〈論説〉特許権侵害訴訟における再審主張制限とその射程--平成23年法改正による特許法第104条の4の創設を契機として
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(2) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 2請 五. 求 棄 却 判 決 確 定 後 の敗 訴 原 告 か らの再 審 主 張((ii)aの. ケ ー ス). 侵 害 訴 訟 の確 定 判 決 の既 判 力 が 問題 とな る領 域 1請. 求 認 容 判 決 確 定 後 に敗 訴 被 告 が提 起 す る請 求 異 議 の訴 え に つ い て. (1)損 害 賠 償 請 求 認 容 の場 合 (2)差 止 請 求 認 容 の場 合 2請 六. 求 棄 却 判 決 確 定 後 に敗 訴 原 告 が提 起 す る再 訴 に つ い て. 一. 残 され た課 題(侵 害 訴 訟 集 中審 理 化 へ の対 応). 本 稿 の 目的. 今 日,特 許 権 者 が特 許 権 侵 害 を理 由 と して差 止 あ又 は損 害 賠 償 を求 め て訴 え を 提 起 す る訴 訟(以. 下,「 侵 害 訴 訟 」 と い う)に お い て,裁 判 所 が 訴 訟 物 の判. 断 の先 決 事 項 と して特 許 の有 効 性 に つ い て審 理 の うえ下 した本 案 判 決 が確 定 し た後 に,特 許 庁 で の審 判 手 続 等(以 下,「 審 判 手 続 ル ー ト」 と い う)に お いて, 先 の判 断 と内容 的 に食 い違 う審 決 が な され確 定 した とき,確 定 判 決 が再 審 の訴 え に よ っ て取 り消 され るべ き か との 問 題 が あ る(民 訴 法338条1項8号. 参 照)。. この 問題 に つ い て は,こ れ ま で議 論 の対 立 が あ った と ころ,平 成23年 の改 正 特 許 法(1)は,同 法104条 の4に お い て,侵 害 訴 訟 の 当事 者 間 で は確 定 判 決 を変 更 で き な い 旨の再 審 事 由主 張制 限 の規 定 を設 け る立 法 の手 当 て を行 った。 そ の改 正 理 由 の 中心 は,侵 害 訴 訟 の判 決 確 定 後 に紛 争 の蒸 し返 しを 防 ぐ必 要 が あ り,紛 争 の コス トを低 減 す る こ とに よ って,特 許 権 の機 動 的 な行 使 を可 能 とす る産 業 界 の要 請 に応 え た もの だ と考 え られ る(2)。 と こ ろ で,従 来,解 釈 論 に お い て,民 訴 法338条1項8号. に い う 「判 決 の基. 礎 とな った … …行 政 処 分 が後 の … …行 政 処 分 に よ り変 更 され た」 とい う文 言 の 該 当性 に つ き,特 許 を無 効 とす る無 効 審 決 及 び特 許 を訂 正 す る訂 正 審 決 に遡 及 効 が あ る とす る特 許 法125条,及. び128条 か ら,該 当性 を否 定 す るの は 困難 で あ 124.
(3) 法科大学院論集. 第9号. る との指 摘 が な され て い た(3)。 今 般 の改 正 作 業 に お い て も,こ の 点 は意 識 され, い った ん は 「審 決 の遡 及 効 の制 限」 とい う こ とが テ ー マ とな った に もか か わ ら ず,結 果 と して,特 許 法125条 お よ び128条 に手 を 加 え られ る こ と は な か った 。 この よ うに,改 正 特 許 法 が,再 審 事 由 とな り う る前 提 の 問題 を残 しつ つ,な ぜ 当事 者 に対 し再 審 主 張 を制 限 で き るの か に つ い て は,こ れ ま で民 訴 法 の観 点 か らの 理 論 的 解 明 が 十 分 にな さ れ て い な い よ うに見 受 け られ る。 本 稿 の 目的 は, 民 訴 法 上 の再 審 の訴 え が許 容 され る根 拠 が既 判 力 を正 当化 す る根 拠 を欠 く と こ ろ に あ る との基 本 的立 場 に基 づ き,改 正 法 下 に お い て,再 審 主 張 が制 限 され る べ き場 合 とは何 か を考 え,ま た今 回 の改 正 法 の趣 旨が侵 害 訴 訟 の確 定 判 決 の既 判 力 が争 わ れ る他 の場 面 へ ど う波 及 す るの か に つ き検 討 す る こ とに あ る。. 二. 問題の整理. は じあ に,今 般 の法 改 正 が何 故 必 要 で あ った の か,そ の 問題 の所 在 を整 理 す る。. 1問. 題 の背 景. 特 許 無 効 判 断手 続 の ダ ブ ル トラ ック と現 状. (1)併 存 す る2つ の手 続 の 関係 わ が 国 で は,侵 害 訴 訟 は,通 常 民 事 訴 訟 手 続 で行 わ れ るの に対 し,特 許 庁 の 行 政 処 分(特 許 法51条)に. 根 拠 を置 く特 許 権 の有 効 性 を争 う手 続 は,審 判 手 続. ル ー トに お い て行 わ れ る。 した が って,侵 害 訴 訟 に お い て特 許 権 の有 効 性 が争 点 とな った と して も,侵 害 訴 訟 の裁 判 所 は,特 許 無 効 の 審 決 が 確 定 しな い限 り, 特 許 が有 効 な もの と して判 断 しな け れ ば な らな い の が本 則 的 な処 理 で あ る。 し か し,実 際 に は,審 判 手 続 ル ー トで の判 断 が,特 許 庁 と東 京 高 裁 の 間 を往 復 し 紛 争 が長 期 化 す る事 態 も珍 し くな い こ とか ら,裁 判 実 務 上 は,侵 害 訴 訟 を 中止 す る こ とな く,さ しあ た り紛 争 当事 者 間 で の早 期 解 決 を 図 るべ き要 請 が高 か っ 125.
(4) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程 た と さ れ る(4)。. (2)キ. ル ビー判 決 の影 響. この よ うな状 況 で,最 高 裁 平 成12年4月11日. 判 決 民 集54巻4号1368頁(キ. ル. ビー特 許 事 件 最 高 裁 判 決),い わ ゆ るキ ル ビー 判 決 は 「特 許 に無 効 理 由 が存 在 す る こ とが 明 らか で,無 効 審 判 請 求 が され た場 合 に は無 効 審 決 の確 定 に よ り当該 特 許 が無 効 と され る こ とが確 実 に予 見 され る場 合 」 に は,特 許 権 に基 づ い て差 止 あ又 は損 害 賠 償 請 求 を す る こ とは,特 段 の事 情 が な い 限 り,権 利 の濫 用 に 当 た り許 され な い とす る理 論 を採 用 した。 この判 決 の法 理 は,そ の後 の裁 判 実 務 に広 く受 け入 れ られ,侵 害 訴 訟 を 中止 す る こ とな く,民 事 訴 訟 手 続 内 で,い わ ば審 判 手 続 ル ー トの結 論 を先 取 り した形 で特 許 権 の実 質 的 な無 効 判 断 が行 わ れ るよ うに な った。. (3)平 成16年 の特 許 法 改 正 この よ うに キ ル ビー判 決 の示 した権 利 濫 用 の法 理 が実 務 に定 着 化 す る流 れ の 中 で,平 成16年 の改 正 特 許 法 は,さ らに この 法 理 を 一 般 則 化 す る規 定 を 設 けた 。 す な わ ち,同 法104条 の3第1項. で は,「 特 許 が特 許 無 効 審 判 に よ り無 効 に され. るべ き もの と認 あ られ る とき」 は,特 許 権 者 は侵 害 訴 訟 の相 手 方 に対 し権 利 行 使 で き な い もの と定 あ た(5)。これ は,明 文 上,裁 判 所 に,特 許 が無 効 に され るべ き か否 か の判 断権 限 を付 与 し,ま た侵 害 訴 訟 の被 告 に は 「特 許 が … …無 効 に さ れ るべ き で あ る」 との抗 弁,い. わ ゆ る 「特 許 無 効 の抗 弁 」 の提 出 が認 め られ る. こ とに な った。. (4)ダ. ブ ル ト ラ ッ ク現 象. こ の よ う に し て,現. 行 法 下 で は,侵. 許 の 有 効 性 を 争 う手 段 が2つ. 害 訴 訟 の 当 事 者 間 に お い て,実. の ル ー トで 認 あ ら れ る,い 126. 質 的 に特. わ ゆ る ダ ブ ル トラ ッ ク.
(5) 法科大学院論集. 第9号. 現 象 が 生 じる に い た った(6)。この ダ ブル トラ ック現 象 は,特 許 無 効 判 断 が2つ の ル ー トで実 質 的 に異 な った場 合 に,そ の2つ の判 断 の矛 盾 を事 後 的 に解 決 す る問題 が生 じた。 仮 に侵 害 訴 訟 の判 決 確 定 後 に,安 易 に再 審 の訴 え を許 容 す る こ とに な れ ば,先 の立 法 の方 向性 とは逆 に紛 争 を長 期 化 させ る こ とに な りか ね な い。 そ こで,こ の場 合 の再 審 の許 容 性 が非 常 に大 き な 問題 とな る(7)。. 2学. 説 お よ び判 例. (1)再 審 の訴 え が 問題 とな る事 例 の整 理 以 下 で は,現 行 法 下 で再 審 の訴 え の可 能 性 が 問題 とな る事 例 を整 理 す る こ と に す る。 こ こで は,簡 単 な モ デ ル ケ ー ス を用 い て説 明 す る。 〔 モ デ ル ケ ー ス〕 特 許 権 者Xは,「. チ タ ン合 金 を用 い る こ とを特 徴 とす るメ ガ. ネ フ レー ム」 を請 求 項 とす る登 録 特 許 に つ い て,Yに. 特 許 権 を侵 害 す る行 為. が あ った と して,差 止 お よ び損 害 賠 償 を求 あ る侵 害 訴 訟 を提 起 した。 この訴 訟 の 中 で,被 告Yか. ら,特 許 法104条 の3に 基 づ き,メ ガ ネ フ レー ム に 「チ. タ ン合 金 を用 い る こ と」 は公 知 の技 術 で あ り,新 規 性 が欠 如 して い る 旨の特 許 無 効 の抗 弁 が提 出 され た。 これ に対 し,原 告Xは,「 チ タ ン とア ル ミを質 量 比1:1の. 割 合 で 含 有 す る チ タ ン合 金 を 用 い る こ とを 特 徴 とす る メ ガ ネ フ. レー ム」 と特 許 を訂 正 す る こ とで,無 効 理 由 を 回避 で き る と考 え た た め,訴 訟 に お い て,特 許 訂 正 審 判 に よ り特 許 が訂 正 され る見 込 み が あ り,か つ,訂 正 後 の特 許 で あ って も,Yに. は侵 害 行 為 が あ る 旨の対 抗 主 張 を行 った。. 再 審 が 問題 とな るの は,以 下 の各 ケ ー ス で あ る(8)。 第1に,侵. 害 訴 訟 で,当 該 特 許 は新 規 性 に欠 け る と ころ は な い と判 断 され請. 求 認 容 判 決 が確 定 した場 合 を(i)とす る。 この うち,そ の後,Yの. 申 し立 て て い. た無 効 審 判 手 続 に お い て特 許 を無 効 とす る 旨の審 決 が下 され確 定 した た め,敗 訴 被 告 で あ るYが 再 審 の 訴 え を提 起 した と い う事 案 を(i)aの 他 方,次. の事 案 を(i)bの. ケ ー ス とす る。 す な わ ち,Xは 127. ケ ー ス とす る。. 侵 害 訴 訟 とは別 に訂.
(6) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 正 審 判 を 申 し立 て て お り,こ の手 続 に お い て 「チ タ ン とア ル ミを質 量 比1:1 の割 合 で含 有 す るチ タ ン合 金 を用 い る こ とを特 徴 とす る」 と請 求 項 を改 め る こ とを認 あ る審 決 が下 され確 定 した。 この特 許 訂 正 は,い わ ば特 許 の権 利 範 囲 の 減 縮 で あ り,訂 正 前 の 特 許 の 権 利 範 囲 の 一 部 を無 効 化 す る も の で あ る。 した が って,単 な るチ タ ン合 金 を用 い た製 品 を製 造 ・販 売 して い たYの 行 為 は特 許 権 侵 害 で は な か った と して,敗 訴 被 告 で あ るYが,請. 求 認 容 判 決 の取 消 を求 め. て再 審 の訴 え を提 起 した とい う事 案 で あ る。 第2に,侵. 害 訴 訟 で,Yの. 特 許 無 効 の抗 弁 が認 あ られ,請 求 棄 却 判 決 が な さ. れ確 定 した場 合 を(ii)と す る。 この うち,次 の事 案 を(ii)aの. ケ ー ス とす る。 す. な わ ち,判 決 確 定 後,訂 正 審 判 手 続 に お い て,特 許 の訂 正 を認 あ る審 決 が下 さ れ確 定 し,訂 正 後 の 内容 の特 許 が登 録 時 に遡 って有 効 とみ な され る こ とに な っ た(特128条)。Yは,訂. 正 後 の特 許 で あ る 「チ タ ン とア ル ミを質 量 比1:1の. 割 合 で含 有 す るチ タ ン合 金 を用 い る こ とを特 徴 とす るメ ガ ネ フ レー ム」 を侵 害 す る行 為 を 当初 か ら行 って い た こ とに な るた あ,敗 訴 原 告Xが,請. 求棄却判決. の取 消 を求 あ て再 審 の訴 え を提 起 した とい う事 案 で あ る。 他 方,Yの. 申 し立 て. て い た無 効 審 判 手 続 に お い て,無 効 理 由 が無 い と判 断 され,無 効 審 判 請 求 不 成 立 の審 決 が下 され確 定 した場 合 が(ii)bの. ケ ー ス で あ る。 この場 合 に は,厳 密. に言 え ば,単 に新 規 性 を欠 く こ とは な い と して請 求 不 成 立 とな るケ ー ス と,Y の特 許 訂 正 が認 あ られ た た あ に,無 効 理 由 が解 消 した ケ ー ス の2つ が想 定 で き るが,後 者 は,(ii)aの 前 者 の例,す. ケ ー ス に準 じて 考 え る こ とが で き る た あ,本 稿 で は,. な わ ち,単 純 にYの 主 張 す る無 効 理 由 が な く,請 求 不 成 立 審 決 が. 下 され確 定 した た め,侵 害 訴 訟 で敗 訴 したXが 再 審 の 訴 え を 提 起 した とい う事 案 を,(ii)bと. (2)学. 分 類 す る。. 説. 従 来 の 学 説 は,こ れ ら の ケ ー ス に お い て,特 許 付 与 処 分 が338条1項8号 128. にい.
(7) 法科大学院論集. 第9号. う 「判 決 の基 礎 とな った … …行 政 処 分 」 とい え るか ど うか に論 争 が あ り,次 の よ うに整 理 す る こ とが で き る。 ま ず,(ii)bの. ケ ー ス に つ い て は,再 審 を肯 定 す る見 解 は皆 無 で あ る。 そ れ. は,こ の ケ ー ス で は,無 効 審 判 請 求 不 成 立 の審 決 が確 定 して も行 政 処 分 で あ る 特 許 査 定 に何 ら変 更 は生 じて お らず,判 決 の基 礎 に変 更 が あ った とは い え な い こ とは誰 もが認 あ る と ころ で あ るた あ で あ る(9)。 ア)そ. こで,(ii)bを. 除 く全 て の ケ ー ス に再 審 事 由 を肯 定 す る,実 体 法 学 者. お よび 実 務 家 か ら支 持 を集 め て い る再 審 事 由肯 定 説 が あ る⑩。 まず,(i)の ケ ー ス に お い て は,特 許 査 定 は請 求 認 容 判 決 の基 礎 とな って お り,こ の判 決 の基 礎 とな っ た行 政 処 分 が 後 に変 更 さ れ た と解 し,こ の場 合 に 再 審 事 由 を肯 定 す る。 つ ぎ に,(ii)aの. ケ ー ス に お い て は,請 求 棄 却 判 決 は発 明 に対 す る特 許 査 定 を. 前 提 と して い る と こ ろ,当 該 特 許 の権 利 範 囲 を 減 縮 す る訂 正 審 決 が確 定 す れ ば,特 許 法128条 に よ って,当 初 か ら訂 正 後 の権 利 範 囲 に よ り特 許 査 定 が され た もの とみ な され るの で あ るか ら,こ れ に よ り判 決 の基 礎 とな って い た行 政 処 分 が後 の行 政 処 分 に よ って変 更 され た と解 す る。 した が って,こ の場 合 も,再 審 事 由 を肯 定 す る。 イ)こ れ に対 して,再 審 事 由全 面 否 定 説 が あ る。 この見 解 に立 つ の は,主 に 民 訴 法 学 者 で あ るqD。菱 田雄 郷 教 授 は,特 許 法104条 の3の 下 で は,侵 害 裁 判 所 は,無 効 審 判 に お け る判 断 を先 取 りす る形 で無 効 理 由 を審 査 す る こ とに な る以 上,侵 害 裁 判 所 が判 決 の基 礎 と して い た の は 「裁 判 」で もな けれ ば 「行 政 処 分 」 で もな い独 自の要 素 で あ って,そ の 当否 が 問題 と され て い る特 許 査 定 自体 を援 用 して判 決 を 出 す こ とは で き な い か ら,民 訴 法338条1項8号. の 「判 決 の基 礎 と. な った」 と は いえ な い とす る⑫。 また,加 波 眞 一 教 授 は,再 審 原 理 の 研 究 の成 果 か ら,338条1項. 各 号 所 定 の 再 審事 由 は,既 判 力 拘 束 力 の正 当化 根 拠 で あ る手. 続 保 障欠 敏 か ら根 拠 づ け られ る こ とを基 本 的立 場 と し,侵 害 訴 訟 の本 案 審 理 で は,判 決 の基 礎 に つ き 当事 者 に対 論 の機 会 が十 分 保 障 され て お り,再 審 事 由 は 129.
(8) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 存 しな い とす る⑬。 ウ)つ づ い て,(i)の ケ ー ス の み再 審 事 由 を肯 定 す る部 分 肯 定 説 が あ り,改 正 前 の多 数 説 で あ る と思 わ れ る。 この見 解 は,(i)の ケ ー ス に お い て は先 の肯 定 説 が述 べ る と こ ろ と 同 じで あ るが,(ii)のケ ー ス で は否 定 す る⑭。 そ の 代 表 的 な論 拠 と して,(ii)の ケ ー ス に あ っ て は,「 判 決 の基 礎 とな る行 政 処 分 」 と は特 許 番 号 に よ り特 定 され る特 許 登 録 を指 す か ら,訂 正 審 決 に よ って も 「行 政 処 分 」 自 体 に 変 更 は な い とす る,実 務 家 に よ る指 摘 が あ る⑮。 ま た,理 論 構 成 は異 な る が,同 様 の結 論 を支 持 す る笠 井 正 俊 教 授 の見 解 が あ る。 す な わ ち,侵 害 訴 訟 の 請 求 認 容 判 決 は,① 当該 特 許 権 は有 効 に存 在 し,か つ,② 特 許 無 効 の抗 弁 事 由 も認 あ られ な い こ とを根 拠 とす る もの と分 析 で き,こ の うち 「特 許 権 の有 効 な 存 在 」 が請 求 認 容 判 決 の 「基 礎 とな った」 と解 す べ き で あ る。 そ して,こ れ が 無 効 審 決 確 定 に よ って 変 更 が あ っ た とす る⑯。 こ れ に対 し,請 求 棄 却 判 決 は, ① 訂 正 前 の特 許 権 が有 効 に存 在 し,し か し,② そ の特 許 権 に つ い て特 許 無 効 の 抗 弁 事 由 が認 あ られ る こ とに根 拠 が あ る と考 え,侵 害 訴 訟 で考 慮 され な か った 訂 正 が審 判 で認 あ られ訂 正 審 決 が確 定 して も,先 の2要 件 を覆 す もの で は な い とす る もの で あ るq7)。 エ)さ. らに,裁 判 官 を 中心 と して,肯 定 説 の論 拠 に一 定 の理 解 を示 しな が ら. も,結 論 と して再 審 を認 あ る場 合 を大 き く制 限 す る再 審 事 由制 限説 と呼 ぶ べ き 見 解 が主 張 され て い る。 す な わ ち,再 審 の訴 え につ き,338条1項. 但 書 に よ る再. 審 の補 充 性 の趣 旨を類 推 適 用 し,再 審 を 求 あ る こ とを 制 限 す る見解 ⑱ や,再 審 の訴 え が訴 訟 上 の信 義 則 に反 す る場 合 に認 あ られ な い とす る見解 ⑲ が そ れ で あ る。. (3)判 例 お よ び裁 判 例 ダ ブ ル トラ ッ ク現 象 が生 ま れ た契 機 と もい うべ き キ ル ビー判 決 以 降,侵 害 訴 訟 の確 定 判 決 に つ き再 審 が 問題 とな った先 例 と して,次 の2件 が あ る。 130.
(9) 法科大学院論集. ま ず,(i)aの. 第9号. ケ ー ス に分 類 され る裁 判 例 と して,知 財 高 裁 平 成20年7月14. 日判 決 判 時2050号137頁(生 海 苔 の異 物 分 離 除去 装 置 事 件 判 決)が あ る。 事 案 は, 特 許 権 者XがYに. 対 し侵 害 訴 訟 を提 起 し,Yか. ら,キ ル ビー判 決 の法 理 に よ る. 権 利 濫 用 の抗 弁 が提 出 され た もの の,抗 弁 が 認 め られ ず,請 求 認 容 判 決 が 確 定 。 そ の後,Yの. 申 し立 て た無 効 審 判 に お い て,無 効 審 決 が確 定 した た あ,Yが. 再. 審 の訴 え を提 起 した とい う もの で あ る。 知 財 高 裁 は,権 利 濫 用 の抗 弁 に よ り判 断 され るの は特 許 の無 効 理 由 の存 在 の 明 白性 で あ り,特 許 の有 効 性 に つ い て判 断 した もの とは い え な い か ら無 効 主 張 の繰 り返 し とは い え な い こ とを主 な理 由 と して,再 審 の訴 え を肯 定 した。 た だ し,本 件 は,Yが 効 理 由(記 載 不 備)と,後. 侵 害 訴 訟 で主 張 した無. の無 効 審 判 で認 あ られ た無 効 理 由(進 歩 性 欠 如)と. が異 な って い る とい う事 案 の特 殊 性 が存 在 す る。 次 に,(ii)aの. ケ ー ス に分 類 され る最 高 裁 判 例 と して,最 高 裁 平 成20年4月. 24日 判 決 民 集62巻5号1262頁(ナ は,特 許 権 者XがYに. イ フ加 工 装 置 事 件 最 高 裁 判 決)が. 対 し侵 害 訴 訟 を提 起 した と ころ,Yか. あ る。 事 案. ら提 出 され た特 許. 無 効 の抗 弁 を容 れ請 求 を棄 却 した原 判 決 に対 しXが 上 告 した事 件 に お い て,上 告 理 由 と して再 審 事 由 が主 張 され た とい う もの で あ る。 この事 件 で は,上 告 審 係 属 中,Xの. 申 し立 て た訂 正 審 判 請 求 が認 あ られ,特 許 を有 効 とす る訂 正 審 決. が確 定 した こ とが再 審 事 由 に 当 た るか が 問題 と され た。 最 高 裁 は,「 民 訴 法338 条1項8号. 所 定 の再 審 事 由 が存 す る もの と解 され る余 地 が あ る」と しな が らも,. 別 の理 由 か ら(特 許 法104条 の3第2項. の 趣 旨 に照 ら し),Xの. 主 張 を認 めず 上. 告 を棄 却 した。 この よ うに,学 説 上 は対 立 が あ った再 審 の許 容 性 に つ い て,裁 判 実 務 に お い て,肯 定 的 な判 決 が相 次 い で表 れ た こ とが,紛 争 解 決 の長 期 化 を避 け る何 らか の立 法 の必 要 性 を認 識 させ る こ とに な った もの と考 え られ る。. 131.
(10) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 3改. 正 特 許 法104条 の4の 概 要. 立 法 過 程 に お い て は,先 例 とな った2つ の判 決 が示 す判 断 とは逆 に,訴 訟 当 事 者 との 関係 で は,い. った ん確 定 した判 決 を覆 す再 審 の訴 え は制 限 され るべ き. で あ る とい う基 本 的 な方 向性 の下,議 論 が進 あ られ た。 この 中 で,冒 頭 に指 摘 した,「 確 定 審 決 の 遡 及 効 の 制 限」 とい う こ と もテ ー マ と して 挙 げ られ た が, 確 定 審 決 の 遡 及 効 を 一 般 的 に制 限 す る こ とに は産 業 界 か ら反 対 意 見 が 根 強 く あ った⑫ ① 。 そ こで,特 許 法125条,128条. に修 正 を加 え る の で な く,当 該 侵 害 訴 訟. の 当事 者 間 限 りで審 決 の効 果 を否 定 す る とい う,確 定 審 決 の遡 及 効 の範 囲 を絞 る検 討 が 重 ね られ た⑳。 そ こで,検 討 の 結 果,判 決 が確 定 した 侵 害 訴 訟 の 当事 者 に は再 審 事 由 と して,一 定 の事 由 を主 張 す る こ とが で き な い とす る新 た な条 文(特 許 法104条 の4)を. 加 え る こ とで 決 着 が つ いた ⑳。. 新 設 され た法 規 は,前 述 した学 説 上 の多 数 説 で考 え られ て い た,請 求 認 容 判 決 確 定 後 の(i)のケ ー ス の み再 審 の訴 え を制 限 す る とい う立 場 で は な く,お お む ね基 本 的 に は,先 に整 理 した い ず れ の場 合 に つ い て も,当 事 者 か らの再 審 の訴 え を制 限 しよ う と した もの だ と見 受 け られ る。 この理 由 に つ い て は,必 ず し も 立 法 資 料 か ら明 らか で は な い が,本 改 正 は従 来 の解 釈 論 上 の論 争 に決 着 を つ け る こ とが 目的 で は な く,請 求 棄 却 判 決 確 定 後 の(ii)の ケ ー ス を法 の適 用 外 にす る こ とに よ る解 釈 論 上 の混 乱 を避 け るた あ,再 審 が考 え られ得 るす べ て の事 案 に つ い て い わ ば大 き く網 を か け た もの と考 え られ る。 特 許 法104条 の4の 内 容 は以 下 の とお りで あ る。 ま ず,改 正 特 許 法104条 の4第1号. は,前 記(i)aの. ケ ー ス につ いて,請 求 認. 容 の判 決 確 定 後 に,敗 訴 被 告 は 「当該 特 許 を無 効 に す べ き 旨の審 決 」 が確 定 し た こ とを再 審 の訴 え に お い て主 張 で き な い とす る。 次 に,同 条 第3号. は,確 定 判 決 を受 け た侵 害 訴 訟 の 当事 者 は,「訂 正 す べ き 旨. の審 決 」 の確 定 もま た再 審 の訴 え に お い て主 張 で き な い と して い る。 この 「訂 正 す べ き 旨の審 決 」の意 味 は2つ あ り,詳 細 は政 令 事 項 とな って い る㈱。 特 許 法 132.
(11) 法科大学院論集. 第9号. 施 行 令13条 の4第1号. は,前 記(i)bの. ケ ー ス に つ い て定 あ た もの で あ る。 こ. れ に対 し,同 条 第2号. は,前 記(ii)aの. ケ ー ス に つ い て定 あ た もの で あ る。 今. 回 の改 正 法 で は,(ii)bの. ケ ー ス に つ い て は態 度 を 明 らか に して い な い。 しか. し,こ れ ま で の学 説 状 況 に鑑 み れ ば,そ. もそ も再 審 事 由 が 問題 とな らな い場 面. に つ い て あ え て規 定 を置 か な か った もの と考 え られ る。 した が って,こ の ケ ー ス に お い て は,民 訴 法338条1項8号. の 一 般 則 が 適 用 され な い との理 由 で,再 審. 事 由 が否 定 され る と解 され る。 す る と,解 釈 論 上 の争 い の余 地 が残 され て い るの は,文 理 上,不. 明確 な ケ ー. ス,お よ び 除外 され た ケ ー ス で あ る。 これ を 「疑 問」 と して列 挙 す る と以 下 の とお りで あ る。 疑 問①. 改 正 法 は,再 審 を 申 し立 て る原 因 とな った訂 正 審 決 に つ い て は,当. 該 訴 訟 で立 証 さ れ た 事 実 を 根 拠 と して い る か 否 か に よ り区別 して い るの に対 し,無 効 審 決 につ い て は 何 らの 区別 な く 「当 該 特 許 を無 効 にす べ き 旨 の 審 決 」 とす る。 訴 訟 で立 証 され た事 実 に基 づ く無 効 理 由以 外 の無 効 理 由 に よ り後 に無 効 とな った場 合 に つ い て は,ど 疑 問②(i)bの. う解 す べ き な の か。. ケ ー ス に つ い て,敗 訴 被 告 は 「当該 訂 正 が 当該 訴 訟 に お い. て立 証 され た事 実 自体 を根 拠 と して 当該 特 許 が特 許 無 効 審 判 に よ り無 効 に され な い よ うに す るた あ に行 わ れ る審 決 」 が確 定 した こ とを再 審 の訴 え に お い て主 張 で き るの か。 疑 問③(ii)aの. ケ ー ス に つ い て,敗 訴 原 告 は 「当該 訂 正 が 当該 訴 訟 等 に お. い て立 証 され た事 実 以 外 の事 実 を根 拠 と して 当該 特 許 が特 許 無 効 審 判 に よ り無 効 に され な い よ うに す るた あ に行 わ れ る審 決 」 が確 定 した こ とを再 審 の訴 え に お い て主 張 で き るの か。 以 上 の3点 で あ る。 これ らの 疑 問 を検 討 す る に 当 り,改 正 特 許 法104条 の4が 設 け られ た 根 拠 に 遡 る こ とが不 可 欠 で あ るの で,以 下 に論 じ る。 133.
(12) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 三. 侵害訴訟における再審主張制限の根拠論. 1再. 審 事 由 の根 拠. そ もそ も,改 正 特 許 法 が,審 決 の遡 及 効 を一 般 的 に制 限 せ ず して,な ぜ 当事 者 に対 し再 審 主 張 を制 限 で き る と した の か は,民 訴 法 上 の再 審 事 由 の根 拠 論 に 立 ち返 る必 要 が あ る。 再 審 の訴 え とは,確 定 判 決 に対 して,そ の 訴 訟 手 続 に重 大 な 暇 疵 が あ る こ と, ま た は そ の判 決 の基 礎 に異 常 な欠 陥 が あ る こ とを理 由 と して,当 該 確 定 判 決 を 取 り消 して事 件 の再 審 判 を求 あ る非 常 の不 服 申立 て方 法 の こ とで あ り,そ の よ うな 手 段 が 認 め られ た の は,伝 統 的 に は,確 定 判 決 に よ る法 的 安 定 性 に 対 し, 適 正 裁 判 へ の 無 限 の 要 請 を 確 保 した もの で あ る と説 明 さ れ る⑳。 しか しな が ら,再 審 事 由 が認 あ られ れ ば,一 度 確 定 した判 決 の本 案 に つ い て再 度 の審 理 が 可 能 とな る根 拠 は,手 続 的暇 疵 の重 大 性 の ほ か に,確 定 判 決 の効 力 との 関係 で 説 明 す る必 要 が あ る こ とが,近 時 の,再 審 原 理 の研 究 に よ って 明 らか とな って い る㈱。 す な わ ち,確 定 判 決 の既 判 力 を 打 破 し,本 案 の再 審 理 が 可 能 と な る根 拠 は,既 判 力 の 当事 者 に対 す る拘 束 力 を正 当化 す る根 拠 を欠 く と ころ に求 め ら れ るべ き で あ る。338条1項. 各 号 全 て が こ の再 審 事 由の 根 拠 論 で 説 明 が つ け ら. れ るか ど うか は,未 だ議 論 が あ り う る と ころ だ と して も,少 な く と も,民 訴 法 338条1項8号. に関 して は,重 大 な 手 続 的 蝦 疵 の場 合 を 列 挙 した 事 由で あ る と. と もに,当 事 者 に 当該 行 政 処 分 の変 更 の可 能 性 に つ き弁 論 の機 会 が保 障 され な い等 の,既 判 力 を及 ぼ す正 当化 根 拠 に欠 け る場 合 と して列 挙 され た もの で あ る と位 置 づ け る こ とが で き る。. 2特. 許 法104条 の4の 趣 旨. 今 般 の改 正 特 許 法104条 の4は,. 民 訴 法 上 の 再 審 事 由の 根 拠 論 を ふ まえ,338 134.
(13) 法科大学院論集. 条1項8号. 第9号. に該 当 しな い具 体 的場 合 を 列 挙 した もの と理 解 で き る。 す な わ ち,. わ が 国 の 侵 害 訴 訟 の 審 理 に お い て は,キ ル ビー判 決 の 法 理 お よ び特 許 法104条 の3の 立 法 に よ り,侵 害 訴 訟 で特 許 の有 効 性 に つ い て争 う こ とを可 能 とす る手 続 に制 度 的転 換 が な され た。 そ の結 果,被 告 側 は特 許 無 効 の抗 弁 を提 出す る機 会 が,原 告 側 は こ れ に 対 抗 す る攻 撃 防 御 の 機 会 が 与 え られ た こ と に な るた め, い わ ば必 然 の余 波 と して,た. とえ後 の審 判 手 続 に よ って逆 の結 論 を得 た と して. も,い った ん確 定 した判 決 に つ い て再 審 理 の 申立 て を制 限 して も既 判 力 の正 当 化 根 拠 を欠 く とは い え な い と した もの で あ る と考 え られ る。 した が って,こ の よ うな再 審 主 張制 限 は,広. く行 政 処 分 を判 決 の基 礎 とす る. 事 件 一 般 に あ て は ま る制 度 で は な く,あ くま で特 許 法104条 の3が 適 用 さ れ る 侵 害 訴 訟 の み に 限定 して考 え られ るべ き で あ る⑳。. 四. 再審主張制限の検討. 以 上 を ふ ま え,本 稿 で検 討 す べ き 問題 は,当 事 者 に再 審 主 張制 限 とい うペ ナ ル テ ィを課 す前 提 と して の手 続 保 障 を考 え た とき,主 張 が制 限 され る無 効 理 由 又 は訂 正 理 由 は,当 事 者 が訴 訟 の基 準 時 ま で に現 に主 張立 証 を して い た か否 か に よ り取 り扱 い を異 に す るの か,と い う問題 で あ る。. 1請. 求 認 容 判 決 確 定 後 の敗 訴 被 告 か らの再 審 主 張((i)の ケ ー ス). ま ず,(i)aの. カ テ ゴ リに属 す る,請 求 認 容 判 決 確 定 後 の敗 訴 被 告 か らの再. 審 主 張 の場 合 の疑 問① に つ い て考 え る。 例 え ば,侵 害 訴 訟 で主 張 され た無 効 理 由 と,無 効 審 決 で 認 め られ た無 効 理 由 とが 異 な っ て い る ケ ー ス を想 定 した と き,立 場 に よ って は,侵 害 訴 訟 に お い て 当 事 者 に手 続 機 会 が保 障 さ れ て い な か った との解 釈 も成 り立 ち,例 外 的 に再 審 が認 あ られ る可 能 性 が あ る。 改 正 法 は,い か な る立 場 に立 って規 定 され た もの と考 え るべ き か。 135.
(14) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. この点 に つ い て は,特 許 法104条 の3に よ って,訴 訟 当事 者 が訴 訟 で争 う こ と が で き る内容 と対 応 させ て解 釈 す る こ とが必 要 で あ る。 同条 の 「特 許 が … …無 効 に され るべ き もの と認 あ られ る」 た あ の主 張 とは,特 許 が審 判 手 続 で無 効 と 判 断 され るの に必 要 な個 々 の無 効 理 由 が あ る こ と,す な わ ち,具 体 的 に は,特 許 の積 極 的有 効 要 件 で あ る,産 業 上 の利 用 可 能 性,新 規 性,進 歩 性 等 が欠 如 し て い る こ と,お よ び特 許 請 求 の 際 の記 載 不 備 等 が主 な 内容 と考 え られ る。 これ らの要 件 は,す べ て特 許 出願 時 に存 在 して い な け れ ば な らな い こ とか ら,侵 害 訴 訟 に お い て は,す べ て基 準 時以 前 の事 情 とい うべ き で あ る。 例 え ば,前 述 の 生 海 苔 の異 物 分 離 除去 装 置 事 件 に お い て は,侵 害 訴 訟 で特 許 出願 の記 載 不 備 が 主 張 され退 け られ た後,無 効 審 決 に お い て,進 歩 性 の欠 如 が無 効 理 由 と して認 あ られ た が,こ の進 歩 性 に 関 す る事 実 は基 準 時前 の事 情 で あ るか ら,当 事 者 に 攻 撃 防御 の機 会 が与 え られ て い た は ず で あ る。 した が って,先 に述 べ た改 正 法 の趣 旨に照 らせ ば,原 則 と して,特 許 法104条 の4第1号. に よ り,侵 害 訴 訟 で主. 張立 証 を して い た無 効 理 由 で あ るか ど うか を 問 わ ず,再 審 を求 あ る こ とは許 さ れ な い こ とに な る と考 え られ る。 も っ と も,特 許 の 無 効 理 由 に は,特 許 法123条1項7号 に 外 国 人 の 権 利 の 享 有 が認 め られ な くな っ た とき や,そ. の よ う に,特 許 付 与 後 の特 許 が 条 約 違 反 と. な った とき も含 ま れ る。 例 え ば,基 準 時後 に この よ うな特 別 の無 効 理 由 に よ っ て無 効 とな った とき に,再 審 主 張 は例 外 的 に認 あ られ るだ ろ うか。 しか し,こ の場 合 に特 許 無 効 の効 力 は,特 許 法125条 但 書 に よ り,遡 及 効 で は な く将 来 効 と な る と解 す る こ とが で き る。 した が って,こ は,民 訴 法338条1項8号. の よ う な 特 別 の無 効 理 由 の 場 合. に い う 「判 決 の 基 礎 とな った 行 政 処 分 が 変 更 され た 」. こ とに は な らず,結 局,再 審 事 由 は存 在 しな い こ とに な る。 つ ぎ に,(i)bの. カ テ ゴ リに 属 す る,疑 問 ② を 検 討 す る⑳。 そ の 前 提 と して,. 特 許 法 施 行 令13条 の4第1号. に よ って本 来 的 に再 審 主 張 が制 限 され る場 合,す. な わ ち,侵 害 訴 訟 で争 わ れ た事 実 以 外 の事 実 を根 拠 と して,無 効 理 由 を 回避 す 136.
(15) 法科大学院論集. 第9号. る訂 正 審 決 が確 定 した後,敗 訴 被 告 が この確 定 審 決 を再 審 の訴 え に お い て主 張 で き な い とは,ど の よ うな意 味 か。 例 え ば,次 の よ うな例 だ と考 え られ る。 モ デ ル ケ ー ス の例 で い う と,侵 害 訴 訟 で新 規 性 欠 如 の無 効 理 由 の存 否 が争 わ れ た た あ,侵 害 訴 訟 の原 告 は 「チ タ ン とア ル ミを 質 量 比1:1の. 割 合 で含 有 す る」. と特 許 を訂 正 す る こ とで,無 効 理 由 を 回避 で き る と考 え,裁 判 所 で この主 張 が 認 あ られ,原 告 勝 訴 とな った。 しか し,実 は,軽 量 化 の た あ に ア ル ミを混 合 さ せ る こ とは 当業 者 か らは容 易 に想 到 で き る,つ ま り,進 歩 性 が な い と して,今 後,無 効 とな る可 能 性 が あ った た あ,原 告 は勝 訴 した もの の,改 あ て 「チ タ ン と非 熱 処 理 して用 い るア ル ミを質 量 比1:1の. 割 合 で含 有 す る」 と請 求 項 を改. あ る訂 正 審 判 を 申立 て,こ れ を認 あ る訂 正 審 決 が確 定 した。 そ こで,敗 訴 被 告 が,侵 害 訴 訟 で は,進 歩 性 の 有 無 につ いて 審 理 を 行 って いな い と い う理 由か ら, 当該 確 定 審 決 に基 づ き,再 審 を 申 し立 て る こ とは許 され な い と した もの で あ る と考 え られ る。 この よ うな立 法 を した理 由 は,前 述 の とお り,特 許 法104条 の4 が 当事 者 の手 続 保 障 に根 拠 を置 く規 定 で あ って,基 準 時以 前 に存 した事 情 に つ い て は,実 際 に訴 訟 で主 張 した か否 か を 問 わ ず,再 審 を求 あ る こ とは許 され な い と した もの だ と解 され る。 これ を ふ ま え,疑 問②,す. な わ ち侵 害 訴 訟 の勝 訴 原 告 が,侵 害 訴 訟 に お い て. 主 張立 証 した事 実 自体 を根 拠 と して特 許 無 効 を 回避 す る訂 正 審 決 を得 た後,敗 訴 被 告 は,こ の確 定 審 決 を再 審 の訴 え に お い て主 張 で き るか否 か検 討 す る。 例 え ば,先 の例 で は,訴 訟 で 問 題 とな る無 効 理 由 は新 規 性 欠 如 の 点 に尽 きて お り, 勝 訴 原 告 が,侵 害 訴 訟 で主 張 した とお りの訂 正 審 判 を 申立 て,審 判 で これ が認 あ られ た例 を考 え る こ とに な る。 この場 合 に は,当 事 者 は,侵 害 訴 訟 に お い て 現 に主 張立 証 を尽 く して お り,侵 害 裁 判 所 の判 断 は,い わ ば訂 正 審 決 の先 取 り 的 な 判 断 で あ った と い え,判 決 の 内 容 も実 体 的 な 権 利 関 係 と符 合 す る。 した が って,直 接 の定 め はな い が,特 許 法104条 の4の 趣 旨 に よ り,当 然 に,敗 訴 被 告 の再 審 主 張 は制 限 され る こ とに な る と考 え られ る。 137.
(16) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 2請. 求 棄 却 判 決 確 定 後 の敗 訴 原 告 か らの再 審 主 張((iDaの. つ ぎ に,(ii)aの. ケ ー ス). カ テ ゴ リに 属 す る,疑 問 ③ を 検 討 す る⑱。 そ の 前 提 と して,. 特 許 法 施 行 令13条 の4第2号. に よ って本 来 的 に再 審 主 張 が制 限 され る場 合,す. な わ ち,侵 害 訴 訟 で争 わ れ た事 実 そ の もの を根 拠 と して,無 効 理 由 を 回避 す る 訂 正 審 決 が確 定 した後,敗 訴 原 告 が この確 定 審 決 を再 審 の訴 え に お い て主 張 で き な い とは,ど の よ うな意 味 か。 例 え ば,モ デ ル ケ ー ス の例 で い う と,侵 害 訴 訟 で新 規 性 欠 如 の無 効 理 由 の存 否 が争 わ れ た た あ,侵 害 訴 訟 の原 告 は 「チ タ ン とア ル ミを質 量 比1:1の. 割 合 で含 有 す る」 と特 許 を訂 正 す る 旨の主 張 を行 っ. た。 しか し,結 局,原 告 の特 許 訂 正 の主 張 は認 あ られ る こ とは な く,原 告 敗 訴 とな った。 しか し,そ の後,同 様 の主 旨の訂 正 審 判 に お い て,原 告 の訂 正 を認 あ る審 決 の確 定 に よ り特 許 は有 効 とな った。 この場 合 に,敗 訴 原 告 が,当 該 確 定 審 決 に基 づ き,再 審 を 申 し立 て る こ とは許 され な い と した もの で あ る と考 え られ る。 この場 合,先. の(i)bの. 例 と異 な り,司 法 機 関 た る裁 判 所 と行 政 機 関. た る特 許 庁 が,同 一 の事 実 に基 づ い て判 断 した が,司 法 と行 政 の判 断 が異 な っ て い た とい うケ ー ス で あ る。 この ケ ー ス で は,対 世 的 に は有 効 で あ る特 許 を裁 判 所 が無 効 で あ る と判 断 した訳 だ か ら,再 審 理 の必 要 性 は最 も高 い もの とい え る。 しか し,改 正 法 は,こ の よ うな場 合 に も,侵 害 訴 訟 の 当事 者 に は手 続 保 障 が与 え られ て い た と して,確 定 判 決 を取 り消 す こ とは許 され な い と した もの で あ る と解 され る。 これ を ふ ま え,疑 問③,す. な わ ち侵 害 訴 訟 の敗 訴 原 告 が,請 求 棄 却 判 決 確 定. 後,侵 害 訴 訟 で主 張立 証 した事 実 以 外 に,無 効 理 由 を 回避 す るた あ の特 許 訂 正 の根 拠 事 実 が存 在 した と して得 た訂 正 審 決 の確 定 を再 審 の訴 え に お い て主 張 で き るか否 か を検 討 す る。 例 え ば,モ デ ル ケ ー ス の例 で い う と,侵 害 訴 訟 で新 規 性 欠 如 の無 効 理 由 の存 否 が争 わ れ た た あ,侵 害 訴 訟 の原 告 は 「チ タ ン とア ル ミ を質 量 比1:1の. 割 合 で含 有 す る」 と特 許 を訂 正 す る 旨の主 張 を行 った。 しか. し,結 局,新 規 性 は あ るが,進 歩 性 に欠 け る と して,原 告 の特 許 訂 正 の主 張 は 138.
(17) 法科大学院論集. 第9号. 認 あ られ ず,原 告 敗 訴 とな った。 しか し,そ の後,敗 訴 原 告 は 「非 熱 処 理 して 用 い るア ル ミを含 有 す る」 と請 求 項 を改 あ る訂 正 審 判 を 申立 て,こ れ が認 め ら れ た とす る。 この場 合 に,敗 訴 原 告 が,当 該 確 定 審 決 に基 づ き,有 効 な特 許 が 登 録 の 時 に遡 って存 在 して い た こ とを主 張 し,再 審 を 申 し立 て る こ とは で き る か。 この場 合 の侵 害 裁 判 所 は,敗 訴 原 告 が後 で持 ち 出 した請 求 項 の 内容 に つ い て は,審 理 で き ず に,進 歩 性 な し と判 断 した と考 え られ,仮 に,審 判 手 続 で認 あ られ た請 求 項 に基 づ き審 理 して い た とす るな らば,逆 の結 論 に い た った可 能 性 が あ る。 この よ うに,侵 害 訴 訟 で十 分 に事 実 が 出尽 く して い な か った点 に お い て,先 の特 許 法 施 行 令13条 の4第1号. が想 定 して い た事 案 との共 通 性 が み ら. れ る。 しか し,こ の場 合 も,侵 害 訴 訟 で原 告 が主 張 しな か った訂 正 を基 礎 づ け る事 実 は,基 準 時前 に存 して い た と解 され る以 上,直 接 の規 定 は な い が,特 許 法104条 の4の 趣 旨か ら,敗 訴 原 告 は 新 た な再 審 の 主 張 が で き な くな る もの と 考 え られ る。. 五. 侵害訴訟の確定判決 の既判力が問題 となる領域. 以 上 に検 討 した よ うに,改 正 特 許 法104条 の4の 趣 旨は,既 判 力 の正 当化 根 拠 と して 当事 者 の手 続 保 障 を欠 く もの で は な い場 合 に は,再 審 理 を許 さな い とす る もの で あ る。 と ころ で,別 訴 を提 起 した場 合 に,侵 害 訴 訟 の確 定 判 決 の既 判 力 が及 ぶ か否 か との 問題 は,再 審 の 問題 とい わ ば表 裏 を な す もの とい え る。 そ こで,以 下 の各 場 面 に お い て も,特 許 法104条 の4の 趣 旨を考 慮 に入 れ るべ き か 順 に検 討 した い。. 1請. 求 認 容 判 決 確 定 後 に敗 訴 被 告 が 提 起 す る請 求 異 議 の訴 え に つ い て. (1)損 害 賠 償 請 求 認 容 の場 合 特 許 権 者 が損 害 賠 償 を命 じ る確 定 判 決 を債 務 名 義 と して強 制 執 行 に及 ん だ場 139.
(18) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 合,敗 訴 被 告 た る執 行 債 務 者 は,無 効 審 決 ま た は訂 正 審 決 の確 定 を異 議 事 由 と して請 求 異 議 の訴 え を提 起 す る こ とが考 え られ る。 問題 は,時 間 的 に は無 効 審 決 ま た は訂 正 審 決 は基 準 時後 に確 定 して い るた あ,当 該 訴 え は民 執 法35条2項 の異 議 事 由 の主 張制 限 に触 れ るか に あ る。 この点,無 効 審 決 に つ い て は,無 効 審 決 の確 定 が新 た な実 体 法 上 の権 利 変 動 を生 じ させ る もの とは考 え に くい こ とか ら,無 効 審 決 の確 定 を前 訴 基 準 時後 の 事 情 と解 す る の は 困 難 で あ る と解 され る。 これ に対 し,訂 正 審 決 に つ い て は, 訂 正 原 因 とな る根 拠 事 実 は基 準 時前 の事 情 で あ るが,訂 正 審 決 の確 定 に よ って 無 効 理 由が 解 消 し,新 た に有 効 な特 許 に 生 まれ 変 わ った と考 え る余 地 が あ る。 そ こで,取 消 しや解 除 等 の 形 成 権 が行 使 され た時 と同様 の 状 況 が あ る と して, 前 訴 基 準 時後 に形 成 権 が行 使 され た場 合 の民 訴 法 上 の解 釈 論 の導 入 を試 み る立 場 もあ りう る㈲。 しか し,訂 正 を認 め る審 決 は,無 効 な特 許 を 有 効 に変 更 す る とい う意 味 で の法 律 関係 の変 動 を もた らす形 成 的 な行 政 処 分 で は な い た め,基 準 時後 の形 成 権 行 使 と並 列 的 に論 じ る こ とは で き な い と考 え る。 以 上 か ら,損 害 賠 償 を命 じ る請 求 認 容 判 決 確 定 後 の敗 訴 被 告 の請 求 異 議 の訴 え は否 定 す べ き こ とに な るが,こ れ は,先 に検 討 した よ うに,改 正 特 許 法104条 の4が 基 準 時以 前 の無 効 お よ び訂 正 の原 因事 実 を主 張 しえ た か否 か を 問 わ ず,一 律 再 審 事 由 と して の主 張 を制 限 して い るの と適 合 的 な解 釈 で あ る。 しか し,こ の よ うに後 で特 許 権 侵 害 が無 か った こ とが 明 らか に な った場 合 に も,執 行 債 務 者 は,執 行 を甘 受 しな け れ ば な らな い の か ど うか は,結 論 の妥 当 性 と して 疑 問 が あ り う る と こ ろ で あ る。 しか し,こ の場 合 の 請 求 認 容 判 決 は, 侵 害 訴 訟 の基 準 時 に お け る,原 告 の被 告 に対 す る損 害 賠 償 請 求 権 の存 在 を確 定 した もの で あ り,執 行 方 法 と して の金 銭 執 行 も この範 囲 に留 ま るた あ,こ の よ うな執 行 も不 当執 行 に 当 た らな い もの と考 え る⑳。. 140.
(19) 法科大学院論集. 第9号. (2)差 止 請 求 認 容 の場 合 差 止 請 求 認 容 判 決 を 債 務 名 義 とす る強 制 執 行 は,不 作 為 義 務 の執 行 で あ り, 具 体 的 に は 間接 強 制 の方 法 に よ るほ か(民 執 法172条),侵. 害 物 件 の 回収 や侵 害. 物 件 を 組 成 す る 装 置 の 除 去 等 を 命 ず る代 替 執 行 の 方 法 に よ る(民 執 法171条1 項,民 法414条3項)。. この とき,敗 訴 被 告 で あ る執 行 債 務 者 は,特 許 無 効 を理. 由 に執 行 を 阻止 す るた あ,請 求 異 議 の訴 え を提 起 す る こ とが考 え られ る。 この 場 合 に も,先 の損 害 賠 償 請 求 認 容 の場 合 と同様,侵 害 訴 訟 の敗 訴 被 告 は,後 に 下 され た無 効 審 決 な い し訂 正 審 決 の確 定 を理 由 に請 求 異 議 の訴 え を提 起 す る こ とは,原 則 と して既 判 力 に抵 触 し許 され な い もの と考 え られ る。 しか し,訴 訟 物 と して の差 止 請 求 権 そ の もの は,基 準 時 に お い て存 否 が判 断 され る現 在 の給 付 請 求 権 で は あ る が,差 止 請 求 権 に よ って 具 体 化 さ れ るの は, 基 準 時以 降 の将 来 へ 向 け られ た,過 去 ・現 在 の侵 害 行 為 と同 じ態 様 の侵 害 行 為 を な さ ざ る継 続 的不 作 為 義 務 の実 現 で あ る。 この よ うな差 止 請 求 権 の法 的特 殊 性 に照 らす と,侵 害 訴 訟 の被 告 に は,将 来 に お け る不 作 為 義 務 の実 現 を正 当化 す る実 体 権 が,将 来 長 き に渡 って存 続 しつ づ け る訳 で は な い こ とに つ い て,主 張立 証 を尽 くす機 会 が与 え られ て しか るべ き だ と考 え る。 そ こで,さ しあ た り現 在 の 給 付 請 求 権 と捉 え る通 説 の 立 場 を 前 提 にす る と㊤1), 前 訴 基 準 時前 の事 情 を も って請 求 異 議 事 由 とす る例 外 を認 あ るべ き か が 問題 と な る。 この例 外 と して考 え られ るの は,特 定 の債 務 名 義 に つ き,そ れ を利 用 し て の強 制 執 行 が信 義 則(民 法1条2項,民 濫 用(民. 法1条3項)と. 訴 法2条)に. 反 し,あ るい は権 利 の. して 許 さ れ な い 場 合 で あ る。 学 説 上,こ. の場 合 に は,. 強 制 執 行 に 関 す る限 りで,債 務 名 義 表 示 の請 求 権 が存 在 しな い場 合 と異 別 に取 り扱 う理 由 は な い と解 す る もの が あ る勧。 こ の見 解 は,そ. もそ も請 求 異 議 訴 訟. が実 体 権 と して の給 付 請 求 権 そ の もの の存 否 を判 断 す る もの で な く,当 該 給 付 請 求 権 に よ る執 行 が実 体 上 の権 利 状 態 に適 合 す るか の判 断 を行 う手 続 で あ る と い う前 提 に立 って考 え,当 該 執 行 が実 体 法 上 の権 利 状 態 と適 合 しな い事 情 が認 141.
(20) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. あ られ れ ば,そ れ は執 行 権 の濫 用 で あ り,例 外 的 な請 求 異 議 の異 議 事 由 とな る との根 拠 に よ る もの と考 え られ る。 した が って,権 利 の濫 用 と認 あ られ るた め に は,執 行 権 の行 使 態 様 と実 体 権 の適 合 性 を考 慮 す る こ とに な る。 これ を,無 効 審 決 確 定 後 の差 止 請 求 権 の執 行 に あ て は あ て考 え る と,特 許 無 効 が確 定 した 以 降 に お い て,対 世 的 に は無 効 と され た特 許 に基 づ い て,執 行 債 権 者 が な お 引 き続 き執 行 債 務 者 に 間接 強 制 又 は代 替 執 行 を強 制 で き る とす るの は,実 体 的正 義 に 反 し,権 利 濫 用 に 当 た る と解 さ ざ る を え な い㈱。 さ ら に,今 般 の 改 正 特 許 法 の下 で は,再 審 の訴 え は大 幅 に制 限 され るた あ,実 体 的正 義 の実 現 は,こ の 請 求 異 議 訴 訟 の場 面 に ほ ぼ 限定 され る こ とに な る。 以 上 か ら,差 止 請 求 認 容 の場 合 に 関 して は,基 準 時後 に無 効 ま た は訂 正 審 決 が確 定 した こ とを異 議 事 由 とす る請 求 異 議 の訴 え は例 外 的 に認 あ られ,こ の意 味 に お い て,特 許 法104条 の4の 趣 旨が 及 ばな い射 程 外 の 事 案 で あ る と考 え る。. 2請. 求 棄 却 判 決 確 定 後 に敗 訴 原 告 が 提 起 す る再 訴 に つ い て. 最 後 に,侵 害 訴 訟 に お い て,原 告 の請 求 を棄 却 す る判 決 の確 定 後,敗 訴 原 告 が,訂 正 審 決 確 定 後 に,同 一 特 許 に基 づ き,前 訴 と同 じ当事 者 に対 し,侵 害 訴 訟 を 提 起 す る こ とが で き るか ど うか を検 討 す る。 こ の 問 題 を論 じる前 提 と し て,訂 正 前 の特 許 権 に基 づ く侵 害 訴 訟 の訴 訟 物 と,訂 正 後 の特 許 権 に基 づ く侵 害 訴 訟 の訴 訟 物 が 同一 で あ るか が論 点 とな る。 この点,筆 者 は,特 許 法128条 が 定 め る訂 正 審 決 の 遡 及 効 は,訂 正 後 に新 た な 特 許 権 を 発 生 さ せ る趣 旨 で は な い と解 され る こ とか ら,訂 正 前 と訂 正 後 とで は,特 許 権 の権 利 範 囲 を 同一 の請 求 項 に求 あ る限 りに お い て,訴 訟 物 は 同一 だ と考 え るの が 妥 当 だ と考 え て い る⑳。 これ をふ ま え,侵 害 訴 訟 の 敗 訴 原 告 に よ る再 度 の侵 害 訴 訟 は,前 訴 で の請 求 と訴 訟 物 が 同一 で あ り,ま た,再 度 の訴 訟 に お い て主 張 され る訂 正 審 決 を理 由 づ け る根 拠 事 実 は前 訴 基 準 時前 の事 情 で あ る と解 さ れ る。 こ こに,本 稿 で 取 り上 げ た 改 正 特 許 法104条 の4の 趣 旨 を及 ぼ 142.
(21) 法科大学院論集 第9号 す な らば,侵 害 訴 訟 の敗 訴 原 告 は,係 争 特 許 の無 効 理 由 を 回避 す るた め の訂 正 が可 能 で あ る との事 実 に つ き,手 続 機 会 が与 え られ て い た の で あ るか ら,訴 訟 で現 に主 張 した か を 問 わ ず,再 度 の侵 害 訴 訟 は前 訴 判 決 の既 判 力 に抵 触 し許 さ れ な い こ とに な る もの と解 され る。. 六. 残 された課題(侵 害訴訟集中審理化への対応). 今 般 の 改 正 に よ る特 許 法104条 の4の 新 設 は,再 審 ま た は別 訴 そ れ ぞ れ の場 合 にて 侵 害 訴 訟 の 審 理 の蒸 し返 しを 防 ぐ大 き な効 果 が あ る と考 え られ る。 他 方,当 事 者 間 で は,侵 害 訴 訟 内 で紛 争 を一 回 的 に解 決 させ よ う と労 力 を集 中す る傾 向 が進 む もの と予 測 され る。 これ ま で論 じた よ うに,再 審 主 張制 限 の理 由 が,訴 訟 に お け る当事 者 の手 続 機 会 の保 障 を前 提 とす る もの で あ るな らば,今 後 は,侵 害 訴 訟 に お い て,当 事 者 に特 許 の有 効 無 効 に つ き,十 分 な攻 撃 防御 の機 会 を与 え るた あ の解 釈 論 お よ び訴 訟 指 揮 の あ り方 が望 ま れ る。 この点 に つ い て は,侵 害 訴 訟 の要 件 事 実 論 も 含 あ,今 後 の検 討 事 項 と した い と考 え て い る。. 【 付記】 本 稿 は,日 本 民 事 訴 訟 法 学 会 第82回 大 会(2012年)に. て 研 究 報 告 と して 発 表 した もの. に 加 筆 した もの で あ る。 学 会 の 場 に お い て,先 生 方 よ り貴 重 な ご質 問 と ご教 示 を 賜 り, 原 稿 の執 筆 に 当 た り多 くの 示 唆 を 得 る こ と が で き た。 こ の 場 を借 り て感 謝 申 し上 げ た い。. (1)平. 成23年 法 律 第63号,平. (2)特. 許 庁 工 業 所 有 権 制 度 改 正 審 議 室 編 『平 成23年 特 許 法 等 の一 部 改 正. 参 照(発 (3)大. 成24年4月1日. 施行 産 業 財 産 権 法 の解 説 』79頁. 明協 会,2011)。. 渕 哲 也 「特 許 権 侵 害 訴 訟 と特 許 無 効(3・. 完)」 法 教347号104頁(2009)。. 害 訴 訟 に お け る ダ ブ ル ・ トラ ッ ク現 象 と判 決 効」 判 タ1292号45頁(2009),高. 143. 重 冨 貴 光 「特 許 権 侵 部 眞 規 子 「特 許 法 改.
(22) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 正 と特 許 の有 効 性 を め ぐる審 理 の在 り方 」 特 許 研 究52号10頁(2011)も,審. 決 の遡 及 効 を再 審 事 由. を認 め る根 拠 と して挙 げ る。 @)伊. 藤 眞 ほか 「司 法 制 度 改 革 に お け る知 的財 産 訴 訟 の充 実 ・迅 速 化 を 図 る た め の 法 改 正 に つ い て. (下)」 判 タ1162号27頁. 〔近 藤 昌昭 発 言 部 分 〕(2004),高. 部 眞 規 子 「知 的財 産 訴 訟. 今 後 の課 題(上)」. NBL859巻15頁(2007)。 (5)平 (6)た. 成16年 法 律 第120号 しか に,侵 害 訴 訟 で は,判 断 さ れ る特 許 の無 効 が訴 訟 当事 者 限 りで の相 対 的 な判 断 で あ る にす. ぎ な い点 が,無 効 審 判 手 続 と は異 な る。 しか し,紛 争 の 当事 者 に と っ て は,特 許 の有 効 性 に 関す る 実 質 的 に は 同 じ主 張 を,侵 害 訴 訟 と無 効 審 判 手 続 の双 方 で行 う こ と に な る た め,経 済 的 ・時 間 的 に 二 重 の 負担 が強 い られ る こ と に な る。 (7)再. 審 の 許 容 性 に つ いて 論 じた過 去 の 文 献 に は,近 藤 昌 昭 ほ か 『知 的 財 産 関 係 二 法/労. 63頁(商. 事 法 務,2004),菱. 働 審判法」. 田雄 郷 「知 財 高 裁 設 置 後 に お け る知 的 財 産 訴 訟 の理 論 的 課 題. 続 法 の 視 点 か ら」 ジ ュ リ1293号70頁(2005),知. 民事手. 的 財 産 研 究 所 「審 判 制 度 に関 す る今 後 の 諸 課 題 の. 調 査 研 究 」 平 成18年 度 特 許 庁 産 業 財 産 権 制 度 問 題 調 査 研 究 報 告 書80頁. 〔 森 義 之 〕,高 林 龍 「無 効 判. 断 に お け る審 決 取 消 訴 訟 と侵 害 訴 訟 の果 た す べ き 役 割 」 渋 谷 達 紀 ほ か 『知 財 年 報2006』220頁(商 事 法 務,2006),高. 部 眞 紀 子 「知 的財 産 訴 訟. 今 後 の課 題(上)」NBL859号17頁(2007),三. 「権 利 範 囲 の 解 釈 と経 済 活 動 の 自由 」 渋 谷 達 紀 ほ か 「知 財 年 報2007』226頁(商. 村量一. 事 法 務,2007),市. 川 正 巳 「特 許 権 侵 害 訴 訟 に お け る無 効 理 由 の判 断」 牧 野 利 秋 ほ か 『知 的財 産 法 の理 論 と実 務 第2巻 〔特 許 法H〕 」112頁(2007),笠 巻39頁(2008),重 石 川 明古 稀 「EU法. 井 正 俊 「特 許 無 効 審 判 の結 果 と特 許 権 侵 害 訴 訟 の再 審 事 由」 民 訴54. 冨 貴 光 ・前 掲 注(3)36頁(2009),拙. 稿 「特 許 無 効 に基 づ く再 審 と補 充 性 の 原 則 」. ・ヨ ー ロ ッパ 法 の 諸 問 題 』385頁(信. 山社,2002),同. 「特 許 の 有 効 性 判 断 と特. 許 権 侵 害 訴 訟 に お け る再 審 事 由 の許 容 性 」 信 州 大 学 法 学 論 集 第15号1頁(2010)な ⑧. どが あ る。. 各 ケ ー ス を簡 略 な表 に ま と め る と,以 下 の と お りと な る。. (i). 侵害訴訟でX勝 訴 請求認容判決確定. a)Yが. (特許有効). b)Xが. 申 し立 て た 無 効 審 判 手 続(特123条)に. 敗訴被告Yが. おいて無効審決が確定 申 し立 て た 訂 正 審 判 手 続(特126条)に. おいて無効理由が回避す る訂正審決が確定(特. 再審の訴え 提起. 許 の 範 囲 が 減 縮 し一 部 無 効 が 明 らか に な った). (ii). 侵害訴訟でY勝 訴 特許無効の抗弁が認. ω. め ら れ,. 請求棄却判決確定. ら有 効 に な った). ⑫. 藤 ほ か ・前 掲 注(7)62頁,伊. 田 ・前 掲 注(7)70頁,加. 再審の訴え 提起. 藤 ほ か ・前 掲 注(4)23頁. 〔 坂 口智 康 発 言 部 分 〕。. 冨 ・前 掲 注(7)49頁 。 波 眞 一 「判 批 」 リマ ー ク ス41号124頁 。. 菱 田 ・前 掲 注(7)70頁 。 た だ し,伊 藤 ほ か ・前 掲 注(4)29頁 しな が ら も民 訴 法338条1項8号. ⑬. 敗訴原告Xが. b)Yが 申 し立 て た 無 効 審 判 手 続 に お い て 、 請 求 不 成 立 の 審 決 が 下 され 確 定. 愛 知 ・前 掲 注(7)188頁,重. qD菱. 申 し立 て た 訂 正 審 判 手 続(特126条)に. おいて無効理由を回避す る訂正審決が確定(訂 正に よって係争特許の無効理由が解消 し初めか. (特許無効). (9)近. a)Xが. の 類 推 適 用 を 示 唆 す る。. 加 波 ・前 掲 注qD125頁 。. 144. 〔 伊 藤 眞 発 言 部 分 〕 は,否 定 説 を基 本 と.
(23) 法科大学院論集. ω. 近 藤 ほ か ・前 掲 注(7)63頁,知 前 掲 注(7)112頁,笠. ⑮. 岩 坪 哲 「判 批 」NBL888号29頁. ⑯. 笠 井 ・前 掲 注(7)42頁 。. ⑰. 笠 井 ・前 掲 注(7)48頁 。. ⑱. 三 村 ・前 掲 注(7)226頁. ⑲. 高 部 ・前 掲 注(7)19頁 。. ⑳. 的財 産 研 究 所 ・前 掲 注(7)86頁. 井 ・前 掲 注(7)41頁,重. 第9号. 〔 森 〕,高 林 ・前 掲 注(7)220頁,市. 川 ・. 冨 ・前 掲 注(7)45頁 。. 。. 産 業 構 造 審 議 会 知 的財 産 政 策 部 会 第28回 特 許 制 度 小 委 員 会 議 事 録(2010年6月11日)(特. 許庁 ホー. ムペ ー ジ)参 照 。 ⑳. 他 方,審. 決 の確 定 は侵 害 訴 訟 の再 審 事 由 に該 当 しな い 旨 を端 的 に規 定 す る対 案 も示 さ れ た が,再. 審 事 由 の う ち制 限 をす べ き事 由 は,特 許 法 の確 定 審 決 の遡 及 効 に起 因 して生 じる もの の み で あ る と の理 由 か ら,採 用 さ れ な か っ た(産 業 構 造 審 議 会 知 的財 産 政 策 部 会 「特 許 制 度 に関 す る法 制 的 な課 題 につ い て(平 成23年2月)』28頁)。 ⑫. 審 議 会 資料 に よ れ ば,行 政 法 上 の原 則 と して,行 政 処 分 の取 消 の効 果 は遡 及 す る のが 原 則 で あ る が,侵 害 訴 訟 の 当事 者 と の 関係 で の み将 来 効 と し,そ れ以 外 の者 と の 関係 で は遡 及 す る と い う制 度 の あ り方 で あ れ ば,紛 争 の蒸 し返 しを 防止 す る た め に必 要 最 低 限 の手 段 で あ り,目 的 と手 段 と の 間 に合 理 的 関 連 性 が あ る とす る(産 (2010年8月10日)(特. ⑳. 業 構 造 審 議 会 知 的 財 産 政 策 部 会 第31回 特 許 制 度 小 委 員 会 議 事 録. 許 庁 ホ ー ム ペ ー ジ))。. 政 令 事 項 と した理 由 は,訂 正 審 決 は多 種 多 様 に及 び,ど. の よ う な審 決 を再 審 事 由 と しな い か は政. 策 的判 断 を 必 要 とす る た め だ と され る(特 許 庁 工 業 所 有 権 制 度 改 正 審 議 室 編 ・前 掲 注(2)87頁)。 政 令(平. 成23年 政 令 第370号)は. 次 の とお りで あ る。. 特 許 法 施 行 令 第13条 の4(確 定 した こ と の主 張 が制 限 さ れ る審 決) 一 侵 害 訴 訟 等 の確 定 した終 局 判 決 が特 許 権 者 ,専 用 実 施 権 者 又 は補 償 金 支 払 請 求 者(以. 下 「特. 許 権 者 等 」)の 勝 訴 の 判 決 で あ る場 合 にお いて は,当 該 訂 正 が 当該 訴 訟 に お い て立 証 さ れ た事 実 以 外 の事 実 を根 拠 と して 当該 特 許 が特 許 無 効 審 判 に よ り無 効 に さ れ な い よ う にす る た め に行 わ れ る審 決 二. 侵 害 訴 訟 等 の確 定 した終 局 判 決 が特 許 権 者 等 の敗 訴 の判 決 で あ る場 合 に お い て は,当 該 訂 正 が 当該 訴 訟 等 に お い て立 証 さ れ た事 実 を根 拠 と して 当該 特 許 が 特 許 無 効 審 判 に よ り無 効 に さ れ な い よ う にす る た め に行 わ れ る審 決 。. 伽. 兼 子 一 『新 修 訂. 版 〕』3頁(第 ⑳ ⑳. 民 事 訴 訟 法 体 系 〔増 訂 版 〕』481頁(酒. 民 事 訴 訟 法3』365頁(日 一 法 規,1996)な. 本 評 論 社,1986),斉. 井 書 店,1965),菊. 藤 秀 夫=小. 井 維 大=村. 松 俊 夫 『全. 室 直 人 編 『注 解 民 事 訴 訟 法 ⑩. 〔 第2. ど。. 加 波 眞 一 『再 審 原 理 の研 究 」223頁(信. 山 社,1997)。. もっ と も,行 政 法 上 の一 般 論 と して,行 政 行 為 に 内在 す る蝦 疵 が 重 大 かつ 明 白 な場 合 に 当該 行 政 行 為 は 当然 無 効 と解 す る判 例 理 論(最. 高 裁 昭 和34年9月22日. 判 決 民 集13巻11号1426頁. に した場 合 に,本 条 の類 推 が あ りう る か と の 問題 は考 え ら れ る。. 145. な ど)を 前 提.
(24) 特許権侵害訴訟 における再審主張制 限とその射程. 疑問③. ※ 円の面積 は特許 の権利範囲 を示 す ㈲. 関 西 法 律 特 許 事 務 所 編 「全 面 改 訂 最 高 裁 平 成20年4月24日 足 意 見 は,訂. 特 許 侵 害 訴 訟 の実 務 』372頁(経. 判 決 民 集62巻5号1262頁(ナ. 済 産 業 調 査 会,2008)。. イ フ加 工 装 置 事 件 最 高 裁 判 決)の. な お,. 泉 判 事 の補. 正 審 決 が 確 定 した こ とを も って 原 審 の判 断 を違 法 とす る こ とが で き な い根 拠 と して,. 基 準 時 後 の形 成 権 行 使 に関 す る判 例 を参 照 判 例 と して挙 げ て い る。 ⑳. こ れ に対 して は,敗 訴 被 告 に対 す る執 行 を許 容 す る と,仮 害 者 が 存 在 した と して,こ. に 当該 特 許 発 明 を実 施 す る他 の被 疑 侵. の 者 との 関 係 で実 質 的 に不 公 平 が 生 じ る と の 批 判 も想 定 さ れ る。 し か. し,基 準 時 よ り前 に お い て は,他. の被 疑 侵 害 者 も敗 訴 被 告 も損 害 賠 償 義 務 を負 う リス ク は 同様 だ っ. た はず で あ り,必 ず し も不 公 平 と は い え な い と考 え る。 ⑳. 理 論 的 に は,差 止 請 求 権 を将 来 の給 付 請 求 権 と構 成 す る こ と が最 も簡 明 で あ る と思 わ れ る が,詳 細 の検 討 は別 の機 会 に委 ね た い。. 働. 中野 貞 一 郎 『民 事 執 行 法(増. ㈱. 三 村 ・前 掲 注(7)227頁 も,差 止 請 求 認 容 判 決 後 の 請 求 異 議 は 肯 定 す る。. 補 新 訂6版)』246頁(青. 髄. 拙 稿 「特 許 権 侵 害 訴 訟 の判 決 の既 判 力 を め ぐる今 日 的 問題 」 信 州 大 学 法 学 論 集16号11頁(2011)。. 146. 林 書 院,2010)。.
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