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食道ESDに対するプロポフォール・デクスメデトミジン塩酸塩併用鎮静の実現性 第59巻02号0226頁

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全文

(1)

資 料

食道 ESD に対するプロポフォール・デクスメデトミジン

塩酸塩併用鎮静の実現性

野中 敬

1)

  稲森正彦

3)

  宮下徹也

2)

 原田紳介

2)

  稲生優海

1)

鹿野島健二

1)

 松浦瑞恵

1)

  日暮琢磨

1)

 大久保秀則

1)

 飯田 洋

1)

遠藤宏樹

1)

  日下部明彦

3)

 前田 慎

3)

 後藤隆久

2)

  中島 淳

1) 1) 横浜市立大学 肝胆膵消化器病学,2) 同 麻酔科学,3) 横浜市立大学附属病院 臨床研修センター 要  旨 【目的】従来のベンゾジアゼピン系薬剤を用いた鎮静と比較して,食道 ESD におけるプロポフォール (PF)とデクスメデトミジン(DEX)を併用した鎮静の有効性と安全性について検討する. 【方法】当施設で食道 ESD が施行された連続 40 症例の臨床情報を遡及的に解析した.20 例はベンゾジ アゼピン系薬剤による鎮静(従来群),20 例は PF・DEX 併用による鎮静(併用群)が行われた.鎮静の 有効性と安全性に関する各パラメータを両群で比較した. 【結果】併用群は処置時間が有意に短く(61 分 vs 89 分,P=0.03),抑制を要する体動が見られた患者の 割合も有意に少なかった(25% vs 65%,P=0.025).一方,併用群は低血圧(60% vs 15%,P=0.008) と徐脈(60% vs 15%,P=0.008)の発生率が有意に高かった.治療中断を要する重篤な有害事象は両群 ともになかった. 【結論】PF と DEX を併用した鎮静は食道 ESD において患者体動を抑えた安定した鎮静となり得る可能 性が示唆された. Key words ベンゾジアゼピン/デクスメデトミジン/ESD/食道/プロポフォール Ⅰ 緒  言  近年,拡大内視鏡観察や narrow-band imaging (NBI)などの技術進歩により食道癌は早期に診断 される機会が増加している1).内視鏡的粘膜下層 剥離術(ESD)は早期胃癌に対して当初開発され たが,現在は早期食道癌や早期大腸癌に対しても 広く行われている2).ESD により病変径が大きく ても一括切除が可能となり,切除後検体を用いた 組織学的根治性の評価を正確に行う事が出来るよ うになった.本邦において,リンパ節転移の可能 性が極めて低い早期食道癌に対して ESD は標準 治療となっている3)  しかし一方,食道 ESD は胃 ESD より技術的に 難しく危険性が高い事が知られている.狭い食道 内腔は内視鏡操作を制限し,解剖学的に食道壁は 薄く,また呼吸性変動や心拍動による影響を常に Gastroenterol Endosc 2017;59:226-33. Takashi NONAKA Feasibility of Deep Sedation with a Combination of Propo-fol  and  Dexmedetomidine  Hydrochloride  for  Esophageal  Endoscopic Submucosal Dissection.

別刷請求先:〒 234-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦 3-9       横浜市立大学 肝胆膵消化器病学 野中 敬

本論文は Digestive Endoscopy(2016)28,  141-51 に掲載された「Feasibility  of  deep  sedation  with  a  combination of propofol and dexmedetomidine hydrochloride for esophageal endoscopic submucosal  dissection」の第 2 出版物(Second Publication)であり,Digestive Endoscopy 誌の編集委員会の許可を 得ている.

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 われわれの施設では,消化器内科医によるベン ゾジアゼピン系薬剤を用いた鎮静に替わり,麻酔 科医の管理下でプロポフォール(PF)とデクスメ デトミジン塩酸塩(DEX)を併用した新しい鎮静 を食道 ESD に対して導入している.従来法と比 較して,本手法の有効性と安全性を遡及的に検討 した.  Ⅱ 対象・方法 (1)対象  本研究は,2013 年 8 月に PF・DEX 併用鎮静が 導入された前後の期間に横浜市立大学附属病院で ESD が施行された食道表在癌患者連続 40 症例を 対象とした.すなわち,PF・DEX 導入前の 2012 年 7 月から 2013 年 7 月の期間にベンゾジアゼピ ン系薬剤で鎮静が行われた連続 20 例(従来群) と,導入後の 2013 年 8 月から 2014 年 8 月に PF・ DEX 併用鎮静が行われた連続 20 例(併用群)を 対象として,その臨床情報を遡及的に解析した. (2)使用薬剤・投与法  食道 ESD の鎮静深度は米国麻酔学会(Ameri-can Society of Anesthesiologists;ASA)の鎮静深 度の分類に定義された深鎮静,すなわち容易に目 を醒ませないが繰り返し,または痛み刺激により 意図的な反応が出来る鎮静深度5)を目標に鎮静薬 投与量を調整した.鎮静薬投与前に 8 %キシロカ インスプレーで咽頭麻酔を行い,ESD 開始前に鎮 痛薬としてペンタゾシン 15mg を全例に投与し た.鎮静中は経鼻カヌラを用いて酸素 2 L/min の持続投与を行った.  従来群は,導入にミダゾラム(MDZ) 5 mg ま たはフルニトラゼパム(FNZ)1mg をボーラス 静注投与し,睫毛反射が消失する鎮静レベルまで MDZ 2 mg または FNZ0.2mg を適宜追加投与し た.内視鏡治療中に患者が体動や不快な様子を示 した場合に MDZ 2 mg または FNZ0.2mg を追加ボ ーラス静注投与した.ベンゾジアゼピン系薬剤に よる鎮静の管理は処置に関与しない消化器内科医 が行った.MDZ をベンゾジアゼピン系薬剤によ る鎮静の基本薬剤としたが,事前の内視鏡検査や 分間投与し,続いて 1.0µg/kg per h で持続投与し た.DEX の投与開始と同時に PF20mg をボーラ ス静注投与し,睫毛反射が消失する鎮静レベルま で PF20mg を適宜追加投与した.PF は 2 mg/kg  per  h で持続投与し,内視鏡治療中に患者が体動 や不快な様子を示した場合にPF20mgを追加ボー ラス静注投与し,PF の投与速度を 1 mg/kg per h 毎漸増した.一方,DEX の投与速度は ESD が終 了するまで変更せずに固定した.PF・DEX 併用 鎮静の管理は麻酔科医が行った. (3)モニタリング  すべての患者に心電図,自動血圧計,パルスオ キシメーター,カプノメーターを用いて内視鏡鎮 静中のモニタリングを行った.サンプリング用経 鼻カヌラを用いて鼻腔から排出されたCO2を測定 す る カ プ ノ メ ー タ ー(Capnoline  H;Oridion  Medical  1987  Ltd,  Jerusalem,  Israel)を使用し た.併用群では上記に加え,患者頸部に装着した マイクロフォンにより気道音を増強させ患者呼吸 音の連続聴取が可能な独自開発したデバイス(呼 吸音モニター装置)を用いて呼吸状態をモニタリ ングした(Figure 1 ).蘇生用機器を内視鏡室に 常備し緊急時の対応とした. (4)ESD 手技  ESD は全例,本研究前に 100 例以上の胃 ESD 及び 20 例以上の食道 ESD 施術経験のある内視鏡 専門医 1 名が送水機能を有するシングルチャンネ ル ス コ ー プ(GIFQ260J;Olympus  Co.,  Tokyo,  Japan)を用いて内視鏡室で実施した.高周波ナ イフは Dual  knife(KD-650L;Olympus  Co.)と IT knife nano(KD-612L;Olympus Co.)を用い, 高周波手術装置に VIO300D(ERBE Elektromed-izin GmbH, Tübingen, Germany)を使用した.ヨ ード染色で病変境界を認識した後,Dual  knife の チップ部分で病変より外側へ約 2 mm 離して病変 周囲をマーキングした.少量のエピネフリンとイ ンジゴカルミンを添加させたグリセロール溶液 (Glyceol;Chugai Pharmaceutical Co., Tokyo, Ja-pan)を用いて 2 倍に希釈した 0.4% ヒアルロン酸

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ナトリウム局注剤(MucoUp;Johnson and John-son K.K.,, Tokyo, Japan)を病変粘膜下層に注入し て膨隆させ,マーキング外側を全周に粘膜切開し, 続いて病変が完全に切除されるよう粘膜下層剥離 を行った. (5)評価項目・定義  臨床学的特徴(年齢,性別,body mass index, Brinkman 指数,アルコール摂取量,内視鏡的切 除や放射線療法等の食道癌治療歴,基礎疾患, ASA physical status),食道癌の内視鏡像(局在, 肉眼型),切除後病理組織学的特徴(深達度,切除 標本径)を集積した.基礎疾患として高血圧,糖 尿病,脂質異常症,肺疾患の有無を検索した.局 在と深達度は食道癌取扱い規約6)に従って分類し た.肉眼型は隆起型,平坦型,陥凹型,混在型に 分類した.  食道 ESD における鎮静の有効性と安全性は従 来群と併用群とを比較する事で評価した.鎮静の 有効性は ESD 成績(一括切除率,完全切除率,処 置時間),治療関連合併症(出血,穿孔),不穏状 態の有無を有効性のパラメータとして評価した. 一括切除は一切片で病変が切除されたものと定義 し,完全切除は一括切除された検体で病理学的に 側方断端,深部断端ともに陰性が確認されたもの と定義した.処置時間は病変周囲のマーキングか ら切除完了までの時間とし,全例ビデオレコーダ ーで記録し計測した.治療関連合併症の出血は輸 血を要する術中出血,または帰室後の黒色便や吐 血等の出血症状,治療翌日の血液検査で 2g/dL 以 上のヘモグロビン低下のいずれが見られた場合と 定義した.穿孔は食道固有筋層の欠損または縦隔 結合織が内視鏡で観察された場合と定義した.不 穏状態は処置の中断または身体抑制を要する患者 体動と定義した.  鎮静の安全性は鎮静中の低酸素血症(SpO2≦ 94 %),低血圧(収縮期血圧≦ 80 mmHg),徐脈(脈 拍≦ 50b. p. m.),重篤な有害事象の発生の有無を 安全性のパラメータとして評価した.重篤な有害 事象は治療中断を要する循環呼吸機能低下と定義 した.  ESD 中の患者モニタリング情報,不穏状態の有 無,使用薬剤,内視鏡操作は看護師により麻酔チ ャートに記録され,麻酔チャートを用いて鎮静中 の患者状態を遡及的に検討した. (6)統計解析  統計学的検定は,連続変数は Mann-Whitney の U 検定を用い,カテゴリ変数は Fisher の正確確率 検定を用いて解析した.P 値< 0.05 を有意差あり とした.すべての統計解析は IBM  SPSS  Statics  22(IBM Co., Chicago, IL, USA)を用いて行った. (7)倫理  本研究はヘルシンキ宣言に則って実施された. 研究プロトコールは横浜市立大学附属病院倫理委 員会により承認を得ており,内視鏡治療および患 者臨床情報の研究使用に関してすべての患者から インフォームドコンセントを得た. Ⅲ 結  果 (1)臨床病理学的背景  両群における臨床病理学的背景を Table 1 に 示す.本研究では,治療を要する肺疾患の患者や Figure 1 (左図)呼吸音モニター装置.本装置によりリアルタイムの患者呼吸音を連続 的にモニタリングする事が可能である.(右図)頸部表面に装着したマイクロフォンによ り患者呼吸音の検出が行える.

(4)

ASA  physical  status がⅢ以上の患者は含まれて いなかった.臨床学的特徴,食道癌の内視鏡像, 切除後病理組織学的特徴に関して両群間に有意差 は見られなかった.鎮静に使用した各々の鎮静薬 の総投与量を Table 2 に示す. (2)鎮静の有効性  両群における鎮静の有効性に関するパラメータ を Table 3 に示す.興味深い事に,併用群の処置 時間は従来群より有意に短かった(61[31–202] 分 vs 89[43–185]分,P=0.03,中央値[幅]). また,不穏状態を呈した患者の割合は併用群で有 意に低かった(25% vs 65%,P=0.025). (3)鎮静の安全性  両群における鎮静の安全性のパラメータを Ta-ble 4 に示す.SpO2最低値は併用群で有意に高 かったが(98[94–100]% vs 95[84–99]%,P =0.003,中央値[幅]),SpO2  94%以下と定義し た低酸素血症の発生に有意差は認めず,また挿管 や人工換気を要する患者はいずれも見られなかっ 併用群 20 PF(mg) 361.33 ± 117.32 DEX(µg) 131.87 ± 40.37 従来群 20 MDZ 単剤(mg) 6 12.67 ± 4.76 FNZ 単剤(mg) 2 2.25 ± 0.5 MDZからFNZへ変更  MDZ/FNZ(mg), 12 8.08 ± 2.68/1.21 ± 0.59 数値はすべて平均値±標準偏差.

略語:DEX, dexmedetomidine hydrochloride;FNZ, flunitraz-epam;MDZ, midazolam;PF, propofol.

年齢,歳 65(55–84) 69(51–83) 0.218 性別,n 0.302 男性 19 17 女性 1 3 BMI,kg/m2 21.75 (14.97–25.95)(14.97–33.56)20.6 0.815 Brinkman 係数 670(0–3,040)800(0–3,440) 0.692 アルコール摂取量,g/日 35(0–100) 60(0–134) 0.111 食道治療歴[ER/RT],n 7[4/3] 3[2/1] 0.273 基礎疾患,n 11 11 1 高血圧 8 11 糖尿病 3 0 脂質異常症 3 6 ASA physical status, n 1 Ⅰ 5 6 Ⅱ 15 14 局在,n 0.194 頸部食道 2 0 胸部上部食道 3 5 胸部中部食道 10 6 胸部下部食道 4 4 腹部食道 1 5 肉眼型,n 0.111 隆起型 3 7 平坦型 3 6 陥凹型 3 3 混在型 11 4 深達度,n 0.597 EP/LPM 12 14 MM/SM1 7 4 SM2 ≤ 1 2 切除径,mm 40(18–63) 38.5(18–75) 0.888 数値はすべて中央値(幅).

略 語:ASA, American Society of Anesthesiologists;BMI, body mass index;EP, epithelium;ER, endoscopic resec-tion;LPM, lamina propria mucosae;MM, muscularis muco-sae;RT, radiation therapy;SM, submucosa.

併用群 (n=20) (n=20)従来群 P 値 一括切除,n,[%] 20,[100] 20,[100] ---完全切除,n,[%] 17,[85] 18,[90] 1 処置時間,分(幅) 61(31–202) 89(43–185) 0.03 治療関連合併症,n,[%] 1,[5] 1,[5] 1        出血 0,[0] 1,[5]        穿孔 1,[5] 0,[0] 不穏状態,n,[%] 5,[25] 13,[65] 0.025 Table 3 有効性パラメータ . 数値はすべて中央値(幅).

(5)

た.一方,収縮期血圧 80 mmHg 以下と定義した 低血圧と,脈拍数 50b. p. m.以下と定義した徐脈 の発生率は併用群で有意に高かった(60%  vs  15 %,P=0.008,60% vs 15%,P=0.008,其々). 低血圧や徐脈が発生した症例はいずれもエフェド リンやアトロピン投与により速やかに改善し,治 療中断を要する重篤な有害事象の発生はいずれも 見られなかった. Ⅳ 考  察  本研究はベンゾジアゼピン系薬剤を用いる従来 の鎮静法と比較して,食道 ESD において PF と DEX を併用した鎮静が一括切除率や処置時間等 の ESD 成績や呼吸循環動態へ及ぼす影響を遡及 的に検討した.従来群と比べて併用群の処置時間 が短縮された原因はいくつか考えられるが,患者 体動による処置への干渉が併用群で少なかった事 が主な要因と推察された.ベンゾジアゼピン系薬 剤の有効な用量域は個体間で差が大きく,その間 欠投与は長時間を要する内視鏡処置において適切 な鎮静深度を維持し難い事がこれまでに報告され ており7)~9),このことが従来群で頻回に患者体動 が現れた一因と考えられた.  また本研究において,不穏状態により ESD が一 時中断されなければならなかった症例はベンゾジ アゼピン系薬剤による鎮静で多く観察された.ベ ンゾジアゼピン系薬剤は脱抑制や paradoxical re-sponse と呼ばれる異常体動を時に引き起こし,ア ルコール依存の患者に多く見られる傾向が知られ ている10).過剰なアルコール摂取は食道扁平上皮 癌 発 生 の 確 立 し た 危 険 因 子 で あ る こ と か ら も11),12),特に食道扁平上皮癌の患者にはベンゾジ アゼピン系薬剤は鎮静薬として好ましくないのか も知れない.実際,本研究で両群のアルコール摂 取量に差は見られなかったが,不穏状態を呈した 患者の割合はベンゾジアゼピン系薬剤を用いた従 来群に多い結果であった.  近年,PF は多くの内視鏡処置で使用される機 会が増えている13).鎮静作用を有するフェノール 誘導体である PF は脂質への親和性を有し,血液 脳関門を迅速に通過することが可能で,脳におけ る GABAA受容体を賦活する事で速やかな意識鎮 静を発現させる14),15).また ESD においても,覚醒 の早さや安全性の点で PF による鎮静の有用性が 多く報告されている16)~18).しかし,一括切除率や 処置時間,治療関連合併症といった ESD 成績に関 しては PF を用いた鎮静の有用性に一定の見解は 得られていない16)~20)  安全性に関して,他の鎮静薬と比較し PF は用 量域が狭く,意識下鎮静から呼吸循環機能低下が 現れる全身麻酔へ急速に移行し得る事が知られて いる21).PF 単剤で内視鏡治療の鎮静を行う場合, 適切な鎮静を維持するために多量の PF を要する 事も多く,用量依存性の合併症が時に発生す る22).鎮静薬に関連した合併症の発生は投与量と 密接に関係しており,PF の投与量を減量する試 みも報告されている23)  更に近年,新しい鎮静薬として DEX が登場し, 併用群 (n=20) (n=20)従来群 P 値 SpO2最低値,%(幅) 98(94–100) 95(84–99) 0.003 低酸素血症(SpO2 ≤ 94 %),n,[%] 2,[10] 8,[40] 0.065 収縮期血圧最低値,mmHg(幅) 78(52–118) 98(60–128) 0.005 低血圧(収縮期血圧≤ 80mmHg),n,[%] 12,[60] 3,[15] 0.008 脈拍最低値,b. P. m(幅) 50(40–64) 60(40–80) 0.004 徐脈(脈拍≤ 50 b. p. m.),n,[%] 12,[60] 3,[15] 0.008 重篤な有害事象,n,[%] 0,[0] 0,[0] ---Table 4 安全性パラメータ . 数値はすべて中央値(幅). All values represent median values.

(6)

する事で抗不安作用,催眠作用,そして鎮痛作用 を発現させる25).DEX による鎮静はユニークな 特徴を有し,患者は意識を維持した状態で鎮静さ れ,PF や MDZ といった GABA 受容体作動薬に 見られるような脱抑制や呼吸抑制を起こし難い. 胃 ESD において DEX 単剤による鎮静は,MDZ や PF による鎮静と比較して患者体動や呼吸抑制 が少なく,処置時間も短縮したと報告されてい る9)  本研究では食道 ESD の鎮静法として,迅速な効 果発現と投与中止後の速やかな覚醒が得られるが 潜在的に呼吸抑制作用を有する PF に,単剤では 深鎮静は得られないが呼吸抑制や不穏状態を生じ 難い DEX を組み合わせる試みを麻酔科医の管理 の元に行った.DEX の有害事象として一過性血 圧上昇とその後の低下,また徐脈の発生が知られ ているが26),内視鏡処置の鎮静に DEX 単剤また は MDZ 単剤を用いたランダム化比較試験のメタ 解析では,低酸素血症や低血圧,徐脈といった有 害事象の発生は両群で差を認めなかったと報告さ れている24)  われわれは PF に DEX を併用する事で,深鎮静 を得るために必要な PF 量を減量でき,不穏状態 や用量に依存した有害事象の発生が軽減されるこ とを当初期待していた.しかし,PF と DEX を併 用した鎮静は従来法と比較して低血圧と徐脈の発 生率が高い結果となった.これら有害事象はエピ ネフリンやアトロピン投与により速やかに改善が 得られ,また循環機能低下による ESD の中断や中 止の症例は見られなかった.  本研究にはいくつかの limitation が存在する. 第一に単施設での遡及的解析である事が挙げられ る.第 2 にベンゾジアゼピン系薬剤による鎮静と PF・DEX 併用による鎮静では,投与レジメの違 いだけでなく,鎮静を担当した消化器内科医と麻 酔科医との違いが存在する.加えて,食道 ESD に 関する技術的なバイアスも考慮しなければならな い.すなわち,本研究は PF・DEX 併用による鎮 静と治療時期が異なる従来法とのヒストリカル・ コントロール研究であり,処置時間をはじめとし た治療成績の結果はラーニングカーブの影響を考 Ⅴ 結  論  いくつかの limitation はあるが,本研究により 麻酔科医の管理下に PF と DEX を併用した鎮静 は食道 ESD において患者体動が少なく安定した 鎮静となり得る可能性が示唆された. 謝 辞  本研究の実施にあたり多大な御協力を頂いた横 浜市立大学附属病院内視鏡センタースタッフの皆 様に深謝いたします.  本論文内容に関連する著者の利益相反:なし 文 献  1.  Muto M, Minashi K, Yano T et al. Early detection of  superficial squamous cell carcinoma in the head and  neck  region  and  esophagus  by  narrow  band  imaging : a multicenter randomized controlled trial. J  Clin  Oncol  2010;28:1566-72.  doi:10.1200/JCO.  2009. 25. 4680.

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(8)

ESOPHAGEAL ENDOSCOPIC SUBMUCOSAL DISSECTION

Takashi NONAKA1),Masahiko INAMORI3),Tetsuya MIYASHITA2) Shinsuke HARADA2),Yumi INOH1),Kenji KANOSHIMA1) Mizue MATSUURA1),Takuma HIGURASHI1),Hidenori OHKUBO1)

Hiroshi IIDA1),Hiroki ENDO1),Akihiko KUSAKABE3) Shin MAEDA3),Takahisa GOTOH2) AND Atsushi NAKAJIMA1)

1)Departments of Gastroenterology and Hepatology, Yokohama City University School of Medicine. 2)Anesthesiology, Yokohama City University School of Medicine.

3)Office of Postgraduate Medical Education, Yokohama City University Hospital.

  Background and Aim : The aim of the present study was to evaluate the efficacy and safety  of sedation with a combination of propofol (PF) and dexmedetomidine (DEX) compared with seda-tion with benzodiazepines in esophageal endoscopic submucosal dissection (ESD).   Methods : We retrospectively reviewed clinical data for 40 consecutive patients who had un- dergone esophageal ESD at the Yokohama City University Hospital between July 2012 and Au- gust 2014. Of these patients, 20 were sedated with benzodiazepines (conventional group) and an-other  20  patients  were  sedated  with  a  combination  of  PF  and  DEX  (combination  group).  Parameters for efficacy and safety of sedation were evaluated by comparisons between the two  groups.

  Results : Median procedural times in the combination group were shorter than those in the  conventional group (61min vs 89 min, P = 0.03), and the percentage of patients who showed rest-lessness in the combination group was significantly lower than that in the conventional group (25%  vs  65%,  P  =  0.025).  Incidences  of  hypotension  and  bradycardia  in  the  combination  group  were  higher than those in the conventional group (60% vs 15%, P=0.008, and 60% vs 15%, P = 0.008,  respectively).

  Conclusion : This retrospective study suggests that a combination of PF and DEX may pro-vide stable deep sedation with less body movement than benzodiazepines during esophageal ESD.

参照

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