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Academic year: 2021

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1  巻頭言

生活における不断の加工作業

星 野 晴 彦

(生活科学研究所 研究部主任)  生活科学研究所の研究報告会で、中村博一先生が「ニジェールとナイジェリアの豆腐の味 付けの現地報告」というテーマでご報告くださった(同じフィールドワークの結果について も、本紀要にも投稿して頂いている)。とても興味深い内容であった。アフリカで日本の豆 腐がいかなる経緯かは不明であるが、彼らなりの文化に溶け込み加工され、食文化の一つと なっているというのである。  以上のような不断の加工作業は、実は私たちの身の周りでしばしば行なわれているのでは ないか。中華料理と看板を出している店も、本当に中国や台湾でそのようなものが食べられ ているのか怪しいところである。しかし、いまや中華料理屋は日本文化に欠かせないものだ ろう。日本で喜ばれるような味付けの工夫の蓄積の成果である。  これは、食事だけの問題ではない、私たちの生活は自分たちの必要性にあわせて様々な加 工を繰り返しているのである。それは一見文化として当然のもののように語られるかもしれ ない。しかし、これは後からこれまでの経過を説明しようとしても、なかなか難しいもので あり、正確性を欠く一種の物語のような形でとどまってしまう。そのような知恵の深さ、し たたかさ、たくましさをさりげなく含んでいる。今回投稿いただいた論文も、生活科学とし て考えると、単なる個人の行動ではなく、人々の生活の歴史性、生命力、文化としての伝 播、生活の知恵ということに裏打ちされていることが垣間見られる。突如人々がそのような 行動をするというのではなく、生活として積み上げられた蓄積として見直すと、またそれぞ れの論文も趣が異なるかもしれない。

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