• 検索結果がありません。

海洋環境下に暴露した再生コンクリートの強度特性 ー暴露3年までの試験結果ー

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "海洋環境下に暴露した再生コンクリートの強度特性 ー暴露3年までの試験結果ー"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

U.D C 691 328 4

1は

じめに

2実

験概要

1.1ま

じめ に 資源 の有効利用や地球環 境保全 の観点 か ら

,建

設廃材 の リサイ クルが社会的 に注 目されている。今後耐用年数 を終 えて解体 され るコ ンク リー ト構造物 の急 増が予想 さ れ るため

,コ

ンク リー ト廃材か ら製造 され る再生骨材 を 用 いた コ ンク リー トに関す る研 究 が各研究機 関 にお いて 数多 く行 われて いる. これ まで筆者 らも

,再

生骨材 を用 いた再生 コンク リー トの港湾構造物へ の適用性評価 を 目的 とし

,再

生 コ ンク リー トの一般的性質や耐海水性 に関す る検 討 を行 って き た け∼2).この 中で

,海

水 の作 用 を長期 にわ た って 受 け る環境下 にお ける再生 コンク リー トの長期性状 を把握す るため に

,海

洋環境下 にお ける暴露試験 を実施 して いる 港湾構造物 へ の適用 にお いて は

,設

計基準強度 18N /mm2程度 の比較 的低強度 の コンク リー トを使 用す る消波 ブ ロックな どの無筋構造物 も相 当量 ある ことか ら

,本

研 究 では コ ンク リー ト塊 の リサイ クル率 を高め るため に再 生細 ・粗骨材 の両者 を使用 した再 生 コンク リー トを対象 と した。 また

,一

部 の再 生 コ ンク リー トの暴露試験 には, 実 際の構造物 に近 い無筋プ ロック供試体 を用 いた。 本論 で は

,海

洋真 境 下へ の暴 露試 験 の うち

,材

齢 3 年 まで の圧縮 強度試 験 お よび分析 試 験 結果 につ いて 述 べ る.

2.実

験概要 暴露実験はシ リーズI∼Ⅲ に分 けて実施 した シ リーズ

Iは

,高

度 処 理 した再 生粗 骨 材 を対 象 と し 東急建設技術研究所報No 27

海洋環境下 に暴露 した再生 コンク リー トの強度特性

― 暴露 3年 までの試験結果 ―

早川

健司

伊藤

正憲

大橋

潤―

要 約

:本

研究は

,海

水の作用を受 ける環境下 における再生コンクリー トの長メ司性状の把握 を目的 として行った も のである 港湾構造物への適用においては

,設

計基準強度18N/mm2程度の比較的低強度のコンク リー トを使用する無 筋構造物 も相当量 あることか ら

,本

研究ではヨ ンク リー ト塊の リサイクル率 を高めるために再生細・粗骨材の両者 を使用 した再生ヨンク リー トを対象 とした 暴露条件 は

,室

内での海水浸漬

.屋

外の干満帯

,飛

沫帯であ り

,一

部 の再生コンク リー トについては実構造物に近いプロック供試体を用 いた 評価 は

,材

0.5, 1,3年

において圧縮 強度および分析試験によ り行った この結果

,屋

外暴露 における再生コンク リー トは

,普

通 コンク リー トと同様な 強度変化 を示 した 海水浸漬条件 における再生 コンク リー トの圧縮強度は低下傾向を示 し

,再

生骨材の品質が劣る ほど低下程度が大 きくなった キワ ト・

:

再 生 コンク リー ト

,海

洋環境

,暴

露試験

,圧

縮強度 目 次

3実

験結果お よび考察 4_まとめ た もので あ り

,細

骨 材 を普 通細 骨 材 のみ

,普

通細骨材 と再 生細 骨材 の混合

,再

生細骨材 のみ の

3種

類 に変 化 させ た。 シ リーズ Ⅱは

,高

度処 理 を施 さな いで製 造 させ た再 生細・粗骨材 を対象 とした もので あ り

,細

骨材 中の微 粒分 の量 に着 目した。 シ リー ズ Ⅲは高度処 理 を施 さな いで製造 され た再 生 細・ 粗骨 材 を用 い

,実

機 プ ラ ン トで製 造 した再 生 コ ン ク リー トを対 象 とした もので ある. 海 洋 菓 境 下 へ の暴 露 は

,各

コ ンク リー ト供試体 を所 定 の期 間養 生 した後

,材

齢 28日 時点 で暴露 を開始 した 評価 試験 は

,材

0.5,1,3年

時点 で圧 縮強度

,ヤ

ン グ係数 の測定 を行 った。 また

,一

部 の供 試体 に対 して は

,海

水作用 の影 響度 合 を検 討す るた め に塩 化物 イ オ ン量や

X線

回折な どの分析試験 を行 った。

2.1

使用材料 表1に実験 に使用 した再 生骨材 の物理的性 質 を示す 。 表2に再 生骨材以外 の使用 材料 を示す. 再 生細骨材

RSl,RS2,RS3,お

よび再生粗骨材 RGl,R

G2,RG3の

原 コ ンク リー トは

,建

設後約

50年

を経過 し た 横浜 港 の 旧高 島桟 橋 の上部 コ ンク リー トで あ る。 この コンク リー トの圧縮強度 は 38,ON/mm2,推定

W/Cは

46% で ある 再生骨材 は

,ジ

ョー クラッシャーで前処理 した 後

,イ

ンパ ク トクラッシャー等で破砕

,分

級 して製造 し た

RSl,RGlは

,モ

ル タル除去装置 による

2次

処理 を,

(2)

再生細骨材 再生粗骨材

RS2,RC2は 2次

処理 を行わず

,RS3,RG3は

水洗 い処理 を施 した。 このため

, 2次

処理 を行 つた

RGlの

吸水率 は

RG2,RG3よ

り小 さ く

,水

洗 い処理 を行 った

RS3は

微粒 分が少 な くな って いる. 再生骨材

RS4,RG4は

,東

京 湾岸地 区で実 際 に稼働 し て いる再生骨材製造 プ ラン トで製造 された もので ある. 原 コ ンク リー トは各種解体 現場 か ら持 ち込 まれ た コ ン クリー ト塊で あ り

,物

性等 につ いて は不 明で ある 使 用 した セ メ ン トはすべて普通 ポル トラ ン ドセ メ ン トで あ る

.比

較 用 の天然骨材 を用 いた普通 コ ンク リー トは

,細

骨 材 に北 九州 市 小倉 産 の砕砂

(Sl),千

葉県 君 津産 の山砂

(S2,S3),粗

骨材 に北 九州 市門 司産 の砕 石(G l)およ び高知県 鳥形 山産 お よび北海道 上磯 町産 の石灰 石砕 石

(G2,G3)を

使 用 した。 また

,混

和剤 には

,

リグ ニ ンスルホ ン酸 系の

AE減

水剤 を用 いた 表

2

使用材料一 覧 種 類 緒 言 セル ト

315,316g/cm9

, F M3.00 細骨材 密度

263g/cn3,F M2 68

客]B蓋2.61g/cm], F.M2 71 2.69g/c , F Ml.82 を」F=2 82g/cm3 , F M6 72 粗骨 材 密度2,70g/cm〕 ,F M6 63 密度270g/c n9,F M6 68 リクニン刀 'ホ ン酸 系 表

3

骨 材 の組 合せお よび コンク リー ト配合 備 考 処 理 あ り 理な し 水洗 い処理あ り 原]ンクリ ト不 明 り 水洗 い処理な し 水 理 あ り 不 明

2.2

配合 表

3に

コンク リー トの配合 を示す

.水

セ メ ン ト比は5 5%を 標準 とし

,シ

リーズ Ⅲにつ いて のみ

,50,55%の 2水

準 とした

.配

合 はス ランプ

8cm,空

気量 4.5%を 目標 と し,

s/aな

らびに単位 水量 を調整 して決定 した

.再

生 コ ンク リー トの配合 は

,再

生骨材 の性質 を大 き く受 け

,細

骨 材 率や単位 水量がか な り変化 して いる

.な

,水

洗 い処理 を施 し微粒分 の少な い

RS3を

使 用 した場合

,細

骨材率 の 調整 のみで は 目標 と した フレッシュ性状を満足できなか ったため

,細

目砂S4を質量 比で 30%置 換 した. 比較用 の普通 コンク リー トの

W/Cは

再 生 コ ンク リー トと同一 の 55%で あ り

,室

内練 りの

Nl,N2お

よび実機 プ ラン ト練 りの

N3の 3種

類 で ある

2.3

試験 体の作 製方法 室 内で の練混ぜ には

,容

100リ

ッ トル の強制練 り ミキサ を使用 し

, 010×

20cmの供試体 を作製 した. 実機 プ ラン ト練 りの

N3,R650,R655は

,容

量2■3 の強制

2軸

ミキサで行 った コ ンク リー トはアジテータ 車 で運搬 し

,

φ10×20cmの供試体,0,46トンの小型消波 ブ ロックおよび60× 60×90cmの無筋 ブ ロック供試体 を 作製 した 2.4暴露 方法 表4に暴露方法 を示す

10×20cmの供試体 は打設 翌 日に脱型 し

,材

齢 28日 まで標準養 生 した 暴露条件 は

,20℃

の海水浸漬

,千

満帯 (屋外暴露施設 :1日 2回, 各

3時

間海水 中

)で

あ り

,材

齢 28日 か ら暴露 を開始 し た。小型消波 ブ ロックお よび60×

60X90cmの

無筋 ブ ロ ック供試体 の暴露条 件 は

,飛

沫帯 (屋外暴露施設

:1日

ンリース・ Ad_ 0810 0 705 1,720 0 768 0 745 0713 0 805 0 773 1.342 Ⅱ Ⅱ Ⅲ シリス 記 号 粗粒率 /cHll) (%) (%) RSl 2.20 2.31

902

13 8 RS2

326

2 32 8 30

703

4.93 Ⅱ RS3 3.55 2.31

965

66 0 1 43 Ⅲ RS4 2 88

225

1228

684

2 80 RGl 6_80 2 60

266

0 49 RG2 6.34 2 49 4,25 58.6

062

Ⅱ RC3 6.67 2.50

410

58 8 0.53 Ⅲ RG4 6 56 2 50 4_86 62 3 0.81 記 号 普通ずルトランドセメント Sl 北 九州市 小倉産砕砂 密度2.69静 S2 S3 千葉県木更津産 山砂 S4 千葉県君津産 山砂 Gl 北九州 市 門司産砕石 G2 高知 県 鳥 形 山産 石灰 石砕石 G3 北 海 道 上磯 町産 石灰 石砕 石 Ad AE減 水剤 骨 材 の種 類 単位 量 (kg/mJ) 記 号 Si S2 s/a (%) Sl S2 Nl SI GI 44 178 324 798 1064 N2 S2 C2 48 155 282 897 997 N3 S3 G3 55 42.6 158 288 786 1094 Rl S2 48 169 307 815 1004 R2 S2 RSl 44 164 298 366 366 1050 R3 RSt RGl 40 157 285 654 1104 R4 RS2 RG2 54 177 322 847 774 R5 RS3 S4 RC3 55 52 170 257 599 824 R6-50 50

427

168 336 655 975 R6-55 RS4 RG4 55 43 5 168 305 675 975 1218

(3)

2回

,各

3時

間の海水噴霧

)お

よび護岸か ら3m程度 の 気 中で あ り

,材

3週

まで湿布養生 した後

,暴

露 を開始 した. 表

4

暴露条件 I,I,Ⅱ φ10×20cm φ10×20cm シリス・Ⅲ 60× 60×90cm 60×60×90cm 表

5

試験項 目お よび方法 試験項 目 試験方法 圧縮強度 JIS A H08,1107による レッソメータによる 全塩化物イオン量 JCI SC4に よ る 供 試体 中央部

,表

面 か ら内部方 向へ3 ∼5箇所

X線

回折 供試体表面部および内部

2.5

試験方法 表5に試験項 目および方法 を示す

.各

条件 に暴露 し た φ10×20cmの供試体 は

,材

0.5,1,3年

の各材齢 にお いて圧縮強度試験 を実施 した。なお

,試

験時 には, コンプ レッソメータによってヤ ング係数 を測定 した

.小

型消波ブ ロック

,プ

ロック供試体 は表面観察 を適宜実施 し

,材

齢1,3年において

,プ

ロック供試体 か ら0 10cm のコアを採取 し

,圧

縮強度試験 を行 った。 各 コ ンク リー トに対す る海水 の作 用 につ いて検 討 す るために実施 した分析試験 は

,塩

化物 イオ ン量 の測定,

X線

回折

,SEM観

察 で ある.

3.実

験結果 および考察

3.1

海水浸漬 (室内

)の

場合

3.1.1

コンク リー トの表面状況 写真

1に

供試体 の表面状況 を示す

.海

水浸漬 した供 試体 表 面 には 自色 物 質 の生 成 層 が 確 認 され

,供

試体 の 上 ・下面 のエ ッジ部 にひび害1れ が 観察 され た

.ひ

び害1 れ幅 は 0.04∼0.7 5Ⅲll程度 で あ り

,再

生 コ ンク リー ト R

650,R655で

顕著 で あ った

.こ

の表面 劣化 の主な原 因 は

,膨

張性 生成 物 で あ る エ トリンガイ トによ る もの と考 え られ るが

,詳

細 につ いて は3.1.3で考察す る。

3.1.2

強度 およびヤ ング係数 図

1に

海水浸漬 した場合 の材齢 と圧縮強度 の関係 を示 す

.暴

露 開始 時す なわ ち材齢

28日

の普 通 コンク リー ト の圧縮強度 は 32.0∼38.5N/mm2でぁった の に対 し

,同

V/Cの

再 生 コンク リー ト

R4,R5,R655は

257∼

30.5N/ mm2で あ り

,普

通 コ ンク リー トの平均 84%程 度 で あった

2次

処理 を施 し再生粗骨材 の吸水率が小さい

R3お

よび W/C50%の

R650は

普通 コ ンク リー トとほ ぽ同等 の強度が 東急建設技術研究所報No.27 写真

1

供試体 の表面状況 の一例 (海水浸漬) 得 られ た

.暴

露 開始 後

,材

齢半年 まで はす べて の供 試体 で強度増進 し

,1年

にお いて はR3を除 いて

,材

3年

に お いて はすべて強度低下す る傾向を示 した. 図

2に

,海

水浸漬 した場合 の材齢 と材齢 28日に対す る強度比の関係 を示す 。材齢

3年

の強度比 は

,

普通 コ ンク リー トで 0.89∼

1.0,再

生 コンク リー トで 0,79∼1.

13程

度で あ り

,強

度 増加 した

R3を

除 くと

,海

水 の作用 によって強度 は同等か低下す る傾向 にあった。 再 生 コ ンク リー トの種 類 で 比較 す る と

,強

度 比 は, 原 コンク リー トが異 な り

,骨

材 の吸水率が最 も大 きい R

6-50,R655が

小 さ く

,高

度処理 を行 い粗 骨材 の吸水率 50

1 2 3 0 1 2

材齢 (年

)

材齢 (年) 図

1

材 齢 と圧 縮 強 度 (海水 浸 漬) 1 2 3 0 1 2 材齢 (年

)

材齢 (年) 図

2

材齢 と強度比 (海水 浸漬) 種 類 シリー 命 屋 ≧ ︶ 超 部 埒 凹 ︵当 鞭 格 萩 里 Ш 罵 犠 禅 ︶ 当 超 部 R6-55 暴露条件 20℃海水浸,責 恒温室内の 容器 千満帯 飛沫帯 海岸大気 中 屋外暴露施 一 Hl ― N2 日―N3 ― R3

-R4

‐― Δ‐― R5

-日

R6-50 ‐一 日‐・―R6-55

国 O Nl ― N2

-N3

(澄

,体

△ ―

e―

R3

-R4

-一 △‐‐・ R5

E―

R6-50 -・回‐‐‐R6-55

(4)

ど認め られ なか った。今 回対象 とした再生 コンク リー ト で は

,原

コ ンク リー トの種類 の影響が大 き く

,ま

た再 生 粗骨材 の品質 の影 響 は認 め られたが

,再

生細 骨材 中の微 粒分 の影 響 は小さか った もの と考 える。なお

,W/Cを

5% 小 さ くした

R6-50の

強度 比 は

R655よ

り大 き くな り

,暴

露前の強度 を普通 コンク リー トと同程度 に した場合 は, 海水 の作用 による強度低下が若干 小 さくな った. 図

3に

海 水浸漬 した場合 の材齢 とヤ ング係数 の関係 を 示す

.各

材 齢 のヤ ング係数 は

,普

通 コ ンク リー トお よ び高度処理 を施 した

R3で

3∼

36×

104N/mln2,他の再生 コ ンク リー トで 2.0∼ 2.5× 104N/mm2範 囲にあ り

,高

度処 理 を施 さな い骨材 を使用 した再生 コンク リー トのヤ ング 係数 は小 さ くな った。 また

,普

通 コ ンク リー トのヤ ング 係数 は

,強

度 と同様 な低下傾向 を示 して いるのに対 し, 再 生 コ ンク リー トのヤ ング係数 は材齢

0.5年

以 降 ほ とん ど変化 して いな い。 4

0123o123

材 齢 (年

)

材 齢 (年) 図

3

材 齢 とヤ ング係 数 の 関 係 (海水 浸 漬)

3.1.3

表面劣化

,強

度変化 の原 因 海水浸漬 した供試体 は材齢

3年

にお いて供試体上面 お よび底面 のエ ッジ部 に劣化が認め られた。 この原 因に つ いて考察す るため に

,若

干 のひび割 れが認 め られた N

8,R4,お

よびひび割れ の発生が顕著で あった

R650に

つ いて

,ひ

び割れ部および供試体 中心部か ら試料 を採取 し

,X線

回折

,SEM画

像解析 を行 った。 表

6に

X線

回折試験結果 を示す

.X線

回折 の結果, 表面部 分 には水酸化 カル シウムが存在せず

,エ

トリンガ 表

6粉

X線

回折試 験結果 供試体種類 鉱物の種類 エ トリンガイ ト 力)レサ イ ト フリーデル氏塩 水酸化カル シウム ■ 3年 Nl N2 N3 R3 R4 R5 R6- R6.  55 50 コンク リー トの種類 図

4

平均塩化物イオ ン量 イ トが 同定 され た。 また

,内

部で は水酸化 カル シウムが 存在 し

,エ

トリンガイ トは同定 されなか った。 また

,SE

M画

像解析 によ り

,R6-50の

ひび割れ部分 には

,よ

く発 達 したエ トリンガイ トの針状結 晶が観察 され た。 一般 に

,海

水 の作用 によるコンク リー トの劣化 は

,浸

入 した塩化物イオ ンの一部が固定化 して フ リーデル氏塩 とな り

,

これが海水 中の硫酸イオ ンと反応 してエ トリン ガイ トを生成す る ことによって進行す ると言われて いる

).し

たが って

,ひ

び割れや強度低下 の原 因は

,海

水 中 に含 まれ る硫酸塩 によってエ トリンガイ トが生成 した こ とによる膨張劣化で あると考 え られ る. 図

4に

各材齢 の塩化物イオ ン量 を示す

.こ

こで塩化物 イ オ ン量 は

,供

試体 の各箇所での平均値で示 して いる.

R650,R655は

,普

通 コ ンク リー トや他 の再 生 コ ンク リー トよ りも塩化物イオ ンの浸透量が大 き くな った。 こ の原 因としては

,使

用 した再生骨材 の吸水率が大 きい こ と

,ま

た原 コンク リー トの品質が考 え られる

.た

だ し,

R650,R655の

原 コ ンク リー トは不 明で あ り

,そ

の影 響 程度 につ いて の言及 は難 しいが

,R3∼ R5の

原 コ ンク リー トよ り品質が劣 っていた と推察 され る.

R650,R655で

表 面劣化が顕著 であったのは

,塩

化物 イ オ ン浸透 量が多 く

,フ

リーデル氏塩 の生成量が多 くな り

,エ

トリンガイ トの生成 も多 くなったため と推察 され る

.ま

,表

面部で はす べて の試料で カルサ イ トが 同定 され

,表

面部で観察 された 自色 の生成 層 は水酸化 カル シ ウム と反応 して生成 したカルサ イ ト(CaC03)で ある と考 え られ る。 この水酸化カル シウムの溶 出による多孔化 も 上述 のエ トリンガイ トの生成 とともに強度低下 の一要 因 で あると考 え られ るが

,影

響程度 につ いて は不 明で ある.

3.2

屋外暴露 の場合

3.2.1

コンク リー トの表面状況 干満帯 に暴露 した コンク リー ト表面 には

,海

水浸漬 の よ うな顕著 な 自色物質の生成層やひび害1れ等 の異常は 認 め られなか った

.飛

沫帯 に暴露 した 小型消波 ブ ロ ック, 無 筋 ブ ロック供試体表面 には

,普

通・ 再生 コンク リー ト ともに乾燥収縮 によると考 え られ る微細 ひび割れが観察 され た。

R650,R655は

,海

水 浸漬 の条件でひび割れ 八 ド ヽ 昂 翠 四 命 垂 ≧ 守o r × ︶ 妬 ﹄ ヽ λ 学 表 面 ○ ○

O

-O Nl

―¬白r―N2 -日―N3 O R3

-R4

Δ

R5

― R6-50「 ‐‐‐口‐‐‐R6-551 N3 R6-50 表 面 中心 表 面 中心 ○

O

○ ○ ○ ○ ○ ○ ※

Oは

鉱物が同定 された ことを示す

(5)

が顕著で あった配合で あるが

,実

際の環境 に近 い飛沫帯 暴露 にお いて海水の作用 による表面劣化 は認め られなか つた

3.2.2

強度

,ヤ

ング係数 および塩化物イオ ン量 図

5に

Nlおよび

Rl,R2,R3を

干満帯 に暴露 した場 合 の材齢 と圧縮強度

,ヤ

ング係数 の関係 を示す 。干満帯 に暴露 した場合 は

,前

述 の海水浸漬 の場合 と異な り

,普

通・再 生 コ ンク リー トとも強度増加す る傾 向 を示 した. この条件 に暴露 した再生 コンク リー トは

,細

骨材 の種類 を普通

,普

通 と再生の混合

,再

生 のみの

3水

準 に変化 さ せて いる

.材

齢 28日 の強度 は

,再

生細骨材使用の影響 を受 け

,再

生細骨材の混入 によって強度が小 さ くなる傾 向 にあった。 しか し

,乾

湿 を受 ける干満帯 にお ける再生 コ ンク リー トの強度発現 に対 して

,再

生細骨材 の使用の 影 響はほ とん ど認め られず

,普

通 コンク リー トと同等 の 強度発現特 性が得 られて いる もの と考 える。 また

,ヤ

ン グ係数 は

,若

千 増加す る傾向 にあ るが

,増

加 の程度は, 普通 コ ンク リー トよ り再 生 コ ンク リー トで小 さ くな った 図

6に

干満帯 に暴露 した場合 の材齢

3年

における塩 化物イオ ン量 を示す

.塩

化物 イオ ンは内部 まで浸透 して 50 東急建設技術研究所報No.27 お り

,表

面部で の塩化物 イオ ン量 は再 生 コ ンク リー トで 大 き く

,平

均値でみ る と普通 コ ンク リー トよ り再生 コ ン ク リー トで

,ま

た再生細骨材 の混入 によ り若千多い傾向 で あった。 図

7に

飛沫帯お よび海岸大気 中に暴露 した プ ロック 供試体 よ り採取 した コア圧縮強度

,ヤ

ング係数 を示す 。 この場合 の圧縮強度は材齢

1か

3年

にか けて若干強度 増加す る傾 向 にあった。 また

,W/Cを 5%小

さ くす る こ とによ り

,普

通 コンク リー トと同等 レベル の強度が得 ら れて いる

.ま

,再

生 コ ンク リー トのヤ ング係数は普通 コ ンク リー トよ り小 さいが

,材

1年

か ら

3年

で変化 し て いな い。 図

8に

飛沫帯暴露 の場 合 の材齢

3年

にお ける塩化物 イ オ ン量 を示す

.R6-50,R655の

塩 化物イオ ンの平均 値 は

,N3の

2倍

程度で あ り

,海

水浸漬の場合 と同様 の 傾 向で あった 以上 のよ うに

,干

満帯や 飛沫帯へ の屋外暴露 の場合, 再 生 コ ンク リー トの強度 は

,普

通 コンク リー トと同様 に 強度増加す る傾 向 にあ り

,材

3年

まで の強度変化 は, 普通 コ ンク リー トと概ね 同等で あつた と考 え る. 2 材齢 (年) 図

7

材齢 とコア圧縮強度およびヤ ング係数 の関係 (シリーズ Ⅲ:飛沫帯

,気

中暴露) 0.8

1234

ヨンク リー ト表面か らの距離(cm) 図

8

全 塩 化 物 イ オ ン量 (シリーズⅢ:飛沫帯

,気

中暴露) ︵准 く こ 超 部 理 凹 命 E 登 ︶ 超 部 埋 凹 卜 阿 命 E ≧ 守P x ︶ 妬 L ヽ λ ■ 命 E く 〒 軍 x ︶ 妬 ﹄ ヽ へ 早 0 2 材 齢 (年) 図

5

材齢 と圧縮強度お よびヤ ング係数 (シリーズ

I:千

満帯暴 露) 一 Nl(0,424) 一 Rl(0.456) ― R2(0.447) 一 R3(0.477)

( )内

は平均値 ︵じ H へ 代 ヽ 母 翠 雲 ︵も H ヽ 卜 一S 口 予螂 0.8 6 4 2

1 2 3

表面か らの距離(cm) 図

6

全塩 化 物 イ オ ン量 (シリー ズ

I:干

満 帯 暴 露) 一

Nl-0-Rl

― R2-日― ―

R6-55(飛

沫)

-0-R6-50(飛

沫) ‐-0‐

R6-50(気

) Δ・ ― ‖3

10X20

'

圧縮 一 N3(0.130)

-0-R6-50(0.245)

― R6-55(0.287)

( )内

は平均値 0 4 0,0 0

(6)

既往 の研 究 →では

,海

中部

,干

満帯暴露 の場合

,普

通 ポ ル トラン ドセ メン ト使用 のコンク リー トは

,材

齢 3∼5 年 以降で強度低下が認め られている

.ま

,強

度低 下 の 割 合 は

,干

満帯 のほ うが海 水 中よ りも大 きい。今回の干 満帯 へ の暴露実験 にお いて も

,材

3年

までは

,再

生・ 普 通 コ ンク リー トとも強度増加 した これ に対 し

,前

述 の室内での海水浸漬 は

,材

05∼

1年以 降で強度低下 が確認 された. このよ うに

,実

環境 の海水 中と今 回実施 した室内で の 海 水浸漬条件では

,表

面 へ の生成 層 の形成状況 が異な っ た こと等 を考慮す ると

,エ

トリンガイ トの生成や水酸化 カル シウム の溶出現象等が実際の海水 中の環境 よ りかな り厳 しい条件であった もの と考 える リー トで顕著で あった.

(2)屋

外 暴露 の干満帯

,飛

沫帯

,海

岸大気 中で は

,海

水 の作用 による表面劣化や強度低下は確認 されず

,普

通 コ ンク リー トと同様 に再生 コンク リー トも強度増加 した 以上の よ うに

,実

環 境 に近 い屋外暴露

,ま

た実構造物 に近 いブ ロック供試体 の再生コンク リー トの強度変化 は, 普通 コンク リー トと同様 に強度増加する傾向 を示 した しか し

,小

型供試体 を用 い海水浸漬条件の再生 コンク リ ー トの強度変化 は

,再

生骨材 の品質 によって は普通 コ ン ク リー トよ りも劣 る場合が ある ことが示唆 された 耐海 水性 につ いては

,高

炉セ メ ン トや フライア ッシュセ メン トな どの混合セ メ ン トが有効であるとされてお り, これ らを用いた再生 コンク リー トにつ いて も本実験 と同様 な 暴露試験 を実施 して いる

.今

後 は, これ らの暴露試験 を 引き続 き継続実施 し

,海

洋環境下 にお ける再生 コンク リ ー トの長期耐久性 につ いて検討 してい く予定で ある.

4.ま

とめ 再 生 コンク リー トの暴露試験 によ り得 られた結果 は, 以下 のよ うに まとめ られ る

(1)3年

間海水浸漬 した再生 コ ンク リー トの圧縮強度 は

,再

生骨材の品質や原 コンク リー トの影響 を受 け

,普

謝 辞 本研究は独立行政法人港湾空港技術研究所と共同てヽ実 施した成果の一部であり,多大なご指導・ ご協力を頂いた独立行政法人港湾空港技術研 究所材料研究室の演田秀則室長,阿部正美主任研究官,山路徹研究官,渡辺弘子受託研究員

,元

港湾技術研究所構造部材料研究室の福手勤室長 (現国土交通省国土技術政策総合研究所管理調期 ,田中順氏に深く感謝致します また,本研究の分析試験を実施するにあたり,金沢大 学工学部土木建設工学科 鳥居和之先生にご指導頂きました。ここに記して謝意を表します. 舞 爺 1)田中順,福手勤ほか:再生骨材をl吏用したコンクリー トの材料特性に関する研究第 36巻′第 3号 ,19979 2)伊藤正憲,福手勤ほか:海洋環境下における再生コンクリー トの適用性評価に関する研究,港湾技術研究所報告,第37巻,第4号,199812 3)水上国男:コンクリー ト構造物の而子久′性シリーズ化学的腐食,技報堂出版,198612 4)例えば 福手勤,山本邦夫,演田秀則:海水を練 り混ぜ水とした海洋コンクリー トの而寸久'Lに関する研究,港湾技術研究所報告,第 29巻,第 3号 ,19909

STRENGTH CIIARAClLRISIIC OF RECYCLED CON硼

EXPOSED

lNDER

lARINE ENVIRON隅

KHayakawa,M.Ito,

and J.Ohashi

莉 s study gttpcd dlc pЮpeゥ面 血thc pllIPosC 10ng tcm ttγ lcttl COncrcte under sca wattt cnЩ

lnlncnt.TL rη

clcd∞ncrctc tCStPiC∝ 」魏 d面れnt ottgm江 ∞ncttc tt recydcd ttnc and∞囃 agBrcgaに of hc PЮdumOnに対面que vれoutty was expose〔 〕

h

hmttk粗

of sca‐wttcr h he hd∞

tttcbandand um band h ou側

L and

∽ mprttlve sttcngth tcst and andytt tcst wcre 舶 outh 05,1,3 ycars.

At耐

s rc(sul七 五俺ndty changc cqud to n(lHntt c()ncretc was帥 餅ヵ吼h hcou電∝)r cxPOsurc,Ihc comprcss市 c strcngth of

reり

dCd∞

ncrete h hc」 Imc面on of scawatcr∞ndibn sk聯

`ded山

lg tcndenり,and lt has hcreascd by lhe qu甑 りof thC rcprodu(近Л agBregatc江こior tt for hc dccrcase ratc of∞mprcsslo■試renBth・

参照

関連したドキュメント

これらの実証試験等の結果を踏まえて改良を重ね、安全性評価の結果も考慮し、図 4.13 に示すプロ トタイプ タイプ B

このような状況の下で、当業界は、高信頼性及び省エネ・環境対応の高い製品を内外のユーザーに

パターン1 外部環境の「支援的要因(O)」を生 かしたもの パターン2 内部環境の「強み(S)」を生かした もの

「海洋の管理」を主たる目的として、海洋に関する人間の活動を律する原則へ転換したと

海なし県なので海の仕事についてよく知らなかったけど、この体験を通して海で楽しむ人のかげで、海を

○事業者 今回のアセスの図書の中で、現況並みに風環境を抑えるということを目標に、ま ずは、 この 80 番の青山の、国道 246 号沿いの風環境を

瀬戸内海の水質保全のため︑特別立法により︑広域的かつ総鼠的規制を図ったことは︑政策として画期的なもので

小学校における環境教育の中で、子供たちに家庭 における省エネなど環境に配慮した行動の実践を させることにより、CO 2