︑國防経濟の歴史的考察
室谷賢治郎
一︑國一防経濟の出息義
二︑戦争と資本主義
三︑國防か冨裕か
四︑國防経濟と財政
五︑國防経濟の山原型'
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國防維濟≦︑︒汀乱峠斤8ぎ即といふ概念は嚴格に炉へばけ巽冨‑言8σq魯ρである︒周密精到の猫逸の維濟學大典
﹁國家諸科學僻典﹂九巻及び補巻を旙いても︑職争経濟囚H8㈹︒・鼠民鈴︒︒9聾に關する解読は讃まれるけれども︑國
防経濟に就ての読明は見當らない︒蓋し國防経濟膿制は職争が武力職の埼内に止まることなく︑経濟的角逐︑
國防経濟の麻幽更的考露川(室谷),山ハ五
㌔六六
思想的謝抗等の様相にまで亘り馬所謂総力職或は全艦職8鐙一鷺困昔轡q植ε鼠一ぎユ碧箋舞を要請する段階に於.
て整へらるべきもので︑これは實に最近のことに鷹するからである︒固より過去に於ける幾多の職争が武力一
顯張りで遽行せられたと断ぜられるのではないが︑併し今日の如く総ガ戦が意識的に彊調せられる時代は内外
とも稀であるといつて宜い︒寡聞を以てすれば総力職の必要を敢て高唱した者は︑普魯西の有名な軍略家クラ
ウゼウイッツ溶く︒嵩Ω碧器乱言將軍に始まる︒クラウゼウィッツ將軍は普魯西の英主プリ;ドリツヒ大王の
邊境遊撃職術と佛蘭西の英雄ナポレオンの大陸臓滅職法との妙諦を艦得t綜合的職略を創唱したと構せられる
が︑一百年の昔既に逡稿の大著﹁職箏論﹂(註)に於て︑﹁職争とは他の手段を以てする政治の糧績に他ならぬ﹂
ノと喝破して絶封職鈴げg・︒一暮巽囚同一︒σqの眞意を明白にした︒この場合の絶樹職と名付けられるものこそ︑今日の
総力戦或は全艦戦に當ると解繹すべきであらう︒
(註)︑余は〃ラウゼウイツツの﹁戦孚論﹂を遺憾ながら濁逸語の原書に就て賭ることが田來ず︑馬込健之助氏の邦課書を見た︒
因みに邦鐸書としては夙に明治三十四年乃至三十五年に﹁大戦學理﹂の衷題の下に陸軍士官學校課巻之三乃至巻之六が嚢行
され︑同三十六年に森林太耶課巻之ご巻之二が獲行されてゐるのを偶々函館圖書館に於て⁝閲萱する機會が與へちれたコ想ふ
に明治三十七八年戦役の云はば前夜に羅了を見た﹁大戦學理﹂が當時の我が忠勇な軍入によつて楡討ぜられ︑到るところの
戦場で赫々たる戦果を︑坂めしめる原因の一を形成したのではあるまいかo'
然らば総力職を前提とする國防経濟と從前の職箏維濟とは如何なる黙に於て異るか︒抑も國防経濟の意義如
何︒その任務如何o
・從前の戦箏繧濟といふ概念は︑その一般的字義の上.から見て次の如く解明せむれ加︒︑
一︑職争によつて生活し︑職孚を生産及び沿費の基礎として利用する維濟︒この意味での職争経濟は翠に比
較的持績する経濟形態どしての参現はれ︑艦系的構造を示すことは稀である︒例へば貢納を獲得する手段とし
て職争を利用するが如き場合はこれで︑實は貢納に基く消費経濟即ち﹁寄生的﹂輕濟はその根擦に貢納を齎ず
経濟を有してゐるのである︒随つて純粋の﹁経濟職争﹂の典型は︑貢納を目的とする職争であつて︑経濟的原
因から生する職争ではない︒
二︑職争遂行の軍政を出護窯に置くところの輕濟的措置の全艦︒即ち︑農耕の軍除組織︑軍除経螢︑更には︑
占領地に於ける軍政の直接的輕濟等がこれである︒
︑
三︑職争がその都度國民経濟に及ぼす影響の全艦︒これは職争を機會に國民維濟的性質を有する措置を俘ふ
ものである︒
然るに今圓の國防維濟の膿制は既に亭時に於て準備せられねばならぬものである︒換言すれば國防経濟は職
箏経濟に封する例外叉は準備と見らるべきものではない︒何となれば今日以後の総力職は既に平時に於て一切
の國民の力を撰取し︑職時にはこれを保護夕るからである︒それ故︑総力職に編成せられる國防経濟は李時経
ノリ濟の封立として考察せられてはならぬ︒國防維濟は寧ろ平時輕濟の薪形態︑通俗的には治に居て齪を忘れざる
ち経濟といふべ適であらう︒この瓢﹁國防経濟の概念ぼ平時輕濟と密接な關係を有し︑職時経濟の概念よりは廣
國防経油濟の一歴史的考察(室 谷),山ハ七
六八
い概念であ扇・Lと論ぜられる河田嗣郎博士の見蟹余の支持すると乞である︒
︑がΣる見解を以ですれば︑國防維濟の何たるかは比較的容易に理解せられるであらう︒‑所謂國防國家髄制も
國防維濟罷制を離れては整備せられ得す.総力職は國民生活に於ける新しい政治上枇會上の嚢展段階の表現と
して認識せらるべきものである︒現在世界の各國に於て國家と輕濟︑國家と政窯一政蕪と國民等の聞に引かれ
る限界は︑職争と平和︑政治と⁝戦争︑職争と経濟等の間に設けられる分野の如く混清を示してゐる事態は︑何
人と難も眼を蔽ふことを得ぬところであらう︒即ち︑國防経濟と李時経濟とが時と場所とを等しくする同一の
経濟生活の共通の表現であることは自ら明白とならざるを得ぬのである︒
而題李時の國民経濟を國防経濟的色彩に塗攣へて行く工作は︑やがて國民経濟の機構を封内的にも封外的に
も攣革して行くことを意味する︒嘗ての自由主義の経濟形態の下にあつて豫定せられたところの需給の自動調
節作用な國家が指導する評書的な経濟禮制にょつて鱒置せられることとなつた︒随つて経濟機構攣革の根撮は
これを政治の領域に求むべく︑経濟が主で政治が從であつた今日までの關係は︑政治の優位或は﹁政治﹂経濟
の出現を促すに至つた︒一︑二の例を學ぐれば︑ボイコットは以前には國際的政治圖争の問題であつたが︑現
在では國際聯盟規約第十六條ざへこれを承認してゐる程である︒否︑保護關税︑輸出入許可制︑爲替管理の如
き政治的岡箏手段と昔考へられたものは︑亭時の経濟的岡箏の軍なる商業政策上の措置と今や見られてゐる︒
内政の上でも失業の問題は今に至つては昨と事情を異にし︑経濟的現象たる勢働市場に國家の干渉や指圖が見
られるのであるQ
かべの如くして今や國防経濟の特質として摘出せらるべきものは︑全艦性︑計書性及び動員性の三である︒
先づ全艦性とは個別的局部的な活動に封して︑一般的全面的な機能の表はれ方をいふ︒即ち生産交易の部門の
みならす︑浩費の部門まで維濟罷制を整備し︑これ等を有機的に蓮用するのが國防経濟の全艦性である︒故に
國防維濟に参加する者は,工場で働く勢務員︑田畠を耕す農民だけでなく︑算盤を探る店員︑乳見を哺育する婦
人等凡てである︒次に計書性とは自由放任の活動に委ねるζとなく︑一定の目標を樹て張力な意思を以て臨む
仕方を指す︒所謂計書経濟コ碧鼠殴警冨浄と國防維濟とは共通黙を有すると見られる所以は蝕に存するのであ
る︒併し︑國防経濟が雫時経濟を計書的に蓮用しよゲとすることは︑必すしも國家が一切の経濟途行を自らの
手に於て爲すことを意味しないのであるから誤解してはならぬ︒ソヴイェト聯邦の計書維濟は國防経濟と完全
に一致するけれども︑英・米等の民主主義的自由主義的な経濟形態と錐も國防経濟上の準備を怠るものでない
といふ現實から判断して︑計書維濟と國防維濟との關係を畳るべきである︒更に動員性とは國家有事の際國防
目的達成の爲め全力を嚢揮し得る態勢にあることを名付ける︒換言すれに戦時に際して軍需物資は勿論︑民需
物資の供給配分を迅速園滑に全うし得るやうにするのが國防繧濟の一特色である︒,この動員性にのみ観察を限
るとき︑國防経濟と職争経濟とは同︼物となると解繹すべきである︒
の國防経濟を右の如く解すれば︑ヒれに非利得性や有限性を賦與することは左程重要でないと考へられる︒寧
國防経濟の蘇牛更的考⁝祭(室谷∀六九
む
ろ國防維濟の特徴は平易に云つて︑平時の罷制を﹁職争の方ヘスイッチを切替へし放しでなく,て︒はならぬ︒﹂
の﹁和戦爾様でなく︑和職同様の姿でなければならない︒﹂唯ださればとて職時にあつては債格強制経濟が行はれ
る以上(國防維濟も必然的に全艘張制維濟を採るべきであると主張するのは︑理論の上からも殆ど不可能であ
のると炉はねばならぬ︒
さて國防経濟の端すべき任務には二つある︒一は國防力の需要全艦を経濟的に充足するやう扶けるこであり
他は経濟的動員即ち挙和経濟の國防経濟的改編を準備し途行することである︒特に後者は今日の全艦戦に即鷹
すると共に︑國民経濟の機構攣革により制約せられるが故に深甚◎考慮を要する︒而してこの國防経濟には二
ゆつの段階を設けることが出來るであらう︒第一の段階は経濟的動員計書︑即ち必要な國土防衛の経濟的準備で
ある︒このことは更に次の必要から生する︒國防力全艦の需要を十分に充足し何時でも経濟上確保する事と︑
職争の危瞼に備へδるため凡ての経濟力を指向ける計書を樹てることとがこれである︒國防維濟の第二の段階は
狭義に於ける維濟的動員である︒換言すれば平和経濟を戦争経濟に改編することである︒併しこのことたるや
︑職争の勅獲と時を同じうせねばならぬといふことはなW︒改編は職争危瞼の室氣が濃厚となつた場合に夙に要
求せられるのである︒↑
然らば右の國防力の全饅を形成するものは何か︒有形無形のものを種妄學げねばならぬが︑就中重要なもの
は次に掲げるが如くであらう︒
一︑國家の地政治的位置
二︑國家の廣表︑人ロの密度
三︑國境の歌況と隣接國民の思想
四︑自國民の思想︑丈化水準︑組織技能
五︑土地の豊饒及び地下資源の豊富
六︑工曲業技術の歌況と経濟構造
七︑・商業及び交通制度の駅態一
八︑國家の財政力と経濟
九︑國内維濟力の改善と嚢明心
十︑國民の忍耐力︑執着力︑適慮力
モノ
而して繧濟的動員の側から云へば︑人員︑土地︑,生産の場所︑交通︑商業及び財政が主どして利用せられる
のである(註)︒
(註)我が國家総動員法は第二條に総動員物資を掲げ︑第三條に総動員業務を掲げてゐるが︑前者は國防力を形成する有形的
要棄を示し︑後者は経濟的動員の野象を明かにしたものといふことが出來ようo
馨的動員の羅繁ソ〒の論宏所に從へば︑三つ羅覆分象・篁の範讐入るものは肇動員
國防鰹潰の歴吏的考察(室谷)七噌