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図 1 日本のスギ丸太生産量の推移資料 : 木材需給報告書 丸太生産量 (1000m3) 年 図 1 日本

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Ⅰ 原木広域流通モデル総論

1.広域連携による原木の安定供給とは? 本報告書は、原木の安定供給に向けた広域連携のあり方を検討したものである。原木の 安定供給という政策課題が出始めたのは、昭和 58 年度に実施された林野庁の事業「国産材 安定供給基地づくり」の頃からである。それ以後、現在に至るまでこの課題はわが国の国 産材振興にとってきわめて重要な課題であった。 では「国産材安定供給基地づくり」が実施された当時の、原木の安定供給の課題とは次 のようなものであった。すなわち、「需要者が国産材に対して最も期待することは何か。 それは供給が質・量・価格に関して安定的(固定的という意味ではなく)に行われるとい うことである。とくに、量的に不安定であるというのが国産材供給の最大の欠点とされて きた。この欠点を克服していかなければ、いくら資源が充実してきたからといって、そう 簡単に国産材時代を迎えることは困難である。…国産材も資源的に少ないうちはあまり需 要確保とかマーケッティングには気をつかわなくてもよかったが、これからはそうはいか なくなる。国産材安定供給基地づくり事業は、国産材供給のもつ不安定さを、ある一定の 地域をまとめることによって克服し、資源的に増大してくる国産材を確実に需要に結びつ けていくために足腰の強い供給体制を作っていこうとするものである」(橋本智他著『国 産材時代を創るー国産材安定供給基地づくりー』〔林業改良普及双書87〕、全国林業改 良普及協会、昭和 59 年、49~50 頁)。現在でも十分に当てはまる指摘である。 しかし、広域連携を図りながら原木を安定的に需要に結びつけていこうという考え方が 浮上してきたのはここ数年のことである。 もっとも原木の広域流通そのものはかなり古くから見られた現象であった。例えば、素 材流通業者(いわゆるブローカー)がA市場から丸太を購入して、より単価の高いB市場 へ転売してその差額を利益として得ることなどは昭和 50 年代中頃までは広範にみられた。 また、ヒノキのように資源が地域的に偏在している場合、需要サイドがかなり広域にわた ってヒノキ丸太を集荷することがみられた(その典型は「東濃ヒノキ」)。さらに現在で も、例えば青森県のように、県内にスギを消費する製材・加工業がほとんどない地域では、 県境を越えて隣接の秋田や岩手の需要地へ原木が移出する現象も全国的にみられる。 しかし、本報告書でとりあげた「原木の安定供給に向けた広域連携のあり方」を探ると いうのは、これらとは多少ニュアンスが異なる。やはり時代の変化に対応した新しい原木 の安定供給の仕組みづくりということであろう。 2.原木の大口需要の発生 その背景には、2000 年代に入ってからの国産材丸太の急増がある。特に、2003 年以降、 スギ丸太の生産量が増加に転じたが(図1)、この背景には、国産材製材業の規模拡大や 合板業界でのロシア材や米材からスギへの樹種転換がある。

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2 図1 日本のスギ丸太生産量の推移 資料:『木材需給報告書』 まず国産材製材・加工工場大手は表1のように大規模化が著しいし、表2のように最近 では新たな大型製材・加工工場の稼働(予定も含む)も始まっている。 一方、合板工場の国産材消費もリーマンショックなどあり一時期減産を余儀なくされた ものの増加基調にある。その増加量は図2に示したように驚異的である。 このように製材・加工業の規模拡大、合板業の国産材消費量の増加など国産材の大型設 備投資には目を見張るものがある。そして、原木の安定供給という視点から両者に共通し て言えることは、大口需要の発生ということである。例えば、表の上位にランクされてい る木脇産業(宮崎県都城市)のスギ原木消費量は 13 万 5000 ㎥である。月間 1 万 1250 ㎥の 消費量である。単純に月23日稼働として計算すると、1日当たりの挽き量は489㎥に 達する。約 500 ㎥である。10 トントラック50台が同社の土場に出入りすることになる。 いかに大口の需要であるかが窺い知れる。 3.大口需要に対応した新たな素材流通の担い手の誕生 そしてこれらの大口需要に対しての原木の安定供給とは、従来の原木市売市場経由とは 異なった新たな流通構造が形成されつつある。すなわち直送のパイプの増大であり、また それを担う新たな素材流通の担い手の誕生である。 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 6500 7000 7500 8000 8500 9000 9500 10000 丸太生産量(1000m3) 図1 日本のスギ丸太生産量の推移 資料:『木材需給報告書』。

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3 それらをいくつか例示してみると、次のタイプに分類できる。第1のタイプは、数こそ まだまだ少ないが、都道府県森林組合連合会の商社化である。ここでいう商社化とは、① 素材生産業者(単位森林組合の林産事業及び民間の素材生産業者の素材生産) と製材・加工業、合板業などの仲介をしながら丸太の販売業務をすること、②商取引だけ でなく与信機能の一部も担っていること、③立木の購買や丸太の購買にも積極的に参入し ていること、などである。 こうした商社化が従来の丸太の売市業務と大きく異なることは明らかである。すなわち、 これまでの原木市売りは、いわば丸太が欲しい者はセリに参加して落札し、相応の金額を 置いていけばそれでおしまいというビジネスであったが、商社化した都道府県森連は、こ うした「売ってやる」という「士族の商法」から脱却して、①~③の業務を担うようにな った。大きな変化である。 その典型的な例が、青森県森林組合、栃木県森連、岐阜県森連、宮崎県森連などの活動 である。ここでは青森県森連を紹介する。 青森県森連の丸太取扱量(系統事業)は平成 18 年度は 9 万 8000 ㎥であったが、平成 21 年度には 29 万 2000 ㎥と 3 倍の伸びを示している。青森県内にはスギを消費する製材・加 工業などがほとんどないため県外への移出が中心であるが、東北各地の製材工場、集成材 工場、合板工場などへ丸太を販売しているが、航路(日本海側の七里長浜港、陸奥湾内の 野辺地港、太平洋側の八戸港など)を利用して北陸や山陰へも合板用スギ丸太を移出して

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4 いる。丸太はすべて納入場所における買取りである。そして、買い取った丸太を仕訳して、 それぞれの大口需要に供給している。 第2のタイプは、国生協や素生協などが、大型製材工場、集成材工場、合板工場などへ 丸太を供給するために新たに再編された組織である。これは東北などの国有林地帯でみら れるが、その代表例が協同組合ノースジャパン(盛岡市)である。ノースジャパンの母体 は平成 15 年 4 月に設立された岩手県素材流通協同組合である。合板工場向けの丸太供給を 中心に右肩上がりで事業量を伸ばしたが、この過程で岩手県以外の素材生産業者、すなわ ち秋田県、青森県、宮城県の素材生産業者が協同組合に組合員として加入し、岩手県では 括りきれないほどの丸太の集荷範囲が拡大した。設立当初 24 名だった組合員数が現在では 100 名を数えるまでに増加している。開設当時の丸太取扱量は 2 万 6500 ㎥であったが、平 成 22 年度は 26 万 5000 ㎥の取扱量にまで増加した。ノースジャパンでも八戸港を利用した 航路による素材の供給を手がけている。 2000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 素材需給量( 千m3) 国産材 外材 図2 外材・ 国産材別合板用素材需給量の推移 資料:『木材需給報告書』。

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5 第3のタイプは、原木市売市場の商社化である。これは原木市売市場が未成熟であった 東北とは対照的に西日本でみられる。その代表例は(株)伊万里木材市場である。同社は もともと丸太と製材品を扱う市売問屋であったが、中国木材(株)が伊万里に進出し米マ ツとスギの異樹種集成材(ハイブリッド)生産を開始したのに伴って、隣接する団地にス ギラミナを供給する西九州木材事業協同組合を開設した。これをきっかけに丸太の取扱い 量を増加させた。その特徴は同社のシステム販売と呼ばれる丸太の集荷販売方式である。 同社では伐採・搬出労務班を 13~15 班抱え(うち直営班は 3 班)素材生産を行っている。 その月間丸太取扱量は 4 万~4 万 5000 ㎥に達する。しかも特徴的なことは、素材生産を行 った伐採跡地の再造林まで手がけていることである。すなわち、森林所有者と立木売買契 約を結ぶ際に、皆伐後、森林所有者に代わって伊万里木材市場が5年間森林整備(再造林 と下刈り)を行う契約を結び、5 年目の下刈り終了後に森林所有者に林地を返還するとい うものである。これまでに約 30 箇所、50HA の実績を挙げている。 4.事業体別素材生産の特徴 以下では、素材生産の主要な担い手である森林組合、民間の素材生産業者、製材業者の 特徴について概観しておく(『木材建材ウィクリー』No.1859、2012 年 2 月を参考にした)。 (1)森林組合 森林組合の行う素材生産(林産事業)の特徴は間伐が多いことである。特に2008度 以降は間伐と主伐の割合が逆転し、平成 21 年度は間伐が 188 万 5000 ㎥(58.3%)と主伐 の 134 万 6000 ㎥(41.7%)を上回った。 この背景には、国が間伐に対する補助制度を設けているからで、特に森林組合に対して は育成林業整備事業などで切り捨て間伐にも補助金が支給されており、零細な森林所有者 が森林組合に間伐を依頼して実施した場合でも同様である。 しかし平成 24 年度からはじまる森林環境保全支払事業では、森林経営計画の樹立と間伐 が一体となった森林施業に補助の対象が移されることになっている。これが今後の林産事 業の整備拡充につながっていくのかどうかがポイントになる。 (2)民間の素材生産業者 民間の素材生産業の大半は小規模で個人経営である。『2010年世界農林業センサス』 によれば、受託もしくは立木買いによって素材生産を行った林業経営体は 3399 あるが、こ のうち個人経営体が 51%、その他の会社などの法人組織が 26%、森林組合が 15%のうち わけになっている。さらに素材生産規模別の経営体では 54%が年間の素材生産量 1000 ㎥ 未満の小規模な事業体である。この一方で、年間の素材生産量が 1 万㎥以上の経営体数は 8%にすぎないが素材生産量の 55%を占めている。 こうした中で、林業作業(植林、下刈など、間伐、主伐)では、素材生産業者などの会 社が主伐の7割を占めており、間伐のウエイトが多い森林組合とは対照的である。 また農林水産省が素材生産業者を対象に実施した調査(2008年公表)によれば、今 後、安定的な経営を行うために取組みたい方策について質問したところ、「作業の機械化」

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6 がもっとも多く(68%)、次いで「人材の確保・育成」(65%)、「事業量の拡大」(48%)、 「事業の多角化」(22%)となった。 以上から、民間の素材生産業者は高性能林業機械などの導入を望んでいるものの、実態 としては生産規模が小さい零細経営であるため資金力に乏しく、高額な高性能機械への投 資に消極的な姿勢であることが窺える。 しかし国内の人工林が本格的な利用期に入りつつあり、これを資源基盤として前述のよ うに製材工場が規模拡大をしたり、合板工場が国産材利用量を著しく増加させていること を考えれば、民間の素材生産業者の事業規模拡大や地域的な連携も視野にいれた原木の広 域供給体制の確立が求められている。 (3)製材業者の素材生産 こうした森林組合や民間の素材生産業者の行う素材生産とは別に、製材業者が自ら素材 生産を手がけるケースが多くなり、その存在感は年々増している。前掲表1および表2の ように、年間の丸太消費量が10万㎥を超える製材工場が続出する中、外部、すなわち原 木市売市場、素材生産業者、国有林システム販売などからの購入だけでは必要量を確保す ることが難しくなりつつあることが背景にある。 製材業者自らが素材生産(立木購入)に乗り出すメリットは、丸太の低コスト安定調達 が見込めることであるが、その一方で、自社で製材できない径級の丸太やB材、C材の処 理に難儀をきたすことである。下手をすれば赤字になりかねない。 しかし、合板、集成材の大口需要の増加や木質バイオマス需要の拡大に伴ってチップの 需要が拡大しており、B材、C材の受け皿が整備されつつある。条件次第では立木購入も 採算ベースに乗る可能性も出てきたことが、大手製材業者の素材生産への参入に拍車をか けている。 前出の木脇産業(株)(宮崎県都城市)は外部からの調達を含めたグループの丸太集荷 量は 16 万㎥に達する。自社の 13 万 5000 ㎥を上回る材積である。この集荷力をビジネスと して飛躍させようと、宮崎県内の有力素材生産業者 4 社(木脇林業、井上林産、松岡林産、 日北木材)を中心にフォーエバーウッド事業協同組合を設立した。安定出材をめざしたい 素材生産業者と、原木の安定確保を実現したい製材業者の橋渡し役になりそうな可能性を 秘めている。広域連携の1つのありかたであることはまちがいない。 以上をまとめると次のようになる。すなわち、2000 年代に入って、製材、集成材、合板 需要の拡大によってスギを中心とする国産材丸太の生産量が増加したが、このことは換言 すればこれまでの需要と異なって大口需要(しかも直送)が発生したことになる。 こうした新たな需要に素材生産サイドが対応していくためには、これまでの小規模・分 散的な供給体制では不十分であり、広域連携を視野に入れた新たな供給体制の確立が焦眉 の課題になっている。本報告書は、こうした時代の変化を踏まえて、広域連携による原木 の安定供給のあり方を検討するために、次の9つの地域を選定してビジネスモデルをつく ってみた。

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7 5.原木広域モデル地域選定の考え方 (1)素材生産の動向 ①全国的動向 本事業の取り組みに当たっては全国から9地域を選定した。その選定の考え方を説明す る前に、わが国の素材生産の動向について概観しておく。 図3(興梠克久原図)は森林資源成熟度と森林生産力の関係を示したものである。その 地域的特徴点を整理すると次のようになる。第1のグループは宮崎、熊本、大分(九州中 部)のように森林資源の成熟度が高く素材生産量も多い。第2のグループは愛媛、高知、 徳島、福岡、佐賀(四国・北九州)で、森林蓄積は第1のグループに比べて遜色がないも のの、素材生産量はそれほど多くないのが特徴である。第3のグループは栃木、茨城、福 島(東北・北関東)で森林蓄積は第2グループに比較すると少ないものの、第2グループ と同じような素材生産量を実現している地域である。 以上、しごく当然のことであるが、森林資源の成熟度と素材生産量には相関関係が見出 せるものの、例外的なのは和歌山、奈良などのように森林資源の成熟度が高いにもかかわ らず素材生産量が少ない地域の存在である。これらの地域はかつて先進林業地といわれた 地域であるが、木造軸組住宅が真壁工法から大壁工法へと大きく転換したため、良質材の 需要が減少したことが素材生産量の減少につながっているものと考えられる。 ②素材生産の地域性 以上のことは素材生産の地域性にもそのまま反映されている。図4は県別のスギ素材生 産量の推移を指数で示したものであるが、スギ素材生産量を増加させている九州、199 0年代は低迷していたものの、2000 年代に入って増加に転じた東北地域、減少の一途をた どっている東海、近畿という地域性を表している。

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8 図3 森林資源の成熟度と森林生産力(興梠克久原図) 以上の素材生産の動向を視野に入れながら以下9つの地域を選定した。 図4 地域別スギ素材生産量の推移(割合) 資料:『木材需給報告書』 注:1985 年=100 とした指数 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 40 60 80 100 120 140 160 180 指数(%) 全国 東北 九州 東海 近畿 中国 図4  地域別スギ素材生産量の推移(割合) 資料:『木材需給報告書』。 注:1985年=100とした指数。

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9 (2)モデル地域の選定 原木流通広域会議開催地 ①石狩・胆振(北海道) ⇒ 札幌市 ②東北北部(青森県、秋田県) ⇒ 秋田市 ③福島南部・北関東(福島県、茨城県、栃木県) ⇒ 宇都宮市 ④飛騨・石川(岐阜県、石川県) ⇒ 金沢市・名古屋市 ⑤東三河・静岡西部(愛知県、静岡県) ⇒ 浜松市・名古屋市 ⑥愛知・三重 (愛知県、三重県)⇒ 伊勢市・名古屋市 ⑦中国東部(岡山県、鳥取県) ⇒ 津山市 ⑧阿波・土佐(徳島県、高知県) ⇒ 徳島市 ⑨豊後・日向 (大分県、宮崎県)⇒ 佐伯市・大分市 石狩・胆振 東北北部 福島南部・北関東 東三河・静岡西部 愛知・三重 中国東部 阿波・土佐 豊後・日向 飛騨・石川

原木広域流通モデル地域

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10 ①北海道石狩・胆振地域 2010 年の北海道の素材生産量(針葉樹+広葉樹)は 391 万 9000 ㎥で、対前年比 7.6%増 と 3 年ぶりに増加に転じた。この背景には、製材工場や合板工場による道産カラマツやト ドマツ丸太の需要が拡大したことがある。また、ロシアにおける丸太輸出関税率のアップ が予想される中、外材輸入の減少が起こっている。 こうした状況を考慮し、石狩・胆振地域を中心とした広域連携による原木の安定供給の あり方を検討したが、かならずしも石狩・胆振地域にとどまらず、道全体の課題にも言及 している。 ②東北北部地域 具体的には秋田・青森での広域連携のあり方を検討すべくモデル地域として選定した。 両県を含む北東北はセイホクグループを中心とした合板工場が多く立地し、これまでの北 洋材丸太(主として北洋カラマツ)や米材の代替としてスギ、カラマツ、アカマツの消費 量が増加してきた。その反面、国産材製材業は地盤沈下の兆しを示しており、こうした窮 状を打開すべく、秋田県においては秋田製材事業協同組合を事業主体として大型スギ量産 製材工場が建設中であり、順調にいけば 2012 年 4 月から稼働する見込みである。 したがってこの地域では、製材用材(A材)、合板用材(B材)、チップ用材(C材) を効率よく仕訳して各需要へ供給していくための広域連携のあり方が問われている。 ③福島南部・北関東地域 福島、栃木、茨城3県にまたがる八溝山系をとりまく形で有力な国産材製材工場が多数 立地している。その原木の需給量は90万㎥にも達するといわれている。また表のように、 茨城県では宮の郷木材事業協同組合が設立され、構造用集成材のラミナ挽きの量産工場が 試運転を経て稼働をする予定であり、原木の需給をいっそうタイトなものにすることが予 想されている。 こうした中で、この地域の素材生産の特徴は間伐が多いことであり、今後、広域連携を 視野に入れながら原木の安定供給体制を構築していくためには、小面積皆伐をいかに実施 するのか、そして伐採跡地の再造林をいかにして担保していくのかが大きな課題になって いる。 ④飛騨・石川地域 飛騨(岐阜県)はヒノキの産地で、小規模な製材工場が多数立地していたが、多くの工 場が力を弱めている。一方の石川県は、福井、富山とならぶ北陸に一角を形成し、どちら かというと素材生産はそれほど盛んではなかった。 しかし石川県に立地している合板工場が、従来の北洋材から国産材丸太への利用へと大 きく転換しているし、岐阜県においても資源立地型の新しいタイプの合板工場が稼働を始 めた。 こうした大口需要の発生に対していかに連携を図りながら原木の安定供給体制をつくり あげていくか、その検討をふまえてビジネスモデルを提案したい。 ⑤東三河・静岡西部地域 静岡西部地域はいわゆる先進林業地・天竜を擁し、これに隣接する東三河も新城、鳳来 など林業地である。特に天竜林業地は前述のように、スギ素材生産量を減少させているだ けに(ヒノキも同様)、どのような需要に結びつけて林業地としての再生を図っていくか

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11 が大きな課題になっている。地域内ではスギ製材の量産化の取り組みも含めて新しい動き が見えはじめており、先進林業地における広域連携のあり方を検討するには恰好の地域と して選定した次第である。 ⑥愛知・三重地域 この地域も(5)と一脈通じる地域である。すなわち、三重には尾鷲林業地と松阪の国 産材製材産地があり、かつて国産材をリードした地域である。しかし当地域でも、京都府、 岐阜県、石川県などの合板工場向けのB材、C材供給が始まり、製材向けのA材との仕訳 を視野に入れながら、原木の安定供給体制を検討していく必要がある。 以上から④~⑥の3地域は一括りで原木の安定供給のあり方を検討してみる視点も有効 であろう。 ⑦中国東部地域 当地域は岡山・鳥取である。もう少し具体的にいえば、岡山は県北の真庭、勝山地域で あり、原木市売市場の丸太の緻密な仕訳・配給機能を中心としたヒノキの有力産地である。 一方の鳥取は、若桜、智頭の古いスギ材産地が有名であるが、日南町にスギLVL製造の (株)オロチが開設され話題を呼んでいる。また、広域連携という視点から範囲をもう少 し広げると、鳥取県と隣接する島根県には日新グループを中心とした合板工場が立地して いる。こうした新旧の需給が交錯している地域で、どのような広域連携のモデルができる のかが課題である。 ⑧阿波・土佐地域 この地域は阿波(徳島県)と土佐(高知県)で、両者を対象とした広域連携のあり方を 検討したものである。徳島県はかつてわが国有数のスギ材産地であり、「阿波のスギ三分 板」などの言葉に象徴されるように、板挽きを中心とした産地として名を馳せた。一方の 高知県も国有林(梁瀬スギ)を中心としたスギ材産地であったが、西部地域は幡多ヒノキ に代表されるようにヒノキの産地でもある。 両地域いずれも古い産地であるが、新しい動きがみられる。徳島県には、製材、合板、 製紙、MDFといったいわゆるA材~C材を消費する需要構造がある。一方の高知県にも 構造用集成材のスギラミナ挽きの量産工場が開設される予定になっている。こうした新し い需要も含めて、両者がどのような広域連携を図りながら原木の安定供給を実現していく かが課題である。 ⑨豊後・日向地域 当地域は宗太郎峠(大分、宮崎の県境)を挟んで、戦後の拡大造林が早期に開始された 地域である。大分県南には佐伯広域森林組合の大型量産工場が稼働しているし、大野郡森 林組合も製材工場を設置している。また、佐伯市には中国木材大分工場が稼働している。 3つの工場でスギの消費量が約14万㎥に達する。一方、宮崎県の日向地域には耳川広域 森林組合や耳川林業事業協同組合の工場が稼働している。 こうしたスギ材の需要に対して、森林組合、民間の素材生産業者がどのように連携して 原木の安定供給を実現していくのか、そのあり方を検討する。 (遠藤日雄)

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Ⅱ 原木広域流通モデル各論

1.胆振・石狩地域における原木の広域流通 (1)モデル地域の森林・林業の現状 ① 森林資源の状況 北海道の森林面積は 554 万 ha で総面積の 71%に当たり,道民一人当たりでは約 1ha と全国平均の約5 倍となっている(2010 年)。国有林や道有林の割合がそれぞれ 55%,11% と高く,私有林の割合は 28%と低いこと,人工林率は 27%と比較的低いことが特徴であ る。しかし,面積は151 万 ha(2009 年)と広大で,エゾマツ 78 万 ha,カラマツ 45 万 ha,トドマツ 16 万 ha 等となっており,人工林資源の大半はエゾトドとカラマツで占めら れている。 森林蓄積は7.2 億 m3で,エゾトドやカラマツ人工林の生長により1980 年代以降増加し ている。特にこの10 年は人工林蓄積の増大は顕著で,2001 年 1.87 億 m3から2009 年に は2.23 億 m31.2 倍になっている。また,エゾトドは 7 齢級にピークがあり,育成途上 の林分がまだ多くを占めているのに対し,カラマツは8 齢級にピークがあり,主伐期の林 分が多くを占める。 ② 木材需給の概要 北海道全体では 392 万 m3の素材が生産されており,そのうちエゾトドが130 万 m3 カラマツが187 万 m3とこの2 つで大半を占め,総供給量(輸入製品は丸太換算)に占め る道産材の割合は56%となっている(2010 年度実績)。エゾトドは製材用 77 万 m3,パル プ用41 万 m32 つがほとんどを占めているのに対し,カラマツは製材用が 96 万 m3 半数を占めるものの合板用 25 万 m3,パルプ用37 万 m3,その他29 万 m3と多用途向け の素材生産が行われている。 表-1 北海道の木材需給の概要(2010 年度実績) 資料:北海道水産林務部「平成 22 年度木材需給実績」 注:輸入丸太の 56%が製材用,48%が合板用。輸入製品の 78%がパルプ用,22%が製材用。 道産材率 56%(輸入製品は丸太換算)。" 合計 エゾトド等 カラマツ 広葉樹 合計 エゾトド等 カラマツ 広葉樹 道産材:製材用 1,780 771 962 47 100.0 43.3 54.0 2.6 道産材:合板用 319 55 252 12 100.0 17.2 79.0 3.8 道産材:パルプ用 1,449 409 374 666 100.0 28.2 25.8 46.0 道産材:その他 371 69 285 17 100.0 18.6 76.8 4.6 道産材合計 3,919 1,304 1,873 742 100.0 33.3 47.8 18.9 輸入丸太 119 48 0 71 100.0 40.3 0.0 59.7 合 計 4,038 1,352 1,873 813 100.0 33.5 46.4 20.1 2,961 1,141 2 1,818 100.0 38.5 0.1 61.4 6,999 2,493 1,875 2,631 100.0 35.6 26.8 37.6 構成比(%) 丸 太 需 要 輸入製品 総供給 丸 太 供 給 区 分 実数(千m3)

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13 ③ 木材流通の特徴 北海道における木材流通の特徴は,基本的に原木市売市場がなく,山元から製材工場等 への直送が広く行われており,近年は東北への合板用ある他の移出が急増するなど,原木 の広域流通が進展している。 まず,北海道内で生産された素材の37%がパルプ用材であり,大手製紙資本 O 社や N 社の関連会社である O 木材や N 木材等を通じて主に山元からの直送によって原木が供給 されている。O 木材や N 木材は製紙用丸太だけでなく製材用丸太,合板用丸太の流通も担 っている。1970 年代から 1990 年代前半頃までは,大手製紙資本と北海道森林組合連合会 がパルプ材供給協定を結んでいたようであるが(当時は価格を前決めせず数量のみを決め る協定内容),流通体制がほぼ確立したということで,道森連との協定取引は現在はない。 合板用丸太については,道東に立地するカラマツ合板企業(単板製造工場)に対して, 国有林,道有林,民有林のそれぞれの林業関係団体による原木広域集荷システムが展開し 始めており,原木流通合理化の取り組みが進められている。これらの取引ルートにおいて, 価格は協定を結んでいるわけではなく,市況を参考に双方協議によりその都度決め,これ までの取引実績,在庫情報等に基づき取引されているようである。国有林,道有林,道森 連が集まって供給協議をすることは特別にはない。 図-1 北海道内合板メーカーへの原木・単板安定供給体制 資料:林野庁業務資料。 さらに,合板用丸太(カラマツ)の本州への移出が商社(例えば,B 社,S 社,N 木材 など)によって行われている。森林組合系統は直接には原木移出に携わらないが,港で商 社へ売り渡している。国内船便による原木の広域流通という,これまでにあまり例のない 取引が2000 年代後半以降活発化し,立木価格の上昇など山側への影響も大きかった。 次ページに掲げる表は北海道の素材の移出入の概要を示しているが,カラマツの移出量 のほとんどが本州向け合板用丸太移出分と考えられる。北海道産カラマツ丸太の移出量は リーマンショック直前がピークで,年度で言えば2008 年に 29 万 m3を記録し,それ以降 (素材生産流通) (単板製造) (合板製造) 国有林 (素材販売) (単板販売) 道有林 T単板協組 M産業 その他民有林 (道森連) 年度 2006 2007 2008 2009 原木消費量(m3) 167,236 254,396 293,895 298,825

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14 は10 万 m3台後半で推移している。 しかし,2011 年 3 月の東日本大震災で,東北太平洋岸に立地する大型合板工場が被災し たため,丸太移出が大幅に減少している。 図-2 北海道における森林組合系統の合板用丸太移出経路 資料:聞き取り調査(20111 年 8 月) 表-2 北海道の素材移出入の概要 資料:北海道林務水産部「平成 21 年度素材移出・移入調査」 (2)モデル地域の課題と広域連携のあり方(モデル) 北海道では,資源量の増大を背景に皆伐が増加傾向にあり,2001 年の 4,488ha から 2009 年には8,043ha と 2 倍弱に増えており,再造林の推進が大きな課題となっている。行政に よる助成のほか,大分県森林再生機構の取り組みに見られるような,林業・木材産業の関係 業界が一丸となって再造林を推進する仕組みをいかに構築するかということについても今 後検討が必要である。 また,カラマツについては生長量を超えた伐採が行われており,現在は豊富に資源があ るものの,近い将来資源不足に陥るのではないかとの不安の声も業界から聞かれる。先述 のようにエゾトドに比べてカラマツは多用途向けに生産されているが,このような資源の 動向を踏まえると,今後の用途別資源附存量の把握は不可欠となっている。 カラマツについては,資源量の把握以外にも,製材,合板,パルプ,その他の多用途向 けのバランスのとれた供給(適切な仕訳等)が可能かどうか,木材供給の季節的変動の平 単位森林組合 素材販売(量は少ないもよう,港渡し) 移出 商社等 本州合板メーカー 素材買取 単位森林組合 北海道森連     素材販売(港渡し) 2007 2008 2009 2010 上半期 2007 2008 2009 2010 上半期 エゾトド 10,973 22,169 4,716 0 0 0 0 -カラマツ 194,922 292,384 171,692 88,579 0 0 0 -ス ギ 18,127 16,193 4,300 0 0 0 0 -ヒノキ 0 27 0 0 0 0 0 -その他針葉樹 6,930 5 929 0 0 0 14 -広葉樹 2,330 1,190 2,668 0 1,313 0 6 -合 計 233,282 331,968 184,305 88,579 1,313 0 20 -針葉樹 0 0 0 0 6,981 527 1,800 -広葉樹 400 20 26 0 6,787 12,300 0 -合 計 400 20 26 0 13,768 12,827 1,800 -233,682 331,988 184,331 88,579 15,081 12,827 1,820 -単位:m3 合 計 区  分 国 産 材 外 材 移出 移入

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15 準化(定時定量取引)とそれによる製材工場の経営安定化,長距離輸送上の諸課題(帰り 荷問題,作業道規格の問題等)等に基づいた検討が必要となっている。 以上の点に関して,2011 年度に道央地域原木安定供給協議会が林野庁補助事業を活用し て原木安定供給プランを作成しているが,その検討過程において現地調査に基づく伐採可 能量のシミュレーションと今後 10 年間の径級別品等別伐採可能量の推定作業が行われて いる。そうした資源情報を基盤にして,原木供給側と需要側の原木のマッチングを行うこ とになっており,当地域全体の課題に先行した取り組みとして注目される。 (3)カラマツ合板用丸太の本州移出構造の現状と課題 国内船便による原木の広域流通という,他地域には例を見ない特徴的な原木広域流通に おける問題点と課題に接近するため,カラマツ合板用丸太の本州移出を牽引していると言 える商社2 社の取り組みを事例に,丸太移出構造の特徴と課題等について整理する。 ① 商社 B 社 a 事業,組織の概要 B 社の総売上は 264 億円で,うち北海道支店取扱は 72 億円,そのうち原木取扱は 25 億 円となっている(2010 年)。2010 年の原木取扱量合計は 27.1 万 m3で,うち北海道20.8 万m3,他は東北である。2011 年に原木営業担当部署を改組し,東北営業室を素材営業部 に組み入れ,秋に東京・素材営業部に1 名配置する予定で,関東以西方面の原木取扱を担 当することとなっている。 図-3 B 社の原木営業部署の組織図(2011 年) 資料:聞き取り調査(2011 年 8 月)。 b 原木の用途別,樹種別,主間伐別取扱量と流通経路(北海道) 2010 年の原木取扱量は 20.8 万 m3,ピークは2009 年の 25.7 万 m3で,主間伐の割合は はっきりしないが,カラマツの7 割は主伐,エゾトドほぼ 100%は間伐という。B 社の関 連企業である商社大手のM 社の社有林だけでなく,一般民有林の原木買付けも行っている。 合板用丸太は森林組合や素材生産業者から港で丸太を買い取るケースと, B 社が直接立木 買いをして下請け業者に伐出させるケースとがあるが,後者はまだ少ない。後者は供給調 整弁的役割としての位置づけにある。 10 数年前の M 社の十勝社有林から産出された木材を石巻の合板メーカーに移出したこ とがあったが,数量は数千m3とわずかであった。その後,2006 年に合板用丸太の移出再 素材営業部 北海道営業室 (東京以西担当) (2011年1名配置予定) (旭川1名,北見3名,苫小牧1名,札幌4名) 東北営業室 (盛岡2名)

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16 開し,2008 年は 14.5 万 m3と突出しているがそれ以降は7~8 万 m3で推移している。2006 年当時,移出をしていたのは当社のみで,他社は翌年から参入している。前出の北海道に おける原木移出入の状況から,2010 年では北海道全体の合板用丸太移出の約 3 分の 1 を 当社が担ったとみられる。当社でも東日本大震災後,石巻方面への移出がストップするな ど影響を受けたが,当社は秋田方面への移出が中心なので,東日本大震災の影響は次に見 るS 社(石巻方面への移出が主)に比べればそこまで大きくはなかった。 表-3 B 社(北海道営業室)の樹種別木材取扱量(2010 年) 資料:聞き取り調査(2011 年 8 月)。 表-4 B 社(北海道営業室)の合板用丸太の移出量の推移 資料:聞き取り調査(2011 年 8 月)。 c 木材安定供給,生産流通合理化の取り組み 本来,素材仕入れ価格は多少上下するが,国産材を扱うには品質の安定・価格の安定・ 量の安定が不可欠であり,合板メーカーへの売り値はその都度変えるわけにもいかず,年 間通じて安定した価格で販売しており,その差は業務の効率化等で商社が吸収する構造に なっているのが現状である。 2009 年より当社は国有林システム販売に参画している。トドマツ加工業者等と当社が連 名で森林管理局と協定を締結し,伐出・輸送までは当社が担当し,工場着でトドマツ加工業 者に買い取ってもらうという仕組みである。年度によって協定出来る数量が不安定ではあ るが,民有林からの出材が不安定なカラマツに比べれば,トドマツは国有林が主なので比 較的計画的に出てくる。 また,トドマツ(国有林)は今後主伐が多くなり,供給増が見込まれるが,カラマツは 2008 年に当社が独自に行った資源想定によると,10~15 年後に供給資源が極端に少なく なる見込みとなり,カラマツの今後の供給不安定化が懸念される。 当社は北海道ではニーズの少ない大径間伐材生産よりも積極的な主伐が必要だとしてい る(たとえば,スギなら38cm 下,トドマツなら 28cm 下(60~65 年生),カラマツなら 40~45 年生)。そのため,伐採後の再造林は当社でも最も重要な課題として位置づけられ 樹種 摘  要 国有林材がほとんど,原木移出はなし 一般製材用90%(羽柄,土建用材を含む),合板用10% 民有林材が主(関連企業の商社大手M社社有林は10%強) カラマツ 9.4 〃 一般製材用15%,合板用85%, 移出量7.3万m3(秋田方面65%,残りは石巻,松江方面),7割は十勝港より。 ス ギ 0.5 〃 広葉樹 0.8 〃 パルプ材 4.1 〃 合 計 20.8 〃 万m3 5.9 エゾトド 数量(2010年) 年 度 2006 2007 2008 2009 2010 2011見込み 移出量(万m3) 2.6 11.8 14.5 6.3 7.3 7~8

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17 ており,再造林を支援する基金制度の創設を提唱するなどしている。 ② 商社 S 社 a 事業,組織の概要 S 社は,森林管理部門(関連企業の大手住宅メーカーS 社社有林の管理),営業部門(国 産原木・製品の取扱),森林企画部門(低コスト造林,林地残材利用,獣害対策などの面で の技術開発)からなり,四国,九州,北海道の3 大事業所を中心に,社有林管理部門と木 材営業部門とに分かれて事業を展開している。北海道事業所の本部は紋別にあり,このう ち札幌駐在所(2011 年 4 月設置)は道北,紋別,根釧を除く道内をエリアとして木材(合 板用丸太が主)を取り扱う。 b 木材の用途別,樹種別,主間伐別取扱量と流通経路 2010 年度の札幌駐在所の原木取扱は合計 9.5 万 m3,主伐9 割,間伐 1 割であった。用 途別内訳は合板原木(C 材)が 99%で,このうち 9 万 m3が石巻・宮古方面の合板メーカ ーに移出されている。 価格設定の仕組みは,素材生産業者からの原木要望単価の聞き込みと,原木販売先(合 板工場等)の希望単価要望をすりあわせによる。取引数量決定の仕組みは,2010 年度は, 合板工場における原木不足により,山からの出材可能数量をそのまま仕入れたが,合板工 場からの要望量が少ない時期は,各素材生産業者に毎月の受け入れ制限量を提示すること になるという。 東日本大震災のため宮城,岩手の合板工場に大きな被害が出ており,2011 年 3 月以降, 当社の原木移出はストップしている。当面は数量は少ないが道内合板メーカーに供給する などして対応している。 c 木材安定供給,生産流通合理化の取り組み 北海道では以前から木材市場を経由しない直送販売が一般的である。本州合板工場への 運搬は運賃が安い船輸送を使用している(1 船 1200~1600m3積み)。合板原木の決済時に 使用する検収数量については,素材生産業者のトラック積み込み数量を採用し,港での再 検知は行っていない(抜き打ちで適宜再検知し,問題があれば業者に指摘するにとどめて いる)。 森林所有者に対する働きかけ・対策として,伐採後山林については,低コスト造林を推 進するとともに植林を行う森林組合への橋渡し役としての役割を当社は果たしている。道 の単独植林補助に適用されるために伐採面積を3ha 以内にするよう当社が伐採業者に指示 し,山林所有者の再植林の負担額を軽減することも目指している。 安定供給への問題点として,合板原木の買い付けについて北海道では競合する会社が数 社あり,本州の合板工場向けに大量の集荷が必要なときは単価を上げて集荷するが,これ が道内製材工場に原料不足の影響をもたらしている可能性がある。 また,出材時期が天候の関係などでわずかにずれることがあるが,港土場に在庫するこ とで多少は解消できる。以前,需要者の合板工場が買取数量を制限し,買い取り価格の急 な値下げに踏み切ったことがあるが,これに対し中間業者の当社が多少は緩衝材となった。

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18 しかし,緩衝材としての商社の機能にも限界がある。このように,合板製品の売れ行き, 生産量,外材原木単価が北海道の山林側に大きな影響を与えている。 (興梠克久) 2.東北北部地域における原木の広域流通 (1)モデル地域の森林・林業の現状 ① 資源の状況 青森県は国有林県であり、森林面積の62%が国有林によって占められている。民有林の 面積は23 万 9,211ha で、そのうち人工林が 13 万 5,212ha で、さらにそのうちスギ人工 林は9 万 8,837ha である。民有林の森林蓄積は 4,628 万 m3で、その内、民有林人工林の 蓄積は3,271 万 m3で、さらにその内、スギ人工林蓄積は2,623 万 m3である。 一方、秋田県も国有林が多く分布するものの、国有林率は青森県よりも低く46%である。 民有林面積は 44 万 7,268ha で、そのうち民有林人工林は 25 万 6,974ha(スギ 23 万 7,489ha)。民有林蓄積は 1 億 342 万 m3で民有林人工林蓄積は7,664 万 m3でそのほとん どがスギ人工林の蓄積(7,219 万 m3)である。 ② 素材生産及び原木流通 青森県の素材生産量は60 万 m3(平成22 年)である。国有林の生産量の方が多めであ る。青森県の素材生産量はかつて 100 万 m3を超えていた。例えば昭和 55 年には 120 万 m3、平成2 年においても 103 万 m3素材生産が行われていた。これらを支えていたのが、 天然広葉樹とヒバの伐採であった。しかし、これの伐採が激減したことで素材生産量が減 少し、ここ10 年ほどは 60 万 m3弱で推移している。ただ、スギの生産量が増える傾向に ある(表1)。 表 1 青森県の樹種別素材生産量 単位:1,000 m3 樹種/ 年度 昭 和 55 昭 和 60 平成2 平 成 7 平 成 12 平 成 17 平 成 18 平 成 19 平 成 20 平 成 21 平 成 22 スギ 311 297 308 292 277 341 348 347 373 344 402 マツ類 170 187 157 130 124 104 107 110 117 100 112 針 そ の 他 279 240 222 168 85 39 30 33 17 15 19 広葉樹 441 363 346 213 126 97 83 81 82 78 68 合計 1,201 1,018 1,033 803 612 581 568 571 589 537 601 資料:木材統計(農林水産省) 注:「針その他」にヒバを計上。この中に占めるヒバの割合は高いと思われる。平成 22 のヒバの生産量は、 1 万 3,000 m3であった。

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19 また、青森県の民有林で助成制度を利用した間伐面積の実績は 6,000ha/年程度である (表 2)。国有林からの出材が多いという実態から考えると青森県内の素材生産量のうち、 間伐の割合が高いものと考えられる。 表 2 間伐実施面積 単位:ha 年度 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 間伐面積 4,007 5,340 6,261 5,665 6,190 資料:青森県林政課(2010)「青森県の森林・林業 平成 22 年度版」 青森県の原木流通において重要な役割を果たしているのは青森県森連である。青森県森 連の原木取扱量は30 万 m3弱で青森県全体の素材生産量の半分弱を占めている。しかも取 扱量はここ数年で3 倍となった(表 3)。これには国有林の山土場の丸太を県森連が山元全 量委託販売したものも含まれる。 青森県森連が運営する市場は、十和田木材流通センター(十和田市)、津軽木材センター (黒岩市)、下北木材流通センター(むつ市)の 3 つある。このうちの前者 2 箇所の市場 での取扱量は 3 万 m3である。3つめの下北木材流通センターでは直納が中心であり、市 売り数量は少ない。 青森県森連では、流通コストを低減させ、山元還元するために直納を増やしている。そ のため市売に出す量が減少する傾向にある。市売に掛ける原木は、一部の高齢級材および 特殊材、県内の小規模製材工場が必要とする木材、トラックが入れず直納できない現場で 生産された材である。合板用材であるB 材のみならず、A、C 材とも直納している。直納 する材は県森連が買い取る。買い取り先は森林組合および素材生産業者である。買い取り を始めたきっかけは、合板用丸太の集荷のためである。それを製材・集成材用のA 材(B 材)へ拡大していった。現時点では17 万 m3を直納している。 表 3 青森県森連の素材取扱量の推移 単位:1,000 m3 区分 平成18 平成19 平成20 平成21 平成22 製材用 78 97 138 221 181 合板用 18 17 34 49 72 木材チップ用 4 8 30 24 29 合計 100 122 202 294 282 出所:青森県森連業務資料 次いで秋田県についてみる。平成22 年の秋田県の素材生産量は 94 万 m3であった。平 成 20~21 年の素材生産量が減少をみており、これは建築基準法改正とリーマンショック の影響であると推測される(表4)。生産量の中に占める間伐材の割合は主伐材よりも多い と推測される。 素材生産量の大部分はスギによって占められている。平成21 年の素材生産量(国・民) の実績ではスギが80%で、アカマツ・クロマツ 4%、その他針 4%、広葉樹 11%であった。

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20 また用途別に見ると、製材用46%を占め、合板用 34%、チップ用 20%であった。 表 4 秋田県国・民有林別素材生産量 単位:1,000 m3 区分 平成16 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 国有林 290 303 266 224 209 272 民有林 413 424 602 674 619 516 合計 703 727 868 898 828 788 資料:秋田県農林水産部(2011)「秋田県林業統計平成 22 年度版」 また、秋田県の間伐面積をみると、助成制度を利用した民有林の間伐面積の実績は平成 21 年に 1 万 3,395ha に達している。過去の実績をみるとかなり変動が大きく、9,000~1 万2,000ha/年程度で変動している(表 5)。 表 5 間伐実施面積 単位:ha 年度 平成15 平成16 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 間伐面積 7,499 11,436 11,873 9,162 8,910 10,349 13,395 資料:秋田県農林水産部(2011)「秋田県林業統計 平成 22 年度版」 秋田県の原木流通は、以前から国有林との結びつきが強かったことから原木市売市場の 依存度はそれほど大きくはなかった。ただ、原木流通の一翼を担っていることには間違い なく、地元中小製材工場にとっては無くてはならない存在である。また、最近の原木流通 の変化をみるために市売市場の動向をみることは重要である。 秋田県内の原木市売市場の原木取扱量は、平成19 年までは変動はあるものの 13 万~16 万m3強であった。しかし、平成20 年、21 年は 11 万 m3台である(表6)。中小製材の後 退と山元直送の割合が増加傾向にあることが市場取扱量の減少の要因となっている。一方 で、原木市場の取扱量に占める森林組合系統のシェアは高まる傾向にある(表6)。 秋田県森連は「秋田木材流通センター」をはじめ7 つの市場(うち、6 つが単組の市場) を運営している。7 つの系統市場のうち、2 市場は直販を重視しており、市は不定期に開 催される。秋田県内の原木市場の取扱量に占める森林組合系統のシェアは高まっているも のの、森林組合系統の原木市場での取扱量も減少傾向にある。原木市売市場は、地元中小 製材への原木供給、80 年生材などの銘柄級の木材の販売の場としてその機能を絞っていか ざるを得なくなると推測される。 秋田県森連の原木取扱量は約 29 万 m3(平成22)であり、その内訳は、7.4 万 m3が市 売市場での販売、9 万 m3が国有林委託販売(国有林材の山元入札を行って、直送する販売 方法)、合板工場への直納が9 万 m3、残り3.6 万 m3A 材の相対取引である。

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21 表 6 秋田県内の原木市場の取扱量の推移 単位:m3 区分 平成14 平成 15 平成 16 平成 17 平成 18 平成 19 平成 20 平成 21 合計 163,179 156,837 149,332 168,154 135,608 164,803 115,420 111,129 県森連 74,505 67,521 77,521 97,635 60,781 83,692 61,388 62,010 県森連 シェア 45.7 % 43.1 % 45.9 % 58.1 % 44.5 % 50.8 % 53.2 % 55.8 % 資料:秋田県農林水産部(2011)「秋田県林業統計 平成 22 年度版」 ③ 原木の需給 青森・秋田ブロック内の特徴は大型の製材工場がなく、中小の製材工場が主体で、しか も中小の製材工場の数が減少していること、その一方で大型の合板工場が立地しており、 合板用材の需要が地域の木材価格形成に主導的な役割を果たしていることがあげられる。 まず、青森県についてみると、全国の傾向と同様に同県の製材工場は年々減少している (昭和55 年 496 工場→平成 22 年 121 工場)。これに伴い 1 工場当たりの動力出力数も高 まった(昭和55 年 80.6kw→平成 22 年 109.7kw)。しかし、1 工場当たりの製材品生産量 は激減している(昭和55 年 1,353 m3→平成22 年 529 m3 青森県の大型工場は、2 万 m3の工場が最大(上北森林組合(十和田市)の工場)で、主 に地域材を利用し、600~1,000 m3/月を県森連が納材している。大きな集成材、合板工場 もない。合板工場は 4~5,000m3/年を消費するオーダーメードの工場があるだけで、原料 は広葉樹材と外材である。小規模集成材工場(集成材工場と言うより、単に集成材が作れ るという意味)は6 つあり、主にヒバを加工している。 青森県の木材需給は、木材供給量と県内木材需要ともに減少して、県内で需要されない 木材は県外に移出されている。一時、移出量は減ってはいたものの、ここ数年再び増えて きている(表7)。こうしたことから、青森県庁では、県内に大型工場の立地を考えている。 現在、その可能性を調査、検討中で、来年度に工場を立地するための公募を実施する計画 である。 前述のように青森県では木材の安定供給における青森県森連の役割が大きく、直納化を すすめてきた。その前提となるのが木材の協定による販売である。当県森連が協定を結ん で販売する先は、A 材の場合は県内数社(5 千~2 万 m3規模の製材工場)及び県外(東北 の圏内)の製材工場である。B 材の場合は東北圏内の合板工場等で、C 材は県内チップ工 場である。 協定販売をはじめた契機は、需要側から依頼があったためである。それは以前から青森 県森連が納材していた工場であった。これまでの県森連の納材実績が評価されて相手側か ら協定締結の依頼があった。もちろん、協定販売を県森連から働きかける場合もあった。 需要側も安定供給及び伝票・決済管理の単一化などメリットが多い。 協定の内容は、価格以外のことを盛り込んでいる(価格を盛り込むと価格が変わるたび に協定を更新しなければならなくなる)。協定には、決済方法も含まれている。価格交渉の 頻度については協定には含まれていない。価格については別途相対で決める。 A、B、C 材の仕分けは山土場で素材業者が行う。県森連が山土場で仕分けされた材を買 い取るという形を取っている。このことは県森連が売り手に対してその材の品質を保証す

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22 るということを意味しており、買い手側からのクレームに対して、県森連が適宜対応する。 山土場での仕分けに問題がある場合は、県森連が素材業者を直接指導する。 原木の輸送は、トレーラー、単車(連結なし)、船舶の3通りである。トレーラーで運ぶ か、単車で運ぶかは、輸送距離ではなく、山土場まで入れるかどうかで決めている。中間 土場としては下北木材流通センターをそのような機能として利用している。トレーラーの 積載量は法定35m3、単車16~17 m3、船舶1,300 m3/船である。船舶での輸送に関しては 震災前には宮城県に送る場合に利用していた。震災後は東北以西へ輸送する場合に船舶を 利用している。日本海を通るルートは冬季には海が荒れて無理かも知れない。帰り荷対策 についてはとくに検討していない(丸太専用車を使っており、帰り荷もないため)。 協定販売(直納)の効果に関しては、県森連の取扱量が増えるにともない協定販売(直 納)の効果を実感するに至っている。多くの協定先へ安定供給ができ、安定した有利販売 を可能とした。それにより山元での計画生産が見込めるようになった。 表 7 青森県の素材需要量と県外移出量の推移 単位:1,000 m3 区分 昭 和 55 昭 和 60 平 成 2 平 成 7 平 成 12 平 成 17 平 成 18 平 成 19 平 成 20 平 成 21 平 成 22 供 給 量計 1,686 1,384 1,471 1,184 880 696 684 653 660 620 675 県内 需 要 量 1,467 1,135 1,238 975 684 516 502 478 492 430 412 県外 移 出 量 219 249 233 209 196 180 182 175 168 190 263 資料:木材統計(農林水産省) 次いで秋田県の木材需給についてみよう。秋田県では平成 14 年には 64.5 万 m3の製材 用材(A 材)需要があり、そのうち 47.4 万 m373.5%)が国産材でまかなわれていた。 A 材需要は減少傾向にあり平成 21 年は、37.8 万 m3となった。このうち国産材は37.3 万 m398.7%)でほとんどが国産材でまかなわれるようになっている。結果的に秋田県にお ける国産材A 材の需要は平成 14 年から 21 年の 7 年間の間に 10 万 m3も減少した(表8)。 この理由は小規模製材業が廃業により数を減らし製材用原木の需要が減少したためである。 このことは前述のように原木市売市場の取扱量の減少につながった。小規模製材が減る中 で、秋田県には消費原木量10 万 m3を超えるような大規模な製材工場はない。大手製材工 場(1 万 m3以上の原木消費量)と呼ばれる工場が10 社程度であり、3 万 m3以上の消費 量の工場はなく、一番の大手でも約 2 万 m3の原木消費となっている。こうした大手製材 工場 10 数社が後述する新生産システムの対象工場であった。また秋田県の製材用原木需 要の特徴として、径級22~28cm の中目材への需要が高いことがあげられる。 さて、秋田県の木材需要でもっとも重要な点は、秋田県内に大規模な合板工場が立地し ていて、その合板工場への原木安定供給体制を全国に先駆けて構築したことである。安定

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23 供給の実現は、平成 14 年に県産材利用促進という観点から秋田県が「秋田スギ合板用原 木需給協議会」(以下、「協議会」という)を設立したことが契機となった。協議会のメ ンバーは、秋田県(オブザーバー)、秋田県森連、秋田県素材生産事業協同組合連合会(以 下、「素生連」という)、秋田県合板産業連合会である。当初、合板工場側は必要な原料 を国産材でまかなえるかどうかが最も重要な関心事であったようである。協議会は1年に 2回程度開催されている。当初は、価格、規格、納入量などについて話し合いがもたれ、 協定価格、協定量が決定されていた。また、価格変動がある場合にも協議会の場で見直さ れていた。 現在、協議会では市況についての説明はあるが、価格の交渉などは行われてない。価格 の交渉に関しては、実務担当レベルで協議する。その際の参加者は4 者(素生連、県森連、 秋田プライウッド、新秋木工業)である。秋田プライウッドは、月末に納材割当量(来月 分の割当分)を県森連や素生連等に連絡している。納材割当量は、原木在庫量や市況によ って調整されている。 秋田プライウッドへの木材供給主体は、秋田県森連、素生連、国有林システム販売、資 材支援グループ、その他(県外)であり、平成22 年の国産材入荷実績は、約 47 万 m3 なっている。樹種内訳はスギが約8 割でその他は道産カラマツなどのマツ類である。 国有林システム販売では、秋田プライウッドが国有林に提案書を出して B 材を購入し、 山土場渡しのB 材を素生連がトラックで秋田プライウッドの土場まで輸送するという形で ある。以前は、夏場に材が集まらない「夏枯れ」が見られた。国有林システム販売により 供給の季節変動はかなり是正された。 なお、平成22 年の秋田プライウッドへの出荷実績を地域別に示すと、秋田県内 66%、 青森県18%、山形県 3%、岩手県 2%、北海道 12%であった。 秋田県の合板工場への原木安定供給は全国のモデルとなり、国産材利用に全国的な規模 で引き上げる効果につながったことは特筆すべきである。こうした成功の背景には、産官 学による構造用合板「ネダノン」の商品開発と住宅への利用促進がなされたこと、秋田県 が、平成 16~18 年には「新流通・加工システム」事業(秋田プライウッドと新秋木工業 の設備投資(バーカー、蒸煮、ロータリーレース)に助成)、次いで平成19~21 年には「新 利用」事業(秋田プライウッドのハードの整備)といった木材流通関連の国費事業に積極 的に取り組んだことがあげられる。 合板用のB 材の需要開拓と安定供給体制の整備には成功したものの、製材用の A 材の安 定供給体制の整備には苦戦を強いられている。秋田県は平成 18~22 年に「新生産システ ム」事業を実施した。この「新生産システム」事業では、「新流通・加工システム」でのB 材流通のノウハウを A 材の流通にも適用しようとした。協議会方式(「秋田県製材用原木 需給協議会」)を導入して、製材工場への納材価格を一本化しようとした(4 半期に 1 度の 価格の改定)。しかし、県内では県北、県央、県南と大きく 3 地区で価格形成が異なって いたのが実情であった。そのような状況のもとでの価格一本化であったため、新生産シス テムに参画した 10 社の足並みがそろわなかった。一方で、供給側と製材工場側で直納す るような形はすでにあった。新生産開始後 1~2 年後に価格の 1 本化は断念(協議会方式 の断念)することとなった。ソフト事業は5 年間実施されたが、ハードの整備は当初 3 年 間で、製材工場2 箇所の設備投資(乾燥機と製材機械が対象)が行われただけであった。

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24 一方、供給側もA 材の安定供給には至っていない。原木が夏場に不足する「夏枯れ」の ような季節変動も克服するには至っていない。こうしたことから製材工場の中には、山林 を購入したり、素材生産部門をもつなど個別に原木(とくに中目材)安定確保を目指す動 きも見られる。 このようの情勢の下、秋田県では国や県の助成のもとで大規模製材工場の建設に着手し た(平成24 年 7 月本格稼働予定)。事業主体は秋田県製材協同組合で、工場の所在地は秋 田市川辺(七曲臨空工業団地内)である。事業費約26 億円で国費(加速化事業)、県単な どで補助が行われる。計画では 14.8 万 m3の消費量であり、このうち純増分は 10 万 m3 であり、秋田県森連が原木調達に協力することになっている。 表 8 製材用原木の需要状況 単位:1,000 m3 区分 平成14 平成 15 平成 16 平成 17 平成 18 平成 19 平成 20 平成 21 合計 645 579 598 449 437 469 383 378 国産材 474 436 461 428 418 456 373 373 国 産 材 シェア 73.5 % 75.3 % 77.1 % 95.3 % 95.7 % 97.2 % 97.4 % 98.7 % 資料:秋田県農林水産部(2011)「秋田県林業統計 平成 22 年度版」 (2)モデル地域の課題 現在の青森県、秋田県の役割分担は、B 材に関しては、青森県が原木供給、秋田県が原 木消費となっている。その意味では、青森・秋田県両県の広域流通が現状としては自ずと 実現している。こうした広域流通はB 材が中心と考えられる。A 材に関して両県とも 1~ 2 万 m3を消費する工場があるのみであり、市場を引っ張る大型の工場は存在しない。こう したことから、青森県では具体的な姿は不明であるが、公募による木材加工工場の誘致を 計画している。 秋田県は、合板工場に対するB 材の安定供給を実現した日本における先導的な地域であ った。この成功例を元に、新生産システム事業において、協議会方式でA 材の安定供給を 目指した。しかし、参画した 10 社以上の製材工場の原木仕入れ価格には、大きな地域格 差があったため、価格の一本化による協議会方式の供給から、相対取引の供給方式に変更 して取り組むこととなり、その結果、木材流通の変化をもたらすような成果は得られなか った。A 材が売れないため B 材として売らざるを得ない状況もみられ、A 材が B 材に埋没 するような形で木材市場が形成されている。こうした状況を打破するために、秋田県では 大型製材工場の建設に着手しており、大型工場を核とした適正な価格形成を含めたA 材の 安定供給体制の構築が重要である。 (3)東北北部地域における広域連携のあり方(モデル) 青森県、秋田県ともに大型の木材加工施設の導入を計画しており、これらの木材加工施 設が実際に稼働した場合、同ブロックの原木流通には少なからず影響がおよぶと考えられ る。青森県に関しては現在公募中であり、どのような大型木材加工施設が立地することに なるか未知数である。

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25 秋田県での計画中の大型製材工場は平成 24 年 7 月本格稼働予定であり、原木消費量は 14.8 万 m3で、集成材ラミナ4 万 m3、一般製材品3.9 万 m3の生産を計画している。秋田 県では突出して規模の大きな製材工場となる。そのため、この工場を中心に据えたA 材お よびB 材の安定供給体制、価格決定の仕組みを構築することが現実的である。 現在、合板用としてB 材を合板工場に安定的に供給する体制が構築されている。新たな 大型工場の設立を機に、A 材、B 材さらには、C 材を安定供給に責任をもつ核となる組織 が必要となる。その組織が需要者の発掘を行いながら、各需要者と供給量、規格、価格の 協議を行うと同時に供給側の木材生産者へ働きかけを行う。また、需要側の必要とする原 木の情報を供給側につなげ、山土場での適正な造材に反映させる役割をも担うべきである。 (堀 靖人) 3.福島南部・北関東地域における広域流通 (1)モデル地域の森林・林業の現状 当地域は福島県,茨城県,栃木県の3 県からなり,森林面積は 151.4 万 ha で全国の 6% を占める。森林蓄積は26 万 1,289 万 m3で,1ha あたり森林蓄積は 173m3/ha で,全国平 均(177m3/ha)とほぼ同じである。一方,素材生産量は 136.5 万 m3で全国の8%を占め る。そのうち多くはスギであり,84.8 万 m3,全国のスギ生産量の10%を占めている。森

林1ha あたりの素材生産量は 0.90m3/ha で,全国平均(0.66m3/ha)を大きく上回る(い

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26 図-1 都道府県別にみた森林生産力と資源成熟度の関係 資料:林野庁編「森林・林業統計要覧」2011 年版。 森林資源内容と林業生産実績の関係性から林業展開の地域性,その背景にある地域林業 構造を論じることが多いが,その場合,象徴的な指標としてよく取り上げられるのが,森 林資源成熟度と森林生産力である。森林資源成熟度とは森林1haあたり森林蓄積のことで, 森林生産力とは森林1ha あたり素材生産量のことである。上図は林野庁が毎年発行してい る「森林・林業統計要覧」のデータを用いて,これら両指標の関係を都道府県別にみたもの である。 九州では資源の成熟と利用が最も高度化しており,次いで,四国,東北,北関東,北海 道も森林生産力が高い。九州中南部と四国・北九州は資源成熟度はほぼ同じであるが,前 者が皆伐中心,後者が間伐中心であるため,資源利用度に差が出ている。また,北関東と 四国・北九州は資源成熟度に差がみられるものの,北関東での間伐生産がより活発なため, 両地域の資源利用度はほぼ同じ水準となっている。北海道は我が国最大の木材生産量を誇 るが,寒冷地であること,短伐期のパルプ用材生産のウェイトが高いことなどを背景に, 資源成熟度の水準は全国平均を下回る。かつて林業先進地(人工林率が高く,高齢林分割 合が大きい,造林の歴史が古い林業地)といわれた近畿,東海では,資源成熟度は全国平 均をやや上回っているが,素材生産活動自体が低調である。 また,下図に示すように,最近 10 年間の動向を見ると,南九州では森林生産力,資源 成熟度ともに伸び,北九州や北関東,四国,東北においては森林生産力の伸びはさほど見 られないものの10 年前の水準を維持しており,資源成熟度は増大している。それに対し, 東海や近畿などのかつての先進地では資源成熟度は伸びているものの森林生産力は 10 年 前より大きく低下している。 このように,北関東は全国の中でも森林生産力,資源成熟度ともに高く,我が国のスギ 林業を牽引している地域の1 つと言える。

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27 図-2 地域別にみた森林生産力と資源成熟度の変化(1999 年→2009 年) 資料:林野庁編「森林・林業統計要覧」2001・2011 年度版(2000 年の森林蓄積以外),農水省統計部「2000 年農林業センサス」(2000 年の森林蓄積のみ)。 当地域は首都圏に近いスギ構造材産地として発展し,国産材入荷量は98.0 万 m3で,全 国の 9%を占める。近年ではスギ直材(A 材)の市況をリードする(市況が最も高い)地 域としてみられている。また,当地域には国産材消費量全国第1 位(T 社)と第 2 位(K 社)の大型製材工場が立地し,いずれも集成材分野にも進出するなど,地域材の需要と用 途の拡大が進んでいる。

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