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スクールリーダーに求められる資質能力 : 教育大学と教育委員会・学校が連携・協働して「学び続ける教員」を支援するために

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(1)Title. スクールリーダーに求められる資質能力 : 教育大学と教育委員会・学校 が連携・協働して「学び続ける教員」を支援するために. Author(s). 笠井, 稔雄. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 65(2): 127-142. Issue Date. 2015-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/7681. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 5巻 第 2号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 5,N O . 2. 平成 2 7年 2 月. 0 1 5 February,2. スクールリーダーに求められる資質能力 教育大学と教育委員会・学校が連携・協働して「学び続ける教員」を支援するために. 笠井稔雄. 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻学校経営研究室. TheF a c t o r so fQ u a l i t yandA b i l i t yt h a ta r eNeededf o rt h eS c h o o lLeader KASAIT o s h i o AdvancedTeacherP r o f e s s i o n a lD e v e l o p r n e n tP r o g r a r n s,G r a d u a t eS c h o o lo fE d u c a t i o n,HokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o日. 概要 教員の職能成長については様々な研究があるが,今後,学校現場における課題が一層高度化・ 複雑化すると学校組織の活性化がこれまで以上に重要になることから,将来従事する,または 現在従事している教師役割や職位に必要とされる知識や技能,行動様式などを,日々の実践や 絶えざる研修を通して修得しようと努力することが決定的要因になると考える。 そこで,教員のライフステージを大学の「養成期」からと考え,「成長期 J,1"発展期 J,1 " 成 熟期」の 4期に分け,それぞれの段階の特徴と課題及び求められる資質能力を整理するととも に,学習指導力,生徒指導力,教育課程経営力及び学校経営力の構成要素を明らかにした。 また,これらの資質能力を踏まえ,教育大学と教育委員会・学校とが連携・協働して学校管 理職候補者(ミドルリーダー)と学校管理職(校長・教頭)を育成する具体的方策を提案した。. はじめに 平成 2 4年 8月の中央教育審議会答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策につい て」は,今後の改革の方向性として「教員になる前の教育は大学,教員になった後の研修は教育委員会とい う,断絶した役割分担から脱却し,教育委員会と大学との連携・協働により教職生活全体を通じた一体的な 改革,学び続ける教員を支援する仕組みを構築する必要がある」としている。 そこで,本稿では,今後,学校現場における課題が一層高度化・複雑化することを予想し,教員個人の指 導的能力の向上だけでなく,柔軟で強靭な学校組織の一員としての資質能力やスクールリーダーとしての資 質能力の向上が必要だという考え方に立ち,教員が各ライフステージで身に付けなければならない資質能力 を整理して代表的なものの具体的構成要素を明らかにするとともに,教育大学と教育委員会・学校とが連 携・協働して学び続ける教員(特にスクールリーダー)をどのように支援していくべきか提案する。. 127.

(3) 笠井稔雄. 教員の各ライフステージに応じて求められる資質能力 ここでは,教員として生きることと,各ライフステージに応じて求められる資質能力について述べる。. ( 1 ) 教員として生きることと教員として成長すること 1 9 7 5 )で , 周知のように,ユネスコの「教員の役割の変化と教職の準備,現職教育への影響に関する勧告 j (. 「教員教育が就職前の準備に始まり,教員の職業上の生涯を通じて継続する,継続的・統合的な過程として 再組織されること」が重要であると指摘され,養成教育と現職教育を統合した教師教育という概念が定着し た。そこで,ここでは教員として生きること,つまり「教員のライフサイクル」を大学の「養成期」からと 考え,教員として成長すること,言い換えれば「教員の職能成長」を「就職前の準備段階から教員として職 務に従事している聞の専門的な職務遂行能力の成長」ととらえる。 このように,教員のライフサイクルと職能成長を考えるとき,教職経験を重ねるにしたがい,大きく 2つ の成長過程が考えられる。 1つは,教職前半における日々の教育活動の展開の中で,子どもを直接指導して いくための力量の成長である。もう 1つは,教職後半における学校の組織的な活動の計画や運営といった経 営的な面についての力量の成長である。 教員は採用され赴任すると,すぐに経験豊富な教員と同じように教育指導を行うことが求められる。教養 審第 1次答申(19 9 7 ) では,教員養成段階で修得すべき水準を教科指導や生徒指導等の職務を著しい支障が. 生じることなく実践できる「最小限必要な資質能力」ととらえ,採用後の初任者研修において「円滑に職務 を遂行し得るレベル」まで高めることを提言している。 ω 一方,学校における組織は,子ども一人一人に充実した教育を行うためにあるのであり,教員一人一人が 組織の意味を理解し,組織人としての自覚をもっとともに,学校課題の解決に協働して取り組むことが強く 求められており,教員の職能成長の最終段階は,教職経験を重ねながらライフステージに応じて職能成長を 遂げ,修得した資質能力の総合的な力量としての「学校経営力」であると考えられる。 しかしながら,教員としての成長は,全人格的な成長過程として考えなければならず,教師としての人格 的な成長と,指導面・経営面の職能成長とを一体的に捉えることが重要である。 そこで,長い教職生活において身に付けるべき資質能力を,大きく「教職に求められる人間性 j,1"指導的 能力 j,1"経営的能力」の 3つに分類する。「教職に求められる人間性」としては,①教育的愛情,②強い使 命感,③高い倫理観,④豊かな教養,⑤教育に関する課題意識,⑥教職に対する向上心,⑦豊かな人間性や 社会性,⑧コミュニケーション力,⑨同僚とチームで対応する力,⑩地域や社会の多様な組織等と連携・協 働できる力が不可欠である。また,「指導的能力」としては,⑪人間関係形成力,⑫専門的な知識・技能, ⑬子ども理解力,⑭学習指導力,⑮生徒指導力の 5つが不可欠,「経営的能力」としては,⑬学級経営力, ⑮学年経営力,⑬分掌経営力,⑮教育課程経営力,⑩学校経営力の 5つが不可欠であると考える。 そして,学び続ける教員には,これら 3つの資質能力をバランスよく身に付けることが重要である。. ( 2 ) 教員のライフサイクルとライフステージ 教職におけるライフサイクルの考え方は,長い教職生活には職能成長のいくつかの段階(ライフステージ) があり,各ライフステージに応じて自分が担うべき役割をしっかり果たしながら,多くの課題を乗り越えて いく過程で教員としての資質能力が向上していくというものである。言い換えれば,これは 1つの「転機」 と言えるものでもあり,その課題を乗り越えることができない場合,大きな痛手を被ることになる。. 0年と見立て,「ステージ I 養成期(大学・大学院)j,1"ステージ E 成長 そこで,長い教職生活をほぼ4. 1 2 8.

(4) スクールリーダーに求められる資質能力 期 (1-10年目)J, 1"ステージ田. 発展期 ( 1 1-2 0年目)J, 1"ステージ町. 成熟期 ( 2 1年目以上 )J の 4期に. 分け,それぞれの段階の特徴と求められる資質能力等を表 1 ・表 2のように考えた。. ( 2 ). (出所)筆者作成. 表 1 教員の各ライフステージに応じて求められる資質能力. 求められる. [指導的能力]. [教職に求められる人間性]. [経営的能力]. (エキスパート系). (ヒューマン系). (マネジメント系). 資質能力 ⑪人間関係形成力. く教職に対する情熱〉. ⑬学級経営力. ⑫専門的な知識・技能. (詳細は下記のとおり) く総合的な人間力〉. ⑫学年経営力. ライフ. ⑬子ども理解力. ステージ. ⑭学習指導力. (詳細は下記のとおり). ⑮生徒指導力 ン I ス ア 養成期(大学・大学院). ⑬分掌経営力 ⑩教育課程経営力 ⑩学校経営力. ⑪⑫⑬⑭⑮. ①②③④. 〔 ⑥ ⑦⑧⑨⑩. ⑪⑫⑬⑭⑮. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. 4 易⑫. ⑩ ⑮ ⑩. ⑪⑫⑬⑭⑮. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. ⑬⑫. ⑩ ⑮ ⑩. ⑪⑫⑬⑭⑬. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. @⑫. ⑩ ⑮ ⑩. ⑭ ⑫. ⑬⑭⑮. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. ⑬⑫⑬⑬⑫. ⑭ ⑫. ⑬⑭⑮. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. ⑬⑫⑬⑬⑫. ⑭ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. ⑮. ⑫⑬⑬⑫. ⑭ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮. ①②③④. ⑤⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩. ⑮. ⑫⑬⑮⑫. 4 量. *学び続ける教員の土台 となる資質能力を. ス ア ン E 成長期 ( 1 -1 0年目) *一人前の指導者として の資質能力を. ン E ス ア 発展期 ( 1 1-2 0年目) *みんなをつなぐミドル リーダーとしての資質能 力を ジ N ス ア 成熟期 ( 2 1年目以上) *組織と人を育てるス クールリーダーとしての 資質能力を ライフ. く教職に対する情熱〉①教育的愛情 ②強い使命感. ステージ く総合的な人間力〉 求められ る資質能力. ③高い倫理観 ④豊かな教養. ⑤教育に関する課題意識密教職に対する向上心 ⑦豊かな人間性や社会性 ⑧コミュニケーション力 ⑨同僚とチームで対応する力 ⑩地域や社会の多様な組織等と連携・協働できる力. [ 注 1(1) 数字の入った大きな Oは,その資質能力が形成される重要な時期を示している。 ( 2 ) これからの教員には,直接子どもの指導に必要な「指導的能力(エキスパート系)J,学校の組織的な 取組を通して教育効果をあげる「経営的能力(マネジメント系)J,それらの中核となる「教職に求めら れる人間性(ヒューマン系)J の 3つの資質能力が必要である。 ( 3 ) 特に「学び続ける教員」には,「⑤教育に関する課題意識J ,-⑥教職に対する向上心」を持ち続けながら, 「指導的能力」と「経営的能力」をバランスよく身に付けることが必要である。. 1 2 9.

(5) 笠井稔雄. 表 2 教員の各ライフステージの特徴と発達課題 ステージ I 養成期(大学・大学院). (出所)筆者作成. 学び続ける教員の土台となる資質能力を. 一生の仕事として教職を志し,子どもと積極的にかかわろうとしたり教科等の指導方法を貧欲に修得しようと したりする時期である。また,採用当初から教科指導,生徒指導,学級経営等の職務を著しい支障が生じること なく実践できる「最小限必要な資質能力」をしっかり身に付けることが期待される時でもある。 そこで,学校現場における実習やフィールドワーク,学校支援ボランティアなどに積極的に参加し,専門的な 知識・技能や子ども理解力,学習指導力,生徒指導力,学級経営力などの基礎を身に付けるとともに,子どもは もとより教職員や地域住民などとの人間関係形成力を養うことが大切である。. 1-10年目) ステージ E 成長期 (. 一人前の指導者としての資質能力を. 人を育てる教員としての自覚をもち,学級担任,教科担任として,一人前の指導者に成長する時期である。ま た,子どもや保護者,地域住民との人間関係に自信をもったり悩んだりする時期でもある。 そこで,授業実践や生徒指導,学級経営などに積極的に取り組み,広い視野に立った確かな学習指導力や生徒 指導力,学級経営力などを確実に身に付けるとともに,子どもや保護者,地域住民との人間関係形成力をしっか り養うことが大切である。 ステージ E 発展期 ( 11-20年目). みんなをつなぐミドルリーダーとしての資質能力を. 学級担任,教科担任として相当の経験を積み,教職に自信をもっ時期である。また,若手教員への指導的役割 が期待されたり,主任や副主任等の重要な役割を担ったりする時期でもある。 そこで,子ども理解力や学習指導力,生徒指導力など「指導的能力」に一層磨きをかけるとともに,学校運営 に積極的に参加し,ミドルリーダーとしての自覚を高めながら,学年経営力や分掌経営力,教育課程経営力,学 校経営力など「経営的能力」を養うことが大切である。 ステージ N 成熟期 ( 2 1年目以上). 組織と人を育てるスクールリーダーとしての資質能力を. 学校内外における役割と責任を自覚し,学校の特色や抱える学校課題等を正しく分析しリーダーシップを発 揮して学校を組織的・機動的に運営する時期である。また,教職員一人一人の魅力を引き出し,相互に高め合う 組織づくりが期待される時期でもある。 そこで,幅広い見識と豊かな人間性の上に教職員の意欲を引き出すリーダーシップを発揮しながら,学年経営 力や分掌経営力,教育課程経営力,学校経営力など「経営的能力」を養うことが大切である。. なお,どのステージにおいても,「教育に関する課題意識」と「教職に対する向上心」とは重要である。 例えば,若い教員の「子どもとの信頼関係を築きたい j, ,-分かる授業を展開したい j,,-意欲的でまとまり のある学級をつくりたい」などという自己の指導力に関する課題意識。そして,中堅教員や管理職の「学校 全体の学力を向上させたい j, ,-生徒指導困難校をなんとかしたい j, ,-低調な校内研修を改善したい j,,-若い 教員の資質向上を図りたい j,,-ミドルリーダーを育てたい j,,-保護者や地域住民との信頼関係を回復したい」 などという学校の緊要な教育課題や経営課題に対する課題意識。さらには北海道の多くの教員が真剣に考え ている「北海道の学力向上 j, ,-北海道いじめ防止条例を踏まえた学校体制づくり」など国や北海道の教育課 題に対する課題意識。これらと,教職経験の長短に関わらず,教員としての資質能力を向上させるために自 ら学び続け,教員として成長し続けようとする「向上心」とは,学び続ける教員として最も重要な資質であ り,長い教職生活の全過程を通じて教員に求められる資質能力の根幹であると考える。. 2 学び続ける教員に求められる資質能力の具体的構成要素 0の資質能力のうち,特に重要な 4つの能力の具体的構成要素について述べる。 ここでは,先にあげた 2. 1 3 0.

(6) スクールリーダーに求められる資質能力. ( 1 ). r ⑩学習指導力 J (授業力)とは. 学校の教育活動の中でも,授業は子どもたちにとっても教員にとっても最も長い時間を費やす学校教育の 基本であり,教員の職務の根幹をなすものである。学校の教育目標を達成するためにも,子どもたちの学校 生活が豊かで楽しいものであるためにも,学校生活の大半を占める授業を充実させることが必要である。 「教師は授業で勝負せよ J (斎藤喜博)や「教師は授業の専門家たれ J (林竹二)などの言葉は,学校教育 の核心が授業にあることを如実に物語っており,子ども一人一人が主体的に学習し,確かな学力や豊かな人 間性を培うことができるよう,教師は学習指導力を日々の研錯を通して向上させることが大切である。 そこで,学習指導力(授業力)の構成要素を,表 3 表 3 学習指導力(授業力)の構成要素 1 学習指導(授業)に対する使命感と熱意. のように考える。 まず,「 1 学習指導(授業)に対する使命感と熱意」. 2 子どもを理解する力. については,「隠れたカリキュラム」といえるもので. 3 教材解釈・教材開発の力. ある。教師の目標や意図とは関わりなく,非意図的・. 4 単位時間の授業を構築する力. 不可視的に子どもたちを方向付ける作用であり,教師. 5 単元の「指導と評価の計画」を作成する力 6 授業展開の指導技術. (指導言,板書,教育的タクトなど). の授業に対する使命感や熱意は授業中の会話や人間関 係,雰囲気等を通じて暗黙のうちに伝達され受容され. 7 統率力. るものであることから,学習指導力(授業力)の構成. 8 学習集団を形成する力. 要素として大変重要なものである。. 9. r 個に応じた指導」を展開する力. 1 0 授業を省察する力. 次に,「 2 子どもを理解する力」については,教 科等の側面から見た子ども一人一人の理解,「 5 単. (出所)筆者作成. 元の「指導と評価の計画」を作成する力」については, 問題解決的な学習や体験的な学習,習熟度別指導,協. 働的な学びなどを単元レベルで構想する力であり,これらも大変重要な要素である。 また,「 6 授業展開の指導技術」については,指導言(説明・発問・指示・助言)や板書,教育的タク. T a k tr 指揮棒J,T act r 機転,臨機応変の才J) の力量形 トなどがあげられるが,中でも「教育的タクト J ( 成の重要性が,最近学校現場において意識されなくなってきているのではないかと懸念している。 周知のように,ヘルバルトによって教育学に位置付けられ,「教える」技術の最高形態であるとされる教 子どもたちの発言等に対する適切な対 育的タクトは,「状況に応じたすばやい判断と決定 J (ヘルバルト), r 応 J (斎藤喜博)などと言われる。教師が子どもたちの表情やつぶやき,意見などに対し,時には激しく, 時には静かに,またある時には促進的に,あるいは抑止的に示す教師の言葉,表情,うなずき,身振り等に より,授業は協働的になり,子どもの思考力を大いに促進するとされている。 吉本均(19 9 2 ) によると,教育的タクトを豊かにし,質の高い授業を展開するためには,「この教材はい かに解釈すべきかという教科内容研究と,子どもたちはいかに解釈しうるか(あやまりをも含んで)という 子ども研究とが統一」された「呼び、かける指導案」を構想することが必要で,とりわけ「答えにからみ,答 つまずきを拾って深める J, r 対立点を明確にする J, r 班に下して広げる J,一問一答の授 えから始める J, r 業ではなく「接続語で絡み合いをつく」り,そのための教師からの「ゆさぶり」も予想しておくという 5点 を指導案で設計することが重要であるとしている。 今,学習指導力(授業力)向上を考えるとき,この点を最も重視することが必要ではないかと考える。 最後に,「 8 学習集団を形成する力」については,ルール(授業規律や行動様式)とリレーション(子 ども同士の良好な人間関係)をつくる力,「1 0 授業を省察する力」については,客観的な授業分析や評価, 及びその授業改善ができる力であり,これらも大変重要な要素である。. 1 3 1.

(7) 笠井稔雄. ( 2 ). r ⑮生徒指導力」とは. 生徒指導は,「一人一人の児童生徒の個性の伸長を図りながら,同時に社会的な資質や能力・態度を育成し, さらに将来において社会的に自己実現ができるような資質・態度を形成していくための指導・援助であり, 個々の児童生徒の自己指導能力の育成を目指すもの」であるとされている。 そのためには,日々の教育活動において,「①児童生徒に自己存在感を与えること,②共感的な人間関係 を育成すること,③自己決定の場を与え自己の可能性の開発を援助すること」の 3点に特に留意することが 求められている。 (3) 表 4 生徒指導力の構成要素. 1 生徒指導に対する使命感と熱意. 2 子どもを理解する力 3 集団指導を展開する力. そこで,生徒指導力の構成要素を,表 4のように 考える。 まず,「 1 生徒指導に対する使命感と熱意」に ついては,「隠れたカリキュラム」といえるもので ある。教師の目標や意図とは関わりなく,非意図的・. 4 個別指導を展開する力 5 教育相談を展開する力. 不可視的に子どもたちを方向付ける作用であり,生. 6 組織的に対応する力. 徒指導に対する使命感や熱意は,日常の教育活動の. 7 問題行動等を理解・指導する力. 8 家庭・地域・関係機関等と協働・連携する力 9 生徒指導に関する法制度等を理解する力. 中の何気ない会話や人間関係,雰囲気等を通じて暗 黙のうちに伝達され受容されるものであることか ら,生徒指導力の構成要素として大変重要なもので. 1 0 生徒指導を省察する力. (出所)筆者作成. ある。 次に,「 2 子どもを理解する力」については,. 児童期・青年期の心理と発達を踏まえた子ども一人一人を理解する力である。 また,「 3 集団指導を展開する力」については,集団を指導することによって,その直接的なねらいと して集団の発達を目指すばかりでなく,その集団を構成している個人の発達をねらいとするもの,「 4 個 別指導を展開する力」については,個々の子どもを対象とし,一人一人の独自性に配慮しつつ指導する力で 予防的な指導 J,r 課題解決的な指導」 あり,集団指導と個別指導のどちらにおいても,「成長を促す指導J,r の 3つがあるとされている。 ω なお,この集団指導と個別指導は車の両輪のような関係にあり,どちらか一方に偏ることなく,その両方 の場面でバランスよく指導することと,両方の相互作用により,子どもの力を最大限に伸ばせることに配慮 することが大事である。 さらに,「 7 問題行動等を理解・指導する力」については,いじめ,不登校,暴力,非行,喫煙,飲酒, 薬物乱用,性,ネット,自殺,家出,虐待,障害などを十分理解し,それぞれについて適切な指導がで、きる 力であり,「 9 生徒指導に関する法制度等を理解する力」については,校則,懲戒,体罰,出席停止,青 少年の保護育成に関する法令等,非行少年の処遇などを十分理解し,それぞれについて適切な指導や処遇が できる力であり,どちらも大変重要な力である。 最後に,「 1 0 生徒指導を省察する力」については,客観的な生徒指導の分析や評価ができ,それまでの 生徒指導を改善できる力であり,これらも大変重要な要素である。. ( 3 ). r ⑩教育課程経営(カリキュラム・マネジメン卜)力」とは. 0年 1月の中央教育審議会答申で,各学校において「教育課程や指導方法等を不断に見直すことによ 平成 2 り効果的な教育活動を充実させるといったカリキユラム・マネジメントを確立すること」が求められた。 (5) それは,これからの学校教育においては,子どもたちに確かな学力をはじめ生きる力を育むことが求めら. 1 3 2.

(8) スクールリーダーに求められる資質能力. れ,とりわけ,基礎的・基本的な知識や技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必 要な思考力,判断力,表現力や,主体的に学習に取り組む態度を育成することが重視されているからである。 つまり,学校教育の質を向上させる観点から,各学校にカリキュラム・マネジメントを確立することによ り,各学校が自ら「学校力(学校の教育力 ) J を高めるよう期待しているのである。 J とは何か。 では,「教育課程経営(カリキユラム・マネジメント ). 中留 ( 2 0 1 0 ) は,「学校の教育目標を実現化するために教育活動(カリキユラム)と条件整備活動との対. 応関係を,組織文化を媒介として, PDSサイクルによって組織的・戦略的に動態化させる営み」であるとし, また田村 ( 2 0 1 0 ) は,「学校の教育目標を具現化するために,評価から始まるカリキュラムのマネジメント サイクルに,組織文化を含めた学校内外の諸条件のマネジメントを対応させ,これを組織的に動態化させる 課題解決的な営み」であるとしている。 そこで,これらを参考にしつつ,その構成要素と構造を表 5 ・図 1のように考える。 表 5 教育課程経営(カリキュラム・マネジメント)力の構成要素と構造. 1 学校の共有ビジョンを踏まえて. 教育課程を編成する力. 図1. 2 教育課程を実施する力 3 学校内外の諸資源を活用し,. 4 5 6. 7. 望. 協働・連携する力 教育課程を評価する力 教育課程を改善する力 教育課程を管理・運営する力 望ましい学校文化を形成する力. │学校の共有ビジョンの実現 合. l. ま し し ミ. 学. 教育課程[教育活動]. f ヒ. V J. A ベ 動車 I C化十 D J. 十 支 コ 丈 〈. 化 の 形 成. 且 キ 織 的. [条件整備活動] 学校内外の諸資源 (人,物,財,組織・ 運営,時間,情報等). 戦 管略 理的 -な. 運 営. (出所)筆者作成. (出所)筆者作成 まず,「 3 学校内外の諸資源を活用し,協働・連携する力」については,教育課程の PDCAサイクルに 学校内外の人的,物的,財的,組織・運営的,時間的,情報的な資源を積極的に活用する力であり,「 6 教育課程を管理・運営する力」については,教育課程の PDCAサイクルを確実にまわすために,目標や期 間を示した進行管理表や推進組織を積極的に活用する力であり,ともに大変重要な要素である。 最後に,「 7 望ましい学校文化を形成する力」については,教育課程経営(カリキユラム・マネジメント) を確立することによって,さらに望ましい伝統や校風,文化などが学校に定着していくようにすることが最 終的なねらいになるということである。. ( 4 ). ,⑩学校経営(組織マネジメント)力」とは. 牧 ( 1 9 9 8 )は,学校経営とは,「各学校がその教育目標を効果的に達成するために必要な組織づくりを行い,. これを能率的に運営する営み」であり,「学校運営と学校管理を内包する」としている。. 1 3 3.

(9) 笠. 井. 稔. 雄. そして「学校運営は,学校における教育実践を 4 Mの条件の組み合わせにより効率的・能率的に促進する ための組織と運営を意味し,学校管理は,学校(教育)行政を通じて学校に導入される公教育に関する制度 的枠組みを個々の学校に却して設定し,教育実践を間接的に保障(教育水準の維持・向上)する機能をもっ. O. 学校経営は,この両輪の巧みな組み合わせにより,初めて本来の機能を果たすことができる」という。 その後,平成 1 2年 1 2月の「教育改革国民会議報告教育を変える 1 7の提案」で,学校に「組織マネジメ ントの発想」を取り入れることが提案されたのは,急激な社会の変化に対応できるよう柔軟で強靭な組織開 発を行い,目標や計画,評価などをこれまで以上に明確にして PDCAサイクルを活性化する戦略的な学校 6 ) 経営が求められたからである。 (. また,平成 2 1年,日本教育経営学会は,学校経営に求められる専門的力量を明確化した「校長の専門職基 準 ( 2 0 0 9年版)一求められる校長像とその力量」を公表し,校長に求められる資質能力を提起している。 (7) そこで,これらを参考にしつつ,その構 表 6 学校経営(組織マネジメン卜)力の構成要素と構造. h. 1i ワ ︼ つ. 学校の共有ビジョンを形成し具現化する力. aA 川士戸. 教育活動の組織的な改善を促す力 教職員の職能成長を促す力 家庭や地域社会と協働・連携する力. 成 要 素 と 構 造 を 表 6 ・図 2のように考え る 。 まず,「 1 学校の共有ビジョンを形成 し具現化する力」については,学校の教職. bnhリ ヴ. 員,児童生徒,保護者,地域住民によって. i. 学校内外の諸資源を活用する力 人や物や組織等を管理・運営する力 高い職業倫理とリーダーシップ. 共有・支持されるような学校のビジョン (目指すべき将来像)を作る力,「 2 教 育活動の組織的な改善を促す力」について. ,. - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 1. 図2. は,そのために適切なカリキユラムの開発 を促進し,教職員が協力して組織的な改善. 共有ビジョンを形成し 具現化する力. に取り組むよう促す力である。 次に,「 3 教職員の職能成長を促す力」. 教育活動の組織的 な改善を促す力. 教職員の職能成長 を促す力. 家庭や地域社会と 協働・連携する力. 学校内外の諸資源 を活用する力. については,すべての教職員が自らの教育 実践を省察し,職能成長を続けることを支 援する力であり,「 4 家庭や地域社会と 協働・連携する力」については,家庭や地 域社会の様々な関係者が抱く多様な関心や ニーズを理解し,それらに応えながら協. 人や物や組織等を. 働・連携する力である。. 管理・運営する力. 5 学校内外の諸資源を活用す また, 1 高い職業倫理とリーダーシップ (出所)筆者作成. る力」については,学校内外の人的,物的, 財的,組織・運営的,時間的,情報的な資 源を効果的・効率的に活用し運用する力,. 16 人や物や組織等を管理・運営する力」 (出所)筆者作成. については,子どもや教職員,教育課程な どを管理・運営する力である。. 最後に,「 7 高い職業倫理とリーダーシップ」については,職業倫理の模範を示すとともに,教育の豊 かな経験に裏付けられた高い見識をもってリーダーシップを発揮する力である。. 1 3 4.

(10) スクールリーダーに求められる資質能力. 3 教員の職能成長と学び続ける教員への支援 教員の職能成長を促す要因については,職業的社会化研究や職能発達研究,ライフコース研究などを踏ま え,次の 3点が重要であると考える。 まず第 1に,将来従事する,または現在従事している教師役割や職位に必要とされる知識や技能,行動様 式などを,日常の実践や研修を通して修得しようと努力する時に職能成長が促されるということである。 養成期における教育実習は,自ら形成した教師役割を試行的に遂行していく場であるし,成長期における 授業や学級経営,生徒指導は,教育現場において一人前の教員としての教師役割をしっかり遂行できるもの でなければならない。同じことは,発展期のみんなをつなぐミドルリーダーとしての教師役割や,成熟期の 組織と人を育てるスクールリーダーとしての教師役割にも言えることである。 つまり,長い教職生活の各ライフステージにおいて求められる教師役割を自ら自覚し,何が今の,あるい は将来の自分にとって必要な知識や技能,行動様式なのか,そしてそれらをいつ身に付けることが望ましい のかを理解しておくことが大切である。 第 2に,学校現場の日常的な問題解決過程において,職場の同僚性とメンタリングが機能する時に,自己 省察と熟考,コミュニケーションが活性化され,職能成長が促されるということである。 9 8 ) によると,同僚性とは「教育実践の改善を目標に掲げて学校の中で共同する関係」であり, 佐藤(19. メンタリングとは「先輩教師が後輩教師の専門的自立を見守り援助する活動」であるという。同僚関係,先 輩後輩関係が教員の職能成長に決定的な役割を果たしていることは疑いのない事実であり,同時にそれはよ いことばかりではなく,教員の職能成長にマイナスに作用することもあり得るということである。 ということは,教員の職能成長の効果的な場や機会は,日常的な職務場面や同僚とのフォーマル,イン フォーマルな関係にあり,所属するコミュニティーの教員文化に影響されることが多いことから,ミドルリー ダーや校長・教頭などトップリーダーの責任は大変大きいと言わざるを得ない。 第 3に,教員の職能成長は,第 1にあげた教師役割や職位,第 2にあげた同僚性やメンタリングなどだけ ではなく,長い教職生活の中での多様な出来事が契機となることもあるということである。 例えば,生徒指導困難校に勤務したこと,学校内での重要な仕事を任されたこと,学校外での研究活動に 携わったこと,優れた人物との出会いがあったこと,個人及び家庭生活において大きな変化があったこと, 教育界や社会の動向に大きな関心をもったことなど,多様な出来事が職能成長を促すこともあり得る。 教員が自らの職能成長の契機は何だ、ったのかと改めて問い返してみると,そこにはいくつかの重要な出来 事があり,それが職能成長を促したことに気付かされるのである。 ここでは,第 1にあげた教師役割や職位による職能成長への支援の在り方について述べる。. ( 1 ). r ステージ E 発 展 期 (1 1ー20年目 )J における学校管理職候補者(ミドルリーダー)の育成をどのよ. うに進めるか 教員のライフステージにおいて教職経験 1 0 年は,教員としての大きな転機であると考える。 牧 ( 1 9 9 5 ) は,「30 代である教師は,個人としては教職生活の転機であるし,学校内外での役割期待が大. 代のライフ・ステージ きくなる。自画像や特性,抱えている課題,他世代からの期待を整理してみると, 30 としての重要性を痛感する」とし,マイナス面としては,「ひととおりのことができるようになって,学ぶ 一人前の錯覚をおこしやすい時期」であり,「子どもを理解する技術も身に付き,教 姿勢を忘れてしまう J r 科の指導力も向上して,授業も事前に教材研究することもなく臨むようになり,自分自身がすっかりベテラ ンになったような気持ちになってしまって研修を怠る」人もでてくると指摘している。. 1 3 5.

(11) 笠井稔雄. このように,教職経験 1 0年というのは,教員としての使命感や社会人としての教養といった「教職に求め られる人間性j,及び「学習指導力 j, 1生徒指導力 j, 1学級経営力」など「十旨導的能力」や「経営的能力」 の基礎的・基本的な力量をほぼ修得した時期であり,学校内外での新たな役割として,経験年数の浅い教員 に対する指導助言や,学校運営に積極的に参画し,組織としての学校の教育力の向上に尽力することが期待 1ステージ E 発展期 (11-2 0 年日)j ) に入っていく時期である。 されるライフステージ (. したがって,このようなポジションにある教員は,さらに高度な専門的知識や豊かな教養,「学習指導力」 や「生徒指導力」を身に付けるとともに,教育に対する課題意識を高め,同僚や地域と協働できる力やリー ダー性を養い,「分掌経営力」や「教育課程経営力 j, 1学校経営力」など「経営的能力」も身に付けること が必要である。 しかし現実には,「学ぶ姿勢を忘れてしまう」教員や「研修を怠る」教員は少ないにせよ, 1 0 年たって も相変わらず「学習指導」や「生徒指導 j, 1学級経営」にばかり日が向いている教員は少なくない。 ある調査によると, 1 0 年経験者だけでなく 2 0年経験者も自分の力量を高めたい研修としてあげた上位 3項. 0年経験者, 2 0年経験者に是非研修させたいとし 目は,「教科指導 j, 1学級経営 j, 1生徒指導 j,一方校長が 1 てあげた上位3 項目は,「最新の教育政策・教育行政の動向 j, 1学校組織マネジメント j, 1危機管理」となっ ており,両者のギャップはかなり大きいと言えよう。 (8) では,なぜこのようなギャップが生じるのだろうか。 第 1には,時代の変化に伴い,教員一人一人の資質能力の向上とともに,困難な課題に学校が組織として. 適切に対応していくためにスクールリーダーの育成が必要だということが中堅教員に十分理解されていない からである。. 2 0 0 1 ) は,「学校組織の活性化が子どもの生きる力に影響を スクールリーダーの育成に関して,八尾坂 ( 与えているという観点に立っと,学校管理職のみならず,中堅層教員に対しでも,マネージャーとして,ま たミドルリーダーとしての感覚をみがくマネジメント・マインド育成の機会が求められよう。中堅層教員の モラールを高め,しかも豊かな着想,実行力,すぐれた指導力を有した若手の管理職の起用を促進する点か らも検討すべき課題である」と論じている。 また,スクールリーダーに必要な「経営的能力」について,岡東(岸本・久高編, 1 9 8 6 ) は,「①経営的 力量の形成は,若手教師層にその力量が不足していること,②学校における種々の局面で経営機能が発現し, すべての教師に必要とされる力量であること,各従来一般に考えられてきたよりも早い時期に研修希望があ ること,④経営的力量の核心的なものは容易に形成されないこと,⑤学校組織のサブ・システムの経営に中 堅教師の経営的力量が期待されること,等々の理由から,教職生涯を通じての適時性のある現職教育を要請 していると考えられる」と指摘している。 第 2には,教育研究所・研修センタ一等で行われている研修は教科指導等が主であり,. ミドルリーダーを. 対象とした研修はほとんど開設されていないからである。 具体的に言えば,どこの教育研究所・研修センターでも,国語,算数・数学,理科,社会,英語などの教 科をはじめ道徳,総合的な学習の時間,特別活動,生徒指導・教育相談,学級経営などが主であり,その他 として,環境教育やふるさと教育,校内研修,そして近年では防災教育やキャリア教育なども積極的に開設 されているが,校長が研修させたいと思っている「最新の教育政策・教育行政の動向 j, 1学校組織マネジメ ント j, 1危機管理」などはほとんど聞かれていないのである。. 0 年経験者研修の後は,教務主任や主幹教諭に さらに困ったことに,多々ある行政研修について言えば, 1 なれば学校運営研修会や新任主幹教諭研修会に参加できるが,それ以外の教員にはミドルリーダーとしての 研修の機会は全くないのである。つまり,ミドルリーダーや学校管理職候補者の育成は学校現場の O]Tに. 1 3 6.

(12) スクールリーダーに求められる資質能力. 任されているということである。 ミドルリーダーは,学校経営を活性化させるキーパーソンである。ヒューマン・スキル(対人関係能力) を備えたミドルリーダーが,教職員聞に聞かれたコミュニケーションチャンネルをつくり,ミドル・アップ ダウン・マネジメントを展開することが重要であり,「経営的能力」を系統的に身に付ける研修の場が必要 である。また,これらのミドルリーダーが,研修で学んだ知識・技能などをもとに学校経営に参画していく 中で学校経営の重要性や醍醐味を理解し,学校管理職というキャリアを選択すよう促すことが必要である。 今日,世界各国では,学校教育の充実には教員の資質能力の向上とともにスクールリーダーの育成が必要 であるとの考え方が広まっており,川我が国でも対策が急がれることから,次の 2点を提案したい。 ①教育研究所・研修センターと教職大学院の協力による「ミドルリーダー研修講座」の開設や「学校管 理職候補者(ミドルリーダー)育成ブロク.ラム」の共同開発 教職経験 1 0年を経て「ステージ E 発展期 (11-2 0年日 ) J に入った中堅教員に対し,早い時期から学校 経営参画意識をもたせ,学校全体を見渡す烏の目と教育界の時流をとらえる魚の目を養い,学校運営の重要 な担い手となるよう,これまでの研修体系・研修内容・実施体制を見直すことが必要である。 そこで,教育研究所・研修センターは,教職大学院と連携して,次のようなミドルリーダー対象の研修講 座や学校管理職候補者育成プログラムを開設できないだろうか。. 「最新の教育政策・教育行政の動向 J'学校組織マネジメントの理論と実際 1J'危機管理体制の確立J'ミ ドルリーダーの役割と期待 J 'スクールリーダーシップ論 1J '学校改善と校内研究の設計・経営 J ' カ リキュラム・マネジメントと学力向上 I学校評価の充実による学校改善J'苦情を生かす学校経営 1J'地 域とともにある学校の理論と実際J '学校課題と学校改善計画 1J '教育法規演習 1J など. これらの講師は,主として教職大学院の教員と教育委員会職員・小中学校等の教員が担当し,研修内容は 受講者の勤務する学校の抱える課題を解決することを中心に据え,理論と実践の往還を図るのである。 例えば,「年間 8回程度の共通研修と,. 9~ 2月の個別実践研修を実施し,理論と実践の往還を意図した. インターパル型研修J(10)などは大いに参考にすべきであろう。 また,これらの研修講座や学校管理職候補者育成プログラムを一定数受講した者には,教頭試験の第一次 選考を免除するなどインセンテイブの付与なども考えられる。 ②教職大学院における学校管理職候補者(ミドルリーダー)養成の推進 教職大学院は,地域の教育委員会・学校との密接な連携のもとで,「力量ある教員の養成 J,つまり「新し J と「管理職候補者をはじめ い学校づくりの有力な一員となり得る新人教員の養成(学部新卒学生等対象 ) J の 2つを目的としている。 とする指導的役割を果たし得るスクールリーダーの養成(現職教員を対象 ). 今日,学校現場は複雑かつ多様な課題に対応することが求められており,保護者や地域住民の力を借りて 課題解決に取り組んだり,教職員全員がチームとして機動的に対応したりするためには,個々の教員の資質 能力の向上だけでなく,スクールリーダーとしての役割を果たせる教員の養成が喫緊の課題である。 このような学校現場の状況の中,教職大学院におけるスクールリーダーの養成はこれまでも大きな成果を 上げてきているが,今後は「学校経営」に特化したコースを設置・充実するなどして,これまで以上にスクー ルリーダー養成機能を強化することが求められており,. ( 1 1 )学校管理職候補者(ミドルリーダー)を積極的. に養成するために,大胆なカリキュラム改革を行うことが必要である。 本学では,これまで「学級経営・学校経営コース」を設置して,表 7のような人材の育成を目指し,以下 の授業科目を開設してきた。. 1 3 7.

(13) 笠井稔雄. 表 7 平成 2 6 年度「学級経営・学校経営コース」で養成する人材像と授業科目 [,学級経営・学校経営コース」で養成する人材像] -学級経営・学校経営に関して優れた知見と技能を身につけており,校内研修などを組織して学内外でリーダー 的な役割を果たすことができる。 -学校の仕組みを制度・予算面から理解するとともに,学校間・地域と協働して学校経営に当たる実践的方策を 身につけている。 ・学校経営の組織マネジメントの基礎を理解して,学校経営に積極的に参画できる。 [ 共. 通. 科. 目]. I. 〈学校教育と教員の在. I. り方に関する領域>. *'学級経営学校経営コース」もこれらすべて 22単位を修得 '学校教育の課題と教員 J (2単位) 'これからの時代の学校教育の在り方. 2単位) 学校課題と学校改善計画 J (. 〈学級経営,学校経営,~生きる力」を育む学級・学年経営の実際と課題J. l'特色ある学校づくりと組織の活性化を図る学校経営の実際と課題J (2単位). に関する領域> 〈生徒指導,教育相談 に関する領域>. I. I生徒指導の意義と今日的課題J. (2単位). I. I児童生徒理解とその指導方法 J. (2単位). 〈教科等の実践的な指. I. '教科教育の実践と課題J (2単位). 導方法に関する領域>. I. '教科等の実践的指導力の形成 J (2単位). く教育課程の編成・実. I. I総合学習のためのカリキュラム開発 J. 施に関する領域>. I教育課程を創る J. く特別支援教育に関す る領域〉. [ 選. 択. 科. (2単位). 目]. I. I. (2単位). (2単位). '特別支援教育の理解と対応 J ( 2単位). *このなかから事例研究 6単位を含む 8単位以上,あわせて閤位以上修得. 2単位) 「学級経営・学校経営事例研究 1J ( 2単位) 「学級経営・学校経営事例研究 IJ ( 「学級経営・学校経営事例研究 I I I J (2単位) 学級経営・学校経営. I. '学級経営・学校経営事例研究 NJ (2単位) ,学級の主体'性を育む教育実践活動 J ( 2単位). コース. 「学校と家庭・地域との連携における成果と課題J (2単位) 「教師に求められるリーダーシップと同僚性の今日的課題J (2単位) 「へき地・小規模校の経営と課題J (2単位) [学校における実習]. I. *このなかから岬位修得 「リーダー力育成基礎実習 1J (4単位). 学級経営・学校経営 コースの現職教員. IJ ( 2単位). I. Iリーダー力育成基礎実習. I. '学校運営実習 J (選択 4単位) 「学校課題解決・検証実習 J (4単位). (5単位). 学級経営・学校経営. I. I学校課題傭雌実習 J. コースのストレートマ. I. I自己課題解決・検証実習 J. (5単位). スター [共通演習] 学級経営 コース. 1 3 8. 学校経営. I. I. *この 2単位修得 Iマイオリジナルブック. (MOB) 作成 J (2単位).

(14) スクールリーダーに求められる資質能力. この授業科目から分かるように,学校管理職候補者(ミドルリーダー)を養成するには,このコースから 「学級経営」を切り離し,「学校経営」に特化したコースを設置して専門科目を充実することが必要である。 例えば,これまでの授業科目すべてを見直し,次のような授業科目を開設してはどうだろうか。. 「最新の教育政策・教育行政の動向 J1学校組織マネジメントの理論と実際 1J1危機管理体制の確立J1ミ ドルリーダーの役割と期待 J 1スクールリーダーシップ論 1J 1学校改善と校内研究の設計・経営 J 1カ リキュラム・マネジメントと学力向上 I学校評価の充実による学校改善JI苦情を生かす学校経営 1J1地 域とともにある学校の理論と実際 J 1学校課題と学校改善計画 1J 1教育法規演習 1J など. これまでの本学カリキュラムのよさは,大学院生の勤務する学校の「学校課題」の明確化とその解決策の 究明を中核に据え,表 7の授業科目と実習(学校運営実習,学校課題解決・検証実習)とを連動させながら, 理論と実践の往還を図り. ミドルリーダーの資質能力の向上を目指してきたところにある。. とりわけ,共通科目の「学校教育の課題と教員」及び「これからの時代の学校教育の在り方一学校課題と 学校改善計画」では,これまでの自分の教育実践を省察し,勤務する学校の「学校課題」と自らの資質能力 に関する課題を明らかにするともに,教職の先輩や異業種の方々から経験談を聞いたり,これまでの教育改 革を検討したりしながら,勤務する学校の「学校改善計画」を作成するものであり, ミドルリーダー養成に は大変有効であった。 これらの成果を踏まえて,今後,教育委員会・学校などデマンドサイドと共通理解及び連携を図りながら 大胆なカリキユラム改革を行うことが必要である。(12) あわせて,教職大学院のいくつかの授業を,教育委員会との連携事業の一環として行う「ミドルリーダー 研修講座」と位置付けて土曜日や長期休業期間に開講し,教職大学院に入学できない現職教員が学校に勤務 しながら学ぶことができる学校管理職候補者養成プログラムを開発することも可能であろう。. 1ステージ U. ( 2 ). 成熟期 ( 2 1年目以上 )J における学校管理職(校長・教頭)の育成をどのように進めるか. 今日,日本では「学校の自主性・自律性の確立」を目指す教育改革が進展し,「組織マネジメントの発想」 を取り入れた戦略的な学校経営が求められていることから,校長にはこれまで以上に,学校としての共有ビ ジョンの確立をはじめ,カリキュラム開発,協働的な組織づくり,教職員の職能成長,地域との互恵的な関 係構築など,学校経営の最高責任者としての専門的な力量の向上が喫緊の課題となっている。 ところが,日本では,長い教職生活を経て「指導的能力」が優れた教員の中から学校管理職候補者が選ば れ,「経営的能力」が十分形成されないまま校長・教頭になっているという実態がある。 「校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督する」という学校教育法の規定に基づき,教職員や児童生 徒,教育課程,施設設備等に関する様々な管理的職務をこなさなければならないことから,そのための法令 等に関する研修は従来から行われてきたが,「学校の自主性・自律↑生」を目指し,「組織マネジメント」の発 想を取り入れた戦略的な学校経営を系統的に学ぶ場はほとんどないと言っても過言ではない。 ある調査によると, 1 0 年程前と比較して学校管理職に求められる資質能力が変化したこととして,①危機 管理. (1トラブル・緊急事態の未然防止や事後対応及び防災や災害を伴う危機管理能力 J 1自然災害,いじめ. への対応 J 1防災や緊急事態等に備え,対応する力」など),②地域連携 (1保護者・地域、関係機関との調整」 「学校外の教育資源の積極的活用 J 1地域の教育力向上」など),③マネジメント. (1機能する教職員組織を. 育成するマネジメント能力 J 1学校経営ビジョンの共通理解を図り,組織的,効率的な学校運営を行うこと ができること」など),④人材育成. (1教職員を管理・育成する力 J 1 教員を公正・公平に評価した上で,人. 1 3 9.

(15) 笠井稔雄. 材育成の観点から的確な指導・助言ができる力」など),⑤その他. (1学力向上 J 1教員の心の健康といった. メンタルヘルス」など)が重視されるようになってきたと指摘している。(13) また,一方では,一部の校長にだけ見られることであろうが,校長職は教員の「あがりのポスト」であり, 学び続ける動機に乏しく,学校経営に関する研修を積極的に行っていないという指摘もある。校長になって からどのように職能成長が図られているのかという研究も少ないようだが,興味のあるところである。 このような中,学校管理職の研修の機会として,採用・昇任時に教育委員会が行う「新任校長研修会」や 「新任教頭研修会」などは悉皆研修であるが,教育研究所・研修センターの数少ない「学校経営講座」は校 長会の中核として活躍している者や研修を強く希望する者による任意研修であり,多くの校長が参加できる のは校長会・教頭会などが主催する自主研修に任されているということが大きな問題である。 先にも述べたが,世界各国では,学校教育の充実には教員の資質能力の向上とともにスクールリーダーの 育成が必要であるとの考え方が広まっており,我が国でも対策が急がれることから,次の 2点を提案したい。. ①. 教育研究所・研修センターと教職大学院の協力による「トッフリーダー研修講座」の開設や「学校管 理職(校長・教頭)育成フロク.ラム」の共同開発. 優れた教育実践を累積し,高度な「指導的能力」を身に付けて「ステージ町. 成熟期 ( 2 1年目以上 ) Jに入っ. たベテラン教員に対し,早い時期から,学校経営参画意識と高度な「経営的能力」を身に付けさせ,学校経 営の重要な後継者となるよう,これまでの研修体系・研修内容・実施体制を見直すことが必要である。 そこで,教育研究所・研修センターは,教職大学院と連携して,次のようなトップリーダー対象の研修講 座や学校管理職育成プログラムを開設できないだろうか。. I J ' 危機管理体制の確立J1ス 「最新の教育政策・教育行政の動向 J1学校組織マネジメントの理論と実際 I クールリーダーシップ論 IJ 1学校改善と校内研究の設計・経営 J 1カリキュラム・マネジメントと学力 向上 J1学校評価の充実による学校改善J1苦情を生かす学校経営 IJ1地域とともにある学校の理論と 実際J1学校課題と学校改善計画 IJ1教育法規演習 I I J など. これらの講師は,主として教職大学院の教員と教育委員会職員・小中学校等の校長等が担当し,研修内容 は受講者の勤務する学校の抱える課題を解決することを中心に据え,理論と実践の往還を図るのである。 先に述べたように,「年間 8回程度の共通研修と,. 9~ 2月の個別実践研修を実施し,理論と実践の往還. を意図したインターパル型研修J(14)などは大いに参考にすべきであろう。 また,これも先に述べたように,これらの研修講座や学校管理職育成プログラムを一定数受講した者には, 校長試験の第一次選考を免除するなどインセンティブの付与などを考えてもよいだろう。 さらには,校長・教頭は職務上多忙なことから,京都府教育委員会の「単位制履修制度(受講履歴が蓄積 される仕組み)J (管理職等選考資格として,特定の講座を履修することを義務付けている),京都教育大学 大学院の「学校経営改善講座(土曜日開講)J (科目等履修生として受講し,合格すれば「修了証」が授与さ れる),九州大学の「学校管理職マネジメント短期プログラム(公開講座,夏休み 5日間)J (受講し,合格 すれば「修了証」が授与される)などの先進的な取組も参考になろう。. ( 1 5 ). ②教職大学院における学校管理職(校長・教頭)養成の推進 教職大学院で優れた学校管理職(校長・教頭)を養成するには,「学校経営」に特化したコースで、学校 管理職候補者(ミドルリーダー)とともに学ぶ方法と,校長・教頭だけで長期休業期間などに集中して学ぶ 方法があるが,校長・教頭は職務上多忙なため,後者の配慮や工夫が必要である。 次の授業科目はすべて「選択科目」とし,そのうち ' I I J はトップリーダーとして学ぶべきハイレベルの. 1 4 0.

(16) スクールリーダーに求められる資質能力. 内容を想定し,それ以外は学校管理職候補者(ミドルリーダー)と同じ内容を学ぶものである。. I JI"危機管理体制の確立J1 " ス 「最新の教育政策・教育行政の動向 J1"学校組織マネジメントの理論と実際 I. クールリーダーシップ論 I IJ 1"学校改善と校内研究の設計・経営 J 1"カリキュラム・マネジメントと学力 IJ 1"地域とともにある学校の理論と 向上 J 1"学校評価の充実による学校改善J 1"苦情を生かす学校経営 I IJ 1"教育法規演習 I I J など 実際J 1"学校課題と学校改善計画 I. 先にも述べたが,これまでの本学カリキュラムのよさは,大学院生の勤務する学校の「学校課題」の明確 化とその解決策の究明を中核に据え,授業科目と実習(学校運営実習,学校課題解決・検証実習)とを連動 させながら理論と実践の往還を図り,スクールリーダーの資質向上を目指してきたところにある。 しかしながら,校長・教頭は職務上大変多忙なため,「共通科目」は免除し,上記の「選択科目」の中か ら何単位か選択するとともに,実習は「学校課題解決・検証実習」のみとするなどして,大学院修了に必要 な単位数を大幅に引き下げることも今後考えなければなるまい。 あわせて,教職大学院のいくつかの授業を,教育委員会との連携事業の一環として行う「トップリーダー 研修講座」と位置付けて土曜日や長期休業期間に開講し,多忙で教職大学院に入学できない現職の校長・教 頭が学校に勤務しながら学ぶことができる学校管理職養成プログラムを開発することも可能であろう。 また,開学以来これまでも本学に校長・教頭が入学してきた例はあるし,聴講生や科目等履修生などとし て大学院の授業を受けたいという声もあるが,校長・教頭が大学院で学ぶための条件整備はまったく進んで いないというのが実態である。学校経営について,真剣に学びたい校長・教頭はたくさんいるのである。 いずれにせよ,これまで、本学が行ってきたスクールリーダー養成の成果を踏まえ,今後,教育委員会・校 長会などデマンドサイドと共通理解及び連携を図りながら大胆なカリキュラム改革を行うことが必要であ る 。. おわりに 社会の大きな変化が予想されるこれからの教員には,直接子どもの指導に必要な「指導的能力」だけでな く,学校の組織的な取組を通して教育効果をあげる「経営的能力 J,そしてそれらの土台となる「教職に求 められる人間性」の 3つの資質能力が求められる。とりわけ,「学び、続ける教員」は,「教職に求められる人 間'性」の中核にある「教育に関する課題意識」と「教職に対する向上心」を常に持ち続け,「指導的能力」 に磨きをかけながら,若いうちから「経営的能力」を身に付けていくことが重要である。 そのためには,教育大学と教育委員会・学校とが連携・協働し,各教員が教職生活の全体を通じて資質能 力の向上を図っていくことを支援するという観点に立ち,教育大学には実践力のある新人教員・スクール. 0 年経験者研修等の法定研修をはじめとする研 リーダー養成など抜本的な教員養成改革が教育委員会には 1 修事業や研修講座などの研修体系と,学習指導・生徒指導中心の教員評価の抜本的見直しが必要である。. [註] ( 1 ) 教育職員養成審議会「新たな時代に向けた教員養成の改善方策について(第 1次答申)J,平成 9年 7月2 8日 ( 2 ) 中村保「職能向上の研修体系と諸環境の整備・充実 J. (北海道立教育研究所『北海道教育 134~ 平成 7 年 11 月)の中の「職. 能向上のライフ・ステージと研修体系モデル」の表のっくりを参考にさせていただいた。. 1 4 1.

(17) 笠井稔雄. ( 3 ) 文部科学省『生徒指導提要」平成 22年 3月 ( 4 ) 上掲書. 5頁. 14-20頁. 中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申 ) j平成 20. ( 5 ). 年 1月 ( 6 ) マネジメント研修カリキュラム等開発会議『学校組織マネジメント研修. 3月)によると,学校における「組織マネジメント」とは. これからの校長・教頭等のために~. (平成 16年. i学校内外の能力・資源を開発・活用し,学校に関与する人た. ちのニーズに適応させながら,学校教育目標を達成していく過程(活動) j と定義されている。 ( 7 ) 日本教育経営学会「校長の専門職基準 (2009年版)一求められる校長像とその力量~ (平成 21年 6月)によると. i基準. 1. 学校の共有ビジョンの形成と具現化 j, 基 準 2 教育活動の質を高めるための協力体制と風土づくり j, 基 準 3 教職員 の職能開発を支える協力体制と風土づくり j, i基準 4 諸資源の効果的な活用 j, 基 準 5 家庭・地域社会との協働・連 携 j, 基 準 6 倫理規範とリーダーシッフ。 j,i基準 7 学校をとりまく社会的・文化的要因の理解」が必要であるという。 ( 8 ) 埼玉県立総合教育センター「今後の「教職員の資質向上を図る年次研修の在り方」に係る調査研究~ i平成 2 5年度調査研. 究 報 告 書 第 376号」平成 26年 3月. ( 9 ). 目立教育政策研究所「学校管理職育成の現状と今後の大学院活用の可能性に関する調査報告書~ i平成 2 5年度プロジェク. ト研究(教員養成等の改善に関する調査研究) j 平成 26年 3月 同 上 掲 書( 9 ) 教員の資質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議「大学院段階の教員養成の改革と充実等について(報. ( 1 1 ). 告) j 平成 25年 10月15日 ( 1 2 ) 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻(教職大学院)は,平成 27 年度から「学校経営」に特化したコース. 「学校改善力高度化コース」を開設。「学校組織マネジメントの理論と実際 j i学校運営実習」等を開講するなど,北海道 教育委員会との連携を図りながらカリキュラム改革を進めている。 ( 1司 上 掲 書( 9 ). ( 1 4 ) 上掲書( 9 ) ( 1日 上 掲 書( 9 ). [ 5 1用参考文献] 吉本均「授業観の変革ーまなざしと語りと問いかけを」明治図書, 1992,113-122頁 中留武昭・田村知子「カリキュラムマネジメントの理論と実践を深め広げる戦略 1 カリキュラムマネジメントの基本的あり 方を再吟味し,深める」教育開発研究所「教職研修~ 2 010, 6月号. 48-52頁. 牧昌見「学校経営の基礎・基本」教育開発研究所, 1998,154頁 佐藤学「教師の省察と見識=教職専門性の基礎 j. i日本教師教育学会年報」第. 7号 , 1998,21頁, 30頁. 牧昌見・牧田章 ~30代教師の自己啓発・研修』ぎょうせい, 1 995,242-247頁. 八尾坂修「教員現職研修の今日的課題と対応 j ~日本教育経営学会紀要』第 43号, 2001,30-41頁 岸本幸次郎・久高喜行編『教師の力量形成」ぎょうせい, 1986,236頁. (大学院教育学研究科教授). 1 4 2.

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参照

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