沖縄農業研究会35年の歩み 1
序
沖縄農業研究会設立以来早や35年の才月が過ぎよう
としている。1962年5月19日(士)首里城跡地に在っ
た琉球大学法文ビル101号教室で設立総会と第1回研究
発表会が開催され,200名余の会員が一堂に会し,沖縄
農業の発展とお互いの研鑓の場として強い使命感と情
熱をもって本研究会はスタートした。当時の会誌によ
れば,設立時の正会員数369名,賛助会員18社におよ
び,関係者にとっては当時の琉球政府管内で唯一研究
発表の場として,また,研究報告を掲載できる学術誌
として如何に本会の果たす役割が大きかったかを伺い
はもとより何よりも会員各位の協力があったからこそ
成し得たことであり,この間の会員各位の真蟄な努力
に心から感謝申し上げたい。
昨今の沖縄農業を取巻く環境は殊の外厳しく,基幹
作物として沖縄経済を支えてきたさとうきび・パイン
アップルの生産が共に低下傾向を辿り,新たに花卉・
果樹・野菜類の園芸作物が移出農産物の主流を占める
など,本会を設立した当時に比べ大きく様変りしてき
ている。
現在,人類は食糧,資源,エネルギー,環境などの
重要課題に直面しており,とりわけ化学資源への依存
を脱却して再生可能な生物資源の活用を図ることは21
世紀に向けての最大課題であり,農業の果たすべき役
割は重かつ大であるといえるだろう。この時期に沖縄
農業研究会35年の歴史を振り返り,先輩達の足跡を辿
り,今後の努力の糧にしたいと考えここに「35年のあ
ゆみ」を編集することにした。記録が散逸してすべて
を網羅することはできなかったが,刊行された会誌の
中から再編しその生い立ちをまとめた。会員各位が本
研究会設立時に樹てた大きな目標を達成するための契
機として活かしていただければ幸いである。
知ることができる。
昭和47年5月沖縄の日本復帰と同時に,それまで米
国民政府の許可(パスポート)を必要としていた日本
本土への渡航が自由になり,会員が夫々の専門分野の
学会に所属して研究情報の交流が活発に行われるよう
になってからは,本会活動への参加度合がうすくなり,
一時期会費の納入が滞り,また投稿論文も少なく,幹
事の悪戦苦闘が続き会誌の発行すら覚束ない状態にま
で陥った時期もあったが,熱心な会員の協力と努力に
よって見事に克服し,今年で研究発表会も36回を重ね,
会誌も32巻43冊を発行することができた。
何事においても継続することこそ最大の力を発揮で
きる要件であり,乏しい予算で十分な組織力もない中
で35年間も研究活動を継続できたことは,歴代の役員
平成10年6月吉日
会長泉裕已