医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第2報 : 患者以外から受ける暴力被害の実態より: 沖縄地域学リポジトリ
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(2) 名桜大学紀要 号 − (. ).
(3)
(4) 1) 2)
(5) 1) 1) 1) 名桜大学人間健康学部看護学科,2) 千葉大学看護学部 近年, 保健医療現場において医療専門職の受ける職場暴力が, 患者への医療サービスの成果 や看護者の離職にも影響を及ぼしていることが, 多くの国で認識されるようになっている。 本 研究では, わが国の医療機関において看護者が患者以外から受ける暴力の実態と課題を明らか にすることである。 職場暴力の内容, 頻度, 状況, 暴力への認識および属性などに関する無記 名自記式の質問紙調査を実施した。 調査の結果, 名の看護者から解答があり, 過去年間 に患者以外から身体的暴力を受けていた看護者は %, 脅かしや誹謗, 中傷などの言語的暴 力を受けていた看護者は %, 性的暴力を受けていた看護者は %であった。 身体的暴力 については, 医師からが %, 同じ職場の上司・先輩看護師からが
(6) を占めていた。 言 語的暴力・精神的攻撃については
(7) が医師から,
(8) が上司・先輩からであり, 性的暴力 については医師からが
(9) であった。 いずれも医師からが半数をしめた。 以上の結果を検討 した結果, 看護者が患者以外からうける暴力被害は医師からのものが多く, 背景には医師の余 裕のなさ, 看護の専門性への認識不足, ジェンダーバイアスなどが考えられた。 この実態をふ まえ, 暴力に対する効果的対策について検討した。 キーワード:医療機関, 職場暴力, 看護者, モラルハラスメント. .
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(26) 鈴 木 啓 子. 小 宮 浩 美. 伊. 礼. 優. 平. 上. 久美子. .
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(48) . . . . . . 看護者が受ける患者からの暴力の問題については, 諸外国ではすでに様々な実態調査が行わ れている。 英国(, ら, "!!';, ら, $&&$;, ら, $&& ;/
(49) ら, $&&), 米国(*ら, "!%(;* ら "!%!;0 ら" !!') カナダ(1
(50) ら, $&&"23. ら $&&$), スウェーデン(4 5ら, "!!' ;/ ら, $&&$ ; 6 ら, $&&)オーストラリア(3 ら, $&&'), ニュージーランド(/ ら, $&&), トルコ (6
(51) 5
(52) ら, $&&)など各国の看護者が様々なケア対象者から受ける攻撃, 暴力の実体が多 数報告され, 世界的にも医療現場における暴力の問題は深刻で重大な課題と指摘されている。 我が国における実態については, 第1報で報告した (鈴木ら $&"")。 医療現場における虐待お よび暴力事件の増加は, 質の高いケアの提供を妨げると同時に, 医療従事者の個人的尊厳と自 尊心を危うくする。 「暴力は個人の尊厳と高潔, そして危害からの自由に対する看護師の権利 を侵害するもの」 (7 *8 $&&&)とされ, 暴力への対策や取り組みは医療安全の視点からも重視 されるようになってきた。 しかしながら, 医療現場における職員同士の精神的な攻撃やいじめ, セクシャルハラスメン ト, 身体的暴力の実態については, ほとんど明らかにされていない。 関連する調査報告は散見 される程度である。 一般的な労働者の健康状況調査(厚生労働省大臣官房統計情報部, 平成"! 年度労働省健康状況調査の概要)では 「職場の人間関係の問題」 が最も大きなストレス要因に なっている。 その中でも, いじめや嫌がらせなどのハラスメント問題が重視されるようになっ ている(入江, $&"")。 厚生労働省が毎年公表している各都道府県労働局(総合労働相談コーナー) で受理した相談事例のうち 「民事上の個別労働紛争相談件数」 ($&&!年度 (!件)では, 「い じめ・嫌がらせ」 の件数は全体の"$ (%に上っている。 最近の医療の高度化や入院期間の短縮化, 効率重視の医療サービスの提供が推進される中で, 利用者やその家族のフラストレーションは高まりやすく, 医療従事者間におけるストレスも高. − −.
(53) 医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第2報. くなり, その結果, 同僚間や他職種間でのいじめや嫌がらせも起こりやすくなっている。 近年, 臨床現場において医療従事者が患者から受ける攻撃や暴力の実態は, 報告されてきて いるが, 職員間の問題についてはその実態はほとんど明らかにされていない。 医療保健機関に おけるいじめや精神的攻撃の問題は, メンタルヘルスへの影響も大きく, 時に心的外傷を引き 起こす可能性もあり, ケアの質の低下(大屋ら ), 看護者の離職にもつながり, 医療経済 的にも大きな損失につながる ( , 「職場のモラルハラスメントをなくす会」 )。 本研究は 県の医療機関に勤務する看護者を対象に, 患者以外から受けた暴力の実態, 暴 力の経験の有無とその内容を明らかにすることにより, 暴力被害防止のための組織的な対策を 検討することを目指すものである。. . . 県下の協力の得られた 病院に勤務する看護者(看護師, 准看護師, 保健師, 助産師)で 調査期間中に休職している者を除く
(54) 名に調査票を配布した。 . 年2月から4月
(55) 本調査は, 医療機関において看護者が同僚である医療者等から受ける暴力というテーマのた めに, 病院管理者および看護管理者の理解と協力がなければ実施が不可能である。 そこで, 年月, 県看護部長会(会員数 名)の役員会にて研究の主旨および研究計画, 研究の 意義に関する説明をし, 調査実施への協力を得, 看護部長会総会にて会員に直接調査協力の説 明をする承認を得た。 その後, 年1月日に開催された 県看護部長会総会の場(会員. 名出席)で本研究の趣旨および調査概要および研究に当たっての倫理的配慮について説明し, 調査に協力可能な病院には, 研究代表者あてに, 調査協力の意思および現在勤務している看護 者数を記載し返信するように依頼した。 総会当日欠席した会員には郵送にて同じ依頼を行った。. 施設から調査協力可能の返信があったが, 期限に間に合わなかった施設および病院以外の施 設を除いた. 施設の施設代表者および看護管理者あてに研究協力依頼文書を送付すると同時に, 記載されていた看護者数 (
(56) 名) 分の調査紙を各病院の看護管理者もしくは調査担当者宛て に発送した。 質問紙と個の看護者への調査協力依頼文書, 返信用封筒は, 施設内で配布しても らった。 回収方法は各看護者が無記名自記式で調査紙に回答した後, 添付してある返信用封筒 に入れ, 封をして投函するものとし, 個別に回収を行った。 対象者への倫理的配慮としては, 調査の目的, 方法, 調査への参加は自由意思であること, 質問紙は無記名とし, 情報はすべて匿名として統計処理されること, 調査協力への同意は封書 した質問紙の返送をもって得られたと解釈すること, 研究者の連絡先を明記した調査説明書を 質問紙に添えて, 調査協力を依頼した。 なお, 本研究は静岡県立大学倫理審査委員会において. − −.
(57) 鈴 木 啓 子. 小 宮 浩 美. 伊. 礼. 優. 平. 上. 久美子. 研究計画書の審査を経て, 実施の承認を得た後に研究に着手した。 本研究では国内外の先行研究の知見を基に暴力とは単に身体的な暴力だけではなく, 精神的 なダメージを与えるような言語的暴力やしぐさ等による威嚇や脅迫, いわゆるセクシャルハラ スメントの内容も含めるべきであると考え, の定義に基づき, 身体的暴力, 言語的暴力 および精神的攻撃, 性的暴力の3種類に分け定義づけた。 すなわち, 身体的暴力とは, 他の人 に対して身体的な力を使って身体的あるいは精神的な危害を及ぼすものをいい, 例えば, 殴る, 蹴る, 叩く, 突く, 撃つ, 押す, 噛む, つねる等の行為をいう。また, 言語的暴力および精神 的攻撃とは, 個人の尊厳や価値を言葉によって傷つけたり, おとしめたり, 敬意の欠如を示す 行為, またしぐさや態度による威嚇をいう。性的暴力とは, 意に添わない性的誘いかけや好意 的態度の要求, 身体的接触, 卑猥な発言等の性的ないやがらせ行為をいう。調査項目内容は, 過去年間における身体的暴力, 言語的暴力および精神的攻撃, 性的暴力それぞれの被害の実 態について, 同僚である医療従事者や患者に関係する第三者からの暴力の経験被害の有無, 受 けた暴力の頻度, その暴力の起きた状況については自由記載してもらった。 この他には, 暴力への認識および職務満足度, 職務意識について尋ねた。 対象者の基本的属 性として, 年齢, 性別, 職業上の契約, 職位, 職種, 最終看護専門教育歴, 現在の勤務部署, 看護経験年数, 現在の職場での経験年数について尋ねた。 職場における支援についての認識, 暴力を経験した看護者への心身の影響, 暴力を受けた後 の対処行動, 職場から受けた支援, 二次的暴力被害の有無, 患者以外からの暴力の経験などに ついても質問したが, 本論文では患者以外から受けた暴力の実態に焦点を当てて述べる。
(58) 暴力の実態については記述統計分析を行い, 自由記載については質的に検討した。. . . 回収された調査票は(回収率. %)であり, 基本的属性およびその他の記入率が8割以 上であった調査票を有効回答としたが,
(59) (有効回答率
(60) . %)を有効回答として回収するこ とができた。 対象者の特性については表1に示した。 看護職としての平均経験年数は
(61). 年(. ), 現 在の職場での平均勤務年数は
(62). 年(
(63). )であった。 男性は 名, 女性
(64) 名であり, 年齢 については 代が. %, 代が. %,
(65) 代が
(66). %, 代が. %, 代が. %であった。 職業上の契約については正規雇用が
(67) 人(. %), 臨時雇用が 人(. %)であった。 職位 についてはスタッフが 人(.
(68) ), 主任・副主任が
(69) 人(.
(70) %), 副師長・師長が人 (. %), その他が人(
(71). )であった。 職種については看護師
(72) 人( . %), 准看護師 人(. %), 助産師人(. %), 保健師 (. %)であった。 現在の所属部門としては外科系 病棟
(73) 人(. %), 内科系病棟 人(. %), 外来 人(.
(74) ), 精神科病棟
(75) 人(. ), 混合病棟 人(. %), ・・救急救命人(
(76). ), 産婦人科病棟 人(. ), 手術. − −.
(77) 医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第2報. . 室人( ), 透析・腎センター 人( ). 全体 . 性別. 年代. 職務上の契約. であった。. . ±. 男性. . 女性. . . 無回答. . 代.
(78) . 代. . 代. . 代. . 代以上. . 無回答. . 過去1年間に患者以外から身体的暴力を受け たことのある看護者は名 ( %) であり, 受けたことのない者は 名 (.
(79) %) であっ た。 身体的暴力を加えられた相手は, 医師 名. . 臨時雇用. . 同僚名(
(80) %), 患者の家族名( . %), 患. その他. . 者の関係する第三者7名( %)であった(表2.
(81)
(82)
(83) . 主任・副主任. . 師長・副師長.
(84) . その他. . 無回答. . 看護師.
(85) . 准看護師. . 助産師.
(86) . 保健師. . 無回答. . 外科系病棟.
(87) . 内科系病棟. . 外来. . 精神科病棟. . 混合病棟. . ・・救急救命. . 産婦人科病棟. . 手術室. . 現在の所属. () 身体的暴力の状況. 正規雇用. 無回答. 職種. 1) 身体的暴力. ( . %), 同じ職場の上司・先輩 名( %),. スタッフ. 職位.
(88) . 参照)。 医師, 上司・先輩からの身体的暴力が全体の 4分の3を占めていた。. .
(89) .
(90) 対象. 度数 人 相対度数() . . 高齢者病棟.
(91) . 医師. 小児か病棟. . 上司・先輩. . . 透析・腎センター. . 同僚. .
(92) . 訪問看護部.
(93) . 患者の家族. . . その他. . 第三者.
(94). . 無回答. . 他の専門職. . ± . . その他. 看護経験年数 現在の所属での経験年数. ± . − −. . . .
(95) 鈴 木 啓 子. 小 宮 浩 美. 伊. 礼. 優. 平. 上. 久美子. () 身体的暴力に関する自由記載の検討 自由記述欄に記載されていた事例について, 最も件数の多かった暴力を加えられた相手が 医師の場合と先輩・上司について, それぞれにおける身体的暴力の起きた状況について検討し た。 医師による身体的暴力については, 暴力を受ける看護者の側の経験から5カテゴリに分類さ れた。 すなわち[看護師としての意見や疑問を医師に指摘したことへの暴力], [患者の苦痛や 悪化への対処や患者の要望を伝えたことへの暴力], [仕事がスムーズにいかないことからいら いらのはけ口としての暴力], [機嫌の悪いための暴力]そして[日常的な暴力]にまとめること ができた(表3参照)。. .
(96) 暴力の内容. 具体的事例. [看護師としての意見や疑問を 医師に指摘したことへの暴力]. ・明らかに医師の指示にミスがあったため, 伝えたと ころ, 怒り出し, カルテを投げつけられ, 顔にけが をした。. [患者の苦痛や悪化への対処や 患者の要望を伝えたことへの暴 力]. ・患者さんの苦痛がひどく対応を検討してほしくて声 をかけたところ, 足を蹴飛ばされ, 余計なことを言 うなと怒鳴られた。. [仕事がスムーズにいかないこ とからいらいらのはけ口として の暴力]. ・妊娠中であったが, 指示されたものをすぐに手渡せ なかったときに, 怒って, 突き飛ばされた。. [機嫌の悪いための暴力]. ・機嫌がただ悪いだけで, 血圧計を投げつけたりする。. [日常的な暴力]. ・看護師に声をかけるときに, 「おい, こら」 と後ろか ら看護師の頭を小突いてくる。. 暴力の発生要因としては患者側の要因, 医師側の要因, 看護師側の要因に整理することがで きた(表4参照)。 医師側の要因としては[機嫌が悪い], [思い通りにいかない], [精神的に不 安定], 患者側の要因としては[容態の急変], 看護者側の要因としては, [処置・介助がスムー ズにいかなない・ミスをする], [患者の希望・要望を医師に伝える], [医師への疑問について 質問をしたり, 問題と感じる点を指摘したりする]にまとめられた。 .
(97) 医師側の要因. ・機嫌が悪い ・思い通りにいかない ・精神的に不安定. 患者側の要因. ・容態の急変. 看護者側の要因 ・処置・介助がスムーズにいかない, ミスを する ・患者の希望・要望を医師に伝える ・医師への疑問について質問をしたり, 問題 と感じる点を指摘したりする。. また, 先輩・上司による看護者への身体的暴力については, 暴力を受ける看護者の側の経験 から4カテゴリに分類された(表5参照)。 すなわち[悪気のない挨拶や冗談のつもりの行為と しての暴力], [あからさまな攻撃としての暴力], [いらいらのはけ口としての暴力]そして[職 務上の注意としての暴力]にまとめることができた。. − −.
(98) 医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第2報. .
(99) 暴力の内容. 具体的事例. [悪気のない挨拶や冗談のつも りの行為としての暴力]. ・近くを通るとか, 近くにいるときに, 先輩がいつも 頭や身体を叩いてきたり, 蹴ったりする。 挨拶のつ もりなのか, 親しみのつもりなのかもしれないけど, 痛いし, 止めてほしいと思っているけど, 言えない。. [あからさまな攻撃としての暴 力]. ・処置の準備をして, ついてくれることになっている 先輩に 「お願いします」 と声かけをしたところ, 用 意してあった物品を私に向かって思いっきり投げつ けて, 「誰が準備してって言った!」 と怒鳴られた。. [いらいらのはけ口としての暴 力]. ・上司がいらいらしたり, 気に入らないことがあると, 物を蹴飛ばしたり, スタッフの足を蹴飛ばしたりし て, とても荒れるので, 怖くて誰も物を言えない。. [職務上の注意としての暴力]. ・患者さんへの処置がうまくいかないときに, 手を引っ 張ったり, 手を叩いたり先輩にされ, 患者さんの前 なので, とても気まずいし, 先輩が怖くてしようが ない。. 2) 言語的暴力および精神的攻撃 () 言語的暴力および精神的攻撃の状況 過去1年間に患者以外から言語的暴力および精神的攻撃を受けたことのある看護者は名 ( %) であり, 受けたことのない者は名 ( %) であった。 言語的暴力および精神的攻撃を加えられた相手は, 医師 名( %), 同じ職場の上司・ 先輩 名( %), 同僚名( %), 患者の家族名( %), 患者の関係する第三者 名( %)であった(表6参照)。 . 度数(人). . 相対度数(%). 医師. . . 同じ職場の上司・先輩. . . 患者の家族. . . 同僚. . . 他の専門職. . . 患者に関する第三者. . . その他. . . 合計.
(100).
(101)
(102).
(103) . ( ) 言語的暴力および精神的攻撃に関する自由記載の検討 自由記述欄に記載されていた 事例について, 最も件数の多かった暴力を加えられた相手 が医師の場合と先輩・上司について, それぞれにおける言語的暴力および精神的攻撃の起きた 状況について検討した。 医師による言語的暴力および精神的攻撃については, 暴力を受ける看護者の側の経験から7. − −.
(104) 鈴 木 啓 子. 小 宮 浩 美. 伊. 礼. 優. 平. 上. 久美子. カテゴリに分類された。 すなわち[医師のミスを指摘したことへの攻撃], [看護師としての意 見や質問を医師にしたことへの攻撃], [仕事がスムーズにいかないことからいらいらとしての 攻撃], [患者の苦痛や症状悪化への対応を求めたことへの攻撃], [医師には関係のない看護師 の職位のことや個人的な問題への非難], [自分のミスを看護師のせいにした攻撃]そして[患者 のいる前での攻撃]にまとめることができた(表7参照)。. .
(105)
(106) 暴力の内容. 具体的事例. [医師のミスを指摘したことへ の攻撃]. ・医師の与薬内容にミスがあったため, 失礼のないよ うに注意して伝えたが, 「お前は何様だ。 誰に向かっ てものを言っている」と罵られた。. [看護師としての意見や質問を 医師にしたことへの攻撃]. ・患者さんの治療方針や今後のケアについて検討して いたときに, 看護としての意見を伝えたところ, 「医 師国家試験に合格してから言え。 馬鹿看護師が。」 と 攻撃された。. [仕事がスムーズにいかないこ とからいらいらとしての攻撃]. ・処置中に上手く対処できない状況で, 「お前がいるか らこういうことになるんだ。 お前のせいだぞ」等と一 方的に攻められる。. [患者の苦痛や症状悪化への対 応を求めたことへの攻撃]. ・夜間の急変時に, 当直医師に電話をして説明すると, 「何で, そんなことで起こすんだ。 何もなかったらお 前ただじゃおかないからな。 名前を教えろ」と脅かさ れた。. [医師には関係のない看護師の 職位のことや個人的な問題への 非難]. ・昇進したことについて 「お前のようなやつが, 上が るなんて, この病院はどうかしているよ。 自己評価 ちゃんとしろよ」 などさんざん馬鹿にされた。. [自分のミスを看護師のせいに した攻撃]. ・処方箋を自分が紛失したのに, 看護師のせいにして 批難しておきながら, 見つかったら, 何食わぬ顔で 仕事をしている。. [患者のいる前での非難]. ・処置中で患者さんが目の前にいるのに, 「お前みたい な看護師がいるのは病院の恥だ。 給料ドロボー。」と 脳なし呼ばわりされた。. また, 先輩・上司による看護者への言語的暴力および精神的攻撃については, 暴力を受ける 看護者の側の経験から5カテゴリに分類された(表8参照)。 すなわち[職務上の厳しい指導や 注意としての攻撃], [職場での無視・冷たい態度・非難・攻撃], [いらいらのはけ口としての 攻撃], [給料カットや移動・退職にふれることによる攻撃や脅し]そして[個人的な問題やプラ イベートなことに触れる攻撃]にまとめることができた。. − −.
(107) 医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第2報. .
(108) 暴力の内容. 具体的事例. [職務上の厳しい指導や注意と しての攻撃]. ・他の同僚と同じことをしているのに, 自分だけ質問 攻めにされたり, 特別厳しく注意される。. [職場での無視・冷たい態度・ 非難・攻撃]. ・協力しないとできない業務について, 頼んでも, 協 力をしてくれない。 職場の中で自分だけ無視される。. [いらいらのはけ口としての攻 撃]. ・先輩から何も理由がないのに, いらいらをぶつけら れ, 八つ当たりされる。. [給料カットや移動・退職にふ れることによる攻撃や脅し]. ・師長から「この程度の仕事しかできないのなら, それ なりの給料にしてもらわないといけないんじゃない の」 「移動を考えたら」 などと一方的に言われる。. [個人的な問題やプライベート なことに触れる攻撃]. ・シングルマザーで働いているが, 先輩大ベテランか ら家計のことや家族のことなどを根掘り葉掘り聞か れ, 挙句に「働くの辞めたら」などと無責任なことを 言ってくる。. 3) 性的暴力 () 性的暴力の状況 過去1年間に患者以外から性的暴力を受けたことのある看護者は名 ( %) であり, 受 けたことのない者は 名 ( %) であった。 性的暴力を加えられた相手は, 医師 名 ( %), 他の専門職名(. %), 同じ職場の上司・先輩名( %), 同僚 名(. %), 患 者の家族名( %), 患者の関係する第三者名( %)であった(表9参照)。 . . ! 度数(人). 相対度数(%). 医師. . . 他の専門職. . . 同じ職場の上司・先輩. . . 患者の家族. . . 同僚. . . 患者に関する第三者. . .
(109) . その他. . . 合計.
(110) .
(111)
(112). () 性的暴力に関する自由記載の検討 自由記述欄に記載されていた事例について, 最も件数の多かった暴力を加えられた相手 であった医師からの性的暴力の起きた事例
(113). 件の状況について検討した。 医師による性的暴力については, 暴力を受ける看護者の側の経験から7カテゴリに分類され た。 すなわち[卑猥な内容の発言], [不快な身体への接触], [ストーカー的行為], [明ら様な 性交渉の要求]にまとめることができた(表
(114) 参照)。. − −.
(115) 鈴 木 啓 子. 小 宮 浩 美. 伊. 礼. 優. 平. 上. 久美子.
(116) 暴力の内容. 具体的事例. [卑猥な内容の発言]. ・「昨日は何回したの?」などと個人的な性的問題につ いて職場で詳しく聞いてきたり, 下着の色を聞いた りと卑猥な発言が多い。. [不快な身体への接触]. ・通りすがりに胸を触ったり, 股間や尻を触っていく。 注意をしても全く聞かない。. [ストーカー的行為]. ・二人っきりになろうとして待ち伏せをしていたり, 駐車場で待ち構えていたり, 携帯電話に何度も連絡 を入れてくるのでとても困ってたことがあった。. [明ら様な性交渉の要求]. ・「させてくれ」などと本気で言ってくる医師が居て, 馬鹿にしているのかと頭にくる。. . .
(117) 本調査の対象者である看護者(看護師, 准看護師, 助産師, 保健師)の年代構成比率, 看護職 種別比率, 男女比率は, 県健康福祉部調べによる県内に就業している看護者のデータ( 年 月 日現在 名)と有意な差はなかった。 しかしながら, 診療科別比率については デー タがないことから検討できなかったため 本調査結果から 県の病院に勤務する看護者の実態 について予測を単純にすることはできないが 対象者の実態を把握する上では問題のない数で あると考える。
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(119) . 先行研究において本調査のような医療従事者から受ける暴力被害の実態について明らかにし ている研究はほとんどなく, その実態は明らかにされていない。 最近では医療安全の側面から, 医療機関を利用する対象者の安全とともに働く職員の安全の問題として, 患者からの攻撃や暴 力への対策を組織的に検討するようになっている。 これは日本看護協会が年にわが国で初 めての暴力対策指針を作成したことにも表れているが, この中にも, サービスを提供する側の 間における暴力被害の実態については, ほとんど明らかにされていない。 数少ない実態を明ら かにした衣川ら()の報告によると, 一民間病院の 名の看護者(常勤・非常勤含む)の中 で過去1年間に暴力, 暴言, ハラスメント被害を受けた者は%おり, その加害者の内訳は, 職員が%と最も多く, 暴力の内容は暴言, パワーハラスメントが6割であったことが報告さ れている。 我々の今回の調査でも, 患者からの攻撃や暴力の問題(鈴木 )に比べると数は 多くはないが, 医療機関という職場において同僚や他専門職との関係の中で, 攻撃や暴力, ハ ラスメント等が現実に起きていること, また, その中でも医師による暴言, セクシャルハラス メント, 身体的暴力が目立つことが特筆すべきことであった。 医療現場における医師による攻撃や暴力の問題の背景には, 業務の多忙さ, 余裕のない現場 のマンパワーの状況, 医療水準の高度化に合わせて治療や看護の難しい患者の増加, 入院患者 の高齢化, 在院期間の短縮化といった昨今の医療状況が大きく影響しているものと考えられる。. − −.
(120) 医療機関において看護者が受ける職場暴力の現状と課題:第2報. 本調査の結果からは, これらに加えて, 他者への攻撃や暴力が他者にどのような心理的および 身体的影響を与えているのかに関する想像力の低さや, 看護師が女性の多い職種であることか ら生じるジェンダーバイアスの存在, そして, 看護という職業のもつ専門性への理解の低さが 背景にあるものと考えられる。 また, 同じ職種である看護者間でも上司・先輩・同僚間で精神的な攻撃や暴力があることが 今回の調査で明らかになった。 ある上司や先輩にとっては慣習的なコミュニケーションの在り 方が, 新人職員にとって, 親密さの表れなのか, 怒りや不機嫌の表出なのかがわからず, 継続 的に不快なストレスを感じ続けていたという事例があった。 看護者相互に慣れ親しんでいるコ ミュニケーションの在り方, 病棟における指導や教育の在り方についても, 受ける側の思いや 気持ちをその都度, 確認することが重要になってくるものと考える。 一方で, 医師や先輩・上司からの攻撃や暴力に関する問題を組織的に取り扱うことが医療現 場において難しい課題があることも検討しなければならない。 すなわち, 職員間の攻撃や暴力 の実態を把握することや, その対策を立てることは, 医療機関においては患者をめぐる医療事 故などに比べ, 優先順位が非常に低くなることや, 被害に遭っている看護者自身もこれまでの 慣習上, 医師の暴言・暴力, セクシュアルハラスメントは仕方のないもの, 仕事の内として認 識をもち, 対処すべき問題であるという認識をもっていないことが挙げられる。 看護基礎教育 では, ケア対象者の人権を守ることについては様々な機会を通して徹底して教えられるが, ケ アに当たる看護者自身の守られるべき権利や正当に主張してよいことが何かを教えられないま まであることも, 課題として検討すべきものと考えられる。 近年, 職場におけるセクシャルハラスメント防止規定が男女雇用機会均等法(年)に盛り 込まれ, 職場におけるセクシャルハラスメントが認知されるようになってきているが, 医療現 場におけるセクシャルハラスメントについては, 充分検討されないままであることが大きな問 題といえる。 社会で一般的に行われるようになっているハラスメント対策を医療機関でもきち んと実施されるようになるためには, 今後, 各医療機関における医療従事者を対象とした職場 における暴力やいじめ, セクシャルハラスメントの実態を明らかにすると同時に, これらへの 対応を日本看護協会などの職能団体を通して協力に推進していく必要があるものと考える。 本調査は個々の看護者の自記式の質問紙調査による回答を分析したが, 職場における実際の 状況や支援体制については, 必ずしも現状がそのまま回答に反映されているとはいえない可能 性もある。 また, 本調査では個人や病棟, 病院に関する特性の検討は今後の課題としてあげら れる。 具体的には, 所属する職場の特性と個々の看護者の認識や対処との関係, 所属する病棟 における管理体制および病院全体の管理体制, 看護管理者および病院経営者の認識との関係性 などである。. . . 保健医療現場において, 効率重視のサービスの提供が推進される中で, 職員間のフラストレー ションは高まりやすく, 攻撃や暴力につながることも起きている。 医療従事者の中でも看護者 は, セクシャルハラスメント, 暴言など様々な暴力にさらされる。 看護者の受ける暴力は, ケ. − −.
(121) 鈴 木 啓 子. 小 宮 浩 美. 伊. 礼. 優. 平. 上. 久美子. アの質の低下, 離職率の上昇にもつながり, 医療経済的にも大きな損失につながる。 今回は暴 力被害の実態に焦点をあてたが, 暴力への認識, 職場における支援および暴力を受けたときの 看護者の対処については別途報告する。. . . 本研究は, 県看護部長会の皆様のご協力なしには実施することができませんでした。 関 係者の皆様には厚く御礼申し上げます。. .. ,
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