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いが契機となって国防 外交 治世上のニーズから共通言語の創造が喫緊の課題に浮上 フリジアン語が英国の共用語として認知される環境が浮上する 注 :Oxford Dictionary English はフリジアン語について以下の通り解説している The Germanic language of Fris

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Academic year: 2021

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1 2018 年 10 月

英語、苦難の歴史を経てグローバル言語に

その軌跡を探る

佐川雄一

インドは、米国と並んで世界で最も多くの人が英語を話す国です。近い将来、英語を話す 国民の数では世界ダントツの一位になることはほぼ間違いないでしょう。しかし、本日 は、インドにおける英語の普及見通しについてではなく、英語がどのように誕生し、グロ ーバル言語に変貌したのか、お話したいと思います。

現在の英国(England, Wales, Scotland and Northern Ireland) には紀元前からケルト 人を中心とする住民が居住し、ケルト語やその他地方語 (Dialects) が話されていたが、 何れの言語も文字を持たず、部族間をつなぐ共通言語になることはなかった。他方、英国 の歴史を眺めると紀元前から 12 世紀まで、外国勢力の侵入・占領が続き、住民は侵略者 に屈服するか、反逆・反乱を起こすか、平穏な日々を送る機会を喪失していた。最初の侵 略者はローマ人(紀元前 1 世紀から 5 世紀(43BC – AD410))であった。ローマ人は文字 (ラテン語)を持ち、法を整備、勝れた文化を持っていたが、現地の住民との接触は少な く、ラテン語が英国社会に定着することはなかった。同じく、大陸からはアングル人 (Angles)、サクソン人(Saxons) 、ジュート族(Jutes) が移ってくるが、彼らも英国の先 住民と同じく文字を持たず、住民間で共有できる共通語を創りだす環境は育まれなかっ た。変革があったのは、ローマ人が退却した後、傭兵としておおよそ 1,500 人前後、現在 のオランダから英国に渡ってきたゲルマン系部族:フリジア人(Frisians) であった。彼 らは West Germanic 系の言語:フリジアン語を話し、独自の文字を持っていた。只、文字 を有していたものの渡来当初は英国の地方言語の域を出ることはなかった。6 世紀になる とローマ人が再び舞い戻り、今度は侵略ではなく宗教(カトリック教)を持ち込んでき た。しかし、聖書はラテン語で書かれ、教会の説教もすべてラテン語でおこなわれたた め、難しいラテン語を住民が学ぶことはなかった。その後も英国は、ノルウエイ人、デン マーク人に繰り返し侵略され、英国の一部が彼らの占領下になることもあった。彼らが話 す言語は英語と同じルーツを持つ広義のゲルマニック系言語であったため、彼らの占領期 間が長引けば英国の共通語はノルウエイ語或いはデンマーク語になっていたかもしれな い。 北欧からの侵略者を駆逐するために立ち上がったのがアルフレッド大帝(Alfred the Great)である。大帝は 878 年、英国の一部を占領していたデンマーク軍を打ち破り、英 国から、外国人勢力を一掃した英国の救世主 (The Saviour of England) となる。この戦

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いが契機となって国防・外交・治世上のニーズから共通言語の創造が喫緊の課題に浮上、 フリジアン語が英国の共用語として認知される環境が浮上する。

注:Oxford Dictionary English はフリジアン語について以下の通り解説している。 The Germanic language of Frisia or Friesland, most closely related to

English and Dutch, now with fewer than 400,000 speakers (筆者試訳:英語とオ ランダ語に最も近いのがフリジア地方(フリースランド)で話されているゲルマニッ ク系のフリジア語であり、現在でも 40 万人に近い住民の間で使用されている) しかし、フリジアン語が、英国の公用語になるにはさらなる困難が待っていた。英国への 外国軍の侵略はその後も止まることがなかった。1066 年には北部フランスのノルマン人が 侵略、フランス文化を英国に持ち込んだ。只、ノルマン人も、ローマ人と同じく、自分た ちの文化に誇りを持つ反面、現地社会との交流にはそれほど熱心ではなかった。それでも 12 世紀末までノルマン人に支配された英国では、貴族社会を中心にフランス語が使われる ようになり、公文書・司法・貿易・商業の領域ではフランス語が公用語になった。その結 果、多数のフランス語が英語に採りいれられた。 紀元前 1 世紀から 1,000 年以上にわたる外国勢力の侵略・占領に苦しんできた英国の住民 は、自分たち共通の言葉を持つべきとする意識が指導層・住民の間に芽生え、文字を持つ ゲルマニック系フリジアン語が共通語(公用語)として採用する動きが加速する。言語の 共通化は、長い間外国軍隊に侵略・占領された英国民に或る種の誇りと安堵感を与えるこ とになる。 ここで英語の原点になったゲルマニック語系のフリジアン語について触れておきたい。 ヨーロッパ大陸では多くの国・地域がヨーロッパ語の原典といわれるインド・ヨーロッパ 言語(Proto- Indo- European Language)を使用していた。その中の一つであるゲルマニ ック系言語 (Scandinavian, Dutch, German, Frisian & English languages)を使う民族 が、ローマ軍撤退後の 5 世紀、傭兵として英国に移り住んだことは既に述べたが、彼らが 話すフリジアン語が英国内で使用地域を広め、14 世紀 正式に英国の公用語になった。フ リジアン語は北海に面したオランダ北部で今もオランダの一地方語として使用されてい る。英国人がフリジアン地方を訪れると、彼らの話す言葉が英語に非常に近いのでビック リするという、英語とフリジアン 語を併せて Anglo-Frisian Languages と呼ばれる。数 年前 BBC 放送が、英語とフリジアン語の類似性について数回にわたる特別番組を報道、英 語の起源となったフリジアン語について詳しく言及された。

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3 ここで、英語の発展史についても触れておきたい。

英語の発展史を大別すると、古英語(Old English)、中英語(Middle English)、現代英語 (Modern English)に分けられる。古英語は、フリジアン語を軸に形成されていくが、その 過程でケルト語、アングル人・サクソン人のゲルマン系言語、ラテン語、スカンディナヴ ィア語、その他多くの言語を受け入れていった。従い、フリジアン語、即 古英語という わけではない。中英語は、ノルマン人の征服・移住によるフランス文化の受入れ、フラン ス語の(一部)採用により、新たな英語へと進化していくプロセスの産物と読み取れる。 現代英語(Modern English)は、古英語・中英語と同じく他国、他地域の多様な言語を吸 収し、進化した混成言語である。聖書の英訳化(1539 年)、英西戦争でスペイン無敵艦隊 の撃破(1588 年)、欧州で最初の辞書の発行(英語、1604 年)、その後の欧州大陸との貿 易拡大、アメリカ大陸の植民地政策の始動、東インド会社の設立(1600 年)に伴うインド 亜大陸の支配、等々、で海外から多数の言語を吸収し、現代英語の基盤が築かれていく。 さらに、シェイクスピアの登場で、英語ルネッサンス(The English Renaissance) が始ま り、英語が世界語になる環境作りが進んだ。 17 世紀初頭の欧州では、広い地域で使用されていた有力な言語はイタリア語、フランス 語、スペイン語であった。これらの言語とくらべると英語は地域言語に過ぎなかった。し かしここでも異変が起きた。1604 年、欧州で最初の辞書を発行したのは英国であった。イ タリアでイタリア語の辞書が発行される 8 年前、フランスでフランス語の辞書が発行され る 35 年前の快挙であった。勿論、地球規模で俯瞰すれば、アラビア語の辞書は英語の辞 書発行に遡ること 800 年前、サンスクリット語の辞書がインドで発行されたのは 1,000 年 前、決して英国がこの分野で世界のリーダーでなかったことは明らかである。 ここでインド・ヨーロッパ言語 (Proto-Indo-European Language) におけるフリジアン 語、英語 の立ち位置を説明したい。まず、ご理解いただきたいことは、インド・ヨーロ ッパ言語のオリジンはインドのサンスクリット語であるということである。 Sanskrit | Proto-Indo-European Language

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West Indo-European Family |

Germanic |

East Germanic North Germanic West Germanic (既に消滅) (スカンディナヴィア系言語) オランダ語 ドイツ語 フリジアン語 英語 (類似性が高い) 参考までにフリジアン語が使用されている地域をオランダの地図の中で示す。

オランダ語、ドイツ語、フリジアン語、英語は West Germanic 語系に属するが、その中で もフリジアン語・英語の関係は twin sisters (ふたごの姉妹)とも評価される。 一例 (a quote from Frisian: Language of the World: Introductory Overviews – You Tube) を挙げる。フリジアン語: buter brea en griene tsiis 英語: butter bread and green cheese, 両言語の類似性が理解できるのではなかろうか。

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5 次に、苦難の歴史を経て英語が、どのようにしてグローバル語になっていったのか探って みたい。 英語がグローバル語としてこれから 500 年、 1,000 年存在し続けるには、世界の市民が、 英国人(そしてアメリカ人)を見て、彼らに見習いたいとするビジョン・理念・統治・行 動規範のようなものを持ち合わせていないと、グローバル語への冒険を企てても成功は至 難であろう。 英語がグローバル語に発展していった里程標を辿ると、国力の充実と英国社会の多様性の 進化が密接に連携していることが明らかになる。

1215 年 マグナ カルタ(Magna Carta):ジョン王により制定された憲章 Common Law の下に国王の権限を制限する「法の支配」の原型となる。アメリカ合衆国憲法 の制定にも大きな影響をあたえた。 1362 年 英語を公用語(法廷、商業・貿易)に採用、法廷用語がフランス語から英語に転 換する 1399 年 ヘンリー四世が始めて議会でスピーチを英語で行う(ラテン語・フランス語を使 用せず) 英語が王家の言語として使用され、教育・文化の普及に寄与。 1399 年 カンタベリー物語(The Canterbury Tales)チョーサー著

英国初の長編物語、英語で書かれた大衆文学の誕生 (フランス語も多く使用され ていた) 1476 年 ロンドンで印刷業が始まり、読書の機会が市民の間で広がる (1439 年 グーテンベルグ( Gutenberg)印刷機の発明) 1539 年 聖書がラテン語から英語に翻訳され、宗教が国民の身近な存在になった。 (ローマ法王庁に敵対するこの種の行為は極めてリスキーな決断であった) 1588 年 スペイン無敵艦隊を撃破、英国がヨーロッパの新興国として世界史に登場 1600 年 東インド会社の設立(アジア貿易を目的に設立された世界最初の株式会社) 1564 – 1616 年 ウイリアム・シェイクスピア の登場、“英語ルネッサンス”( A

Renaissance of Words - The English Renaissance) が始まる

現在使用されている英単語の内、シェイクスピアが新語として創りあげたか、当 時使用されていた語彙を始めて印刷物に紹介した英単語が二千語以上あると言わ れている。そして、オクスフォードの英語辞書には、シェイクスピアからの引用 が 14,000 例以上もある。(The Oxford English Dictionary lists more than fourteen thousands Shakespeare quotations.)

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6 シャイクスピアが作った表現: A fool’s paradise ぬか喜び A forgone conclusion 当然の帰結 Household words 日常使い慣れた言葉 It was Greek to me ちんぷんかんぷん Love is blind 愛は向こう見ず

Play fast and loose 無責任な行動をする Star-crossed lovers 幸薄き恋人たち シャイクスピアが作った単語:

advertising, cold-blooded, drug, embrace, employer, engagement, fashionable, gossip, investment, laughable, luggage, mountaineer, outbreak, partner, petition, retirement, rival, traditional, watchdog etc. 1604 年 欧州で最初の辞書(英語)が英国で発行される 1620 年 メイフラワー号で清教徒の北米大陸への移住 1769 年 ジェームス・ワットの蒸気機関の発明(産業革命の始まり) 1776 年 国富論の発行 (経済学論の発祥) 紀元前から 12 世紀まで、外国勢力の侵略・占領に喘いでいた英国にも「日が昇る」時代 が到来したのである。フリジアン語 を原型とする英語が国語として認められ、英国人に 希望と結束をもたらした。その後、世界史の中でも類を見ない一連の「改革・刷新」の波 が英国内部から湧き上がり、欧州の未開地から欧州のリーダーへと英国はあざやかに転身 する。同様に、英語もシェイクスピアの台頭で魅力的な言語に変身していく。 その シェイクスピアの時代に、英語がアメリカ大陸への大航海の旅を始める。そして新た な地域における新たな英語の創造が始まる。その後も英語の大航海が続き、今日に至る → インド、→オーストラリア、→西インド諸島、→アフリカ、他。 5 世紀にオランダのフリジアン地方から傭兵として英国に渡った約 1,500 人のフリジア人 がもたらしたフリジアン語 が英語の原型になったことは既に述べた通りである。それか ら 1,500 年が経過した現在、英語は約 15 億人の人々が話す、グローバル言語に変貌し た。 なぜそうなったのだろうか。

英国人が持つ特性、「他人から優れたものを吸収する能力」(Its capacity to absorb others) が指摘される。現在、英国で使用される英語には、驚くべき多くの言語:ケルト語・その 他英国の地方語、ラテン語、ノルウエィ語、デンマーク語、ドイツ語、フランス語、イタ

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7 リア語、スペイン語、等々が入り混じっている。17 世紀以降、世界各地で展開された英国 の植民地政策は、現地社会の調査・研究・交流を深める努力を怠らず、現地の言葉を英 語. 入れるなど、現地の人たちが英語を学習するインセンティブを創ったのである。しかし、 植民地政策の遂行において英国が多くの罪を犯していることも事実である。

大英帝国が消滅した今でも、英連邦(The Commonwealth of Nations)が存続、英国・カ ナダ・豪州、アジア、アフリカ、西インド諸島、太平洋諸島を含め、参加国は 53 ヵ国に 上る。この数は、国連加盟国の四分の一を占める。大英帝国が崩壊した直後、新たな英連 邦同盟が 1949 年に設立されたが、現代版英連邦設立の熱心な提唱者は、インドの初代首 相(1947 – ‘64 年)、J. ネルーであったというから驚かされる。ネルーは盟友:マハトマ ガンデイーとともに大英帝国から独立を勝ち取るべく長い間、反英・独立運動を展開して きたインドの国民的リーダーである。その彼も英国人の優れた特質(Principles, Moral Ethics) を認めていたのである。 もう一点挙げれば、英国人は、「走り・歩きながら政策・考えを修正していく弾力性・柔 軟性」を備えていることである。英国人が持つ弾力性・柔軟性が広範な地域で英語を受け 入れさせ、グローバル言語の足場を築いたのではなかろうか。 最後にインドデリーメトロ公社総裁(当時)スリダラン氏とお会いした時、総裁から聞い た話を引用して私の報告を終えることにしたい。 『数十年も前の話になるが、インド国鉄勤務時、英国国鉄でトレーニングを受けることが 決まった。英国赴任後、最初の出勤日に現場の責任者との面接があった。面接後、英国人 職員が集まる中でスリダラン氏を責任者が紹介してくれた。今でも鮮やかに覚えている責 任者の言葉がある。“諸君、今日から 3 ヵ月間、インド国鉄からトレーニングを受けるた め派遣されてきたスリダラン氏を紹介する。同僚として受け入れ、仲良く一緒に仕事をし てほしい。一つだけ、諸君が忘れないでいただきたいことがある。それは、スリダラン氏 が君たちより遥かに英語力で勝れていることである。”』英国人が持つ特性、「他人から 優れたものを吸収する能力」を率先垂範した事例と言えるのではなかろうか。 以上 参考文献:

The Adventure of English – The Biography of a Language by Melvyn Bragg The Economist March 19th 2016

シェイクスピア 全集(全 37 冊)小田島雄志訳 白水ブックス

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Hamlet Cambridge School Shakespeare Cambridge University Press The Merchant of Venice - ditto –

Frisian: Language of the World: Introductory Overviews – You Tube Oxford Dictionary English

参照

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