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小学生における協同的な体験活動を通した人間関係形成能力の育成に関する研究 : 自然学校でのふりかえりによる気づきに着目して

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(1)

小 学 生 にお け る協 同的 な体 験活 動 を通 した

人 間 関係 形成 能力 の育成 に関す る研 究

― 自然学校でのふ りかえりによる気づきに着 目して―

教育実践高度化専攻

生徒指導実践開発 コース

P15046G

山下

依里

キーワー ド】

体験活動

人間関係形成能力

自然学校

ふりかえり

【要 旨】 現在、人間関係 の希薄化や他者 とかかわ る機会の減少 に伴 い、人間関係 に困難 を抱 え る児童 は少 な くない

:文

部科学省

(2011)は

キャ リア教育の基礎的・汎用的能力 の一つ として、人間関係形成能力 を掲 げてい る。本研 究では、自然学校 を協 同的な体験活動 の 場 ととらえ、体験学習の循環過程 (①体験→②指摘→③分析→④仮説化→新 しい体験 と い う一連の探究活動

)に

おいて、特 に活動 のふ りかえ り (上記②∼④

)に

着 目した。

X小

学校 の第

5学

年 (28名、

1学

)を

対象 とし、5日 間の宿泊体験 を伴 う自然学校 において、ふ りかえ りの時間の工夫 を行 つた。ふ りかえ りは個人のふ りか え りと班での ふ りかえ りを交互 に行 い、班 のメンバー で気づ きの共有 を試みた。本研 究では、自然学 校 にお ける 1日 単位 の循環過程 と全体の体験学習の流れ に着 目し事例 を示 し、考察 した。 1日 単位 の循環過程 において、児童は互 いに影響 を及 ぼ し合い、自分たちの関係性 の概 念 が変化 し、行動 の変容が見 られた。ふ りかえ りにおいて気づ きを省察 し、メタ認知的 に とらえることが、行動や関係性 の変化 につながつた と考 え られ る。全体の体験学習 の 流れ において、自然学校前後での特定の児童

(2名

)の

行動や様子 に着 目した ところ変 容 が見 らた。また質問紙調査 において、新見・前 田

(2009)の

キャ リア意識尺度 の人間 関係形成の項 目、ふ りかえ リシー トか ら抜粋 した項 目について調査 し、半数以上 の項 目 で、得点が上昇 または上昇傾 向が見 られ た。体験活動 によつて人間関係形成 に関す るキ ャ リア意識 が変化 した と考 え られ る。抽 出 した2名の児童 を含 めた学級の児童一人下人 に変化があ り、自然学校での体験が、そ の後の学校生活 で も児童 の行動面や 内面 に影響 を与 えてい る と考 え られ る。以上の結果 か ら、体験活動が人間関係形成能力 を育成す る 機会 とな り、ふ りか え りを重視 し工夫す ることで、体験学習の循環過程の中で体験 にお ける気づきを学びにす ることが可能 になつた と考 え られ る。

(2)

1章

問題意識

X小

学校 は全学年 が単学級 であ り、児童 は構成員の変化の少 ない学級 で

6年

間 を過 ご す。 以下に、

2点

の問題意識 を挙げる。

1つ

目は、構成員 の変化の少 ない集 団 とい う限 られ た人間関係 のなかで他者 に対す る 見方 が固定化す る と考 え られ る点である。単学級 であるために、構成員 の変化が少 な く、 互 いに理解 を してい る とい う意識が働 くことによ り、関係性や かかわ り方 に変化 が見 ら れ ない。他者 に対 して一面的な理解 に限定 されて しま う恐れ があ り、限 られた人 間関係 の中で他者 に対す る見方が固定化す ることが懸念 され る。

2点

目に、自分 と他者 の関係 についてふ りかえる機会が乏 しい点である。

X小

学校 の 児童 は、限 られ た構成員 か らなる環境 で成長 して きたが、将来 は、中学校 、高等学校 、 大学 、社会 とい う現在 よ り大 きな集団に属 し、生活 してい くことになる。

X小

学校 の児 童 は小 さな集 団の中での人間関係 しか経験がな く、多様 な他者 との関係 について省み る 機会 に乏 しい と考 え られ る。小学校段階で他者 と自分 との関係 について内省 し、よ りよ い人間関係 を形成 してい く力 を身につ ける機会が必要である と考 え られ る。 第

2章

先行研究 と研究の 目的 第

1節

体験活動

(1)体

験活動の定義 文部科学省

(2007)は

、体験活動は「体験 を通 じて何 らかの学習が行 われ ることを 目 的 として、体験す る者 に対 して意図的・ 計画的に提供 され る体験」 としてい る。 また、 文部科学省(2008)に よる と、「自分の身体を通 して実地に経験す る活動のことであ り、 子 どもたちがいわば身体全体で対象 に働 きかけ、かかわつてい く活動 の ことであ る」と 定義 されている。

(2)人

間関係 と体験活動の関係 石 田

(2005)は

、「対人関係のスキルや対人関係能力は、他者 との『 直接的な相互作 用』、すなわち『 直接関係行動 (直接的対人関係行動)』 の中で しか形成 され ることはな い」としている。実際に顔を合わせた場面で、直接的な相互作用を行 う直接的対人関係 行動が人間関係 に関す る能力につながると考 えられる。したがつて、人間関係形成能力 を育成す るための実践的方法 として、体験活動が有効であると考えられ る。

(3)

(3)体

験活動の効果 体験活動 の効果 として、国立青少年教育振興機構

(2010)は

、子 どもの頃の体験 とそ れ を通 じて得 られ る資質 ,能 力の関係 を質問紙 によつて調査 した。高校

2年

生 を対象 に 幼少期か ら中学生期 までの体験の量 と「けんかを した友達 を仲直 りさせ ることができる」 とい つた 「人間関係能力」や 、「友達が幸せ な体験 を した ことを知 つた ら、私 まで うれ しくなる」といつた「共感性」、「経験 した ことのない ことは何 で もチ ャ レンジ してみた い」 といった 「意欲・ 関心」 との相 関を検討 した。その結果、いずれ も幼少期か ら中学 生期 までに 自然体験や友達 との遊びの体験の多い青年 ほ ど、人間関係能力が高い ことが わかつた。児童期 にお ける体験活動が人間関係能力の育成 につ なが るだけではな く、そ の後 の成長や成長後の人間関係能力 にも影響 してい ると報告 されてい る。 第

2節

自然体験活動 と兵庫 県の取 り組み 「自然学校」

(1)自

然体験活動 時・ 明石

(2011)(2012)は

5泊

6日 の 自然体験活動 において、生 きる力 を 「

IKR

評 定 (簡易版)」 によつて調査 した。「

IKR評

定 (簡易版)」 は、橘・ 平野

(2001)が

開 発 した 「生 きる力」を測定す るための

70項

目の「

IKR(IKiRu)評

定用紙」の調 査項 目 を基 に、

28項

目に絞 り込んだアンケー トである。その結果 、「′い理的社会能力」「道徳 的 能力」「身体的能力」の

3つ

のカテ ゴ リーにおいて、 自然体験活動前 よ り事後の平均点 が増 えてお り、統計的有意差が認 め られ た。また、学級調査 に よつて 「協力 し合 う雰囲 気 がある」 な どの集 団の凝集性 、「一緒 に過 ご し、一緒 に頑張 つた」 とい う連帯感 が増 した。さらに、ソシオメ トリックテス トによ り児童 の人間関係 の把握 を行い、エ ゴグラ ムによつて児童の内面の変化 を測 つた。 その結果 、「子 どもは『 生 きる力』 とい う総合 的能力が増強 し、学級 の凝縮性が高ま り、生徒 間あるいは教師 と生徒 間の連帯感 が増 え、 仲 間関係 が よ り開放的に変化 してい る」 と結果づけてい る。ただ し、活動 中や活動後 に 配慮すべ き点 として、学級 に不適応 を感 じる児童や仲間外れ に された と感 じる児童がい た ことが報告 され 、個 々の児童 の質的な変化 に対す る見取 りに課題 が残 る としてい る。

(2)自

然学校 自然学校 とは、兵庫県のキャ リア教育、体験教育の取組「自然学校推進事業」で あ り、 小学校第

5学

年 を対象 とす る

4泊

5日の長期宿泊体験である。自然学校 は、自然体験の 場であると同時に、様 々な集 団活動・集 団生活体験 の場で もあ り、人間関係づ く りや社

(4)

会的 自立の契機 となるもの とされてい る。井之 口・畝

(2014)は

、兵庫県の 自然学校 に ついて

IKR評

定によつて調査 し、

3つ

のカテ ゴ リー とも自然学校前 と比べ、 自然学校 後 と

2カ

月後の数値が増 えてお り、統計的有意差が認 め られ た。 これ らの研 究は、体験活動が人間関係 に関す る能力 の育成 に寄与 しているこ とを明 ら かに してい る。一方で残 る課題 として、体験活動 を通 した児童 の変化や人間関係 の変化 の実態 について、質的な調査 によつて明 らかに してい くことが必要だ と考 え られ る。 第

3節

体験活動による人間関係形成の理論

gf「

1l I「

[別

>匡

@

に設計 され た人 と人がかかわる場 におい て、“今 ここ"での参加者の体験 を素材 (デ

[:』

:Li警

i「

響く

計 □

人間関係 をとらえる視点 として、コンテ ン トとプロセスがある。コンテン トとは、対人 コミュニケーションにおける話題やチーム活動における課題であり、プロセス (関係的 過程

)と

は、課題に関 して話 しているときの関係や ノンバーバルな行動、気持 ち、考え ていることな どである。グループ体験や コミュニケーシ ョン体験を通 して、学習者がプ ロセスに気づき、そのプロセスを素材に しながら体験学習の循環過程を活用 し、自分の 対人関係の在 り方や他者、グループなどの理解を深め、個人 とグループが共に成長す る ことを探究す る。体験学習の循環過程は、体験の中か らプロセスに気づき、体験→指摘 →分析→仮説化→新 しい体験 とい う一連の探究活動である (図 1)。 もう少 し詳 しく言 うと、「①具体的体験を し、②その体験を内省 した り、他者の行動を観察 した りしなが ら、③内省 した り観察 した りしたことを抽象的な概念 を用いて考えた リー般化 を試 した りして、④新 しい体験に導 くために自分の行動 目標や課題 をつ くる仮説化 を行 う」(津 村

,2012)過

程である。

(2)フ

ァシリテ

Tタ

ーの働 き ラボラ トリー方式の体験学習においては、体験のプロセスを見取 り、循環過程 を促進 す るファシ リテーターの働 きが重要になる。津村

(2012)は

、ファシ リテーター とは、

(5)

「プロセスに働 きかける (介入す る

)こ

とを通 して、グループの 目標 をメンバーの相互 作用によ り共有 し、その 目標 を達成す ることとメンバー間の信頼感や一体感 を促進す る 働 き (フ ァシ リテーシ ョン

)を

す る人」と定義 している。津村

(2003)は

体験学習の循 環過程 を促進す るためのファシ リテーターの働 きを以下のよ うに示 している。①気づき の促進 :体験 したことか らさまざまなデータを拾い出す ことを促進す る。②分かち合い の促進 :体験 したことか ら気がついたデータをお互いに報告 し合 うことを促進す る。③ 解釈す ることの促進:個人や グループか ら出てきたデータの意味を明 らかにす ることを 促進す る。④一般化す ることの促進:そのデータか ら抽象概念に展開 させ ることを促進 す る。⑤応用す ることの促進:概念化 したものを新 しい状況の中で検証す るための仮説 や、変革す るための行動 目標 を考えることを促進す る。⑥実行す ることの促進 :仮説化 した ことを実際に試み る場を作つた り、実行 した りす ることができるよ うに促進す る。 本研究では、課題に向き合 う児童に対する接 し方 として、ファシ リテーターの姿勢を 参考にす る。 第

4節

研究の目的 協同的な体験活動を通 した人間関係の変化を見取 り、人間関係形成能力の育成 を図る ことを目指す。文部科学省 (20■

)は

、キャ リア教育で育成 され る力の一つ として「人 間関係形成

0社

会形成能力」をあげている。本研究において、「人間関係形成

0社

会形 成能力」の定義 (文部科学省,2011,p.25)を 参考に し、そのなかで特に次の能力を取 り 上げる。 ①集団において他者の意見を聞き、 自分の意見を伝える力 ②多様な他者 とのかかわ りを通 して、新 しい人間関係 を形成す る力 ③他者 と協力・協同す る力 本研究の 目的は、自然学校における協同的な体験活動を通 して、人間関係に関す る意 識の質的な変化を促 し、上述 した

3つ

の人間関係形成能力の育成について考察す ること である。 第

3章

研究方法・調査方法 第

1節

対象・児童の実態 対象児童 :兵庫県

X小

学校第

5学

28名

(男子 13名 女子

15名

)

単学級

(6)

5年

生の児童の実態 として、素直で真面 目な雰囲気があ り、他者 との対立 を避 け、人 の意 見や行動 に同調す る傾 向がある と考 え られ る。学級担任か らは「お客 さんにな るな」 と言 われ、誰かが して くれ る とい う意識 があることを注意 され ることが多い。 第

2節

実施内容 実施 した内容の概要 を表

1に

示す。 表

1

実施内容

(1)事

前学習 自然学校での協 同的な体験活動 を想定 し、活動 を通 して集団の中で起 こるプ ロセスに 気づ き、協力の意識 を高 めることをね らい とし、 グループ ワー ク 「 トシ君 のおつかい」 とテ ン ト設営実習 を行 つた。体験学習の循環過程の流れ に沿い、グループでふ りかえ り を共有 し、他者へ の気づ きを重視 した。テ ン ト設営実習は、班で

1張

のテ ン トを設営 し、 野外 での活動で他者 を意識す る とい う点か ら、自然学校 と類似 した環境 での実習 を行 つ た。 いずれ も、協 同が意識 され るよ うな課題 であつた。

(2)自

然学校

1)3小

学校合同の 自然学校 自然学校 は町内の

3小

学校

(X小

学校 、

Y小

学校、

Z小

学校

)が

合同で実施 した。班 構成 は、

3小

学校 の児童が混在す るよ うに振 り分 け られたため、普段 とは違 う集 団の児 童 と交流 し、性格や考 え方 な ど様 々な人がい ることを理解す る とともに、新 しい人間関 係 を築 くことが期待 された。

2)自

然学校の プログラム 自然学校前半は班 のメンバー と打 ち解 けることを 目的 とした活動 であ り、協力 して課 題 の解決 を 目指す ゲーム性 がある活動や課題解決的な活動が多い。 自然学校後半か ら、

3小

学校全体での活動が多 くな り、班の メンバー以外 との交流の機会 も増 えた。5日 目 の学級対抗 ゲームにおいては、「学級 に戻す」 とい う意味をこめ、学級単位 で取 り組ん 事 前学習 7/14 グループワーク 「 トシ君のおつかい」 カ レープで20枚 の情報紙 を一人数枚配布 し、情報か ら トシ君 のお つか いの内容 とおつかいを した町の地図を完成 させ る課題 テン ト設 営実習 班 で1張 のテ ン トを設営 自然学校 D/12-16 3校合 同の 自然学校 3校の児童 が人間関係 づ く りと他者 とかかわ る ことが意 図 された プログラム、_ζ、りかえ りの時間の工夫 事後 学習 9/21,23 S、りかえ り 自然学校 を班で.S、りかえ り、個人で.ζ、りかえ リシー トに記入 子 ども句会 け卜句作 り

(7)

表2 自然学校 のプログラム 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 午前 出発式 入所式 自己紹介 チャレンジゲーム _ζ、れあいゲーム 食材探 し 野外炊飯 ‖ カー トン ドック お弁 当作 り 登 山 掃除・荷物整理 学級対抗ゲーム 午 後 ポイン トハ イク .ζ、れあ いタイム 班長会議 テン ト設営体験 野外炊飯! 班長会議 渓流散策 クラフ ト活動 班長会議 あまごつかみ 班長会議 アイスク リームづ くり 退所式 夜 フ リータイム も、りかえ りの時間 家族への手紙 .ζ、りかえ りの時間 肝試 し .ζ、りかえ りの時間 キャンプフアイヤー .ζ、りかえ りの時間 だ。この よ うに活動 のプ ログラムは、協 同的な体験活動 を通 して

3小

学校 の児童が人 間 関係 を築 き、他者 とかかわ ることが意 図 された。 自然学校 のプ ログラムを表

2に

示す。

3)ふ

りかえ りの時間の工夫 体験学習の循環過程での②指摘→③分析→④仮説化の部分を重視 し、ふ りかえ りの時 間において、個人のふ りかえ りと班のメンバー と一緒にふ りかえる時間を設 けた。体験 活動の循環過程にお ける①体験は、 自然学校のプログラムや班での活動全体にあたる。 ②指摘か ら③分析、④仮説化 にかけての流れがふ りかえりに相当す る。ふ りかえ りの流 れ を図

2に

示す。ふ りかえ りの

I∼

Ⅳにかけては、②指摘や③分析が主 とな り、

V,Ⅵ

において班で活動 について省みるとともに、他者の気づきを促す。ここでは、班で分か ち合ったコンテン トやプロセスをもとに④仮説化が行われ ることを期待す る。 全 体 Ⅶ 全体の場 でふ りか え り・72発表 ふ りかえ りの流れの詳細は、【Appendix l】 に示す。また、ふ りかえ りで使用 した 自 然学校の しお りのふ りかえ リシー トは 【

Append破

2】 に、画用紙は 【Appendix 3】 に 示す。個人のふ りかえ りを しお りに、班で共有するものを画用紙や付箋に記入 した。I, Ⅱを最初に 自分 自身で記入 し、その 日の活動や 自己の気づきをふ りかえる。次にⅢ

,Ⅳ

において、画用紙や付箋に班の活動、他者の様子な どについて個人でふ りかえつたこと 1ロノ、 I 自 分自身のふ りうヽえ り (選択 式) Ⅱ 自分 自身 の.卜りか え り(記述式)

(8)

を班 で共有す る。 さらに、

Vに

おいて明 日へ向けた ことを班 で話 し合 い、Ⅵ において班 でのふ りか え りを踏 まえた 自分のふ りか え りを記入す る。最後 に、Ⅶ において班 でのふ りか え りをま とめて、代表者 が全体の場 で発表す る。この よ うに、ふ りかえ りの時間の 中で、個人のふ りかえ りと班でのふ りか え りを交互 に行 い、班 のメンバーでのプ ロセス の共有 を試みた。

(3)事

後学習 自然学校後 に、自然学校 の活動 を班でふ りかえ りを行い、それぞれふ りか え リシー ト に 自然学校 での学び を言葉 に した。自然学校 中のぶ りかえ りの時間の各班の付箋 は、筆 者 がま とめて廊下に掲示 し、フィー ドバ ック した。また子 ども句会では、俳句作 りを通 して 自然学校での出来事 をふ りかえつた。

(4)筆

者の立 ち位置 本研 究において筆者 は、児童の実態 を把握す るために前年度 か ら継続的に学級 に入 り、 児童や学級担任 と関係性 を築いた。また、

3小

学校合 同の 自然学校 の実施 に向けて、先 生方 とともに 自然学校 の事前の打ち合わせ に参加 した。自然学校 中は、自然学校指導補 助員 と同様 に児童 の活動 に対す る指導や補助 に携わつた。 第

3節

調査方法

(1)質

問紙調査 新 見・前 田

(2009)は

、「キャ リア発達にかかわる基礎的な意欲 0態度 0能力 に対す る個人の 自己評価」 として、「キャ リア意識」 を定義 した。 キャ リア意識尺度の人間関 係形成 の項 目

(9項

)に

ふ りかえ リシー トか ら抜粋 した項 目

(3項

)を

加 え、合計

12項

目の質問を行 つた。事前学習の効果 と自然学校の効果 をみ るために、事前学習前 と自然学校前、 自然学校後に質問紙調査 を行 つた。

(2)観

察 児童の実態の把握 のため、日常的 に児童の活動や様子 を参与観察 した。また、自然学 校 に参カロし、児童 の変容や人間関係 を見取 つた。 その際、フィール ドノー トを作成 し、 休み時間の児童 の会話や授業 中の話 し合 い活動、 自然学校 中の出来事 な どを記述 した。

(3)イ

ンタ ビュー 児童 の実態の把握 のために、

1学

期 に学級担任 にイ ンタ ビュー を行 つた。また、自然 学校後 に、活動 を通 した児童 の変化 を見取 るために、児童の様子やエ ピソー ドな どにつ

(9)

時 期 対 象 内 容 インタビュー (半構造化面接) 1学期前半 (30分程度) 学級担任 児童の実態 について。児童の抱える課題や人間関係が難 し い児童について。 自然学校後 (40分∼1時間程度) 学級担任 自然学校指導補助員 自然学校での各班の様子や子 どもたちの様子、F児、G児の 様子につ いて。 自然学校で印象的だつた こと。児童や自分 自身 (インタビュー対象者)の変化について。 いて学級担任 と自然学校指導補助員

(3名

)に

インタビューを行 つた。インタビューの 内容を表

3に

示す。

3イ

ンタビューの内容

4章

結果 と考察 体験学習 の循環過程 を見取 る視点 として、 自然学校 にお ける 1日 単位 の循環過程 と全体 の体験学習 の流れ に着 目す る (図 3)。 本研 究では、1 日単位 の循環過程 を、 自然学校 の 5 日間にお いて 1日 単位 で活動 とふ り か え りを繰 り返 す 循 環 の過 程 とす る。また、全体の体験学習の流れ を、 事前学習か ら自然学校、事後学習までを踏 まえた長 い時間軸での体験学習の流れ とす る。 第

1節

自然学校 における1日単位 の循環過程 1日 単位 の循環過程 は、自然学校 での 1日 の活動 とふ りかえ りを繰 り返 し、そ こで得 られた気づ きや学びが、新 たな活動 において児童 の行動 の変容や 関係性 の変容へつなが ることを意 図 してい る。1日単位 の循環過程 の中で、体験学習の循環過程 の各段階にお ける視点 に着 目して考察す る。着 目点が特徴的に見 られ る児童や班 について例示す る。 (【Appendix 4】 参照)

(1)体

験 か ら気づ く ①体験 か ら②指摘 にかけた段階において、体験か らの気づ きに よ り互いの関係性 に対 す る概念や とらえ方 が変化 してい る と考 え られ る。活動や個人のふ りか え りのなかで引 き出 された気づきが 自覚 され ることによ り、内省や概念 の変化につなが る と考 え られ る。 以下、体験 か らの気 づきが特徴的に見 られ た

A児

の活動やふ りかえ りの記述 を例 に考 察す る。

A児

のい るイ班は、男子

3名

、女子

4名

の計

7名

(う ち

X小

学校 の児童 は男子

2名

、女子

2名

の計

4名

)で

構成 されてい る。 自然学校 にお ける 1日 単位 の循環過 程 ■日目 図3 実 践 研 究 の流 れ と循 環 過 程 (筆 者 作 図) 9

(10)

イ班 は、 1日 目に 「お互いの 目を見て話ができていない」とい う課題 を 自然学校指導 員 か ら指摘 された。

A児

は 「みんなは、今 日の一 日どう思つてい るのかな ぁと、ず つ と 思 つていた」 とふ りか え りに書いた。2日 目のチ ャ レンジゲー ムでは

A児

が 中心 とな つて課題 を解決す る様子が見 られ、ふ りかえ りでは「協力」についての気づ きを書 くよ うになつた。 自然学校後半になる と、 自分たちの班の関係性 について肯定的に とらえ、

A児

は 「友情 をもつ ともつ と今 よ りも深 めていきたい」「絆が短い時間だつたけ ど深 め れ た」と、メンバーの関係性 を示す言葉 として「友情」「絆」とい う言葉 で表 していた。

A児

は、活動 を通 して 「協力」の具体的な体験か ら、班のメンバー との関係性 が変化 した ことを、「友情」や 「絆」の深 ま りとして気づいてい る。 自然学校 の中で 自分 と他 者 との関係性 について内省 し、他者 との関係性 をメタ認知的に とらえることがで きてい た と考 え られ る。この よ うに、1日 単位 の循環過程 の①体験か ら②指摘 にかけた段階に おいて、他者 との関係性 の概念や とらえ方が変化 していつたのではないか と考 え られ る。

(2)気

づ きを共有す る ②指摘 か ら③分析 にかけた段階において、体験か ら気づいた ことを共有す ることによ り、班 のメンバー と相互 に影響 を与 え合い、互いの関係性が変化 してい ると考 え られ る。 以下、気づ きの共有が特徴的に見 られ た 口班 の活動やふ りかえ りの記述 を例 に考察す る。 口班は、男子

2名

、女子

5名

の計

7名

(う ち

X小

学校の児童 は男児

1名

、女児

2名

の計

3名

B児

C児

D児 )で

構成 されてい る。 自然学校前半では、活動の際に男女 に分かれて しま うことが多かつたが、1日 目のふ りか え りにおいて、

B児

が 「

Y小

学校 と

Z小

学校の女の子たち (と 自分

)は

協力 してい ないので頑 張 る」 とい う意見 を出 し、

C児

D児

が 「もつ と女子 と男子が一つ に、一緒 に行動 しない といけない と思 つた」な ど「男女の協力」の課題 が班 で共有 され た。2日 日以降には、班長 の声かけの頻度が増 え、男女間で もくだけた 日調 で会話が交わ され る よ うになつた。 また、

C児

D児

は、他校 の児童が人間関係 の悩み を抱 えていた こと を知 ると、「自分たちが (話を

)聞

く」 と言い、 自ら働 きかけていた。 自然学校後半において、

B児

は登 山で 「いろんな人が こけそ うになつた人に手 を貸 し て あげていてす ごい と思 つた。(自分 も

)友

達 を助 け、人 とのかかわ りあいがあつた」 とふ りかえつていた。 5日 目になる と、

B児

は 「5日の中で一番班 で協力できた と思 う し、 自分か らも協力できた」 と書 き、

C児

は他校の児童 との別れ際に涙 ぐんでいた。

(11)

自然学校前半では、「男女の協力」を課題 と感 じた

B児

の気づ きが共有 され 、他 の児 童 の意識 に影響 を与 えている。 自然学校後半になる と班 の 「みんな」や 「人 とのかかわ り」 自体 について考 え、互いに意識 し合 い、影響 を与 え合 ってい る。 口班 は、 自然学校 を通 して、気づ きや課題 を共有 し、相互 に影響 を与 え合 つていた と考 え られ る。この よ うに②指摘か ら③分析 にかけた段階 において、かかわ りの中で互いを意識 し、自分たち の関係性 を省み る相互作用が起 こった と考 え られ る。

(3)応

用す る・ 行動す る ③分析 か ら④仮説化 の段階において、ふ りか え りによつて共有 された ことを仮説化 し、 ④仮説化か ら新 たに①体験へ向か う段階において、次の活動 での行動 の変容や班 のメン バー との関係性の変容がお こると考 え られ る。以下、応用・行動が特徴的に見 られたハ 班 の活動やふ りかえ りの記述 を例 に考察す る。ハ班 は、男子

4名

、女子

4名

の計

8名

(う ち

X小

学校 の児童 は男児

3名

、女児

2名

の計

5名

)で

構成 され てい る。ハ班 には、特別 支援学級 の児童

(E児

)力ヽヽる。

E児

は、運動や活動が苦手 な一面がある。 1日 目の活動 において、好奇心旺盛 にあちこちに行 きたが る

E児

に合 わせ てい ると 移動 が滞 り、活動 に時間がかかつた。

E児

のペースに十分合 わせ られ なかつた とい う反 省や 、他校 の児童 との関係 づ く りの視点か ら、「

E君

のペースに合わせ られ るよ うに し たい」とい う意 見が多かつた。一方、班 での話 し合 いを踏 まえて 自分でふ りかえ りを記 述す る際には、「

E君

だけ じゃな くて、

E君

以外 の子の ことも考 えて活動 しよ うと思 う。 楽 しい 自然学校 にす るには、みんな と協力 しない と、と思 つた」な どの

E児

以外 のメン バー についての配慮 も書かれていた。 2日 日以降の活動では、話 しあつて互いに声 をかけ合 つてい る様子や 、

E児

を含 めた 全員 に役割 を分担 し、協力 している様子が見 られた。ふ りか え りには、「

E児

のペース」 とい う言葉の代 わ りに、「みんなのペー ス」 とい う表現で、班 の活動 について書かれ る よ うになつた。

E児

へ の接 し方を、班のメンバーが互いに見合 うことで、普段お とな し い児童の優 しい一面が評価 されていた。また、

E児

に対 して も「

E児

もみんな もペース に合 わせ て頑張つていた」な ど、

E児

の頑張 りが認 め られ てい る記述があった。

ハ班は、

E児

を考慮 した 「

E児

のペース」での活動か ら、

E児

を含 めた 「みんなのペ

ース」で活動す る とい う意識 になった。班全員で活動す ることの意味を考え、自分たち の班 の活動 の在 り方 を見直 し、翌 日の行動へ とつなげいてい くことで、班の凝集性が高 まった と考 え られ る。この よ うに、③分析か ら④仮説化、そ して次の新 しい①体験の段

(12)

階 において、ふ りか え りで仮説化 された関係 が さらに、翌 日か らの活動 で行動 に反映 さ れ 、班 のメンバーの関係性 を変化 させ ていた と考 え られ る。 この よ うに、 1日 単位 の循環過程の中で、互いに影響 を及 ぼ し合 い、自分た ちの関係 性 の概念が変化 し、行動の変容 が見 られた。ふ りか え りにおいて気づ きを省察 し、メタ 認 知的に とらえることが、行動や関係性 の変化 につながつた と考 え られ る。 第

2節

全体の体験学習の流れ 全体の体験学習の流れ は、体験活動 を通 した気づ きや学びが定着す ることを期待 し、 事前学習か ら事後学習までの長い時間軸で児童の変容 を観察 した。質問紙調査 の結果や 事後学習 のふ りかえ りの記述、 フィール ドノマ ト、イ ンタ ビューか ら考察す る。

(1)質

問紙 質 問紙 の回答 は、

5件

(1:あ

てはま らない∼

5:あ

てはまる

)に

て行い、選択肢 を

1∼

5点

で得点化 した。キャ リア意識尺度 の項 目

(9項

)と

ふ りか え リシー トか ら 抜粋 した項 目

(3項

)に

ついて、一要因の分散分析 を行 つた。下位検定は、Bonferroni に よつた。分析 の結果、キャ リア意識尺度 の

2項

目に有意 な主効果があ り、

3項

目に有 意傾 向があ り、事前学習前か ら自然学校後 にかけてキャ リア意識尺度の得点が高 くなつ た。また、ふ りかえ リシー トか ら抜粋 した項 目

(3項

)の

全 てにおいて有意差が見 ら れ 、事前学習前か ら自然学校後 にかけて得点が高 くなつた。表

4に

質問紙調査 の各項 目 にお ける平均値 、標準偏差お よび分散分析 の結果 を示す。 このよ うに半数以上の項 目で、事前学習前、自然学校前、自然学校後 において、キャ リア意識 の人間関係形成の項 目の得点が上昇 または上昇傾 向が見 られた ことか ら、体験 活動 によつて人間関係形成 に関す るキャ リア意識 が変化 した と考 え られ る。 自分の気持ちや考えを友だちにわかりやすく伝えること 分とは意見が合わない人とは付き合わないようにすると ふりかえリシートから抜粋した項目 *逆転項目 (標準偏差)ns有意差なし

(13)

徳岡・ 山縣 ら

(2010)は

、キャ リア意識 と適応感 の関連 について、主効果が有意 であ った ことを示 してい る。また、前 田・ 中篠 ら

(2009)は

、体験活動 の前後でのキャ リア 意識 に着 目し、職場 体験学習 の前後でキャ リア意識 の得点が上昇 し、主効果が有意であ った ことを示 してい る。本研 究では人間関係形成の領域 に焦点 を絞 つたが、先行研 究 と 同様、体験活動がキ ャ リア意識 の得点の上昇 に効果 があるこ とを支持す る研 究結果であ つた。本研 究では、体験活動 の循環過程 に焦点を当て、ふ りかえ りの時間 を工夫 した。 このよ うなプ ログラム上の工夫 によ り、キャ リア意識 の人間関係形成の項 目の得点の上 昇が見 られ た と考 え られ る。

(2)個

別の児童 の変容 質問紙 で特に変化 のあった

2名

(F児

G児

)を

5

抽 出 し、考察す る。

F児

G児

は筆者 の事前の観

4

察や学級担任へのイ ンタ ビューにおいて、人 間関

3

2 係 で難 しさを抱 えてい る と考 え られ た。事前学習 1 前 の

F児

G児

の質問紙 の平均値 は、全体 の平均 … 責荒♂ 雫 自 欝ξ:鯉血 露コ 監 値 値 と比較 して明 らか に低いが、 自然学校後 には全

図4児 尋:賛窟鱚 舌理Eと F 体の平均値へ近づいた (図 4)。 以下、

F児

G児

の行動や他者 とのかかわ りの変化 について記述 し、考察す る。(【Appendix 5】 参照)

1)F児

プライ ドが高 く、きつい物言いを して しま うことがある

F児

は、友達 に対 して「受 け 入れ られ ないかも しれない」とい う不安 を抱 えていた と考 え られ る。そのため、休み時 間は一人で過 ごす ことが多 く、学級 の班活動 で も自分か ら積極的に加 わることを苦手 と していた。また、周 囲の児童 は

F児

に対 して波風 を立てず受動的なかかわ りを持 ってい た。

F児

は友達 とけんかを した後 に、「本 当は仲良 くしたい」 と言 つていた ことが印象 的であつた。 自然学校 では、他校の児童へ向けた 自己紹介の声 が小 さく、不安や緊張を抱 えていた よ うだが、同 じ班 の明朗な メンバー に引つ張 られ るよ うに活動 に参加 し、徐 々に他校 の 児童 とも打 ち解 けていった。部屋 で過 ごす時間には、同 じ部屋の児童 に髪 を くくつて も らい、髪型 をほめ られた こ とが うれ しかつたのか、他校の児童 と楽 しそ うに話 してい る 様子が うかがえた。ふ りか え りでは 「協力 とい う意 味を考 えなが ら行動す る」とい うこ とを目標 とし、「学級対抗 ゲームの時、『 力』が一つ になるよ うに頑張 りたい。明 日悲 し 13

(14)

くて泣 かない よ うに しよ うと思 う」と書いていた。自然学校で協力の意味について考 え ることができ、班へ の帰属意識 が醸成 され た と考 え られ る。 自然学校後の変化 として、本人の変化 と周囲の変化がある。本人の変化 として、班活 動 の際 に、以前 までは積極的に話そ うとせず、距離 をおいていたが、自然学校後 には 自 分 か ら話 に加 わ り、他者 と距離 をお くことがな くなつた。また、体育の時間に遅れて走 る

E児

に寄 り添って走 る姿があ り、その姿を見て学級担任が 「本 当は優 しい ところが あ る」 と微笑んでいた。 自然学校後 に友達 とけんか した 日は、作文帳には 「友達 って本 当に大切 なのか を考 えた」と書いていた。自然学校 で他者 とかかわることの楽 しさを感 じる とともに、学級 に戻 つてか ら改 めて人間関係 の難 しさや深 さに直面 していた。この こ とか ら、以前 よ りも穏やかな態度や積極的な姿勢で他者 とかかわ ることができるよ う になつた と考 え られ る。 また周囲の変化 として、休み時間に

F児

が筆者 と話 している と、他 の児童が周 りにや つてきて話 をす るよ うになつた ことや 、

F児

と冗談 を言 つて じ ゃれ合 つている様子 を見 る機会が多 くなった。この ことか ら、

F児

へ対す る周囲か らの 態度や雰囲気が柔 らか くなつた と考 え られ る。 この よ うに

F児

は、 自然学校 を通 して他者 と自分の関係性 を省みなが らかかわ り方 を模 索 し、人間関係 に対 して前向きになった と考え られ る。また、

F児

を取 り巻 く周囲 の児童 との関係性 が変化す る兆 しが見 えた。

2)G児

大人 しく、友達 に対 して消極的な

G児

は、集 団の中での 自分や他者 とのかかわ りに 自信 がなかった と考 え られ る。そのため、自分か ら意見を言 うことや他者 と共に何かを す ることを苦手 としていた。事前学習では、ふ りかえ りの時間のあ とに「ふ りかえ りを した ときに思 つた ことは?」 とい う質問をす ると、「全然 ない、考 えてない」 と答 え、 他者 との関係性や 自分の気持 ちを言葉 にす ることに困難 を抱 えていた。また、

2学

期の 目標 に「友達が少 ないので増や したい」と書いていた。この ことか ら、

G児

に とって「友 達」 とは特別 な ものであ り、 自らかかわろ うとい う気持 ちになる対象だ と考 え られた。 自然学校 の活動では、 1日 目か ら班のメンバー と仲良 くなっていた。

G児

は、家が恋 しくて泣いて しまった際に 自分では 「協力できなかった」ととらえていたが、班のメン バーか ら励 ま され、「泣 き止んで頑張つて活動 していた」 と認 め られていた。また、最 終 日の学級対抗 ゲームでは

E児

が集 団行動 に耐 え切れず、走 り出 して しま うことがあ つた。その際、

G児

が走って

E児

を呼び止 めよ うと自ら行動す ることがで きた。

(15)

さらに、自然学校後 にも変化が見 られた。他の児童 に対 して 自分か ら話 しかけてい る 場面を頻繁 に見 るよ うにな り、班活動 の際 には、自分か ら話 しやすい場所 に移動 し、相 手の 目を見て うなず きなが ら話 を聞 く姿を観察 した。また、学級担任 と筆者 か ら見て も 表情が豊か になつていた。事後学習のふ りか え りでは、自然学校 中に発見 した 自分 自身 の課題 を 「

6年

生 で頑張 りたい こと」 として、次 につなげ よ うとしていた。` この よ うに、 自然学校 を通 して

G児

の思考が積極的にな り、 自ら他者 とかかわろ う とす る姿勢が身についてい る。また、自然学校後 において も、他者 とのかかわ りに積極 的にな り、活動や 自分 と他者 との関係性 に対 して内省的になった と考 え られ る。

3)F児

G児

の質問紙の変化 質問紙調査の中で特 に変化 の大き く見 られた

2項

目を取 り上げ る。 「④友 だ ちの気持 ちを大切 にす ることが 下 き

]

姜婢錆鋳プ雪彎響轟彎 る と思 う。」におけ る

F児

の変化に着 目す る (図

3

5)。 自然学校後 に友達の気持 ちを大切にす るこ

2

とができる とい う意識 が強 くなつてい る。 自然

1

事 前学 習 前 自然 学 校 前 自然 学 校 後 o・ F児 ・ ‐ G児 ― 全体の平均値 学校での体験において、友達の気持 ちを大切に す る体験、 もしくは友達か ら大切 に してもらう 体験をす ることができたのではないか と考 えられ る。 次に、「⑤ 自分がいやなことは 、友だちにはつ

D

4 き り言 うべ きだ と思 う。」にお ける質 問紙 の得点

3

の変化 と

2人

の他者 とのかかわ り方 に着 目す る

2

(図 6)。 得′点の変化 は、

F児

5点

か ら

1点

へ、

事前学習前 自然学校前 娼轟 校後

G児

1点

か ら

5点

となった。 この よ うな得点 ・・・:1:書:、Ftt」夏軍 ,壌維I均 値 の変化の違 いの要 因の一つ として、

2人

の他者

│;:丞

課ム昆島檀il若長島 υl碁ど とのかかわ り方があげ られ る。事前学習までは、

F児

は友達 に言 いす ぎて しまいけんか になることがあ り、反対に

G児

は 自分の意見に十分 に 自信 が持 てていない ことがあつ た。

F児

は言いす ぎないよ うに しよ うとい う意識が強 くな り、

G児

は 自分の意見を言 え るよ うに しよ うとい う意識 が強 くなつた と考 えられ る。 この よ うに、事前 学習か ら自然学校後にか けた児童

2名

の変化 について、フィール ド ノー トやイ ンタビューか ら彼 らの行動や様子 に変化 が見 られ た。さらに、質問紙調査 の 結果か らも本人の意識 の変化 があつた とこ とがわか った。 図

5

「こ友だちの気持 ちを大切{■す ることう`できると思 う。J にお ける全 体の平均値、 「 児、G児 の変化 15

(16)

(3)学

級全体の変化 自然学校後 の学級全体の変化 として、学級担任 は「明 る く元気 になつた」と話 してい た。

1学

期 は学級担任 か ら児童 に、反応 を人任せ に してはな らない とい う意味で 「お客 さんになるな」と指摘がな され ていた。しか し、自然学校後 には授業へ積極的 に参加 し、 「お客 さんになるな」と指摘 され ることがな くなつた。自然学校 を通 して、一人一人の 考 え方や学級 の雰囲気 に変化が見 られ た。 この よ うに、全体の体験学習の流れ の中で、

F児

G児

と同様 に学級 の児童一人一人 に も変化があつた。自然学校 での体験が、その後の学校生活 で も児童 の行動面や 内面に 影 響 を与 えてい ると考 え られ る。 第

3節

教師や 自然学校指導補助員の役割

(1)フ

ァシ リテー ター と しての役割 教師や 自然学校指導補助員のかかわ りについて、ファシ リテー ター の働 きにあてはめ て考察す る。(以下の数字 はp.4の津村 2003,に 対応 してい る。)

1)全

体への呼びかけ 全体への呼びかけでは、教師や 自然学校指導補助員が全体の児童 に対 して、①気づ き の促進や③解釈す ることの促進 、④一般化す ることの促進が行 われ た。教師の呼びかけ を例 に示す。2日 目のふ りかえ りの際に、前 日のふ りかえ りの様子や しお りの内容 を受 けて、教師か ら「協力 とい う言葉 を簡単 に使 つているが、ど うい う意味なのか?」 と問 われ た。児童が何気 な く使 つてい る言葉 に対 して、その意味 を問 うことで、自分たちの 活動や互いの考 えについて思考す ることを促 していた (①、③ に対応)。 この問いを受 けて、「協力」について考 え、筆者や班 のメンバーに問い直す児童 がいた。

2)児

童が活動 している場面での声かけ 児童が活動 してい る場面での声かけでは、活動の中で個 々の班 に対 して、②分かち合 いの促進や⑤応用す ることの促進 、⑥実行す ることの促進 が行 われ た。筆者 の声かけを 例 に示す。2日 目のチ ャ レンジゲームの際に、課題 がなかなか解決 できない班へ、「な ぜ うま くいかないのだろ うか?」 「言葉 に して話 さな、始ま らへんで」 と、ア ドバイス や 勇気づ けの声かけを した (⑥に対応)。 児童 は活動 に行 き詰 つて しま うと自分たちで 互 いに声をかけ合 い、話 し合 うことを怠 つて しま う。そ こで筆者 は、児童 に役割 の交代 を促 し、今 まで と違 う役割 を果たす ことで、それ まで 自分以外 の人が どんな ことを感 じ

(17)

ていたのか問いかけた (②に対応)。 この声かけを受 けて、徐 々に児童 同士の会話 が増 え、課題 の解決へ と向かつた。 教師や 自然学校指導補助員 は、活動 の中やふ りかえ りで、ファシ リテー ター としての 働 きかけを意識的に、あるいは無意識的に行 つてい る。これ らの働 きかけは、体験学習 の循環過程 において児童 の行動や気づ き、理解 を促進す る うえで、重要な役割 を果た し てお り、教師や 自然学校指導補助員の言動 の一つ一つ にファシ リテー ターの働 きがある と考 え られ る。

(2)し

お りへの コメン ト 自然学校 中のふ りかえ りでは、学級担任や 自然学校指導補助員が しお りに コメン トを 記入 し、翌朝児童へ返却す る。 自然学校前半は、活動が うま くいった とい うふ りか え り に対 して 「なんでや と思 う?」 「何が協力なのか?」 とい う問いかけや、「何 を どうすれ ばみんな もあなた も楽 しいのか、少 しずつ考 えて、動 ける といいね」とい う考 えを深 め させ るよ うなコメン トを していた。 自然学校後半 には、「みんなの力 つて大 きいな。 し ん どさも忘れ させ て くれ る友達 の力 って大切や な ぁ。あき らめず よく (登山か ら

)帰

つ て これたね」 とい う気づ きへの共感や評価 、「みんなの頑張 りが、今 までの 自然学校の 成果 になるかな」とい う勇気づ けるよ うな言葉かけがあった。 この よ うに、児童一人一 人 に向け られた言葉 は、翌 日の活動 に直結 してい ると考 え られ る。① ∼⑥の ファシ リテ ー ターの働 き とは異なるが、児童 の内省 を促 し、勇気づ け となつていた。 第

5章

総合考察 とこれか らの課題 第

1節

体験活動 と人間関係形成能力

(1)体

験学習の循環過程 ラボラ トリー方式の体験学習は、本来体験学習の循環過程 を繰 り返す ことによつて、 よ り良い人間関係 が形成 され る とい う理論であ り、体験か らの学習 を有効な もの とす る 方法の一つである。一方、実際の体験の場 にお ける学習者 に とつて、人間関係 があるた めに意欲的に体験活動 に参加す ることができる とい う感覚があつた。これ は、体験学習 の循環過程が繰 り返 され、人 間関係 が形成 され るにつれ、協 同 して課題 を遂行す ること か ら得 られ る達成感 、班や集 団への帰属意識 が生まれ ることが原因であると考 え られ る。 この ことか ら、体験が人間関係 を築 き、人間関係 が体験への意欲 につながる とい う相互 17

(18)

の影響が繰 り返 され て、体験学習の循環過程 は らせ ん状 に発展 し、互いの人間関係 をよ り深 めるものになつてい る と考 え られ る。 本研 究において、体験学習の循環過程 の中で気づ きを共有 し、相互作用 が起 こること で人 間関係 に関す る意識 の変化や行動 の変容 が見 られ た。 さらに言 えば、 この ことが、 人 間関係形成能力の発達 につながってい くのではないか と推察 され る。

(2)人

間関係形成能力 本研究では、人間関係形成能力の

3つ

の要素に着 目した。質 問紙調査か ら児童 自身が 感 じてい る自己の変化、ふ りか え りの記述 か ら児童 同士の人間関係 の変化、フィール ド ノー トやイ ンタ ビューか ら行動 の変化 を考察す る (【A_ppendix 6】 参照)。 ①集団において他者の意見 を聞き、自分の意見を伝える力 質問紙調査の項 目「⑦ 自分の気持 ちや考えを友だちにわか りやす く伝 えることができ ると思 う。」「⑪ 自分の考えや意見を積極的に伝 えることができると思 う。」において有 意差が見 られ、「⑥友だちのよくない ところは注意すべきだ と思 う。」「③落ち込んでい て も、友だちとは明るく話ができると思 う。」において有意傾 向が見 られ、自然学校前 よ り自然学校後の方が得点の平均値が上昇 していた。また、ふ りかえ りにおいて、「み んな と話 し合 うと、みんなの気持 ちがわかつて とてもうれ しかつた。」など、他者の意 見に積極的に耳を傾 け、友達 との意見の違いに気づき、自分の意見を伝 えることのでき る喜びに気づいていた。

F児

G児

の事例においては、他者 とのかかわ り方が親和的 に変容 した と考えられる。このよ うに、体験活動が他者の意見を聞き、自分の意見を伝 える力の育成に寄与 していると考えられる。 ② 多様な他者 とのかかわ りを通 して、新 しい人間関係 を形成する力 質問紙調査の項 目「⑩友だちのがんば りや活や くを見つけることができると思 う」に おいて有意差が見 られ、自然学校前 よ り自然学校後の方が得点の平均値が上昇 していた。 自然学校の中で

3小

学校の児童の様子 について、自然学校指導補助員は「もとか ら一つ の学校だけの自然学校のよ うだ」 と話 した。また、事後学習のふ りかえりにおいて 「

Y

小学校や

Z小

学校の子 とは、最初はあま りしゃべ らなかつたけど、後半になってか ら、 仲良 くなつていたので、いい班にできるかなと思つた」な ど新 しい人間関係 を肯定的に とらえる感想を書いていた。このように、自然学校での体験における多様な他者 とのか かわ りが、新 しい人間関係 を形成す る力を身につける契機 となつたと考えられ る。 ③他者 と協力・協同する力

(19)

質 問紙調査の項 目「⑫友だち と助 け合 つて行動で きる と思 う。」「④友だちの気持 ちを 大切 にす ることがで きる と思 う。」において有意差が見 られ 、「③友だちが困つた ときに は、助 けることがで きる と思 う。」 にお いて有意傾 向が見 られ 、 自然学校前 よ り自然学 校後 の方が得点の平均値が上昇 していた。自然学校指導補助員 は、野外炊飯 の様子 を思 い返 し「『 ああ、こ うや って団結力 とかできてい くんや な』って思 つた」と語 つていた。 活動 を通 して班 の メンバー と課題 を解 決す るために協力す るこ とがで きたのだ と考 え られ る。ふ りか え りの時間に教師か ら「協力」の意味について問いかけ られ た ことに対 して、「協力つて どうい うこと?」 と筆者 に問いを投 げかけて くる児童がいた。筆者 が再 度 問いを投 げ返す と、今度 は班のメンバー と 「協力」 とい う言葉 の持つ意 味について、 改 めて考 え直 してい る様子が見 られた。 また、

A児

の事例 では、「協力」 を通 して児童 の関係性の概念 が変化 していた。 事後学習のふ りかえ りにおいて、「協力 とい う意味は、成長 、みんな との助 け合 いだ と思 う。自分で しない といけないけ ど、自然学校では 自分だけ じゃな く、友達 な どと助 け合 うことが成長 だ と思 う。(中略

)自

分で も、 自分の心や友 だちの心がわかった気が した。 この 自然学校 で (学んだ こと

)は

大人 になつて も役 に立つ よ うな気 が した。」 な ど、「協力」 を通 して 自身の成長 を感 じていた。体験 を通 して 「協力」の意味について 考 える とい うこ と自体が、他者 と協力・協同す る力 を身 につ けるために必要な ことだ と 感 じられた。この よ うに、実際の体験の 中で他者 と協力・協同す る力 を獲得す ることが で きる と考 え られ る。 このよ うに、体験活動が人間関係形成能力 の

3つ

の要素 を育成す る機会 とな り、ふ り か え りを重視 し、工夫す ることで、体験学習の循環過程 の中で体験 における気づ きを学 び にす ることが可能 になった と考 え られ る。 第

2節

筆者の気づき 本研究をま とめるにあた り、自然学校 とい う非 日常での体験 の場が持つ特徴 と、筆者 が 自分 自身の中に生起す る体験学習の循環過程 における気づ きをふ りかえ り、考察す る。

(1)非

日常での体験 多 くの 自然学校 は学校か ら離れ、自然豊かな環境で活動す る。このよ うな非 日常での 体験 では、児童 自身や教師が意 図 しない よ うな出来事が起 こ りうる可能性 があ り、偶発 的な要因が体験学習の循環過程のきっかけ とな り、児童 の変容 につなが る。この よ うに、 19

(20)

体験活動 において全 てが計画的 に学習 され るのではな く、様 々な体験や人間同士の関係 の在 り方 にお ける偶発的な出来事が学びにつ ながっている と考 え られ る。そ して、その よ うな計画外の学びが体験活動 の特徴 であ り優れ た点である と考 え られ る。

(2)筆

者の学び と関係性 の変化

1)フ

ィール ドと筆者 観 察 を行 うにあた り、筆者 が児童や教師 とかかわることを含 めて、フィール ドノー ト に出来事 を記録 した。フィール ドノー トを作成 してい く過程 は、児童 の新 たな一面に気 づ き、児童 との活動 をふ りか えつて関係性 を省み る とい う点において、体験学習の循環 過程 と類似 していた。この ことは、筆者 が 自分 自身 の中で生起 してい る体験学習の循環 過 程 の中で、児童や先生方 との関係性 を省み、人間関係 を築 くことにつながっていた と 考 え られ る。

2)児

童 と筆者 児童 の実態 を把握す るにあた り、筆者 は学級 に溶 け込む ことを心がけて児童 とかかわ つたが、最初は学級 の児童 に とつて、異質な存在であ り児童 の興味関心の対象であった。 その後、定期的な実習で活動 を共にす ることで学級 に受 け入れ られ るよ うになった と感 じる。一方で、活動 を共 にす る うちに筆者 が学級集 団に対 して気づ くことが減 り、筆者 自身の人間関係 の見方が固定化 してい ると考 え られ た。そのため、自然学校 とい う非 日 常での体験活動の場 において、児童の新 たな一面を知 る機会が多 くあ り、児童 と筆者 の 互 いの関係性 を省み る機会 となつた。関係 を築いてい く過程 は、互いへ の理解や かかわ り方の模 索な ど悩む ことや配慮す るこ とが多いが、一旦関係が出来上が るとそ こで気づ きが減少 して しま う。自然学校 のよ うな非 日常での体験の場 は、互いへ の気づ きや理解 を深 め られ る場であると考 え られ る。

3)先

生方 と筆者

3小

学校合 同での 自然学校 を行 うにあた り、学級担任や他校 の先生方 と何度 も話 し合 い を重ね、 自然学校 に向けて準備 を進 めてい った。 その中で先生方 と筆者 の関係性 は 徐 々に変化 し、実践研 究を依頼す るとい う立場か ら、共に一つの行事 を成 し遂 げるとい う目的を共有す ることがで きるよ うになつた。また、自然学校 において児童 同士の相互 作用や省察 と並行す るよ うに、筆者 自身の中に生起す る体験学習の循環過程 の中で先生 方 と筆者 の関係性 が内省 された。児童 の活動のサポー トのために先生方 と協力す ること や児童への願 いを共有す ることが、先生方 と筆者 の関係性 を変化 させ た と考 え られ る。

(21)

3節

これ か らの課題

(1)体

験 す る こ との負担 自然 学校 の よ うな体 験活動 で は 、非 日常 で の体験や 他 者 との協 同が求 め られ る。その 際 、他 者 の意 見 に耳 を傾 け る こ とや 自分 の こ とを話 す こ と、課 題 に向 き合 い協 力 す る こ とや 妥協す る こ と、他者 の感 情 に触れ るこ とや 自分 の心 の 中にあ る感 情 を掘 り起 こす こ とな ど、体験 の 中で他者 とかか わ る こ とに よる様 々な心 の動 きが あ り、それ を負 担 と感 じる児童 もい る。多 くの感 情 が混在す る環境 で体験す る こ との負 担 を軽減す るた め、体 験 に よ る心 の動 きにつ いて理解 し、児 童 の実態 に応 じた配 慮 が必要 だ と考 え られ る。

(2)キ

ャ リア意 識 の発達 と体験 の継 続 本研 究 で は、自然 学校 で の体 験 活動 が キ ャ リア意識 尺度の 人 間関係 形成 の項 目にお い て 、体験 前 に比べ て体験後 の得 点 を有 意 に上昇 させ た とい う結果 を得 た。 しか し、一度 の体 験活動 で は、キ ャ リア意識 の発 達 が一 時的 な もの とな る可能性 が あ る。学級担任 は、 児 童 が体験 か ら学 ぶ こ とを 「ロー マ は一 日に して成 らず 」 と表現 し、継続 の重 要性 を示 した。一度 の体験活動 では、体験 か らの学 び を 日々の生活 に活 かす こ とが困難 だ と考 え られ る。そのた め、体験活動 か らの児童 の学 び を深 め るた めに、体験活 動や ふ りか え り を継 続 的 に行 うこ とが必要 で あ る と考 え られ る。体験 学習 の循 環過程 を何度 も繰 り返す こ とに よ り、体 験 か らの学 び を積 み重 ね る こ とが、児童 の人 間関係 形成 能力 を育成 して い くこ とにつ なが る と考 え られ る。 引用文献 井之口茉里恵・畝浩二 (2014).兵庫県自然学校が児童の生きる力に及ぼす影響の評価―西宮市立H小 学校 の分析を通して一 大阪教育大学紀要 第Ⅳ部門,62(2),155-165. 石田裕久 (2005)。 「対人関係 トレーニング」瞥見 人間関係研究,4,125-134. 時代 。明石要一 (2011).体 験活動 の効果及び評価の在 り方に関す る一考察―子 どもの体験活動事例 を追 っ て一 千葉大学教育学部研究紀要,59,167-173. 時代 。明石要一 (2012).体験活動 が子 どもに与 える影響

-2年

間の体験 活動 事例 を通 して一 千葉大学教 育学部研 究紀要,60,121-132. 国立青少年教育振興 機構 (2010)。 「子供の体験活動実態 に関す る調査研究」報告書一子 どもの頃の体験は、 そ の後の人生 に影響す る― ,p.9,p.57. 前 田健 ― 。中篠 和光 。木本一成 。風 呂和志・簑 島隆・ 責谷富美 。新見直子 (2009)。 中学校 にお けるキャ リ ア教育 とキャ リア意識 の形成

(2)広

島大 学学部 。付属学校共同研 究機構研究紀要,37,269-274. 文部科学省 (2007)。 次代 を担 う自立 した青少年 の育成 に向けて(答申) 文部科学省 (2008)。 体験活動事例集 一体験 のススメー [平成17、 18年度 豊か な体験活動推進事業 よ り] 文部科学省 (20H)。 今後 の学校 教育 にお けるキャ リア教育・ 職業教育の在 り方 について(答申),p.25. 新 見 直子・ 前 田健 一 (2009)。 小 中高校 生 を対 象 と した キャ リア意識 尺度 の作成 キ ャ リア教育研 究, 27(2)・, 43-55. 橘 直隆 。平野 吉直 (2001).生きる力 を構成す る指標 野外教育研究,4(2),11-16. 徳 岡大・ 山形麻央・ 淡野将太 。新見直子・ 前 田健一 (2010).月ヽ学生 のキ ャ リア意識 と適応 間の関連広 島 大学心理学研究,10,111-H9. 津村俊 充 (2012).プロセ ス・ エデ ュケー シ ョンー 学びを支援す るファシ リテー シ ョンの理論 と実際一 金 子書房,pp.3-18.pp.115-H9. 津村俊 充・ 石 田裕久 (2003).フ ァシ リテー ター・ トレーニ ングー 自己実現 を促す教育 ファシ リテー シ ョ ンヘのアプ ローチー ナカニシヤ出版,pp.2-6. 9 “

(22)

.S、りかえ りの準備物 と手‖贋 目的 と使用 方法 し お り │ 自分 自身の。S、りかえ り (選択 式) その 日一 日の生活や活動 につ いて、5段階 の 自己評価 で゛S、りかえ る。 ││ 自分 自身の。S、りかえ り (記述 式) その 日の 自分 を.S、 り返 って、記述す る。 │で大 まか に.ζ、りかえ った こ との中か ら、 自分 の印象 に残 っていることな どを抽 出 して書 く。 画 用 紙 ・ 付 箋 班 の活動 につ いての。ζ、 りか え り │, ‖の内容を班 のメンパー と共有す ることを 目的 に、画用紙 を用 いて.S、 りか え りを行 う。画用紙 に書 いて まとめ ることで、 その 日の 活動 でそれ それの メ ンバ ーが どんな体 験 を し、 どんな ことを考 えて いたのかが文字 と して残 り確認 し合 う。画用紙 を利用す ることによ り、 それぞれの活動 をメ ンパ ーが どうとらえているか知 り、 その時 の プ ロセスを想起 しやす くす ることをね らい と している。 IV 班 の メ ンパ ーのがんば りや活躍 Ⅲにお いて想起 されたプ ロセ スを他者 への気づ きと して、互 いに伝 え合 うことを目的 と して、互 いの 「よか った ところ (が んば りや活 や く)」 を付箋 に書 く。付箋 に書 くことで誰の気づ きであ るかを明 確 にす る こ とで、班 の中で どのメ ンバ ーが どういった気づ きを した かがわかる。 V 明 日へ向 けて Ⅳと同時に、その日の,ζ、りかえ りを翌 日の活動へつなげることを目 的 として、翌 日の活動に向けての意見を付箋に書 く。 し お り VI 班 での.S、りか え りを踏 まえた 自分 の。S、りかえ り 。明 日へ向 けて Ⅲ,Ⅳ, Vで班 での.S、りかえ りを踏 まえて、 自分 自身のS、りか え り を行 った。班での.ζ、りかえ りで出た意見や気づ きを 自分 自身 に還元 す るため、 もう一度 じお りに記述す る。 また、明 日へ向 けての意見 を書 く。 口 頭 VII 全体 の場 で.S、りか え り を発表 各班 で共有 された。S、りかえ りを全体 の場で発表す ることで、他 の班 の様子を知 り、全体 の場 で共有す ることを 目的 と している。班での .S、りか え りを班長 も しくは副班長 が発表す る。

Appendix l ふりかえりの流れの詳細】

Append破

2

ふりかえリシー ト】

今 日のよ、りか え り 月 日 ( ) 天 気 、 1 ︲ ︲ ′ ノ

Append破

3

画用紙】

個人のふ りかえ り(しお り)【Appendは2】 I.自分 自身のふ りか り(選択式) Ⅱ.自分 自身のふ りかえ り(記述式) Ⅵ.班でのふ りかえ りを踏 まえた自分のふ りかえ り 班でのふ りかえ り (画用紙 と付箋)【Appendほ3】 Ⅲ.班の活動についてのふ りかえり Ⅳ.班のメンバーのがんば りや活躍 V.明日に向けて 1 時 間 を守 って 行 動 で きた 。 できなかった できた 12345 2 持ち物の準備や、荷物や衣服の整理整 とんカマできた。 できなかつた で きた 12345 3 自分の役割や仕事や、責任をもって果 たすことができた。 できなかった できた 12345 4 人 に迷 惑 をか けな か った。 かけた12345 かけなかつた 5 友 だ ち の話 を よ く気 こ とが で きた。 できなかった できた 12345 6 友だちのがんばりや活や くを見つける こと力くできた。 できなかった できた 12345 7 自分の考えや意見を積極的に伝えるこ とができた。 できなかつた できた 12345 8 友だちと助け合 って行動できた。 できなかった できた 12345 9 活動や課題に対 して、最後 まであきら めずに取 り組むことができた。 できなかった できた 12345 今日の 自分 を.S、り返 ってみ ま しょ う。 み ん な と話 し合 って、 ど う思 い ま した か ? また 、 明 日へ 向 けて、 すべ きこ とや 気 を付 け る こ とは何 で す か? 日の活動で、印象的だったこ IC冷日の活動での 友だちのよい とは何ですか。 │と ころ (がんば りや活や く)を見 のときどのくらい協力できましl②自然学校で、班全体でがんばリ こか。 │た いことは何ですか。 Ⅳ,V 協力度 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

表 2  自然学校 のプログラム 1日 目 2日 目 3日 目 4日 目 5日 目 午前 出発式 入所式 自己紹介 チャレンジゲーム ̲ζ 、 れあいゲーム食材探 し野外炊飯 ‖ カー トン ドックお弁 当作 り登 山 掃除・荷物整理学級対抗ゲーム 午 後 ポイン トハ イク.ζ、 れあ いタイム 班長会議 テン ト設営体験野外炊飯!班長会議 渓流散策 クラフ ト活動班長会議 あまごつかみ班長会議 アイスク リームづ くり退所式 夜 フ リータイム も、りかえ りの時間 家族への手紙.ζ 、りかえ りの時間

参照

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