Kunigami Tourism Association(KUTA) 左上・右上:国頭村、左下:東村、右下:大宜味村
「やんばる三村たまて箱(環境省事業)」のようす
やんばるの森通信
NPO 法人国頭ツーリズム協会
平成 22 年 6 月 30 日発行第53 号
Kunigami Tourism Association(KUTA) 2カ年の大きなCCY事業が終わり、ほっと一息。 ここに事務局の活動をご報告します。 やんばる3 村たまて箱講座は、やんばるが持続可能な 地域であるために、地域の資源をどのように保全し、活 用していくことが良いのか、より多くの地域の人々が体 験を通して考え、次の行動へ繋げる機会をつくることを 目的に実施されました。 各回のプログラムは、①地元 3 村の人達から見ても、 身近で知らないところに魅力がある。②楽しさが盛り込 まれている。③地域の魅力や資源を、次の世代に残すた めにはどうしたら良いのかを自分と関係のあることと して、考えられることを大切に行いました。東村では慶 佐次でマングローブ観察とカヌー体験、大宜味村はター 滝で沢登り体験、国頭村は与那フィールドの森で自然観 察会とネイチャーゲームをそれぞれ行いました。 3 村が協働した講座は初めての試みでしたが、各村の自 然資源が抱えている課題と、その自然を持続的に活用し ていくためにはどうしていけば良いのか、お互いに学び、 共有した場となりました。 CCYメンバーとして2 年間取り 組んできた「地方の元気再生事業」 が、ついに?終わりました。2年目 のKUTA は、国頭のガイドツアーの 仕組みづくりを行いました。 山・海・川と豊かな資源に恵まれ ている国頭村ですが、まだまだ十分 に活用しているとはいえません。登 録必須講座(自然関係法令、普通救 命救急)を受けた約40 名が、今後国 頭ぐすいツアーガイドとして活躍す る予定です。 4月1日には、国頭村の観光窓口が道の駅ゆいゆい国頭に誕生しました!今後、国頭の素晴らしさを伝 える拠点になるよう、KUTA も協力していきたいと思います。↑国頭ぐすいガイドツアーパンフレット
Kunigami Tourism Association(KUTA) 今年はヤンバルクイナの交通事故件数が多く、環境省 から非常事態宣言も出されました。やんばる国頭の森を 守り活かす連絡協議会(CCY)では昨年度、事故防止の ためのDVDを制作し、現在国頭の道の駅や村内の工事 関係者の安全大会などで活用しています。 今年度は、ヤンバルクイナの道路滞在時間が少しでも 少なくなれば、ドライバーが道路上の生きものを少しで も早く発見してくれれば、との思いから、楚洲区を中心 とした県道の草刈り・側溝掃除を行っています。最初は KUTAスタッフ5名から始まり、3回目の作業は、C CYメンバー&周辺工事関係者総勢 32 名!!の参加とな りました。これからも継続していきたい活動です。 ↑事故防止 DVD ↑1回目:5 名(4/20 早朝) ↑2回目:15 名(5/15 夕方) ↑3 回目:32 名(6/29 夕方) 国頭村では、昨年度より森林地域のゾーニング計画の策 定を始めました。計画策定検討委員会では、KUTA は役 場企画商工観光課とともに事務局を担当しています。これ まで行われてきた複雑な利活用の状況や規制区域などの 情報を GIS というソフトを使って整理するとともに、「① 残すところ、②守るところ、③再生するところ、④利活用 を図るところ」を区分し、持続可能な森林資源管理の実現 を目指します。 来年3月の計画策定に向けて、6回の検討委員会と3回 の意見交換会を行う予定です。計画に対する意見は、役場 2階の意見箱や Fax(41-5910)で随時受け付けています。 今がチャンス!意見や感想など、まずは意見書に書いてみ ませんか? 「基本方針」に関するパンフレット→
Kunigami Tourism Association(KUTA) 春を告げる森、それぞれの樹木が見せる色鮮やかなグラデーションも、今ではブロッコリーの森へと変森(変 身)している。3 月下旬~5 月に卵からかえり、親鳥から餌を貰っていた小鳥たちも巣立って、一人前に飛び 交っている。5 月も下旬、「チィーー」とムシの鳴き声の様に聞こえてくる、体長 17~21 ミリくらいの小型 のセミ「クロイワニイニイ」である。本島中部では 4 月上旬から鳴き始める。彼等の出現は、沖縄の夏の到 来である。森に入ると、森林性の「ニイニイゼミ」(20~26 ミリ、6~9 月)や「オキナワヒメハルゼミ」(23 ~28 ミリ、5 月下旬~8 月)がいる。このセミは沖縄本島、伊平屋島、渡嘉敷島、久米島に棲息し、合唱す る習慣を持っている。日中合唱しては鳴き止み、しばらくすると鳴き出すというパターンである。「ダイトウ ヒメハルゼミ」(26~30 ミリ、3 月中旬~6 月)は、沖縄本島産のヒメハルゼミに比べ、やや大きめである。 名前の通り、南、北大東島のみに棲息し、環境省のRDB絶滅危惧Ⅱ類に指定されている貴重な存在である。 セミの種類は世界で約 2,000 種といわれている。日本全土では 36 種類が分布している。そのうち沖縄に 棲息しているのは 19 種(沖縄本島には 9 種)。日本全土の半数強が棲息している。その中で、 日本で一番大きな「ヤエヤマクマゼミ」48~55 ミリ、6 月~9 月 日本で一番小さな「イワサキクサゼミ」12~18 ミリ、3 月~7 月 日本で一番美しい声で鳴く「イシガキヒグラシ」24~37 ミリ、6 月~10 月 日本で唯一体が緑色で美しい「クロイワゼミ」23~31 ミリ、5 月~8 月、環境省RDB絶滅危惧Ⅱ類 など特徴のあるセミが多い。また、「オオシマゼミ」(46~56 ミリ)は一時的に 6 月頃に鳴き始めるが、本 格的に鳴くのは 8 月中旬~12 月までである。このセミは沖縄本島北部、慶良間諸島、久米島、奄美大島、徳 之島以外に棲息しておらず、本土からのお客さんや沖縄本島中南部から来られる方々から、「今鳴いている鳥 は何という名前ですか」と質問されることが時々ある。「オオシマゼミ」というとお客さんびっくり。本土や 沖縄本島中南で 11 月にセミが鳴くはずがないからです。沖縄は、セミも貴重種の宝庫かもしれない。 学校が夏休みに入る頃から、沖縄は「クマゼミ」の鳴き声と共にうだる暑さが増してくる。 学びの森センター長 カール大城(大城馨)
学びの森の仲間たち 8
沖縄本島で外来昆虫が大ブレイク ~タイワンハムシ~
今年2月末に、名護市の県道18号の傍らで初めて見つかった8 ミリ程の金緑色のハムシが、2ヶ月足らずで宜野座村以北のやんば る全域で確認され、6月には那覇市や糸満市でも多数見つかるよう になりました。この虫の正体はタイワンハムシ。台湾と中国・ベト ナムに分布し、成虫・幼虫ともタイワンハンノキをホストとするこ とが知られています。今や、やんばるの県道・林道沿いに立ち並ぶ タイワンハンノキの葉は、ことごとくこのハムシに食害され茶褐色 を呈し、まるで本土の秋景色のようです。 大ブレイクの原因は、この虫が外来種で天敵が居ないこと、卵から成虫羽化までの日数がわずか20日 前後であること、ホストのタイワンハンノキが豊富にあること等が考えられます。 やんばるの生態系への影響を注意深く見守って行きましょう。 ムシムシおじさん 杉野廣一国頭村環境教育センターー
Kunigami Tourism Association(KUTA)
活動報告
1
2
地元辺土名高校から環境科の 2 年生(22 人)が宿泊実習に やってきました。今年で 3 回目となる宿泊実習。意外にも、意 識して自然に触れる事が少なくなってきた地元の子どもたち。 野外活動や自然体験活動を通し、自然に親しみながら活動する 喜びを育てること、仲間との共同生活を営みながら協調性や主 体性を育てることを目的としたこの宿泊実習。初日、琉球竹の 刈り取りを行い、鬼太郎ハウスの屋根の差し換えを行いました。 初めての作業に初めは上手くいきませんでしたが、やっていくうちにだんだん慣れてきました。夜は飯 ごうなどを使い、自分たちで野外炊飯。夕食が済んだら、みんな楽しみにしていたナイトハイク!!ホタ ルや光るキノコにカエルたち、夜の生き物にたくさん出会えました。最終日はジャングルカヌー体験を行 い、沖縄の水事情に少しだけ触れました。この宿泊実習での体験を通して、地元の子たちが、これまで以 上に自然との関わりを普段の生活の中に持ってくれるといいですね。 4月25 日山口大学付属山口中学校の修学旅行、約 150 名で、比地大滝 のトレッキングと比地川のカヤック体験を、また一人の生徒がケガのため文化 体験に参加しました。比地川のカヤック体験では、JAL オクマのスタッ フの皆さんにインストラクターを務めて頂き実施することが出来ました。 また、文化体験は鏡地区在住の山城美千枝さんにランプシェイド作りを お願いしましたが、それ以外にも山川洋一さんのサンシンや踊りなど、 色んな工夫をして頂きました。皆様、ありがとうございました。 地域の多くの人の関わりの中で、プログラムが実施出来たことが、今回の大きな成果でした。 GW期間の5月2(日)~4日(火)の日程で、「みんなで作る! 森のゆうえんち2」を実施しました。「森のゆうえんち作り」は、 映画のロケで使われた鬼太郎ハウスとツリーデッキを5本のモ ンキーブリッジ(吊り橋)で結ぶ計画です。全4回の内の2回目 でした。お父さんたちはデッキ作り、お母さんたちはつり橋を 編み、こどもたちは階段やブランコを作りました。 一日の大半をやんばるの森の中、日頃なれない作業でくたくたに疲れたようでしたが、今回の目標分を 完成し、みんな達成感を感じた様です。次回森のゆうえんち3は 7 月 17 日~18 日です。皆さんご参加を お待ちしております。 〒905-1504 国頭村字安波 1301 番地7 TEL 0980-41-7979 FAX 0980-41-7980Kunigami Tourism Association(KUTA) 最近の国頭の様子と、これからの行事につい てお伝えするコーナーです。 小木曽 千夏(おぎそ ちなつ) やんばる(辺戸)育ちです。今年度より、森林公園の管 理棟での受け付けをしながら“森林セラピー” を学び始 めました。生まれ育った国頭村の自然を学びながらみんな が癒される場所作りを目指します♪まずは自分癒しから。 ココロとカラダを健康にするぞ~っと。 スローペースですが、よろしくお願いします。 将来の夢→幸せな家庭を築く&みんなが癒される場所作り☆ 国頭村森林公園でフローラルウォーター(植物を使った化粧水)作りを始めました! 梅雨が明け、蝉たちの鳴く声にも日に日に力が入ってきているように感じます。夏の風物詩といえ ば、アカショウビンに代表される夏鳥も続々とやんばるに渡って来て、子育て真っ最中ですね。また、 海辺で群れているアジサシの仲間たちも、ミジュンやキビナゴの稚魚を追いかけては、海中にダイビ ングして捕まえる姿もこの時期ならではの風景です。 私にも、去年のちょうど今頃、息子が生まれ、子を育てる立場になりました。あれから1 年、また、 この季節が巡ってきたところですから、やんばるで子育て中の生き物たちを見ていると、どうしても 他人事ではない気がしています。 息子は去年、アブシバレーで辺土名区民の仲間入りを果たし、今年は満1 歳のお祝いを終えた所で す。お祝いの席では、「子どもの将来を占う儀式」があり、大きなお盆に赤飯、そろばん、硯(すずり)、 筆、本、お金などを並べて、それらの前に子どもを座らせて、子どもがその中から何を選ぶかで将来 を占います。そろばんを取れば、商売人になる、赤飯を取れば、食べるのに困らない、お金を取れば、 お金持ちになる、それぞれによい意味があります。私の家では、カメラと釣り具も加えました。家族 が見守る中、私の息子が選んだのは「そろばん」。私や祖父の思惑を見事に打ち砕いた息子は、家族か ら大喝采を浴びたことは言うまでもありません。子どもを囲み、家族や親戚、友人と一喜一憂したひ とときは、改めて、自分もたくさんの人に支えられて暮らしてきたんだと実感しました。 久高将洋
Kunigami Tourism Association(KUTA) その①:「対馬丸と私」安波出身の平良啓子先生のお話を辺小の平和学習で聞いた。幼少のころ安波の山、 川、海での遊びや生活の中での自然体験と知恵が戦争疎開船対馬丸の撃沈から 6 日間の漂流、無人島漂 着から生きようとする力となり無事生還でき、今の自分があるとの内容でした。先生が小学校 4 年生の 頃の事です。戦争の醜さと人間の醜さのなかから「生きる力」の必要性を強烈に感じました。 その②:学びの森ヨンナーコースに体の丌自由な子供たち 36 人と 26 人のスタッフがモニターツアー で訪れた。葉っぱだけを拾う子、木に寄り添い話している子、車いすから一生懸命(木のぼりトカゲ) を見てる子、クモの巣に興味を見出す子、いろいろな場面、場面にやんばるの森の醸し出す何かを感じ てくれ、やんばるの森の生き物たちも空気も彼らをやさしく受け入れている様子でした。 その③:今日、辺小の銘木「栴檀」の木でおもしろいことを見て興奮した。蝉と 4 年生の子供たちの遊 びである。休み時間に蝉を捕まえようと栴檀木にのぼったりジャンプしたりする輪の中から一人の子が 竹ぼうきを持ってきた。何をするのかなと見ているとパッと枝の下にとまっている蝉に竹ぼうきを被せ 見事に捕まえた。立派な蝉とり器にはや変わりである。思わず拍手喝采 *私たち人間は自然の中から「生きる力」を授かり、気づき、学び、活かす。 やんばる国頭は「生きる力」を育む大きな場がありこれからも大事にしたい。 感謝…感謝…感謝 代表理事 山川安雄 民主党政権になって最も話題となった「事業仕分け」。「よしよし!どんどんやれ~!」とニュースを みながら喜んでいたら、なんと自分たちにも… 5年間で楚洲の結の心と共同店を再生させるために取り組んできた「農山漁村(ふるさと)地域力発 掘支援モデル事業」が、3年目を迎えることなく終了してしまいました。楚洲の臭いを何とかしたいと 取り組んできた土着菌飼料の製造試験、共同店を拠点として楚洲区で起業しよう、と講師を招いて勉強 を重ねて作った「都市農村交流事業計画」。少しずつやりたいこと・できそうなことが具体化してきてい ただけに、みんながっかりしていますが、協議会は解散せず、少しでも何かしていきたいと思います。 ↑楚洲共同店の新しい看板と展望台が完成! ↑曽根原氏による都市交流事業計画書
Kunigami Tourism Association(KUTA)