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©TEIKOKU DATABANK, LTD.はじめに
国税庁によると、2015 年度の国内酒類消費量は前年度比 1.7％増の 847 万 5600 キロリットルと 2 年ぶりに前年度を上回った。酒類別にみると、ワインが前年度比 5.6％増、ウィスキーが同 14.7％ 増と、それぞれ 7 年連続で前年度を上回った一方、焼酎は同 0.5％減の 85 万 8100 キロリットルと 2 年連続で前年度を下回った。過去数度の焼酎ブームにより首都圏や関西地区などの大都市圏で市 場を拡大した焼酎だが、消費者嗜好の多様化や高齢化社会の進展、若者のアルコール離れなどの 影響で苦戦。ピークとなる 2007 年度（100 万 4700 キロリットル）比では 14.6％減と、近年は低 迷を余儀なくされている。 この調査は、帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」（147 万社収録）から焼酎製 造を主業とする焼酎メーカーで、売上高に占める焼酎比率が 50％以上の全国の企業を対象にまと めた。2016 年 8 月に続いて 14 回目の調査となる。調査結果（要旨）
１．2016 年（1 月期～12 月期）のランキング上位 50 社の売上高合計は前年比 2.0％増の 2859 億 6400 万円と 3 年ぶりに前年を上回った ２．売上高トップは 5 年連続で霧島酒造（株）。上位 10 社の中では唯一二ケタ増収で首位を 固め、2 位以下を大きくリードしている。ベスト 5 の順位は前年と変わらず ３．増収企業は前年比 6 社増の 19 社、減収企業は同 7 社減の 26 社、横ばいは同 1 社増の 5 社だった。一方、最終損益が判明した 42 社のうち、黒字企業は前年比 1 社減の 37 社に とどまったものの、1 億円以上の最終利益を計上した高収益企業は 15 社となり、前年を 2 社上回った。赤字企業は同 1 社減の 5 社 ４．県別売上高は宮崎県が 2 年連続のトップで前年比 4.6％増の 896 億 4300 万円。2 位は鹿 児島県で同 2.7％減の 802 億 3600 万円。3 位は大分県で同 0.5％減の 683 億 9600 万円だ った特別企画：2016 年 焼酎メーカー売上高ランキング
上位 50 社の売上高合計、3 年ぶりに前年上回る
～霧島酒造が 5 年連続トップ、二ケタ増収で首位固め～
298,819 296,788 297,282 309,013 305,617 298,116 279,105 284,975 286,426 285,307 280,416 285,964 250,000 300,000 350,000 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 （百万円）
上位50社の売上高合計推移
１．上位 50 社の売上高合計、前年比 2.0％増
2016 年（1 月期～12 月期）の上位 50 社の売上高合計は前年比 2.0％増の 2859 億 6400 万円と、 3 年ぶりに前年を上回った。売上高合計は、2008 年の 3090 億 1300 万円をピークに減少基調をた どり、東日本大震災が影響した 2011 年には 2791 億 500 万円に低下した。その後、2013 年までは 前年を上回ったものの、2014 年 4 月の消費税率引き上げにともなう消費低迷やワイン、ウィスキ ーの台頭などで 2 年連続の前年割れとなっていた。 ※売上高合計については、下記の通り調整して比較できるようにした。 オエノンホールディングス（株）は、2008 年より焼酎売り上げ比率が 50％を下回ったため、 ランキングから外れた。このため、上位 50 社の売上高合計を調整可能な 2005 年までさかのぼ り、同社焼酎部門の売上高を減じたうえ、51 位の売上高を加えて調整した。２．増収企業、前年比 6 社増の 19 社
増収企業は前年比 6 社増の 19 社、減収企業は同 7 社減の 26 社、横ばいは同 1 社増の 5 社。売 上高上位 10 社では、増収企業は前年比 2 社増の 5 社、減収企業は同 2 社減の 5 社だった。 最終損益が判明している 42 社のうち、黒字転換企業 2 社を含む黒字企業は前年比 1 社減の 37 社にとどまったものの、1 億円以上の最終利益を計上した高収益企業は 15 社となり、前年を 2 社 上回った。増益企業は同 7 社増の 21 社。一方、赤字企業は同 1 社減の 5 社で、そのうち連続赤字 企業は同 1 社減の 3 社、赤字転落企業は前年と同じ 2 社だった。 売上高規模別では、売上高トップの霧島酒造（株）が初めて 600 億円台にのった。以下、400©TEIKOKU DATABANK, LTD. 億円台が 1 社、100 億円台が 4 社で、100 億円以上の企業は前年と変わらず 6 社。 なお、前年 9 位の若松酒造（株）が 7 位に順位を上げたのにともない、同 7 位の高橋酒造（株） が 8 位に、同 8 位の本坊酒造（株）が 9 位にそれぞれ順位を下げた。上位 10 社の県別企業数は、 鹿児島県が 4 社、宮崎県、大分県が各 2 社、熊本県、群馬県が各 1 社で、前年と変わらず。
３．県別売上高は宮崎県が 2 年連続トップ、霧島酒造がけん引
上位 50 社の県別売上高は、芋・ソバ焼酎を主力とする宮崎県が 2 年連続のトップで、前年比 4.6％ 増の 896 億 4300 万円と 3 年連続で前年を上回った。二ケタ増収の霧島酒造（株）がけん引した形 だ。芋焼酎を主力とする鹿児島県は同 2.7％減の 802 億 3600 万円、麦焼酎を主力とする大分県は 同 0.5％減の 683 億 9600 万円と、それぞれ 3 年連続で前年を下回った。 県別の企業数は、鹿児島県が前年比 1 社減の 21 社で最多。以下、宮崎県、沖縄県が各 5 社、大 分県が 4 社で続いた。４．14 年連続増収の霧島酒造が 5 年連続トップ
売上高トップは 5 年連続で霧島酒造（株）。主力の芋焼酎「黒霧島」は、“黒ブーム”の火付け 役として全国的にも知られ、高い人気を誇っている。関東や関西地区などの大都市圏で一般家庭 向けの紙パックなどが好調に推移しているほか、甲類焼酎が主力の東北・北海道地区でも積極的 に営業を展開、売り上げを伸ばしている。「白霧島」「赤霧島」「茜霧島」なども順調で、前年比 10.4％増の 650 億 7200 万円と 600 億円台にのせた。上位 50 社の売上高合計に対する構成比は前 年比 1.8 ポイント増の 22.8％。上位 10 社の中では唯一二ケタ増収で首位を固め、2 位以下を大き くリードしている。 同社は 2004 年の調査開始以来、14 年連続の増収。その間、売上高は 5.2 倍に拡大、順位も 8 位から 2012 年にはトップに躍り出た。長年フル稼働状態が続くなか、余裕のある生産体制の構築 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 （百万円）県 別 売 上 高 推 移
鹿児島県 大分県 宮崎県などを目的に、現在、工場および焼酎粕リサイクルプラントの建設を進めており、2018 年 8 月に は竣工する予定だ。 なお、2015 年 4 月に旧・霧島酒造（株）は霧島ホールディングス（株）に商号を変更したうえ 持株会社となり、新たに設立した霧島酒造（株）（2014 年 3 月設立）が酒類製造部門を継承してい る。 2 位は前年と同じく三和酒類（株）。主力商品の麦焼酎「いいちこ」は「下町のナポレオン」の 名称でも親しまれ、全国で高い人気を誇っている。関東、関西、中部地区などの大都市圏に販路 を構築しているほか、アジア、北米などの在留邦人向け輸出も行っているものの、同業他社との 競合などで、前年比 0.6％減の 477 億 3800 万円となった。 3 位は前年と同じく雲海酒造（株）。麦焼酎「いいとも」、ソバ焼酎「雲海」、芋焼酎「日向木挽」 を主力商品として、東京、大阪などの大都市圏、中国地区、福岡地区などで営業を展開、特に広 島を中心とする中国地区では強固な営業基盤を構築している。最近は、女優を起用したＴＶコマ ーシャルでソバ焼酎をソーダで割る「そばソーダ」を提案して売り上げアップにつなげているほ か、新商品の「木挽ＢＬＵＥ」などが好調で、前年比 1.6％増の 164 億 2000 万円となった。
まとめ
国税庁によると、ワインなどの果実酒は低価格品の台頭などで 2015 年度の消費量は前年度比 5.6％増の 37 万 300 キロリットル、ウィスキーはソーダで割るハイボールのブームもあって同 14.7％増の 13 万 5400 キロリットルと、それぞれ 7 年連続で前年度を上回った。近年は自宅で酒 を飲む「家飲み」の増加などを背景に、大手総合酒類メーカーが手がける缶チューハイや缶カク テルなどの「ＲＴＤ」（Ready To Drink）の市場も拡大を続けており、競合が一段と激化している。 2015 年度の国内酒類消費量が 2 年ぶりに前年度を上回ったなか、焼酎消費量は前年度比 0.5％ 減の 85 万 8100 キロリットルと 2 年連続の前年度割れとなった。焼酎には、連続式蒸留の「甲類 焼酎」と単式蒸留の「乙類焼酎」の 2 種類があり、「乙類焼酎」は前年度比 1.0％増の 46 万 6900 キロリットルと 2 年ぶりに前年度を上回った。特に大消費地である東京都は同 5.3％増と 2 年連続 の前年度比増となったほか、焼酎王国といわれる九州では福岡県や大分県、沖縄県など 4 県が前 年度比でプラスに転じている。その一方、「甲類焼酎」は同 2.2％減の 39 万 1200 キロリットルと 縮小傾向が続いており、焼酎全体としては依然として伸び悩んでいる。 今後も同業他社や大手総合酒類メーカーなどとの競合がますます激しくなるとみられるなか、 ブランド力を高めるための経営戦略や、多様化する消費者のライフスタイル・嗜好にマッチした 商品開発、飲み方の提案などが市場拡大のカギとなりそうだ。 ※ 宝ホールディングス（株）は、連結売上高 2253 億 6400 万円（2016 年 3 月期）に対する焼酎 部門の売上高が 593 億 7600 万円（構成比 26.3％）、オエノンホールディングス（株）は、連 結売上高 792 億 1200 万円（2016 年 12 月期）に対する焼酎部門の売上高が 394 億 2700 万円（同 49.8％）と、それぞれ構成比が 50％未満のためランキングから外れた。©TEIKOKU DATABANK, LTD. 2016 年 焼酎メーカー売上高ランキング 50 社 （売上高は推定を含む） 順位 前年順位 社名 所在地 主力ブランド名 原料 創業 設立 決算月 （百万円）売上高 前年比 売上高 伸び率 1 1 霧島酒造（株） ※1 宮崎県都城市 黒霧島、白霧島、赤霧島、吉助 芋、麦 1916年 2014年3月 3 65,072 10.4% 2 2 三和酒類（株） 大分県宇佐市 いいちこ 麦 － 1958年9月 7 47,738 ▲0.6% 3 3 雲海酒造（株） 宮崎市 いいとも、雲海、日向木挽 麦、ソバ、芋 － 1967年11月 9 16,420 1.6% 4 4 二階堂酒造（有） 大分県日出町 大分むぎ焼酎二階堂、吉四六 麦 1866年 1964年12月 6 16,000 ▲1.2% 5 5 薩摩酒造（株） 鹿児島県枕崎市 さつま白波、黒白波 芋、麦 － 1936年6月 6 14,500 ▲3.3% 6 6 濵田酒造（株） 鹿児島県いちき串木野市 海童、薩摩富士 芋、麦 1868年 1951年7月 6 13,736 1.3% 7 9 若松酒造（株） 鹿児島県いちき串木野市 薩摩一、わか松 芋 1719年 1953年9月 6 7,412 3.3% 8 7 高橋酒造（株） 熊本県人吉市 白岳、白岳しろ 米 1900年 2001年11月 9 7,320 ▲1.2% 9 8 本坊酒造（株） 鹿児島市 桜島、石の蔵から 芋、麦 1872年 1955年10月 6 7,221 0.2% 10 10 美峰酒類（株） 群馬県高崎市 司、上州むぎ焼酎 甲類、麦 － 2007年10月 9 5,806 ▲3.6% 11 11 大口酒造（株） 鹿児島県伊佐市 伊佐錦、黒伊佐錦 芋 － 1970年8月 3 5,343 3.5% 12 12 神楽酒造（株） 宮崎県高千穂町 ひむかのくろうま、天照 麦、ソバ － 1954年11月 9 4,310 ▲7.4% 13 16 (株)宮﨑本店 三重県四日市市 キンミヤ焼酎 甲類、麦 1846年 1951年3月 9 4,265 10.5% 14 13 小正醸造（株） 鹿児島市 さつま小鶴 芋、麦 1883年 1953年7月 6 4,149 1.2% 15 14 鷹正宗（株） 福岡県久留米市 ばっかい、ごりょんさん 麦、芋 － 1935年11月 12 4,072 2.8% 16 15 長島研釀（有） 鹿児島県長島町 さつま島美人 芋 － 1967年2月 9 3,662 ▲6.1% 17 19 札幌酒精工業（株） 札幌市 サッポロソフト、喜多里 甲類、芋 － 1933年10月 9 2,867 ▲0.4% 18 17 （株）都城酒造 宮崎県都城市 あなたにひとめぼれ 麦、芋 － 1956年2月 8 2,741 ▲9.0% 19 20 老松酒造（株） 大分県日田市 閻魔、田五作 麦、米 1789年 1973年12月 3 2,690 ▲0.7% 20 21 田苑酒造（株） 鹿児島県薩摩川内市 田苑 麦、芋 1890年 1976年6月 6 2,625 0.0% 21 22 三岳酒造（株） 鹿児島県屋久島町 三岳 芋 － 1949年11月 9 2,580 3.2% 22 18 岩川釀造（株） 鹿児島県曽於市 ハイカラさんの焼酎、おやっとさあ 芋、麦 1870年 1922年11月 3 2,500 ▲16.7% 23 23 （株）久米島の久米仙 沖縄県久米島町 久米島の久米仙 米 1949年 1993年7月 12 2,401 ▲2.0% 24 32 （株）篠崎 福岡県朝倉市 千年の眠り、博多献上 麦 － 1972年9月 9 2,294 34.3% 25 24 ヤヱガキ酒造（株） 兵庫県姫路市 あらき、ヤヱガキカブト 麦、甲類 1666年 1962年12月 9 2,043 ▲2.6% 26 25 （有）比嘉酒造 沖縄県読谷村 残波 米 1948年 1985年8月 2 2,017 ▲2.2% 27 29 （株）奄美大島開運酒造 鹿児島県奄美市 れんと、紅さんご 黒糖 1954年 1998年2月 9 2,011 7.7% 28 31 宗政酒造（株） 佐賀県有田町 のんのこ 麦 － 1985年5月 8 2,002 10.2% 29 27 新平酒造（株） 鹿児島県大崎町 大金の露 芋、麦 1896年 1988年6月 6 2,000 0.0% 30 26 八鹿酒造（株） 大分県九重町 銀座のすずめ、なしか 麦 1864年 1949年11月 9 1,968 ▲2.4% 31 28 小鹿酒造（株） 鹿児島県鹿屋市 小鹿 芋、麦 － 1971年8月 7 1,782 ▲6.3% 32 33 江井ケ嶋酒造（株） 兵庫県明石市 福寿天泉、白玉焼酎 麦、甲類 1679年 1888年10月 9 1,719 2.0% 33 37 福井酒造（株） 愛知県豊橋市 千年浪漫 トウモロコシ 1912年 1948年10月 9 1,671 14.2% 34 30 山元酒造（株） 鹿児島県薩摩川内市 さつま五代、蔵の神 芋、麦 1912年 1991年10月 9 1,648 ▲10.2% 35 35 玄海酒造（株） 長崎県壱岐市 むぎ焼酎壱岐、一支國いき 麦 1900年 1985年2月 4 1,605 2.8% 36 36 白玉釀造（名） 鹿児島県錦江町 魔王、白玉の露 芋 1904年 1953年2月 3 1,500 0.0% 36 34 白金酒造（株） 鹿児島県姶良市 白金乃露、石蔵 芋 1869年 1952年7月 6 1,500 ▲3.2% 38 38 さつま司酒造（株） 鹿児島県姶良市 さつま司、龍門滝 芋 － 1936年4月 12 1,400 0.0% 39 39 （資）光武酒造場 佐賀県鹿島市 魔界への誘い、舞ここち 芋、麦 1868年 1955年10月 9 1,379 ▲0.2% 40 41 佐藤酒造（有） 鹿児島県霧島市 佐藤、さつま 芋 1906年 1952年4月 5 1,280 ▲1.5% 41 40 さつま無双（株） 鹿児島市 さつま無双、くろはち 芋、麦 － 1970年10月 6 1,238 ▲7.8% 42 42 萬世酒造（株） 鹿児島県南さつま市 薩摩萬世 芋 1899年 1985年11月 6 1,200 ▲4.3% 43 - 聖酒造（株） 群馬県渋川市 聖 清酒粕、甲類 1841年 2006年5月 9 1,100 34.1% 43 47 高千穂酒造（株） 宮崎県高千穂町 高千穂、わかむぎ 麦、芋 1902年 1976年2月 3 1,100 9.5% 43 45 まさひろ酒造（株） 沖縄県糸満市 古酒まさひろ、海人 米 1883年 1965年8月 8 1,100 4.7% 46 43 瑞泉酒造（株） 那覇市 瑞泉 米 1887年 1971年9月 9 1,080 ▲1.8% 47 - ヘリオス酒造（株） 沖縄県名護市 くら 米 1961年8月 12 1,050 0.0% 48 49 壱岐の蔵酒造（株） 長崎県壱岐市 壱岐っ娘 麦 － 1984年5月 9 978 ▲0.7% 49 44 大海酒造（株） 鹿児島県鹿屋市 さつま大海 芋、麦 － 1975年6月 6 949 ▲13.3% 50 - （株）金龍 山形県酒田市 new爽 甲類 － 1950年4月 9 920 ▲1.1% ※1 売上高伸び率は、2015年4月に事業を継承した旧・霧島酒造（株）（現・霧島ホールディングス（株））の2015年3月期売上高をもとに算出した。
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