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Academic year: 2021

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(1)

【背景】

肺癌は日本人のがん死亡原因の第

1

位を占め、特に非小細胞肺癌は、肺癌の中でも頻度 が高く、進行期の治療成績は十分なものではない。近年、非小細胞肺癌においては

EGFR

遺伝子変異や

ALK

融合遺伝子などのドライバー遺伝子変異が発見され、それらをターゲッ トとした分子標的治療が発展し、既存の化学療法に対して優れた治療成績を示している。

しかしながら、分子標的治療の効果の多くは一時的であり、耐性化が問題となっている。

EGFR

チロシンキナーゼ阻害薬の耐性機序としては、

EGFR

遺伝子

2

次変異

T790M、 MET

遺伝子増幅、小細胞肺癌転化などの耐性化機序が発見され、その耐性克服の戦略が構築さ れつつある。分子標的製剤の

1

つである

MET

阻害薬は、様々ながん腫において、基礎研究、

臨床試験にて有効性が報告されている。これまでに、

MET

阻害薬の耐性機序として、

KRAS

遺伝子増幅、

MET

遺伝子

2

次変異などが報告されているが、新規耐性メカニズム解明およ びその耐性克服が望まれている。

【目的】

非小細胞肺癌に対する

MET

阻害薬耐性機序を明らかにし、その耐性克服法を確立するこ とを目的とした。

【方法】

10

種 類 の 非 小 細 胞 肺 癌 細 胞 株

(A549, LC-2/ad, PC-9, PC-14, ABC-1, HCC-827, NCI-H441, NCI-H1648, RERF-LC-MS, EBC-1)を用いた。

各細胞株に対する

2

種類の

MET

阻害薬(PHA665752, Crizotinib)に対する感受性を

MTS assay

法にて評価し、

IC

50により、

感受性株を同定した。感受性株に

MET

阻害薬を低濃度から徐々に濃度を上げて暴露し続け、

耐性株を樹立した。感受性株、耐性株に対し

DNA

マイクロアレイ、リン酸化キナーゼアレ イ、microRNA アレイにより両群で発現差のある因子を網羅的にスクリーニングし、ウェ スタンブロット、real time RT-PCR法を用いて検証した。

【結果】

10

種類の非小細胞肺癌細胞株のうち、EBC-1のみが

MET

阻害薬に対して著しい感受性 を示す感受性株であった。

EBC-1

は、

MET

遺伝子増幅を有する細胞株であり、ウェスタン ブロット法にて、MET, p-METの高発現を確認した。EBC-1に対して

PHA665752

を持続 暴露し、MET 阻害薬耐性株 (EBC-1R) を樹立した。ウェスタンブロットにて、EBC1-R においては、EBC-1と比較して

p-MET, MET, KRAS, p-AKT, p-MEK

の高発現を認めた。

また、EBC1-Rでは、FISH法にて

KRAS

遺伝子、EGFR遺伝子のコピー数増加、リン酸 化キナーゼアレイにて、FGFR1,2の高発現を認めた。

DNA

マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析にて、EBC1-Rにおいて

ABCB1

遺伝 子の有意な発現上昇を認め、ウェスタンブロット、real time RT-PCRにてその高発現を確

(2)

認した。ABCB1遺伝子は、薬剤の細胞外への排出に関わる因子であるとともに、癌幹細胞 マーカーの1つであることが知られている。耐性株に対し

Sphere formation assay

を施行 し、sphere 数の増加を認めた。また、上皮間葉移行 (EMT) 関連マーカーをウェスタンブ ロットにて検討したところ、

EBC1-R

において、間葉系マーカーである

Vimentin

の上昇を 認め、EBC1-Rが、幹細胞および

EMT

の特徴を有する耐性株であることを明らかにした。

MicroRNA

アレイでは、ABCB1 遺伝子発現を制御する

miR-138

miR-374a

発現が

EBC1-R

で低下しており、miR-138を

EBC1-R

に過剰発現させることにより、ABCB1発 現抑制および

Vimentin

発現低下を認め、

ABCB1

miR-138

の標的遺伝子であることが示 された。

EBC1-R

に対し、

ABCB1

の発現を

siRNA

および

ABCB1

阻害薬

Elacridar

にて抑制し、

MET

阻害薬に対する感受性を

MTS assay

にて評価した結果、

PHA665752

に対する感受性 の回復が得られた。さらに

ABCB1

の抑制により、sphere数減少、E-cadherin 発現上昇、

Vimentin

発現低下が認められ、ABCB1が癌幹細胞および

EMT

形成に強く関与し、MET 阻害薬耐性化に寄与していると考えられた。

【結論】

ABCB1

高発現が癌幹細胞および

EMT

形成に強く関与し、非小細胞肺癌の

MET

阻害薬 耐性化に寄与している。

ABCB1

阻害は非小細胞肺癌の

MET

阻害剤耐性克服の新たな治療 戦略になり得ると考えられる。

参照

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