Title
機能性かんきつ類栽培農家の経営行動 ―本島北部の地域
活性化を目指して―
Author(s)
鈴木, 宏海; 菊地, 香
Citation
沖縄農業, 43(1): 41-49
Issue Date
2009-08
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/4762
Rights
沖縄農業研究会
鈴 木 宏 海 ・菊 地 香 (琉球大学農学部)
HiroumiSUZUKIandKohKIKUCHI:
AdministrativebehaviorofthefarmerwhoisgrowingCitrusfruitstobeabletodomultipurpose uses"toaim atthelocalrevitalizationintheOkinawamainislandnorthernpart."
要 旨 機能性の高い農産物 を核 にした地域活性化 と してシーク ヮーサーが注 目されてきている. し か し,その実態 について農家の経営や地域振興 の面か ら詳細な研究が不十分である.本稿では 沖縄本島北部の柑橘産地 を事例 に,機能性の高 い農産物 における農家の販売および出荷 をもと に地域活性化の方向性 について検討 した. 従来加工用 シー ク ヮーサー の出荷先がJAと 非JAの加工品企業 の硬直的な状況であった. また, シーク ヮーサーは地域の持つ資源 として 認識できるが,栽培す る技術はそれほど重要視 していない.人材ネ ッ トワークをみると地域 に おける就業の機会 もそれほど高 くな く, 自前の 発展努力をしている状況 になっていない. シークヮーサーは県 として戦略的品 目にして, 生産振興 を図ろうとしている. しか し,そ もそ もシーク ヮーサー 自体が庭木で植え続け られ, 発展 したものである.農家主導で成長 した もの を, いかに政策的な枠組みに入れていくかが今 後 の農村振興 に欠かせないであろう. キーワー ド :地域振興, シーク ヮーサー,主成 分分析, クラスター分析 1.問題の所在 沖縄県は長寿県 と呼ばれなが ら,実態はメタ ボリックが進行 してお り,食生活の改善が求め られている (尚,2008). この中で,新鮮な地 場野菜や熱帯果樹の摂取が これ らの進行 を抑え る可能性 もあ り,健康的な食生活で長寿県 を目 指す糸 口となる. さらに多 くの離島を抱える沖 縄県で発信することで,他の参考 となる.現在 の沖縄県民の食生活が外部化 してお り, これ を 改善するには様々な問題を解決する必要がある. このため現在の食生活 を早急 に改善することそ れ 自体は困難である.む しろ現在,外部化 され た食事の中にあって も機能性の高い農産物 を活 用することである. この機能性の高い農産物 と してシーク ヮーサーが注 目されてきている. し か し,その実態 について農家の経営や地域振興 の面か ら詳細な研究がなされていない. 沖 縄 県 の 果 樹 に 関 した 研 究 は , 中 村 ら (2005) は生食用および加工用のパイ ンア ップ ルを双方で生産の現状 を維持 しつつ後継者 を育 成 して い る こ と を解 明 した . ま た 菊 地 ら (2006) は加工用か ら生食用への転換 させ る こ とに必要な ことは,現状の販路 に甘ん じるので はな く新たな販路 を確保するな ど,常に販路確 保を心がける必要性があると解明した.マンゴー
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沖縄農業 第4
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巻 第 1号 (
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の研究 をみると,菊地(
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による生産か ら 流通の現状 を整理 したものがある. さ らにマン ゴーの消費傾向については中村 ら(
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が明 らかにしている.沖縄県 における果樹関係の経 営的な研究は少 しずつ蓄積 してきている. 本稿では,沖縄本島北部の柑橘産地を事例に, 機能性の高い農産物 における農家の販売および 出荷 をもとに地域の振興の方向性 について整理 する.とくに事例 となっている農家はシークヮー サーを栽培する農家であ り, これ らの農家の中 で, どのような形態が地域の活性化 につながる 中核的な経営であろうかを,明 らかにす る.事 例での取 り組みを通 じて機能性の高い果樹生産 振興の方向性のあ り方か ら探ろうとするもので ある. 2.沖縄県の果樹 における生産動向 図 1に沖縄県で栽培されている主要な果樹の 生産動向を示す.パイ ンアップルの下落が著 し く,収穫面積は増加することな く減少 している. また1
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年 を1
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と して み る と2
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年 には2
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まで下落 している. もはやパイ ンアップ ルを基幹的な農作物 として位置付け られ にくい 状態 となっている.柑橘類の中でみかんやタン カ ンは,1
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年 を1
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としてみ ると,みかん は2
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年以降1
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を下回っている. これは消 費者の果物消費の多様化 によ り,冬の果物の定 番がみかんという構図が崩れて しまった ことで, 農家 にとって魅力的な価格 を実現できな くなっ てきた ことによるものとみ られる. これ に対 し てタンカンはみかんと異なる動向を示 している. それは1
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年以降でみると増加の傾向をとって お り,1
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年 には1
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年 と比較 して約2
倍の結 果樹面積 となった.タンカンの結果樹面積の増 加は,みかんの結果樹面積 の減少 し始めた ころ か らであ り,1
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年を境 に柑橘類の中でタンカ ンが第一位 となっている.消費者の柑橘類消費 がみかんか らタンカンヘ嗜好が変化 した ことに, 250.0 21100.500.50.0.0.00000 ● ● ● ● ● ● ● -■-みかん + シークワ-サー 一・〇一タン力ン + /(++ 図1.1
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年を1
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とした果樹の生産動向の推移. 資料 :内閣府沖縄総合事務局 「沖縄農林水産統計年報」 よ り作成.3,500.0 3.000.0 2.500.0 2,000.0 1.500.0 1.0500000...000 - マンゴー - パ′{イヤ 図
2.1
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年を1
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としたマンゴーとパパイヤの生産動向の推移. 資料 :内閣府沖縄総合事務局 「沖縄農林水産統計年報」より作成. 農家が対応 した もの とみ られ る. 温帯で栽培できる柑橘類は沖縄県が南限であ る.一方で,熱帯で栽培で きるマ ンゴーやパパ イヤな どの熱帯果樹 は沖縄県 が北限 とな る注1). 沖縄県で結果樹面積が増加 して いる果樹 は,南 国を消費者にイメージできるパパイヤやマンゴー である. 図2
に示す よ うにパパイヤは1
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年 を1
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として2
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年 には7
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倍 の7
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にまで増 加 している.沖縄県ではパパイヤ を果物 として 消費す る場合 と青 いパパイヤ を野菜 として消費 す る場合があるが, ここでは果物消費 としての 数値である.マ ンゴーは1
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年 に統計データに 表れた時にわずか,6haの結果樹面積であった. 以上のよ うに,沖縄県での果樹生産 は伸びて いるもの と,衰退 して いるもの とに分かれて い る.パイ ンア ップル のよ うに減少の一途 をた ど り,生産農家が高齢化 して いる状況では今後, 生産が安定的 に継続で きるのか不安定要素が残 る注2). 沖縄県 にお いて シー ク ヮーサ ーは, 戟 臥 )露地栽培で無加温での北限となっている 略的な農作物 として位置付 けている. したがっ て, シー ク ヮーサーの結果樹面積 は今以上 に増 加す る可能性 をもっている. しか し,沖縄県以 外 の宮崎県や鹿児島県で もマ ンゴーは生産 され てお り,過度 の結果樹面積 の増加 は市場での飽 和 を招 いて しまう可能性 をもって いる. 3.事例農家の経営内容 (1)調査農家の経営概況 名護市 に位置す る勝 山地 区は,農業セ ンサス 上で中間地 として位置付 け られて いる地 区であ る.名護市の人 口は5
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人(
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年4
月現在) で あ り,そ の うち勝 山地 区の人 口は1
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人で あ る(
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年4
月). 地域資源で あるシー ク ヮー サー を活用 した地域振興 をすべ く,地元 の有志 が従来か らの出荷組合 を発展 させて2
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年 に有 限会社 を創設 し (以下 「法 人」 と略す),加工 場 を併設 した. 勝 山地 区で果樹 を栽培 して いる農家は,2
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注2)このことについては,菊地 ・中村(
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および 菊地ら(
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がとりまとめている文献を参照.44 沖縄農業 第43巻 第1号 (2009) 表1.調査農家の経営概況. (単位 :歳,人,戸,a,kg,%,万円) 平 均 標準偏差 最大値 最 小値 労 働 農業従事者数経営主年齢後継者の就農可能性 562.4.1.737 134.03..580457 1808.4.0.000 42.0.1.000 地域就業度 46.6 28.13 100.0 25.0 土 地 経営耕地面積シークワ-サー栽培率 9158..96 414.6.9043 213100..00 49.0.90 一人当たり畑面積 37.6 21.91 115.5 9.9 収益性 単収 1,009.7 946.17 4,040.4 3.0 資料 :調査結果より作成. 年農業セ ンサス によれば27戸であ り,その うち 22戸
(
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1.5%) の農家 に調査 した.調査農家の 経営概況は表 1に示す とお りである.調査農家 にお ける経営主 の平均年齢 は,64.7歳 となって いる.調査農家 の年齢 の幅は,最年少が42歳で あ り,最年長が8
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歳であって,60歳以上の農家 が多 い.後継者 の就農 の可能性 は,全体 で52.3 %が何 らかの形で後継者 を確保 して いる農家が 約半数であるが,それ以外 の農家では後継者 を 確保できていない. シー ク ヮーサー産地 の継続 性 に問題 を もって いる. 農業従事者 は1
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人で あ り,経営主夫婦 を基本 として農業 に従事 して いる. 中には雇用 を して栽培 をして いる農家 も ある.経営耕地面積 は最大231.Oa,最小9.9a で平均が58.9aとなってお り,経営規模 自体 は それほど大きくない.経営耕地におけるシークヮー サー栽培率 をみる と少ない農家で40.0%,平均 91.6%となっている. シー ク ァワーサー結果樹 面積か らみて規模 の小 さい農家が,そ の経営耕 地 にシー ク ヮーサー を栽培 して いる とい うこと である.一人当た りの栽培面積 をみて も,最大 115.5a,最小9.9a,平均で37.6aということ か ら,事例 となった地 区は従事者 当た りでみて も規模 の小 さい農家である. 収益性 でみ る と,単収 は最大4,040.4kg,最 小3.0kgとな ってお り,平均 1,009.7kgである. 農家 の単収は非常 に偏 りがある. また10a当た りの粗収益 をみ る と, 最大53.1万 円, 最小7.6 万 円,平均25.2万 円である. シー ク ヮーサーで 生計 を立て るということは経営規模が大 き くな い限 り,難 しい こととなって いる. (2)経営形態 区分 収益性 の低 いシー ク ヮーサー を中心 とした農 家が居住す る勝 山地 区について, どのよ うな農 家が経営 を営んでいるのか を,経営形態で区分 す る ことで明 らか にす る. 調査農家の経営概況 を考察 したが, こうした 経営 的な特徴 をもつ調査農家 の経営形態 を表2 に示す指標で主成分分析 を行 った.主成分分析 の結果 は,表3に示す とお りである. 表2.経営区分の指標. 1 経営主年齢 6 畑面積 2 農業従事者数 7 加工場ができて地域の連携が強化 3 後継者の就農可能性 8 集落維持に新規住民の受け入れは必要 4 農業経験年数 9 イベン ト企画力表3.主成分負荷量. 主成分負荷量 主成分No.1 主成分No.2 主成分No.3 平均値 標準偏差 経営主年齢 -0.75 -0.29 0.20 64.7 13.75 農業従事者数 -0.57 0.73 -0.10 1.7 0.82 後継者の就農可能性 -0.60 0.47 0.17 50.0 24.10 農業経験年数 -0.61 -0.38 -0.33 17.5 10.59 シ-クワ-サ-栽培率 0.28 0.00 -0.11 91.6 16.54 畑面積 -0.08 0.83 0.02 1,786.l l,303.73 加工場ができて地域の連携が強化 -0.19 -0.41 0.81 65.9 20.71 集落維持に新規住民の受け入れは必要 -0.30 0.26 0.64 85.2 20.86 イベン ト企画力 0.64 0.12 0.51 77.3 21.20 勝山を立地的に不便と評価 -0.74 -0.31 -0.05 48.9 26.63 固有値 2.78 2.01 1.53 寄与率 0.28 0.20 0.15 資料 :調査結果より作成. 表 中よ り第1- 3主成分 までで累積寄与率が 0.63である.第 1主成分は,絶対値 にお いて経 営主年齢 と勝 山を立地的 に不便 と評価 に主成分 負荷量が0.7以上で ある. 年齢が高 くな る と移 動 に不便な ところを選択 しないことか ら 「年齢」 に関 した主成分である.第2主成分は,畑面積 と農業従事者数 に主成分負荷 量が0.7以上で あ る.畑面積が大 き くなると労働 力を必要 とす る ことか ら 「規模」 に関 した主成分で ある.第3 主成 分 は加 工場 が で きて地 域 の連 携 が強化 に 0.81である ことか ら 「地域 の連携」 に関 した主 成分である. さ らに第3主成分 までの主成分得点値 を入力 指標 として クラスター分析 を行 った. 図3にそ のクラスター を, また図4に類型 ごとの主成分 得点値平均 を示 した.2つの図 をもとに経営形 態 を区分す る と以下 の通 りである. 小規模経営は,結果樹面積が小さく,まだシー ク ヮーサー を栽培 した経験年数が少な く,近年 のシーク ヮーサー人気 に便乗 して規模 を拡大す る方 向をもつ経営形態である. 高継続性経営は,後継者 を確保 してお り,後 継者 は就農 している.現在 の経営 をそ のまま次 世代 に継承す る ことが可能な経営形態である. そ のため経営規模 は,事例農家の中では比較的 大 き くなっている. 壮年経営 は,後継予定者はいるが,そ の多 く が実際に就農 していない.そ して農業従事者は 経営主が まだ高齢 となっていない ことか ら,一 部 に夫婦での農業従事がみ られ る以外,経営主 のみで行われて いる. したが って経営規模 は50
a
程度であ り,規模 の小 さい農家が該 当す る経 営形態である. 低継続性高齢経営は,後継 となるべ きものを 0 5 10 1 ll 259 10 153 12 16 19 13 18 205 17 21 246 144 237 一 ■ 図3.事例農家の経営形態とクラスター分析樹形図.46 沖縄 農 業 第43巻 第1号 (2009) 4 3
◆
1アl■ 1 イ 43
1軸 ◆ア 2 ◆イ1力 図4.事例農家の経営形態ごとの主成分得点値平均. 確保できていな く,さ らに経営主の年齢が高い. 農業生産 の継続性 に問題のある経営形態である. 農業に従事 している者は経営主が中心であって, 夫婦2名で従事 している農家は 1戸だけであっ た.農業生産 の継続性が低 い ことか ら経営規模 は,50a以下が多 い. 高齢経営は,経営主の年齢が70歳以上であ り, 農業生産 の継続性 は50%以上 となっている.後 継 となるべきものを確保 しなが らも,現在,彼 らは他産業 に就業 してお り,農繁期 に手伝 い程 度 に農業 に従事 している. 以上,勝 山地 区におけるシー ク ヮーサー農家 は,5
つの経営体 に区分で きる ことが推測 され る注3). (3)地域の活性化 ・出荷方針 アンケー ト項 目は経営形態別 に 「地域就業度」 「兼業依存度」「今後 の栽培規模意 向」「勝 山出 荷率」 「経営の 自己評価点数」 についてアンケー トによ り回答 を得 た (表4). これ らは経営形 態間でア ンケー ト結果が どのよ うな相違がある のか に使用す る.10a当た りの粗収益 をみ る限 りシー ク ヮーサーだけでは生計 を立て る ことが 注3)クラスター分析の結果は 6グループとなった.し かし, 1戸だけのグループがあり, これは個人を 特定できてしまうことで, この農家は分析対象と していない. 表4.地域活性化に対する農家の意向. 該当戸数 地域就業度 兼業依存度 芸等諸 悪 勝山出荷率 琵莞諾 完 (戸) (点) (%) (点) (%) (点) 小規模経営 3 258.8.837 533.3.436 14.83.433 0.0.000 32.133.35 高継続性経営 3 14.33.433 423.5.300 14.6643.7 1731..778 160.0.000 壮年経営 7 316.7.349 3425..181 79.8.456 367.6.993 2413..440 低継続性高齢経営 5 22.35.360 313.5.540 07.50.00 413.0.064 232.9.407 高齢経営 3 20.5.000 0.00.00 705..000 50.38.083 20.700.00 資料 :調査結果より作成.困難である.農業以外 の就業ができて勝 山地 区 に定住す る ことが可能 となる.地域での就業の 機会があるのか を 「地域就業度」でみる ことに した. また同様 に就業機会 をもって いる場合, どの程度 の兼業収入 に依存 して いるのか を 「兼 業依存度」 によって把握す る. シー ク ヮーサー の将来性 について農家が どのよ うに判断 して い るのか を 「今後 の栽培規模意向」で評価 して も らった.そ して勝 山地 区に法人の加工場がで き た ことで地域 の活性化 の拠点ができたわ けであ る. そ の拠 点 で あ る加 工場 へ の出荷 の状 況 を 「勝 山出荷率」 として表 し, どの程度 の出荷率 をもって いるのかで勝 山地 区に対す る依存度が 高いのか を検討す る.最後 に 「経営の 自己評価 点数」 は, どこを改善すれば満足 のい く経営 と なるのか を把握す るためにあえて, 自己採点 を して も らった.以上の ことを経営形態別 に検討 したい. 小規模経営は地域就業度が
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点であ り,該 当す る農家 の半数以上が定住す るに必要な就業 の機会 をもっている可能性があるとみて いる. しか し兼業依存度が低 く,そ の割合は3
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3%
で ある.兼業は農家所得が農業所得だけでは不足 す る ことで,補完的な要素 をもった所得 として 農家はみている. シー ク ヮーサー を核 に した農 業 を展開 して地域 の振興 を考 えてい く可能性が あるのか,それ を今後 のシーク ヮーサー栽培規 模 の拡大意向の可能性 によって評価 して も らっ たが,拡大す る方 向に対 して8
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点 と高 い評価 を している.つ ま り, シー ク ヮーサー によって 地域振興 の可能性 に期待 をして いる とい うこと である.小規模経営 の農家はまだ, シー ク ヮー サー栽培歴が浅いことで,法人への出荷がない. この経営形態 にお ける経営 に対す る 自己評価 は3
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点であって, まだ 自らの経営が開始 したば か りで,評価 を付ける状態 にないということで ある. 高継続性経営は,小規模経営 に比べて さ らに 地域就業度 の低 い経営形態である.該 当す る農 家は地域外での就業機会が多 く,勝 山周辺での 就業がみ られていない.また兼業依存度は低 く, 兼業所得は農家所得 の一構成要素 としかみてい ない.農業そ のものの継続性 は後継者 を確保で きていることで高い形態である.シーク ヮーサー 栽培 に関 してみ ると,今後 の栽培規模 の意 向は6
6
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点であることか ら該当す る農家の過半数は, 規模拡大 を検討 して いる.地域活性化 の中核 と なる法人への出荷 をみる と31.7%しか該当して いない. この経営形態 に該 当す る農家の多 くが 法人への出荷は3
0%
程度であ り,他へ出荷 して い る. 経営 の 自己評価 得 点 をみ る と6
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点 と 「可」程度 の点数 を付 けてお り,不満 はある も のの大筋合格であろ うと判断 して いる. 壮年経営は地域就業度が67.9点 と,他の経営 形態 と比べて高 い経営形態である.地域 内での 就業の機会が多いことを意味 している. しか し, 兼業依存度が4
2
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%
と高 く,農家所得 に占める 兼業所得は高い.地 区の中心的な農作物である シーク ヮーサーの今後 の栽培規模 に対す る意向 をみる と,78.6点 と高い. さらに地区の活性化 の中核的な存在である法人への出荷は76.9%と, 該 当す る農家 の多 くが この存在が地 区の活性化 に必要であろうと考 え,法人を中心 とした出荷 をとっている.経営の 自己評価 をみる と41.4点 と自らの経営が 目標 を達成で きて いないと判断 している. 低継続性高齢経営は,地域での就業度が3
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点 と低 く,就業の機会が低 いことを表 している. そ して兼業依存度 をみて も1
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と低 く,経営 主の年齢が6
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歳以上である ことが,兼業 の機会 を失わせて いる. さ らに地域での就業の機会が 少ないのは,経営主が他 の産業 に就業できる年48 沖縄 農 業 第
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齢 を超 え,兼業 もできない状態 となって しまっ ていることである.そ して,後継者 を確保でき ていないことで継続性 も低 いことか ら,現状を 維持するためには農家所得 に占める農業所得の 割合 を高めていくしかない.そ こでシーク ヮー サー栽培を中心 とした経営にせざるを得ない. このことが今後 の栽培規模意向で拡大志向にあ る.地域での核 となる法人への出荷は3
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6%
と 低いが,さまざまなところに収穫されたシークヮー サーを出荷することで,収入の機会 を増やす経 営主の行動がみ られる.経営の自己評価は3
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点 と低い.経営の継続 を図れなかった ことで, 経営に不安定さをもっていることが 自己評価 を 低 く見積 もった ものとみ られる. 高齢経営は,経営主の年齢が高いことで,経 営主が他産業に就業す ることは事実上できず, また同居 している家族 もいないことで,農家所 得 に占める兼業所得は皆無である.農業所得の 多くが農家所得を構成していることで,シークヮー サーが経営にとって重要な地位にある.したがっ て,今後の栽培規模意向は高 く,7
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0
点 となっ ている.低継続性高齢経営の形態 と同様 に農業 所得の機会を単一化することを避ける傾向をもっ てお り,法人への出荷割合は3
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3%
である. こ うした状況であって も高齢の経営主が不安定な 経営条件であって も所得拡大の機会 を創出する 努力を高 く評価 していることもあって, 自己評 価は7
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点 と他 の経営形態よ り高い評価 となっ ている. 4.今後の農家の展開方向 地域活性化の起爆剤 となるべ く法人を立ち上 げて加工場 を作った ことで,それが地域 に対 し てどの程度のイ ンパク トをもったのであろうか. 結果 としてみると,従来加工用 シーク ヮーサー の出荷先がJAと非JAの加工品企業 の硬直的な 状況であった.あえて厳 しく表現すればそ こに 選択肢が一つ増えただけであ り,地域活性化 に 対 しての大 きなイ ンパク トを与えるほどにつな がっていない.まして,農家は出荷 したシークヮー サーを加工場が全て受け入れ られていないこと で,法人の体制に不満 をもっている. この受け 入れ態勢であると生産農家か らすれば,地域の 活性化 に期待 していた法人を単なる出荷す る選 択肢を一つ増や しただけと認識するだけである. また, シーク ヮーサーは地域の持つ資源 とし て認識できるが,それ を栽培する技術はそれほ ど重要 となっていない.それは,加工用 に仕向 ける以上,それほど果皮の色,味覚な ど品質 を 向上させる自助努力をする可能性 をもっていな い.そ して,人材ネ ッ トワークとしての地域 に おける就業の機会 もそれほど高 くな く, 自前の 発展努力をしている状況になっていない. さ らにシーク ヮーサーを法人で製品化 された が,商ルー トを開拓 して販路 を拡大す るという 活動も,まだ設立 して5カ年であって十分 となっ ていない.販路拡大が うまくいかない中で,販 売促進活動は県内各地の大型量販店で行ってい ることは評価できる. また,消費者 に対 して法 人の製品を認知 させて,消費者の連想の中に組 み込む活動を通 じていかに小 口販売を拡大 して い くか,努力 している最 中である.現在,法人 は成長途上であ り,将来性 に期待 されている. 今後はいかに大 口ユーザーを確保できるか,そ して消費者に認知 されるかである. シークヮーサーは県 として戦略的品目にして, 生産振興 を図ろうとしているが,そ もそ もシー ク ヮーサー 自体が庭木で細々と植え続け られた ものであ り,農村維持の体系に入 るほど位置付 けになっていないことが他の柑橘類 と異なると ころである.そ して現在のように機能性 をもつ ことがわかった として もそれを拡大 してきたのは生産者たちであ り, ここまでの成長は農家主 導である.JA主導や行政主導で生産拡大を図っ て こなか った ことで,生産農家が生産振興策 に そ のまま入 りこむ とい うことにつながっていな い.農家主導で成長 した ものをいか に政策的な 枠組み に入れてい くかが今後 の農村振興 に欠か せない. 最後 に,勝 山地 区のシー ク ヮーサーが十分 に 地域 内で活 力をもって い くことに欠かせない こ とは, リーダー的存在である.そ の担 い手は, 区長な り法人の社長 となるが,公的な立場での リーダーであれば 区長,商的な リーダーであれ ば社長 となる. しか し,地域 を活性化す るので あれば,そ の両面 を兼ね備 えた リーダーが不可 欠である. この リーダー育成が勝 山を成功 させ る一つのカギであろう. 謝 辞 本稿 をとりまとめるにあた り,調査 に協力 し ていただいた農家の方 々に感謝 いた します. ま た,データの提供 をいただいた名護市 内の関係 者 に感謝 申し上げ ます.なお,本稿 は琉球大学 平成20年度中期計画達成重点プロジェク ト経費 および 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研 究 (C) (課題番号 19580254) の研究成果 の一 部である. 引用文献 1)石井淳蔵 ・栗本契 ・嶋 口充輝 ・余 田拓郎 2004.ブ ラン ドのマネジメン ト.ゼ ミナール マーケテ イング入 門. 日本経済新聞社 :421 -458. 2)菊地香 2003.遠隔産地 ・沖縄県 レタスの 市場参入−先進事例 との比較 -.斉藤修 ・慶 野征 じ編.国際化 と青果物流通 システムの革 新.農林統計協会 :72-82. 3)菊地香 ・中村哲也 2004.収量低下傾向に あるパイ ンア ップル産地 の生産 ・流通対応 に 関す る研究 一加工 中心か ら生食へ転換す る東 村の事例調査 をもとに-.沖縄農業 38(1): 35-47.