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東アジアの肉食を考える (巻頭エッセイ)

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Academic year: 2021

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東アジアの肉食を考える (巻頭エッセイ)

著者

吉田 忠

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

161

ページ

1-1

発行年

2009-02

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004818

(2)

 ―アジ研ワールド・トレンド No.6(2009. 2)   筆 者 は 一 九 七 九 年 に 初 め て 中 国 を 訪 ね 、 二 〇 日 程 の 旅 で い ろ い ろ 珍 し い 見 聞 を 重 ね た 。 そ の 一 つ に 屋 台 の 店 で 売 っ て い た 大 部 分 が 脂 肪 で 赤 肉 は 先 端 に 少 し だ け と い う 豚 の ブ ロ ッ ク 肉 が あ っ た 。 そ の 後 、 豚 肉 を 料 理 の 主 食 材 と し て 使 う の は 料 亭 等 だ け で 、 一 般 家 庭 で は こ の 種 の 肉 を 野 菜 料 理 等 で 調 味 料 的 に 使 う の が 普 通 で あ る こ と を 知 っ た 。 日 本 で は 、 皮 下 脂 肪 の 厚 さ 何 ミ リ と い う 要 求 を 充 た す た め に 農 協 が 枝 肉 に 鉋 を か け た り し て い た と い う の に で あ る 。   と こ ろ で 豚 は 牛 と 違 っ て 牧 草 の 主 成 分 た る 繊 維 を 消 化 で き な い か ら 、 デ ン プ ン 、 タ ン パ ク 等 を 含 む 餌 が 給 与 さ れ ね ば な ら な い 。 中 世 の 西 欧 で は 、 豚 は 林 に 放 牧 さ れ 牧 童 が 叩 き 落 と す 木 の 実 を 食 べ て い た 。 東 ア ジ ア で は 、 豚 は 家 庭 残 滓 物 等 が 与 え ら れ た が 、 特 に 中 国 か ら 琉 球 に か け て 高 床 式 厠 で 飼 養 さ れ て い た こ と は よ く 知 ら れ て い る 。 筆 者 も 先 の 中 国 旅 行 で 農 家 を 訪 ね 、 そ の 実 物 を 見 た こ と が あ る 。 し か し 、 次 の 一 九 八 八 年 の 中 国 旅 行 で 広 州 に 行 っ た 際 、 皮 下 脂 肪 が 薄 い 外 来 新 品 種 の 肉 豚 に ト ウ モ ロ コ シ 等 の 配 合 飼 料 を 与 え る 大 規 模 農 場 を 見 学 し た が 、 豚 肉 は 主 に 香 港 向 け で 、 飼 料 の ト ウ モ ロ コ シ は 東 北 三 省 か ら は る ば る 移 入 さ れ て い た 。 近 年 は 、 中 国 の 豚 肉 の 生 産 ・ 消 費 も 日 本 の そ れ に 近 づ き つ つ あ る こ と は 、 周 知 の 通 り で あ る 。   茨 城 の 農 家 に 生 ま れ た 筆 者 は 、 五 ~ 一 〇 羽 の 庭 先 養 鶏 、 母 豚 一 ~ 二 頭 の い も 養 豚 の 中 で 育 っ た が 、 家 で 畜 産 物 を 食 べ る こ と は め っ た に な か っ た 。 た ま に 兄 弟 二 人 に 一 個 の 生 卵 が 与 え ら れ る と 、 溶 い た 卵 を ど ち ら が 先 に 麦 飯 に か け る か で 喧 嘩 に な る 。 溶 い た 卵 で も 先 に 白 身 が 流 れ 出 て 、 美 味 の 黄 身 が あ と に 残 る か ら だ 。 こ の よ う な 麦 飯 + 漬 物 ・ み そ 汁 、 時 々 魚 の 干 物 と い う 食 生 活 は 一 九 六 〇 年 代 半 ば を 転 機 に 大 き く 変 わ り 、 畜 産 物 の 本 格 的 な 消 費 が 始 ま っ た 。 同 時 に ト ウ モ ロ コ シ 等 の 配 合 飼 料 を 与 え る 肉 牛 ・ 肉 豚 ・ ブ ロ イ ラ ー の 多 頭 肥 育 が 始 ま っ た 。   し か し 、 一 九 世 紀 頃 か ら 穀 物 生 産 が 大 規 模 に 行 わ れ て い た 北 米 等 の 新 大 陸 に 対 し 、 東 ア ジ ア に は そ れ に 匹 敵 す る よ う な 穀 物 産 地 は あ ま り な い 。 日 本 で の 「 豊 か な 食 生 活 」 は 、 必 然 、 膨 大 な 飼 料 穀 物 輸 入 を 伴 わ ざ る を 得 な か っ た 。 こ れ は 、 遅 れ て 日 本 と 同 じ 道 を 歩 み 出 し た 韓 国 や 台 湾 、 そ し て 中 国 で も 事 情 は 変 わ ら な い 。 特 に 日 本 は 先 進 国 最 低 の 食 料 自 給 率 に な っ て し ま っ た 。 飼 料 穀 物 の 国 内 自 給 に は 、 消 費 者 の 国 産 品 ロ イ ヤ リ テ ィ が 高 ま っ て い る 野 菜 ・ 畜 産 物 や そ の 加 工 品 の 自 給 よ り も は る か に 困 難 な 障 壁 が 立 ち は だ か っ て い る こ と は 確 か で あ ろ う 。 し か し 、 バ イ オ エ タ ノ ー ル へ の 用 途 拡 大 で ト ウ モ ロ コ シ の 価 格 高 騰 が 確 実 視 さ れ て い る 現 在 、 筆 者 の 住 む 米 ど こ ろ 滋 賀 県 で も 広 く 見 ら れ る 休 耕 田 を 前 に 、 国 内 自 給 を 可 能 に す る 技 術 や シ ス テ ム は 本 当 に な い の か と 考 え て い る 。   ( よ し だ  た だ し / 京 都 大 学 名 誉 教 授 )

巻頭エッセイ

吉田

 

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