日耳鼻感染症エアロゾル会誌 8(4): 297, 2020
©2020 Japan Society for Infection and Aerosol in Otorhinolaryngology 第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 モーニングセミナー
1. 新型コロナウイルス感染症流行期における耳鼻咽喉科診療
―外来診療について―
木村 百合香1,2 1東京都保健医療公社 荏原病院 耳鼻咽喉科 2昭和大学医学部 耳鼻咽喉科学講座 新型コロナウイルスの感染経路は,主として飛沫感染と接触感染で,感染者の体内で最もウイルス 量が多い部位は鼻腔,上咽頭である。また,エアロゾルを介しての感染も生じうることも判明してい る。したがって,咳や咽頭痛,発熱などの感冒様症状で耳鼻咽喉科を受診する機会が多く,エアロゾ ル発生手技が多くを占める耳鼻咽喉科診療の場面は,新型コロナウイルスの感染や拡散を惹起しやす い。実際,中国や英国において,最初にこのウイルスの犠牲になった医療従事者は耳鼻咽喉科医であ り,4 月初旬の時点ですでに 9 名の耳鼻咽喉科医の死亡が報告された。我が国においても耳鼻咽喉科 診療における感染対策は急務であり,日本耳鼻咽喉科学会は,3 月に学術委員会の傘下に新型コロナ ウイルス感染症対策ワーキンググループを組織し,「耳鼻咽喉科診療における新型コロナウイルス感 染症の対応ガイド」や「耳鼻咽喉科の処置・検査における新型コロナウイルス感染対応ガイド」を作 成し公開してきた。これらのガイドでは,外来診療環境や,問診,感染が疑われる患者への対応や, 検査・処置の感染予防策について述べられている。医療者に対しては,エアロゾル発生手技に対する N95 マスクやガウンの着用など,処置に応じた個人防護具(PPE)の装着についての推奨を行ったが, 全世界的な感染拡大による PPE の不足により適切な感染対策が取れないことから,診療制限を余儀 なくされた施設も少なくない。本感染症の収束には年単位を要することが予測されているなか,「ウィ ズ・コロナの時代」における耳鼻咽喉科診療の在り方は,多方面にわたって大きな課題を抱えている。 本講演は,耳鼻咽喉科外来診療に焦点を当てて,感染対策の総括と克服すべき課題について皆様と共 有させていただく機会としたい。 第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 プログラム・抄録集より転用日耳鼻感染症エアロゾル会誌 8(4): 298, 2020
©2020 Japan Society for Infection and Aerosol in Otorhinolaryngology 第 8 回日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会 総会・学術講演会 モーニングセミナー