相対論的場の量子論の基礎的研究
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(2) 序 本論文の目的は,量子場の理論における次の2つのテーマについて考察することである.. L量子場の理論が相対論的に不変であるための条件を求める.. 2,その条件から場の変換性質を決定し,CPT定理を証明する.. 物理学は自然現象における法則を定式化し,それを応用する学問である.. Keplerの法則等に基づき,Newtonは彼の力学法則を発見した,そのとき彼は,粒子の空 間座標を時間の関数と考えて定式化を行った.. その後,光速度不変の原理および時間と空間座標の同等性の仮説に基づき,Einsteinは特 殊相対性理論を構築した。彼は,どの慣性系から見ても物理法則は不変であるべきであると いうGalileiの考えを拡張した.. 19世紀まで,光は波動であるという考えが主流であった.しかし,19世紀末に光電効果,. Planckのエネルギー量子仮説等の発見により,光は波動性と粒子性の両方をもつことが分 かった。一方,電子は粒子と考えられていたが,原子のエネルギー準位はE=加,p二房λを. 満たす振動数と波長をもっ波動と考えれば,上手く説明がついた.電子も波動性と粒子性を 同時にもっことが分かった.. 古典的物理量は全て連続的に変化すると考えられていたが,量子論の展開の結果,離散 的な量の極限であると見なせる場合のあることが分かった.このような場合,今までの自然 現象の表現方法では,粒子性と波動性を同時にもつ電子を記述することはできない. そこで,Schr6dingerは光学から類推し,波動力学を構築した.また,ほぼ同時期にHeisen−. bergも行列力学を構築した,この二つの理論は見かけは異なるが全く同じ理論であった.現 在の量子力学である.. 量子力学は,原子内の電子分布等で大きな成功をおさめたが,その理論は相対論的に不 変(Lorentz変換のもとで不変)ではなかった。Schr6dingerの理論をLorentz不変な形式にし たKlein−Gordon方程式の理論では,存在確率が負になる欠点があった.この欠点を克服する. ために考え出されたのがDirac方程式である.. この論文では,1粒子状態のLorentz変換性を定め,S行列がLorentz不変であるための 条件を求める.次に,場を粒子の生成・消滅演算子から構成する。これらの準備の後に,斉次 Lorentz群の既約表現に従う場が,C,P,丁変換のもとでどのように変換するかを調べる(Cは 荷電共役変換,Pは空間反転,Tは時間反転を表す).それによって,スカラー場,ベクトル場,. Dirac場の変換性質を確認し,最後に,相対論的局所場の理論においては,反転の積CPTが保 存するというCPT定理を証明する..
(3) ■l o l. 1章では,波動性と粒子性をもつ物質(主に電子)を記述する1粒子状態のLorentz変換 性について述べる,. 1.1節では量子力学の基礎的枠組について述べる.. 1.2節では可能な物理的実験の結果を変えない変換である対称変換にっいて述べる.. L3節では物理状態の張るHilbert空間上でのLorentz変換則を述ぺる. 1.4節では非斉次Lorentz変換のLie代数について述べる.. L5節では非斉次Lorentz変換の既約表現に従って1粒子状態の分類を考え,質量が正の 場合に限って変換性質を述べる.. L6節では空間反転と時間反転の演算子を定義し,1粒子状態の変換性について述べる. 2章では,実際の物理的実験で測定されるものは遷移確率分布であるので,それを計算す るための散乱理論について述べる.. 2.1節では相互作用する前の状態であるin状態と相互作用した後の状態であるOut状態 の定義とLippmam−Schwinger方程式について述ぺる. 2.2節ではS行列と演算子Sを定義する.. 2.3節ではrいろいろな対称変換でS行列が不変である.」ということの意味とその様 な不変性を保証するHamiltonianの条件について考える.. 2.4節ではS行列を計算する道具としての摂動理論について述ぺる. 3章では,「遠く離れた実験は互いに影響を及ぼしあわない.」というクラスター分解原 理を実現するための条件について考察する.. 3.1節では粒子にはボゾンとフェルミオンしかないことを述べる. 3.2節では生成演算子を定義し,消滅演算子はその随伴演算子であることを導く. 3.3節では連結振幅Sσを導入し,クラスター分解原理を満たすための条件を考察する.. 3.4節ではどのようなHamiltonianがクラスター分解原理を満たすS行列を与えるのか を考察する.. 4章では量子力学と相対性理論の仮定から導かれる普遍的な結果一スピンと統計の関 係,反粒子の存在,CPT定理一について述べる。. 4.1節ではLorentz不変なS行列を構成するために,生成・消滅場を導入し,それが満た すべき条件を考察する.. 4。2節では斉次Lorentz群の既約表現に従って変換する一般的な場について考察する. 4.3節では前節で述べられた既約表現に従って変換するcausal場を構築する. 4.4節ではcausa1場の変換性質を具体的なスカラー場,ベクトル場,Dirac場に適用しそ れぞれの場の変換性を確認する.. 4.5節ではベクトル場に対するLorentz表現について述べる. 4.6節ではLorentz表現の(巷,0)e(0,去)タイプの場に対するDirac形式について述べる..
(4) iii. 4.7節ではCPT定理を証明する.. 最後に,本研究ならびに修士論文の作成にあたり,御指導を賜わりました矢吹治一教授 に感謝します.. 2003年12月. 山本道康.
(5) 目次 序. 1.!. 量子力学... 1.2. 対称性.。. 1.3. 量子Lorentz変換... 1.4. Poincar6代数... 1.5. 1粒子状態.. 1.6. 空間反転と時間反転. 2章. 散乱理論. 2。1. InとOut状態. 2.2. S行列 .... 2。3. S行列の対称性. 2.4. 摂動理論..... 3章. クラスター分解原理. 3.1. ボゾンとフェルミオン.... 3.2. 生成演算子と消滅演算子. 、. 3.3. クラスター分解原理と連結振幅. 3.4. 相互作用の構造.. 4章. 量子場と反粒子. 4.!. 自由場.. 4.2. 斉次Lorentz群の既約表現.. 4.3. 一般Causal場. 4.4. スカラー場・ベクトル場・Dirac場. 4.5. ベクトル形式。。. 4.6. Dirac形式.,。. 4.7. CPT定理.. 5581牌1. 相対論的量子力学. 11 ∠ 3F 1 ∩ O 71. 1章. 72. 参考文献. iv.
(6) 1章相対論的量子力学 波動性と粒子性を同時にもつ物質(主に電子)を記述するために量子力学が構築された.しか. しその形式は最初Lorentz不変になっていなかった.この章では相対論的量子力学について 述べる.. 1.1 量子力学 (i)物理状態はHilbert空間万のベクトルで表される,すなわち,この空間の任意の二つ のベクトルΦ,Φに対して内積(Φ,Ψ)が定められ,これが次の性質をもっているとする: (Φ,Ψ)=(Ψ,Φ)*,. (1.L1). (Φ,Ψ、+Ψ2)=(Φ,Ψ、)+(Φ,Ψ2),. (L1.2). (Φ,ηΨ)=η(Φ,Ψ),. (LL3). (Ψ,Ψ)≧0.. (L1。4). 記号*は複素共役を表しており,ηは複素数である.また,式(1.L4)の等号成立は重=0のと. きに限る.Hilbert空間はノルム“Ψll=V画をもっていて,このノルムに関して完備で ある.. ベクトルΨに対して因子ε吹φは実数)のみ異なるベクトルΨノをΨ∼Ψノと表す.これ はベクトル上の同値関係になる.この同値関係によって冗の正規化ベクトルを類別し,その 類をレイとよぶ.物理状態はレイに対応する. (ii)観測可能量は,Hilbert空間上の演算子で表されるとする。その演算子を河とすると,. これはHilbert空間のそれ自身の中への写像Ψ→且Ψである.次の意味で線形であるとする1 A(ξΨ+ηΦ)=ξ触+ηみΦ。. (L1.5〉. ξ,ηは複素数である.レイπに属する正規化ベクトルΨが演算子ハについて固有値αをも っ固有ベクトルならば,このレイのどのベクトルも固有値αの固有ベクトルである、. 線形演算子五について,その随伴謹を次の式で定義する: (Φ,、4†Ψ)≡(』Φ,Ψ)=(Ψ,、4Φ)*.. 1. (L1.6).
(7) 2. !.相対論的量子力学. 謹二、4となる演算子をエルミート演算子という.固有値が実数となる演算子はエルミート 演算子なので,実数である観測量をあらわす演算子はエルミートでなければならない,. (iii)系がレイπによって表される状態とし,πに属するベクトルをΨとする.この状 態が互いに直交するレイπ1,π2,…に対応するどの状態にあるかを調ぺる実験をしたとす る。Ψ。を窺に属するベクトルとすると,ππによって表された状態にそれを発見する確率 をP(π→ππ)=KΨ,Ψ。)12とする,状態ベクトルの系{監}が完全系であれば,全確率は1 である=. ΣP(π→ππ)一L (LL7) η. 1.2 対称性 対称変換(symmetrytransformation)とは,物理状態に対する変換であり全ての可能な実 験の結果を変えない変換のことである.観測者0があるレイπを観測してこれがπ1または, π2…の状態にあると結論したとする.また,別の観測者0’が同じ観測を行いレイπ’がπ1. または,鴉…の状態にあると結論したとする,π乞はπ1に対応する状態である.このとき 二人は同じ確率を観測しなければならない= P(π→πη)=P(π’→πノπ).. (L2.1). 定理1.2.1レイに対するどんな対称変換π→πノについても,Ψ∈πに対してU重∈π’と なるように,ユニタリ,線形 (uΦ,uΨ) = (Φ,Ψ),. (L2。2). u(ξΦ+ηΨ) = ξuΦ+ηuΨ. (L2.3). かまたは,反ユニタリ,反線形 (uΦ,uΨ) = (Φ,Ψ)*,. (L2.4). u(ξΦ+ηΨ) = ξ*uΦ+η*u宙. (L2.5). の演算子Uが定義できる.. 一. 証明は,参考文献[7,2章Appendix A]を参照。. 反線形演算子Aの随伴を次のように定義する: (Φ,ノ1†Ψ)≡(、4Φ,Ψ)*.. (L2.6). この定義で,ユニタリまたは反ユニタリの条件は,どちらも. U†=U−1. (1.2.7).
(8) 3. 1.相対論的量子力学. である。観測者の座標系の回転,並進または,固有順時的(proper orthochronous〉Lorentz変. 換の様な対称変換は,恒等変換と連結しているので,これらの対称変換は,反線形,反ユニタ リではなくむしろユニタリ,線形の演算子で表される.. 対称変換に対応するユニタリまたは反ユニタリ演算子U(T)は対称変換の群の構造を反 映する性質をもっている.変換丑が物理状態ππを物理状態π先に写すならば,U(男)はπη のベクトルΨηを窺のベクトルU(丑)Ψπに写す。そして更に乃がこのレイの表す物理状態 を物理状態π髭に写すとき,レイπ名のベクトルU(乃)U(丑)臨に写す。一方,U(乃Z)Ψηも レイπ餐に存在する,つまり, U(乃)U(処)Ψπニθ1φπ(乃,丑)U(乃丑)Ψπ. (1.2.8). 演算子U(T)の線型性(または反線型性)から式(1.2。8〉のφη(乃,丑)は,臥によらないことが 示せる,つまり, U(乃)U(η)=♂φ(T2,劉〉U(乃丑). (1.2.9). 上式でφ=0のとき,U(T)は対称変換の群の表現を与えるという。一般的な位相φ(乃,Z)の. 場合,射影表現と呼ばれる.対称群の射影表現は常に非射影表現へ拡張できる,[7,2.7節1参 照.従って,今後常に(L2.9)でφ=0ととる,. 1.3 量子:Lorentz変換 慣性系の等価を主張するEinsteinの特殊相対性原理を量子力学でどのように実現するか を考察する.点粒子の位置がある慣性系で座標ガ(空間座標391,〆,」93,時間座標♂=磁.今後 光速度を1とする.)で表され,他の慣性系で座標コr’μで表されるとする.そのとき, ημレ伽’μdの’レ;ημレ面愉レ.. (1。3.1). ここで,4×4の実数行列ημ.は対角行列で,その0でない要素は, η11=η22二η33=十1,ηoo=一L. (L32). 式(L3.1)のμ,シの様に同じ項に上付きと下付きで2度現れる添え字については,その添字を 0,1,2,3と変化させたときできる項の和を取ることにする。. 式(L3,1)を満たすどんな座標変換が→」9ノμも線形である1 〆μ;A∼zレ十αμ.. (L3。3). 証明は[8,2.1節!参照.ここで,〆は任意の定数で,Aμ.は次の条件を満たす定数行列である: 伽嶋Aレσ=ηクσ・. (L3.4).
(9) 4. 1.相対論的量子力学 計量行列ημ.の逆行列をημレとする。式(L3.3)にプ→∬”のLorentz変換を作用させる1. 劣”μ=A㌔劣’ρ十◎μ二A㌻(Aρレ劣レ十αρ)十◎μ=AμρAρレα7レ十Aμραρ十◎μ・ (L3・5). 変換(L3。3)で物理状態に引き起こされる変換をT(A,α)とすると,次の合成則を満たしている: T(A,面)T(A,α)=T(AA,Aα十◎)。. (L3。6). 式(L3.4)の行列式を取ると. ((ietA)2=1. (1.3.7) 従って,Aμ.は逆行列をもつ.ημ誇μρAレ.ησα=δ2より. (A−1)%一ημレAレσησα一Af一(亡A)αμ・ (L3・8) T(A,α)の逆変換は,T(A−1,一Adα)である,また,この変換丁(A,α)は結合法則の成立も示す. ことができるので,これらは群をなす.この群を非斉次Lorentz群またはPoincar6群という. 変換丁(A,α)を表すHilbert空間の変換をU(A,α)で表す:. T(A,α) Ψ一→U(A,α)Ψ. この変換U(A,α)は次の合成法則を満たす: U(A,δ)U(A,α)=U(AA,Aα十蕊).. (1.3.9). この群には,U(A,0)の形の斉次Lorentz群という部分群がある.detA=+1,Aoo≧+1を. 満たす部分群は,固有順時的Lorentz群という.Aは正則行列なので,detA二1の行列から. detA二一1の行列へ連続的に移ることはできない.また,Aoo≧!の行列からAoo≦一1の行 列へも連続的に移ることはできない.従って,単位元に連結なLorentz変換は単位元の行列式 と(0,0)成分の符号と同符号でなければならないので,単位元と連結するLorentz変換は固有. 順時的Lorentz群に属する.非斉次固有順時的Lorentz群はLie群である.Lie群に基づく対 称群についての情報のほとんどは単位元の近傍の群要素に含まれている.. 9を0でない成分が9%=1,911二9ち=9、=一1の空間反転,9を0でない成分 が98二一1,91=93=9き=1の時間反転とする.9,9,99の行列式と(o,o)成分の 符号はそれぞれ(一,+),(一,一),(+,一)であるので,Lorentz変換は固有順時的Lorentz変換か. または,固有順時的Lorentz群の要素と離散変換9,9,99の積として書くことができる. すなわち,Lorentz群の研究は,その固有順時的Lorentz群及び空間反転と時間反転の研究に 帰する..
(10) 1.相対論的量子力学. 5. 1.4 Poincar6代数 非斉次固有順時的Lorentz群の場合,単位元はAμ.=δ∼,αμ;0であるので,次の変換 A∼=δ頚十ω与, αμ=6μ (1.4.1). を考える,ω㌃,6μのどちらも実数の無限小とすると,条件(L3.4)より ηρσ一ημ・(δβ+ω㌻xδ許ω㌔). =ηρσ+ωρσ+ωσρ+0(ω2), (1。4.2) ここで,. ωσρ≡ημσω㌔・. 条件(L42)のωの1次の項のみをとると,ωμ.の反対称性条件になる:. ωρσ二一ωσρ (L4。3) 4次元反対称2階テンソルは,4σ2=6個の独立な成分をもち,6μは4成分であるので,非斉 次Lorentz変換は!0変数で記述される.. ユニタリ変換U(1,0)は物理状態を変化させない変換を表すので,どんなレイもそれ自. 身に写す,つまり,U(1,0)は単位元に比例する.そして適切に位相を選ぶことによって, U(1,0)=1とできる,無限小Lorentz変換(1,4.1)の場合,次の様に表現できる:. 1. U(1+ω,6)二1塚ω〆σ一乞6ρPρ…・ (L4・4) ここで,」ρσ,Pρはそれぞれω,6に独立な演算子である。省略した項は,ω,6の高次の項を表し. ている.U(1+ω,6)をユニタリにするためには,Jρσ,Pρはエルミートでなければならない:. 」†ρσ一」ρσ,P†ρ一Pρ. (1.4。5) ωρ.が反対称なので,その係数」レ.も反対称に取ることができるl. Jρσ二一」σρ・ (1.4。6) 」ρσとPρのLorentz変換性を調ぺるために,次の積を考える: U(A,α)U(1十ω,6)U−1(A,α). 変換則(L3,9)から,U(A−1,一A−1α)U(A,α)=U(1,0)となるので,U(A−1,一A−1α)はU(A,α). の逆変換である.従って, U(A,α)U(1十ω,6)U−1(A,α)=U(A(1十ω)A−1,A6−AωA}1α). (1.4.7).
(11) 1.相対論的量子力学 6 上式のω,6の1次の項は,. 1 1 U(A,α)(憂ωρσ」ρσ一6ρPρ)U−1(A,α)一葛(AωA−1)μレ」μレー(A6−AωA−1α)μPμ・(L4・8) 両辺のωρ。,%の係数を等しいとおき,(L3,8)を使うと次の式が得られる: U(A,α)」ρσU−1(A,α)一A!Aレσ(」μレ+αレPμ一αμPレ), (L4。9) U(A,α)PρU−1(A,α) 二 A!jPμ, (L4,10). 斉次Lorentz変換(〆二〇)の場合,これらの変換則から」ρσはテンソル,Pμはベクトルで あることが分かる.また,Pρは並進運動の元で不変であるが,」岬はそうではないことも分 かる.. ここでA与=酵+ω与,〆=6μを式(1.4,9)と(1。4.10)に代入し,ω与,6μの1次の項のみ をとると,. 1 乞[憂ωμレ」μレー6μPμ,1ρσ卜ωレσ」ρレ+ωμρ」μσ一6ρPσ+6σPρ, (1・4・11). 1 ¢[葛ωμレ」μレー6μPμ,Pρ1=ωμρPμ・ (L4ユ2) [.4,B]≡AB一β。4であり,これを且,Bの交換子とよぶ。両辺のωμ.,%の係数を等しいとお くと,. 乞[」μレ,」ρσ]=ηレρ」μσ一ημσ」ρレーημρ」レσ+ηレσ」ρμ, (1.4,13). ¢[Pμ,」ρσ]=一ησμPρ+ηρμPσ二ημρPσ一ημσPρ, (1.4.14). [Pμ,Pρ]=0. (L4。15) 上の3式はPoincar6群のLie環の関係式である.量子力学では,エネルギー演算子Hと交換 する演算子(っまり保存される量の演算子)が,特に重要である.式(L4、14)よりjpoは」歪ゴと. 交換し,式(L4.15)よりpoは戸とも交換するので,3次元運動量ベクトルが. P一{P1,P2,P3}, (1.4.16) 3次元角運動量ベクトルが. J={」23,」31,」12}, (1.4.17) エネルギーがpoである.残った生成子(Lie環の要素)は3次元ブースト・ベクトルと呼ばれ るものである:. K={」01,」02,」03}. (L4.18).
(12) 1,相対論的量子力学. 7. 以上により,交換関係(L4,13),(L4.14),(1.4.15)は次のように書ける.. [」乞,ノ1一殉α」α, (1.4。19) [」乞,κ’卜妬一κ狐, (1.4.20) [κ乞,K‘卜一晦」κ, (1.4.2!). [ア,Pゴ]=乞6加P徊, (1.4.22) [.κゴ,P∫卜一暇δゴz, (1.4.23) [」¢,E]=[戸,H]=[H,H]=0, (1.4.24). しκ¢,∬ドー乞.P歪. (1,4,25) ここで乞,ブ,κは,1,2,3の値をとり,6沸はq23=+1の完全反対称量である。 並進変換丁(!,α)は,非斉次Lorentz群の部分群である:. T(1,α)T(1,◎)ニT(1,α+4)。 (L4.26). この群は加法的であるので,有限並進運動は物理的Hilbert空間において次のように表される: U(!,α)=e一歪Pμαμ. (1.4.27). 1.5 1粒子状態 非斉次Lorentz変換の変換性に基づいて,1粒子状態の分類を考察する.4次元エネルギー 運動量ベクトルの成分は,それぞれ互いに交換する。つまり,4次元運動量は保存されるので,. 4次元運動量の固有ベクトルで物理状態を表わす.1粒子状態の他の全ての自由度を示すため にラベルσを導入する:. .PμΦP,σ=PμΦP,σ。 (L5ユ) ここでσは離散的であるとする. 式(1.5.1)と(L4.27)からΨp,.が並進運動でどのように変換されるかが分かる: U(1,α)画p,σ;e『乞P’αΨp,σ, (1。52). 式(L4・10)から斉次Lorentz変換U(A,0)≡U(A)を作用させた%,.は,Apを固有値とする. 4次元運動量の固有ベクトルとなることが分かる: PμU(A)Ψp,σ = U(A)IU−1(A)PμU(A)1Ψp,σ=U(A)((A−1)ρμPρ)Ψp,σ. = AμρpρU(A)Ψp,σ, (L5.3).
(13) 8. L相対論的量子力学 Standard紐Little群 (a)P2一一M2<0,po>0. (0,0,0,M). SO(3). (b)P2一一M2〈0,po<0. (0,0,0,一M). SO(3). (c)P2=0,po>0. (0,0,κ,κ). ∫SO(2). (d)P2=0,po〈0. (0,0,κ,一κ). 1SO(2). (e)P2=〈r2>0. (0,0,〈「,0). SO(2,1). (f)Pμ=o. (0,0,0,0). SO(3,1). 図1.1:いろいろなクラスの4次元運動量に対応する標準運動量とlittle群 従って,U(A)Ψp,.は,ΨAp,.’の線形結合である:. U(A)Ψp,σ一Σσσ’σ(A,P)肱p,σ’・ (L5・4). σ’ Ψp,.の適切な線形結合により行列0.・.(A,p)をブロック対角化し,その線型結合をΨ,,.とす. ると,固定したどのσに対しても非斉次Loretz群の既約表現を与えるようにできる可能性が ある.. この行列σσ’。(A,p)を求めたい.固有順時的Lorentz変換Aμ.によって不変に保たれる. プの関数はp2≡ημ.プp・である・また,p2≦0のときpoの符号も不変であるので,標準4次 元運動量酬を表L1の様に分類する.このうち(a)は質量粒子,(c)は質量ゼロの粒子,(f)は. U(A)によって不変である真空,に対応する4次元標準運動量と考えられる。酬でpμを次の ように表す:. 〆一L蟹P)蕉 (L55) L∼(p)はプに依存する標準Lorentz変換であり,酬にも依存している。Lμ.(κ)=δヶとする。. 運動量pの状態Ψp,σを Ψp,σ≡ノV(p)U(L(p))Ψκ,σ (1.5.6). と定義する.〈r(p)は,Ψp,.をIIΦp,.Il=1に正規化するための数である.. 式(L5.6)に斉次Lorentz変換U(A)を作用させると U(A)ΨP,σ ニ ノV(P)U(A五(P))Ψκ,σ. = N(p)U(五(Ap))U(L−1(Ap)AL(p))Ψた,σ。 (L5。7). 五一1(Ap)A五(p)は,κをL(p)κ=pに,次にそれをApに,最後にそれをκにもどす変換である。 っまり,. W(A,p)≡L『1(Ap)A五(p) (L5。8).
(14) L相対論的量子力学. 9. とするとW馳レ=酬.この変換VV生は,酬を不変に保つ斉次Lorentz変換の部分群である. この部分群をlittle群という.演算子U(W)の作用は,. U(W)ΨゼΣPグσ(W)Ψκ,〆 (L5.9) σ’ であり,係数D(W)はlittle群の行列表現である,任意の要素W,卯について,. 0〆.(卿)一ΣP♂〆(卯)P〆σ(W) (L5・10) σ” が成り立っ.特に,式(L5.9)を式(L5.7)に代入すると U(A)ΨP,σ一N(P)ΣP〆σ(W(A,P))U(L(Ap))重》・. σノ PがApのときの式(L5.6)から,. U(A)%(趨))琴恥(W(へP))Ψ (・ふ・・) σ っまり,変換則(L5.4)の行列0。・σを求めることは,正規化定数を別にしてhttle群の表現を 求める問題になる.. これからは,質量ハ4>0の1粒子状態のみを考える.標準運動量酬,κ’μをもつ状態が直 交するように選ぶ: (Ψ烏’,σ’,Ψκ,σ)=δ3(ピーk)δσ’σ。 (1.5.12). これから,1it七le群の表現はユニタリであることが分かる:. P†(r)=P−1(r). (1.5.13) 演算子U(A〉のユニタリ性より,任意の運動量状態間の内積は, (ΨP’σ’,ΨPσ) = 〈r(P)(U『1(L(P))ΨP・σ・,Ψκ,σ). 一〈r@)酵ψノ)劣σ、(唄L−1(P),P’))δ3(kノーk).. 但しκ’…L一1(p)p’とした,また,κ二L−1(p)pより,δ3(k’一k)はδ3(p’一p)に比例する.. p二p’のときを考えるとVV(L−1(p),p)こ1より, (ΨP’,σ・,ΨP,σ)判亙(P)12δσ’σδ3(k’一k). (L5。14). pについての任意のスカラー関数∫(p〉の一p2=M2≧0,po>0に対するLorentz不変積分は. 次のように書ける1 ∫d4Pδ(P2+嚇o)∫(P)一∫43P⑫・δ((P・)2−P2−M2)θゆo)∫(”o). 一∫礁漂)・.
(15) 1,相対論的量子力学. 10. ここでθは階段関数で,の≧0のとき,θ(z)=1,¢<0のとき,θ(の)=0である.質量殻. p2+ルf2=0の上で積分するとき不変体積要素は,. d3P/評 (1.5.15) であることが分かる.F(p)≡∫(p,V冊)とするとδ関数を含む式. F(P)一∫F(ゴ)δ3(Pづ)d¥. 一∫咄両緬)]轟 から,Lorentz不変デルタ関数は,. 廊δ3(P’一P)一P・δ3(P’一P) (・。5。・6) であることが分かる.pノ,pはそれぞれLorenもz変換双p)によってκノ,κに関係づけられるので,. poδ(PLP〉三κoδ(k’一k). これを式(L5.14)に代入して,. む (%鰯一iN(P)i2δ♂σ景δ3(P’一P)・ (L5・・7) 慣習によりN(p)を次のようにとる:. N(P)一V諏. (1.5.18) このとき (ΨP’,σノ,ΨP,σ)一δσノσδ3(PLP). (1.5。19). 質量が正である粒子の場合のlittle群は3次元回転群である.そのユニタリ表現は勿+1 次元(ブ=o,奏,1,・一)のユニタリ既約表現jD免の直和に分解できる.無限小回転を&κ二 臨+0晒,∈漏=一〇緬とすると,. 伽)一P夢み(・+e)一δ♂σ+1曜))♂σ, (L5・2・) (魂)土嬬))σ’σ一(翠±誘ゴ))σ’σ (1.5.21). 一δσノ,σ±、一, (塩))σノσ一(靖ゴ))σノσ一σδσノσ,σ⇒,振1,…,一ブ。 (1.5.22). 質量M>0,スピンゴの粒子の場合,式(L5.18)を式(1.5。11)に代入すると,. U(A)㌦一厚写P9猟P))Ψ一・ (一).
(16) 1.相対論的量子力学. 11. 定理1.5.1Aμ.が任意の9次元回転卯のとき,W(A,P)は全てのpについて耀と等しい.■ 証明, little群の要素W(A,P)を計算するため,κμ二(0,0,0,ハ4)をPμに変換する標準の. ブーストL(p)が必要である。之軸を運動量pの方向に回転する変換をR(ウ)とし,名軸方向の ブーストをβ(lpl)とする:. 1 0 0 0 0 1 0 0 B(IpI)二. 〇〇 ッ 西 o o屑 γ 但し,ッニ〉爵/ハ4である.ブーストL(p)は次のように書ける: L(P)一R(倉)β(lpl)R−1(β). (1。5.24). 任意の回転惚の場合, W(塚,P)一L−1(πP)卯L(P)一R(卿)β一1(Ipl)R−1(卿擁R(倉)β(lpl)R−1(倉).. 回転R『1(π倉)塚R(倉)はz軸を倉方向へ回転し,さらに%倉へ,そしてz軸に戻す。従ってこ. の回転は,之軸まわりのある角θの回転である:. cosθ sinθ 0 0. −sinθ cosθ 0 0 R−1(卿擁R(β)一R(θ)≡. 0 0 1 0 0 0 0 1 R(θ)とB(lpl)は交換するので, レV(塚,P)二R(%f》)B−1(Ipl)R(θ)B(Ipl)R−1(倉)二R(卯倉)R(θ)R−1(倉). である。従って,W(π,P)=πである. QED. 1.6 空間反転と時間反転 空間反転と時間反転の演算子を次のように定義する: P≡U(9,0),T≡U(9,0). このとき次のような変換式が成立する: PU(A,α)P−1 二 U(9A9}1,9α),. (L6。1). TU(A,α)T−1 = U(9A9『1,9α).. (L6.2).
(17) 12. L相対論的量子力学 式(1.6。1)と(L6.2)においてωμ.,6μが無限小である無限小変換. A㌧二δ妾十ω㌧,αμ=6μ, を考える.ωρ.,6ρの係数を等しいとおくと,Poincar6生成子のP,Tの変換性質を得る:. P乞」ρσP−1一汐μρ9レσ」μレ, (L6・3). P乞PρP−1一汐μρPμ, (L6・4) 丁乞」ρσT−1一娩ρ劣σ」μ”, (L6・5). T¢PρT−1一娩ρPμ・ (L6・6) 上式は乞の因数を残している以外は,式(1.4。9)と(1。4.10)と同じである,次に,P,Tが線形,. ユニタリか反線形,反ユニタリかを決定する。式(L6.4)でρ二〇・とすると,Po=Eはエネル ギー演算子である:. P乞EP−1=¢E. もしPが反ユニタリ,反線形ならばPHP一1=一∬である.しかし,EP辺二一PHΨ=一EPΨ. より,エネルギーE>0のどんな状態重についても,エネルギーE〈0の別の状態PΨが存 在することになる。しかし,負のエネルギー状態は存在しない.従って,Pは線形,ユニタリ であり,P,Hは交換する:[P,H]二〇、また,式(L6.6)でρ二〇とすると. 丁乞HT−1=_乞H. もしTがユニタリ,線形ならば,¢を消去するとTπT}1=一H.エネルギーE>0の状態Φ に対して,負のエネルギー状態のTΨが存在することになる.従って,Tは反線形,反ユニタ リである.. Pは線形,Tは反線形と分かったので,式(L6.3)一(1.6.6)を生成子(L4。16)一(L4。18)に. よって書き換えることができる: PJP『1 二 十Jラ. (L6,7). PKP−1二 一K,. (L6.8). PPP−1 二 一P,. (1.6.9). TJT−1 = 一J7. (1.6.10). TKT4 二 十K,. (1.6.11). TPT『1 = _P.. (L6.12). PHP−1二TH’丁一1=H.. (!.6.13). また,.
(18) 13. L相対論的量子力学. PがJの符号を変えないことは古典論と一致している.何故ならば,軌道角運動量はベクトル 積r×pであり,これは空間反転で不変であるからである.一方,TはJを反転する。これは, 回転する物体は時間反転すると反対方向に回転することと一致する.時間反転の角運動量の 変換性(!.6.10)は角運動量交換関係J×J=¢Jと矛盾しない.何故なら,TはJの符号を反転. させ,Tが反ユニタリであることからiの符号も反転させるからである.同様に,式(L6。7)一 (1.6.13)は,交換関係(L4.19)一(L425)と矛盾しない.. PとTがハ4>0の1粒子状態にどのように作用するかを考える. 空間反転Pの場合,1粒子状態甑,.はP,H,ゐの固有ベクトルとして定義する.従って, κ二(0,0,0,M)よりその固有値はそれぞれ0,M,σである.式(L6.7),(L6.9),(L6。13)より. P臨,σの固有値もそれぞれ0,ハ4,σになる.そのため,固有状態の縮退がなければこの二つの. 状態は物理的に同じ状態であるので位相だけ異なる: PΨ鳶,σニησΨκ,σ・. 但し,1ησ卜L 定理1.6.1ησは,σに依存しない.. 一. 証明. 式(L5.21)より,. (溢ゴ)±畷ゴ))Ψκ,σ一一臨,σ士1.. (L6ユ4). ゴは粒子のスピンを表す.この両辺にPを作用させると, ησ=ησ土1・. QED. 従って,ηはσに依存しない.. 位相ηはσに独立なので, PΨた,σ=ηΨκ,σ・. (L6.15). 位相ηは粒子のパリティと言い,粒子の種類のみに依存している. 式(L5.6)と(L5。18)より,有限運動量状態は, Ψp,σ=〉砺δu(L(P))Ψん,σ.. 夕双p)9『1=L(9p),夕p=(一p,〉秤)1を使うと上式は,2 PΨ,,σ = 〉砺δU(五(9P))ηΨ発,σ. =ηΨ9P,σ・. (1.6。16).
(19) NOTES 14 時間反転丁の場合,式(L6。10),(L6。12),(L6。13)より1粒子状態丁凱,σのP,∬,ゐの固有値. はそれぞれ0,ハ4,一σである.3従って TΨκ,σ=ζσΨκ,_σ・ く。は位相因子である. 定理1.6.2. くσ一ζ(一1)ゴーσ (1.6.17). ■ 証明. 式(1.6,14)に演算子丁を作用させると,TがJ,乞とそれぞれ反交換するので,. (一」1±¢」2×σ凱,一σ一》一ζσ士、凱,一σ干、.. 式(1.6.14)から(」1土¢」2)臨r.=V一凱,一σ土1.これを上式に代入すると, 一くσ二ζσ士・.. っまり,ゴは整数か半整数でσが1変化すれば符合が変わる.従って,ブ=σのときの位相因. 子をくとするとくσ=く(一1ソーσと書くことができる. QED 以上のことから, TΨκ,σ=ζ(一1)ゴーσΨκ,_σ. (1.6.18). 位相くは粒子種のみに依存する位相である。. g双p)gd=L(9p),9p二(_p,V評)4を使うと,式(L5.6)は,5 TΨP,σ一ζ(一1)ゴーσΨ9P,一σ. (1.6.19). Notes 1PニL(P)たより9P−9L(P)ρ 1疎二9L(P)9『1κ。 2PΨP,σ=V砺δPU(L(P))Φん,σ=》砺δPU(L(P))P−1PΨκ,σ二》砺δU(夕L(P)9−1)ηΨた,σ. 3P(TΨκ,σ)=一TPΨκ,σ=0。H(丁重え,σ)=TH重発,σ=M(TΨκ,σ).」3(丁重κ,σ)=一TJ3Ψκ,σ=一σ(丁重κ,σ),. 4p二L(p)たより9p=9L(p)9}19た=9L(p)9−1(一た).従って,ρp;(一9)p=9L(p)9一矯. 5TΨ盆σ一. TU(L@))敷σ一伊TUT−1丁臥,σ一藩咽夕P))ζ(一・)ゴーσΨκ,一σ・.
(20) 2章 散乱理論 いままでの議論は,1粒子安定状態のみに当てはまる.二つ以上の粒子が相互作用する状態は 安定状態ではないが,我々はそのような状態の結果に興味がある.衝突(相互作用)の前と後 の物理状態では,全ての粒子は相互作用できないほど遠く離れているので,その状態は1粒子 安定状態の直積として記述できると考えられる.また,実験で測定されるものは,粒子の初期. 状態から最終状態への遷移確率分布である.この章では,その確率を計算するために使われ る理論にっいて述べる.. 2.1 1nとOut状態 相互作用をしていない粒子からなる状態は1粒子状態の直積として表されると考えられ る.その1粒子状態にラベルをつけるために,4次元運動量グ,スピンのz成分σ,粒子タイ プを表すπを使う.U(1,α)U(A,0)=U(A,α)であるので,式(1.5.2)と(1.5.23)から,非斉次. Lorentz変換の変換則は, U(A,α隔のη1;…;pNσNπN一θ一¢(An)α…e一琶(A )u(Ap・)1’H(会PN)o(2.・.1). P1”。PN xΣ瑠、(W(A,P・))…瑠N(W(A,PN)) ケユケ ×ΨAp、δ1π11…IAPN卿N・ W(A,p)はWigner回転(1.5.8)であり,D9む(四)は3次元回転群の(2ブ+1)次元ユニタリ表 現である。この状態は式(L5,19)と同じ様に正規化される:. (Ψpiσiπ生1…IP聾σ矯7ΨP1σ1η11…IPNσ融) (2。12) 一δ3(Pl−P1)δσiσ、δ塵1…δ3(P鎗PN)δσ勾σNδη知πN土permutati・ns.. 土permutationsの項は,粒子タイプη1,・一,ηNの置換が喝,…,煽であるときを考慮するた. めに加えた,η1,…,ηNから所,…,煽への置換が半整数スピンの奇数回の置換を含むなら 一,それ以外は+である.. 下添字p1σ1η11…lPNσNηN全体をαで表すと,式(2.1.2)は,次のように簡単に書ける:. (Ψα’,Ψα)一δ(αノーα). (2.1,3). 15.
(21) 2,散乱理論 16 δ(α一α’)は,式(2.1.2)の右辺に現れているδ関数とKroneckerのδの積の和を表している。. 状態の和と積分を次のように書く:. ∫4α≡Σ∫43P・…43 (踊 η1σ1”『πNσ1V Ψαが完全系ならば,. Ψ一∫蜘臥,Ψ)・ (2・L5) 式(2.1.1)の変換則は,相互作用をしていない粒子に適用される。Aμ.=δ㌧,〆=(0,0,0,τ). のとき,式(1.4.27)からU(A,α)=exp(班7)であるので,式(2.L1)からΨαはエネルギーの. 固有状態である:. HΨα二EαΨα. (2.L6) 但し,このエネルギーEαは1粒子エネルギーの和に等しい:. Eα一パ+pl+…+蘇. (2.1.7) 散乱過程における孟→土○○のときの状態は式(2.1.1)でのように変換される。ラベルα. によって記述される粒子を含む入射状態つまりin状態をΨまで,射出状態つまりOut状態を Ψ一で表す. α. ここでは,Heisenberg表示を扱う.時間の平行移動演算子∬を自由粒子Hamiltonian∬o と相互作用γの二つの項に分けることができると仮定する:. ∬二π。+Vう (2。L8) ∬oは全Hamiltonian Hと同じスペクトルをもつと仮定する:. π。ΦαコEαΦα, (2。L9) (Φα,,Φα)=δ(αノ_α)。 (2。L10). 以後複号は同順とする. 定義2.1.1伽状態とo窃状態は,1∫oでなくHの固有状態である’. HΨ吉一EαΨま. (2.1.11) これらの状態は7→干○○について,. ∫4αビ乞彫9(α)Ψま一∫dα幽(α)転 (一) を満たしているとする.g(α)は,エネルギーのある有限幅の△Eで滑らかに変化する0でな. い振幅である。 ■.
(22) 17. 2,散乱理論 式(2。L12)を書き換えると,. ’∫4α9(α)Ψま一σ呵4α9(α)転 これから,in,outの状態は次の様に書くことができる:. Ψま = Ω(干○○)Φα,. (2。1,13). Ω(τ) ≡ exp(十¢H7’)exp(一乞Eoτ),. (2。L14). 定理2.1.2伽状態とo嚇状態は,自由粒子状態と同様に正規化される.. ■. 証明. Heisenberg表示で考えているので,状態は時間に独立である。その状態にユニタリ 演算子〆Eτを作用させることによって式(2,L12)の左辺が得られる。従って,そのノルムは 時間に独立であるので,τ→r二〇〇の極限のノルムと等しい: ∫4α∫翻一9(α)ず(β)(Ψ吉,Ψま)4ψβピ乞(一9(α)ゲ(β)(Φβ,転)・. 全ての滑らかな関数g(α)で上式が成り立つと仮定されているので,. (蝪,Ψま)一(Φβ,Φα)一δ(β一α)・ (2・L15). QED 次に,式(2.1.12)の条件を満たすエネルギー固有値方程式(2.L11)の形式的な解を求め る.式(2.1.11)は次の様に書くことができる:. (Eα一E。)Ψま一yΨま. 演算子Eα一πoの値は,自由粒子状態Φ。のときだけでなくエネルギー合計がEαと同じエネ. ルギーになる他の自由粒子状態Φβの和のときも0になるので,この演算子は可逆ではない。 y→0の場合Ψ±→Φより,解を「Φα+(yに比例する項)」の様に形式的に書く:. 1 畦一Φα+ yΨま. (2.!.16) Eα一Eo土乞6. 6は正の無限小量であり,Eα一砺の逆数に意味をもたせるために挿入した.自由粒子状態の 完全系で展開すると,. Ψま一転+転薯左・ (一) 艦≡(Φβ,y轄)・ (2・L18) これらをLippmann−Schwingerの式という。.
(23) 18. 2.散乱理論. 定理2.1.3式62,1.1刀は,伽状態またはo励状態についての条件62。1.12ブを満たす.. 暦. 証明. 状態の重ね合わせを考える:. Ψま(孟)≡∫dαε一¢耽士9(α)Ψま, (2・…9). 軌(孟)≡∫4α幽9(α)転・ (2・・2・) 式(2.L19)に式(2.1.17)を代入すると,. 蜘一卿珂喋睾警1β・ (一) 積分の順序を交換し,次の積分を考える:. 雍・∫d・睾蕪・ め→一〇〇のとき,躍の積分変数Eαの積分路を閉じた上半円にとる.円周上の積分は exp(一¢Eα孟)の因数により0になる.積分は上半平面にある特異点からの寄与で与えられ る,一般にg(α),瑞は虚部が正の有限値である特異点をいくつかもつかもしれないが,上半 円ではそれらの寄与はオ→一〇〇で指数関数的に減少し0になる.従って,(Eα一Eβ+殉}1. の特異点のみが残る.(Eα一Eβ+勾一1は上半円を考えるとき特異点をもたない.よって,. 孟→一〇〇のとき考は0になる。同様に,孟→○○の場合,布は積分路を下半円にとること で,この極限で0になることが分かる.Ψま(オ)は,式(2。L12)の定義条件と一致してε→二FOO. の場合Φ9(6)に近づく。 QED. 2.2 S テろrlI. 実験家は,一般に診→一〇〇のときにある状態を用意し,この状態が孟→+Ooのときにど のような状態になるかを観測する.オー→一〇〇で粒子内容がαである状態を用意したとき,そ. れはin状態Ψよであり,孟→+oOで粒子内容がβである状態を観測すれば,それはout状態 卑である・. 定義2.2.1状態αから状態βへの遷移確率振幅をSβαとすると, sβα一(Ψ彦,Ψま). である.. (2。2.1). 1. この複素振幅の行列をS行列という。相互作用がなければα,βが同じになるので,Sβα= δ(α一β)となる。従って,遷移α→βの反応率はISβα一δ(α一β)12に比例する..
(24) 2.散乱理論 19 in状態とout状態は同じHilbert空間にあるので,どんなin状態もS行列(2.2.1)で与え られる展開係数でout状態の和として展開できる:. 嶋一Σ(Ψ評よ膵一Σsβα卑・ β β. 定理2.2.2Sβαは,ユニタリである, ■ 証明。 完全性関係(2.L5)を使うと, ∫4βs為sβα一∫4β(Ψす,Ψ戸)(Ψ厚,Ψよ)一(Ψす,Ψよ)・. 従って,式(2。1。15〉より,. ∫4βS御Sβα一δ(ツーα)・ (2・2・2) つまり,S†S二1.同様に,. ∫ dβSγβS議β=δ(ッ_α). (2.2.3). 従って,SS†二L QED 定義2。2.3自由粒子状態に挟まれたS演算子の行列要素が遷移確率Sβαと等しくなるよう. にS演算子を定義する, (Φβ,SΦα)……Sβα. (2.2.4). I in状態とOut状態の形式的な表現(2.1.13)から次の公式を得る. 定理2.2.4 S 二 Ω†(十〇〇)Ω(一〇〇)=U(十〇〇,一〇〇), (2.2.5) U(7一,7b) ≡ Ω†(7)Ω(7b)=exp(乞Eo7)exp(_¢H(7−7b))exp(一乞π07b). (2.2.6). 1 証明・ Sαβ=(%,Ψよ)二(Ω(+Oo)Φβ,Ω(一〇〇)Φα)二(Φβ,Ω†(+○○)Ω(一〇〇)Φα)・ QED. 定理2.2.5. Sβα一δ(β一α)一2乞πδ(Eα一Eβ)艦・ (2・2・7). 1.
(25) 20. 2.散乱理論. 証明, 式(2。L21)のin状態について考える,Eαでの積分路を閉じた下半円にとる。肱,g(α). が特異点をもっていても下半平面でのそれらの寄与は孟→○○で指数関数的に減少し0にな る。従って,(Eα一Eβ+¢6)}1からの寄与のみを求めればよい。Eαでの積分路はEα=一〇〇. からEα二+○○へ向い,大きな下半円を通り元へもどるので,Eαでの積分は,(被積分関数の Eα=Eβ一庇での値)×(一2¢π)になる,すなわち身において孟→+○○の場合,6→〇+の極 限で次の様になる:. か一2乞πε一 ∫4α9(α)艦δ(恥妬)・ 従って,4において孟→+○○の場合,式(2。121)は, Ψ’(オ)一∫4β〆Eβε9(β)Φβ一2¢π∫dβΦβe一 ∫ぬ9(α)駄δ(盈一動). 一∫dβε Φβ[9(β)一2乞π∫4略一鰯)9(α喘 (22局 式(2。L19)のΨすをout状態の完全系で展開すると,. 蜘一∫4αθ 9(α)μβΨ轟 エネルギーは保存するのでSβαは因数δ(Eβ一Eα)をもつ.従って,上式は次のように書き換 えられる:. 蜘一∫4βΨβε プ4α9(α)砺α・ Out状態についての定義(2.L12)により,次の漸近的振る舞いが成立する:. Ψす(孟)一∫dβΦβビ吋4α9(α)臨・ これと式(2.2.8)を比較すると,. ∫dα9(α)Sβα一9(β)一2¢π∫dαδ(耶β)9(α)艦. 一∫4αδ(β一α)9(α)一2ψαδ(盈一Eβ)9(α)蹴・. よって式(22.7)が成り立っ。 QED この結果からS行列の簡単な近似公式を得る。弱い相互作用yの場合,式(2.L18)のin 状態と自由粒子状態との差は無視できる.従って,式(2.2,7)は, Sβα鯉δ(β一α)一2乞πδ(Eα一五1β)(Φβ,1VΦα),. これはBom近似である.. (2.2.9).
(26) 21. 2.散乱理論. 2.3 S行列の対称性 「いろいろな対称変換でS行列が不変である.」ことの意味を考察し,その様な不変性 を保証するHamiltonianの条件を求める.. Lorentz不変性 どのような固有順時的Lorentz変換の→Aω+αについても,式(2.L1)のようにユニタリ演. 算子U(A,α)をin状態に作用するものとout状態に作用するものとを別々に定義できるが,. Lorentz変換でS行列が不変であるためには,U(A,α)がユニタリであるのでin状態とout状 態におなじユニタリ演算子U(A,α)が作用することが必要かつ十分である.. 定義2.3.1伽状態とo窃状態の両方に同じユニタリ演算子U(A,α)が式62。1.1ノでの様に作. 用するとき3行列は加7θ嘘不変であるという, Sβα=(Ψ厚,Ψよ)=(U(A,α)Ψβ7U(A,α)Ψよ)・. ■. 上式に式(2.1,1)を使うとS行列のLorentz不変性の性質が得られる:. 魯iσi嘔σ鋤;…卿1σ1π11P2σ2π21… (23・1) = exp(乞αμA∼.(P’Y十P峯十じり・一pY−P蔓一… )). ×Σ瑠1(W(A,P・))瑠、(W(A,P2))… ケ ケ . xΣ峨(W(A,pl))峨(W(A,Pも))… δiδる… xSAp1δiπ11A嘱π会1…,Ap、δ、π、IAp2∂2π21・・辱・. 上式の左辺はαμに独立なので右辺もαμに独立でなければならないので,p,Y+p’5+…一爵一. 躍一…=0.っまり,4次元運動量が保存する,従って,S行列の相互作用を表す部分は次の 様に書くことができる: Sβα一δ(β一α)一一2π乞物αδ4(Pβ一Pα). (2。3.2). 次に,S行列のLorentz不変性を保証するHamiltonianの条件を求める,in状態またはout状 態Ψαに対する変換(2.L1)と同じ様に自由粒子状態Φ、に対してもユニタリ演算子砺(A,α) が定義できる, U・(A,α)ΦP1σ、η、1…IPNσ脚=exp(一¢αμAμレ(py+…+P鈴)). ×(Ap慧酬Σ喋(w(へ物))…胤(隔)) σ1”9σ1V ×ΦAp、σiπ、1・一IAPNσ勾ηN・.
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