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CaF2絶縁層の開発によるInGaN紫外線センサの高感度化

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Academic year: 2021

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同時発表: 筑波研究学園都市記者会(資料配布) 文部科学記者会(資料配布) 科学記者会(資料配布)

CaF

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絶縁層の開発によるInGaN紫外線センサの高感度化

平成23年3月4日 独立行政法人 物質・材料研究機構 概要 1.独立行政法人物質・材料研究機構(理事長:潮田 資勝)センサ材料センター(センター長: 羽田 肇)の角谷正友 主幹研究員および Liwen Sang 研究員らは III-V 族窒化物薄膜と金属ショ

ットキー電極との間に絶縁体であるフッ化カルシウム(CaF2)を挿入することで、高い感度と早

い応答をともに満たす紫外線の 95%を占める領域 A)の紫外線(UVA 波長:320-400nm)検出 器を開発することに成功した。

2.III-V 族窒化物薄膜は III 族(Al、Ga、In)の混晶比を制御することで検出する紫外線の波長を 選択できる特徴がある。UVA 検出に適当な InGaN の窒化物薄膜は高い転位密度や残留キャリア 濃度のためにリーク電流が高かったり、光照射後も光電流が流れ続けたりする問題がある。その ために紫外線と可視光との高い感度差と速い応答を同時に満たす紫外線センサーを開発すること が困難であった。これまで UVA の検出器として Si を用いたものではバンドギャップの点から感 度が高くない問題があった。 3.本研究開発では、有機金属化学堆積法で成長した InGaN 薄膜表面にショットキー電極(Ni(20nm) /Au(20nm))をくし型状に形成した金属―半導体-金属 (MSM)構造の UVA 検出デバイスを形 成した。電極/InGaN との間にスパッタリングで作製した CaF2を 5nm 挿入することで、低リーク 電流(<1.4x10-7

A@-5V)と高い光感度を実現することができた。絶縁層として SiO2、Si3N4、p-GaN

などのワイドギャップ材料が試されてきたが、CaF2のような高いレベルの絶縁性を示すことがな

かった。

4.CaF2を挿入した InGaN 薄膜の MSM 型 UVA 検出器は 6 桁の紫外線と可視光との検出感度差、

バイアス2V で 338nm の紫外線に対して 10.4 A/W の感度(ゲイン 40)、ミリ秒の応答速度の特 性を示すこれまでにない高性能な検出器で、約 6 倍の感度と 10 倍の検出限界の向上を実現した。 CaF2の役割を明らかにしていく必要があるが、応答速度が速いことから界面準位が低減されてい ることが示唆される。 5.ガラス窓を容易に透過する上に長時間かけてシミの原因となる UVA の環境モニターなどに利 用できる。InGaN, CaF2ともにワイドバンドギャップ材料であるので高温環境下での利用も期待さ れる。

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研究の背景

III-V 族窒化物材料は GaN、AlN, InN の III 族元素と窒素との化合物で、直接遷移型半導体で ある。GaN のバンドギャップ(3.4 eV、365nm)を中心に考えると、Al の混合比を増やすとより

広い(ダイヤモンド並みまで)、一方、In を増やすと狭い(Si 並みまで)バンドギャップとな

る。適当に Al, In、Ga の組成を制御することで検出できる光の波長が変えられる特徴が III-V 族窒化物半導体薄膜にはある。 地球に降り注ぐ紫外線は UVA(波長:320-400nm)と UVB(波長:280-320nm)である。 UVB は皮膚が赤くなったり皮がめくれたりする日焼けを引き起こすのに対し、UVA は肌の奥 まで深く浸透して時間をかけてシミなどの原因を作ると考えられている。UVAは紫外線の95% を占め、カーテンや窓ガラスを容易に透過するために室内にも入り込むので、その対策が必要 とされている。 Al 組成の高い AlGaN を用いてソーラーブラインドの 280nm 以下の紫外線(UV-C 領域)を 検出する研究が多くなされてきたが、UVA を検出するセンサの研究があまり行われていなか った。In を 10%程含む In0.1Ga0.9N が UVA の検出に適当なバンドギャップとなるが、高い転位 密度や残留キャリア濃度のためにリーク電流が高かったり、光照射後も光電流が流れ続けたり (persistent photocurrent: PPC)するといった材料学的な問題がある。InGaN の高品質化を行う とともにデバイス構造を工夫することが UVA 検出器の開発にとって重要であった。

成果の内容

我々は MOCVD による InGaN 薄膜の品質を向上させるとともに、Ni/Au ショットキー電極

と InGaN 層との間にワイドギャップ材料である CaF2を 5nm 挿入するというデバイス構造上の

工夫をした。(図 1)

有機金属化学堆積法でサファイア基板上に GaN 薄膜を成長させ、その上にさらに In を 10%

含む In0.1Ga0.9N 薄膜を 300nm 程度成長させた。5nm の CaF2をスパッタリングで堆積させた後

に、Ni (20 nm)/Au (20 nm)ショットキー電極を形成した。電極を櫛形状にして、受光面積

5.2×10-2 mm2の photo diode を作製した。CaF2絶縁層を挿入することによってリーク電流が抑

えられた(図 2)。暗電流の電圧依存性から CaF2は印加電圧に応じて低電圧時には絶縁層とし

て機能し、高電圧時にはトラップを介して電流が流れるといった材料であることがわかった。 UVA 領域全般においてフラットで高いレスポンスを示し(図 3)、338nm の紫外線(UVA 領 域)に対して 2V のバイアス時に 10.4A/W(gain 40)、6 桁の on/off 比を実現することができ

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問い合わせ先: 報道担当: 独立行政法人物質・材料研究機構 企画部 広報室 〒305-0047 茨城県つくば市千現 1-2-1 TEL:029-859-2026 FAX: 029-859-2017 研究内容に関すること: 独立行政法人物質・材料研究機構 次世代太陽電池センター (併)センサ材料センター・光学センシング材料グループ 主幹研究員 角谷正友(すみや まさとも) TEL:029-860-4784 FAX: 029-851-4005 E-mail: [email protected] 独立行政法人物質・材料研究機構 次世代太陽電池センター

NIMS ポスドク研究員 桑立雯 (Sang Liwen) TEL:029-851-3354 内線 8652 FAX: 029-851-4005 E-mail: Sang. [email protected]

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用語解説

1)Ⅲ-Ⅴ族窒化物薄膜信号機などで青色に発光する光源に使われている材料の総称を III-V 族窒化物と呼ぶ。周期表の III 族に属する Al, Ga, In などの元素と窒素(N)との化合物である。

III 族元素の単独もしくは2つ、3つの混合比を制御することで検出できる光の波長を制御する ことができる。 2)金属ショットキー電極 半導体材料とその表面に堆積した金属材料間で得られる電流電圧特性が整流性を示す金属を ショットキー電極と呼ぶ。 3)残留キャリア濃度 半導体材料の高品質化を追求してもどうしても避けられない電流が流れる。その電流に寄与す るキャリア密度のこと。 4)有機金属化学堆積法 金属元素のまわりにメチル基(-CH3)やエチル基(-C2H5)を配位させた原料を加熱した反 応装置に導入することによって起こる化学反応から薄膜を成長させる方法。 5)直接遷移型半導体 光吸収が高い半導体材料のこと。したがって、光検出器として利用しやすい。

図 1  開発した CaF 2 挿入した MSM 型 InGaN-UVA 検出器のデバイス構造
図 3  1V バイアス時の MSM 型 InGaN-UVA 検出器の光電流スペクトル

参照

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