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情報リテラシー演習の効果と課題-情報ネットワーク学科の学生を対象として-

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Academic year: 2021

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研 究 ノ ー ト

情 報 リテラシー演 習 の効 果 と課 題

―情 報 ネットワーク学 科 の学 生 を対 象 として―

Effect and Assignment of Information Literacy Practicum

Students of Department of Information and Network Sciences―

荒 平 高 章 、 鈴 木 和 也

Takaaki Arahira, Kazuya Suzuki

要 約 本 研 究 で は 、 九 州 情 報 大 学 経 営 情 報 学 部 1 年 生 の 必 修 科 目 で あ る 「 情 報 リ テ ラ シ ー 演 習 」 に お い て 、 情 報 ネ ッ ト ワ ー ク 学 科 に 所 属 す る 履 修 生 が ど の 程 度 本 科 目 の 到 達 目 標 記 載 の 技 能 ・ 実 践 力 が 習 得 で き た か を 、 標 的 ス キ ル に 関 す る 尺 度 で の 評 価 を 用 い て 検 討 を 試 み た 。 そ の 結 果 、 授 業 回 を 重 ね る に つ れ て 、 自 己 評 価 の 得 点 は 高 く な る 傾 向 を 示 し た 。 ま た 、 日 本 人 学 生 と 外 国 人 留 学 生 を 比 較 し た と こ ろ 、 最 終 的 に は 、 日 本 人 学 生 と 同 等 の 自 己 評 価 の 得 点 に な っ た 。 以 上 に よ り 、 本 手 法 が 、 学 生 の 自 己 評 価 の 指 標 と し て 有 用 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 キ ー ワ ー ド: 情 報 リ テ ラ シ ー 、 標 的 ス キ ル 、 ア ン ケ ー ト 1. はじめに 我々の日常生活にとって情報技術は欠かせない ものになっている。最近では、携帯電話など技術 革新の進展によって、より身近なものとなってい る。さらには、企業においても様々な場面におい て情報技術を使った業務が増えている。このこと を考えると情報技術の習得は、我々が社会生活を 円滑に送るためにも欠くことができない重要なも のであるといえる。 ところで、本学では 1 年生前期において「情 報リテラシー演習」という必修科目を学ぶことに なる。内容としては、コンピュータについての基 本的な知識と利用能力を身につけるものである。 1 年生の学生の多くは、高等学校の普通科出身者 については、教科「情報」を、また商業科や工業 科、農業科などの専門学科の出身者にはそれぞれ の専門教科において関連する情報の教科を学び、 ある程度の知識は身についている。さらに、本学 の特徴でもある多くの留学生においても、来日以 前の母国の教育の中で、ある程度の情報処理に関 する基本的な知識や技術の習得はしている様子が 伺える。しかし、実際に講義を通してみてみると その知識や技術には大きな差があることがわかる。 こうした状況を踏まえる中で、本研究では、情報 ネットワーク学科に所属する「情報リテラシー演 自由党世耕弘一、72 国会衆議院文教委員会 2 月 20 日自由民主党山崎拓、133 国会参議院決算委 員会9 月 27 日自由民主党清水嘉与子、173 国会 衆議院予算委員会11 月 5 日鳩山由紀夫内閣総理 大臣。 70)この日、天野は国会に出席中であったため、 水谷文部政務次官が代読した。 71)社会科で「道徳的要素」を押さえるという考 えと、「社会的現実をみつめる」という考えが出 された。広島県は「いちいち歴史的事実を道徳 と結びつけるのはいけない」との意見を述べた (日教組1958:132-135)。 72)石川県は、道徳的な事柄を、「コトバでもっ て教えようとするのが徳目主義であり、そのた めに時間の特設」を必要とする。「新徳目主義が 道徳指導要領の本質である」といっている。 73)「子どもの中にある、具体的な矛盾、客観的 な矛盾」を、個人的な反省や内容にしてしまう という指摘がみられた。 74)文部省は、「これまでの指導では道徳性の深 化・統合が不充分」だというが、「いくら学習指導 要領で示された主題を組み込んで道徳教育を行っ ても、学校の設備の不足等から実行できない現実 がある中で、どう強化され統合されるものがある のか」との意見がだされた。 75)埼玉は「指導要領の内容は、道徳をヒューマ ニズムというような部面からだけで捉え、社会科 学としての道徳をうち立てていない。人権尊重、 という基本道徳が、他の内容と併列的な形でなら べられていることがこれを明らかにする」といっ ている。 76)「小学校の低学年では、生活指導は多く、社 会科や理科に関係しているので全く必要がない」 ともいわれている。 参考文献 厚沢留次郎文書1950a「第 1 回教育課程審議記録」 196.61-40-(17) 1950b 「 教 育 課 程 審議会 小 委 員会議 事 録」 196.61-40-(19)。 1950c「試案」196.61-40-(15)。 1952「昭和 27 年度(第一次)教育課程審議会 綴」096.61-41-(13)。 大島文義文書1950a「局議」、35。 1950b「道徳教育の昇揚について大臣の意見」 37。 1950c「道徳教育に関する省内連絡協議会」 250-247。 1951「道徳教育振興に関する答申」245-243。 1953「社会科改善についての方策」482-478。 1956「中等教育教育課程分科審議会第 2 回記録」 219-209。 1957a「第 1 回教育課程審議会 あいさつ」 136-138。 1957b「社会科の再検討」226-231。 1957c「第 1 回教材等調査研究会家庭小委員会 議事録」300。 1958「小学校・中学校教育課程の改善について (答申)」222-223。 貝塚茂樹2011a『道徳教育の取り扱い説明書-教 科化の必要性を考える』学術出版社。 勝部真長1997「道徳教育を妨害した日教組-昭 和33 年の記憶」『道徳と教育』43 巻 1-2 号、 pp.17-25。 佐藤秀夫1988『厚沢留次郎文書目録 : 被占領 期教育改革史料の総合的調査研究』 国立教 育研究所。 高山岩男1958「道徳教育と日教組」『海外事情』 6 巻 9 号、pp.11-18。 日本教職員組合教育文化部1952「教育研究大会報 告書」『教育評論 臨時特集号』小泉印刷。 日本教職員組合編 1953『日本の教育』第 2 集岩 波書店。 1954a『日本の教育』第 3 集Ⅵ国土社。 1954b『日本の教育』第 3 集Ⅶ国土社。 1954c『日本の教育』第 3 集Ⅷ国土社。 1955『日本の教育』第 4 集国土社。 1956『日本の教育』第 5 集国土社。 1957『日本の教育』第 6 集国土社。 1958『日本の教育』第 7 集国土社。 1959a『日本の教育 上巻』第 8 集国土社。 1959b『日本の教育 下巻』第 8 集国土社。 菱村幸彦 2011「残された施策はこれしかない 」 『現代教育科学』54 巻 6 号、pp.10-12。 渡部宗助編著2002『大島文義旧蔵文書目録』国立 教育政策研究所。      研究ノート         

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5. 結果と考察 図1に標的スキルに関する尺度で得点化した結 果を示す。グラフは、36 名の得点の平均値を示 している。全体の項目について共通していること は、「情報リテラシー演習」の講義を重ねていく ことによって自己評価としての得点が上がってい ることである。本科目は、到達目標として、技能 習得及び実践的な力の習得が主であることから、 設問も知識ベースよりも技能ベースの質問が多く なっている。その中で、自己評価としての得点が 上がっていることは、講義開始時点よりも各自の 実感として技術、実践力が身についていることを 示している。しかし、ここで「実践力」とは何か について考える必要がある。『平成 30 年告示 高 等学校学習指導要領情報編』では、何ができるよ うになるかを資質・能力として位置付けており、 さらにそれらを「言語能力、情報活用能力、問題 発見・解決能力」として列記している 2)。このこ とは、従来のコンテンツベースの教育課程からコ ンピテンシーベースの教育課程へ移行しているこ とを示唆している 3)。すなわち、「何ができるよ うになるか」というアウトプットが重要になって いる。したがって、本科目の到達目標にある「実 践力」は、単に情報機器の操作ができるようにな るというだけではなく、その先にある「何ができ るようになるか」という意味を含んだものになっ ている。その点を踏まえて、設問④、⑤、⑥を見 ていく。 設問④「Word はどのくらい得意ですか。」に ついてであるが、第1 回目のおよそ 38 点から第 15 回目ではおよそ 51 点でおよそ 12%増加して いる。オフィスソフトの中でも、Word はほとん どの学生が使用経験があり、基本操作の演習はほ とんど実施していない。しかし、Word を使用し て文章作成(ビジネス文書、レポート)の経験は 半数以下であった。特に、今後の大学生活や就職 活動、社会人生活で必要になってくるレポート作 成やビジネス文書については、授業回をかけ、授 業内演習と授業外レポートを複数回実施した。こ こで、授業内演習は教員側が提示する課題に沿っ たものを作成してもらい、授業外レポートでは、 教員側がある特定のキーワードを挙げ、それにつ いてレポートを書いてきてもらうように配慮した。 細かな書式設定を提示してしまうと、学生の主体 的な学習活動を阻害する可能性があると考えての 配慮である。以上のことから、本項目における自 習」の履修生が、半期の講義を通してこれまで身 につけていた自身の知識や技術、さらには、講義 を通して習得したであろう知識や技術が、どの程 度変容をしたのかを、標的スキルに関する尺度を 用いて評価をおこない検討を加えるものである。 このことによって、適切な教材の利用や実技演習 の方法など、学生にとっても指導する教員にとっ ても効果的な授業内容が構築され、講義が展開さ れるのではないかと考える。 2. 対象 対象者は情報ネットワーク学科の1 年生 51 名 とし、対象科目は 2019 年度前期開講科目の「情 報リテラシー演習」とした。対象とする学生には、 事前に授業アンケートの使用承諾書を配布し、承 諾の可否及び直筆でサインをしたものを回収し、 保管している。今回は、承諾を得られた学生及び、 アンケート全てに回答してくれた学生 36 名(日 本人:16 名、留学生:20 名)を本報告の結果に 反映させることとした。また、入学者の情報リテ ラシースキルの変化について検討するため、留年 生は除外した。 3. アンケートの実施 2019 年度前期開講科目「情報リテラシー演習」 において、第1 回目(最初)、8 回目(中間)、15 回目(最後)の計 3 回の講義でアンケートを実 施した。各回のアンケートはすべて同じ内容であ る。本アンケートでは、星・渡辺ら 1)の標的スキ ルに関する尺度を導入した。アンケートの各項目 について“できない”から“できる”までの100 mm の水平な直線に対して、現在の回答者の状 況にあてはまる部分に垂直線(あるいは斜線)を 引いて区切ることを要求した。“できない”側の 端点を原点とし、スケールを用いて原点から垂直 線(斜線)との交点までの長さを測定した。1 mm を 1 点として最大 100 点で各アンケート項 目の評価を行った。 4. アンケートの内容 アンケートの内容については、「情報リテラ シー演習」における到達目標を確認できる内容と した。具体的な到達目標は以下の通りである。 ① パソコンの基本操作やタイピングに習熟する こと。 ② オフィスソフト(ワープロ、表計算、プレゼ ンテーション)の基本操作ができること。 ③ セキュリティーや情報モラルの基礎を理解し、 よくある事例については対処できること。 ④ 個人情報の扱いについて理解し、行動できる こと。 上記の到達目標を踏まえ、設問を以下のように 設定した。 ① コンピュータにどのくらい詳しいですか。 ② タッチタイピングはできますか。 ③ タイピングはどのくらい速いですか。 ④ Word はどのくらい得意ですか。 ⑤ Excel はどのくらい得意ですか。 ⑥ Power point はどのくらい得意ですか。 ⑦ 情報モラルについてどのくらい詳しいですか。 ⑧ 個人情報の取り扱いについてどのくらい詳し いですか。 上記内容は、3 節に記載の標的スキルに関する 尺度によって評価を行った。

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5. 結果と考察 図1に標的スキルに関する尺度で得点化した結 果を示す。グラフは、36 名の得点の平均値を示 している。全体の項目について共通していること は、「情報リテラシー演習」の講義を重ねていく ことによって自己評価としての得点が上がってい ることである。本科目は、到達目標として、技能 習得及び実践的な力の習得が主であることから、 設問も知識ベースよりも技能ベースの質問が多く なっている。その中で、自己評価としての得点が 上がっていることは、講義開始時点よりも各自の 実感として技術、実践力が身についていることを 示している。しかし、ここで「実践力」とは何か について考える必要がある。『平成 30 年告示 高 等学校学習指導要領情報編』では、何ができるよ うになるかを資質・能力として位置付けており、 さらにそれらを「言語能力、情報活用能力、問題 発見・解決能力」として列記している 2)。このこ とは、従来のコンテンツベースの教育課程からコ ンピテンシーベースの教育課程へ移行しているこ とを示唆している 3)。すなわち、「何ができるよ うになるか」というアウトプットが重要になって いる。したがって、本科目の到達目標にある「実 践力」は、単に情報機器の操作ができるようにな るというだけではなく、その先にある「何ができ るようになるか」という意味を含んだものになっ ている。その点を踏まえて、設問④、⑤、⑥を見 ていく。 設問④「Word はどのくらい得意ですか。」に ついてであるが、第 1 回目のおよそ 38 点から第 15 回目ではおよそ 51 点でおよそ 12%増加して いる。オフィスソフトの中でも、Word はほとん どの学生が使用経験があり、基本操作の演習はほ とんど実施していない。しかし、Word を使用し て文章作成(ビジネス文書、レポート)の経験は 半数以下であった。特に、今後の大学生活や就職 活動、社会人生活で必要になってくるレポート作 成やビジネス文書については、授業回をかけ、授 業内演習と授業外レポートを複数回実施した。こ こで、授業内演習は教員側が提示する課題に沿っ たものを作成してもらい、授業外レポートでは、 教員側がある特定のキーワードを挙げ、それにつ いてレポートを書いてきてもらうように配慮した。 細かな書式設定を提示してしまうと、学生の主体 的な学習活動を阻害する可能性があると考えての 配慮である。以上のことから、本項目における自 習」の履修生が、半期の講義を通してこれまで身 につけていた自身の知識や技術、さらには、講義 を通して習得したであろう知識や技術が、どの程 度変容をしたのかを、標的スキルに関する尺度を 用いて評価をおこない検討を加えるものである。 このことによって、適切な教材の利用や実技演習 の方法など、学生にとっても指導する教員にとっ ても効果的な授業内容が構築され、講義が展開さ れるのではないかと考える。 2. 対象 対象者は情報ネットワーク学科の1 年生 51 名 とし、対象科目は 2019 年度前期開講科目の「情 報リテラシー演習」とした。対象とする学生には、 事前に授業アンケートの使用承諾書を配布し、承 諾の可否及び直筆でサインをしたものを回収し、 保管している。今回は、承諾を得られた学生及び、 アンケート全てに回答してくれた学生 36 名(日 本人:16 名、留学生:20 名)を本報告の結果に 反映させることとした。また、入学者の情報リテ ラシースキルの変化について検討するため、留年 生は除外した。 3. アンケートの実施 2019 年度前期開講科目「情報リテラシー演習」 において、第1 回目(最初)、8 回目(中間)、15 回目(最後)の計 3 回の講義でアンケートを実 施した。各回のアンケートはすべて同じ内容であ る。本アンケートでは、星・渡辺ら 1)の標的スキ ルに関する尺度を導入した。アンケートの各項目 について“できない”から“できる”までの100 mm の水平な直線に対して、現在の回答者の状 況にあてはまる部分に垂直線(あるいは斜線)を 引いて区切ることを要求した。“できない”側の 端点を原点とし、スケールを用いて原点から垂直 線(斜線)との交点までの長さを測定した。1 mm を 1 点として最大 100 点で各アンケート項 目の評価を行った。 4. アンケートの内容 アンケートの内容については、「情報リテラ シー演習」における到達目標を確認できる内容と した。具体的な到達目標は以下の通りである。 ① パソコンの基本操作やタイピングに習熟する こと。 ② オフィスソフト(ワープロ、表計算、プレゼ ンテーション)の基本操作ができること。 ③ セキュリティーや情報モラルの基礎を理解し、 よくある事例については対処できること。 ④ 個人情報の扱いについて理解し、行動できる こと。 上記の到達目標を踏まえ、設問を以下のように 設定した。 ① コンピュータにどのくらい詳しいですか。 ② タッチタイピングはできますか。 ③ タイピングはどのくらい速いですか。 ④ Word はどのくらい得意ですか。 ⑤ Excel はどのくらい得意ですか。 ⑥ Power point はどのくらい得意ですか。 ⑦ 情報モラルについてどのくらい詳しいですか。 ⑧ 個人情報の取り扱いについてどのくらい詳し いですか。 上記内容は、3 節に記載の標的スキルに関する 尺度によって評価を行った。

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器の操作だけが行えるだけではなく、それらを実 際にどう使うかという一歩踏み込んだ「実践力」 の育成に寄与できたのではないかと考える。 次に、設問⑦、⑧であるが、情報モラルや個人 情報に関しては、比較的興味関心が学生にあるの かどうか定かではないが、特に個人情報の取り扱 いについては、比較的高い水準で推移していた。 しかし、学生に実際の事例をあげて、説明させる と、説明ができる学生はほとんどいなかったため、 各自が認識している情報モラルや個人情報の取り 扱いと、学習としてのそれらとの乖離があると考 えられる。これらの乖離をできる限りなくしてい くために、次回以降の講義では改善していくこと が必要である。 次に、設問②、③であるが、これらはタッチタ イピングに関する項目である。タッチタイピング は、これまでキーボードを見ながらタイプしてい た学生には慣れるまでに時間を要したと考えられ る。この項目に関しては、最終的に自己評価によ る平均得点は増加しているが、タッチタイピング に関しては、本科目内だけにとどまらず、継続的 な練習が必要になるため、継続的に実施していく ことを学生に何度も伝えている。また、自身の タッチタイピングの速度がどのように変化してい るかを記録させ、総合レポートとして、以下の手 順で作成させた。 1. タイピングを毎回の講義開始後 10 分実施し、 最後の結果を記録用紙に記録する。 2. タイピングの速度を Excel に表としてまと める。その際、表計算の機能やグラフによる 可視化などの工夫を実施する。 3. Excel で作成した表やグラフを Word に貼り 付け、自身のタッチタイピング速度の変化に ついてレポートを作成する。 上記の手順で、レポートを作成し、提出させた。 これは、主体的にWord や Excel の機能を使って 「実践力」を養うためである。実際に自身のタイ ピング速度の変化を可視化することで、習熟して いくことを実感できたという意見を多く聞くこと ができた。また、ほとんどの学生が経時的にタイ ピング速度が速くなっていく結果を示していた。 このことは、設問③の自己評価における平均得点 が経時的に高くなっていることに対応しており、 標的スキルによる尺度評価方法が有用であること を裏付けている。 また、これまでは対象とした学生全体の平均得 点で議論してきたが、日本人学生と留学生との間 で違いがあるのかについて検討した。設問として は、④、⑤、⑥を対象とした。図 2 に日本人学生 と留学生の第 1 回目と第 15 回目の設問④、⑤、 ⑥の平均得点のグラフを示す。日本人学生、留学 生ともに第 1 回目から第 15 回目まで平均得点は 増加しているが、その増加幅は留学生の方が高い ことが分かる。日本人の場合、高等学校までに情 報科目で学んできた学生がほとんどであるが、留 学生については、教育制度等も含め、教員側も把 握する必要があるのは事実である。しかし少なく とも、オフィスソフトの経験は留学生の方が浅い ように実感している。現に、図 2 の第 1 回目のア ンケート結果すべてにおいて、日本人学生よりも 留学生の方が低い平均得点となっている。しかし、 最終的には、留学生においても、日本人学生と同 様の平均得点まで増加していることから、本科目 は日本人学生、留学生の双方に対して効果的で あったと考えられる。 最後に、本アンケートによる標的スキルに関す る尺度での評価について考察する。今回示した平 均得点のデータにおいて、すべての項目において 100 点換算にも関わらず、50 点前後で推移して いるという結果になっている。これは、自己評価 ということで、各人の評価基準というものが標準 化されていないことが考えられる。「どれくらい 得意か」という問に対して点数化する際に、得意 だから 100 点という学生もいれば、得意だけれ ども、今後もさらに向上する余地があるから 50 点とつける学生もいる。中には、何も考えずに何 となく点数化している学生がいることも否定でき ない。このように、自己評価は各人の評価基準が 異なるということを踏まえた上で、アンケートを 工夫する必要がある。また、タイピング速度の速 い学生やオフィスソフトが使用できる学生ほど、 自己評価が低いという傾向も見て取れる。これは、 己評価の平均得点が 12%増加したという結果は、 ビジネス文書やレポート作成に関する技術習得と いうことに依存していると考えられる。したがっ て、Word に関しては、応用操作に関する演習を 増やすことにより、自己評価得点が上がることが 示唆される。 設問⑤「Excel はどのくらい得意ですか。」に ついてであるが、第1 回目のおよそ 39 点から第 15 回目ではおよそ 52 点でおよそ 13%増加して いる。Excel の使用経験は、学生間で差があり、 単に表作成だけの学生もいれば、計算・グラフ化 まで経験した学生もいた。学生間の経験の差を鑑 み、本科目では、表作成と簡単な表計算、関数を 実施し、グラフ化の手法までを教え、Word の時 と同様に、授業内演習と授業外レポートを複数回 実施した。他のオフィスソフトが第1 回目と第 8 回目で得点の増加値が大きい一方で、Excel のそ れが小さい理由としては、第 8 回目の時点で、 Excel の講義が実施されていないことが原因であ ると考えられる。最終的には、Word 以上に自己 評価の平均得点が高くなっていた。この平均得点 の増加は、Excel の基本操作習得に依存しており、 教える事項や演習事項を精査することによって、 さらに平均得点が増加すると考えられる。 設問⑥「Power point はどのくらい得意です か。」についてであるが、第 1 回目のおよそ 39 点から第 15 回目ではおよそ 49 点でおよそ 10% 増加している。そもそも Power point はオフィ スソフトの中でも、学生にとって最も使用経験が ないソフトであった。本科目では、プレゼンテー ションソフトという位置づけで講義を実施したた め、学生には口頭発表のためのツールであるとい う意識が強く根付いてしまったということが懸念 され、このことは次回以降の改善点として挙げら れる。この原因として、学生に、Power point で 発表用の資料を作成させ、実際に発表をさせたこ とが一番に考えられるが、その際に、いかに聴衆 の気を引くかということを念頭に資料作成を実施 させたことが起因していると考えられる。実際に は、ポスターや広告、書類作成など多岐にわたっ て使用可能であることをもう少し教える必要が あったのではないかと考えられる。Power point における平均得点の増加はWord や Excel よりも 小さいものであった。これは、基本操作の説明に 時間を割き、演習に充てた時間が少なくなり、学 生自身で作業し練習する時間が他のオフィスソフ トに比べ少なかったからだと考えられる。 以上の 3 つの項目については、高等学校にお ける情報科目を履修してきた学生に対し、情報機

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器の操作だけが行えるだけではなく、それらを実 際にどう使うかという一歩踏み込んだ「実践力」 の育成に寄与できたのではないかと考える。 次に、設問⑦、⑧であるが、情報モラルや個人 情報に関しては、比較的興味関心が学生にあるの かどうか定かではないが、特に個人情報の取り扱 いについては、比較的高い水準で推移していた。 しかし、学生に実際の事例をあげて、説明させる と、説明ができる学生はほとんどいなかったため、 各自が認識している情報モラルや個人情報の取り 扱いと、学習としてのそれらとの乖離があると考 えられる。これらの乖離をできる限りなくしてい くために、次回以降の講義では改善していくこと が必要である。 次に、設問②、③であるが、これらはタッチタ イピングに関する項目である。タッチタイピング は、これまでキーボードを見ながらタイプしてい た学生には慣れるまでに時間を要したと考えられ る。この項目に関しては、最終的に自己評価によ る平均得点は増加しているが、タッチタイピング に関しては、本科目内だけにとどまらず、継続的 な練習が必要になるため、継続的に実施していく ことを学生に何度も伝えている。また、自身の タッチタイピングの速度がどのように変化してい るかを記録させ、総合レポートとして、以下の手 順で作成させた。 1. タイピングを毎回の講義開始後 10 分実施し、 最後の結果を記録用紙に記録する。 2. タイピングの速度を Excel に表としてまと める。その際、表計算の機能やグラフによる 可視化などの工夫を実施する。 3. Excel で作成した表やグラフを Word に貼り 付け、自身のタッチタイピング速度の変化に ついてレポートを作成する。 上記の手順で、レポートを作成し、提出させた。 これは、主体的にWord や Excel の機能を使って 「実践力」を養うためである。実際に自身のタイ ピング速度の変化を可視化することで、習熟して いくことを実感できたという意見を多く聞くこと ができた。また、ほとんどの学生が経時的にタイ ピング速度が速くなっていく結果を示していた。 このことは、設問③の自己評価における平均得点 が経時的に高くなっていることに対応しており、 標的スキルによる尺度評価方法が有用であること を裏付けている。 また、これまでは対象とした学生全体の平均得 点で議論してきたが、日本人学生と留学生との間 で違いがあるのかについて検討した。設問として は、④、⑤、⑥を対象とした。図 2 に日本人学生 と留学生の第 1 回目と第 15 回目の設問④、⑤、 ⑥の平均得点のグラフを示す。日本人学生、留学 生ともに第 1 回目から第 15 回目まで平均得点は 増加しているが、その増加幅は留学生の方が高い ことが分かる。日本人の場合、高等学校までに情 報科目で学んできた学生がほとんどであるが、留 学生については、教育制度等も含め、教員側も把 握する必要があるのは事実である。しかし少なく とも、オフィスソフトの経験は留学生の方が浅い ように実感している。現に、図 2 の第 1 回目のア ンケート結果すべてにおいて、日本人学生よりも 留学生の方が低い平均得点となっている。しかし、 最終的には、留学生においても、日本人学生と同 様の平均得点まで増加していることから、本科目 は日本人学生、留学生の双方に対して効果的で あったと考えられる。 最後に、本アンケートによる標的スキルに関す る尺度での評価について考察する。今回示した平 均得点のデータにおいて、すべての項目において 100 点換算にも関わらず、50 点前後で推移して いるという結果になっている。これは、自己評価 ということで、各人の評価基準というものが標準 化されていないことが考えられる。「どれくらい 得意か」という問に対して点数化する際に、得意 だから 100 点という学生もいれば、得意だけれ ども、今後もさらに向上する余地があるから 50 点とつける学生もいる。中には、何も考えずに何 となく点数化している学生がいることも否定でき ない。このように、自己評価は各人の評価基準が 異なるということを踏まえた上で、アンケートを 工夫する必要がある。また、タイピング速度の速 い学生やオフィスソフトが使用できる学生ほど、 自己評価が低いという傾向も見て取れる。これは、 己評価の平均得点が 12%増加したという結果は、 ビジネス文書やレポート作成に関する技術習得と いうことに依存していると考えられる。したがっ て、Word に関しては、応用操作に関する演習を 増やすことにより、自己評価得点が上がることが 示唆される。 設問⑤「Excel はどのくらい得意ですか。」に ついてであるが、第1 回目のおよそ 39 点から第 15 回目ではおよそ 52 点でおよそ 13%増加して いる。Excel の使用経験は、学生間で差があり、 単に表作成だけの学生もいれば、計算・グラフ化 まで経験した学生もいた。学生間の経験の差を鑑 み、本科目では、表作成と簡単な表計算、関数を 実施し、グラフ化の手法までを教え、Word の時 と同様に、授業内演習と授業外レポートを複数回 実施した。他のオフィスソフトが第1 回目と第 8 回目で得点の増加値が大きい一方で、Excel のそ れが小さい理由としては、第 8 回目の時点で、 Excel の講義が実施されていないことが原因であ ると考えられる。最終的には、Word 以上に自己 評価の平均得点が高くなっていた。この平均得点 の増加は、Excel の基本操作習得に依存しており、 教える事項や演習事項を精査することによって、 さらに平均得点が増加すると考えられる。 設問⑥「Power point はどのくらい得意です か。」についてであるが、第 1 回目のおよそ 39 点から第15 回目ではおよそ 49 点でおよそ 10% 増加している。そもそも Power point はオフィ スソフトの中でも、学生にとって最も使用経験が ないソフトであった。本科目では、プレゼンテー ションソフトという位置づけで講義を実施したた め、学生には口頭発表のためのツールであるとい う意識が強く根付いてしまったということが懸念 され、このことは次回以降の改善点として挙げら れる。この原因として、学生に、Power point で 発表用の資料を作成させ、実際に発表をさせたこ とが一番に考えられるが、その際に、いかに聴衆 の気を引くかということを念頭に資料作成を実施 させたことが起因していると考えられる。実際に は、ポスターや広告、書類作成など多岐にわたっ て使用可能であることをもう少し教える必要が あったのではないかと考えられる。Power point における平均得点の増加はWord や Excel よりも 小さいものであった。これは、基本操作の説明に 時間を割き、演習に充てた時間が少なくなり、学 生自身で作業し練習する時間が他のオフィスソフ トに比べ少なかったからだと考えられる。 以上の 3 つの項目については、高等学校にお ける情報科目を履修してきた学生に対し、情報機

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自身の向上心の高さだけでなく、自身の現状を把 握し、分析する能力が長けていることが示唆され る。以上より、標的スキルに関する尺度での評価 については、自己評価での評価基準の明確化、評 価項目の精査、評価結果の提示方法について、今 後さらに検討していく必要がある。 6. 最後に 本研究では、九州情報大学経営情報学部 1 年 生の必修科目である「情報リテラシー演習」にお いて、情報ネットワーク学科に所属する履修生が どの程度、本科目の到達目標記載の技能・実践力 が習得できたかを、標的スキルに関する尺度での 評価を用いて検討を試みた。 得られた結果は以下の通りである。 1) 標的スキルに関する尺度で自己評価した全 8 項目において、第1 回目、第 8 回目、第 15 回目の順に平均得点が高くなった。その結果、 「情報リテラシー演習」における到達目標に ある技能・実践力の習得に当該科目が寄与し たことが示唆された。 2) 日本人学生と留学生を比較した場合、第 1 回目での自己評価は留学生の方が低い傾向に あったが、最終的には留学生の自己評価は日 本人学生のそれと同等の得点になった。その 結果、日本人学生だけでなく、留学生におい ても、「情報リテラシー演習」における到達 目標にある技能・実践力の習得に寄与したこ とが示唆された。 参考文献 1) 星雄一郎・渡辺弥生 「高校生に対するソー シャルスキル・トレーニングの標的スキルの定 着化への取り組み」日本教育実践学会 第18巻 第1号、2016年9月、11-22頁。 2) 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年 告示)解説 情報編』 開隆堂、2019年。 3) 赤堀 侃司 「授業におけるICT活用と情報教育」 『電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジ ン』 2019年 13 巻 2 号、86-91頁。

参照

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