首長主義の下に於ける不信任議決の効果論
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(2) . 第7巻 第2 号. 北海道 学芸大学紀要 (第一部). 1年12月 昭和3. 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論 己. 正. 中. 田. 北海道学芸大学釧路分校法政研究室. M[asa i 1 ANA・ (A : ] α ・. f iveness of a・non‐Con6dence on the Ef ect. f‐Government on Pres Resolut ion in the LocaI Sel ident ial ism. 次. 目. 晶. 序. 地 方議会の解散の適否に. 二. 関する若干の問題. 地 方議会の解散 解散概念の再吟味と地方. 皿 W. 議会の解散の意義. 1. 序 ・. 地方公共団体の長の辞職 結. 言. 言. 新 憲 法 下、 国 民 主権 原 理 に 則 り、 中 央 政治 に あ っ て は 議 院 内 閣 制. Par l iamentary Cabinet. Sys t em が確立され大権内閣制を排除するとともに、 地方政治に於いては、 議院内閣制をとらず権 ident I Sys i 力 融 合 の 原 理 を排 して、 大 統 領 制 Pres tem 換 言 す れ ば 首 長 主 義 を 確 立 した。 わ が 国 a. 政治構造に於ける民主的再編成に外ならない。 然るに、 地方住民の直接主義の上に 担われた、 地方自治に於ける首長主義は、 わが国にあっては I Se l f じめて採用された外来的方式であり、 制度上全くの未開の領域に属す る。 地方自治 Lo ‐ ca Gove rnment 戦後十一年の歩みは、 幾多の問題 をともないつつ、 首長主義自身に対する批判もい よ い よ 加 え ら れ つ つ あ る 今 日、 権 力分 立 separat i on of powers の 下 そ の 独 立 を 保 持 しな が ら、. 権力相互間の均衡を期するとともに、 その対立調整のための 「首長主義の下に於ける不信任の議決 ) と して、 こ こ で は不 信 任 の 議 決 制 度」 の 一 班1. lut ion の 効 果 に つ い て 考 察 eso noncon6dence r. し、 い さ さ か地 方 自 治 法 第178条 の 解 明 に 資 せ ん と す る も の で あ る。. 78条は、 第 1項で、 長は議長より不信任の 議決の通知をうけ 地方自治法 (以下地目法と称す) 第1 た日から十日以内に、 「議会を解散することができる」 とし、 第2項で、 ①長は議長より不信任の 議決の通知をうけた日から十日以内に、 「議会を解i 致しないとき」 長はその 「十日の期間が経過し た日に失職する」 ② 「解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があったとき」 、 「議 長から長に通知された日に失職する」 ものと規定した。 要するに、 長についていえば、 館散後初の議会に於ける不信任の議決が行われたときは、 最初の 不信任の議決とは異り、 議長から通知があった日に法律上当然に長は失職しなければならず、 長は 解散か失職かを自ら選択できない。 不信任の議決をした議会が、 解散によって新たに住民の代表機 関として構成された以上、 議会の機関意思尊重の建前を貫いて、 長の解散権の懇意的行使を制する 趣旨として妥当であろう。 尚、 地目法は、 「不信任の議決は議会の解散を求める有効な直接請求の 58一 -1.
(3) . 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論 2 存する場合に於いてもなしうるや」 、)両者の調整については、 住民の直接請求権の濫用を制 して、 地目法第79条は議会の解散請求権行使の期限を、 議員に関する一般選挙のあった日から一年間及び 解散請求にもとずく投票のあった日から一年間、 これを 制限することとした ( 2 5年法律第1 0 1号) 。か )にもかかわらず、 これを創設 したわが くて、 不信任の議決制は本来首長主義の本質的属性でない3 制度は、結局公選にもとずく独立的存在たる執行と議決の両機関の対立を解決し、事態の調整を期待 したもので、 法効果として、 長の辞職か、 解散の結果としての全議員の資格の喪失か、 何れか一方 の職を失わしめることに存 し、 解散はその一方法として、 最初の不信任の議決 があったとき及び法 の定めるとき (地目法177N) に於いてのみ、 長がそれを決定しうるにすぎないのである。 以下、 首長主義の下に於ける、 地方議会の不信任の議決の効果と して、 一地方議会の解散、 二地 方公共団体の長の辞職、 について考察をすすめなければならない。 特に、 解散については、 衆議院の解散の法理の究明が憲法上なされて、 地方議会にも援用されて きてはいるけれども、 それは旧憲法下にあっては大権内閣制の、 新憲法下に於いては議院内閣制下 の解 散 であ り、 地 方 議 会 に 関 して は、 首 長 主 義 Pres ident ia l i sm の下に於ける不信任の議決 non‐ ion の効 果 と して のそ れ で あ る。 こ れ に 関 す る 独 自 の 究 明 は 多 く 閑 却 さ れ 未 con6dence resolut 、. だ必ずしもあきらかとは解されない。 本稿は小論であるが、 主として、 それらの解明に対するアプ ロ ー チを 試 みん とす るこ と、 一 つ の 目 標 で あ る。 1) 本稿は、 「首長制の下に於ける不信任議決制度論」 (1 地方自治に於ける首長制 の確立 一アメリカの 、 地方自治制度に於ける大統領制、 二わが国の地方自治制度に於ける首長制 三わが国首長制の若干の問題 、 点 = 首長制の下に於ける不信任の議決制度、 一不信任の議決制度の意義、 二不信任の議決手続論 三不 、 信任議決の効果論) の一部で他は別に譲る。 制度の実体諭的考察は拙稿 「ジュリスト」 119号収参照 。 2) プロイ セン憲法57条1後段では 「 ‐…不信任ノ 議決ハヂ B議会ノ解散ヲ求ムル有効ナル国民請願ノ存ス 、 ‐ ル場合二於テハ之ヲ為スコトラ得ス」 と規定 。 3 ) このことより、 不信任の議決制は直ちに議院内閣制 の本質的属性と論定することはできなであろう 明 。 治憲法に於けるわが国の先例。 小早川欣否 「明治法制 史論、 公法 28p 以下、4 .之部 上現」3 58p 以下、49 8一 500P 参照。 山崎丹順 「内閣論」2 89p 参照。 筒アメリカ大統領制 の批判として、 T. K i l t t n e e r .F , Can Repress i ent at ve Government Do theJob? p 0‐ 112 1-3 2p p . 11 . 参議院法制 局 「米国の国会」3 . 参照。 美 濃部蓮吉博士は、 革命前の ドイ ツ帝国及びその各邦、 帝政時代の共和暦十年及び185 2年フラ ンス憲法の解 散権をみとめたが、 議院内閣制を肯定したものではなかったとされている。「議会制度論」現代政治学全集 394p 以下参照。 これに対して 不信任の議決制を以て 直ちに議院内閣制の長所 ・をこれに加えたものと 、 、 する如く解されるものに、 杉村章三郎 「地方自 治綱要」70p 89p 参照。 o 術、 入江俊郎「国会と地方議会」. =. 地方議会の解散. lut i 議会の解散 di sso on については、 もっぱら新憲法下衆議 院の解散に集中し、 焦点は一に解散 権の所在、 いかなる場合に解散できるかの解散権行使の要件等につくされ、 解散それ自体の意義に. ついては、 格別問題がないものとされて来た観がある。 而して、 地方議会. LocaI Sel fgovernment. Assembly の解散についても 従前よりの衆議院の解散に関する学説の援用を出でず 果して問題 、 、. ) の余地が存しないものかは疑問であろう。1 ここに首長主義の下に於ける地方議会の解散の意義を、 衆議院の解散の法理に即しつつ、 之を あ きらかにし、 次いで、 解散にともなう地方議会の若干の問題を考察するにあたり、 まず解散自体の 意義が再吟味されねばならないであろう。. 一 解散概念の再吟味と地方議会の解散の意義 地方議会の解散の意義を明かにするためには、 議会解散の焦点をなす衆議院の解散について ま 、 ず憲法上の学説の考察をすすめなければならない。 一159-.
(4) . 田. 中. 正. 巳. 明治憲法及び新憲法下の諸説は、 便宜上大要四 型にふくまれよう。 すなわち、 ) 明治憲法下の学説についてみれば、 「衆議院議員全体は共任期満了前に同時に其の資 第一説。2 格を消 滅せしめらるることあり、 之を解散と云う」 とされ、 「……解散とは議員の資格を共任期間 1. ) も の と し、 に先 立 ち て消 滅 せ しむ るも の に して 閉 会 中 に 於 て もィ励ま之 を 為 す こ と を 得 る … …」3. )と す る の も、 「衆議院ノ解散 トハ衆議院議員全体ノ任期ヲ期間満了前ニ消滅セシムルラ調フ」4 「解散ノ 、法定ノ期間 未タ満了セサル以前二、 議員ノ地位ヲ剥奪スル処分 ナ リ、 総 議 員 二 対 シ同 時 二 ) と す る も 大 差 は な い。 新 憲 法 下 これ ら の 定義 は 支 之 ヲ 解 散 ト 云 フ ナ リ、 … …」 5 ) 配 説 を な し疑 の な い も の と さ れ て い る。 6. 行 、ル ル カ故二、. 要するに、 「衆議院議員の全体に対し、 その任期満了前に同時に議員たるの地位を剥奪する処分 乃至手続なり」 とされるのである。 ・各議員ノ資格二対スルノ処分 ・衆議院議員ダル資格ノ解除ナリ。 解散ノ 第二説。 「衆議院ノ解散ノ タ リ、 然 し トモ必 ス 全 員 同 時 二 行 フ ヘ キ モノ ナ ル カ 故 二 衆 議 院 ノ 解 散 ヲ 命 ス ト謂 フ。 … … 任 期 未タ. 尽キサルニ突然大権 ヲ以テ全員ノ資格ヲ剥奪ス、 是し解 散ノ効果ナリ。 衆議院解散セラ レタルトキ 7 ) と さ れ る 説 で あ る。 ハ 議 会 ハ 当 然 同 時 二 其ノ 成 立 ラ 失 フ。」. 解散を議員各人の解任処分とみる点を特徴としながらも、 解散は必らず全議員同時に資格を解除 するものとして、 行われる以上 は、 結局は第一説に帰するものとなるが、 全員の資格の剥奪と、「是 し解散の効果ナリ」 とする解散の法効果との関係を、 なにほ どが着 目されている点に、 この見解の ion lut ion ssolut sso , AuH6ssung) は , di 中 間的 性格 が存 す る よ う に 思 わ れ る。 そ れ は、 「解 散 Di. 議会 (叉は共の一院) の議員の全部が其の資格を失ひ、 随って議院が一時そ の存在を失ふことを調 ) ) の 中 に 昇華 せ し め ら れ る も の と な ろ う。 か く て 第 一 説 の 変 型 を で な い もの と 解 さ れ る。 9 ふ」 8 iod l i s aturper . 叉 は 選 挙 期 Wahlperiode の外国 第 三 説。 第--説 の 変 型 説 と して、 立 法 期 間 Leg ion た る と 会 期 外 た る と を 問 わ ず、 「議 法上の概念を導入し解明せんとするも のである。 会 期 sess o )も っ と 適 確 に は、 「同 じ 議 員 の 構 成」 と い う と き、 「総 院 が 同 じ 議 員 に よ っ て 構 成 さ れ る 期 間」、l. 1. これを 「 --議会期 (叉は議会期) 乃至 選挙からその任期 が満了するか解散に至るまでの期間」 1 「立法期」 と解するな らば、 解散は、 「全部の議員について個々にその地位を失わしめるものでは なく、 議員全体としてその地位を失うので あり、 いわゆる選挙期間叉は立法期間そのものを短縮し 2 ) とす る の で あ る。 終 了 せ しめ る行 為 に 外 な ら な い」1. 第四説。 上述の第二第三説がそれぞれ第一説の変型であるとするとき、 典型的に第一説に対し、 議会の消滅に着意するものに、 清水燈博士の独自の見解が明治憲法下夙に存する。 すなわち、 順を いとわず引用するならば、 格 任期 「我 国 ニ テ ・衆議院ノ .解散ヲ集合体ナル議院二対スルモノ ニ解セ スシテ衆議院議員ノ資 ヲ 川十 性憲法第七条ニハ衆議院ノ解散ヲ命スト規定シ叉第1 i 満了前ニ消滅セシメルコトニ解スル人少トa 五 条ニ モ衆 議 院 解 散 ヲ 命 セラ レダ トキ ハ トア ル カ故 ニ 此 ノ 議 院 二対 ス ル モ ノ ニ ア ラ ス シテ 議 員 二対 ス ル モ ノ ナ リ トノ 解 釈ノ・其ノ 当 ヲ 得 タ ル モ ノ ナル ヤ 否 ヤ ラ 疑 ハ サ ル ラ 得 サル ナ リ」 と 指 摘 さ れ、 つ. いで 「議院 ・議員ニアラス衆議院ノ解散トアルラ議員ノ任期満了前ノ資格消滅ト解スルハ文字上不 穏ナルノミナラス如此解散ノ解釈ニ解散ナル語ノ普通ノ用法ニモ異ルモノナリ、 通常集会ノ解散或 ハ 法 人ノ 解 散 ト称 ス ル トキ ハ 集 会 共 モノ ラ シテ 失 形 セ シメ 若 ハ 法 人 共 モノ ラ シテ消 滅 セ シ ム ルコ ト ニテ 其ノ 解 散 ナ ル 処分 叉ノ・行 為ノ・ 要 スル ニ 集 会及 法 人ノ 成 立 ヲ 妨 ク ルニタトナラ サ ルナ リ」 「故 二. 衆議院ノ 解散ナ ル文字及解散ナル語ノ 普通ノ用語ヨリ推定スルトキハ衆議院ノ解散トハ衆議院ラ シ テ 成 立 セ シメ サ ル ニ 至 ラ シム ルノ 処 分 ナ リ ト解 ス ル ラ ,至 当 ト信 ス ル ナ リ. 従 テ議 員ノ 任 期 満 了 前 二. 1 3 資格 ヲ消 滅 セ シ ム ル コ ト ハ解 散 ノ 定 義 ニ ア ナ ス シテ 解 散ノ 結 果 ナ リ ト云 フ ヘ シ」 ) と。 一160-.
(5) . 首長主義下に於けるの不信任議決の効果論 この見解を支持するものきわめて少数ではあるが、 「解散とは、 衆議院の組織を解体放散して、 4 ) とするもの、 「国会が、 衆議院議員の資格を消滅に帰せしめ、 其の成立を消除することである」1 その活動能力を失うのではなく、 その存在を失わしめられることがある。 解散がそれである。 …… 5 1 6 ) もこれに属する。1 ) 解散によって衆議院議員はすべて、 その任期満了前に議員の身分を失う。」 2. 諸説の検討を試みるならば、 第一説 は、 本来の任期中に於ける議員全員の同時的資格の喪失に着眼する。 かりに全議員の資. 格剥奪処分説と称 しうるならば、 これは通説ではあるが次の難点をもつであろう。 すなわち、 第一に、 第四説の指摘されるごとく、 解散は 「議会の解散」 であり「議員」のそれで はないという点で、 まず解釈の厳密性が失 われている点である。 「合議体としての議会」 自体と、 「議会構成者の議員」自身とは別個の観念であって、 合議体としての議会そのものは、 常に必しも議 , 会構成者たる議員の変動により能力上変るものではない。 両者は論理上峻別す べきであり、 解散に 7 ) 第二に、 「議 ついて議会と議員との用語上の区別をなす点は、 ひとりわが国法上のみではない。1 員の全員」 に対 して、 同時的にその資格を喪失せしめる処分と解するとき、 「議員の全員」 は 「現 在員」 に限られる。 これが、 召集されれば常に 「議会を成立せしめ得る議員の全員」 か、 「議会を 成立せしめ得るに至らない場合に於いても、 現在議員の全員」 でも足るか、 両者を区別するものか 明かではない点である。 前者の趣旨であれば後者との区別を明かにせず、 当初から議決能力を欠く 議会の現在議員の全員とは異る 。これらを区別することなく、 解散によって議会消滅の効果を期待 す る こ と は、 会議 の 定 足 数 quorum 乃至補欠選挙 by‐election による補充制を認めている建前か ら、 問題を残すであろう。 第三に、 現行の公職選挙法 (以下公選法と称す) との関係から生ずる難 56 ) 点である。 衆議院議員 の任期は、 総選挙の日から起算の建前をとる (公選法2 。 任期満了による 総選挙がその任期満了前に行われたときは、 前任者の任期満了の日の翌日から起算される。 第一説 7 0 では、 特別会召集前にも解散を可能 としなければならない筈であるが、 憲法上 ( .54参照) それ は不可能であり、 無限定にこの見解を適用できない。 叉任期満了前に行われる総選挙の期日の公示 後の議会で、 解散が可能であっても、 解散に伴う総選挙は行われることはないから、 現行法上難点 を自ら蔵することとなる (公選法31V参照) 。 第四に、 国会法との関係から生ずる難点がある。 議 4 会の活動は召集がなければならず、 会期は召集の当日から起算 (国会法1 ) されるが、 任期は総選 5 6 ) され、 両者は一致しない。 任期を基礎として、 満了前の資格剥奪 挙の期日から起算 (公選法2 処分をいうことは、 上述のごとく必しも十分とはなし得ない所以である。 第四説はかか難点に対し ては、 その存在理由の一班を明かに示すこととなる。 かくて、 議員の任期満了前であっても、 一義的に議会の解散を無限定になしうることを現行法は 期待せず、 合議体である議会の解散である以上、 議決能力を失わしめるところに解散の本旨が存す と解すべきである。 欠員によって議決能力を欠く場合の、 全員の資格を喪失せしめることは、 これ を 含 まな いもの と解 す る こ と は不 当 で あ ろ う か。 而 し て、 こ れ ら を峻 別 す る こ とを しな い議 員 の 資. 格剥奪処分説は、 旧憲法下天皇に対する協賛機関であった衆議院に対する大権中心主義に由来する 法理を、 新憲法下依然踏襲するものと解されないであろうか。 支持し得ない所以である。 の効果として議員各個人の資格を喪失せしめるも の ではなく、 全 第二説 は、 議会の解散は、 そ, 員同時に剥奪することとなるのであるに反し、 第一説に立ちつつ、 この関係必ずしも簡明でない。 すなわち、 第一に、 「解散ノ ・各議員ノ資格二対 スル処分」 説は、 立論上特徴的ではあるが、 「必 ズ 全 員 同 時 二 行 フ ヘ キ モ ノ ナ ル カ 故 二-….解 散 ヲ 命 ス ト調 フ」 と き、 第 一 説 と の 区 別 の 実 益 は 失 わ 8 )と さ れ る こ と、 旧 憲 れ る。 而 して 「解 散ノ・衆 議 院 議 員 全 部 ヲ 相 手 方 ト スル 単 一 ノ 行 政 処分 … …」 1. 法45 条は 「勅命ヲ以テ新二議員ヲ選挙セシメ」 とされ、 新憲法では、 解散から40 日以内に総選挙 -161-.
(6) . 田. 中. 正. 巳. 541 70 ) ( ) の規定等に鑑み、 議員全部の交替制をとることには疑 、 特別会に於ける内閣の総辞職 ( 1 9 ) 第二に 解散自体が全議 はない。 員の資格を剥奪する処分なのか、 議会の成立を失わせる処分 、 がそれであるのか、 この点を分明にしない。 上杉博士は、 この点 「解散ノ ・議員ノ全員ノ地位ヲ剥奪 ス ル モノ ナ ルカ 故 二議 院 其ノ 者 モ 同 時 二 成立 ヲ失 フ ハ、 当 然ノ 結 果 ナ リ、 解 散ノ・当 然 二 閉 会 ヲ 伴. 0 ) と因果関係を指摘され、 美濃部博士も議院の存在の消滅は解散の結果なりと 2 ) その軌を フ」2 、1 一にするが、 それは第二説を整序 した場合の帰結ではあり得ても、 その関係はむしろ逆 であり 第 、 一説を根底に同くするかぎり、 その難点を解消すること はできないのである。 は」 立法期間乃至選挙期間の短縮処分説ということが できよう。 わが国法上、 議会期乃 至立法期 の観念については、 学説上に も未だ問題が存する。 したがって斯る観念を以て説明することには、 難点を伴う事を避け得ないで 第三説. Par l iament S iod 1ature, Legislaturper slature , Legi , legi. あ ろ う。. すなわち、 第一に、 国会について、 会期中だけ活動能力をもつけれ ども、 会期が終ればもはや議 i 会 と し ては 活 動 で き な い 意 味 の 「会期」 sess on だけ を 認 め る べ き で ある の か、 そ れと も そ の よ う. な会期はみとめられず、 議会の活動能力は、 「衆議院の総選挙後はじめて国会が召集されてから、 衆議院議員の任期の満了 または衆議院の解散まで継続」 するものであるのか、 憲法上からはこの点 2 )した 必 ず しも 明 か で は な、い。 国 会法 は 従 来 の 会 期 制 を み と め る も の と した も の と解 さ れ て い る。 2. 3 )第二 がって、 「立法期」 という概念は、 わが国では実際上その必要はないとされる所以である。2 4 2 ) W l h i d が選挙期間 a pero e と 同 一 に 解 さ れ て い る よ う で あ る が、 之 を 「総 選 挙か に、 立法期間 5 ) と解することには問題が存する。 それは 立法の始期が総選挙 後 初 の 国 ら総選挙への期間」2 、 6 ) で、 議 員 の 任 期 の 始 期 と 異 り (公 選 法256 7 会 の 召 集 か ら と さ れ る 点 (国 会 法14) 2 」論 者 .257)、 2. の所謂選挙期間を立法期間と同様に考え、 総選挙から総選挙までの間とするならば、 解散が行われ た場合すでに衆議院は消滅して存在せず、 当然、 任期を有する衆議院議員は存しないにもかかわら 8 ) 解釈論上の不合理を免れ ず、 衆議院の前議員が 依然議員ぇ ;る資格を 継続保有することとなり、2 71 ない。 内閣に関する憲法上の特別規定と難も ( ) 、 厳密には、 内閣総理大臣及び衆議院出身大臣 はその衆議院議員の資格を、 特別に持続するものではないのである。 立法期乃至選挙期間 及び任期 については、 わが国法上並に学説上将来の問題として残されているものが存し、 現行法の予定する ところではないのであるから、 かかる観念の導入は十分 の支 持を得ること困難である。 第四説 は、 これを議会の存在消滅処分説とかりにいうならば、 「閉会」 が会期の閉止を意味す るのに対して、 「解散」 は会期中でも閉会 後に於いても議会の活動能力を消滅せしめるものである。 衆議院については、 解散で自身の存在を消滅せしめらるの であるから、 その結果議員は当然その地 位を失うに至る。 この説は、 「解散」 と 「解散の効果」 を峻別し、 議員の資格を全 員同時に喪失せ しめられるのは 「解散の効果」 とし、 かかる効果を生起せしめる 「解散」 自体については、 それが 0 ) 議会の存在を消滅せしめる処分であると主張する点で、 第一説とは相対立する立場を示す。3 す な わ ち、 第 一 に、 制 度 と し て の 衆 議 院 を消 滅 せ しめ る も の で は も と よ り な く、 合 議 体 と して の. 「議会」 の存在を消除せしめ、 「議会」 の成立を得 ざらしめる処分説である。 議会の解散をこのよ うに解してはじめて、 「議員の解任」 つまり議員の資格の喪失を、 その効果なりと峻別するところ に、 第一説 (通説) のとる概念の混同を避けうる利点をもつ。 「解散が行わるれば、 解散と同時に 1 ) と述べ ら れ る と 議員は任期中にあるにかかわらず、 全議員が議員たる}也位を失うのである」3 き、 それは 「解散自体」 と 「解散の結果生ずる法効果」 との関係を、 明白に示すこととなる。 通説 はこの関係の把握を疎外されるのである。 第二に、 議会の成立を得ざらしめる処分と解するにして も、 その 「議会」 が、 召集されるならば原則として議決能力をもち国会活動をなしうる 「議会」 を -162-.
(7) . 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論. 前提とするが、 果してこの点をあきらかに認めるものか必ずしも明瞭 ではない。 明治憲法下、 「解 散ノ ・議員ノ解任 ナルガ故ニ……萄クモ議員存在スル場合ニハ議会ノ召 集、 開会、 停会叉ノ ・閉会中何 2 )しとして、 単に議員が存在するかぎり、 それら全議員の資格 を喪失させる処 時之ヲ行 フモ妨ナ」3 分が任期満了前になされれば足るとした。 それは常に議決能力を発動し得る議会を前提とするもの か否かを問われないのである。 果して斯る見解が妥当であるかは、 補欠選挙制等にかえりみても 、 甚だ疑問の存するところである。 それは現行の憲法6 9条の解散によると否とにかかわらず同様であ る。 第一説に向け られる斯る批判は、 それと対立する第四説に於いて、 果して補完されうるもの か について論及しなければならない。 清水博士は、 解散権行 使の客体は議会であって議員になしとされ 議員の資格を喪失せ しめるこ 、 とは、 解散の処分自体ではなくその効果なりとされる主張は、 まさに舌 り目し承認されね ば な ら な い。 しかし上述のごとく、 解散を命ぜられる 「議会」 が、 「議会」 であるかぎり差支えなく議会の 議決能力の有無を問われないならば、 それは著しく形式論におちいるものと解さざるを得ない。 博 士の主張の中からは、 この点必ずしもあきらかにすることが出来ないようである 議会の解散が 。 、 有効な議決能力を 有しうる議会のみを前提とするのでないならば それは当初より 「議決能力を欠 、 く議会」 の解散をも肯定 しなければならない。 斯る議会の解散ま ,た可なりとするのであれば、 それ は明治憲法下の天皇主権構造から発出する解散の法理に外ならないのではあるまいか 新憲法下国 。 民主権制の下にあって依然斯る観念を踏襲するならば 解散権濫用の余地を自 ら肯定 し温存するこ 、 ととなろう。 この難点を除き補完するためには 従来学説上明かにされないままに放置され来つた 、 点ではあるが、 議会の議決能力に着意して、 合理妥当なる解散の法理を樹立せ ざるを得ないであろ うo. かく して、 解散は、 議会がその召集によって常にその活動能力を発動しうるにもかかわらず 当 、 該議会の成立を失わしめる処分であり、 議員全体の資格を同時的に喪失せしめることを結果する 。 議員の任期満了とは異るから、 その意味では、 議員についていえば任期の満了前たろをと自明とい わねばならない。 3 地方議会の解散 は 首長主義をとった新憲法下の地方制度にはじめて導入された したが 、 。 って明治憲法下の大植内閣制もしくは新憲法下の議院内閣制と異るのであり 首長主義の下に於け 、 る解散制は、 国法上ひとり地方自治法にもとづいて 之を考察する以外に道はないの である このた 。 めにも、 地方議会の解散の意義が究明されることが必要であろう。 イ) 地方議会の解散は、 上述新旧憲法下衆議院の解散に関する諸説と照応しつつ解明されねばな らなし・。. 地方議会に対する解散権の行使は、 原則としては不信任の議決がなされたことを前提要件とし 、 会期中に不信任の議決がなされ、 之が議長から長に通 知されることを必要とし 法定の手続に拠る 、 限り、 解散権行使の時期は会期中に必ずしもかかわらないものと解される 地方議会が解散される 。 ために は、 前述のごとく、 議会そのものが議決能力を有しうる議会を前提とし 不信任議決の効果 、 としての首長主義下議会の解散は、 斯る議決をな した当該議会の 存在を失わしめる 乃至は消滅せ 、 しめる処分と解 さねばならない。 地方議会の権能 を行使しうる期 間は 議員の任期とは一致せず 、 、 81参照) 国会の場合と同様に、 立法期乃至選挙期の短縮処分と称することは 困 難 で あ (公選法25 る。. 蓋し、 地方議会の解散は、 「議会」 の解散であり 「議員」 の解散ではない 議会の成立を消滅に 。 帰せしめる処分と解するにせよ、 議決能力をもちうる 「議会」 に限定されるのであって 当初より 、 議決能力をもち得ない 「議会」 を解散の対象とするものでないこと、 補欽選挙制等の制度の存在理 一163-.
(8) . 田. 中. 正. 己. 由よりして明かである。 議会解散の法効果として、 はじめて議員全 体の資格の喪失は結果する。 し iとして、 議会の議決能力を あらし たがって、 当該議会の議員の全体は、 一旦招集されるならば原則 め得る議会構成の全議員という ことであり、 不信任議決後、 長が解散権を行使するまでの所定の期 限中に、 議員が総辞職 general resignation して、 長の解散権行使の対象たる不信任議決をなした 当該議会が消滅した場合には、 解散のあり得ないことは当然である。 この場合、 唯一人の議員が辞職しないで残存しても、 議会の解散がありうるかについては、 之を 3 ) がある (詳細後述)。 しかしながら、 これは明かに解散権の濫用 を免れない。 積極に解する見解3 補欠選挙制の趣旨は解散権の行使によって敢て無視され、 特定の一人の議員に対する懲 罰 的 行 為 i inary measure た る を 出 な い で あ ろ う。 議 員 一 人 を 以 て は 合 議 体 た る議 会 の 成 立 は な く、 di sc pl. 議決能力を有し得ない。 これをも議会の解散と称しうるかは疑 わしいと共に、 通 説に立って一人の 議員を以て「全体の議員」を僧称せしめる事は、 おそらく解散概念の予期したところに反するであろ う。 然らば、 二人だけ議員 が残ったときは如何となれば、 合議体が存在しうること論理に叶うも、 議決能力を欠くこと前者と異らない。 「任期満了前における全議員の資格喪失処分」 と解するとき の議員の全体は、 常に零ならざる以上存在しうるのである。 地方議会の解散が、 不信任の議決をな した当該議会の機関意思に対 して、 その議会を消滅せしめ、 一般選挙によってその是非を住民の総 意に問うて、 あらたな議会を成立させることを目的とするのであるから、 たまたま上述のごとき辞 職しなかった議員--その極限は一人である一一に対 してのみ、 「議会の解散」 を以てのぞむこと はも明かに不合理である。 解散の対象とすることはできないという意味で、 謂 わば議会と称し得な いのを以て議会の存在を仮想し、 解散権の濫用をおかすものと解さざるをえないのである。 首長主義は長と議 会との独立、 均衡の保持による、 政治的安定を目的とする制度としての本質性 にもかかわらず、 首長主義一般の本質的属性ではない議会の不信任議決制をとり入れたことによっ て、 首長の行政権を して、 その濫用を是認するごとき解釈を持することは、 まさに、 首長主義の下 に於ける地方議会の解散の法理を、 埋段せしめるものと云うの外 はないのである。 斯る見解 を生ぜ しめる所以を考えるに、 それは通説的 (第一説) 解散概念の帰結であり、 たとえ清水博 士 の 所 説 (第四説) によるにしても、 いまだ明かにしない盲点より胎生せしめられた結果と、 いわねばなら ないのではあるまいか。 衆議院の解散に対すると同様、 地方議会の解散についても、 従前の諸説の 峻拒さるべき所以が存するのである。 ロ) 解散権の行使は、 首長の自由裁量に於いてなされうるものではない。 地方議会の不信任の議 決に関する、 地目法178条の法上の覇束をうけるので、 憲法上の議院内閣制のように、 国会殊に衆 9 ) 以外にも、 能動的に解散 議院の不信任案 の可決された場合叉は信任案の否決された場合 (憲法6 権の行使を認めうることは凡そ生じないのである。 長の行う解散命令は一つの行政処分であるから、 これに関する能力規定、 すなわち斯る処分を認 容する法令上の規定に よるのでなければ、 解散命令は許されないのであって、 これに違反する場合 4 ) とされたこと、 首長主義にもとくづく地方議会の解散制の当然の は、 取消をまたず無効である 3 帰結とされよう。 しか し、 解散の結果一般選挙が行 われた後に、 解散無効の判決ができるとするこ とには問題 が存する。 要するに、 首長主義が長と議会との対立関係を容認し、 相互の独立と均衡ある存立を建前としつ つ、 両者の協調を保つ ことにより、 地方行政の運用の妙 処を発揮せしめるための、 両権力の協調へ の架橋、 そこに不信任議決制創設の本旨が存する。 住民の直接請求権行使の場合は之をのぞいて、 78条を以て地方議会の解散を規定 したのであるから、 議会の不信任の議決のないところに 地目法1 77N) 解散権の行使はなし得ず、 首長の任意にもとづく解散権の行使は否定される (例外1 。 新憲法 -164-.
(9) . 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論 下、 国会が国権の最高機 関たることを名として、 不信任議決なきところ解散はあり得ずとし、 地方 議会に対する解散権の行使の限定と同一に之を論定するならば、 それは、 国会に対する権力融合の 原理の下にたつ、 議院内閣制下の衆議院の解散と、 他方、 わが国法上独自的首長主義の下に創設さ れた地方議会の解散、 それは権力融合の原理 ではなく権力の分立の原理にヨリ強く立脚している、 このような体制上の相異に混同がみられるためでもあるまいか。 わが国法の全体構造からみるなら ば、 両者は明かに区別することが期待されているものと解されねばならない。 まして、 旧憲法下天 皇の総潰される統治権、 殊に大権中心の原理の下にたつ帝国議会の解散とは、 全く相反すること自 明に属 す ると い えよ う。 1 ) 不信任の議決の後、 解散権の行使前であれば、 餅厳 しない議員が-人存しても解散はできる、 とする見 解。 長野士郎 「逐条地方自治法」506p 参照。 解散請求について、 議- 96po 筒全 員定数 上議会が成立しない 場合でも可能とする見解。 長野、 前示、1 ・ 25.2.25. 25,10 国選挙管理委員会の示している行政実例 (昭23 ) 1 0 1 .4 . .1 .24 . 24 .1 .1 不信任議決及び解散請求に伴う、 地 方議会の解散に関する実質的要件の考察にについては、 拙稿 F地方 議会解散の実質的要件--地方議会解散の法理の一考察--」 (自治研究32巻7号8号参照) がある。 2) 第一、 明治憲法下の学説 副島義一 「日本帝国憲法論」258260p。 上杉慎吉 「新稿憲法逮義」4 29pof i l , 村光恵 「憲法」1 38p。 佐藤丑次郎 「帝国憲法 3po 山崎 5-166p。 金森徳次郎 「帝国憲法要綱」20 ,講義」ー6 叉次郎 「帝国憲法要論」 4 20‐ 22p。 野村.信孝 「改訂憲法大綱」27 4 5po 等 第二、 新憲法下の支持説 美濃部蓮吉 「改訂憲法 2p 「日本国憲法原論」 408po 大石義雄 「憲法 .撮要」36 原論」237p 「日本国憲法逐条講義」60po 渡辺宗太郎 「改訂日本国憲法 .要論」200po 宮樺後義 「新憲法と 国会」124p 「憲法」 260p 「日本 国憲法」521p 3 ・宮編法律学演習講座 7 1p 54p。 清宮四郎 「憲法要論」 1 o満 「憲 法」 234po 大西芳雄 「憲法誰義」4 2p。 田畑忍 「憲法 80p 「憲法学 原 論 中 巻」282po 鵜飼・ 信成 .学」 1 「憲法」 法律学講座155p 8p。 中村哲 「国会」13 8po 田上穣治 「憲法 .原 。 水木惣太郎 「憲法講義」 上巻29 論」16 5p 「憲法要説」17 2p。 原龍之肋 「憲法JI1 00p。 佐藤功 「憲法」47p。 7p。 稲田正次 「憲法提要」2 一円一億 「憲法要論」236po 野村信孝 「憲法 44p。 佐藤立夫 「憲法綱要」23 1p .大綱」「1 。 森三十郎 「日本 国憲法講義」284p。 有倉遼吉 「憲法講‐ 義」7 30p 145po 和田英夫 「憲法ノト 3p。 安部喜一郎 「憲法論」 1 12 5po 「註解 ト」238p i 「徹会科学としての憲法学」1 62p。 川口顔好 「憲法」・ . 」 220p。 小林率朝 o 「憲法 日本国憲法」 上、 169p。 田ロ弼一 「地方議会運営論」119p14 2p 等々。 2p。 磯崎辰五郎 「行政法総論」10 3 ) 副島、 前示、 同 4) 市村、 前示、 同 6) 2) の第二 5) 上杉、 前示、 同 7) 穂積八束 「憲法 75 6p。 ‐47 .提要」 下を4 8) 美濃部、 「議会制度論」39 3p。 9) 上杉、 前示、 4 29 ‐40p 参照 lo) 美濃部 「撮要」356p。 11 ) 中村、 前示、131p。 大西、 前示 40po 田 上、 「原論」 163po 1 2) 「註解」 下巻 (1 )765p。 宮津 「日本国憲法」 354p 参 照。 Anschutz, Kommentar .195 . ,S 13) 満水澄 「国法学第壱網憲法篇」343- 344po 14 ) 松本重敏 「憲法員義」6 30po 1 5) 俵静夫 「憲法」131 p。 16 ) その他、 満水 「逐条帝国憲法講義」346p 参照。 佐々木惣一 「改訂日本国憲法論」19 4‐1 95p 参照。 T. 1う i f一gove i ion 。f LocaI Se lut l 。zaki rnment s Sol ut on ofthe House 。f Represent ves and Di at so s , Di Assemb l y , OSAKA UNIVERSITY LAW RBVIE J .3 .1 . , No ,p. 17) 例えば、 ハンガリー国憲法 「国会ノ通常会二関スル法律」 ( 1 84 8年法律4号) 第三節 「代議院ノ ・継続五 カ年ノ任期ヲ以テ国会へ選出セラル」 第五節 「国王陛下ノ ・集会 シタル通常会期ヲ延長シ、 叉 ハ停止スルノ 権ヲ有ス、 筒五箇年ノ満3前二方 栓テ国会ヲ解散スルノ権ヲ有 シ且斯ノ場合二方 冬テハ新二代議員ノ選挙ヲ命 スルノ権ヲ有ス」 「 ンド憲法8 5 議院 イ =大統領の停会及び解散権は ともに 」 について云うもので議員に 。 、 き ついて直接規定するものではない等 あげられるものは多い 、 。 18) 野 村、 前 示、 276p。. 19). 註 解、 下 巻 (1)、 765p。. 20) 上杉、 前示、429 0p 21 ) 美濃部、 前示、 同 -43 。 22) 宮部 「憲法」254p 参照。 23 ) 大西、,前示、 同 ioず が あ り、 こ の 点 24) アメリカは下院議員の任期中の二年間を ”onecongres と 云 い、 そ の 中 に “sess i はわが国に於ける、 各独立的な会期の観念と興る。 イ ギリスでも解散ま でを ”。ne parl nenご’ と云 い、 l a 最大期間は5年。‐ 参議院孫訳課縞 「合衆国国会関係諸法規」 229p 参照。 25 ) 宮津、 「日本国憲法」3 54p 参照。 6 5一 -1.
(10) . 田. 中. 正. 己. s ches st aat srec鳩 Vg1 26) 満水、 「憲法箱」346‐347p 参 照。 宮 様、 前 示、 同。 C. Bornhak, Preussi . Au”.1 .S . 394 .. 29条は、 「国民議会ハ其ノ立法期間ノ 満了前二単純ノ法律ヲ以テ其ノ解散ヲ決定 A , ず j 、 オーストリ ャ国憲法 於テモ立法期間ハ新二選挙 シタル国 民議会ノ集 会スルニ至ル迄継続ス」 と定め S スルコトラ才 此ノ場合二 I 。 てし・る。. 27) 満水、 前示、 346p 参照。 P. Laband, Das Staatsrechtdes Deutschen Reiches . Au日.4 . Band , Vg1 l .S .315 .. 28) 25) 参 照。. 29) 閉 会については、 「議会の一切の作用 を閉止するもの」 副島、 前示257po 「議会ノ成立ヲ解ク、 会期ノ りフ」 市村、 前示134po 上杉博士は、 「独り両院 ラ シ 75po 「会期ヲ闇ルラ司 終了ヲ示スモノ」 穂積、 前示4 テ活動スルコト能ハサルノ状態二置クノミナラス、 実二両院ノ成立ヲ終止 シ、 帝国議会を解体セ シム ルノ 効果ヲ有」 し、 「閉会後ハ各議員ア レトモ両議院無 シ、 帝国議会ナ シ」 と さ れて い る。 前 示 419‐420p. 421p 参照。 30) イ ンド憲法83条は解散と解散の効果とを区別。 第1項 「参議院は解散されないが、 国会の法律の定める 規定に従い、 議員の約三分の一が二年の期間満了毎に辞任しなければならない」 。 第2 項 「衆議院は、 解 散される場 合を除き、 最初の開会の日に指 定された日より五ヵ年継続 し五ヵ年の期限満了を以て解散の効 果を生ずる」 (圏点筆者) 31) 田 口、 前 示、 115p。 67p。 32) 佐藤丑、 前示、 1 ・氏は積極説を一貫さ 06p 参照。 筒、 住民の解散請求権についてふれて をくならば、 長野 33) 長野、 前示、5 員のみをもってしては、.議会 が 成 立 しな い よ う な れる。 「……現在議員は、 定数の牛数に速せず、 現任議, 場合においても、 議会の解散請求はなお法律上 可能であり、 解散請求が事実上も効力を発揮せず、 従って ● 法律上もこれを行わないこととせ られるのは、 「議員がす べてなくなった とき」 (令102) に 限 ら れ る の 6p。 然 し、 地目法施行令102条は、 解散請求後乃至請求受理後に関する規定で、 議 である」 と。 前示、 19 員一人でも存しさえすれば解散請求がなされ得るものとする趣旨ではない。 全国選挙管理 委員会は、 「議員が定数の牛数に逢せずして議会が不成立の場合でも解散請求ができる」 f {23 とする行政実例を堅持している0 (= . 10 .4。 全 選 管 委 事 務 .2 .25。 昭25 .11 .24。 昭24 .lo . 11。 昭25 ) 参照。 局長回答) 1 0月25日仙台高裁判決参照。 田 上教授は、 「地方議会の解散を違法として、 34) 昭23年 (ナ) 第1号、23年1 議員がその無効確認の訴を起すこ とは判例でも詔 、めているが、 この場合にも、 解散の結果、 一般選挙が行 ・効の判決ができるとするこ とについては疑問がある。 けだ し、 選挙およびこれによって われた後に解散無 1 r能となるから、 このような訴 成立した議会の作用 の効力が不確定で あるときは、 民主政治がほとん ど不i 又する。 … ・が審理することは、 司法権によって政治に重大な干渉 を加えることになり権力分立に! を裁列所 66po 65 ‐1 …」 と指摘されている。 「憲法要説」1. 二. 地方議会の 解散の適否に関する若干の問題. 地方議会の解散は、 議会がその招集によって常にその活動能力を発動しうるにも かかわらず、 議 会の不信任の議決にもとづいて、 当該議会の存在が喪失せしめられる処分であり、 議員全体がその 資格を同時的に失 わしめられることを結果する。 ことに地方議会 の解散をめぐり、 生起すべき主な 2 1 ) 不信任の議決後議員の辞職が生じた場合の解散の )ブ解散権行使の要件の問題、 ( 問題点中、 ( 適否の問題につ いて考察を権行使加え ねばならない。 1. 解散権行使の要件の問題。 地方議会に 対する解散権行使の要件については、 まずこれを国法上に於ける一般的考 察ののち、 地方議会解散の個別的時期に関する考察にすすみたい。 9条のみに限って、 解散権は行 1) 憲法上、 衆議院の解散の要件については、 第7条によるのか5 使さる べきものかについては説の分 岐がみられるところである。 権力の分立の建前を堅持し首長主 義をとる地方自治法は、 権力の調整のため特殊制度として解散制を導入した。 これが憲法上の議院 然し、 一言するならば、 す 内閣制にもとづくブ解散と同様に解し得ないことは、 ,論ずるまでもない。 9条に なわち、 第一に、 衆議院について解散がいかなる場合に行われるがについては、 通説は憲法6 よる解散といえ ども第7 条の解散権発動の一態様と解されている。 国法上首長主義の下に於ける解 散制とを勘考 しても、 この見解は支持されねばならないと既にふれたところである。 衆議院につい -166-.
(11) . 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論 て、 積極的消極的たるとを問わず不信任の議決 が行われた場合の外、 政府の重要政策に対し新たに 民意に問うべき場合、 衆、 参議院のいずれであれそ の双方たるとを問わず、 .政府との対立が予想さ れ或は現にその状態にあるとき、 民意の支持を確認するためには、 解散 しうるとされること、 憲政 の運営上議院内閣 制の歴 史的伝統を継承し、 その一班を法女化 したものと一般に解されている。 地 方議会にあっては、 首長の権限の行使によって自由に議会を解散 しうるとすることは、 長の権限の 優越を意味し、 憲法に保障された首長主義の本質的属性とは称し得ない不信任の議決制の趣旨に反 す る。. 77条Wに限 78条1 要するに、 地方自治に於ける長の解散権の行使換言すれば、 「議会の解散は、 1 1 ) 定される」 ことは勿論であるが、 地目法の全体構造からは、 不信任の議決には関しな い け れ ど 76 条 以 下 参 79 も、 更にその請求期間の制限 ( ) はあれ住民の直接請求権の創設を疎外 し得ない ( 9条に限定されるものと、 狭く解するの要なきもの 照) 。 これらは、 議院内閣制下衆議院の解散が6 78条に限定されるものと、 解 と一般に解されているに対して、 首長主義下地方議会の解散は厳に1 かれねばならないことは特質的相異点であると云い得よう。 第二に、 衆議院の解散は国会の会期中を原則とすべきではあっても、 解散の場合が69条に限られ ないとする通説に立つならば、 法的には解散権の行使が会期外にも及び得ること疑はない。 地方議 78条の場合にせよ、 1 77条の例外なるとを問わず、 解散権の行使自体は時に 会にあっては、 原則的1 閉会後に及ぶことがあっても、 いずれも会期中に当 該議決は行われねばならず、 前者は直ちに議長 からその旨を文書で長に通知され、 その日から十日以内に決定すべきこと法上の義務とされる。 斯 7 7条Wの特別規定をのぞけば、 議会の積極的乃至消極的不信任の議決があった時 だ け に る限定は1 ) のいう長の重要政策となすところのものを否決した議会に対しても、 限られるのであって、 論者2 78条の首長主義に伴う特別規定の厳格性が、 長の決定権によっ 解散権の行使を肯定することは、 1 て揺がされる危険を生じ、 他方憲法の保障する首長主義の制度を、 軽易になしうる議決方法によっ て議会自らがそれを侵害するのおそれも生ずる。 地方自治が中央政治と一貫する議院内閣制を敢て とらず、 首長主譲を特に選んだ区別の実益が失われないためにも、 厳格に解さるべきであろう。 その外、 更に、 総選挙後の特別会に於ける内閣総辞職の義務 (憲法70後段) に対して、 解散後初 の地方議会に於ける長不信任の再議決の場合、 地目法は新議会の解散を禁じて長は法上辞職すべし 8=) との相違は、 両権力の相互の独立と均衡と抑制を貫く首長主義と、 特に国会 とした規定 (17 .異ならしめる法の趣旨を勘考すべきであろう 而して の信任に依拠する議院内閣制の場合とを、 。 、 議長から議会不信任の議決がなされた旨の通知を受領する以前に、 長が地方議会の解散を行った場 , 合 の効力 については、 これは178条の 「十日以内」 が、 解散権行使の期間か将叉期限と解す べきか については、 それは解散権行使の期間を規定した′ ものではなく、 むしろ解散権行使の期限と解する 7 8 条の予定するところではないにしても、 之をも無効の解散処分なりと のが妥当であろうから、 1 ) する こ と は、 凡 そ 妥 当 で は な い と 解 す る 点 を 指 摘 して き た い。 3. n) 地方議会解散の個別的時期については、 H 任期満了と解散の時期、 口 議員の辞職と解散の 時期、 との関係に分けて考察されよう。 更に前者は、 イ) 議員の任期満了の一般選挙が行われた 後、 議会に於いて不信任の議決がなされた場合、 解散は行われうるかの問題、 ロ) 議会の不信任の 議決が行われた後、 長の解散権の行使される以前に、 議員の任期が満了した場合、 解散は行われう るかの問題が存する。 後者は、 不信任の議決が行われた後議員が辞職した場合解散は行われるかの. H について考察 し、 鈎 は節を改め.て論ずることとする。 イ) 議員の任期満了の一般選挙が行われた後、 議会に於いて不信. 問 題、 に 大別 さ れ る が、 こ こ で は (一) 任期満了と解散の時期. よる÷般選挙が更に行われるかの問題がある。 任の議決が行われた場合、 解散に. -167-.
(12) . 田. 中. 正. 巳. 公選法33条・ 1によれば、 議員の任期満了による一般選挙は、 その任期が終る日の前三十日以内に 行われる。 而して、 任期満了 の一般選挙の告示がなされた後、 その任期の満了すべき日前に議員が すべてなくなったとき、 更にこれらの事由による選挙の告示は行われず、 任期満了による選挙の期 3 3 日前に議会が解散されたときにのみ、 任期満了による選挙の告示はその効力を失うにすぎない ( m)。 本条の趣旨は、 任期満了の選挙の期日前に解散されたときだけ、 解散に基づく一般選挙は行 われるが、 任期満了の一般選挙が行 われた後に、 更に解散に基づく一般選挙は行われないことを示 す。. 問題となるのは、 不信任の議決があった以上、 長は解散権を行使しうるにもかかわらず、 法上こ れを行わないとする便宜措置がなされている点である。 従って、 たとえ一般選挙後初の議会で不信 任の再議決が法定の要件をみたして行われても、 任期満了の一般選挙を前提す る限りは、 長のみ一 方的に当然失職すべしとする法効果のみを期しうるものかについては、 現行法に 則とり消極に解す るの外はない。 「たとえ解散後の最初の招集に応ずる議会が、 その実は解散処分前に行 われた選挙により選ばれ 78=) は当然に働き、 ここで再度不 信任議決がなされたとき たものであっても本条二項 (筆者註1 )との見解が存する。 然しながら、 それは改選後の最初の議 は長は失職すると解 さざるを得ない」4 会だけに限定された問題であり、 地目法は他方では、 住民の直接請求権による議会の解 散、 長の解 職は可能とされ、 次議会をまつ迄もなく不信任議決 の機会も保障されているのであるから、 斯る便 宜規定 (公選法33参照) に伴う不合理性の解決は、 これらの方法により治癒すべきものとする法の 期待があると解すべきであろう。 首長主義の本質的属性としない不信任議決制の特別規定は、 地方 自治法上その特質に注目されるならば厳格に解さるべきであるからである。 口) 議会の不信任議決の後、 長が解散権の行使をなしうる十日以内に、 議員が任期満了となった 場合、 解散しうるものかについては消極に解さるべ きである。 8条による限り、 会期中であれば議会は長に対する不信任の 議決を有効になしうることに 凡そ17 は問題はない。 当該不信任の議決の後、 議長の通知があってから十日以内、 長の解散権行使前に議 員が任期満了したときは、 不信任の議決をした議会は実質上存在せず、 解散に伴う一般選挙を行う の余地はない。 長は、 十日間の徒過をまつまでもなく失職することなく、 不信任議決は法上の効果 を来すことはないと解する。 解散さる べき議会が消滅したとき、 任期満了による一般選挙後の初の議会に於いて、 不信任の議 78 条の効力は解散に伴う選 決が再び行われても、 長が法上当然に失職する効果を生じないこと、 1 挙後の初の議 会の議決に関する規定であるから、 もとより当然である。 解散権の行使ができない場 )法定の条件が 合には、 長は失職する以外にないとする見解は、 法理上支持することはできない。5 みたされ、長が選択する限り解散できるにもかかわらず解散権行使をしない場合、長の辞職は問題と なりうるが、 当初から解散不能のときには、 長の辞職の生ずる余地のないこと自明だからである。 2 不信任の議決後に於いて、 議員が辞職・ した時の解散の適否の問題。 不信任 の議決の効果として生ずる、 長の解散権の行使叉は辞職の択一を決する前に、 議員が辞職 した場合にも解散はなしうるものか、 その適否如何の問題 がここでの考察の対象となる。 それは一 )不信任の議決後に於いて議 義的に論定することはできない。 まづ、 H 議員辞職の適否の限界、 に 員が辞職した時の解散の適否、 に分けて検討しなければならない。 前者については、 イ) 一般的限 界の考察、 ロ) 個別的議員辞職の限界の考察、 が加 えられねばならない。 後者については、 イ) 議 一部の辞職の場合、 口) 議員の総辞職の場合、 に分けうるであろう。 員の‐ 31 ) で、 任期は特別 規定あるものの (一) 議員辞職の適否の限界。 議員の任期は四年 (地目法9 一168一.
(13) . 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論 9 3虹前後) の建前であるが、 議員は議会の許可を得て辞職することがで 外一般選挙の日から起算 ( 1 きる。 但し、 閉会中にあっては議長の許可にかからしめている ( 2 6) 。 而して、 議長或は副議長の 辞職については、 議会の許可を得て辞職し得ること普通議員と同様である。 但し、 副議長について は、 議会の閉会中にあっては議長の許可を得て辞職できると特別規定 ( 1 08 ) されている。 イ) 議員の辞職許可願の拒否の限界については、 地目法126条は議員が自己の懇意に基づいて、 濫りに辞職することを抑止する趣旨であり、 その外公選した民意に添わない事情或は辞職させるこ とが議会の権威を損う場合等、 を慮った統制上の自治的規定と解すべく、 いかなる場合でも議 会 叉 は議長が、 議員の辞職を絶対的に阻止できるかについては、 之を消 極に解すべきであろう。 判例は、 「如何なる公の機関といえどもその裁量の範囲にはその権限を与えた法律の精神に基く 条理上の限界があり、 著しく裁量の範囲を逸脱してその権限を不当に行使することは許されないの ’而 して 「辞職拒否につい であって、 そういう行為はもはや有効な行為と見ることはできない。 」6 、 ても正当な理由があるかは具体的な場合によって異り、 議員が辞職を求める理由と議会がこれを拒 ’「その議員の辞職が、 議会の権威を損う事情のない限り、 議 否する理由との比較衡量の問題で、」7 会または議長に対する辞職の意思表示だけで足り、 その許可はも早やこれを要 しないものといわな ) したがって、 例えば議会の許可は 「公選者の本来の同意が法規に基く手続と ければならない。 」8 ) には、 正当な理由なしには拒否できないものと解されねば 方式とにおいて表示されている場合」9 な らな いo. 口) 議員の辞職は、 更に ① 議長、 副議長の辞職、 ② 議員の辞職、 ③ 総辞職、 に分けてその適 否が考察されねばならない。 ①. 議長、 副議長の辞職で問題となるのは、 閉会中の場合である。. a). i 副 議 長 vi rman に つ い て は、 閉 会 中 は 議 長 の 許 可 を 得 て 辞 職 で き る (108) の で あ cecha. i rman については、 特別の規定は存しないからその可否については説は分 か れ るが、 議長 cha 1 o ) これである。 前者の消極説は、 議長が議員としてその辞職を申出ても、 ) と肯定説1 る。 否定論l それにより直ちに 許可されるのではない。 議員を辞すれば議長は自然その職を去ることとなるとす 2 )とするものである。 前述の判例の示すごとく、 正当な理由のあるかぎり、 議長に る議論は、 問題1 対する辞職の意思表示だけでたりその許可はもはや要 しない場合が存する。 要は辞職の許可を求め る理由とこれを拒否する理由との均衡の問題であり、 裁量の範囲を脱した権限の行使は有効行為と 2 6条により副議長の許可を受ければよい。 この場合議長の身分 はみなされ得ない。 この場合 「法1 1 3 ) ものと解 し得よう。 は当然に消滅する」 積極説は、 議会開会中であれば議長が辞職の許可をうけるためには、 本人は除斥されるが、 閉会 中の辞職についても自己に対して行い得ないと解するのが適当で、 副議長の許可をうけることとな 2 6参照) とする見解である。 ここに除斥を理由とすることには問題が存するであろう。 す ろう (1 ) 4 7条の規定が、 議会の会議以外に於いて議長がその職務を行う場合は含まれない 1 なわち地目法11 のであるから、 閉会中議長が議員を辞するに当り、 議長の許可をうける際の 「議長」 については、 議長と しての自己名義に議員としての自らの辞任の許可を願出ること、 法理上必ずしも不当と解す 2 6条に基づき副議長の許可 ることはできないであろう。 したがって、 副議長が存在する以上は、 1 5 ) と す る こ と に も 問 題 が 存 す る。 た だ し 運 用 上 か か る 考 慮 が の ぞ ま れ る こ と と を うけ れ ばよ い 1 、 な ろう。. この点は、 副議長が存在しない場合の議長の辞職は、 一体何 人の許可でたるかについて見解の分 れる所以である。 而して、 副議長が存しないときは 「議長に提出」 すればよいと し、 同一名義で墓 も差支えないとする積極説には問題が生ずる。 む しろ副議長の場合と異り明女の規定をもたない点 -169-.
(14) . 田. 中. 正. 巳. ・ことは妥当でないと で、 議長の議員としての辞職否定説の存在からみても、 徒らに弾力的に解する 7 ) があげられ も解される。 この場合議長は議員を辞し得ないものと解すべきであろうとする見解 1 る。. 7 条による議長の除斥は閉会中生 かくて、 積極 説によれば、 理由は必ずしも明かではないが、 11 ずることがないこと、 副議長も存しないときは自己名義で行う以外 にはないとする解釈 の 上 か ら は、 之を支持することはできるが、 定例議会の開会が年四回以内と改められた点や、 議長に対する 明女の規定を欠く点から考えるならば、 議長が議員を閉会中に辞職しなけれ ばならないとする実際 を認む べき場合も生ずる事となろう。 消極説は、 これに対して、 明文の規定もなく副議長も存 しな 2 6条の適用はなされず、 議長は除斥されることが適当と解される以上は、 議長の いのであるから1 8 ) 議 員 と して の 辞 職 は な し得 な い も の と な る の で ある。1. b) 地方自治法は明文を以てこれらに対 し、 すべてを明かにすることなく解釈論に残す こととな った。 これは単に議長の辞職に関する問題と してのみ解決しうるものではなく、 閉会中、 議長辞職 に当り副議長を欠くか叉は事故のあるとき、 議員が逐次辞職して議長のみ残った場合の議長の辞職 の問題をも含め、 これらとの関連に於いて解釈論上その妥当なる解釈を設定しなければならないで あろう。 08条の規定するところであるが、 閉会中の辞職につい 要するに、 議長、 副議長の問題は地目法 1 ては副議長のみについて定め、 それは議長の存在を前提としている。 議長を欠くか叉は事故あると 7条の除斥も閉会後には適用 はないから、 1 06条の=の適用はなく1 きの副議長の辞職については、 1 9 1 ) この, 点積極説を支持するも不当とは解されない。 叉閉会中議長の辞職については解釈論に残され たものであるが、 副議長存在するとき実際の運用上議長を代理する副議長に手続をとるべきことが 06条=は適用されず、 1 061) のぞましいと解さるべく ( 、 副議長存じないときは、 前述のごとく1 7 条も 閉会後適用の余地はないから、 積極説すなわち自己名義を以て 議長に議員の辞職 除斥規定11 0 0 1 8) ) 但し、 議長副議長の辞職は議会の許可が原則 ( 許可を求め得る と解されねばなら な い。2 :に 斯る措置が一層のぞまれるものとなることは変り であるが、 年四回以内開会の定例会の定は、 時 むまな いo. 0 8後段参照) と、 而 閉会中にあっては、 議長については副議長と同様明女を以てする規定化 (1 して、 議長叉は副議長を欠いたとき、 一方に事故ある場合に於ける辞職手続に対する立法措置は、 解釈上の争を未然に解決するに役立つであろう。 した がって、 問題は存するが実際的運用を顧慮す るとき、地方議会の閉会中、一、 副議長存しない とき議長が自ら議員を辞職することを求め、 同一名義で議長はこれを 許可しうる。 二、 議員が逐次 辞職し議長のみ残ったとき、議長は同一名義で議長の許可に於いて議員を辞することもできる。 三、 ,解されよう。 議長存しないとき、 副議長が自ら議員を辞職することを議長に代って許可しうる、 と ② 議員の辞職についての問題も、 閉会に関する。 現在議 員が会議を成立せしめるに至らず、 議長副議長も共に欠くような場合、 それが閉会中にあ 1 2 6 )。 議長及び副議長ともに事 故のあるときは仮議長を選挙し議 っては議員の辞職はなし得ない ( 1 06=) のであるが、 開会中であれば、 仮議長の選挙はできない。 この場合、 長の職務 を行わせる ( たとえ予め議会から委任され議長の選任した仮議長によって、 「暫定的に議会を運営するのが時宜 Q7条の規定による年長議 に適すると思われる場合も少くないが、 かかる ことはできない。 速かにI 1 員の主宰の下で、 議長及び副議長の選挙を行 わねばならぬ」2) ものと解されて いる。 尚、 行政実例は、 閉会中、 議長副議長ともにない場合について議員の辞職がなしうるものかにつ き、 「議長は年長の議員の許可を得て辞職することができるかについて、 之を可能と し、 年長の議 -1 70一.
(15) . 首長主義の下に於ける不信任議決の効果論 員は他の年長の議員に、 許可を受けるべき議員が全くないときは、 当該議員に辞表を提出すること 2 )とする積極説が示され ている点注目すべきであるが、 他方 議会が成立せず 議長副 ができる」2 、 、 議長共に欠くような場合、 現在議員が辞職 しようとするときは、 12 6条の適用の余地なくその目的 3 ) が存在 し、 一貫しない。 積極に解すべき法上の根拠また存 を達 し得ないと解すべしとする実例2 在せず、 「ここまで類推解釈することは如何にも無理があるように思われるので、 寧ろ立法的解決 4 ) とする 見解は妥当である。 消極説が妥当であり、 妬) かかる場 を期待すべきではあるまいか。 」2 合議員の辞職はできない。 6 J しか 2 6条に基ずいて可能なりとすること通説である。2 ③ 議員の総辞職については、 地目法1 し、 議員の総辞職決議を以て全員一挙に同時的辞職をなしうるかについては、 消極に解さなければ 7 ) 蓋 し、 閉会中であれば、 一般議決でなされる議員の総辞職決議は、 反対議員が存 し ならない。2 てもそれが少数なる限り決議は成立する。 それは地方議会の議決を以て法律上の保障たる任期を、 実質的に短縮することとなり明かに違法だからである。 したがって、 地目法上議員の総員が適法に行われる為には、 H 議会開会中であれば、 一は議員 を適宜二組に分け、 議会の辞職許可効力発生の日を同一日に指定して、 交互に許可の議決をするこ 1 3条但書により適法にこれを行うことができる。 ついで、‐議長に と。 除斥による定足数の不足は1 ついては議会の許可効力発生の日を指定して、 議員のそれと同日ならしめ議長の辞職を許可するに ある。 悶 議会閉会中であれば、 一は議長がまず辞職の許可効力が発生する日を指定して副議長の 許可をうけ、 副議 長が存しないときは自己名義で辞職を議長として許可し、 ついで同一日を指定し て議長が他の議員の辞職を許可する方法による。 但し、 前述のごとく、 議長叉は扇議長の何れか一 方が欠けているとき、 その辞職について反対説はあるが積極に解すべきであろう。 議長及び副議長 8 ) 議員が逐次辞 を共に欠いたときは、 議員の辞職は生じ得ないこと前述した処より明かである。2 職し議長だけが残った場合に、 議長が議員として辞職することまた可能 とすべきものと解する。 (二) 不信任の議決後に於いて、 議員が辞職したときの解散の適否の問題。 上述し来つた議員辞 職の適否の限界に関する考察を前提とし、 不信任の議決後に於ける議員の辞職の問題が検討されね ば な らな い。. 不信任の議決後解散か辞職か長の意思決定を義務ずけられる、 議長の通知後の十日以内に、 長の 解散権の行使に先立ってなされた議員の辞職を生じた場合に限定する。 勿論、 議員の辞職は長は自 らの辞職を決定通知する以前に、 叉は以後に生ず ることは考えられはするが、 問題となるのは、 長 の解散権の行使との関連が問われるからである。 而して、 解散前の議員の辞職は二つ の場合に生ず る6 すなわち、 H 不信任議決の通知前に於ける議員辞職の場合、 口 不信任議決の通知後十日以内 に生ずる議員辞職の場合、 であるが、 いずれも ” ) 議員の一部辞職の場合、 ◎ 議員の総辞職の場 合、 に分けうる。 然しながら、 不信任の議決通知の前後の別はなされても、 議員辞職の態様により 結局解散か長の辞職かの生起には変りはなく、 両者を区別するの実益は少いので、 ここでは、 不信 任の議決後に於ける議員の辞職の問題は、 g) 議員の一部辞職の場合、 ◎ 議員の全員の辞職の場 合、 に集約して考察するにとどめる。 イ) 議員の一部辞職の場合。 これは辞職した後合議体たる議会が招集されれば成立し得、 その権 ) 議員の一部辞職によって招集されても議会の活動 限を行使しうる状態にあるか否かによって、 a 能力を欠くに至った場合、 b) 議員の一部 辞職によっても招集されれば依然議会の活動能力を有し うる場合、 の二つの場合が生ずる。 前者では辞職の結果、 現在議員一人を最小限としそれ以上議員 定数の半数以下現在するときと解し得よう。 後者では最少限議員定数の半数以上、 特別多数決をな す場合にはその特定多数の定足数現在する場合がこれに当る。 171一.
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