬. 以上から,起草から立法までの解除について. Ⅰ. られること,条件であること,解除をするとき は裁判所に請求しなければならないこと ,その 際,裁判所は履行のための 恩恵期間を与えなけ ればならない ,解除と損害賠償は並存する,な どとする.旧民法典は,基本的に,ほぼボアソ ナード草案を 引き継いだ. しかしながら ,法典 調査会においては ,解除は,双務契約に 限られ ない,相当期間の設定を伴う催告 (履行遅滞に よる解除の場合. ), 裁判による解除. (恩恵期間 ). ではなく,意思表示による解除,すなわち ,解 除の行使が,請求権的性格から形成権 的性格へ. 得る.むしろ ,これは,民法典 の移行等の変遷を 遂げることになった. の 構造上,民法典制定当時の 学説がいうように ", 法典調査会では ,履行遅滞による解除の要件 ことが確認され. 債務不履行 れないこと. ( 二 債務の本旨に ). 従った履行がなさ. による法定解除権 を決めた一般規. 定であ って,民法第542 条, 543 条はその例外規 定ないし特別規定であ ることになる ,. と 指摘さ. れている ",.. このように解除権 の行使については ,意思表 示による解除を 採用した上で ,履行遅滞による. として,催告が採用されることとなった.この 意味するところは. ,裁判による 解除 (恩恵期間 ). によってもたらそうとした 当事者間の利害調整 を ,当事者の意思表示 (相当期間の設定を 伴う 催告 ) によってもたらそうとしたことにあ る. つまり,解除権の行使の是非は ,事前ではなく , 事後的に判断されることになるのであ. る. この.

(5) (237). ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 (大滝 ) よ. う. に立法において ,催告は,当事者間の 利害. 調整を果たすものとともに. ,解除権の行使を当. 95. から,当事者双方の立場を考慮しながら 一般取 別 における契約についての 信頼を維持するため. 考えられたと 思われる.. には,今一応債権者をして履行の 催告をなさし め,その上でなお履行がないならば ,その時に 初めて解除をなし 得ることとするのが 穏当だと. 2. 考えられているのであ る.」如 としている.. 解". また,星野教授も催告について ,「わが民法 は,契約の原型をできるだけ維持したいとの 考 え方に立ち,解除は,契約関係を一方的に廃棄 する重大な行為であ るから,不履行をしている. 事者に委ねるもの. (遅滞の場合に. 限らない. ). と. 学説・判例の 検討 (1) 学 説 ㈲ 従来からの催告の 意味についての 理解 立法後の学説では ,起草者である 梅 博士の見 と. 同様に催告の 意味は,債務不履行の債務. 者に,も う 一度債務を履行する 機会を与えるこ とで,当初の契約目的の達成を 可能にし,その 一方で,相当の期間内に履行がな 目ならば,解 除することができるとして. , 両 当事者の利害の. 調整を図ったものであ ると理解されていた.以. 下,代表的な見解を紹介する. 鳩山博士は,民法第541 条の解除の場合に ,. 相当期間を定めた 催告を要するのは ,「債権者 ヲシテ最後 / 通帳 ヲ発 セシメ債務者二履行 ヲ為 スノ機会 ヲ与 フルモノ チ リ.」だからであ ると する,。 ,.. 石田博士は,「履行遅滞に在る債務者は 義務 違反をしているのであ. るから,損害賠償義務を. 負担するのは 当然であ るが,之を理由として直 ちに契約の根本的破壊を 許すことは必ずしも 適 当ではないので ,最後通牒の 意味で『相当期間』 を定めた催告を 為す手続きを 要求したのが ,民 法五四一条の 趣旨であ る.」" とする.. 我妻博士は,不完全履行による解除の催告の 要否についての 説明 醐で ,追完が許される場合. は,催告を必要とする.その 理由として,「両 当事者の歩みよりによって ,できるだけ契約を 維持し,解除を避けるようにすることが ,信義. 債務者にも. 一度考え直す 機会を与えようの 趣 旨とされる」。,,と 述べている。". (ii) 近年における 催告の意義の 動向 まず,催告の意義について 論じているもので はないが, 好 実教授の解除制度の 理解を紹介す ることにする ". というのは, 好実 教授の解除 う. 要件として過失を 不要とする見解は. ,催告の意. 義についても 影響を及ぼすことになるからであ る. . 好 実教授は解除について ,「解除の基本的. 効果は, 第 - に ,契約上の義務の消滅であ 」る. こと,「第二に ,それに伴って ,契約の清算の ため,すでに履行ずみのものがあ ればその返還 を 請求する原状回復請求権 の発生」であ るとす る.そして,「債務消滅と 原状回復の内容は , 解除権 の発生が債務不履行に 基づくとはいえ ,. 契約の無効・ 取 消の場合の清算と 共通して価値 中立的な契約清算制度であ り,いずれかが有責 の 不履行者かという 問題とは無関係」で ,「解 除は,契約上の債務を消滅させ , 既 給付の原状. 回復を義務づけるための 技術的手段ないし 概 念」であ り,これらを「妥当視させる事情を解 除条件とすれば 足りる」とした 何 .. 則の要求するところだからであ る.」とされて. 好実 教授の解除の 第一次的な効果を ,「契約 上の義務の消滅」として ,債務不履行による損. いる ".. 害賠償の要件とは 異なる解除固有の 要件を設定. 末川博士は,「履行期 に契約がなされないか らといって,債権者が直ちに契約を 締結した 目 的を達し得ないこととなるわけでなく ,また債 務者も初から 履行用 に ついてさほど 重要な意味 を附して契約を 締結しているわけでもないのだ. するという理解は ,国連統一売買法などのョ一 ロッパの契約法 " に示唆を得て ,解除において 帰責事由が必要か ",. という議論が , 1990 年頃. から起こるようになる.その議論に関連して 催 告の意味についても ,次に説明するような従来.

(6) 96. (238). と 異なる 2 つの方向性が (一 ). 横浜国際社会科学研究. 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 現れる.. ( 解除権. 第一の方向性. まず,辰巳教授は ,「契約解除を ,従来から の債務者の債務不履行による「責任」的構成か. ら峻別するとともに ,契約解除の制度を, 双務 有償契約における 債務の結合・ 牽連関係を媒介 として交換プロバラムからの 逸脱が,客観的に 一方当事者の 債務不履行により 生じた場合に ,. 一定条件のもとで 柏手方当事者に 時宜を失せぬ よ う 契約から離脱して 反対債務から 解放され, かっ当該反対債務の 履行のために 留保された資 本についての 処分の自由を 回復する手だてを 与 える制度として 捉 え 直すとなると ,契約解除の 前提となる債務者の 不履行には帰責事由は 必要 ではないと解することになる.」 ". と 述べる.そ. して,催告については ,「具体的な個々の場合 において,契約解除が債務不履行につき 帰責事 由のない債務者にとって 不利益であ ると見られ 6 場合が , 特に五四一条による 解除の場合にっ. き問題になり 得ようが.そのときには五四一条 の解除権 発生要件であ る「相当な期間による 催 告」にっき,その期間の柑単性の 判断に債権 者・債務者の 双方の利益考量の を 設定することによって. 上,適正な期間. 解決されれば 足ると考. える」。, ・と述べている.. 次に,潮見教授は ,損害賠償と解除は , 同じ. 不履行を原因として 債権 者に与えられる 法的手 段 であ る. しかし,前者は,金銭給付という 第 二次的給付により 本来の履行と 同価値の利益状 態の実現を企図したものであ るのに対し.解除 は,契約の拘束から債務者を解放するための 手 段であ る.両者は目的を異にしているので , 解. 徐 に,債務者側の行為を債務者に 帰責 し ,履行 利益の追求を 目指して,この者の損害賠償責任 を追求するものではないとして ,帰責事由を必 要とすることを 疑問とする.そして ,「主たる 給付義務違反であ れ,従たる給付義務 ( 論者に よっては付随義務 ) であ れ,単発型の契約であ. れ,継続的契約であれ,契約目的の達成を危殆 化し,契約へと拘束され続けることが 債権 者. 者 ) にとって期待できないと. 評価され る局面で初めて 解除が認められるという - 般 理 論を導き出せる」のでないかとして ,Ⅱ当該契 約を締結した 目的および契約締結の 際の諸事情 を考慮にいれたとき ,契約を維持しこれに拘束 されることについて 有する債権 者 ( 解除権 者 ) の合理的な期待と 利益が,履行過程において生 じた当該契約違反によって 脱落した』と 評価さ れる場合に」認められる「重大な 契約違反」と いう 概念を解除の 要件とすることを 提案されて いる ". (二 ). 第二の方向性 第二の方向性として 森田修教授は ,履行遅滞 による解除の 要件であ る催告に,独自の意味を 見出そうとする.すなわち ,「重大な契約違反」 という統一的要件により ,解除権が発生するこ とを疑問視 ". し. ,催告は,①履行請求権 との均. 衡,②社会的要請,③催告の 論理的不可欠性か ら ,原則的に必要だとする,,・.そして ,歴史的 認識としての 債務 転形論 ". の発展と詳細な 判例 の分析に基づいて ,不履行後の当事者の行為態 様を規範的に 評価するために 催告の再構成を 示 している,". そこで考慮されるべき 要素として, ①債務者二不履行に 初発の不履行を 追完する機 会をどのように 保障するかという 問題 (追完機 会の保障 ). この考慮は,契約に 基づく債権 関 係を維持する 方向で作用する.②不履行によっ てもはやノーマル な 展開を期待することができ. なくなった当該債権 関係から離脱して ,代替取 引をする機会を 被不履行者にどのように 保障す るかという問題 (代替取引機会の 保障 ). この 考慮は,契約に基づく債権 関係を解消する 方向 で作用する.③追完,代替取引についても ,当 該契約 外の ,つまり市場における一般的な取引 可能性がどの 程度あ るのかという 問題 ( 市場 性 ).. これは,具体的には,追完の費用の問題.. 代替取引による 利益賠償の問題として 現れる. ④当該虹形に 当事者のイニシアティブをどこま で認め,反対に裁判所の裁量的な 介入をどこま で認めるかという 問題 (手続きイニシアティブ.

(7) ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 (大滝 ). 0 所在 ), があ るとする 弥,.. (iii)小. 指 従来からの学説では ,催告は, 両 当事者の利. 害の調整を図ったもの 理解されてきた.しかし ,. 近年においては ,解除に帰責事由は必要か, と いう議論によって「重大な 義務違反」を 解除の. 統一的な要件として 考え,催告を.「重大な 義 務違反」の 一 要素として捉える 見解が出されて. いる. この見解は,解除の当事者の契約からの 離脱という機能を 強調する.一方で ,森田修教. (239). 97. 借 契約の当事者の 一方に債務不履行があ る場 合,法律に別段の定めがあ るときを除いて ,第 541 条を適用し,相当期間を 定めて催告した 上 で,賃貸借契約を解除できるとした。".. しかし, その後, X は Y に本件家屋を 期間の定めなく 賃 貸していたが , Y の出征 中 ,その妻子が ,室内. で野球をしたり ,建具を燃料にしたりという用 法違反があ り, X が Y に,解除明け 渡し及び損. 害賠償を求めた 事案で,「およそ,賃貸借は,. 授のように,催告を 規範的に評価するために ,. 当事者相互の 信頼関係を基礎とする 継続的契約 であ るから,賃貸借の継続中に,当事者の一方. 追完機会の保障,代替取引機会の保障,市場性,. に,その信頼関係を裏 切って,賃貸借関係の存. 手続きイニシアティブの 所在を考慮して 再構成. 続を著しく困難ならしめるような 不信行為のあ 将来に向か った場合には ,相手方は,賃貸借を って,解除することができるものと解しなけれ ばならない.」そして ,「この場合には 民法 541 条所定の催告は ,これを必要としないものと解 すべきであ る」と 判 示したⅦ. このように判例. を試みる見解も 出されている ,この見解は ,. こ. れるの事由を 考慮することにより ,契約の維 持・離脱を規範的に 評価できるとする.両者と も解除権 を行使するための 基準は異なるもの の,解除の要件,契約からの 離脱という側面に 関心が向けられている・. (2) 判 例 朗. 催告の問題は.過大催告,過少催告,催告の 内容. ( 履行の日時,場所等. ), 相当の期間を 定. めた催告,催告の絶対的必要性等があ る,。 ・. こ. こでは,催告の絶対的必要性の 問題として.賃 貸借契約の解除と 債務者が履行を 拒絶した場合 の代表的な判例を 2つ あ. 概観することにする.理由は. る.第一に,これらの 問題は,催告を 必. 要としない解除,すな む ち,. 無 催告解除ができ. ,当事者の信頼関係が破壊された場合, 無 催 告の解除を認めたが ,実際の適用にあたっては は. 慎重に判断している。, ).. (ii) 債務者が履行を 拒絶した場合の 解除 債務者が.あ らかじめ,催告があっても履行 をしないことを 明らかにしている 場合,催告は なおも必要とするかという 問題については ,催 告を不要とする 判例もあ った ". しかし,その 後, X は Y から本件不動産を 鉄工所経営という 事業目的で借り 受けるという 賃貸借契約を 締結. るかの問題であ り, 無 催告解除の可否の 理由を 分析することによって ,判例の催告についての 考え方を明確にできるからであ る.第二に,賃. 署を拒絶したため , X が解除をしたという 事案. 貸借契約以外の 雇用・請負・ 委任・寄託という. 債務. 行為債務についての 契約類型の解除は ,契約総 則の解除行使とは 異なり,むしろ排除している. 定メテ其 / 履行. からであ. 行為二関スル 同法第五四二条 / 規定. ㈲. る ".. 賃貸借契約の 解除. 賃貸借契約の. 解除は,継続的な性質を有する. 契約 " であ り,遡及効をもたないいわゆる告知. したが, Y が , X の事業開始のために 必要な連. で,「民法第五四一条二八当事者ノ 一方 ガ其ノ ヲ 履行セザルトキハ. 柏手方ハ相当 / 期間 ヲ. ヲ 催告 シ 仏伝. ト. 規定 シ,特ニ之. ガ 除外的規定 ヲ設ケザル ノミ テ ラ ズ ,所謂定期 トノ. 対照上. 古 第五四一条 / 場合ニ股 テハ 縦令当事者 ノ 一方 ガ其 / 債務. ヲ 履行サザルノ. 意思明確ナルトキト. 難 柏手方 ハ必ズヤ 相当 / 期間 ヲ 履行 / 催告 ヲ為. の,性質を有しているので ,そのまま第541 条が スニ 非ザレバ 解除 / 意思表示 ヲ為 スコ トヲ得 ザ 適用されるか 問題となる.判例は ,当初,賃貸 ルモノト 解 スル ヲ 相当 トテ ス ベキ 」と 判 示して,.

(8) 98. (240). 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 横浜国際社会科学研究. は,判例は,賃貸借契約の 場合は,債務者に信 頼関係を損なうような 背信的行為がないとき. は.催告を必要とする.一方で ,債務者が履行 を 拒絶する場合は ,原則として催告を必要とし ている ", 催告を不要とできるのは ,信頼関係 を損なうような 背信的行為があ り, 両 当事者を 契約に拘束させておく 必要のない場合に 限ら れ,それまでに 至らない場合は , ( 前述した 履 行 拒絶の場合の 催告を必要とすることに 対する 山中博士の批判があ るが ) なおも 両 当事者の利 害の調整から 催告を必要としていると いえ るの. 思 表示により解除ができるとするのみで. ,催告. を必要としていなかった. しかし,その後の立 法作業を経た 1900 年に施行された RGB326 条, 2002 年に改正された 債務 法 では,催告は ,遅滞 解除の要件として 規定されている. ドイツで, 催告という要件が. ,どのような経緯を経て必要. とされるに至ったか ,要件とされた後,どのよ うに発展していったかについて ,Ⅲ以下で概観 する. Ⅱ. 債務者が履行拒絶しているときでもなおも 催告 を必要とする ". その理由として ,債務者が履 行を拒絶していても ,催告に応じて,その意思、 を翻して。 履行をするかもしれないからであ る とする ". 催告を必要とする 一方で,商事売買 ほ ついては,催告を不要とする判決を 下してい る ". この民事売買と 商事売買で区別を 設ける 点について,山中博士は ,両者を区別するのは 不当であ る.債務者が,最初から履行を拒絶し ておきながら ,催告があれば,気が変わったか もしれないとして ,催告をしないでなした解除 の無効を主張するのは 信義則 ( あ るいは禁反言 法理にふれる ) に反すると批判されている㈱. (iii)小 指 これらの場合に 催告が不要になるかについて. ドイツ民法典成立以双の 立法と学説. 19 世紀中期の解除の 理解を立法・ 学説を通じて 概 観していくことにする. ドイツ民法典の 起草が始まる 前段階であ. る. 19 世紀中期の解除制度 まず, 19 世紀中期の立法における 解除制度を 概観する.概観するのはプロイセン一般ラント 法 (Ⅲ㎏ emeinesLandrecht 田 rdiepreuBischen R盤ten. 以下「Ⅲ』,R 」とする. ) (1794年成立 ) で 1. あ る.というのは, 3 で言及する一般ドイツ 商法 典. ㎝gemeinesDeutschesHandelsgese. (. はbuch.. ではないかと 思われる・. 以下「 虹)HGB 」とする.) に関する議事の 基礎 となった商法草案を 提出したプロイセンのⅢⅢ では,解除は 裁判所を通じて 行われたのに 対し, ADHGB では,通知 (Anlzeige)を通じて行われ ことになったという 変遷を明らかにすること. (3) 立法の経緯・ 学説・判例の 総括. で, ドイツにおける 解除制度理解の 転換点をよ. わが国の立法の 経緯・学説・ 判例は,催告の 意味を両当事者の 利害を調整するものと 考えて. きた.その一方で,催告を重大な義務違反とい う統一的要件の 一 要素とする見解 や ,催告に裁 制規範として 独自の意味を 見出そうとする 見解. が出されていることを 述べてきたのは 上記のと おりであ る, 法典調査会で 参考にされたドイツ 民法第一草 案の解除は,債務者の 給付が債権 者にとって ,. もはや何ら利益を 有さないとき , を解除することができるとしていた 案の段階では. f責 権 者は契約 掛 .第一草. ,給付の無利益を理由として,. 意. り明確にすることが 可能になるからであ る⑨. まず,Ⅲ』R" の 解除関連の条文の 位置構成を 述べた上で,条文の概略を示すことにする.解. 除について,ⅢⅢは ,第一部第五章「契約につ いて」,第九節「契約の 破棄」,第五教 「他方の 履行の暇 疵 によって」以下に 規定があ る.そこ. では,解除の規定は,以下のような 内容となっ ている.一方当事者の履行拒絶や不適切な 履行 による他方当事者の 解除は原則として 認められ ない㎝J R393 条,,, ). 履行及び賠償を 裁判官を 通じて求めるのみであ る (ALR394 条,"). 履行 』. を請求する訴訟において. 契約の内容が 明らか.

(9) ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 でない場合,裁判官が審理する (ALR395 条,, ), ま. 契約の内容は 明らかであ るが,被告が原告の履 行が契約に従っていないとして ,履行を拒絶す ると,その正当性が裁判される㎝J R396 条,。 , ). この拒絶の抗弁が 認められないと ,原告には履 』. 行及び損害賠償,あ るいは,契約を解除するこ 条,"). 解除が選択さ とを選択できる (ALR397. 』. 場合,被告は 善意占有者の 』. ,あるいは,債権者が債. 務者の遅滞をきっかけとしてその. 目的達成のた. ,さらに,悪意占有者としての めに他の手段をとり ,その結果,債権 者にとっ. 責任を負 う ことになる (ALR398 条,"). また, 履行の拒絶が 認められた場合は ,解除を選択す る権 利が被告に与えられ㎝L R399 条 ") 。 その. ㎝L R400 条 ").. 99. 債権 者が債務者の 遅れた給付を 拒絶できるかが 問題となり,遅滞は全く関係がない. この問題 に対しては,ローマ法の原則に従い 考えなけれ ばならない ". 債権 者が給付を拒絶できるのは , 債権 者が債務の客体により ,かつ,適時の 履行 の際に達成できたはずの 目的が,債務者の遅滞 によって挫折するとき. れた場合,被告は ,自らの拒否によって生じた 損害を賠償して. (241). (大滝 ). 権. 利を有する. 例外としてなす 債務,特定物の. 売買の場合,柏手方が契約どおりの 履行をしな かったとき,契約を 破棄することができる (Ⅲ上 (第一部第五章 ) 408 条 "). 以上が原則で あ るが,例外も存在していた ". なお,バイエ ルン民法草案が ,双務契約において,一方当事 者が履行を遅滞する 場合,履行,または ,解除 を選択して,裁判所に 請求することができる. ,. 解除を選択するとき。 裁判官は,事情により履 行のための猶予期間の 設定をすることができ. てその客体がもはや 無益になるとき ,債権者は, 後から提供された 給付を受け取る 必要はなく, まさしく給付自体の 等価 物 (Aquivalent)につ いて訴える権 利を有する,。 ,. このように理解すると ,債務者が,債権 者の 請求に ょ 0 等価物を提供すれば ,債務者も反対 給付を請求する 権 利を失わないことになる. こ れに対して, モム ゼ. ノ. は,「債権者はこの等価. 物を押し付けられるべきではない.例えば , 売. ,売却物の給付の代わりに指定された 方法 の場合,買主に金銭等価物の 給付を甘受させる. 主は. という要求をすることはできないのであ る.債 権 者が反対給付をまだ 行っていないときは ,債. 務者は,債務により 自らに提供される 利益,. す. る ,としている,・, .. なわち,反対給付に関する権 利を取得するため. このようにⅢ』 R において解除は ,限定的にで はあ るが解除を請求することのできる 場合がい くつか規定されていた.その他の場合は,原則. の手段がな い のであ る,」" とする,また,債権. 者が反対給付を 履行した場合は ,「債権者は反 対給付を要求することはできない.なぜなら ,. る.まず,後のドイツの 解除制度に影響を 与え. 債務者の遅滞 (Mora) にかかわらず 義務自体 の有効,注が持続しているからであ る. しかし, 債権 者は,給付が 自己にとって 千 Ⅱ益のないもの になるとき, .利益給付に代わる反対給付の 返還を要求することができる.」 8" とする.その 理由は,履行利益に関する請求は ,債務の有効 性および債務者の 義務の継続性を 前提にしてい るが,それに対して反対給付そのものの 返還請 求は,その効果として反対給付が支払われるこ. た モム ゼ ノ の見解 " から紹介する 8。 , ,. との債務が存在しないことを.あるいは少なく. (1) モ 々 ゼ ノ. とも原告がその 債務を取り消す 権 利を有するこ. 的に履行を請求しなければならなかった. 2. 学. ,. 説. 普通法時代,,・の解除については. ,損害賠償に. より解除と同じ 結果を得ることができるとする モム ゼン (Mommsen), 解除を認めないヴォル フ (C.W.Wolff), 直接的に解除を 認める クニ 一プ (Kniep) の学説などを 挙げることができ. モム ゼ ノ は,解除について 次のように述べる.. 遅滞により契約が 解除できるかを 考える場合,. とを前提とする. しかし,債権者にとって債務 者の給付の価値が 反対給付の額と 少なくとも 同.

(10) 100. (242). 横浜国際社会科学研究. 第 10巻 第 2 号 (2005年 8 月 ). じであ ることがあ り,それゆえに ,債務者は, 認める見解に 関して,「たしかに 契約不履行の 抗弁を原告に 提出すことは 可能であ る…. しか 債権 者が利益給付の 代わりに反対給付の 返還を し,給付がなされるべきであ った者の請求は , 要求することを 甘受しなければならない ,とす る,。 , 反対給付を拒絶する 権 利に限定されず ,代償利 そして, モム ゼ ノ は最後に債権 者の解除権 に. 益が , 取り決められていた 反対給付以上の 額で. ついて,「反対給付がいまだなされない 限りにお いて,あ る種の事情のもと 債務者の遅滞によっ て契約を解除する 債権 者の権 利が根拠付けられ. る場合は,その超えた額を要求されることも あ り得るので,その請求は,契約訴権でなされ る…. したがって,代償利益に関するこのよう な権 利は,まさに契約によって 根拠付けられる のであ る.それゆえ,相手方が契約から離脱し てもよいと理解は ,全く正当ではないのであ. る,ということもできる.しかし,この権 利は ,. 遅滞の特別の 効果として援用 (an俺 hren) する ことはできない. というのは,むしろ,確立し た原則は, 両 債務 (gegenseitieeobljgatjonen), また,遅滞によって根拠付けられる 利益給付に ついての債務者の 義務の一般的性質から 明らか になるからであ る.」" と述べる "... 以上から, モム ゼ ノ の解除に対する 理解は次. のように理解できる. 債務者の遅滞によって 給付が無益になったと. あ. る.」" として,解除を否定する. このようにヴォル フ は,明確に解除を否定し ている. しかし,代償利益が,反対給付以上で あ る場合の請求について ,その請求は契約によ って根拠付けられるべきであ るとする.すなわ. ち,契約それ自体は存続し ,かつ,代償利益に 関する権 利がその契約に 基づいて与えられ , そ. き,債権者は等価物を 求める損害賠償請求権 を 有することになる.そして ,この損害賠償請求 権 により,遅滞にある反対給付を 拒絶すること ができる.拒絶できる理由は,債務者の遅滞の 効果ではなく ,債務者の遅滞によって給付が無. して,その利益の範囲を訴訟によって 確定する ことで,結果として解除と同様の 結論になると 考えていたと 理解することができる.. 益 になったことに 求めている, モム ゼ ノ は,こ. ような損害賠償を 通じて解除と 同様の効果を 得. のように理解することで ,損害賠償を通じて, 解除の効果が 得られると考えていた.. ようとするのではなく. (2). ヴ オルフ. 次に,解除を認めないヴォル フ " は. (3). クニープ. 解除を直接に 認めるクニー プ は ,モムゼ ノ の , 法 生活上の要求. (Bedufnis des Lebens) から直接解除を 根拠付 ける・それは ,解除 (Aufhebungsbefugnis ,まず, durchK lnndigung) を「催告」の 特別な効果,. 遅滞を主観的遅滞 " と客観的遅滞 " に分け,前. 者が過失の一種であ り,その過失に基づいて損 害賠償を義務付けることが 一般原則になるこ と.後者が債務を実現しないことであ り,過失 を 要しないとする.主観的遅滞の一般的効果と して,解除について言及されていないが ,客観 的遅滞の契約上の 効果として,次のような説明 があ る.まず,失権 約款 (lexcom ㎞ ssoria) に 言及し,失権約款は,条件ではなく契約であ る から,解除はその契約に基づいてなされるとす. ね. すなわち,. によって特別に 威嚇 (androhen) された特別な 不利益として ,債務 者が,「催告」を 守らないときに 解除が認めら れる,解除によって始めて契約は 解消され, 反 対 給付の返還請求が 認められる.解除は損害賠 償に付属するものではない㈲ ,とする.. (4). 小. 「催告」. 指. このように,普通法時代の学説における 解除 は,原則的に解除を認めないローマ 法の影響か ら,モムゼ ノ ,ヴォルフ のように解除を 認めな. る 鯨 .失権 約款がない場合の 解除については ,. い説が一般的であ った 鰍 .. モム ゼ ノ ,ヴォルフ. 給付が無利益となったときに 契約からの離脱を. は,給付遅滞の問題は,原則として損害賠償に.

(11) (243). ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 (大滝 ). よって解決されるべきものと 考えていた. これに対して ,クニープ の説は ,モムゼ ノ, ヴォル フ のような説が 一般的であ ったときに, 解除を「催告」によって 特別に威嚇された 特別 な不利益として. ,債務者が,「催告」を 守らな. いとき,解除が認められる,という点が注目に 値する ". この説は,後の通知 (㎞ zeige) によ り 解除を認めることになる ADHGB の解除規定, BGB の遅滞解除の 要件 (債務者の履行遅滞後, 猶予期間を設定して ,その後は受領を拒む旨を. 表示して,猶予期間経過後に解除か損害賠償を 選択できる ) との近似性から 考えると先駆的な 意味を有するのではないかと 思われる・ ( 以上本号 ). 普通時代は,解除を認めないか,裁判所によっ て例外的に解除が 認められたのみであ る.一般 ドイツ商法典 ( Ⅲ lgemeines Deutsches Handelsgesetzbuch. ) で,通知 (AIlzeige) に より解除ができるようになるが. ,. ドイツ民法典. 起草の部分草案・ 第一草案段階では ,解除は, 給付が解除権 者にとって利益にならないときの み解除が認められた.給付のための相当期間の 設定という要件 (催告 ) は,第一草案を審議す る第二委員会による 審議双に,第一草案は ,. ド. イツ帝国司法宇 (Reichsjutizamt) の準備委員 会で審議され ,そこで提案されることになる. その後の第二委員会の 審議を経て,旧債務法 326 条となった・ 7) レーザーは,この 点について,本論文におい て後述する一般ドイツ 商法典における 解除が, 普通法時代の 法律においては ,裁判所を通じて 例外的に行われたのに 対し,一般ドイツ商法典. では,通知 (Anlzeiee)を通じて行われことに なったという 変遷を,後のドイツ民法典の解除. 注. 1) 梅 謙二郎「民法要義. 101. 春2. 三. 債権 綱』 (復刻. 版 (有 斐閣, 1984 年 (初版は 1912 年 )) 446 頁 以下. 2) 従来の学説については ,Ⅱ-2- (1)- ㈲で紹介 する.例えば , 末 Jl@ 士は,履行期 に契約がな されないからといって ,債権者が直ちに契約を 締結した目的を 達し得ないこととなるわけでな く ,また債務者も初めから履行用 に ついて, さ ほど重要な意味を 附して契約を 締結しているわ けでもないのだから.当事者双方の立場を考慮 しながら一般取引における 契約についての 信頼 を 維持するためには ,今一応債権者をして履行 の 催告をなさしめ.その上でなお履行がな 目な らば,その時に初めて解除をなし 得ることとす るのが穏当だと 考えられているのであ る, と 述 べている (末 Jll樽『契約法 (上 )J C岩波書店, 1964 年 ) 146 一 147 頁 ). 3) 潮見教授などが 論じている.詳しくは後述Ⅱ 2- (1)- ㎝ )- (一 ) を参照されたい.また. 重 大な義務違反については ,脚注49 の説明を参照 コ. されたい. 4) 森田修教授は ,催告を規範的に評価するため に ,再構成を試みている.詳しくは 後述Ⅱ り (1)- (ii)-(二 ) を参照されたい 5) Ⅱで検討するが ,ボア ソナード草案 (441. 条 ) , 旧民法典 (421条ないし 423 条 ) では,裁 判によって解除が 認められるのみであ り,債務 者の債務不履行後, 相 当期間を設定して ,その 期間後に解除できるという. 催告による解除は ,. 法典調査会で 審議されることになった. 6) Ⅲ以降で検討することになるが. ,. ドイツでは,. 制度の発展について「決定的な 歩み」が現れた , としている (HansG. し ser,DasRucktr 血 vom Ve れrag,1975,S.10). 8) 詳しくは本論文 (2) 以降で論じるが , ドイツ. 債務法の改正の 議論のとき, 旧 ドイツ民法典 (以下.「旧債務法 」とする ) 326 条の催告に関 しては,解除と損害賠償の二者択一をする 際の 猶予期間 (相当期間設定による 催告 ) 経過後, 給付の受領の 拒絶する旨を 表示しなければなら ないことが問題となった. 9) 詳しくは,本論文 (2) 以降で論じるが.催告. 要件は,旧債務 法 326 条で,債務者の 履行遅滞 後,猶予期間 (相当期間設定による 催告 ) を設 定して,その後は受領を拒む 旨を表示して ,猶 予期間経過後に 解除か損害賠償を 選択できると する.この催告が遅滞解除の要件であ るが,債 務法改正の際.国連統一売買 法 (CISG) を範 にして,鑑定意見を 執筆したフーバー (U ㎞ ch Huber, Gutachten und Vorsch ge zur Ⅰ. ロberarbe№ ng. desSchuldrechts,Bundesanzeiger Band l , S.647 ぱ・ ) は , 「重大な契約違反 (伍 ndamen 杣 breach) (25条 ) があ れば,直ち に契約を解除できる (49条 ) とする規定を 意識 しながらも,自身の提案 326a 条で「本質的な 契承 り・侵害 (wesentlicheVe 血 agsverle比ung) 」が あ れば, 無 催告の解除ができるとしながら , 直 ちに解除できるのではなく ,本質的な契約侵害 があ ることを前提にして ,さらに猶予期間設定 」. の必要性の有無が 問題とされるべきとして. , 旧. BGB の催告要件を 原則として維持し ,提案する (提案 326 条 ). この催告要件は ,その後の改正 作業においても 維持され,現行ドイツ 民法典 (以下「 BGB 」とする ) 第 323 条となっている.

(12) (244). 102. 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 横浜国際社会科学研究. この原則として 催告が必要とされることにつ いて,シュレヒトリームは ,新債務法の解除要. 件の説明において ,今後契約の解消において 決. 定的となるのは ,もっぱら義務違反の 重大さと, 義務違反が債権 者利益に及ぼす 影響であ る.重. 大な義務違反による 契約関係の解消についての 基本要件を決定するためには ,契約違反の重大 さによる契約解消を 最初に置き,重大さがはっ きりと確定することが 疑わしいときは.付加期 間を設定するモデルと ,外見上債務を保護する ために,付加期間の設定を最初に 置き,重大な 違反などの特定に 場合は,付加期間の設定を免 除するモデルがあ る.新債務法は後者のモデル を 採用した ( 発表時は改正前の 2001 年 9 月 5 日 ), と 述べている. ( ぺ一 ター・ジュレヒトリーム. ( 訳 )) 「ドイツ債務法の 発展とヨーロ ッパの 法 近似化」 岡孝 ( 編コ 「契約法における 現代化の課題』 (法政大学出版局, 2002 年 ) 47 一 48 頁 ). (銭偉栄. 10) 第二次世界大戦前の 家族法. (相続・親族. 編) は,「家 」制度を基本としており.個人の 尊厳. や ,男女の不平等などの 問題があ った.しかし,. 大戦後の新憲法で ,個人の尊厳と男女の本質的 平等を理想としたことから.戦双の民法は改正 を迫られることになった.そこで ,「日本国憲 法の施行に伴 う 応急的措置に 関する法律」 ( ョ 和 22 年法律 74 号 ) によって,この憲法の理想に 日. 反する民法典の 規定を失効させ ,家族法を新し く規定した. この家族法は ,昭和23 年 1 月 1 日に 施行された. 11) 最近では,第 161 回国会 (平成 16 年臨時国会 ) で,「民法の一部を改正する 法律」が成立して ,. 平成 17 年 (2005 年 ) 4 月 1 日に施行された. これ. は,民法全体を現代語化するとともに ,条文の 整序作業を行ったものであ る. また,新たに 「貸金等根保証契約」 (民法 465 条の 2 ないし 465 条の 5) を設けた. これに関する 文献としては ,. 近江幸治 (編コ 『新しい民法全条文』 (三省堂, 2005 年 ), 池田真朗 ( 編コ 『新し L@民法』 (有 斐 閣, 2005 年 ) 等があ る.. 12) わが国の民法典の 立法経緯については ,穂積 八束「民法 出デテ 思考 亡ブ 」法学新報 5 号 (1891 年 ) , 穂積陳重『汝窯夜話』 ( 有 斐閣, 1916 年 ), 磯部四郎『民法編纂 / 由来二関スル 記憶 談 (法学協会雑誌 31 巻 8 号. 1913 年 ), 星 野道「民法典論争」ジュリスト 50 号 (1954 年 ), 大村 敦 「民法と民法典を 考える」民法研究第 1 巻 (1996 年 ) , 加藤雅信「日本民法の 制定とそ の歴史的意義」法曹時報 51 巻 1 号 (1999 年 ) 等 』. があ. 巻 2 号 (2001 年 )) 309 頁を参考にさせていただ いた・原典は , Gve B0issonade,Pr 印ectdecode civilp0url,Empiredu Japon,accompagn さ d,un commentaire, 2e d. Sobunkan, 1983, pp.362 づ であ る.また.日本語訳としては ,ボアソナー さ. ・. ド民法典研究会編「ボアソナード 民法典資料集 前期 1 (雄松 堂 . 1998 年 ) があ る. 14) フランス民法典第 1184 条は次のような 規定で あ る, フランス民法典第 1184 条 双務契約には ,当事者の一方が義務を履行し ない場合について 解除条件が常に 黙示で合意さ 」. れている・. この場合契約は 法律上当然に 解除されるもの ではない, 被 不履行当事者は 相手方に,履行可. 能な場合には 合意の履行を 強制するか,損害賠 償と共に解除を 請求するかの 選択権 を有する. 解除は裁判上請求されなければならず ,事情 によっては被告には 期間が付与されることもあ る. ボアソナードは ,修正民法草案理由書の 中で, フランス民法典 ( イタリア民法典 ) に欠陥があ るが,草案において 補充をしたと 述べている ( Ⅱボアソナード 氏 起稿. コ. 再開修正民法草案注. 人権 / 部 上』 532 頁 ). 15) ボアソナード 草案第 444 条 釈. 第二編. 裁判上の解除を 認める者,または ,当然に生 じる解除を援用する 者は,そのうえなお ,その 被った損害の 賠償を求めることができる. 16) 2002 年のドイツ債務法改正以双の 旧債務 法 で は,解除か損害賠償かの二者択一となっていた ( 旧債務 法 325. 326 条 ). 新債務 法 では,解除と 損害賠償の両方を 請求することができるように なった (新債務 法 325 条 ). 17) 「財産編 第二章義務 / 効力第四節義務 / 諸種 ノ 態様」の第一 款 「成立 / 単純,有期又 八条件 附 ナル義務」の 第 421 条ないし第 423 条があ る, さらに.第三章「義務/ 消滅」の第九節に 解除 があ る. また,売買において ,特別の規定があ る (財産取得 編 第三章売買第三節売買 / 解除 及 ヒ 削除第一教義務 / 不履行ニ図 ル 解除 (第 81 条 ないし第 83 条 )). 18) Ⅱ 日 法令集」 (有 斐閣, 1968 年 ) 136 頁.. 19) 富井政章「民法論網. 人権 2 部 (下 )J (復刻 2001 年 (初版は 1890 年 )). 20) 富井・双掲 (脚注 20) 129 一 130 頁. 21) 第 424 条 版コ (新 青 出版,. 裁判上二 テ 解除 ヲ 請求 シ又ハ 援用スル当事者ハ 具 受 ケタル損害 / 賠償 ヲ求 ムル コトヲ得. 22) 北 Jl@ 太郎『日本法学の 歴史と理論」. る・. 13) ボアソナード 草案の和訳については ,杉本好 夫 「ドイツ民法典における 法定解除制度に 関す る一考察 (二 ) (東京都立大学法学会雑誌第 41 」. ( 日本 評論社, 1968 年 ) 88 頁は,第424 条の説明にお. いて,「受 ケタル損害 / 賠償」は , ボアソナー. ド草案第 444 条では, Ia repiparation du.

(13) (245). ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 (大滝 ). prejudice eprouve. となっていて ,損害賠償. 103. 不能 ト云フ モノ ガ生 シマ シタ 場合ハ所 / 場合ニ. (dommages-interets)とは明確に区別されてい. 船 テハ 損害賠償 トテ フモノ ガ 出来ルト 云 ウ文 ケ. た.その理由は ,解除権者が,債務の解放とそ. テアリマシテ 解除スルト テ フ コトハ必スシ モ夫 レ ニ国 テ生 シテ ハ参 リマセ ヌ 五百三十九条 (筆 者 註 ; 現行 541 条 ) ノ双 / 文二旅キ マシテモ 『当事者 ノ 一方 力 債務 ヲ 履行 セ サルトキハ』. の企図した 得 べかりし利益を 得ることができる ならば,正義と衡平に反するからであ る.つま り,第三者との契約からの 得 べかりし利益まで を 認めるのは,解除権者を二重に利得させるこ とになる, と 説明されている.. 23). 『法典調査会. 民法議事速記録・. 第二十五巻」. 二十五 / 七十一一二十五 / 七十二頁 (穂積 発 一) 24) 民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 七十二頁 (穂積発言 ), なお, 旧 漢字は常用漢字に 改めた, 25) 民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 七十二一 二十五 / 七十三頁 (穂積発言 ), 26) この点について ,土方委員より質問があ り, 穂積委員は,「吾 々 モ能 ク者 ヘマシタ所 ガロウ モ 「双務契約 / 当事者 ノ 一方」 トハ書キ悪ク カ ツ タノ テアリマス委任テアルト 力代理テアルト 力 寄託テアルトカ 然ウ 六フサウナ場合ニ 船 テ矢 張り 此箇條 ガ営ルノ テ ゴザイマスカラ「双務契. 約当事者」 テプコ トヲ止メテ 卓二「当事者」 双方ニ富 んヤ ウニ 書 イタ」と答えている (民 法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 七十六頁 ). 27) 穂積委員は,「解除シテモ 損害賠償 ヲ求メラ ト. ト. レ ス 六フ コトニナツテ ハ不都合テアリマスルカ. ラ第三項 (筆者 註 : 第 543 条 3 項 (現 第 545 条 3 項 )) ニ於テ 損害賠償 / 請求 ヲ妨 ゲストテ フ コ トヲ 殊 更ニ話 シタ / テアリマス 是 ハ専 ニ依ツタ ラハ 或 ハ要 ラナイト六フ 説 モ田ル 力モ知シ マ セヌガ併 シナガラ 御 承知 / 通り既成法典 杯 工船 テモ 然う ハ 解除 ヲ 請求スル力損害賠償 ヲ 請求スル カト云 フヤ ウニ選択 ヲ為 スコ / 出来ル場合材 モ 往々 アルノテアリマス 又 不履行手付 テハ 損害賠償 ヲ 請求スル コトヲ得ト 五フ / ガ一般 / 原則 デ アリ マス 2 等ハ不履行モナイカラ 損害賠償 / 権 モ 々 クナツテ 仕舞ウト五フ 疑ヒモ 起り 得 ル夫 故 二足 ハ 何処ニモアリマス 損害賠償 / 請求権 五フ モ ノハ 成立 シ得 ルモノ テ アルトテプコ ハロ ウモ 明 カニ 書 イテ 置 カナ ケ レハ 往 カナイト 居、 ヒマ ト. ト. ト. ス」と説明している (民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 百十一頁 ). しかし,損害賠償の 内容 には言及していない・ 28) 民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 八十 頁 . 29) 北川教授は,穂積委員の第 541 条 (現行 543 条 ). の「四百十四条. ( 筆者 註 :. 現行 415 条 ) 二八債. 務者 力 債務 / 本旨 二従テ 履行 ヲ為サ ナイトキ 二 於テハ 損害賠償 ヲ 請求スル コトカ 出来ルト五フ 規定ガアリマシテ 失し カラ 失し ニ綾カラ追加ニ ナリマシテ債務者 / 責メ二ニ ス ヘキ 事由二国 テ 履行 ヲ為 スコ トガ 出来 ナ クナッタ場合モ 損害賠 償 ヲ求 ムル コトガ 出来ルト元ウ コトニ ナ ッ タ / デ アリマス 併シ此 債務者 / 帰スヘキ 事由 二因テ. ト. アリマス 此 『履行 セ サルトキ』 ト云フ 文字 ガド ウモ 不能 / 場合 ガ 一寸 含兼 ネル / テアリマス四 百十四条 ヲ 追加敷シマ シタ / モ兵道リテアリマ 、ンテ『 其 本旨 ニ従ヒ サル履行 ヲ為 ササルトキハ』. テプコト 丈ケデハ矢 張り不能 / 場合 ガ 尼ラヌ カラ トテルノ テ後 トカラ不能 / 場合 ヲ あ そこ二 人 レマシタ / テアリマス本案 テ 八五百三十九条 ト同シ 事柄 ヲ 此処 へ当テ マスル 積 リテ本条 ヲ置 ト. ィタノテァ リマス」 (民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 九十五一二十五 / 九十六頁 ) という説 明を引用されている (北川・双掲 (脚注 22) 89 一 90 頁 ).. 30) 梅. ・前掲 (脚注 1). 446 頁,松波仁一郎・仁侠. 亀松 ・仁井田盛太郎『債権 (情由 社 , 1997 年 ) ( 日本立法資料全集 [復刻版 ]) 880 , 886 頁,両 校蓼太郎「 註澤 民法理由 下 (有 斐閣, 1899 年 ) 505 一 507 頁等. 31) コヒ )@l. 前掲 (脚注 22) 91頁. さらに,北川教 」. 』. 授は,民法典の構造上,不完全履行による解除 に 対して大故はない. これは,わが民法が,債 務不履行について ,履行遅滞と履行不能という ドイツ民法的なパラレル 構成をとっていないこ とからも承認できるとする. ドイツ民法におけ る履行遅滞・ 履行不能については , コヒ川善太郎 『契約責任の 研究 一構造 編一 ( オンデマンド 版コ 』. ( 有 斐閣,. 2003 年. ( 初版は. 1963 年 )), 森 Jll 修. 「ドイツ民法典における 不能・遅滞二分法成立 史の再検討」法学協会雑誌第 103 巻 12 号 (1986) 等が論じている. 32) 民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 七十九頁. 33) 民法議事速記録 (脚注 23) 二十五 / 七十九一 二十五 / 八十 頁 .. 34) なお,この後で , ドイツ商法典等が.催告に よる解除を規定していると 説明している.. 35) 梅 ・前掲 (脚注 1) 446 頁以下. 36) 鳩山秀夫に増訂コ 日本債権 法各論. (上巻Ⅱ 1924 年 ) 209 頁.なお, 旧 漢字は常 用漢字に改めた. 37) 石田文次郎『債権 各論」 (早稲田大学出版部, 1958 年 ) 44 頁.なお, 旧 漢字は常用漢字に 改め (岩波書店,. た. 38) 我妻博士は,不完全履行による解除権 発生の 要件として,履行された不完全な給付が 追完を 許す場合と,追完を許さない場合に 分け,前者 は .履行遅滞に準じて催告をなすことを 要し, 後者は履行不能に 準じて催告をなすことを 要し ないとされる. そして,不完全履行とは ,債務.

(14) 104. (246). 横浜国際社会科学研究. 者のした給付が 債務の本旨に 従わない不完全な. 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). ものとは,債務者が改めて,完全な給付をする. 起草者は, 415 条の債務不履行に よ る損害賠償 の要件であ る帰責事由は. 541 条, 543 条の解除 の要件として 理解していたのではないかと 思わ れるにの点,平井教授は , 415 条の原案であ る 409 条について,「民法の 起草当時にどのよう. ことによって 契約の目的を 達し得るものであ り ,追完を許さないものとは,改めて完全な給. に考えられていたかは ,必ずしも明確でないが , 四一五条の原案. , .によれば,「 責 ニ帰 スヘキ 事. ものを意味するとされる.給付が債務の本旨に 従うかどうかは ,契約の趣旨,取引上の 慣行な どによって決せられる.そのうち。追完を許す. 付をしても,契約の 目的を達し得ないものであ るとされている (我妻 栄 『債権各論 上巻 ( 民 法講義 VlJ (岩波書店, 1954 年 ) 174 一 175 頁 ). 39) 我妻・前掲 (脚注 38) 177 頁.なお, 旧 漢字 は常用漢字に 改めた.. 40) 末川博『契約法. (上 ). 』. (岩波書店,. 1964 年 ). 146 一 147 頁,. 41) 星野英一『民法概論Ⅳ. (契約 )J (良書普及会, 1986 年 ) 78 頁. 42) その他.同様の 理解のものとして.遠藤浩 「解除と催告」『契約法体系 1 [契約総論 ]J (有 斐閣, 1862 年 ) 325 頁以下.遠藤浩 (編コ 『民法 V (契約総論Ⅲ (吉林書院, 1997 年 ) 318 頁. 43) 好美 清光「契約の 解除の効力」遠藤浩・ 林良 平・水本 浩 ( 編コ 『現代契約法体系第二巻』 (有 斐閣, 1984 年 ) 179 頁. 44) 好美 ・前掲 (脚注 43) 180 頁. 45) 国連統一売買 法は ,解除の要件を「重大な契. 約 違反」に統一して ,過失を不要としている (49条. 64 条 ). 脚注 9 色参照されたい. 46) わが国において ,履行遅滞による解除に帰責. 由」は債務不履行一般に 必要だと考えられてい たよ う に思われる」と 述べている ( 平井宜雄 『債権総論』 (弘文 覚 , 1985 年 ) 52 頁 )). 47) 辰巳直彦「契約解除と 帰責事由」林良平 = 甲. 斐道太郎. ( 編集代表コ『谷口和平先生追悼論文. 集 2 契約法』 (信 出札, 1993 年 ) 339 頁. 48) 辰巳・前掲 (脚注 47) 339 頁. 49) 潮見任 男 『債権総論』 (情由 社 , 1994 年 ) 261. 頁以下.他に「重大な義務違反」を 論じるもの として,渡辺達徳「「ウィーン 売買条約」 (CISG) における契約違反の 構造」 (商学討究 ( 小樽商科大学 41 巻 4 号 (1991年 ), 山田封皮 子 「契約解除における『重大な 契約違反』と 帰 責事由 ( 一 ) 一 (二 完 ) 民 商法雑誌 11(@巻 2 号, 110 巻 3 号 (1994年 ) があ る.その他に ,磯 コ. 」. ・. 村教授は,解除における帰責事由について ,. 「損害賠償については 債務者の帰責事由を 要件 とすべきであ るとしても,解除の機能が契約の 拘束からの解放にあ るということを 考慮する と ,債務者に帰責事由がない 場合であ っても. 債権 者に解除権 が認められないのは 疑問ではな. 事由が必要とされるのは ,不能の場合に債務者. い だろうか」. の帰責事由が 必要とされていること ,民法第 415 条に基づく損害賠償の 場合も債務者の 過失. 郎二 松本恒雄『債権 39 頁 (磯村 保 執筆 )). が要件と解されること ,契約の解除は債務者に. なお,債権法が改正されたときの 解除のモデ として,統一要件として「重大 な義務違反」が 提案されている. この「重大な 義務違反」とは ,第2 項で「相手方の 義務違反 のために契約の 目的を達成することができなく なる場合を いう もの」であ ると定義されている. 解除の要件として ,帰責事由は不要とされて ぃ る .催告については , 2 項 (a) 号で,当時者 が設定した相当な 期間内に,相手方が 自己の義 務を履行しなかったとき ,「重大な義務違反」 があ ったとみなされる ,として「重大な義務違 反」の一つ ((b) 号が履行不能, (c) 号が信. とって不利益であ り,したがって制裁の意味を もつこと,ということにあるとされる (長尾 治. 助. 『債務不履行の 帰責事由』. (有 斐閣,. 1975 年 ). 39 一 40 頁 ). また,法典調査会において ,現行第415 条の 原案であ る第 409 条は,「債務者 力其 債務 / 本旨 二従ヒ タル履行 ヲ為 ササルトキハ 債権 者ハ具損 害 ヲ 賠償 ヲ 請求スル コトヲ得 旧債務者 / 責 ニ帰 スヘカ ラサルトキハ 北 限二社ラス」と 定めてい た. この但書の趣旨について ,穂積委員は, 「如何ナル原因 ニ依 リマ シテ モ兵不履行トイ ウ モノ ガ 債務者 / 責 ニ帰 スヘカ ラサルトキハ 其損 害 賠償 / 責ヲ生 ジナイト五フモノ ラ 此処ニ床 ク. 断ッタ 」と説明されている げ 法典調査会 民 法議事速記録 三 63 一 64 頁 ). そして,現行民 』. 法典の起草者であ る 梅 博士は,解除と損害賠償 は,いずれも不履行の効果であ るとする.すな わち,第541 条の注釈において ,「本条以下第五 百四十姉条 ニ ノルマ テ ハ不履行 二因 ル解除 ノ一 般 / 条件 ヲ定 メタノ レ モノナリ」とする (梅 ・前. 掲. (肱Ⅱ主 1). 441 頁 ). このことから ,民法典の. ( 藤岡康弘 = 磯村 保 = 浦川道太 各論』 ( 有 斐閣,. 1991 年 ). と 述べている. ル 案 (提案 D). 頼関係破壊の 場合を定める. ). として規定されて. い る (能見義久『債権 改正の課題と 方向 一 民法 100 周年を契機として 一 』別冊 NBL5l 号 (1998 年 ) 133 頁 ). 50) この点について ,森田修教授は,日本民法に. おいて,債務の転 形 述 (脚注 52). (債務虹形. を参照されたい. ). 論は ついては後. に,不能填補賠. 償 のような不履行のみで 生じるものと ,遅滞解 除に伴 う 填補賠償のような 債権 者の意思的な 手 続きの履践によって 生じるものとの 二種類を認.

(15) 上 をと. (247). ドイツにおける 解除制度の発展に 関する考察 (大滝 ). 105. は 催告が論理的に 必要となるとする ( 森田修 「民法541 条催告の規範的要件化と 要件事実論」 、ジュリスト 1158 号 (1999 年 ) 106 一 107 頁 ). 52) 歴史的認識としての 債務 転形論 とは, 19 世紀 ドイツ普通法学において , モム ゼ ノ が損害賠償. 請求権 を履行請求権 と関係づけるのにあ たっ て .「債務の永久化」というローマ 法源の ロジ 、ソク を基礎に,債権の存続の下で 履行請求権 が. と 不 れ 契 り て 該 の 率 る う い 苦 こ 生 場 , 者こ 神 L 汗 ︶ 1 京 令 履 責 ; い て 木 5. 内容を転 形 させたものとして 損害賠償請求権 を 捉えたという 学説史上の一事実を 指してこ う 呼 ぶことができるとする.また ,その他に,規範 的認識としての 債務 転形論 と比較法認識として の債務 転形 論を説明されている (森田修・双掲 (脚注 50). 1038 頁 ).. 53) 森田修教授は ,催告の規範的評価について , 「従来の判例・ 通説のように.解除を 行使しょ うとする債権 者に一律 は つくすべき行為として 何が要求されるかという 視点から問題にされる のではなく,個々の債権 関係ないし不履行後の 両 当事者の具体的な 関係に即して ,債権者に契 約からの離脱を 認めることが 妥当かどうかとい う法的評価として 問題とされる.かくして催告 は行為規範としての 性格にではなく 評価規範と しての性格に 重点を置いた 要件となる.そのよ うな意味で筆者は 催告要件が「規範的要件」化 されるべきだと 考える.」 と述べられている (森田修・双掲 (肱Ⅱ主51) 08 頁 ). 54) 森田修・双掲 (脚注 50) 1048 頁. 55) 判例については ,詳しく論じたい ので,別の 機会に本格的に 論じることにした い .ここでは. Ⅰ. 簡単に賃貸借契約と 履行拒絶に関する 判例を紹 介する. 56) これらの問題に 関する判例分析の 先駆的業績 として,山中康雄「履行遅滞による 解除」『総 合判例研究叢書 民法 (10) (有 斐閣, 1958 年 ) 所収,遠藤・ 前掲 ( 「解除と催告」 ) (脚注 42) 』. があ. る・. 57) 例えば,委任の規定では. 両 当事者がい つ で も 自由に解除することができると る. 定められてい. (651条 ).. 58) 継続的性質を 有する契約について.最近の文 献としては,中田裕康「継続的売買の解消』 (有 斐閣. 1994 年 ) 同 「継続的取引の 研究』 (有 斐閣, 2000 年 ) があ る.. 59) 大判昭和 2 年 4 月 13 日彙報 38 下民法 595 頁. 60) 最判 昭和 27 年 4 月 25 日 民集 6 巻 4 号 451 頁.同様 の判断をしたものとして , 最判 昭和 31 年 6 月 26 日 民集 10 巻 6 号 730 頁, 最判 昭和 38 年 9H 27 日医 案 17 巻 8 号 1069 頁, 最判 昭和 40 年 8 月 2 日展 集 19 巻 6 号 1368 頁, 最判 昭和 49 年 4 月 26 日 民集 28 巻 3 号 467 頁, 最判 昭和 50 年 2 月 20 日 民集 29 巻 2 号 99 頁等があ る. 61) 例えば.借地上の建物増改築禁止特約があ る.

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