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ロシアの音楽教育の一考察 ~「モスクワ国際声楽フェスティバル『銀の声』」からみえたロシアの音楽教育の現状~

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Academic year: 2021

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(1)Title. ロシアの音楽教育の一考察 ∼「モスクワ国際声楽フェスティバル『銀 の声』」からみえたロシアの音楽教育の現状∼. Author(s). 服部, 麻実. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 68(1): 205-218. Issue Date. 2017-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/9557. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第68巻 第₁号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 68, No.1. 平 成 29 年 ₈ 月 August, 2017. ロシアの音楽教育の一考察 ~「モスクワ国際声楽フェスティバル『銀の声』 」からみえたロシアの音楽教育の現状~. 服 部 麻 実 北海道教育大学岩見沢校 声楽第2研究室. A Study of Music Education in Russia ~ The present situation of the music education in Russia, viewing from the music festival «Московский Международный Открытый Фестиваль академического сольного пения “Серебряный голос”» ~. HATTORI Asami Department of Music (vocal), Iwamizawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 本研究ではロシアにおける青少年の音楽教育の一端を知るのが目的である。筆者は2013年と 2015年にモスクワ市で行われた青少年のための歌唱フェスティバル「モスクワ国際声楽フェス ティバル『銀の声』 」に審査員として関わった。このフェスティバルはコンクールとしての要 素を含みながら,文化的,また教育的なプログラムが沢山含まれていた。青少年はこのフェス ティバルに参加することにより,歌唱の学習以外に多くの文化的芸術的な要素を吸収し視野を 広げることができる。 ロシアは次世代の教養ある人材の育成をどのように行うのか,なぜ彼らに芸術教育が必要な のかを,フェスティバルを通して,また主催者とのインタビューから考察を行った。. はじめに ロシアでは音楽院ができて音楽教育が始まったのは19世紀半ばであり,世界的に見て遅いと言える。しか し,その後ロシアは多くの優れた音楽家を輩出してきた。その教育システムには独自のものがあると考えら れ,現在でも青少年のための音楽教育,芸術教育が豊かになされている。それは歴史の変遷による政治的, 経済的な変化のなかでも,その必要性が現在も認識されているためと思われる。筆者は2013年と2015年の2 回にわたり,モスクワ市で行われた青少年のための歌唱フェスティバル「モスクワ国際声楽フェスティバル. 205.

(3) 服 部 麻 実. 『銀の声』 」に審査員として関わり,ロシア人審査員と共に審査を行った。その時このフェスティバルは歌 唱のコンクールだけではなく,様々な文化的なプログラムを含んでいることに驚いた。そのようなことから, このフェスティバルの意義を多方面から考察をしたい。 はじめにフェスティバルの歴史,規約などの資料からその意義を探り,また筆者が実際に審査員として関 わった2015年のフェスティバルを中心に考察を行う。またこのフェスティバルを主催したモスクワ市にある 「子ども芸術センター『文化と教育』 」を訪ね,センター長にインタビューを行った。筆者の審査員として の経験とセンター長とのインタビューから,このフェスティバルの意義とロシアに於ける青少年の文化教育 のあり方を考えたい。. 1.第9回声楽フェスティバル『銀の声』の意義と目的 1-1.モスクワ国際声楽フェスティバル『銀の声』の歴史 「モスクワ国際声楽フェスティバル『銀の声』」(Московский Международный Открытый Фестиваль академического сольного пения “Серебряный голос”)は2015年で9回目を迎えた。(以下,フェスティ バルと記す) これは青少年のための歌唱フェスティバルであり,1999年から始まり2年に一度行われている。 主催は現在モスクワ市の国立の教育機関である「子ども芸術センター『文化と教育』」(Московский городской центр детского творчества «культура и образование»)が行っており,それについては2-1 で詳しく述べる。(以下,芸術センターと記す) 以下にこのフェスティバルについて,主な歴史と各回の課題について簡単にまとめる。 第 1 回 は1999年 に 行 わ れ, 「 プ ー シ キ ン 生 誕200年 を 記 念 し て 」 と し,A.プ ー シ キ ン(Александр Сергеевич Пушкин 1799-1837)の詩を題材とした作品が多く歌われた。 第2回(2001年)には,20世紀の作曲家の作品から取り上げられた。そして最終日に行われるガラ・コン サートがモスクワ市にある子供劇場(детский музыкаль театр им.Н.Сац)で行われた。 第3回(2003年)はペテルブルク建都300年祭ということもあり,M.グリンカ(Михаил Иванович Глинка 1804-1857),A.グラズノフ(Александр Константинович Глазунов 1865-1936),A.ダルゴムィ シスキイ(Алекcaндр Сергеевич Даргомыжский 1813-1869),N.リムスキー=コルサコフ(Николай Андреевич Римский-Корсаков 1844-1908),A.ワルラモフ(Александр Егорович Варламов 18011848) ,C.キュイ (Цезарь Антонович Кюи 1835-1918) などペテルブルクで学んだ作曲家の作品からとした。 ガラ・コンサートは,当時オープンしたばかりのコンサートホール,音楽会館(Дом музыки)で行われた。 第4回(2005年)はフェスティバル開催から6年が経ち,参加者が極東地域からロシア全土に広がった。 また近隣の国からの参加者もあり,20以上の都市から参加者が集まった。G.スヴィリドフ(Георгий Васильевич Свиридов 1915-1998)の生誕90周年の年であり,彼の作品が取り上げられた。また大祖国戦 争iの戦勝60周年を記念してその時代に歌われた歌も加えられた。 第6回(2009年)には,フェスティバルは10年目となった。現代作曲家A.パーフムトヴァ(Александра Николаевна Пахмутова 1929-)の80歳を祝って彼女の作品が取り上げられた。ガラ・コンサートは,モ スクワのオペラ・バレエ劇場であるスタニスラフ・ミネロヴィチダンチェンコ劇場(Музыкальный театр им.К.С.Станиславского и Вл.Немеровича-Данченко)で行われた。 第7回(2011年)には,19世紀のロシアの作曲家A.ワルラモフ,A.アレンスキイ(Антон Степанович Аренский 1961-1901)の作品が取り上げられた。 第8回(2013年)には,A.グリリョフ(Александр Львович Гурилёв 1803-1858),A.ダルゴムィシス. 206.

(4) ロシアの音楽教育の一考察. キイ,S.ラフマニノフ(Сергей Васильевич Рахманинов 1873-1943)の作品が取り上げられた。 第9回(2015年)には50以上の都市から参加者が集まった。テーマとして大祖国戦争の戦勝70周年を取り 上げ, それに関係のある歌が歌われた。「ロシアの鶯」 (「Соловьи России」В.Левашов), 「戦士のバラード」 ( 「Баллада о солдате」В.Соловье-Седой),「母のバラード」(「Баллада о матери」Е.Мартынов)な どの戦争の時代に作曲された歌が取り上げられた。ガラ・コンサートでは大祖国戦争の写真展,ビデオ上映 も行われた。 またP.チャイコフスキイ(Пётр Ильич Чайковский 1840-1893),G.スヴィリドフの記念の年として,そ れらの作品を取り上げることも可能であった。 このようにこのフェスティバルの歴史的な変遷を見てみると2015年で開催回数9回を迎え,規模も拡大を してきた。参加者もモスクワ市にとどまらず,極東地域(ヴラヂオストックなど)からも多く,このフェス ティバルへの参加の意義が広く認められてきたと考えられる。またガラ・コンサートも最初は子供劇場のよ うな場所で行われたが,回を重ねる毎に一般のオペラ・バレエ劇場や,また最新の音楽専用ホールで行われ るようになった。そのことにより参加者は首都モスクワで歴史のある,真の芸術を鑑賞できる会場で演奏す ることができ,青少年の文化的な意識を目覚めさせる効果があるのではないかと考えられる。 またプログラムの課題については,生誕や没後などの記念の年にあたる作曲家や,現代の作曲家の作品に 注目している。また第4回,第9回はそれぞれ大祖国戦争の戦勝60周年,70周年の節目の年になるため,歴 史を振り返り, 戦争をテーマにした作品を取り上げている。課題の決め方は多様でありユニークであるので, そのことについて2-2のインタビューの際にも質問に加えた。 このようにこのフェスティバルに参加した青少年がそのプログラムの課題について考えることは,作曲家 を知り作品を知ることになり,自分で選曲をすることだけでは得ることのできない,知的な要求へのきっか けになるのではないかと考える。 1-2.第9回フェスティバルの規約について このフェスティバルの規約について,幾つか特徴のある点をあげ考察をしてみる。規約についてはこのフェ スティバルのホームページに公開されているので,それを参照した。 規約2. 「フェスティバルの目的と課題」では以下のように4点について書かれている。 1.子どもと若者のための芸術的教育と美学的教養への促進 2.若い才能のある声楽家の発掘と支援 3.子どもの独唱の普及 4.能力のある教師の紹介 筆者が特にこのフェスティバルを通して感じたことは,規約2の1.「子どもと若者のための芸術的教育 と美学的教養への促進」という点を重視していることである。このフェスティバルは歌唱コンクールの要素 を含んでいる声楽のフェスティバルではあるが,単に歌唱の技術を重視しているのではない。フェスティバ ルでの開会式やガラ・コンサートの演奏会場や,演出に至るまで細かく計画された内容になっている。その ことによりこの規約2の1の目的が十分に果たされていると言える。 規約3. 「参加者の規定」では以下のように書かれている。 「このフェスティバルは声楽の参加者によって行われる。それは一般の教育機関で学んでいる者,付属の. 207.

(5) 服 部 麻 実. 教育機関,また声楽の専門教育をうけている者で(大学などの専門教育機関),9歳から21歳までが参加でき る。 」としている。それを以下のように年齢によって,4つのカテゴリーに分け,さらにカテゴリーⅢとⅣ はAを加え2つに分けている。 第Ⅰカテゴリー:9-11歳 第Ⅱカテゴリー:12-14歳 第Ⅲカテゴリー:15-18歳 第ⅢAカテゴリー:15-18歳の者のうちで,専門教育機関で学んでいる者 第Ⅳカテゴリー:19-21歳 第ⅣAカデゴリー:19-21歳の者のうちで,専門教育機関で学んでいる者 参加者が年齢別,また専門的に学習しているかどうかによってカテゴリーを分けることは,審査の平等性 という点から適当であると言える。また参加者が同じような年齢やレベルの中で互いの歌唱を聴き合い,刺 激を受けることも容易に想像ができ,視野を広げることに於いても大変有効なことであると言える。 規約4. 「フェスティバルの日程」について第9回は,以下のような日程で行われた。 ・2014年12/19~2015年1/25 1次審査 ・2015年1/27 1次審査についての講評 ・2015年3/24~28 2次審査 ・2015年3/29~30 2次審査についての講評 マスタークラス ・2015年3/25~27 モスクワ観光 ・2015年3/30 ガラ・コンサートと表彰式 筆者は2次審査からこのフェスティバルに審査員として加わった。参加者は春休みを利用して参加してい るようである。この日程からもわかるように,2次審査ではマスタークラス,またモスクワ観光,ガラ・コ ンサートなどが行われ,多くの参加者がこのフェスティバルを通して様々な文化に触れることを目的として いると言える。 規約5.参加者の「プログラムについて」は以下のように規定されている。 1次審査では2曲の課題があり,1曲は「民謡を編曲した作品を伴奏なしで歌うこと」,もう一つは「クラッ シックの声楽作品から」となっている。筆者は「伴奏なしで歌うこと」という規定に,参加者の資質の高さ を感じた。伴奏なしで歌唱をすることは容易なことではなく,1次審査の段階で既に音楽的な基礎能力は十 分に計られていると言える。2次審査ではどのカテゴリーにも「クラッシックの声楽作品」という同じ課題 と,チャイコフスキイとスヴィリドフの作品,また戦勝70周年を記念して2次審査ではそれを課題とした作 品を取り上げるように記されているii。 規約7. 「審査基準」については以下のとおり記されている。 ・音楽性,芸術性,芸術的解釈 ・美声 ・正確な音程 ・ディクション ・声域 ・レパートリー. 208.

(6) ロシアの音楽教育の一考察. ・年齢や個性に合った選曲 ・ステージマナー 音楽の技術面の要求,即ちそれは音程や言葉のディクション,声域などであるが,このフェスティバルで は第一に音楽性を最初の項目としてあげている。そしてステージマナーも大事なことの一つとして加えられ ている。これについてはロシアの音楽学校では,子どもの時から演奏者はどのように振る舞うべきであるの か指導されている。これは広義に考えると一つのコミュニケーションであると考える。自分がどのように相 手に演奏を伝えるのか,また言い換えるとどのように自分の主張を相手に伝えることになるのか,というこ とにもなる。これは青少年を対象とした声楽フェスティバルであるが,「文化的教育」も目的の一つである と言えるのではないか。 規約8. 「コンクールの総括」として以下のように定めている。 「 『今回のテーマでの優秀な演奏者に対する賞』とそれぞれのカテゴリーで1,2,3位,また優れた演奏 にはディプロマを与える。そして2次審査の出演者には全て賞状を与える」とされている。 2015年のフェスティバルで与えられたディプロマは以下のとおりである。 ・豊かな表現性に対して(Выразительное исполнение) ・感動的な演奏に対して(Проникновенный исполнитель) ・将来性に期待を込めて(Надежду) ・音楽性に対して(музыкальность) このフェスティバルでは,全体からグランプリを1名選んだ。それは筆者が2回のフェスティバルに審査 員として加わったがどちらにおいても行われた。 そして興味深かったのは,前述のように優れた演奏を行った参加者にディプロマを与えたことであった。 どのような点におけるディプロマであるのか明確に記されていることから,教育の指針がはっきりとしてお り,参加者は自分の資質を客観的に知ることができる。またこのディプロマは,特に芸術的なセンス,感性 に対して与えられており,そのことをこのフェスティバルがいかに重視しているか,この内容から十分に読 み取れる。 1-3.第9回フェスティバルの審査を通して このフェスティバルは2015年3月24日から30日まで,7日間モスクワで行われた。それについて筆者が体 験したことから幾つかを取り上げ,具体的に考察をしてみたい。 審査員 今回の審査員は委員長としてモスクワ音楽院の教授のアナトリー・ロシャック(Анатолий Александрович Лошак) ,その他長年,教師として実績のあるベテランのニコライ・ヴァシリエフ(Николай Иванович Васильев) ,ナターリア・イルトラチ(Наталья Адександровна Иртлач),ゾーヤ・スヴィリドヴァ (Зоя ВасильевнаСвиридова)によって行われた。また海外からはウクライナからヴィクトーリア・ザド ヴァルナヤ(Виктория Задворная)と日本からの筆者の6名であった。 若い審査員 このフェスティバルでは過去に入賞をし,現在歌手として活動している,または音楽院で学んでいる若者 達も「若い審査員」として審査を行う。彼らは先ほどあげた一般の審査員とは別に,独自に審査を行い,互. 209.

(7) 服 部 麻 実. いに議論を重ね最終日には彼らから参加者に賞が与えられた。 今回「若い審査員」はモスクワ音楽院の学生であるアナスターシア・リンガチ(Анастасия Рынгач), ドイツの音楽学校で学んでいる学生アレクサンドル・フェドラフ(Александр Федоров),またスタニスラ フスキ・ミネロヴィチダンチェンコ劇場の歌手として活躍しているグリゴーリイ・サモフ(Григорий Сомов)の3名が審査を行ったが,これも教育的なプログラムの一つである。若い歌手にとってはこれから も自身がコンクールを受ける機会があり,審査がどのように行われるか,そしてどのような観点から審査さ れるのかということを,自ら審査員となることで経験することができる。また将来,彼らが声楽の指導者と なることや,このようなフェスティバル,コンクールの審査員となるための経験を積む機会を与えていると いえる。そして彼らの審査の状況や結果については,一般審査員からのアドバイスを受けることもある。 責任ある,そして価値ある判断をしていくことは,芸術の伝統を守ってゆくために必要なことである。そ れによってロシアがこれまで受け継いできた伝統を守り,そして次世代に伝え続けているのではないかと思 われる。 筆者はロシアで音楽教育を受けた者であるが,そのなかで指導法の継承ということを感じることが多く あった。演奏や表現に対する価値観が揺らぐことなく受け継がれてゆくこと,そしてそれを守り更に発展さ せてゆくこと,この二つのバランスが大事であると考える。古きものに敬意を払い,新しきものを受け入れ るという姿勢を学ぶことは,豊かな人間性を形成してゆくためにも必要ではないだろうか。 開会式 2次予選の初日3月24日は開会式として審査員の紹介 の他,コンサートが行われ,音楽学校の生徒による演奏, また「若い審査員」による演奏も行われた。またこの日 には2次審査の演奏順のくじ引きが行われるということ もあり,会場は活気に満ちていた。 開会式の始めに審査員が会場で紹介され,花束を受け 取る。セレモニーとして非常に華やかであり,そこには 常に音楽界という憧れに満ちた華やかな光景が展開され 写真1 開会式. る。そのことを間近で体験できることは,参加者にとっ て大きな刺激となり,音楽文化への興味に繋がることに もなるのではないかと言える。. その後, 音楽小学校の生徒によるチェロの演奏があった。その演奏は大変見事であり,自信に満ちていた。 恐らく10歳位であったが,その立ち居振る舞い,演奏に対する責任感というものを持ち合わせており,既に 立派な演奏家であると感じさせるものがあった。 参加者について 今回のフェスティバルは参加者が500名以上であり,2次審査では1次審査を通過した180名を審査した。 1-1のフェスティバルの歴史でも述べたが,回を重ねる毎に参加者が増えていること,また参加者の地域 が拡大していることもこのフェスティバル参加への意義が広く認められてきたと考えられる。参加者の地域 はモスクワからは勿論だが,極東地域のヴラジオストック,マガダン,またオムスクやノボシビルスク,ま た隣国ではウクライナやベラルーシと広範囲であった。. 210.

(8) ロシアの音楽教育の一考察. 審査について 審査は一番年少のカテゴリーⅠから行われた。各カテゴリーは年齢で決められており,性別に関わりなく 男子も女子も同じカテゴリーで演奏するiii。. 写真2 カテゴリーⅠの参加者. 写真3 カテゴリーⅡの参加者. 審査は4日間行われ11時から始まり14時に一度休憩を取り,大体17時まで続けられた。各参加者には演奏 時間の制限がない。例えばロシアで行われるチャイコフスキイコンクールなどでも,参加者には演奏時間の 制限がないためにコンクールの場で十分に演奏をすることができるのである。これもやはりその演奏に対し ての責任,また音楽に対する愛情,尊敬心などを育てることになるのであると思う。 また興味深かったのは,一人一人の参加者に対して審査員全員で評価を与えるという点である。どのよう に審査を行うのか,毎回の審査員達によって具体的に話し合われた。前回の第8回ではモスクワ音楽院教授 ガリーナ・ピサレンコ(Галина Алексеевна Писаренко)が審査委員長であった。教授の長年の指導経験, また審査員長としての的確な判断力には信頼が寄せられていることは十分に理解をすることができた。第8 回はG.ピサレンコ教授の主導によって,参加者に一人ずつ審査員全員が意見交換をするというものであった。 その時の2次審査の参加者は150名ほどであり,参加者の歌を聴くだけで長時間になる。それでもそれぞれ の参加者が賞に値するかどうかについて,審査員全員が議論を進めていったことには本当に驚いた。そして 丁寧に一人ずつの資質を見出し審査員全員と議論を重ねてゆく姿勢に,その責任感と音楽教育に対する熱意 を強く感じた。一人でも多くの参加者の良いところを聴こうとする姿勢が,次世代の優秀な音楽文化の担い 手を育てることに繋がっているのではないかと言える。 第9回の場合は前回より参加者が多いということもあり,まずは審査員の評価点による採点方法で行った。 評価点の集計から大まかに候補者を絞って,それを元に議論をした。 マスタークラス マスタークラスに先立ちフェスティバルの全般への講 評が,各審査員からそれぞれ述べられた。発声の技術的 なことや,フェスティバルの準備方法,また今後の課題 など参加者へのアドバイスなど多岐にわたった。 その後,参加者を対象としたマスタークラスが行われ た。今回は審査委員長であるA.ロシャックが3名を選び, マスタークラスを行った。選ばれた参加者はもう一度歌 写真4 講評を述べる筆者. うチャンスを与えられ,また彼らの指導者の多くがこの. 211.

(9) 服 部 麻 実. マスタークラスを聴講しており指導法を学ぶことができる。 その点に於いても教育的なプログラムであると言える。 ガラ・コンサート ガラ・コンサートはフェスティバルの最終日に行われ た。表彰式を含めたコンサート形式であり,このために 選ばれた会場は3000人を収容できる施設であった。ガ ラ・コンサートは開会式と同様にとても華やかな雰囲気 であり幾分ショー的な感じもするが,参加者は音楽文化 の華やかな要素を存分に味わうことが出来た。特に多く の参加者にとってはこの華やかさは魅力的であり,それ に触れ憧れを持つこと,そのことが次世代の文化の担い 写真5 ガラ・コンサート. 手を育てていくことにも繋がるのであると思う。 コンサートの冒頭では全員によるステージでの合唱が. 行われた。今回の実行委員長であるA.パリャンスカヤ(А.Я.Полянскаяiv)が司会進行をつとめた。演奏曲 目は2次審査で歌われた中から15曲が取り上げられ,一人,もしくは二人で歌われた。そのことも歴史や伝 統を参加者で共有し,また次世代に受け継ぐということに大きな教育的な要素があると感じた。 表彰式は「若い審査委員」が選んだ参加者に,まず賞が贈られた。彼らの役割は先ほど述べたとおりだが, このように次世代の教育者,また文化の担い手を育てていくという意味でもこのフェスティバルは大きな意 義のあるものであると思われる。. 写真6 表彰を行う「若い審査員」と司会を行う実 行委員長A.パリャンスカヤ. 写真7 グランプリのE.カラハノヴァ. 一般審査員はグランプリを含め各カテゴリーの優れた歌唱の者に賞,又はディプロマvを与えた。このフェ スティバルでは賞に該当しない者に対しても,できるだけ多くの者にディプロマを与えたいという主催者の 意向もあり,私たち審査員は連日,参加者の優れた点を話し合い,最終日の締切まで続けた。参加者の多く はモスクワから遠く離れた地方から来ており,ここに至るまで多くの勉強をし練習をしてきたのである。そ の成果に少しでも応えたい,そして彼らに今後更なる勉強を続けて欲しいというフェスティバル主催者の願 いが込められている。参加者それぞれの個性や特徴を注意深く聴き,それぞれに適切なディプロマを与える ことは教育的な配慮であると言える。. 212.

(10) ロシアの音楽教育の一考察. 筆者は6日間にわたるフェスティバルに審査員として参加し,ロシア人審査員と共に仕事をし非常に学ぶ ところが多かった。彼らは芸術や歴史に対する教育的な考えを基に,フェスティバルを運営,また審査を行っ ていた。歌唱の結果を重視することだけではなく,そこには様々な教育的な配慮のあるプログラムが組み込 まれていた。それは開会式,またガラ・コンサート,モスクワ観光など,常に文化や歴史を感じさせる内容 になっていた。参加者はこのフェスティバルに参加することにより,歌唱の上達だけではなく文化や歴史を 学ぶということにもなる。そして彼らはそれらを学んでいるという特別な意識はないかも知れないが,この ような経験をすることによって次世代の文化の担い手,または教育者となるために今後,更なる努力を積み 重ねてゆくのではないかと思う。 文化の継承者を育てるということは,芸術や文化を指導することだけで育つのではないと考える。文化を 取り巻く環境に触れることが大切であり,幼いうち,また若い時に経験することが大事であると言える。. 2.ロシアの音楽学校における意義と目的 2-1.フェスティバルの主催者について 声楽フェスティバルを主催しているのはモスクワ市にある「子ども芸術センター『文化と教育』」 (Московский городской центр детского творчества «культура и образование»)(以下,芸術センター とする)である。 この芸術センターは2015年に開校45周年を迎えた。1969年にピオネールviの家No.1として,首都モスクワ のヴォルガグラーツク地域に,少年,少女のための学外の教育施設として開校された。1980年には規模が拡 大しダンスホール,美術教室,スポーツの教室などができた。2004年に現在の名称となり,モスクワ市にお いて優れた教育施設として何度も表彰されてきた。 今日ではこの芸術センターはモスクワ市において,教育の補足的な役割を担っている。多くの芸術,文化, スポーツに関する教育がなされ,4歳から18歳までの生徒3000人が学んでいる。具体的には音楽全般,ダン ス,美術,外国語,スポーツ,サーカスなどの芸能分野にわたる。国からの表彰を受けた生徒や,優秀な教 師もいる。 また芸術センターではコンサート,フェスティバル,コンクールと競技会,展示会またマスタークラスな どが盛んに行われている。1999年からは,青少年のための声楽フェスティバル「モスクワ国際声楽フェスティ バル『銀の声』 」を主催している。 現在教員は140名おり,若い教師からベテランまでが指導にあたっている。 以下に学校の歴史を簡略に記載する。 1969年 ピオネールの家No.1として開校する。 1981年 ピオネールの家として,モスクワの学外教育施設として賞を受ける。 2000年 クズメンキvii(кузыменки)の文化センターとしてロシア文化省から名誉ある賞を受ける。 2004年 現在の名称「子ども芸術センター『文化と教育』」となり,補足的な教育施設としてモスクワ市か ら1位とされる。 2005年 補足的な教育施設として,全ロシアで行われたコンクールでディプロマをもらう。 2005年 教員がモスクワ市長から表彰される。 2009年 「モスクワ東南地方における優れた教育機関」として表彰される。 この芸術センターでは芸術や文学やスポーツ,芸能と様々な分野を学ぶことができ,音楽分野の器楽関係. 213.

(11) 服 部 麻 実. ではサクソフォーン,トランペット,アコーディオン,ピアノ,ギター,バラライカ,シンセサイザー,打 楽器と多種に及ぶ楽器を学ぶことができる。特に歌唱に力をいれており,その教育方針には「声は世界の中 でも素晴らしい楽器である」viiiとしている。また声には「自分の内なる感情,喜び,悲しみ,希望,感動な どを伝えることができる」ixとあり,歌唱を通じて豊かな表現力,音楽性を身に付けることが大切とされて いる。また歌唱のジャンルはクラッシック,エストラーダx,民謡,合唱など多岐にわたり,大切なのはど のジャンルを学ぶのかではなく,歌唱を学ぶことで美しい心を生み出すということなのである。その他,舞 踊の分野には,バレエ,民族舞踊,エストラーダ,現代舞踊などがある。美術の分野では陶芸,絵画,紙工 芸や,コンピューターデザインのクラスがある。その他,文学,外国語,体育系ではチェス,ボクシング, そしてサーカスの指導をうけることができる。 以上のような歴史からもわかるように,この芸術センターは単に生徒の教育を担ってきたのではなく,そ の地域,又はモスクワ,ロシア全体の文化の発信,継承も行ってきたと言える。そしてそのような教育活動 がモスクワ,またロシアで広く認められてきたことは,このセンターの果たしてきた役割がいかに大きかっ たかを物語っている。 優れた教師達の指導により生徒達の視野を広げること,それが彼らの単なる趣味であっても,常に高い目 標を与えている。マスタークラスなどより高いレベルでの指導を行い,コンクール,フェスティバルなどの チャンスを与えるなどして総合的なプログラムのもとに幅広い教育活動を展開している。 2-2.芸術センターのセンター長へのインタビューと施設内視察 今 回 筆 者 は, 芸 術 セ ン タ ー の セ ン タ ー 長 で あ る ア レ ク サ ン ド ラ・ パ リ ャ ン ス カ ヤ(Александра Яковлена Полянская)にロシアの芸術教育について,またフェスティバルについて2016年3月24日に芸 術センターに於いてインタビューを行った。以下がインタビューの抜粋である。(Pがパリャンスカヤ,H が服部の略である) H:このセンターのこと,またロシアでのこのような学校のシステムについて教えて下さい。 P:この芸術センターでは,歌唱,民謡,古典芸能,現代芸術,ダンス,バレエ,英語,チェス,ボクシン グ,サーカスなど音楽系,スポーツ系など多岐にわたるジャンルの指導を行っている。現在は3000人以上の 生徒が通っている。ソビエト時代に開校され(1960年代に開校される),今年で開校して45年になる。ピオネー ル,コムサモールなど(日本で言うところのボーイスカウトなどの)少年の活動が前身にあった。 本センターでは芸術系やスポーツ系など様々な分野を学べるが,音楽,美術,スポーツなどのどれか一つ のジャンルしか学ぶことのできない学校もある。 このようなセンターに通っている生徒は,通常の小中学校の授業が終わってから通っており,算数などの 学習は一般の教育機関で行っている。生徒の中には小学校入学前の幼児もおり,幼稚園などには通わずこの センターに通う場合もある。日本のようにプライベートでレッスンに通うようなケースは,ロシアにはほと んどいない。中学生では週に6時間程度,最大で14時間ここで学ぶことができる。 入学試験はなく,学費は基本的に無料xiであり国が補助をしている。モスクワには現在このようなセンター が157校ある(2016年3月現在)。 この3日間は歌とダンスのマスタークラスが行われている。アメリカから教師を招き,質の高い授業を行っ ている。 H:どうして彼らはこのような学校で芸術などを学ぶのか。音楽家になりたいのか。. 214.

(12) ロシアの音楽教育の一考察. P:彼らは音楽家になりたいという訳ではない。ただ彼らはこれらのことを学ぶことが好きだからが,まず 一番である。そして視野を広げるために必要である。成人になりこのような活動をやめ,経済や法律の専門 家になる人も多くいる。このセンターで学ぶことができるのは4歳~18歳までである。自分自身のため,そ れは何よりも音楽を学ぶことが好きだということが大事なのである。 なぜ芸術を学ぶのか,なぜ劇場に行くのか,それはそれらのことが好きだからであり,満足感があるから である。歌いたい人は歌い,踊りたい人は踊るのである。自由な時間にコンピューターで遊んでいたり,無 意味に過ごすよりも美しい芸術に出会うことが大事なことであると思う。 彼らはこのセンターで,趣味としてそれらのことを学んでいるのである。 H:歌唱について学ぶことは大切なことであるか?全員が学ぶのか? P:本センターではピアノや他の楽器を勉強していても,週に1度は合唱や歌唱のレッスンが必ず行われて いる。 H:声楽フェスティバル「銀の声」の参加者は,声楽を専門的に個人レッスンで学んでいるのか。 P:参加者は全員,声楽を専門的に学んでいる。ここでは7,8歳位から個人の歌唱のレッスンを始めている。 H:フェスティバルでは9, 10歳の子どもがとても上手に歌っていた。発声フォーム,音程,リズムなどに ついても良く指導されていた。日本では歌唱の個人レッスンは一般に15,6歳位から行われるのが普通であ るのだが。 P:歌唱の質が大切なのではない。大切なのは音楽を聴き,理解することである。西洋音楽のレパートリー を知り,作曲家を知り,音楽文化を知り表現することである。上手にできなくても問題はない。後に,正し くできるようになる。15,6歳に歌唱を学び始めたのでは,文化的教育が遅すぎる,テクニックなどは大き な問題ではない。彼らは音楽を聴き,表現することが大切であると思う。 H:歌唱の教育には文化的な要素が含まれているということですね。 P:そうである。 H:フェスティバルについても,文化面,教養面を含めた内容になっているように思った。それはオープニ ングコンサート,マスタークラス,観光,ガラ・コンサートなどとても魅力的なプログラムで,文化的意識 が高いと感じたが。 P:このフェスティバルは1位,2位を決めることが大切なことではない。大切なのは,クラッシック音楽 を知り,好きになり,理解をすることである。 私たちは2016年3月30日,31日に過去のフェスティバル参加者によるコンサートを企画している。彼らは 再会し,互いに聴き合い,どのような勉強をしているのかなどの交流の機会として開催される。 H:これは一般にロシアで行われる青少年のための音楽フェスティバル,コンクールであるのか。 P:ロシアでも様々なコンクール,フェスティバルがあるので,主催者によってその内容は異なる。私は芸 術に対する視野を広げる,音楽,芸術への愛情が大事であると思っている。 H:民謡をフェスティバルの課題としているのは何故か? P:ロシア民謡とは決めていない。民謡には良いメロディーがあり,歌手にとってとても歌い易い。また民 謡には音楽の基礎的な要素が多く含まれているからである。 H:フェスティバルの課題はどのように決めるのか? P:チャイコフスキイの記念の年や,第9回のフェスティバルのように2015年は祖国戦争の勝戦70周年の年 であったので, 戦争の時代の歌を課題としたが,特に決まりはない。幾つかある色々な候補の中からその年, 参加者の年齢に相応しく,そして声の成長に適応したテーマを決めている。そのことによって彼らがそれに ついて知ることにもなる。. 215.

(13) 服 部 麻 実. H:音楽家になることは多くの人の夢であるのか? P:音楽家になることはとても大切なことで,多くの人の夢である。だが勉強はしても音楽関係の仕事は少 ない。音楽院を終えてディプロマを手にしても仕事がない。劇場も多くが満杯である。だから学んだあと誰 かは音楽の仕事を得るかもしれないが,とにかく仕事は多くはないのである。 なぜこのような芸術教育が必要なのか。それは一般的に芸術的なレベル,文化的なレベルを保ってゆくこ とは, (国にとっても)個人の人生にとっても重要なことである。人生にとって芸術を知ることは,大切な ことである。 趣味はもしかしたら人生には無駄なことかもしれない,必要のないことかもしれない。でもそれは心の休 息である。一日中オフィスで働いて,夜には歌うことや踊ること。これはストレスから解放されるためにも 必要なことである。 ロシアではこのような活動が人生を助けていると言える。若い時に経験をしておくことで,一時中断をし てもその後,学び始めることは容易なのである。 このインタビューからこの芸術センターでは芸術系,スポーツ系,文学系など多岐にわたる分野において 教育をしていることが分かった。そのことにより生徒達の視野を広げ,知能を発達させるという考えがロシ アにはあるxii。そして幼い時に芸術文化を知り体験することが大切であり,15,16歳では遅いと考えられて いる。 このことからも分かるように,ロシアでは子どもや青少年のための芸術教育の役割が明確であると言える。 子どもの一時期にそのことに集中して高い目標に向かって勉強できることは,その後の人生を豊かにしてく れると考えられている。声楽フェスティバル「銀の声」もその教育プログラムの一つであり,歌唱を通して 文化に触れることを目標にしている。ロシアでも芸術家になることは難しいが,子どもの時に芸術教育を受 け,芸術的,文化的な視野を広げることは,個人の人生において大切なことなのである。 芸術センター内見学 このセンターでは様々な分野の授業が行われており,それぞれの教室が用意されている。その中には非常 に美しくデザインされた教室もあり,そこで学ぶことは生徒達の想像力を豊かにし,美的な感性を養ってい る。そのいくつかを紹介したい。. 写真8 民族芸能を学ぶ教室. 216. 写真9 チェスの教室.

(14) ロシアの音楽教育の一考察. 写真10 合唱の教室 階段教室になっており,写真にはないが,壁などがとて も美しく装飾されている。生徒達の気分を変え,高める雰 囲気になっている。. 写真11 アコーディオンの教室. 写真12 ボクシングの教室. このようにそれぞれの教室はその活動を行うことに相応しい雰囲気を持っている。どの教室も外観,また 入口は同じであるが,一歩足を踏み込むとそこには全くの別世界が広がっている。生徒達はそこで活動を行 うことで,想像力を豊かにし,文化への興味や視野を広げることとなる。 このようにセンターでは単に指導をうけるだけではなく,総合的に文化的な教養を身に付ける場となって いる。. おわりに これまでフェスティバルを様々な角度から分析し,ロシアに於ける青少年に対する音楽教育のあり方を考 察してきた。 このフェスティバルはコンクール形式で行われているが,参加者達には良い成績を取らなければならない といった悲壮感や必死さは見られず,むしろ歌うことの喜びと楽しさを感じているように思われた。若い彼 らの愛らしく,元気に溢れた歌唱を聴き,筆者は熱く感動したことを今でも覚えている。 ロシアは芸術大国であり,19世紀以降多くの音楽家を輩出している。このフェスティバルにおいても将来, 優れた声楽家を世に送り出すかもしれない。だがこのフェスティバルの参加者の多くが子どもの時に真の声 楽教育の一端に触れ,音楽文化を身近に感じたことは,その後の人生に与える影響は極めて大きいものと推 測される。 今後は時代と共に変わりゆくロシアで青少年に対する音楽教育のあり方や,また彼らを対象とした他の音 楽フェスティバルも調査し,ロシアでの音楽教育の意義を明らかにしたい。. 217.

(15) 服 部 麻 実. 謝 辞 調査にあたりご協力をして下さいましたモスクワ音楽院ガリーナ・ピサレンコ教授と,モスクワ市の「子 ども芸術センター『文化と教育』」のアレクサンドラ・パリャンスカヤセンター長に感謝申し上げる。. 注 i これは第二次世界大戦のうち,ソビエト連邦がナチス・ドイツおよびその同盟国と戦った1941年6月22日から1945年5月 9日までの戦いを示している。 ⅱ この点については1-1「フェスティバルの歴史」で述べている。 ⅲ 参加者のカテゴリーは1-2の規約3.「参加者の規定」の中で示した。 ⅳ モスクワ市の「子ども芸術センター『文化と教育』 」のセンター長。2-2にセンター長とのインタビューを行った。 ⅴ ディプロマについては,1-2の規約8.「コンクールの総括」の中で示した。 ⅵ 1922年にコムサモール第5大会で設立が決定された。10歳から15歳までの少年少女を対象としたソビエトの子ども組織。 広く社会的,政治的活動に参加させ,集団活動,奉仕活動を行った。 ⅶ モスクワ市の東南地区の地名。 ⅷ 芸術センターのブックレットには次のようにある p8 «Голос- это лучший музыкальный инструмент в мире» ⅸ 芸術センターのブックレットには次のようにある P8 «Именно голосом, пением можно нередать самые сокровенные чувств; радость и грусть, надежду и печаль, разудалое веселье и трогатнльную нежность» ⅹ ロシアで人気のある大衆芸能の一つ。小さな演目を寄せ集めたロシア風寄席,バラエティ・ショーでもある。演目として は寸劇,人形劇,時事小唄,歌謡,器楽独奏,奇術,曲芸,踊り,漫才風の掛合などが含まれ,多義的である。 ⅺ この点については,音楽学校への入学の準備を行う生徒,また著しく能力の低い生徒に対しては特別のプログラムを準備 するため有料になる。 ⅻ この点については,以下のサイトの冒頭に一般的な考えが述べられている。 http://music-education.ru/kak-postupit-v-muzykalnuyu-shkolu/ Занятия музыкой (в любой форме) помогают детям развивать не только слух и ритм, но и память, внимание, координацию, интеллект, усидчивость и многое другое( 「音楽の勉強は子どもにとってリズムや聴力を助長させるだけ ではなく,記憶力,注意力,協調性,知能,粘り強さなど他の成長も助ける」とある。 ) また筆者は一般のロシア人達から話を聞き,ロシアでは子どもに対する音楽教育,芸術教育は,視野を広げるということ に非常に有効である点をあげている。. 参考文献 ・新版 ロシアを知る事典 平凡社;新版(2004/1/21)川端 香男里(編集) ,佐藤 経明 他(編集). 参考資料 ・ 「第9回モスクワ国際声楽フェスティバル『銀の声』 」のホームページ http://s-golos.ru/ ・ 「第9回モスクワ国際声楽フェスティバル」のパンフレット ・モスクワ市「子ども芸術センター『文化と教育』」のパンフレット ・http://music-education.ru/kak-postupit-v-muzykalnuyu-shkolu/. (岩見沢校准教授). 218.

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参照

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