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(1)

手関節骨折治療における

デジタル

C-

アームとエコーの有用性

監修  駿河台日本大学病院 整形外科   教授 長岡正宏 福井県済生会病院 整形外科 医長 山内大輔 東京都済生会中央病院 整形外科 部長 亀山真

(2)

高精細

100

万画素イメージを用いた

Central Depression

型橈骨遠位端粉砕骨折への挑戦

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 福井県済生会病院 整形外科  医長 山内 大輔

手関節骨折治療における

デジタル

C-

アームとエコーの有用性

現在の橈骨遠位端骨折治療の方向性

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 駿河台日本大学病院 整形外科  教授 長岡 正宏

橈骨遠位端骨折の手術治療における超音波検査

(掌側ロッキングプレート固定術後の評価)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 東京都済生会中央病院 整形外科 部長 亀山 真

(3)

監修にあたり

橈骨遠位端骨折は高齢化に伴い骨粗鬆症関連骨折のひとつと して増加傾向にあります。治療がうまくいかなかった場合には 高齢者のQOL低下に大いに関与します。患者さんの考え方も変 わりつつあり、以前はギプス固定を選択する方が多かったので すが、最近では可及的早期に手の使える観血的治療を希望され る患者さんが増えています。一方、医師サイドからみると、掌 側ロッキングプレートの開発により、手術成績が安定してきた ことも手術を選択しやすくなった理由のひとつです。しかし、 掌側ロッキングプレート固定にも数々の解決すべき問題があ ります。その一つは術後の合併症としての屈筋腱損傷です。 これは、このプレートによる特有な合併症ですが、腱を動態観 察できる超音波検査はその病態を知る有力な武器となります。 また、正確な骨折部の解剖学的整復を目指すためにはX線透視 装置は必須です。術者の被爆を軽減し、細部まで観察できる装 置を使用することによりさらに手術が容易となります。すなわ ち、上記に述べたようなインプラント以外の器機の性能向上に より橈骨遠位端骨折の治療成績はさらに良好となり、患者さん への福音となることは間違いないでしょう。今後は、より低侵 襲手術を行うことのできる手術器械や診断装置の開発が望ま れます。

現在の橈骨遠位端骨折治療の方向性

駿河台日本大学病院 整形外科  教授 長岡正宏

(4)
(5)

はじめに

近年、橈骨遠位端骨折に対して

Angular Stability

を持った掌側 ロッキングプレートが用いられ、良好な成績が報告されている。し かし、関節内骨折、中でもCentral Depression型骨折の治療成績 は不良である。その理由は粉砕した関節面骨片の整復の良否の 判断と、骨片の強固な内固定が難しいからである。患者の受傷機 転の多くは高所からの転落による労災事故で、いわゆる働き盛り の男性に多く、早期の社会復帰が求められる。従来の外科用

C

ア ーム(以降、イメージと記す)では骨片の鮮明な画像が得られず、 術中は充分と思われても術後の

XP

では不充分な整復しか得られ ていないことを多く経験し、より鮮明な画像が得られるイメージ を熱望していた。 我々は平成

22

10

月から高精細

100

万画素の描写が可能な

GE

ルスケア社のイメージ、

OEC9900 Elite

(以降、

OEC9900

と記す)

が使用できるようになり、

Central Depression型橈骨遠位端粉

砕骨折に対して

Dual Plate

固定を行っているので、その手技につ いて報告する。

高精細

100

万画素イメージを用いた

Central Depression

型橈骨遠位端粉砕骨折への挑戦

福井県済生会病院整形外科 医長 山内大輔

(6)

を出力することである。したがって、通常は視 野の拡大は行わ ずに9インチ視野下で手術を行うが、関節面の整復を行ったり、 軟骨下骨直下にロッキングスクリュー(ピン)を入れたりすると きには、第2段階の6インチまで視野を拡大している。(9インチ

I.I.搭載のOEC9900では9 - 6 - 4.5インチの3段階の視 野拡大が

選択できる。)ここで言う視野の拡大とは、いわゆる拡大すれば するほど画質が劣化するデジタルズームではないので、骨片の 視認が容易になる。 掌側を処置する時は尾側に座り、背側を処置するときは頭側に 座る。助手は常に術者と向かい合わせに座ることになる。イメ ージは上肢と平行に位置させ、術者や助手に邪魔にならないよ うにする。

治療を開始するにあたって

手術は、単純な関節外橈骨遠位端骨折であれば腕神経叢ブロ ックで行っているが、

Central Depression型は3-4時間程度の

手術時間が見込まれるため全身麻酔で行っている。通常、腕神 経叢ブロックも併用し、術後の徐痛にも努めている。体位は仰 臥位で、肩関節は90度外転する。上肢は木製(檜)の机に乗せ る。ターニケットを装着して消毒を行う。手術は背側ロッキング プレートと掌側ロッキングプレートの両方を用いて落ち込んだ 関節面骨片と掌側・背側の骨片を支える方針としている。 この手 術で、イメージに求められる機能は陥没した関節 面骨 片、橈骨茎状突起と尺背側のいわゆるDie Punch骨片などの整 復が良好かどうか判断することと、全体的なアライメントが良 好かどうかを判断するために、ゆがみやハレーションがない像

OEC9900

9-6-4.5

インチの

3

段階視野を選択できる。通常は拡大は行わずに

9

インチ視野下で手術を行うが、関節面の整復を行っ たり、軟骨下骨直下にロッキングスクリュー(ピン)を入れたりするときには、第

2

段階の

6

インチ視野まで画像を拡大している。

9

インチ視野

6

インチ視野

4.5

インチ視野

(7)

あまり含んでおらず、整復が良好な場合は、掌側プレート固定を してしまった後に背側プレートでDorsal Cortical の骨片を押 さえ込んでも良い。 背側のDorsal Cortical の骨片が軟骨を多く含み、背側からも 圧迫しないと整復が保持できない場合は、

Dorsal Corticalの

骨片を戻して、

SYNTHES MatrixMANDIBLE

のプレートで圧 迫

固 定とする。通 常 はBendingした後 に、

AO Modular Handの

2.4mmのスクリューで圧迫固定し、以後、ロッキングスクリュー

を用いている。ロッキングスクリューを使用する理由は掌側プ レートに干渉してしまい、

Bi-Corticalな固定ができないためで

ある。背側にプレートを当てる場合の肢位は回内位気味になる ことから、骨片は回内位固定となりやすい。上肢の回旋はなる べく、肩関節で行うように留意する。次に、掌側へ戻り、プレー トの位置を再度、調整して末梢のロッキングスクリュー(ピン) 固定を行う。最後に、掌側プレートの中枢のスクリュー固定を行 う。術中は特に関節面の整復とスクリューの位置に気を配る。 肘関節を20-30度 屈曲させた手関節側面像、いわゆる橈骨関 節面撮影像をイメージで確認する。橈骨関節面がきれいに見え る肘屈曲角度はある程度の幅があるので、机と手との距離をデ ッキを何枚か重ねることで調節して決めておくと良い。最後に 側面像で手関節掌屈・背屈を行い、動きを確認する。代表症例 を供覧する。

実際の治療

手 術 はまず、掌 側 から行う。

Trans-FCR Approachで 進 入し、

方形回内筋を橈側縁で切離して骨折部を展開する。掌側ロッキ ングプレートの目的は背側から骨片を押さえ込んだ時に掌側 に亜 脱臼しないためのAnatomical Contourを維 持すること と、骨片を押さえ込んだ後にロッキングスクリュー(ピン)で軟 骨下骨を支えることである。プレートを設置して楕円穴に皮質 骨スクリューを挿入し、プレートを仮固定しておく。次に頭側へ 移り、背側の展開を行う。第3コンパートメントの直上に縦切開 を加える。第

3

コンパートメントはリスター結節の尺側であるか ら、ここを指標にする。皮切後、長母指伸筋腱(以下、

EPL)を同

定し、末梢・中枢共にリリースして、後に橈側皮下に移動できる ようにしておく。

EPL

の直下の骨膜にメスで切り込みを入れて尺 側を中心に剥がす。橈骨舟状関節面は掌背側にSplitしておら ず、掌側からだけで固定できることが多いが、粉砕が強い場合 はその限りではない。橈骨月状関節面は

Split

していることが多 く、リスター結節から尺側に背側プレート固定が必要になる。リ スター結節とその尺側の骨片(いわゆる、

Dorsal Cortical)を

関節包を温存してそっと末梢へめくると、陥没した関節軟骨を 含んだ骨片がある。月状骨に合わせるように整復して、出来た 間隙を鋭匙でならす。そこにβ

TCPなどのブロックの人工骨を挿

入する。ブロックは軟らかいため、扱いに注意して割れないよう に気をつける。ここで、背側の

Dorsal Cortical

の骨片が軟骨を まず、掌側プレート固定を行った後に、押さえ込みたい背側骨片に

KW

を刺入して、それをガイドにして圧迫固定を行った

Case

(8)

図1c 図1d 図1e

代表症例の閲覧

(症例1)

44歳 男 性。高 所 から転 落して受 傷した。粉 砕 の 強 いCentral

Depression

型骨折である。掌側プレートは、

Dupuy

社製

DVR

プ レートを、背側はSYNTHES社製 MatrixMANDIBLEのプレートを 用いた。本例のみ背側に2枚のプレート固定を行っている。尺側 の骨片の整復がやや甘いが、関節面の整復は良好である(図

1

)。 症例1 図

1f,g.

 術中イメージ像、関節面の整復は良好である。 図

1a,b.

 症例

1. 44

歳男性、高所から転落して受 傷した、粉砕の強い

Central Depression

型橈骨遠位端骨折である。 図

1c,d,e,CT Scan.

 関節面は高度に粉砕している。 図1a 図1b CT Scan 図1f 図1g

(9)

(症例1)

57歳男性。高所から転落して受傷した。

Central Depression型

骨折である。掌側プレートは、

SYNTHES

社製

TCP

プレートを、背 側はSYNTHES社製 MatrixMANDIBLEのプレートを用いた。や やGapはあるが、関節面の整復は良好である。掌背屈も問題なく できている(図

2

)。 症例2 図

2g,h.

術中イメージ像、手関節背屈位と掌屈位、手根骨の動きはなめらかである。 図

2e,f.

術中イメージ像、正面像と側面像、関節面の整復は良好である。

2a.b,c,d,CT Scan.

 症例

2. 57

歳男性、高所から転落して受傷した、粉砕の強い

Central Depression

型橈骨遠位端骨折である。

CT Scan

では関節面は高度に粉砕していることがわかる。 図2a 図2b 図2c 図2d CT Scan 図2e. 術中正面像 図2f. 術中側面像 図

2i,j.

術直後の

XR

像、術中イメー ジとの差はほとんどない。 図2i. 術後一般レントゲン正面像 図2j. 術後一般レントゲン側面像

(10)

考察

関節内粉砕骨折、特に橈骨遠位端粉砕骨折に対する手術は難し い。スキントラブルの観点から、できるだけ小侵襲な手術が求 められる一方で、正確な整復と早期可動域訓練が行えるだけの 強固な固定性が求められる。近年、様々なサイズや形態のプレ ートが開発され強固な固定性を得るための武器はそろってき ている。後は、関節内骨片の正確な整復位が得られるかどうか である。整復位の確認には、関節鏡を用いた報告も多いが、潅 流水が必要なことによる問題とイメージの併用が必要なこと から、一般化していない。

OEC9900は従来のイメージ(25万画

素)に比べて約

4

倍の画像情報を得ることができ、画像の歪みも 少ないので、整復位の確認が容易で手術時間の短縮にもつなが っている。今後もより良い機能改善が得られるように、

Central

Depression

型橈骨遠位端粉砕骨折へ挑戦していきたいと考え ている。 製造販売 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 販売名称 OEC9900シリーズ OEC9900 Elite

(11)

製造販売 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 販売名称 OEC9900シリーズ OEC9900 Elite

橈骨遠位端骨折の手術治療における超音波検査

(掌側ロッキングプレート固定術後の評価)

東京都済生会中央病院 整形外科 部長 亀山真

はじめに

一般に骨折の診断は、ほとんどが単純

X

線画像によって下さ れ、

CT

MRI

は補助的診断として追加施行されている。しかし 近年、骨折の微細な転位や周囲の軟部組織をリアルタイムに 高解像度で評価できるツールとして超音波検査が注目され、 骨折の診療に用いる報告が散見されている1)、2)。本稿では、橈 骨遠位端骨折治療で最もトピックとなっている掌側ロッキン グプレート固定術を取り上げ、本法に対する超音波検査の実 際を紹介し、その有用性を述べる。今回使用した超音波装置は

GEヘルスケア・ジャパン社製 LOGIQ

e

Expertである。

(12)

1. 掌側ロッキングプレート固定術後の長母指屈筋腱損傷 掌側ロッキングプレート固定術は良好な治療成績が数多く報告 され、手術治療の第

1

選択になりつつあるが、近年、術後の長母指 屈筋腱(以下、

FPL)損傷の発生が懸念されている。本合併症は、

インプラント(プレート、スクリュー)のFPLとの接触、摩擦に起因 すると考えられ、従来は症例報告で散見される程度であった。し かし、

Drobetzらは50例中6例

3)、多田らは88例中4例4)に腱断裂を 発生したと報告しており、決して看過できない合併症と言える。 2. 橈骨遠位端掌側の解剖 本合併症の理解の一助として、正常の橈骨遠位端掌側の超音波 検査所見について述べる。橈骨遠位端掌側面を前額断(短軸スキ ャン)で検討すると、方形回内筋で覆われている部分は比較的平 坦な形状を呈す(図1)。一方この位置より遠位は2重の起伏を持っ た構造になる。このうち尺測の起伏は月状骨が対向する

Lunate

Facet、橈側の起伏は舟状骨が対向するScaphoid Facetに相当

する(図2)。 一方、矢状断(長軸スキャン)で検討すると、

FPL

は、母指の屈伸に 同期するFibrillar Patternを有する構造物として描出され、この レベルでの橈骨遠位掌側縁は、台形形状を呈している。この台形 の上底の近位端が、方形回内筋付着部の遠位端、いわゆる

Orbay

の 提唱するWatershed Line( あるいはTransverse Ridge)5)

相当する(図3)。 図

1.

橈骨遠位端掌側の短軸像  

(方形回内筋で覆われている部分) *:橈骨遠位端掌側の輪郭  (比較的平坦)

PQ

:方形回内筋 図

2.

橈骨遠位端掌側の短軸像  

(方形回内筋より遠位のレベル) *:

Lunate Facet

掌側の輪郭  **:

Scaphoid Facet

掌側の輪郭

PQ

橈側 尺側 橈側 尺側

(13)

4. プレートの設置状態を単純X線画像で評価することの問題点 臨 床の現場では、術 後にインプラントの設置状 態を手関節単 純

X

線画像で判断しているが、これは正確とは言い難い。たとえ ば、単純X線側面像でプレート遠位端(A点)が橈骨遠位端掌側 縁、すなわちLunate Facetの掌側隆起(B点)に近接して見える 場合、プレートは

Watershed Line

を超えて遠位へ設置されて いる可能性が懸念される。しかし遠位アームの橈側が遠位に張 り出した構造のプレートでは、側面像でプレート遠位端が橈骨 遠位端掌側縁に近接しているように見えても、実際のこれら

2

点の位置は離れている。さらに清水らは、

FPLの走行する位置が

Lunate Facetの掌側骨隆起の頂点より10.5±1.2mm橈側であ

ると述べている6)。すなわち、単純

X

線側面像で描出されるプレー ト遠位端やLunate Facetの掌側骨隆起はいずれもFPLの位置 を反映していない(図4)。 3. FPL損傷の原因

Orbayは、掌側ロッキングプレート固定術後のFPL損傷の原因

として、1プレートを

Watershed Line

の遠位まで設置、および 2プレートの橈骨遠位掌側面からのLiftoff、を挙げている5)。従 ってFPL損傷防止の観点からは、プレートをWatershed Lineの 近位に留め、橈骨遠位掌側面の形状に適合させて設置し、矯正 損失を生じることなく骨癒合を得ることが理想である。しかし、 骨折の位置が関節面に近接している場合(遠位骨片の掌側骨皮 質の長さが

1cm

未満)、スクリューを遠位骨片に刺入するために プレートをWatershed Lineの遠位まで設置せざるを得ない。 仮にプレートをWatershed Lineの近位に設置できても、骨折の 粉砕が強い場合は、術後の骨折部での経時的短縮によりプレー トの遠位端がWatershed Lineの遠位へ突出、あるいは遠位骨 片の背屈転位の再発によるプレートのLiftoffにより、プレートと

FPL

は接触を生じ得る。方形回内筋でプレートを被覆できても、 縫合した箇所が手関節の早期運動に伴い離開することもある。 すなわち現実にこれらの不具合事象を骨接合術の施行時点で 予測することは困難である。 図

4.

単純

X

線像でプレー

トの設置状 態を評 価することの問題点 1

A

点(プレート遠位端)  と

B

点(橈骨遠位掌側 縁)は、側面像では近 接しているが、正面像 では離れている。 2

A

点、

B

点は

FPL

の位置 を反映していない。 図

3.

橈骨遠位端掌側の長 軸像 *:

Watershed Line

(

Transverse Ridge

)

FPL

PQ

橈骨

(14)

 

5. プレートを設置した状態での超音波検査所見 著者は、

FPL

損傷の可能性は、超音波検査の長軸画像で、

FPL、

インプラント、橈骨の

3

つの構造を一画面でリアルタイムに描出 し評価することが最も合目的であると考えている。橈骨遠位掌 側縁とプレート表面はいずれも高エコーを呈するが、橈骨遠位 端は深部が音響陰影による無エコー輝度、プレートは深部が多 重反射によるComet Tail Signを示すことで鑑別できる(図5)。 プレートの設置状態は、プレート掌側縁のFPLに最も近い位置P 点と

Watershed Line

の位置を定め、相互の位置関係により以

下の3つのTypeに分類した7)

Type1

(近位設置型 )

:P

点が

Watershed Line

の近位で、 背側に位置(超音波検査で

Watershed Line

を確認できる) (図

6

)。

Type2

(近位突出型)

:P

点が

Watershed Line

の近位で、 掌側に位置(超音波検査で

Watershed Line

を確認できる) (図

7

)。

Type3

( 遠位設置型 )

:P

点が

Watershed Line

を越えて、 遠 位に位 置(

Watershed Line

はプレートの背側 に位 置 するため、超音波検査で確認できない)。

Type3

ではプレー トによる圧排を認めることが多い(図

8

)。 土肥は、健常者

30

例の

FPL

と橈骨遠位掌側縁の最小距離を超音 波検査で測定し、

1.2

∼2.6mm(平均1.94mm)であったと述べ ている8)。この結果によれば、

Type1では、プレートが橈骨遠位掌

側縁よりさらに深部に位置するため

FPL

とプレートの接触が生 じ得ない。従って、腱断裂に至る危険性は極めて少なく、基本的 に抜釘の必要性は少ないといえる。一方、

Type2はプレートの橈

骨 遠 位 掌側 面からの

Liftoff

Type3

Watershed Line

より遠

位への設置に相当し、いずれも

FPL

とプレートとの接触が生じ得 る。自験例30例の検討によれば、

Type1でのFPLとプレートとの

接触は

1

例もなく、

Type2

40%

Type3

62.5%

FPL

とプレー トとの接触が認められた。さらに

Type3

FPL

とプレートが接触 していた例は、全例FPLのプレートによる圧排を生じていた7)。従 って、

Type2

3

については、

FPL

とプレートの間の距離を骨癒合 が得られた時期に評価し、

FPL

とプレートとの接触が疑われた 場合はプレートの抜去を考慮すべきと考えている。  なお、

FPLとプレートとの接触の有無は、短軸画像によっても

評価可能である。しかし、長軸画像では

FPL

のプレートからの突 き上げ、ロッキングスクリューのBackoutの有無、および動画で

FPLの腱症(Tendinopathy)や滑走状態(腱癒着の程度など)

を判断でき、短軸画像より情報量が多いと考えている。

*自験で使用したインプラント: APTUS(ME System)、DVR(J&J)、Stellar(日本ユニテッ ク)、Variax(Stryker)、Smartlock(Stryker)、 AO/ASIF Distal Radius Plate(Synthes)、

TCP(Synthes)、OSR(JMM)

5.

橈骨遠位端掌側の長軸像  

(プレート設置状態)

*:

Watershed Line

(

Transverse Ridge

)

音響陰影(橈骨遠位端掌側の深部)

Comet Tail Sign

(プレートの深部)

(15)

9.

橈骨 遠位 端 背側の

Convex

形状(赤線 )

*:

Lister

結節

10.

橈骨背側骨皮質を貫通していたスクリュー (長軸像)

*:スクリュー先端(骨皮質から

4mm

突出)

7. Type2

(近位突出型):

P

点が

Watershed Line

の近位で、掌側に位置(超音波検査で

Watershed Line

を確認できる)

8. Type3

(遠位設置型):

P

点が

Watershed Line

を越えて、遠位に位置(

Watershed Line

はプレートの背側に位置するため超音波検査

  で

Watershed Line

を確認できない)。

FPL

はプレートによる圧排を認めることが多い。

橈骨背側骨皮質

4mm

Type1/2/3

写真、図解

6. Type1

(近位設置型):

P

点が

Watershed Line

の近位で、背側に位置(超音波検査で

Watershed Line

を確認できる)

FPL

FPL

FPL

P

Watershed Line

FPL

FPL

FPL

P

Watershed Line

FPL

FPL

FPL

P

P

P

Watershed Line Watershed Line Watershed Line (エコーでは見えない)

P

(16)

参考文献

1)児玉成人、他 : 橈骨遠位端骨折に対する超音波検査の利用. 日手会誌. 2006 ; 23 : 859-863. 2)皆川洋至 : 肋骨骨折診断における単純X線検査と超音波検査の比較. 日整超研誌. 2009;21 : 46-50.

3) Drobetz H, et al : Osteosynthesis of distal radial fractures with a volar locking screw plate system.  Int Orthop 2003 ; 27 : 1-6. 4)多田薫、他 : Acu-Loc Distal Radius Plate systemを用いて長母指屈筋腱障害を生じた8例. 日手会誌. 2010 ; 26 : 43-46. 5) Orbay J : Volar plate fixation of distal radius fractures.  Hand Clin 2005 ; 21 : 347-354.

6)清水弘毅、他 : 橈骨遠位端掌側における屈筋腱の走行位置. 日手会誌 2011;27:587-589.

7)亀山真、他 : 橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定術後の長母指屈筋腱の超音波検査による検討.骨折(投稿中)

8)土肥大右 : 超音波検査による橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定術後の長母指屈筋腱損傷の検討. 日手会誌 2010;27 : 70-73. 9) Bianchi S, et al : Screw impingement on the extensor tendons in distal radius fractures treated by volar plating : sonographic appearance.

  AJR Am J Roentgenol 2008 ; 191 : W199-W203. の設置状態を瞬時に評価できることは、骨折治療を安全に進 める上で極めて意義が大きい。掌側ロッキングプレート固定術 は、橈骨遠位端骨折の手術成績を飛躍的に高めたが、現状は術 後の腱損傷が懸念されながらも抜釘についての見解は様々で ある。

本骨折治療に対する超音波検査が一般化し、症例の積み

重ねにより術後の抜釘に関する指針が確立されることを強く 望むものである。

おわりに

超音波検査で得られる骨の情報はあくまで骨の輪郭であり、 その内部は音響陰影により詳細を知ることができない。また、 探触子を的確に検査対象物に当てるには、正確な解剖の知識 が必要である。骨折の全体像を知るには、やはり従来通りの

X

線検査が欠かせない。しかし、骨折部周囲組織の評価、特に屈 筋腱や伸筋腱の状態(骨、インプラントとの接触、滑走状態)、 および手術で用いられた内固定材料(プレート、スクリュー) 骨皮質を貫いている状態、およびスクリュー先端と伸筋腱の接 触の有無の判断に有用である。

Bianchi

らは、スクリューの突出 による伸筋腱の障害が、局所的充血、腱鞘炎、部分断裂、完全断 裂の順に重症化するとし、超音波検査はこれらの状態を評価で きるとしている9)。突出したスクリューは超音波画像で先端の位 置が高輝度に描出されるが、背側の転位した骨片との鑑別に窮 する場合があり、注意を要する(図10)。 6. 掌側ロッキングプレート固定術後の伸筋腱損傷 橈骨遠位端を走行する伸筋腱は屈筋腱と異なり、骨皮質に接し ているため、掌側ロッキングプレート固定術に用いたスクリュー が背側骨皮質を過度に貫いている場合、伸筋腱を損傷する危険 がある。橈骨遠位端背側はLister結節を頂点とする3次元的に 複雑な

Convex

構造のため、単純

X

線側面像で一見スクリュー先 端の突出がないようにみえても、実際には骨皮質を貫いている ことがある(図9)。これに対し超音波検査は、スクリューが背側 製造販売 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 販売名称 汎用超音波画像診断装置LOGIQ e 医療機器認証番号 218ABBZX00060000号

※LOGIQ e Expertは汎用超音波画像診断装置LOGIQ eの類型です。

屈筋腱評価を

超音波エ コーで

図 1c 図 1d 図 1e代表症例の閲覧(症例1)44歳 男 性。高 所 から転 落して受 傷した。粉 砕 の 強 いCentral Depression型骨折である。掌側プレートは、Dupuy社製DVRプレートを、背側はSYNTHES社製 MatrixMANDIBLEのプレートを用いた。本例のみ背側に2枚のプレート固定を行っている。尺側の骨片の整復がやや甘いが、関節面の整復は良好である(図1)。症例1 図 1f,g
図 2a.b,c,d,CT Scan.  症例 2. 57 歳男性、高所から転落して受傷した、粉砕の強い Central Depression  型橈骨遠位端骨折である。
図 5.  橈骨遠位端掌側の長軸像      (プレート設置状態)
図 9.  橈骨 遠位 端 背側の Convex 形状(赤線 )

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