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3 障害者福祉の動向

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1. はじめに

現在, 市や町を中心にすすめられている地域の福祉にわれわれが求めるものはなんであろう か。 それは地域住民が地域社会における相互の交流を通して, 市民ひとりひとりが役割意識を もち, 地域活動への参加の機会が得られるように, 心のふれあう機会のある地域社会を実現し ていくことである。 各市町村は地域づくりに新たな活力が生まれてくるように推進する方策を 構築し, 障害者があらゆる活動の場でいきいきとした活動を通して自己表現ができる地域の創 造を構築する努力をしている。

そこで, 市町村は政策として障害のある人もない人も社会の一員としてお互いに尊重し支え 合い, 地域の中でともに生活する社会を築くことに取り組み, 「生活者としての権利の保障」

「自己決定権の尊重」 を基本的理念に, 障害者に支援サービスを提供し, これに要する費用を 支援する支援費制度などの施策を推進している。

社会経済の成熟化と社会構造の急激な変化により市民生活は地域社会中心から職場や家庭中 心へと移行し, 地域における連帯感が薄らぎ, 行き詰まりをみせている既存の地域福祉の仕組 みを改め, 利用者が利用しやすい仕組みを構築することが求められている。

これは利用者の満足度を向上させることを目的とし, 福祉サービスの仕組みや福祉環境づく りが必要となる。 現在はどこの市町村でも地域において福祉サービスを必要とする障害者が安 心してその人に適した質の高い, 満足度の高い福祉サービスを受けることができるように推進 している。

能力があっても障害があるというだけで, 採用などで差別を受けることや, 住宅の賃貸を拒 否されることがあってはならない。 また, 車いす利用者は, 段差のために行く手を阻まれるこ とが現実に起きないような施設, 設備についても障壁を少なくする配慮をしていく必要がある。

障害者に対する地域福祉の推進では, 限られた人々への支援だけではなく, 障害の有無や年 齢に関わらず誰もが住みなれた地域で, それぞれがその人らしい安心できる自立した生活がで きる地域社会を構築していくことが重要な点である。 障害者自身の自立への努力と行政による サービスにあわせて地域住民のこの支援への参加で地域福祉の充実を推進していくことが必要

3 障害者福祉の動向

原 田 壽 子**

*Trends on Welfare of the Handicapped

**Toshiko HARADA (立正大学社会福祉学部人間福祉学科) キーワード:障害者行動計画, 環境づくり, 担い手づくり, 地域づくり

(2)

であろう。

このような現状の中で障害者のための施策を進め, 地域福祉を創造している2つの地域, 上 福岡市と小鹿野町の障害者に対する施策と実際の展開の状況をみることとした。

小鹿野町は行政主導の地域包括ケアシステムづくりを目指し, 上福岡市は社会福祉協議会に よる地区活動の優れた実績をもつ地域である。

2. 上福岡市の概要

都心から30キロ圏内, 池袋駅から東上線で約35分の距離にある。 面積6.81キロ平方メートル, 人口 約54,000人。 1985年, 市民の豊かな暮らしの基盤である 平和 を守るため, 非核平和 都市を宣言している。

1990年, 第二次総合振興計画を策定, 2000年, 第三次総合振興計画を策定し, 市民とともに まちに夢, やさしさ, 生きがい, ゆとり, 豊かさなどをこころから実感できる市民生活の舞台 として魅力あふれる ふれあい上福岡 を創造していくことを基本理念としている。

上福岡市の町づくりの基本目標

上福岡市は急増する福祉などのニーズに効率的に対応し, 人間性にみちあふれ明るく住みや すいまちづくりのために, 市民の交流を大切にし, 知恵と意欲をいかし誰もが幸せに人生を送 れるよう地域における総合的に環境の創造を目指している。

ふれあいや助け合う心に支えられた町 心の環境・幸せづくり (福祉・保健・医療計 画) 誰もが住みなれた地域で生涯を幸せに暮らせるよう, 心の循環を支えられる町を目指 している。

いつでも, どこでも, 誰でも学べるまち 知恵の循環・学びづくり (教育・文化・ス ポーツ計画) 次世代を担うこどもの心を豊かにはぐくみ, 誰もが人間らしく心ゆたかに生 きる知恵を学ぶため, 学習機会の拡充を目指す。

安心して住みつづけることのできるまち 生活の循環・安心づくり (生活環境づくり) 誰でも安心して住みつづけることができるよう, よりよい環境づくりをすすめる。

季節を体感できる快適なまち 都市の循環・うつわづくり (都市整備計画) 次世代が意欲をもてるまち 活力の循環・仕事づくり (産業経済計画) 人と情報のネットワークで支えるまち まちづくり資源の循環・仕組みづくり

(協働によるまちづくり・行財政計画) 多種多様化する市民ニーズ的確かつ効率的応える ため, 市民とともに情報のネットワーク, 人のネットワークに支えられたまづくりの推進 をめざす。

3. 小鹿野町の概要

埼玉県の西北部に位置し大部分を山に囲まれ, 平地は15%に過ぎず, そこに開けた市街地と

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山間に点在する集落をもって形成されている。 季節ごとに美しい景観をみることができる。 人 口は約12,000名, 高齢化率は平成11年, 22,1%, 平成16年には23%を超えると予測されている。

小鹿野町の町づくりの目標 (将来像)

住民の誰もがいきいきとした生活を送れる町づくりを目標とし, 保健・医療・福祉の充実を はかっている。 住民健康増進プログラムの実践, 福祉サービスを提供している。

「彩り豊かなこころのふるさと・小鹿野」

「自然や文化, 産業などが彩り豊かに輝くまち」

「こころのふれあいや助け合いのなかですべての人が安心して, こころ豊かに暮らすこと ができ, さらに, 本町を訪れる人たちにとってもこころに残るまち」

4. 上福岡市の障害者福祉の施策と展開

上福岡市では1995年障害者長期行動計画を策定した3)。 それに先立ち上福岡市障害者行動計 画策定に係る基礎調査を障害者, 介助者, 健常者を対象に行ない, 基本報告書・障害者編を 1994年6月に発表し, 障害者福祉の基本目標を示すとともに, 目標達成に必要な施策を体系的 に明らかにした総合計画であり, これにより施策の一定の前進を遂げてきた。 2000年には上福 岡市障害者長期行動計画の見直しを行なっている4)

A. 上福岡市における障害者に対する施策の基本構想は福岡市総合振興計画 (2001−2010 年)1)に盛り込まれている。

福岡市第三次総合振興計画・基本構想・前期基本計画・2001−2010の概要

市民意識はこれまでにまして量から質の豊かさ, 物の豊かさから心の豊かさを求めようとす る価値観の変化により, 真に豊かに暮らせる地域社会を求めている。

市民とともに町に夢, やさしさ, 生きがい, ゆとり, 豊かさなどを心から実感できる市民生活 の舞台として魅力あふれる上福岡を創造し, 市民と行政のまちづくりに行動の指針としてこの 基本計画を策定している。

基本構想の未来都市上福岡市は, 市民とその暮らしにおける安全, 健康, 文化, 雇用や福祉 の一層の充実を図り, 市民, 企業, 行政がそれぞれ主体となり協働による町づくり, 平和と人 権の尊重, そして人にやさしい町づくりを基調としている。 「わたしたちのまち」 という意識 のもとにひとりひとりが知恵と意欲を生かし, 互いに連携し, 創造を高め, 市民の知識, 経験 などの資源が循環する循環型社会の形成を目指したものである。

障害者についても市民のひとりとして循環型社会の構成する存在である。 地域に学び, 地域 に根付いて自立して生きることを目指していくものである。

以上の基本構想をもとに障害者福祉の視点を次のように定めている。

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障害者福祉の視点

障害がいかに重くても人間としての尊厳がいささかも損なわれるものではなく, 障害をもた ない人と共に生きることが当然の姿であるという理念をもとに障害者福祉について考えている。

ノーマライゼイションの理念の推進 障害者は1人の市民として地域社会での生活が 普通となるよう, 社会的, 経済的, 文化的水準が他の人々と同質になるよう施策を展開す る。

リハビリテーションの重視 可能な限り心身の機能の回復を図るため, 地域における 医療, 教育, 職業, 社会的リハビリテーションの総合的推進を可能とする社会の構築。

自立への支援 障害者がそれぞれの能力, 特性にもとづいて最高度に自己実現を果た す事ができるような社会の実現を目指す。

障害者専用利用からみんなで利用へ 障害者専用利用化が図られてきたが, これは相 互の理解と交流を阻むものであるとし, 皆平等に使用する方向へ考える。

B. 上福岡市障害者長期行動基本計画の策定

計画見直しの背景についてみると

1) 1993年 「心身障害者対策基本法」 が 「障害者基本法」 に改正, 障害者施策を, 効果的, 計 画的に推進するために, 国, 都道府県, 市町村でそれぞれ 「障害者計画」 を策定することの なった。

2) 1993年8月 「上福岡市障害者長期行動計画検討委員会」 を設置し, 基礎調査によるニーズ の把握, 各障害者団体, ボランティア団体との懇談を経て平成7年7月 「上福岡市障害者長 期行動計画を」 発表した。 この計画の背景になったのは国や県の指導などである。

平成7年5月, 国から 「市町村障害者計画策定指針」 が示され, 可能な限り具体的な数 値目標を設定するように指導があった。

その後, 国や埼玉県の障害者プランの策定, 「介護保険法」 の成立, 社会基礎構造改革 の検討。

上福岡市障害者長期行動計画について 1 1995年の行動計画

1) 1995年 「上福岡市障害者長期行動計画」 を発表, 障害者福祉の基本目標を示し目標達成に 必要な施策を体系的に明らかにした総合計画である3)

「完全参加と平等」 をうたった国際障害者年のテーマをもとに障害者福祉に取り組む。

2) 社会状況は変化している中で障害者の支援も高齢者対象の介護保険と同様に社会全体で支 えるシステム作りが模索されている。

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3) 将来の措置を中心としたサービスから, 利用者とサービス提供者の対等な関係を前提とし た契約や選択へと変化し, 障害者自身の自己決定の尊重, それを支援するための体制づくり が論議されている。

4) このような状況の変化の中で, 計画を見直し, 障害のある人とない人がともに地域で生活 するのが当たり前の社会を求めて, 障害者福祉を推進する。 生きがいと健康にあふれるまち (福祉・保健・医療計画) を目標としている。

2 障害児・者福祉の充実 1) 障害児・者の実態把握

平成5年10月に障害者, 介助者, 健常者を対象とした障害者長期行動計画策定にかかわる基 礎調査を実施した2)。 就労, 住居, 重度身体障害者居宅改造整備補助費, 外出, 保健・医療サー ビス, 日常生活サービス, 障害者施設, これからの自分の生き方や暮らし方の実現について, 上福岡市の現状の障害者福祉対策について, 障害者福祉に取り組む姿勢についての評価などの 点について調査している。 この中で障害者の高齢化の進行, 親亡き後の生活援助の充実などの 課題が出された。 実態調査はその後は実施されていない。

2) 施策・施設体系の確立

前期基本計画主要事業の精神薄弱者更正施設は二市二町の広域事業としてすすめてきた。 ま た, 関係団体代表からなる検討委員会設置し施策体系の確立を図るため長期行動計画を策定し ている。

3) 生活・更正援護の充実

各種手当ての支給, 障害者就労機会の拡大などを実施してきているが, 調査の結果では企業 への就職のわりあいは25%, 20−40歳台でも60%である。 障害児・者の生活・更正援護の取り 組みは行政のみならず, 市民や企業の理解や援助を広げることも重要な課題である。 また, 市 民ボランティア活動をより活性化するための援助や活動拠点を充実する必要がある。

4) 障害児・者のための住みよいまちづくり

公共施設の整備, 情報提供を援助するためにコスモス福祉基金の活用により, 公共施設にファ クシミリを設置。 アンケート調査によると, 障害者の介助の経験者は2%に過ぎず, ほとんど 経験も知識もない人が61%であった。 障害者が住みよいまちづくりの推進には, 行政の体制だ けではなく, 広く市民も参加・協力できる仕組みをつくり, 実践することが必要である。

3 2000年の見直しの背景

1) 障害者基本法での障害者とは 「身体障害」 「知的障害」 「精神障害」 のために長期にわたり 日常生活, 社会生活に相当な制限を受ける人と定義されている。

身体や心に機能的な障害があり, それにより日常生が困難であったり, 社会参加が妨げら れることである。

2) しかし, 補助具や支援者がいれば, 機能低下をある程度カバーする事ができる。

3) 歩道の段差, スロープ, エレベーター, 車椅子用トイレなどの障壁が解消されなければ障

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害者は自立した行動を積極的することはできない。

4) 補助具や介助の提供, 障壁の改善することによりさらにすすんで, 障害のある人もない人 もこの環境で誰でも同じ視点で接することができ, さまざまな人が活動する事が当たり前の ことになるのではないだろうか。

4 計画の基本的考え方

1) 障害のある人, ない人が共に生きることが当り前の社会であるという理念のもとに障害者 福祉を推進するために計画の見直しを進める。

2) 障害のある人が地域の中で普通の市民として生活することが当たり前のことであり, その 生活が社会的, 経済的, 文化的水準が同一であることを目指した施策の展開を図る。

3) 「障害者プラン−ノーマライゼイション推進7ヵ年戦略」 が平成7年に策定されたがこの プランは高齢者福祉に関する 「新ゴールドプラン」 児童福祉子育て支援に関する 「エンゼル プラン」 とならび, 福祉推進の3大プランを構成するものである。

5 障害児・者福祉の充実 施策の方針 1) 生活・更正の充実

障害のある人のための施策を効果的, 効率的に推進するため, 障害のある人やその関係 者の意見を取り入れながら障害者長期行動計画 (平成17−26年度) を策定する。

* 精神障害のある人の施策としては身近な地域で可能な限り在宅生活をおくれるよう, ホー ムヘルプやショートステイなどの在宅福祉サービスの充実を図る。 施設の利用に関する相 談・助言, 通院医療費の公費負担申請の窓口相談業務などを推進する。

生活・更正援護の充実を図るため, 介護などの支援サービス事業を行なう。 福祉サービ スの措置から契約の流れの中で, 介護保険と同様にサービス利用者と提供者の対等な関係 の確立を図り, さらに, 総合的な支援やサービスの質と効率性の向上を図る。

2) 障害児・者施設の整備と機能の充実

障害のある児童の早期発見, 早期療育に対応するため, 療育ネットワークのシステム化 など療育環境の整備を図る。

障害のある児童に関する相談機能の充実を図る。

身近な地域で通所により必要な自立訓練や授産活動の場を提供し, 社会参加を促進する ため, 設置場所や運営主体を検討し, 心身障害者通所施設の整備を推進する。 また精神障 害社通所施設も整備を検討する。

5. 小鹿野町における福祉政策の展開 障害者に対する支援と施策

「小鹿野町障害者計画」 の策定

小鹿野町では1999年年3月, 障害者 (身体障害者, 知的障害者, 精神障害社, 難病患者) へ のサービスの多様化と障害の程度の複雑化と今後の支援のあり方について新しい考え方を示す

(7)

ために基本計画を策定している。

小鹿野市においては, 障害者の福祉サービスをこれまでに種々提供してきているが, 障害の 程度や障害者が必要とするニーズの多様化した状況の中で, 日常生活を総合的に配慮したサー ビスを計画的に提供していく必要性が高まってきている状況にある。 障害者の生活や行政への 要望を的確に捉え, 要望に対する施策を各分野に横断的に整理して体系化し, 障害者福祉を総 合的かつ計画的に推進するために基本計画を新しく策定することとした

小鹿野町障害者計画

計画の期間は1999年を初年度として2008年を目標年度とする10か年の計画である6)

この計画における障害者は障害者基本法で定義している 「障害者」 である身体障害者, 知的 障害者, 精神障害者に難病患者を加えて対象としている。 65歳以上の障害者は高齢者サービス に含めること, すべての障害者と64歳以下の障害者とに区分してサービスの目標量を考えるも のとしている。

基本理念

小鹿野町における障害者計画の基本理念は障害があっても地域社会の一員として彩り豊かな 生活ができる町を目指しているものである。

1) ノーマライゼイション 障害者が普通の人として一般社会の中で, 普通の生活が遅れる ような条件整備, 共に生きる社会こそ当たり前であるという考え方である。

2) リハビリテーション 障害者の身体的, 精神的, 社会的な適応能力回復のための技術的 訓練プログラム, 障害者の自立と参加を目指すことである。

障害者計画の6つの柱

小鹿野町における障害者計画の基本は6つの柱に基づいて計画的に施策を推進している。

この6つの柱は町民にもわかりやすく表現されている。 これらの政策が市民に十分理解され, 障害者を特別視するのではなく, 一般社会の中で普通の生活が送れるように条件を整え, 共に 生きる社会の形成がすすむでろうと考える。 これを勧すすめるために小鹿野町では次の 「6つ の柱」 を立てて施策の推進を図ろうとしている。

6つの柱

1) 地域づくり :ふれあい, 支え合う地域づくりに努める 2) 健康社会づくり :保健・医療体制の充実を図る

3) 福祉サービスの充実:各種福祉サービスの充実を図る 4) 教育の充実 :保育・教育体制の充実を図る 5) 社会参加 :就労・地域参加を支援 6) まちづくりの推進 :福祉まちづくりを推進

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計画の趣旨

障害の多様化, 障害者のニーズの多様化に伴い日常的生活を総合的に考慮し, 計画的にサー ビスを提供していく必要性がある。 障害者の日常生活や行政への要望を的確に捉え, 行政施策 を各分野にわたって横断的に整理して体系化するとともに, 障害者福祉を総合的にかつ計画的 に推進するために策定する。

策定の背景

基本計画策定の背景は, 国においては1993年3月に 「障害者対策に関する新長期計画」 を策 定し, さらに1995年12月にはその実施計画である 「障害者プラン−ノーマライゼイション7か 年戦略」 が策定された。

埼玉県においては1994年3月に 「障害者対策に関する埼玉県長期計画」 を策定, 1998年3月 にはその重点施策実施計画として 「彩の国障害者プラン−バリアフリー社会をめざして−」 を 策定している。

小鹿野町における計画の性格

本計画は障害者施策の 「長期計画」 と 「実施計画」 を会わせた性格ものである。

「小鹿野町総合振興計画」7)や他の関連計画との整合性をはかりながら推進する。

計画の目標

「小鹿野町障害者計画」 は ノーマライゼイションとリハビリテーション の基本理念に基 づきながら, 「障害があっても地域社会の一員として彩り豊かな生活ができるまち」 を目指 8)

施策の基本方向

1) 総合的な生活相談体制の確立

障害が生じたとき, 本人や家族が就学, 就労, 老後の生活など人生の節目やさまざまな場面 での問題解決に向けた行動を支援する総合的な相談態勢の確立。

2) すべての生活場面における生活支援の充実

障害があっても生活の選択の幅が狭められないよう, 自分自身の意思, 個性に基づいて, 就 学, 就労, 社会参加などができるよう, すべての生活場面における支援の充実を図る。

3) 生涯を通じた生活支援の充実

障害がある人やその家族が安心して生活できるように, 生涯にわたる生活支援の充実を図る。

4) バリアフリー 物理的・精神的バリアフリー社会の確立

バリアフリー (無障壁化) を推進し, 障害のある人の行動を容易にしていくことを目指す。

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最も重要なこととして, 障害のない人々が障害について深く理解し, 就労や就学, 日常生活全 般にわたってともに生活できる地域社会をつくりあげていくことを目指している。

6.

上福岡市と小鹿野町で策定されている障害者基本計画の中で障害者に対しての支援方策は, 集約すると, それぞれにあげている目標項目は共通しているとみることができる。 それを整理 しまとめてみると次のようになる。

安心して福祉サービスが利用できる環境づくり

福祉サービスは個人が人としての尊厳をもって, 家庭や地域の中で障害の有無, 年齢に関わ らず, ひとりひとりに適した, 安心できる自立した生活ができるように支援をすすめる。

平成15年度から従来の行政本位の措置制度から利用者が支援の内容, 事業者を選択し, 利用 者とサービスを提供する事業者が対等の立場で契約により利用する制度=障害者居宅介護事業 (支援費制度) へと利用者本位の制度へと転換されている。

利用者本位の制度は福祉サービスの質を向上させ利用者の満足度の向上を目的している。 計 画的な地域福祉の推進について, 地域の住民が地域の課題を共有化し, 地域の支えあいの仕組 みをつくることをめざしている。

福祉を担う人づくり

高齢化, 価値観の多様化などを背景に量的な増大と質的に高度化する福祉サービス, 満足度 の高い福祉サービスを提供するためには資質の高い福祉を担うマンパワーを養成し確保する必 要がある。

地域福祉のための地域づくりを推進するために地域での福祉活動への住民参加を積極的にす すめる。 福祉ボランティアの養成もめざしている。

福祉を担う地域住人の福祉活動への参加を勧めるには福祉活動の理解を深めるための環境づ くりを推進している。

互いに支え合う地域づくり

核家族化の進行, 女性の社会進出などに伴う家庭機能の変化, 個人の価値観の多様化など福 祉を取り巻く環境は大きく変化している。

量的拡大, 質的に複雑多様化している福祉ニーズを公的保障として提供する行政サービスだ けで, すべての利用者から満足度を充足することは困難になっている。

障害者の自立努力にさらに地域社会を構成する住民との連帯感を基礎に地域資源を活用しな がらお互いに支えあい, ともに生きる町づくりを目指している。

行政や地域住民がそれぞれに果たすべき役割を認識し, 地域の一員として尊重され, 社会に

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参加して生きがいを持って安心して暮らすことができるように支援していくことをめざしてい る。

上福岡市, 小鹿野町が目指している行政における基盤整備, 福祉の担い手の整備, 地域づく りが策定された施策にそってこれがどのように展開されているかをみることとする。

各行政からの障害者への支援としては障害者手帳の交付, 経済的支援, 医療の支援, 福祉用 具の支援, 介護などの支援, 生活・更正の支援, 社会参加の支援, 職業の支援, 障害者の福祉 施設などがあげられる。 これらの支援提供は福祉事務所, 障害福祉課, 保健センター, 社会福 祉協議会など10か所以上で対応している。

7. 上福岡市における地域福祉と障害者福祉

上福岡市が目指している小地域活動を通して住民サイドの活動や役割に注目する福祉コミュ ニティの形成をみていくこととする。

優れた小地域活動を実践してきた上福岡市の地域に密着した担い手, 環境についての特質は なんであろうか。 上福岡市の地域福祉を考えていくとき, 地域の成り立ちの歴史において新住 民と旧住民との融和が地域福祉を進める上で課題となるであろう。 担い手である市民からみる と制度面では福祉は十分進んでおり, 社協の活動も活発であると捉えられている。

上福岡市における 「安心して福祉サービスが利用できる環境づくり」

障害者長期行動計画を策定するにあたり基礎調査を障害者, 介助者, 健常者を対象に行なっ ている。 この中で障害者のこれからの自分の生き方や暮らし方の実現について, 実現の条件と して 「公的経済援助の増額」 と 「社会の理解や支援」 「住居」 「親亡き後の援助」 「家族の理解」

をあげている。 ものや心を必要とする意見が非常に多い。 行政に対して保障の基盤整備と福祉 に対する啓発活動を必要としている。

上福岡市の障害者福祉に取り組む姿勢の評価は基礎調査でみると 「積極的である」 「やや積 極的である」 「普通」 をあわせて51%であり, 「消極的である」 「やや消極的である」 の13%に 比べ評価が高い。

健常者の障害者への介助の経験について 「ほとんど経験も知識もない」 人は61%, 「経験が ある」 は2%にすぎず, 障害者に対する介助については具体的な認識がないという結果であっ た。 これまでに障害者のための社会活動の経験者は約20%で, 募金活動が最も多い。 社会活動 ができるための条件としては 「時間的な余裕」 が最も多くあげられている。

ホームヘルパーとして活動可能な人は18%, ボランティアは21%であった。

障害者に対する意識をみると, 「障害者を助けることは社会人として当然の義務」 と思う人 が43%おり, 市民の障害者に対する意識が高いことを示している。

行政側として障害者への支援は次の2点が重点目標であるとしている。

(11)

1) 基盤整備 2) 啓発活動

障害者が市民の1人として生活することができるように行政として障害者年金, 通所作業所 などや生活環境の基盤整備をすることにより, 障害者の生活の保障を確立することが第一で個々 に重点をおいて支援している。

次世代の地域の担い手の教育, 市民ひとりひとりが地域の担い手の意識を向上させるための 教育プログラムによる障害者に対する課題についての啓発活動を展開している。 また, 世代間 の相違を考え, 諸々の市民からの苦情処理にあたっている。

現在, 心身障害者手帳をもつ人は約1300人いるが, このうちの約半分は65歳以上であり, そ の4分の3は介護保険の利用者である。 高齢者の場合, 半身不随などの身体的障害があっても また心の障害がみられても障害者手帳を保持していない場合が多い。 知的障害者手帳保持者は

190名, 聴覚障害者手帳保持者は 85名である。

上福岡市社会福祉協議会の事業の中心は高齢者を対象としており, 障害者への事業ははっき り見えない。 しかし, 事業の内容を小さく枠組みで区切らず, 高齢者, 障害者の誰でも利用で きるよう枠を広げる体制で事業が展開されている。 障害者の半数が65歳以上の高齢者であるこ とからも, 高齢者, 障害者という枠組みにとらわれず, それぞれに必要な支援をするという方 向であり, また, 上福岡市の周辺地域と連携して, 広域で支援サービスをするという環境づく りをして多くの障害者が必要な支援を, ニーズにあわせて充足することができるということで ある。 上福岡市の立地条件や自然環境からみて周辺地域との連携は十分に大きな支援サービス の効果をあげているものと考えられる。

行政が主体的に行なう障害者福祉サービスに関する市民への働きかけとしては障害者へは障 害者福祉ガイドブック配布時にサービスについての説明を十分にする。

支援費制度については主な障害者団体, 民生委員, 一般市民などに対し, 計10回の説明会を している。

毎年, 障害者の日 (12月9日) に近い土曜日に 「障害者の日・ふれあい広場」 を開催し, 一 般市民啓発のためのイベントを開催している。 市内にあるほぼすべての障害者団体が集まり, 実行委員会をつくり準備し開催している。

小・中学校の児童生徒にはソーシャルワーカーが学校に出向いて福祉全般について講義して いる。

上福岡市における 「福祉を担う人づくり」

住民参加のボランティア活動については社会福祉協議会がボランティアの派遣, ボランティ ア連絡協議会への援助, 初めてのボランティア体験事業, ボランティアスクール開催などによ り, ボランティア活動, 育成, 援助など事業を行なっている。

ボランティア派遣関係をみると平成15年度のボランティア登録数は個人 79名, 団体 23

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(500名), ボランティア派遣依頼件数 72件 (延べ149名) である。

上福岡市福祉協議会のボランティア活動の啓発と育成事業に力をいれている。

登録ボランティア数の推移状況は次のとおりである。

登録ボランティア数や団体数はこの数年大きな変化が見られないが, 現在, 活動している個 人や団体の活動内容は活発で充実した内容である。

地域福祉の担い手であるボランティアなどの住民参加の状況をみると, 主婦, 退職した男性 などを中心に自らの意思で参加している場合がほとんどである。 旧市街では長くこの上福岡市 に住んでいる人が多く, 現在でも隣近所との関係は密接でお互いに日常的に助け合いながら生 活している。 新住民が多く住む市街地では密接な人間関係の形成は難しいが, 各個人としては いつでも近隣の人に対し支援サービスをしたいという意思は十分あり, 世代間の考えの相違, 新旧住民の隔たりも住民, 社協など働きかけを通して十分に解消できる余地があると思われる。

上福岡市社会福祉協議会のふれあい福祉サービス事業

上福岡市社会福祉協議会は地域社会において住民の福祉を推進することを目的とした住民主 体の団体である。 障害者の更正資金の貸し付けやボランティアの育成相談などを行なっている。

住み慣れた街で住み慣れた家で, 心の通う人々の中で暮らせるようにふれあいの街をつくるこ とを目的としている, 社会福祉協議会の事業である在宅福祉サービスのヘルパー登録者は主婦 が中心で26名, 利用者は伸べ430人, 利用時間は2002年 1,400時間, 2003年 800時間であっ た。 サービスの内容は家事, 掃除, 介護, 移送, その他である。 介護保険の利用で利用数は減 少しているが, 介護保険では利用できない心の癒しの部分になどについて援助していきたいと している。 利用料は1時間850円, 登録者にも850円が支払われる。

上福岡市においては在宅の高齢者, 身障者に対する見守り等については地域なりに活動を開 始したのは1982年から1985年ころであり, 早い段階で地域住民の福祉活動が始まっている。 こ れは地域で相互に助け合うという動き, 私たちの町という意識があったということである。

上福岡市で活動をしている 「身体障害者福祉会」 は行政の応援を受けながら障害者の自立, 社会参加の事業を展開している。 公民館, 図書館など4か所の公共スペースを無償での提供を 受け, 喫茶店を開店, 知的障害者がここで働いている。 また親睦旅行などの事業を企画実践し ている。 50代以上の会員が多く財政的には苦しく, 当事者支援事業として社会福祉協議会から 助成金を出している。

上福岡市における 「互いに支え合う地域づくり」

上福岡市は27の地区に分かれて地域の住民の福祉支援を行なっている。 各地区の住民数は 200人から2,000人とばらつきはあるが, 地域ごとに社会福祉協議会, 民生委員, ボランティア

平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年 平成15年

団 体 数 12 13 16 17 17 23

加入者数 342 352 368 382 382 500

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による見守り, 訪問, 配食, 1人暮らし支援などである。

市民中心で障害者支援の事業を展開しているのは, 上福岡市における障害者支援の草分け的 存在の 「上福岡障害者支援センター21」 である6)。 ここは障害者がレクリエーションに参加し, 楽しんだり, 趣味を拡大したり, 社会参加を促すことを支援する団体として1970年代から 「と んぼの会」 として活動を開始し, その後 「上福岡障害者自立生活センター21」 と名称変更して いる。 上福岡市の拠点を置き, 中心的に働いている人はほとんどが上福岡市民であった。 家に 閉じこもりがちの障害者の社会参加をよびかけ, 生活範囲を広げ, 生活の質の向上を目指した。

その後, 「上福岡障害者自立生活センター21」 は障害者の親のかかえる将来的問題を取り上げ, 働く場所の確保などの就労問題, 生活権の拡大を目指して活動を展開, 2002年4月に現在の

「上福岡障害者支援センター21」 と名称を変更し定着しつつある。 上福岡市を中心として周辺 地域に4か所の事業所をもち, 県, 市, 町の補助, 援助を受けながら事業を展開している。 上 福岡市社会福祉協議会はこれらの事業展開に側面から援助している。 上福岡障害者支援センター 21は2003年4月には第16回の総会を開催し, このボランティア活動が非常に早い時期から息の 長い地域福祉を実践していたことを示している。 このように上福岡市において30年以上前から 民間主導で障害者を支援する動きが発生しているということは地域における障害者への支援意 識が高く, 担い手の環境づくりが早い段階から進められたということである。 「とんぼの会」

は養護学校の先生が中心となり東上線沿線の障害者を対象にレクレーション参加など市民とし て社会参加を促す道を開くことを目指して発足している。

「上福岡障害者支援センター21」 の平成15年度の事業として, 心身障害者地域デイケア−事 業と生活ホームの運営にあたっている。 事業の運営をよりしっかりしたものにするために運営 委員以外に障害者関係だけでなく, 地域住民, 専門家などの意見を聞いている。 市や県などの 行政への働きかけとして障害者の生活援助, 就労援助, バリアフリーのまちづくりなどについ て要望, 提案をしている。 また, 市の身障者プラン作成に障害者団体の参画を求め, 施設福祉 から地域福祉への展開を主張していくこともすすめている

8. 上福岡市の障害のある人の状況

身体障害者手帳の交付を受けている人は, 平成15年3月現在で1,387名, 療育手帳の交付を 受けている人は186名である。 精神障害者福祉手帳は83名に交付されている。 精神薄弱児・者 は若干増加する傾向にあり, 平成5年度は平成元年度の1.6倍となっている。 各障害で18歳未 満は少なく障害者の高齢化が進んでいる。 障害の内容, 程度は様々で障害の程度に応じたきめ 細かい支援を推進し, 障害者が地域で安心して生活できるよう, 福祉サービスの充実を図り, 社会参加の促進をすすめる社会環境の整備につとめる施策を展開している。

平成15年度社会福祉法人上福岡市社会福祉協議会・事業計画 住民参加による 「住みよい福祉の街づくり」 を推進するための事業

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1) 家庭や地域の相互扶助機能の弱体化と住民相互の社会的なつながりなど希薄化するなど地 域社会が変容しつつある。

2) 社会福祉協議会が求められている役割は, 生活の拠点である地域に根ざしたたすけあいな ど地域社会を基盤とした地域福祉・在宅福祉の推進に努めることである。

3) 平成15年度から新たに障害者居宅介護事業 (支援費制度) の展開を図り, 介護保険事業は 効率的な経営を目指し展開していく。

4) 平成15年度の方針

ア) 行政と提携し計画的な地域福祉・在宅福祉の推進を図る イ) 地域ニーズに合った在宅福祉サービスを進める

ウ) 共に生きる街づくりを進めるための福祉教育・ボランテイア活動の推進を図る。

エ) 総合的な相談活動を重視し事業の展開を進める。

オ) 会員会費制度による自主財源の確保を進める

カ) 居宅介護支援事業および介護保険事業の経営と委託事業の運営を進める

上福岡市における2003年度の福祉サービスの利用者状況

上福岡市における経済的支援の利用者数

在宅重度心身障害者手当 568人 (平成15年9月15日現在) 在宅重度心身障害児手当 46人 (平成15年9月15日現在) 特別障害者手当 (特障, 障害児, 経過措置を含む) 40人 (平成15年3月)

特別児童不要手当 51人 (平成15年8月現在)

児童扶養手当 310人 (平成15年8月現在)

特定疾患見舞金支給 165人 (平成15年3月)

障害者基礎年金 304人 (平成15年3月)

埼玉県心身障害者扶養共催制度利用者 19件 (平成15年3月) 心身障害児通園奨励費利用者 16人 (平成14年度実員)

医療の支援の利用者数

重度心身障害者医療費の助成 845人 (平成15年7月) 精神障害者通院医療費公費負担制度 355人 平成15年6月

更正医療給付 11件 (平成14年度)

乳幼児医療 2,948人 (平成15年7月)

機能訓練 47人 (平成14年度)

福祉用具の支援利用者数

補装具に係る自己負担分補助 108件

補装具の交付・修理 439件

介護の支援

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日常用具給付件数 42件

重度身障者居宅改造整備費補助 1人

障害児・者生活サポート事業 74人 (平成15年)

障害者ショートステイ 5件 (平成14年度)

障害者デイサービス 10人 (平成14年度)

障害者施設への通所 49人 (平成14年度)

障害者施設への入所 36人 (平成14年度)

上福岡市の障害者への独自サービス・メニュー

紙オムツの給付 29人

障害児・者生活サポート事業の利用料一部または全額の補助 74人

特定疾患見舞金 (難病患者) 2人

タクシー券 精神薄弱者1級 2人

ガソリン代補助 (精神薄弱者1級) 1人

心身障害児通園奨励費 16人

9. 小鹿野町の障害者の現状

小鹿野町障害者計画にそって地域福祉施策は推進されているが, 山間部が多く住民が町内に 大きく分散している状況の中で障害者が一般の市民と同様に快適に暮らす方策を作り上げてい る。 基本計画に基づいてどのように障害者への支援が行なわれているかをみる。

小鹿野町における 「安心して福祉サービスが受けられる環境づくり」

小鹿野町では保健福祉センターを中心に福祉サービスの環境整備を推進している。 老人支援 事業, いきいき舘の運営, 高齢者, 障害者在宅サービス介護支援センター, デイサービス, 予 防活動, 健康づくり体制の強化, 被保険者教育指導の充実, 検診・予防などを企画, 開設して いる。

保健事業に重点を置き, 保健婦7人, 管理栄養士1人が成人保健事業, 健康教育, 健康相談, 訪問活動, 母子保健事業, 母子健康教室などを実施している。

住み慣れた地域で安心して生活が送れる支援システムの構築をしている。 それぞれの状態や ニーズにあった保健・医療・福祉サービスが適切かつ効果的に提供できる環境 (地域包括ケア システム) の確立を目差している。 山間地が多い町であるため, 住民が自宅により近い場所で 診療が受けられるように, 倉尾児童館, 長若生活改善センターで週1回診療所を開設している。

住みなれた家で1人暮らしになったとき, 安心して生活できるように在宅介護支援センターは 24時間の緊急相談システムをもち, 町立病院はいつでも診察できる体制を整備している。 デイ サービスは1993年児童館を改造して倉尾デイサービスを, 1994年には秩父荘に小鹿野でイサー

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ビスを, 1996年には小学校の余裕教室を改築して三田川でイサービスを, 2000年には生きがい デイサービス・長寿ハウスを開設している。

2000年にはふれあい作業所 (精神障害者作業所) を改築している。

小鹿野町における 「福祉を担う人づくり」

地域福祉の担い手は行政から独立したかたちで運営されてはいないが, 行政と地域住民が一 体となり福祉サービスを提供する構造になっている。

小鹿野町の主な福祉の担い手は保健補導員, 民生委員, 福祉委員そしてボランティアである。

障害者福祉に関わるボランティア組織としては5グループ (延べ156人) がある。 障害の内容 や程度により多種多様な支援が求められている。 ボランティア活動にぜひ参加したいという人 は3.1%, 機会があれば活動したいという人は39.3%, あまりしたくない, 全くしたいと思わ ないが合わせて27.1%である。 ボランティア活動がしやすい機会の提供とボランティアの育成 と確保が課題である。

ボランティア組織としては, 虹の会, コスモスの会, つくしの会, よもぎの会, 小鹿野町日 赤奉仕段, 婦人会, 老人クラブなどである。

この中でとくに精神障害者対象のボランティア団体は 「よもぎの会」 で, 精神障害者ボラン ティア講座受講の修了者が中心になり設立, 小鹿野町運営のふれあい作業所 (精神障害者対象) でボラテイアをしている。 現在の会員は10名である。

小鹿野町の地域福祉の中心は高齢者ではあるが, 児童も, 障害者もいつでも, どこでも, 適 切なサービスが受けられるよう開かれている。 行政の窓口をはじめ保健指導員, 福祉員, 他の ボランティア・グループいずれも利用者に対応できる体制である。

保健補導員は現在180名おり, 最も期待される担い手として活動している。 活動への参加の 動機やきっかけは自らの意思ではじめる場合より, その地区での輪番, 役場の担当者からの依 頼, 役員からの指名などが多く, これは民生委員, 福祉委員も同様である。

小鹿野町における 「互いに支え合う地域づくり」

住民の福祉に関する意識を高め, 互いの支え合う地域を構築していくことが要求されている。

平成9年度に行なった住民の福祉に関する意識調査でみると福祉に関する認識は十分ではない 状況である。 障害のない住民の対する意識調査でみると 「ノーマライゼイション」 の認識につ いてみると内容まで知っている人は3.1%, 言葉だけを知っている人は16%, 聴いたことがな い人が78.8%であった。 地域全体で障害者についての認識を高め, 市民が一体となり生活がで きることを目指している。 今後, 福祉に関する意識は徐々に高まっていくものと考える。 今後 の地域福祉意識の啓発, 教育が効果的に展開されることを期待する。 障害者の現状と支援する とはどんなことかを知らせることも必要である。 障害者が現在困っていることの第一は 「親の なきあとのこと」 と 「障害者に対する住民の理解の促進」 をあげている。 このことからも障害

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者を地域で支援する体制を構築することと地域住民の意識改革のための啓発・教育が早急の課 題となるであろう。 小鹿野町においては保健福祉センターを軸とした地域の福祉支援状況は綿 密に構成されており, 地域包括ケアシステムづくりがすすみ, 町民はこの支援サービスを利用 し高い福祉サービスを享受している。

障害者へのサービスとしてホームヘルパー・ガイドヘルパー, 更正施設の分場, 24時間レス パイと, 社会適応訓練事業, グーループホームなどについて, 数値目標を設定し拡充を目指し ている。 ショートステイ, ふれあいセンター, デイサービス, 市町村障害者生活支援事業 (以 上身体障害者対象), 更正施設, 障害児・者地域療育等支援事業 (以上知的障害者対象), 生活 訓練施設, 精神科デイケア施設, 地域生活支援事業 (精神障害者対象) の各サービスは現在, 実践されている。

小鹿野町の障害者をめぐる現況

心身障害者については身体障害者 (身体手帳保持者) 約450人, 知的障害者約70人, 精神障 害者約50人である。 今後の傾向としては高齢化と重症化を予測されているが, 総数の変動はな いであろうとみている。

15年度からはじめられた支援費制度の利用者は41名で利用時間の最高は28時間である。

障害者の中で65歳以上の人は介護保険のサービスを受けており, 支援費の利用者は介護保険 に該当しない65歳以下の障害者が支援費のサービスを利用している。 介護保険を利用している 障害者は支援費を利用していない。

支援費についてのケアプランの作成はケアマネジャーと行政の係官がいっしょに利用者宅に 出向いて必要, 最適のプラン作成を心がけている。 行政側として今の課題は利用者のための事 務量が増え, 本来の相談業務にかける時間が減少し, 利用者の相談に十分時間がとれないこと であるという。

障害者数の推移

平成9年度 平成元年 平成14年 身体障害者 (身体障害者手帳保持者) 448人 381人 446人

知的障害者 (療育手帳保持者) 57人 38人 72人

精神障害者 (精神障害者保健福祉手帳) 70人 53人 57人 難病患者 (特定疾患医療給付受給者数) 48人 35人

障害者支援事業一覧 (平成14年3月) 身体障害者該当者 在宅重度心身障害者手当 183名 心身障害者介護者援護費 234名 福祉タクシー利用料金助成 62名 心身障害者扶養共催掛け金助成 0名 身体障害者手帳診断書助成 17名

補装具等自己負担金助成 30名

自動車等燃料費助成 22名

自動車改造費補助 0名

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小鹿野市における障害者数 (身体障害者, 知的障害者, 精神障害者, 難病患者) は平成元年 の507人からおよそ100人前後の増加である。 年齢別人数でみると身体障害者の約65%が, 知的 障害者の約5%が65歳以上の高齢者である。 高齢の障害者については介護保険による支援に移 行している。

10. 障害者福祉についての上福岡市と小鹿野町の取り組みの相違

上福岡市の障害者長期行動計画, 小鹿野町の障害者計画が目指していることは 「安心して福 祉サービスが利用できる環境づくり」 「福祉を担う人づくり」 「互いに支え合う地域づくり」 で 共通している。

上福岡市, 小鹿野町のいずれでも福祉サービスの基盤整備は進み, 生活・更正援護の充実, 障害児・者のための住みよい町づくりが整備されてきているが, 両者には福祉を担う人づくり では相違がみられる。

上福岡市では障害者の介助の経験がある人はわずか2%に過ぎず, ほとんど知識も経験もな い人が60%を超えているが, 「障害者を助けることは社会人として当然の義務」 と考える人が 43%いる。 このことは市民がボランティア活動やふれあいサービスなどの活動に約30年前から 積極的に自分自身の意思で参加していることにも現われている。

小鹿野町の住民調査では福祉に対する認識度は低く, 「ノーマライゼイション」 について聴 いたことがないという人が78.8%であったが, 障害者に関する問題に関心があるという人は

「非常に関心がある」 「ある程度関心がある」 をあわせると80%を超えている。 また, 福祉に関 わるボランティア活動への参加意向については 「ぜひ活動したい」 「機会があれば活動したい」

をあわせて42%で, 「あまりしたいと思わない」 「全くしたいと思わない」 があわせて27%を上 回っている。 しかし, 実際に福祉ボランティアに参加している人は約1%くらいである。 小鹿 野町には保健補導員, 福祉委員, 民生委員, 婦人会, 老人会などで福祉支援に携わっている人 たちがたくさんいる。 しかし, これらの人のほとんどは行政からの要請や地域での輪番制, 前 任者からの要請などで就任しており, 自分自身の意思で活動に参加している人ばかりではない。

自然地理的に山間部が多く, 人口が少なく, 地縁, 血縁の関係が深い地域であることも影響し ているであろう。

上福岡市では地域の福祉の向上を社会福祉協議会を中心に回転し, ボランティア活動が自主 的に運営され, 市民は自主的にこれにさ参加し, 活動し, 提供される支援を障害者もこれを享 受している。 小鹿野町では保健福祉センターを中心に地域包括ケアシステムの推進をはかり, 地域の多くの人がこの行政の方針にあわせて福祉支援の提供を受けている。

上福岡市の障害者の65%は身体障害者, 35%が精神障害者で, 平均年齢は身体障害者より約 10歳若く, 福祉に関心が高いという。

上福岡市では 「介助を受けていない人」 は約6割, 「全面的に介助を受けている人」 は約1 割である。 主な日常生活介助者は 「妻」 28%, 「母」 24%, 「夫」 20%である。 主な介助者が家

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族であるということは, 一般に障害者に対する支援の経験がない人が多いことになり, 障害者 に対する支援の経験や知識がないということはそれだけボランティア活動への理解や参加する 機会をもつことが少ない結果になる。 一般市民が障害者に慣れ理解することや支援を経験する 機会をもつための機会をつくるために社会福祉協議会では 「はじめてのボランティア体験」 等 のプログラムを開設している。 上福岡市では福祉サービスの提供を安心して受けられるよう環 境整備を進めると同時に障害者の自立支援にも力をいれている。

今回の調査に当り上福岡市役所福祉事務所 相川堅一氏, 上福岡市社会福祉協議会 吉野 洋氏, 小鹿野町保健福祉センター福祉課課長 森谷正雄氏にご協力をいただきましたことをこ ころからお礼申し上げます。

〈注〉

1) 上福岡市 上福岡市第三次総合振興計画 基本構想・前期基本計画 2001 2) 上福岡市 上福岡市障害者長期行動計画策定に係る基礎調査 1994 3) 上福岡市 上福岡市障害者長期行動計画 1995

4) 上福岡市 上福岡市障害者長期行動計画 2000 5) 上福岡市障害福祉課 障害者福祉ガイド 2003 6) 上福岡障害者支援センター21 (第16回 総会資料) 2003 7) 小鹿野町 小鹿野町総合保健福祉計画 2000

8) 小鹿野町 小鹿野町障害者計画 1999

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