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中学校社会科歴史的分野における重層的な解釈活動を取り入れた授業の開発:―生徒の主体性の発揮を目指して―

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Academic year: 2021

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(1)中学校社会科歴史的分野における重層的な解釈活動を取り入れた授業の開発           一生徒の主体性の発揮を目指して一. I 問題の所在. 専  攻. 教育実践高度化専攻. コ 一 ス. 授業実践リーダーコース. 学籍番号.     P09029D. 氏  名.     土井  宗近. 皿 章立てと概要.  平成15年に実施された教育課程実施状況調査の. 序 章 問題の所在および本研究の目的. 質問紙調査によると、「勉強が好きだ(そう思う、ど. 第!章 先行研究および本研究の方法. ちらかといえばそう思う)」と答えた中学2年生は. 第2章 解釈活動と主体的な学習. 17.9%にとどまっている。また、同調査同学年のr平. 第3章  「解釈活動」を取り入れた授業. 日における学校の授業以外での学習時間」について. 第4章 実践データをもとにした授業の改善. はr全く、ほとんど勉強しない」と答えた生徒が. 終 章 成果と課題. 15.7%おり、宿題すらしていない生徒が一定割合い. ることが確認される。しかし、学習の大切さについ.  第1章では、子どもに学習方法を身につけさせる. ては、84%以上の生徒が肯定的な回答をしており、. ことで、学習内容がわかり、学習に対する喜びや満. 重要だとは思っているが勉強は嫌いという結果が出. 足感を得ることができ、新たな学習課題を発見し、. ている。また、社会科の勉強でわからないことがあ. 課題解決に向けて学習を行うことを目標としたr主. った時に自ら調べようとしているかという主体性に. 体的学習」を提唱した、村上芳夫、木戸保の主張を. 関連する項目については、中学生は小学生に比べて. 取り上げている。更に、武田正浩の主張を加え、「主. 自ら調べようとしている生徒の割合が若干低くなっ. 体性」の概念規定を行う。また、子どものr主体性」. ている。生徒は、勉強することの大切さを認識しな. を発揮させるには、学習内容に記号論的視点を加え. がらも、勉強は嫌いで、自ら調べようともしない、. ることを述べ、池上嘉彦、宇佐美寛の主張を参考に. 将来のために受け身的に勉強しているという実態が. している。池上、宇佐美が主張する「解釈」活動を、. 見て取れる。このような実状に対して平成20年改. 学習に取り入れることで、子どもの主体性が発揮さ. 訂の『中学校学習指導要領』第1章総員11のr教育課. れるのではないか、としている。. 程編成の一般方針」では、「学校の教育活動」を進め.  第2章では、r解釈」の概念規定、子どもがr解. る際に、「主体的に学習に取り組む態度を養」うとあ. 釈」を行う対象、その対象の捉え方を述べている。. る。生徒が自ら問題を発見し、解決に向けて主体的. 概念規定を行うに際し、国語辞典、哲学事典、教育. に学習を進めるような授業づくりを、教師は考察し. 学研究者、社会科教育学研究者の定義を参考にする。. ていかなければならないのだ。以上の問題意識に基. 彼らの定義に共通していたのが、r理解」とr説明」. づいて、本研究を進めることとした。. が含まれていたことである。「解釈活動」には、子ど. も自らの経験で意味を明らかにして、それを言葉に II 研究の目的. 表すことが必要である。.  本研究の目的は、生徒が主体的に取り組むことが.  子どもが「解釈活動」を行うことで、授業に主体. 出来る中学校社会科の授業を開発・実践し、その有. 性を発揮できるだろうという仮説のもと、授業づく. 効性を検証することである。. りを行うとする。そして、子どもの「解釈活動」の. 一56一.

(2) 対象をr時代の性格・本質」「時代像」とする。. 選択した言 葉.  第3章では、子どもが「時代の性格・本質」「時 代像」を「解釈」「説明」する「解釈活動」を取り入 れた授業を考察した。授業において、rマンダラート」. 解釈した「時代像」. 評 価. 正倉院の宝 第 2. 時. (図1)を活用した「時代の本質・性格」r時代像」. 物、大仏、東 大寺、聖武天 皇、行基、鑑 真、国分寺、. 大仏ができ、国分寺・国分尼寺も. できたりして仏教を信仰した時. ○. 代. 国分尼寺. をr解釈」r説明」させる活動を取り入れた。また、 その評価基準は、複数の歴史的事象問の関連を問う. 第 3. 知識(r分析的知識」r説明的知識」)を形成する子ど. 時. 平安京、桓武 天皇、蝦夷、 摂関政治、藤. 原道長. 国司の不正をとりしまり、農民に. とって少しでも楽になりはじめ た。道長が栄え天皇のおじいさん となり、関白と摂政になる。摂関 政治が始まる。. O. もを「○」、断片的で、印象にとどまった子どもを「△」 とする。. やはりまだ世の中は荒れていた。. 最澄・天台. 病気や飢えで国が混乱している. 第 5. 宗、空海・真 言宗、浄土信. 時. 仰、国風文. 時、最澄が天台宗を、空海が真言 宗を広め、浄土信仰も広がり、仏 教が盛んになった。国風文化が広 まったのはなぜなのか、そして誰 が広めたのか気になります。. 化、かな文字.        図1:「マンダラート」. ○. 図2:Fが「解釈」「説明」した毎時の「時代像」.  第4章では、子どもが、「マンダラート」を活用 して、形成したr時代の本質・性格」r時代像jの分 析と、そこからの考察を行った。そして、実習を振 り返り、反省点を抽出し、授業内容および時代像の 解釈活動への指導法に対して改善を施す。. (3)実践上の課題等を踏まえ、解釈活動を促す方法. としてのrマンダラート」の内容を改善し、時代像 を解釈させる際の戦略を踏まえた形で再提案できた こと。.  「マンダラート」利用に一定の効果が認められた. w 本研究の成果と課題. ため、単元構成を含めてその改良を行った。具体的. 本研究の成果は,以下の3点である。. には、時代像よりの小さいスケールの事象を解釈さ. (1)生徒の学習に対する主体性を促す学習活動と. せることを繰り返しながら解釈を繰り返させ、最終. してr解釈活動」を設定し、その活動を組み込んだ. 的に時代像にたどり着かせるという単元構成、およ. 中学校社会科歴史的分野の学習指導案を開発・実践 したこと。. び抽出したキーワードが解釈により直接的に利用さ れるよう、紙面上の工夫を行った。. (2)生徒の学習に対する主体性を促す学習活動と して「解釈活動」において、「マンダラート」でキー. ワードとして書き留めた歴史的事象を、r時代像」の 「解釈」「説明」の際に利用した子どもは、複数の歴. 史的事象間の関連を捉え、「分析的知識」を導く傾向.  今後の課題は、以下2点である。 (1)「主体性」の概念規定についてさらに精査するこ. と。そのような捉え直しの中から宇佐美寛がいう「解. 釈内容」にたどり着く授業がつくれるのではないか と考えている。. にあることが確認できたこと(図2)。. (2)「主体性」と「解釈」の因果関係、および「解釈」.  抽出生徒Fは、r時代像」をr解釈」r説明」する. と言語活動の因果関係について精査すること。. 際に、書き留めた言葉の数を、最も多く使っている。.           修学指導教員 増澤 康男. その数は、毎時平均2.4文字である。各時のr時代.                  溝邊和成. 像」を見ると、これもまた複数の歴史的事象間の関.           指導教員吉水裕他. 連を「解釈」「説明」しているといえよう。. 一57一.

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