Stage IV舌根部腺様嚢胞癌に対する動注化学療法併用陽子線治療成績
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(2) 22 頭頸部癌 47(1):21—29,2021. 髙山香名子ほか:. dian follow-up duration was 56(range: 15-116)months. The 5-year local control and overall survival rates were 89% and 76%, respectively. With regard to late toxicities, grade 2 osteoradionecrosis was found in one patient and grade 5 pharyngeal necrosis in one patient. Considering most cases were signi?cantly advanced and inoperable, this therapy was effective in controlling the primary tumor, preserving function and maintaining quality of life. Although improvements are needed to reduce adverse events, PBT in combination with IAIC can be a treatment option for locally advanced ACC of the base of the tongue. Key words:Proton beam therapy, Adenoid cystic carcinoma, Intra-arterial infusion chemotherapy, The base of the tongue, Chemoradiotherapy [Received Jun. 2, 2020, Accepted Dec. 7, 2020]. 粒子線は,その高い生物学効果比(RBE)から,X 線と比. はじめに. 較して高い抗腫瘍効果が得られるとされる14)。また,粒子線. 腺様嚢胞癌(ACC)は稀な唾液腺上皮性腫瘍であり,全唾. は独自のブラッグピークを有するため X 線と比較して 3 次元. 液腺悪性新生物の約 10%,全頭頸部悪性腫瘍のおよそ 1 ~. 的に良好な線量分布を呈し,周囲正常組織への被曝線量を低. 2%に相当する 。小唾液腺腫瘍において口腔内で最も発生. 減できる15)。舌根部を含む頭頸部 ACC に対する粒子線治療. 頻度が高い部位は硬口蓋,次が舌根部である 。舌根部腫瘍. の良好な治療結果も報告されているが,まだ少ない16,17)。. はその大部分が悪性腫瘍であり ACC が約 30%とされる3)。. 本研究において,舌根部 ACC に対する IAIC と組み合. ACC は潜行性に成長し神経周囲浸潤及び遠隔転移の頻度が. わせた陽子線治療(PBT)の治療効果と有害事象を検討し,. 高く,進行は緩徐だが長期間にわたって再発する特徴があ. 予後因子の解析を行った。. 1). 2). る。舌根部 ACC の多くは症状なく粘膜下に進行するため診 断が遅れがちであり,約 75%は診断時にすでに T3 以上で. 対象と方法. あるとされる4)。局所進行舌根部 ACC に対する標準治療は,. 本研究は南東北脳神経疾患研究所の倫理委員会において. 再建術を含めた完全な外科的切除であるが,瀰漫性に周囲. 承認された(no. 339;2018 年 9 月 21 日承認)。また,本. 組織及び神経周囲への浸潤を認めるために広い手術マージ. 研究はヘルシンキ宣言の原則に従って実施された。. ンを必要とし,術後の嚥下機能障害や構音障害が生じやす. 対象は,組織学的に確認された舌根部 ACC のステージ. い。また,ACC は放射線抵抗性腫瘍とされ,放射線療法. Ⅳ症例,頭頸部領域の放射線治療歴なし,EOCG-PS ≦ 1,. は局所進行例や切除断端陽性の場合の補助療法に用いられ. 白血球数>3,500/μL,好中球数>2,000/μL,血小板数>. る5,6)。手術不能局所進行 ACC に対する放射線単独療法の 治療効果は不十分であり,局所制御率は 50%未満である. 。. 1×105/μL,ヘモグロビン>9 g/dL,肝臓・腎臓・心臓. 7-9). に重度の機能障害なし,治療後 12 ヶ月以上経過した症例と. 有効な化学療法のエビデンスはなく,根治的化学放射線療. した。CT,MRI,FDG-PET/CT による評価から TNM 分. 法がしばしば行われているが,治療効果は芳しくない 9)。. 類(第 8 版)に基づいて患者のステージングを行った 18)。治. 近年,浅側頭動脈(STA)を介した動注化学療法(IAIC). 療開始前にすべての患者から書面による同意を得た。治療. が発達しつつある 。X 線治療と超選択的 IAIC の併用療. スケジュールを図 1 に示す。. 法は,機能・審美性の温存が可能な根治的非切除療法と. PBT においては,治療の高い再現性を確保するために患. して,局所進行口腔扁平上皮癌における良好な治療結果. 者の固定には仰臥位にて熱可塑性ヘッドマスクを用いた。. 10). を示した11)。また,Robbins らは局所進行頭頸部癌に対す る週 1 回の急速動脈内大量シスプラチン(CDDP)動注と の同時放射線療法(RADPLAT)の有効性を報告してい る12)。CDDP は抗腫瘍効果が高く,中和剤の使用により有 害事象を低減することで繰り返し投与可能である。CDDP の治療効果は濃度依存性と考えられており,IAIC におい ては静注化学療法では得られない高い治療効果が報告さ れている。CDDP 耐性腫瘍においても治療効果は濃度に 依存するとも考えられており,根治的動注化学放射線療法 における良好な治療結果は,化学療法抵抗性腫瘍とされる ACC についても報告されている。本間らはその良好な治 療結果から,動注化学放射線療法は手術不能 ACC 患者の 治療選択肢の 1 つであると報告した 13)。. 図 1 Treatment schedule. IA, intra-arterial ; CDDP, cisplatin(2040mg/m2); IAIC, intra-arterial infusion chemotherapy ; PBT, proton-beam therapy..
(3) 23. 舌根部腺様嚢胞癌に対する動注陽子線治療. 治療計画には CT ベースの 3 次元治療計画システム (Xio-M;. いて評価した 21)。 累 積 生 存(Over-all survival:OS) 率. ELEKTA, Tokyo, Japan and Hitachi, Tokyo, Japan)を用. は,PBT の最終日から死亡日または最後に確認された生. いた。MRI,FDG-PET/CT 画像も参考として原発腫瘍お. 存日までで算定し,局所制御(Local control:LC)率は,. よび頸部リンパ節転移を同定し総腫瘍体積(GTV)とした。. PBT の最終日から局所再発の日までとして算定された。. すべての方向にさらに 3 ~ 5 mm のマージンを加え腫瘍浸. OS および LC はカプラン・マイヤー曲線を用いて推定さ. 潤のない下顎骨を回避し,神経浸潤の疑いのある領域を含. れ,予後因子についての解析は,年齢・性別・外科的適応. むように拡大したものを臨床腫瘍体積(CTV)とした。そ. の有無・原発腫瘍サイズ・照射量・リンパ節転移のステー. の後さらに 3 mm のマージンを加えて計画標的体積(PTV). ジ・治療前の肺転移有無・PET-SUVmax・総放射線量及. を作成した。正常組織への過度な被曝を避けるために標的. びシスプラチンの総量に関して log-rank 検定を用いて単. に対し最適な角度で陽子線を設定し,装置には dual-portal. 変量解析を行った。すべての解析において,p 値が 0.05 未. broad-beam 法とマルチリーフコリメータを採用した。処方. 満の結果を統計学的に有意と判定した。統計学的解析に. 線量は 66 ~ 72.6Gy(RBE) / 30 ~ 33 回(2.2Gy(RBE) /. は IBM SPSS 統計バージョン 22.0(IBM Corp., Armonk,. 回)で週 5 回照射を基本とした。総線量は,PTV の 90%. NY, USA)を使用した。. をカバーするように処方された。陽子線線量は,物理線量 に 1.1 の RBE 値を乗じたものとして定義され,Gy(RBE) の単位が用いられる。治療に複数の異なる線量が使用され. 表 1 Patient characteristics. たため,PBT の効果は生物学的実効線量(BED)を用いて 比較した。二次線形モデルを用いて BED を計算し,さま ざまな分割照射線量の治療効果と晩期有害事象の影響を検. (1+1 画分あたりの線 討した。BEDGy(RBE) =総線量×. 量( / α/β) )と定義される。α/β比は,腫瘍では 10,正常組 織では 3 とされる。2 Gy 等価線量換算値(EQD(α/β)/2)は, α/βのある値に対して 1 回 2 Gy 換算と等価の線量を意味. する。EQD(α/β)/2 は次のように計算される:EQD(α/β)/2= BED/ (1+2/ (α/β) )。 19). IAIC においては,治療前に腫瘍への栄養動脈及び血管 形態を確認するために,頸部造影 CT を施行し三次元立体 再構成画像を作成した。浅側頭動脈(STA)からの動注 カテーテル留置術は Fuwa らの方法に従った 10)。局所麻 酔下に患側の耳前部を切開して STA を露出させ,ガイド ワイヤー用いて STA から舌動脈(LA)または外頸動脈 (ECA)にアンスロン P-U カテーテルを挿入・留置した。 舌根部の悪性腫瘍は通常,LA を栄養血管とするが,他に 顔面動脈・後頭動脈・上咽頭動脈および主外頸動脈から分 岐する無名動脈が関与することがある。血流を考慮してカ テーテル先端を抗癌剤が LA もしくは腫瘍全体に流れる位 置に留置した。原発腫瘍が正中を超えている場合は,両側 にカテーテルを留置した。インジゴカルミンによる色素注 入検査,DSA 及び MRI による還流範囲の検査 20)を用いて カテーテルが適切な位置にあることを確認した。週に 1 回 5 時間かけてカテーテルから CDDP(20 ~ 40mg/m2)の 動脈注入を計 4 ~ 6 回施行した。動注 1 時間前から CDDP の中和剤であるチオ硫酸ナトリウム(8 g/m2)を 8 時間か けて静脈内投与した。 治療の一次効果は 4 週間後の MRI に基づき Response Evaluation Criteria in Solid Tumors guidelines(RECIST guidelines) ,ver. 1.1 を用いて評価した。治療後 1 ~ 3 年 間は 3 ヶ月おきに,その後は 6 ヶ月おきに MRI や CT を 施行し経過観察を行った。有害事象は Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)ver4.0 を 用. Characteristic Number of patients Age, years Sex Male Female ECOG-PS 0 1 T classification* T3 T4a T4b N classification* N0 N1 N2b N2c M classification* M0 M1 Stage IVA IVB IVC Location Right Left FDG accumulation before treatment Reasons for not performing surgery Operabl Refusal Old age Inoperable Locally advanced Distant metastasis Locally advanced+distant metastasis. n or Median (% or Range) 15 60(31-78) 5(33) 10(67) 10(67) 5(33) 1(7) 12(80) 2(13) 9(60) 2(13) 2(13) 2(13) 10(67) 5(33) 9(60) 1(7) 5(33) 9(60) 6(40) 7.3(1-12.5). 6(40) 1(7) 3(20) 2(13) 3(20). Abbreviations: EOCG-PS, Eastern Cooperative Oncology Group Performance status ; FDG, fluoro-2-deoxy-D-glucose. * UICC:Union for International Cancer Control TNM classification, 8th edition..
(4) 24 頭頸部癌 47(1):21—29,2021. 髙山香名子ほか:. 結 果 表 2 Treatment characteristics. 2009 年 3 月から 2019 年 2 月までに,動注化学陽子線 治療(PBT-IAIC)で治療されたステージⅣ舌根部 ACC 患者計 15 人が対象となった。患者の特性を表 1 に示す。 年 齢 の 中 央 値 は 60(31 ~ 78)歳, 男 性 5 例(33%) と. Characteristics GTV PTV. 50(21-120)mL 160(75-331)mL. 女性 10 例(67%)であった。治療開始時に 15 例中 6 例 (40%)に頸部リンパ節転移,5 例に肺転移(33%)を認 め,6 例(40%)が切除不能であった。切除可能な 7 例 中 1 例は高齢のため手術困難であり,残りの 6 例は手術 拒否であった。15 例中 14 例(93%)が陽子線治療と 5 回 以上の IAIC を完遂した。動注化学療法の回数は中央値 7 (5 ~ 8 回)であった。対象症例の治療特性を表 2 に示す。 2Gy/ 回に換算した場合の腫瘍に対する放射線線量を BED (EQD10/2)で示した時の合計線量の中央値は 70.3(62.6 ~ 73.8)Gy(RBE)であった。照射野は,原発と頸部リンパ 節転移病巣に対してそれぞれ作成されたが,照射野が重 複している症例では一部位として同じ線量が投与された。 動注に使用した CDDP 総投与量の中央値は 410(200 ~ 580)mg/body であった。. 61.6Gy(RBE)/28fr. 66.0Gy(RBE)/30fr. 70.4Gy(RBE)/32fr. 72.6Gy(RBE)/33fr. others. し(SD)であった。頸部リンパ節転移に関しては 3 例が CR,2 例が PR,1 例が SD であった。フォローアップ期 間中,すべての PR 症例で治療後数ヶ月から数年の期間に わたって原発巣の縮小を認めた(図 2)。生存期間の中央 値は 56(15 ~ 116)ヶ月であった。再発パターンに関して は,1 例が 31 ヶ月後頸部リンパ節転移を生じ(陽子線で 追加治療し局所制御),1 例が 36 ヶ月後局所再発した。こ れらの 2 例は治療前から肺転移を認めていた症例でもあ. Prescribed dose 1(7) 4(26) 4(26) 1(7) 5(33). Total radiation dose BED10 84.4( 75.2-88.6) Gy(RBE) BED3 119.1(106.8-125.8)Gy(RBE) EQD10/2 70.3( 62.6-73.8) Gy(RBE) EQD3/2 71.5( 64.1-75.5) Gy(RBE) Total dose of cisplatin on IAIC 4 10( 200 -580 ) mg LA+ECA LA ECA. 原発巣に関する治療の一次効果は,15 例中 4 例が完全 奏効(CR),10 例が部分奏効(PR),1 例はサイズ変化な. n or Median(% or Range). PEG Oral intake Naso-gastric tube. Arterial injection vessels 6(40) 1(7) 8(53) Nutrition 6(40) 5(33) 4(26). Abbreviations:GTV, gross tumor volume ; PTV, planning target volume ; RBE, relative biological effectiveness; BED, biological effective dose ; EQD10/2, equivalent dose as 2-Gy fractions for α/β=10 ; EQD3/2, equivalent dose as 2-Gy fractions for α/β=3 ; IAIC, intra-arterial infusion chemotherapy ; LA, lingual artery ; ECA, external carotid artery ; PEG, percutaneous endoscopic gastrostomy.. 図 2 MRI of a patient, cT3N1MO case. The initial treatment effect was PR ; thereafter, the tumor continued to shrink. (A)Before treatment. (B)After 3 months. (C)After 48 months. White arrow : initial or remaining tumor..
(5) 25. 舌根部腺様嚢胞癌に対する動注陽子線治療. 図 3 Kaplan-Meier curves of the clinical results for all patients.(A)Local control. (B) Overall survival.. 表 3 Results of log-rank tests for prognostic factors Factors. No. of Patients. OS. p Value. LC Age <60years 7 0.790 0.264 ≥ 60years 8 Sex Male 5 0.430 0.724 Female 10 Surgical indication Operable 7 0.720 0.264 Inoperable 8 Primary tumor size(GTV) <50mL 7 0.744 0.264 ≥50mL 8 Irradiation volume(PTV) <160mL 7 0.835 0.264 ≥ 160mL 8 Lymph node status Negative 9 0.157 0.264 Positive 6 Lung metastasis before treatment 0.061 Negative 10 0.007* Positive 5 SUVmax value on PET <7.3 8 0.284 0.371 ≥ 7.3 7 Reduction of SUVmax after treatment <5.9 7 0.364 0.371 ≥ 5.9 8 Total dose;EQD10/2(GyE10/2) <70.3Gy(RBE) 8 0.664 0.371 ≥ 70.3Gy(RBE) 7 Total dose of cisplatin on IAIC <410mg 7 0.607 0.264 ≥ 410mg 8 Abbreviations:OS, overall survival ; LC, local control ; GTV, gross tumor volume ; PTV, planning target volume; SUV, standard uptake value ; PET, positron-emission tomography ; EQD10/2, equivalent dose as 2-Gy fractions for α/β=10 ; EQD3/2, equivalent dose as 2-Gy fractions for α/β=3 ; RBE, relative biological effectiveness; IAIC, intra-arterial infusion chemotherapy. *p<0.05..
(6) 26 頭頸部癌 47(1):21—29,2021. 髙山香名子ほか:. り,救済手術は希望しなかった。遠隔転移に関して,治療. に関する log-rank 検定の結果を示す。検討した要因はい. 後に 4 例で新たに肺転移を生じた。治療前から肺転移を認. ずれも単変量解析において LC との関連は認めなかった. めていた 5 例のうち 3 例は治療後 24,51,76 ヶ月で多発. が,OS に関しては治療前の肺転移の有無と相関を認めた. (p=0.007)。. 肺転移の進行により死亡,さらに 1 例は治療後 28 ヶ月後. Grade 3 の急性期障害は,口腔粘膜炎 12 例(80%),皮. に咽頭壊死で死亡した。治療後に肺転移を生じた 4 例中 の 2 例はそれぞれ 68,98 ヶ月後に他病死となった。フォ. 膚炎 3 例(20%),好中球減少症 2 例(13%),貧血 1 例(7%). ローアップの結果,他の 9 例は生存している(肺転移を伴. であった。さらに治療終了から 2 ヶ月以内に 4 人の患者に. う 3 人を含む)。5 年局所制御率および累積生存率は,そ. grade 2 以下の咽頭潰瘍が生じた(図 4)。晩期障害は 1 症. れぞれ 89%および 76%であった(図 3)。表 3 は予後因子. 例で咽頭潰瘍が治癒せずに grade 4 の嚥下障害と grade 5. 図 4 MRI of a patient, cT4aN0M1(lung),before and after treatment. The tumor showed a CR but necrotic ulcer occurred. It was healed with conservative treatment. (A)Before treatment. White arrow : tumor. (B)The dose distribution of PBT. (C)After 2 months. Red circle : necrotic ulcer.. 表 4 Adverse events(NCI-CTCAE v. 4.0) 1. 2. Grade, n 3. 4. 5. Mucositis oral. 0/2. 3/0. 12/0. 0. 0. Dermatitis radiation. 4/0. 6/0. 3/0. 0. 0. Neutropenia. 0. 6/0. 2/0. 0. 0. Anemia. 0. 2/0. 1/0. 0. 0. Toxicity, maximum/latest. Platelet count decreased Nausea Acute kidney injury. 0. 1/0. 0. 0. 0. 6/0. 4/0. 0. -. -. 0. 0. 0. 0. 0. Hepatobiliary disorders. 1/0. 0. 0. 0. 0. Dry mouth. 7/3. 2/0. 0. -. -. Dysgeusia. 9/4. 6/0. -. -. -. Laryngeal edema. 3/0. 0. 0. 0. 0. Dysarthria. 3/1. 2/1. 0. -. -. Dysphagia. 4/2. 2/1. 2/0. 1/1. 0. Pharyngeal mucositis or ulcer. 10/4. 3/0. 2/0. 0. 0. Pharyngeal necrosis. -. -. 0. 0. 1/1. Osteonecrosis of jaw. 0. 1/0. 0. 0. 0. Abbreviations:NCI-CTCAE v. 4.0, National Cancer Institute — Common Terminology Criteria for Adverse Events, version 4.0. ; n, number..
(7) 27. 舌根部腺様嚢胞癌に対する動注陽子線治療. の喉頭壊死が生じた。回復困難な口腔乾燥や下顎骨髄炎は. 通常初期治療後 10 ~ 20 年の間に患者が死亡するとされ. 1 例も認めなかった(表 4)。. る22,28)。原発巣の制御が予後と大きく関連している場合, 患者に肺転移があっても原発巣の治療が長期延命につなが. 考 察. る可能性がある。単変量解析では,治療前の肺転移は OS. 本研究は局所進行舌根部 ACC に対する PBT-IAIC の治. 不良と有意に関連していた(p=0.007)。このことから,. 療効果及び有害事象について評価した確認しうる限り最初. 本研究では治療前から 33%が肺転移を有していたため OS. の報告である。本研究において,5 年局所制御率は 89%,. が低下した可能性がある。治療後に新たな肺転移が 4 例発. 5 年累積生存率は 76%であった。. 生し計 60%が肺転移を有しているにも関わらず,我々の. 舌根部 ACC は非常に稀な疾患であり,頻度は頭頸部の. 報告した 5 年 OS 率は 76%と良好であった。これは局所. すべての悪性腫瘍の約 0.1%と推定されている9)。そのた. 治療の成功が長期生存につながったためと考えられ,本局. め舌根部 ACC に対するまとまった数の治療報告はない。. 所療法の有効性を示唆するものである。. 過去のほとんどの治療例では,広範囲の切除と術後照射が. 頭頸部癌の根治的放射線療法における主要な晩期障害と. 行われている。舌根部 ACC 14 例に対する手術・放射線. して放射線性骨壊死(ORN)がある。先行研究では,頭. 治療・化学療法とそれらの併用療法での治療可能性を比較. 頸部癌の術後照射後の下顎骨髄炎および ORN の発生率. した Namazieらの研究では 5 年生存率は 79%とされ,進. は 0.4 ~ 56%と報告されており,通常の 3 次元放射線療. 行例には手術と術後照射もしくは化学放射線療法の併用療. 法(3D-RT)では ORN の頻度が比較的高い。近年主流と. 。ACC は他の悪性新生物と比較して神. なってきている強度変調放射線治療(IMRT)による口. 経周囲浸潤を伴う広範な組織浸潤を示すため進行例では完. 腔・咽頭癌の放射線療法における下顎 ORN の発生頻度は. 全切除が困難な症例も多く,術後に切除断端陽性になりや. 約 7%程度とされる29-31)。粒子線治療は,X 線治療と比較. 。従って ACC の外科的アプローチには広いマージ. して,下顎骨の照射線量をより低減できる。小藤らは舌. ンが必要であり,結果として構音機能や嚥下機能が損なわ. 根部 ACC に対する CIT 後の ORN の発症率が 11%であ. れる可能性がある。積極的な外科的切除を行っても,腫瘍. り,grade 3 の下顎骨骨髄炎を 2 例生じたと報告してい. の組織および神経周囲への広範な浸潤のために緩慢な進行. る17)。陽子線を用いた本研究では,15 例中 1 例(7%)で. だが局所再発が生じやすい。頸部リンパ節転移は稀であ. grade 2 の下顎骨 ORN を発症したが,保存的治療で治癒. るが,遠隔転移は肺に多いとされる。Huangらは舌根部を. した。Tsai らは 50Gy と 60Gy の照射線量の間で ORN の. 主座とする ACC の潜在的な遠隔転移のリスクを報告して. 発生率に大きな差があり,50Gy に曝される下顎の体積の. 法が推奨された. すい. 22). 23). いる 。しかし,遠隔転移を有する症例でも長期生存が期. 割合を最小化すると ORN のリスクが低下すると結論付け. 待できるという特徴がある25,26)。さらに,ACC は放射線. た 30)。本研究では患者が中央値 70Gy に相当する線量を投. 抵抗性腫瘍とされており27),局所進行例や手術困難例での. 与していることを考えると,ORN の頻度は少ないといえ. 放射線療法単独療法の治療効果は不良であるとされる5-9)。. る。これらの結果は,粒子線治療による照射体積の減少が. 近年,頭頸部 ACC の粒子線治療での良好な治療結果が報. ORN の発生率を低下させる可能性があることを示唆して. 告されている。小藤らの舌根部 ACC18 例への炭素線治療. いる。さらに,骨髄炎や ORN は口腔内環境に大きく関与. (CIT)の報告では,5 年 LC および OS はそれぞれ 92%お. していることも報告されおり31),歯性感染症が原因で発生. 。高木らは頭頸部. リスクが高まる。進行が比較的緩徐で長期予後が期待され. ACC の PBT と CIT の 5 年 LC はそれぞれ 75.5%と 77.7%. る ACC においては,治療前から予後不良歯の抜歯や適切. で あ り,5 年 OS は そ れ ぞ れ 63.3% と 93.8% で あ る と 報. な口腔ケアを行い,良好な口腔衛生状態を維持することも. 告した。彼らはまた,OS・LC および晩期障害に関して,. 重要である。. PBT と CIT の間に大きな違いはないと結論付け,多変. 中咽頭癌の放射線療法後に嚥下障害が生じやすいことも. 量解析で T4 症例が OS の悪化と有意に関連したことも報. 報告されており,その頻度は 11%とされる32)。本研究で. 24). よび 72%という良好な結果を示した. 告した. 17). 。本研究は局所進行症例を治療対象としたため,. 16). は,grade 3 以上の嚥下障害の割合は 7%であった。症例. 治療効果を高める目的で IAIC を併用した。局所進行舌根. 数は少ないが,我々の結果は,粒子線治療が線量分布の優. 部 ACC15 例に対して PBT-IAIC を行い 5 年 LC 率 89%と. 位性から周囲正常組織への線量を低減することにより嚥下. いう良好な結果であった。多くの患者は手術不能と診断. 障害を軽減できる可能性を示唆している。放射線療法後に. された T4 症例であり,舌根部 ACC に対する PBT-IAIC. 咽頭潰瘍が発生することがあり,晩期障害としての咽頭. は,原発腫瘍の制御,機能の維持,および生活の質の維持. 壊死は致命的となる。舌根 ACC に対し CIT を使用した治. に有効であった。本研究において 15 例中 5 例(33%)は. 療では,18 例中 3 例(21%)で壊死潰瘍が報告されたが. 初診時から肺転移と診断され,遠隔転移が原因で手術不能. その後治癒している17)。本研究では,grade 2 の潰瘍形成. とされていた。ACC は局所的に進行し,広範な微視的組. が 3 例,grade 3 の潰瘍形成が 2 例生じた。Grade 3 の症. 織浸潤のため長期経過で局所再発が生じやすく遠隔転移が. 例のうち 1 例では,長期経過で grade 4 の嚥下障害を併. 長期間に渡って出現するが,経過が緩慢なことが多いため. 発し,2 年後咽喉頭壊死で死亡した。この症例は本療法の.
(8) 28 頭頸部癌 47(1):21—29,2021. 第一例であり,舌根の潰瘍が残存腫瘍か組織壊死によるも のかを判断することが困難であり対応が遅れたためであっ た。2 例目以降は適切な保存的治療を行い,その後すべて の症例で潰瘍は治癒している。 さらに,多くの悪性腫瘍では PET における FDG の集 積は治療前後の効果を判断するのに有用であると考えられ ており,SUV は治療効果を判断するための指標となる33)。 しかし本研究において,治療前後の FDG-PET/CT におけ る SUVmax 値の差は予後因子に影響しなかった。FDG の 集積は ACC の治療における治療効果を判断するのに有用 ではない可能性が示唆される。 本研究の限界として,症例数の少ない後ろ向きかつ単一 施設の研究であり,固有のバイアスを有することがあげら れる。また,今回の舌根部 ACC の症例は非常に稀な腫瘍 の非常に進行したケースであるためサンプルサイズが小さ く,過去の研究も不足している。統計的検定では,データ セット内の重要な関係を特定することは困難で信頼性は低 い。しかし,サンプルサイズが大きくなればより正確な結 果が得られる可能性があり,このパイロット研究が将来の 研究に有用となる可能性がある。ACC の経過を考慮する と観察期間もまだ十分ではなく,今後の長期予後と晩期障 害をさらに調査する必要があるためフォローアップはまだ 継続中である。 結 論 PBT-IAIC は,原発腫瘍の制御,機能の維持,および患 者の生活の質の維持に貢献した。晩期障害の軽減という観 点からのさらなる検討が必要であるが,本療法はⅣ期舌根 部 ACC に対する治療選択肢のひとつとなりうる。 本論文において申告すべき利益相反は有しない。 文 献 1) Kim K.H., Sung M.W., Chung P.S., et al : Adenoid cystic carcinoma of the head and neck. 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