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協 同組 合簿記 の若干 の問題 点

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(1)

一71一

〈 研 究 ノ ー ト〉

協 同組 合簿記 の若干 の問題 点

古 賀 実

,緒

お よそ 協同組 合が いわゆ る共喰 いに陥 るこ とを避 け,共 同 の福祉 を計 るために組合 員 とな る ものが,こ の 目的精神を もって結合 した る協 同体 なる ことは各国 の協 同組 合 の発 達 の歴史が これを 明示 して い る所 であ る。農林 漁工鉱業 等 の企業 の協 同組合 も勿 論 この 例外 を なす ものでは ない。 しか し協 同組 合 の事業 の運営 につい ては,当 該組 合の実情 に よって理念上 の差異 が生ぜ ざるを得 ない。それ は大別 して二派 にわかれ る。即 ち一は組 合 員の総意 に よって業務運営 を すべ き もの との立 場で あ り,他の一 は,選 任 した る組 合役 員の創 意を生か して運営 に当 らしむ べ き もの との考 え方 であ る。別 の角度か らい うと, 前 者は組合 員が財務を初 め組 合 の業 務に常時統 制を加 えて行 くべ き もの との考 え方 に立

ち,後 者は組合 役員 に能 う限 り自由に手 腕を発揮 せ しめ るべ き もの との理念 であ る。 い わ ば,前 者 は組 合運営 について統制経 済的立場 に立 ち,後 者は 自由経 済的立場 に立つ も のであ る とい って も,さ ほ ど言 い過 ぎ とは な るまい。 この二 派 の理 念は,企 業協 同組合 の簿記 方法論上 に基本的 な相違 を もた らす ことは 自然 の理 で あろ う。即 ち,統 制理念 に 立つ前 者は予算 の記帳を重視 し,予 算 に基 づ く事 業 の執行 の記帳 をむ しろ本則 と し,予 算 に基 づ く業務執 行 にふ さわ しか らざる面 の取 引はやむ を得ず企業 簿記 の方法 に従 い, 自由経 済的理念 に立つ後 者は,全 面的 に企業 簿記 の方 法を採 るべ しとす るのであ る。

二,公 会 計 の 適 用 に つ い て

協同組 合は統制経 理 の理念 に よれば,組 合員 の出資金 を保 護 し,組 合員 の協 同的意思 に基づ いてそ の提 供 した事業 資金 を使 用す ることを厳格 に守 ら しめね ば な らない。 もっ と もこの事 は 自由経 済理念 に立 って も当然 守 らしめ られ るべ きこ とであ るが,統 制経理

原 稿 受 領1969年12月30日

(2)

一72一 商 学 討 究 第20巻 第3号

の場 合は要求 の度 が遙か に強 い ことに な る。そ して上記 事業資金 は一 般 の社会通念 に よ って二 つ に分類 で きる。そ の一は,一 般 の 日常繰 返 され る書記的 業務,固 定 資産 の管理 活 動な どに 当て られ る 「経 常資金 」で あ り,他 の一 は,生 産(ま たは 加 工,販 売,購

買,保 管,運 送,検 査)事 業,金 融 事業,共 同施設事 業,厚 生事 業施 設,研 究及び弘報 事 業等 に分割 され,施 設が彪大 にな る場 合には,特 別 資金 と して,収 支 計算及び財産 計 算 を区分 され ると ころの 「事業運用 資金」 これ であ る。 そ して これ に対 し,組 合員 の出 資 金は これ を 「基 金 」 と し,特 別資 金 に属 す るものを除 い て,固 定 資産,投 資,並 に長 期 負債,資 本であ る組 合員 の出資金,加 入 金等を区分 す る ことにな る。而 して非営利 法 人 と しての協 同組合 の勘定組織 の三 本 の柱 を成す上記 の三分類項 目間 の関係は,上 述の 組 合 の理想 に基 づ いて 固定 資本 とみ なされ る 「基 金」 を根幹 とし,「 経常 資金」 と 「事 業運 用資 金」 とは 「基 金」 よ り引 出され た る資金 とみ な され,こ の費消 は即 ちそれ だけ 基 金 の減 少 とな る関係 におかれ,従 って両 者間 に同一取 引の二重 記入が 行 なわれ,イ ギ リスで発展 を見 た 「複 会計制」(double‑accountsystem)の 適用を見 得 る ことにな る ので あ る。

この関係を仮設例 に よって次 の よ うに示 す ことが で き よ う。

経 常 資 金

産1,000.OOO /

1,000,000

債700,000 基 金 借300,000

1,000,000

事 業 運 用 資 金

産800.ooo

/

800,000

債400.OOO 基 金 借400,000

800,000

事 業 運 用 資 金 貸000,000資 本

経 常 資 金 貸300,0CK)出 資 金1,000,000

そ の 他 固 定 資 金 貸300,000/

1,000,000 1,000,000

上 記例 に よって基金 が各資 金へ 貸付け られ,各 資 金は基 金か ら借 りた関係 にな るこ とを 見 るこ とがで き る。

次 に この会計処理 法上 の一,二 の問題 点 に触れ たい。そ の一 は,上 記 の三勘定群 の各 勘 定 に入 る事項 につ き記述 した所 に よ り明 らか に され るご と く,固 定 資産 の減価償却 の 計算 は各 勘定 に関係す る点 であ る。 この こ とは協 同組 合の経 費は利用者(た い ていは組

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協 同組 合簿記 の若 干 の問題 点(古 賀) 一73一

合 員)の 利 用 度 に よ っ て き め る こ と を 原 則 と す る特 殊 性 と 関 連 あ る 所 で あ り,協 同 組 合 の 事 業 活 動 に 利 用 さ れ る固 定 資 産 の 減 価 償 却 は,各 利 用 者 の 負 担 計 算 を し な け れ ば な ら な い 背 景 を 有 す る の で あ る 。 こ の 場 合 に 事 業 運 用 資 金 は 減 価 償 却 費 を 計 上 す る こ と に な

り,こ れ を 固 定 資 産 が 属 す る基 金 と ど の よ うに 結 び 付 け られ る か が 問 題 点 と な る が,次 の 事 例 に よ っ て 説 明 す る こ と に し よ う。 即 ち,取 得 価 格1,000,000円,耐 用 年 数6年, 定 率 法 に よ る償 却 率0.319の 車 輔(乗 用 車)に つ い て 期 末 に 減 価 償 却 を 計 算 す る。 こ の 場 合 は 次 の よ う に 仕 訳 さ れ る 。 即 ち

(基 金)

(借)事 業 運 用 資 金 貸319,000円(貸)車 輔 減 価 償 却 準 備 金319,000円 (事 業 運 用 資 金)

(借)減 価 償 却 費319,000円(貸)基 金 借319,000円

減 価 償 却 費 の 負 担 は 各 事 業 別 に 分 割 さ れ る こ と に な る が,耐 用 年 数 が 尽 き る ま で,減 価 償 却 を し て し ま う と,残 存 価 格 を 除 い た900,000円 は,双 方 の 資 金 の 貸 借 と な り,相 殺 勘 定 と し て 残 る 。 い い 換 え る と,事 業 資 本 で あ る固 定 資 産 は,運 用 資 金 の 中 に 流 動 化 さ れ て 残 っ て い る の で あ る か ら,固 定 資 産 が 廃 却 され て 代 替 物 を 買 入 れ る と き は,事 業 運 用 資 金 の 現 金 を 基 金 に 戻 して も ら うの で あ る 。 上 記 の 車 輔 耐 用 年 数 経 過 せ る に つ き 廃 棄 処 分 に 付 す る こ と に し た 。 た だ し減 価 償 却 累 計 額900,000円 。 こ の 場 合 の 売 却 の 仕 訳 は 次 の ご と く な る 。

(基 金)

①(借)車 輌 減 価 償 却 準 備 金900,000(貸)車 輌1.OdO,000 経 常 資 金 貸50,000(註)

基 金 残 高50,000

(註)現 金 の 収 入 は 基 金 の 収 入 と し て で は な く,経 常 収 支 計 算 で 取 扱 う。

(経 常 資 金)

②(借)現 金50,000(貸)基 金 借50,000

そ し て 車 輔 の 新 規 買 入 は 次 の よ う に 仕 訳 さ れ る 。 (事 業 運 用 資 金)

③(借)基 金 借900,000(貸)現 金900,000

尚 こ の 場 合,予 算 に 基 づ い て 新 規 買 入 の 支 出 が 行 な わ れ る の で あ る か ら,予 算 の 記 帳

が な され ね ば な ら な い 。 再 び 仮 設 例 と して,予 算 に 代 替 買 入 車 輔 が 決 定 され た 。 た だ し

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一74一 商 学 討 究 第20巻 第3号

車 輔 価 格1,1∞,∞0円,減 価 償 却 準 備 金900,㎜ 円 。 差 引 き2∞,000円 は 支 出 予 算 決 定 済 と な っ た 。 こ の 場 合,つ ぎ の 仕 訳 が 得 られ る 。

(経 常 資 金)

④(借)支 出 予 算200,000(貸)現 金200、000

(資 本 的 支 出) ま た は 車 輌 買 入 支 出

(基 金)

⑤(借)車 輔1,100,000(貸)事 業 運 用 資 金 貸900,000 基 金 残 高200,000 上 記 仮 設 例 の 取 引 の す べ て を 図 示 す る と つ ぎ の よ うに な る 。

経 常 資 金 事 業 運 用 資 金 基 金

現 金

②5・ ・…1④ ・・・・…

基 金 借

i②5・,…

車 輔 買 入 支 出

④2・ ・,・oo1

減 価 償 却 費

oo××x×0××X×

19x×x×3

基 金 借

③900.000

伽 叢 駁

19x×××3

計900.OOO

③500,000

1,000,000①1,CDO,OOO

⑤1,100,000

事 業 運 用 資 金 貸

319,000

× ×X

× × × X×X

× × ×

⑤900、000

計900,000

経 常 資 金 貸

①50,000

基 金 残 高

①900,000⑤200.000

車 輔 減 価 償 却 準 備 金

①900.000 319,∞0

× × ×

× × × XXX

×X×

か くて,組 合の基 金 の 保護並 にやむを 得 ざる 変動 の状況 と,

び,そ の発展的 諸事業 の資金一 これ は協 同組合 の経 理上設定 し得 る大枠 と しては極 め

計900,000

日常 の 一 般 活 動 資 金 及

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協同組合簿記の若干の問題点(古 賀) 一75一

て妥 当適正 と考え られ る一 との組織 的 な記帳体 系を把握す るこ とが で き よ う。 固定 資 産 の減 価償却 もそ の流動 化の理論 に よって資金会 計論 的 に理 解 され得 る所 であ る。 もっ とも,こ の点は議論 の存 す る所 であ るが,こ れ につ い ては 本誌第19巻 第2号 の拙稿 に おい て述べ た る所 で もあ るの で,本 稿 では立 ち入 って論ず るのを割愛す る。ただ複雑 な 複会 計制 に よる経 理 をすべ きか否か,そ の妥 当性の有無 につ いては将来 の研 究 の対 象 と

したい。

非営利 法人 と しての協同組合 の経理上 の問題 点の他 の一 と して予算執行 の経 理を挙げ るべ きであろ う。 協同組 合の非営利法 人 としての面一 勿論営利事 業 の面 は全般的 に言 って一 部 に過 ぎない一 の会計 は組 合員 えの奉仕 を 旨 とす る(農 業協 同組合 法第8条) ものであ り,こ の点公会 計に準ずべ き面を有 す る ことにな り,予 算執行 の会 計 の性格 を 否 認す ることはで きないであ ろ う。記 帳技術上 の中核 ともな る問題点 は貸借 対照表上 の 経常 資 金の部 の 資産 の部に 掲 記 され る 「支出負担」勘定 と 負債資本 の部 に 掲記 され る

「支 出担 負準備 金」勘定 の扱 い方で あろ う。 即 ち予算執行 の会計 の 中核 とな る所 の予 算 が使用せ られ た ときの現 象を表現 す る この両 勘定 は一種 の対照 勘定 と考 えて差支 えない もので あ る。そ もそ も企業 会計 では支出 のため の予備行為 は通常 企業 の財 産 に増減変 化 を現実 には きた さないので仕訳 の対 象に な らない のが普通 であ る。 しか し,非 営利法 人 は予算が成 立 した ときに支 出 され る義務 と収 入を行 な う権利 が定め られ てい るので,こ

の支 出予 算を行 な うべ く,契 約 を し,あ るいは注文 を した場 合 には,実 質 的 にそ の行 為 に基 づいて将来 に支払 を なす義 務を負担 し,ま たはあ る種 の財産 についてそ の支払 のた め の引当を しなけれ ば な らぬ義 務 を生ず るので,発 生主義 の観念 に基 づ き,現 金の支 出 義務が起 きる以前,予 算 に よる執 行権 の行使 があ った とい う考 え方 か ら仕訳 の対 象 とな

る。即 ち,注 交書発 行 あ るいは契 約成立 の場 合 に

(借)支 出 負 担 ××(貸)支 出負担 準備 金 ×x の仕訳 が行 なわれ,注 文 または契 約が履行せ られ た ときには

(惜)支 出負担 準備金 ××(貸)支 出 負 担 ××

の仕訳 が行われ る。決算期 末に至 って,契 約が未履 行 のまま翌期 に引続 くものにつ いて は,対 照勘定 の内,支 出負担 勘定 は これを支 出予 算勘定 借方 に振替 え られ る。支 出負担 準備 金は貸方残 高 をそ の まま次期 に繰 返 して,次 期で前期 の予 算未支 出分 と して決済 さ れ る。支 出予算 勘定 では,借 方 の支 出合計 と,期 未 の支 出負担 残高合計が 当期 の決算実 績 を示 し,貸 方 の金額が 支 出予算 を表 わすか ら,そ の差額,す なわ ち剰 余,あ るいは不

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一T76一

商 学 討 究 第20巻 第3号

足分は未 処分剰余 金に振替 え られ る ことに な る。 この関係 を勘定表 で示せ ば次 の よ うに な る。

対 照 勘 定

支 出 負 担 支 出 負 担 準 備 金

→(1)支 出 契 約 成 立

期 中に実現 した も←→期 中に実現 した も

の の

(2)期 末整理支 出←

予 算に振替

(1)支 出契 約成立 ← この まま次 期へ 繰越 され る

支 出 予 算

支 出

→(2)支 出 負 担

1未 処 分 剰 余 金1

支 出 予 算 高

上 記 の予算執行 の経理 は,し か しなが ら,多 くの資本 主義 国家 の協 同組合 の実状 に照 し,実 施 上大 きな制拒 な しと しない。第一 に明瞭 な こ とは,前 に一・言触 れ た よ うに,発 生主義会 計方法 を採 用 していない組合 には妥 当 しない こ とであ る。協同組 合 も全般的 に は発生主 義会計 を採 用す るものが顕著 に増加 してはい るが,現 金主義会 計を固守す る組 合 の数 も未だ決 して無視 で きない よ うであ る。第二 に,発 生主義会 計方 法を採 用 してい て も,ま た予算が成 立 していて も,こ れ に基づ いて支出す る義務 を履 行 し,ま た収入す る権利 を行 使す るに当 って も,こ の よ うな厳格 な経 理 をす る必要 のあ る組 合が決 してす べ てではない ことで,「 鶏 を さ くに牛 刀を以てす」 るき らいが 生 じ得 ることで あ る。 少 な くもわ が国 の協 同組 合 の実状 は この ことを証 明 してい る とい って よい よ うで ある。概 して,比 較的大 規模 の組 合 には確か に望 ま しい経 理方 法で あ るが,中 小規模一 これが 圧倒 的 に多い一 の組 合に対 しては問題が存す る。

三,、利 用 高 主 義 と資 本 維 持 の 簿 記

協同組 合 に企業 的活動 と能 率 とを発 揮せ しめ る意 図か ら,ま たは簿 記の原 理 の適用 性 の立場 か ら完全 に企業簿記 を採用 して不 可な き場合 があ る。農業者 は農産 物の生産 には 熟練 してい ても生 産に必要 な諸 材料用具 等 の購 入 ・生産物 の販売,金 融保険 ・倉 庫等 の 取 扱 い利用 につ いては不慣れ で,こ の種 の事柄 を農業 協同組合 の結成 に よって隆 路 を打 開すべ き場 合 には組 合に企業的活 動 をな さ しめ,適 任 者を役員 と し,そ の手腕 を十 分 に

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協同組合簿記の若干の問題点(古 賀) 一77一

発揮せ しめ る方が経営 成績 向上 に役立つ ことは協 同組合 主義 の先進 国デ ンマー ク等 にお い て実証 せ られ てお る所 で,か か る場 合,企 業 簿記 を採用す るのが 自然で あ り妥 当で あ る。従 って一般 には,協 同組合 の簿記は企業 簿記 を原則 と して い る。今 ここに農 業に例 を と り,協 同組合 の記帳 の特徴 を浮 き彫 りに しなが ら若 干の問題点 を挙 げ て論述す る こ

とにす る。

←う 賦課 金 の取扱 い

農業協 同組合は組合 員に対す る農業 技術並 びに農業経営 に関す る指導,教 育 と情報 活 動,生 活改 善 の指導等 の業 務 を遂行す るに必 要な る資金 は本則 と して組 合員か らの徴 収 に まつ。 この場 合問題 とな るのは,ま ず割 当額 の算 出方 法で あ るが,組 合 員の利用高 に よるのが原 則であ る。従 って農協が組 合員 の乳牛 か ら搾取 した る牛乳 の集荷 販売 の業 務 を営 んでい る場 合には この集荷額 に よらねば な らぬ こ とにな る。そ こで これ を正 し く整 理 してお くためには各組合 員別 の集荷量,金 額 を 日付 と共 に記 入す る補助簿 を具 えお く べ きであ る。か くす るこ とに よって各組合 員 の組合利 用高 を金額 的 に掌握 で きる ことに なる。又 それに は組合 員 の乳牛 の格差 に よ り生ず る牛乳 の質 の差 に基 づ く単価 の差 を明 瞭 に しお くため の摘要欄 を設定す べ きであ る。か くて各組 合員 の供 出額 の集荷総額 中に

占め る割 合 に よって賦課 金額 を算定 し得 る。

賦課 金 につい ては また別 に補助 簿 と して賦課 金記入帳 を具 え,こ れ に組 合員 別 に賦課 額収 納額 な どを記入整理 すべ きであ るが,略 式 に示せぽ次 の要領 であ る。

甲 組 合 員

賦 課 額 収 納 額

得 意 先 元 帳 の 人 名 勘 定 と 同 じ記 入 要 領 で あ る 。

各 組 合 員 の 一 期 分 賦 課 金,収 納 貯 金 振 替 分 穿250,000,現 金 分Y200,000受 け 入 れ た と し た と き は

(借)現 金200,000(貸)指 導 収 入450,000

(賦 課 金) 普 通 貯 金250,000

の 仕 訳 が で き 、 年 度 末 に 賦 課 金 未 使 用 残 金 が あ る 場 合 は,賦 課 金 仮 受 金 と し て 翌 年 度 に 繰 越 し,翌 期 に 戻 し処 理 す る こ と に な る 。 上 記 例 に 従 い,賦 課 金 未 使 用 残 金Y50,000 を 仮 受 処 理 す る こ と に し た 場 合 は

(借)指 導 収 入50,000(貸)経 済 貸 方 経 過 勘 定50,000

(賦 課 金)(賦 課 金 仮 受)

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一78一 商 学 討 究 第20巻 第3号

の仕訳 が得 られ る。

この場 合,経 済貸 方経過勘定 は 負債 勘定 に入 るこ とは 勿論 であ る。 指導収 入勘 定 に は,賦 課 金 の外 に 指導 補助 金(営 農指導 員設置補助 とか採種 補助 な ど),実 費収 入(指 導事業 実費 を受益 者か ら徴収 す る場合)が 所属す る。未 使用残 の賦課 金,即 ち翌期 に通 常戻 し処理 され る賦課 金仮 受金は,も し賦課 の 目的 が当期 に限定 され る性質 の ものであ る場 合は,各 組 合員 の利用 高に応 じて,場 合 に よっては,返 還 の処理 をす ること も勿論 可能 で あ る。

口 利用 分量主義 につい ての考 察

協 同組合 の非経済的事業 につ いての費用は,前 述 のご とき賦 課金 に よるこ ともや むを 得ぬ ことであ るが,協 同組 合は本来 の性格 としては組合 員の出資 に よってそ の事業 を営 むべ き ものであ るか ら,そ の費用 は出資 に よるこ とを本則 とすべ きであ る。従 って,生 産,加 工,販 売,購 買,保 管,運 送,検 査,商 品券 の発行,貸 付等 のいわゆ る経 済事 業

に要す る費 用 は,使 用料 または手 数料 に よって まか なわれ る。使用料 及び手数料 は,組 合員が使 用 した程度す なわ ち受益 者 の受益割 合 に応 じて負担 す る所 に,前 述 の賦課 金 と 相違す る ところがあ る。使用料 とは,例 えば,倉 庫,運 搬 用具等 の賃貸料 の ごと く,組 合 の物的施 設 の使用 に対す る対価 として,使 用 者か ら 徴収す る 料 金で あ る。 手 数料 と

は,委 託 販売,委 託仕入 の手 数料,検 査料,保 管料,運 賃 の ごとき,組 合 の役 務 に対 し て徴収す る 料金 であ る。 受益 者 負担 の理念 に 基 づ く協 同組 合 の 経 済事業 に対 す る使用 料,手 数料 主義 は合理 主義 にかな ってい ることは疑念 の余地が ないが,た だ料 金額 が当 該各事業 に対す る適当 なる もので あるか ど うか の問題 が存す るこ とを指摘 す るに止 めた

い 。

利用 分量主義 につい て討議 の姐上 にのぼすべ きものは,何 とい って も組 合 の剰余 金 の 配 当に関 してであ る。協 同組 合 の剰 余金 の配 当原 理 としては,会 社企業 の よ うに出資額 に応 じて きめ る出資額主 義 と,組 合 の利 用度 ・使 用度 に応 じて きめ る利 用分量主 義 との 二 つが挙げ られ るが,こ の両者 の優先順 位,比 較 対照が問題 の中心 とな る。利用分 量主 義 優 先 論 者 の見 解 に よれ ば,協 同 組 合 は 人 的 結 合 に基 礎 を持 つ もの で あ るか ら,利 用 分 量 を優 先 し,出 資額 に よる分 について は限度 を設定す るのが協同組 合 の理念 に合致 す る

もので あ ると し,か つ利用分 量配 当は法規上組 合 の損金 算入を認 め られ免税 とな ってお る(中 小企業 等協同組合 法第9条,商 店街振興 組合法第12条.法 人税 法第61条)こ と の趣 旨か ら考 えて もそ うであ る とす る。 これ に対 し出資額 主義 優先論 者は,協 同組 合は

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協 同組 合簿記 の若 干 の問題 点(古 賀) 一79一

出資者 の出資額 を固 く擁 護す る建前 となってお る点か ら,ま ず 適正金利 の支払 を なす べ きであ り,ま た利用分量 主義 に よる配 当は組合を免税 にす るが,受 け る組 合員が課税 さ れ るのに反 し,出 資額主義 では組合 は免税 され ない代 りに,こ れ を受け取 る組 合員 は免 税 され る仕組 にな ってお り,こ の方が組 合員 の利益 に なる ことを指 摘 し,か つ他 方 にお いて,多 額 の出資者が,必 ず しも組合 を よ り多 く利用す る とは限 らない ことも考慮 すべ きであ る とす る。

わが国 の法規 は(事 業協 同組 合定款例第55条,商 店街定 款例第51条,商 工組 合定 款 例第62条J環 境 衛生定款 例第59条)概 ね出資額主義 に左 祖 し,「 剰 余金 の配 当は,総 会 の議決 を経 て,年1割 の範 囲 内におい て,事 業年 度末毎 におけ る組 合員 の出資額 に応

じて し,な お剰 余 があ る ときは,組 合員が,そ の事 業年度 におい て,組 合 の事 業 を利 用 した分量 に応 じてす る」 ことに してい る。

惟 うに,わ が国 の現状 におい ては出資額主義 を とる規定 の論 拠 に若 干傾 か ざ るを得 な い よ うに思 うが,協 同組 合 の本来 のあ るべ き所 に これが合致 して い るもの とは思 われ な い。協 同組合 の本来 のあ るべ き所 は利用分 量主義 の方が妥 当 と思われ,こ とに協 同組 合 を成長 させ 発 展 させ るこ とに よって 構 成組合 員 の 利益 を計 ってゆ くとい う立 場 に立 て ば,利 用分 量主義 の理論 の方 が ま さってい る よ うに考え られ る。'この点 に関連 し,決 算 前 に組 合員 の利用 量 に応 じた 「割戻」 を行 なって組 合員 の課税 を減 免せ しむべ きだ とす る考 え方 が あ るが税 務上 の問題 点 とな る。尚,わ が国 の現 状で は利 用分 量主義 に して も 出資額主 義に して も,い ずれか一方 のみ で配 当額 を きあ るこ とは無理 で,当 分 は両建 で 行 くべ きであ ろ うが,優 先 順位 の問題 は常 に存 してい る訳 で ある。

⇔ 回転 出資金 について

協 同組合 の簿記は資 本維持 の簿記 といわれ るほ どに組合 員の持分 の経 理を中心 とす る 特殊 なものがあ るが,そ の著 しい 例 と して 「回転 出資金」 勘定 が 挙 げ られ る。 本来組 合 員え の配 当に向け られ るべ き 当期利益 金 の一部 または 全部 を出資金 に 振 り向け るこ

とが 認め られ てい る(農 業協 同組合法第52条 の2)。 事 例 として,当 期利用分 量配 当金 Y500,000の うち,影300,000を 回転資金 とす る処分案 が承認 され た ので,そ の残額 は 各人 の普通貯 金に振 り込 んだ場 合次 の仕訳 を得 る。

(借)当 期 利 益 金500,000(貸)回 転 出 資 金300、OOO 普 通 貯 金200,000

か くの ご と くして組 合は資本 力を増加す るこ とが で きるが,回 転 出資金 の会 計上 の本

(10)

一80一 商 学 討 究 第20巻 第3号

質は預 り金的 性格 を持 ってい る。 しか し形 式上 は 資本 勘定 に 入 る ものであ る。 協 同組 合運動 の先進 国 デ ンマ ー クにも これ と 酷 似 した制度 があ る。 もっ とも同国 では 我 国の よ うに法規 に よるものでは な く,個 々の組 合 の 定款 に よってい る。 同国 の 北 ユー ラ ン のMors島 のSobjirgに あ る1913年 設立 の ソル ビヤ製 酪協 同組 合(SolbiergAndels Meijorl)の 定款第8条 第2項 か ら第5項 にかけ て次 の規定が あ る。

「毎年 の会計年度 の終 りに際 し,理 事会 の決定 に よ り組 合 の売上 げ高 の1%の 金額 を 新規購 入用,あ るいは経営資 本金 として特 別会計 に繰入 れ られ る。そ の 口座 に繰込 まれ

た金額 は,協 同資 本金取 扱 いの下に置かれ る。

組 合の貸借対照表 を作 る基礎 として,組 合 の所有財産 を含 めた協 同資 本金[座 を設け る。

各組 合員 は協 同資本金 口座 に 各 々の特 別 口座 を持 ち,過 去10年 間 の 牛乳 出荷量 に基 づ く組 合資産 の分担額 が記 され る。

各組 合員 の 口座 に 記 され た金 額は,10年 以上 にわ た って 毎年 同額 の 支払 い額 を もっ て償還 され る。

協 同資本金 口座 は、毎年 、同 口座 の支 払 い後 の額 と組 合所 有資金 の差額 に相 当す る金 額 を記入す る。そ の金額 は前 年度 の出荷 牛乳量 に比 例 して各組 合員 の特 別 口座 の中に記 入 され る。

各組 合 員の特 別 口座 に初 めか らあ る金額 が償還 され た とき,次 期会 計年度 か らは,こ の 口座 設立第1年 目に支払 われ た金額 が支払われ,次 年度 には 口座設立2年 目に記 入 さ れ た金額 が支払 われ,か く継続 され る。」

この規定 は継続性 を もつ もので,資 本維持 の会 計が如実 にあ らわれ てい る。

さ らに また,同 国 の屠殺 協 同組合定 款第2条 第4項 は同趣 旨の規定 を有す る。即 ち

「適当 な経営 資本金を集 め,か つ,維 持 す るために,理 事会 は1951年1月1日 以降J 出荷 され た豚1頭 につ き1ク ローネを天 引す る権 利 を持 つ。天 引 され た金額 は5年 間屠 場 経営 に使 う特別 口座 に繰入れ る。 第6年 目 の 満期 に至 り,5年 間天 引 され た 金額 の 中,1年 目の金額 を,第6会 計年度 の 後 払 い金 と共に 支払 いか え,毎 年継続 され る結 果,こ の 口座 に常 に5年 間 に出荷 され た豚1頭 につ き1ク ローネの金が年度変 更に 関わ

りな く,存 在 す ることとな る。」

ちなみ に わ が国 の農協 法 の規定(第52条 の2の 第2項)が 利用分 量配 当金 の充 当期 限を,上 記 規定 の天 引期 間 と同 じく5年 と してい るの も興 味が あ る。 尚利用分 量配 当金

(11)

協同組合 簿記 の若干 の問 題点(古 賀) 一81一 は.預 り金的 性格 を持 った資本勘定 と述 べ たが,上 記屠殺協 同組 合定款規定 の同条第5 項 に次 の規定 が あって,経 営資本 金 口座 の組合 員の金 につ き負債 的性格 を帯 びて いる こ

とが認 め られ る。即 ち,

「組合 の閉鎖,破 算精 算に際 しては,経 営資 本金 口座 にあ る組 合員 の金は他の債権 者 に対す る負債 と同 じ く,組 合 の債務 となる。」

㊨ 持分 の計算 につ いて

協同組 合の会計 は,組 合員 の醸 出す る出資金 を基 本 として運営 され,組 合員の利福 を 計 る ことを主眼 と して運営 され る限 り,組 合 自体 の利 潤 の追 求蓄 積は 当然 に副次的 に し か計 られ るべ きはずは な く,こ の意味 で会社 等 の営利 企業体 と異 な り.組 合員の出資 金 及 びそ の運用 に よって得 られ る利益金 の処分 に伴 な う組 合員え の配当,ま た組 合員 の加 入,脱 退 の場合 の賦 課及び払 戻 しな どの問題が独 自の重 要性 を持 つ こ とにな り,組 合員 の持分 の計算は協 同組 合会計 の中心課題 とな って,資 本維持 の簿 記 といわれ る協 同組合 簿記 に あ らわれ きたるのであ る。

持分 計算 において対象 とな るのは,払 込 済出資金,法 定 準備金,特 別積立金及 び繰越 利益剰 余金 であ って,納 税 引当金,退 職給 与引 当金 の ご ときは除 かれ る。け だ しこれ ら は負債性 の引当金 と して,組 合 員個 々の持分 と関係せ しむべ きでない との趣 旨に出つ る ものであ ろ う。教 育情報費用繰 越金 につ いては肯定説 と否定説 とがあ るが,翌 事 業年度 に支 出 され るものであ る限 りは,計 算 の対 象 と しない との否定 説 に賛成 したい。 資産再 評価法 に よる再評価 積立金は,資 産再評価 法第102条,第107条,第109条 の諸 規定 に よ り,組 合員の脱退 に よ り出資 の持分 の払戻 をす る場合 には再 評価積 立金 を取崩 す こ と が で きること とな ってい るので,持 分 計算 の対 象 とな るべ き ものであ る。 しか しここに 生起す る陰 路 と して,脱 退 す る組 合員え払戻 しすべ き資金 が欠如 してい る場 合 に抽 象的 な金額 であ る再評価積立 金を取 消 した ら組合 の存 立 を危 くす る虞れ があ る ことであ る。

この場合 に限 り,持 分 計算 の対 象 と しない便法 を採 るべ きだ との説 があ る。卑見 に よれ ば,組 合 の資本維持 の原 則か らも,十 分 意義 あ る 便 法で あ ることは 認め るが,純 理 の 上 か らは,必 ず しも納得 で き兼 ね る。 この問題 は結論的 には,組 合 の実態 実 清に応 じて 定 款に て規定 す るのが 適当で あろ う。

次 に持分 の計算方法 に移 るが,こ れ には改算式 持分計算法 と加算式持分 計算法 とが あ る。 この二 つの方法 を要 述す る と下 の通 りであ る。

切 改 算 式持分 計算法 。 毎事業年度 末 に正 味財産 を出資 口数 のみ を基 準 として更 改

(12)

一82一

商 学 討 究 第20巻 第3号

算 定す る。すなわ ち正味 財産 を出資総 口数 にて除 し,出 資一 口当 りの持分 を計算す る。

組 合 の利用量 に無 関係であ り,一 口当 りの持分 は均等 であ るか ら,こ の計算方法 を均等 式持分 計算 法 ともい う。

藷翻 騒 一拠 済出資金+響 響 繋 響 讐 金+灘 乗 搬 一一・当り持頒

一 口当 り持 分額 ×甲某 の出資 口数=甲 某 の持分 額 尚損失の場合は

墨 騨 雛 轡 鐙 一一[当り持纐

の 式 と な る 。

この計算方法 は,持 分台帳 を必 要 とせ ず,か つ計算 が簡 単で あ るので,こ の計算 方法 を とる組 合が 多い よ うで あ る。次 に持分計算 表を示 し,そ の記入要 領を記す るこ とにす

る 。

持 分 計 算 表

昭 和 年 度

財産科 目 円 二付)率(

号 氏名 出 資 金 標準額 按分額

照A旦

法 定 準 備 金 標準額 按分額

照A旦

諸 積 立 金 標準額 按分額

照A旦

そ の 他

標準額按分額 照 盒

按分額 合計

(注)(1)出 資金 の標 準額は,組 合員名簿記載 の前年度 末現在払込 済 出資額 を記 入 す る。

(2)出 資金按分額 は,そ の年 度 中に払込 まれ る額 を記入す る。

(3)法 定 準備金 の標準額 はそ の年度末現在 の払込 済出資額 を記入す る。

(4)諸 積立 金の標 準額 は,そ の年度 中に組合 員が払込んだ手 数料,利 用料 及 び取 扱高 を一 定基準 に換 算 した もの の合計額 を記入す る。

(5)そ の他 は繰 越損失金 あ る場合 に記 入 され るに付 き,そ の年度末現在 の払 込 出資金額 を記入す る。

(6)按 分 額 は剰 余金 処分 に よ り積立て られ た法定準備金,特 別積立 金等 に対 す る標 準額 との割合 で,そ の計算 の便 のためには按 分率 を予 め按分 計算 に 都 合 よき方法 を もって計算 す る。欄外 に持分 の対 象 とな る科 目及び按 分率

を出す。

(7)按 分率 は標準額1円 に対す る比 率 を出す こ と。

(算例一 法定 準備 金)払 込済 出資金額100,000円,甲 組合 員の払込 出資

(13)

協同組合簿記の若干の問題点(古 賀) 一83一

金1.OOO円,本 年 度 決 算 に よ る法 定 準 備 金2,000円 とす る と,

(法 嚇 鱗 器1男 欝 崖纂繋 一・ ・ 円(按 分額)

2,000(法 定 準 備 金)=0

.021円 に つ き2銭(按 分 率)100 ,000(払 込 済 出 資 金 額)

α)加 算式持分 計算法。 これ は正味財産 を構 成す る科 目別に算定基礎 を異 にす る。

す なわち,(1)払 込 済 出資 金にっ いては,各 組 合員 の払込 済出資金額 に よ り算定す る。

(2)法 定 準備 金につ いては 各組合 員 の払込 済金額 に よ り事 業年 度末毎 に算定加算 す る。

(3)特 別積立 金につ いては,組 合 員の組合事業 の利用分量 に応 じて,事 業年 度末毎 に算 定加算す る。

なお,法 定 準備金 または特別積 立金 を取崩 した ときは,そ の取 崩 した科 目の金額 につ い て有す る持分 に按分 して,そ の持 分 中か ら控除 す る。 この加 算式持分 計算法 は,組 合 を利用す る者 は出資額 にかかわ らず持 分 は増加 し,利 用量 に よって持分 に差等 を生 ず る の で,こ れ を差 等式持 分計算法 ともい う。 しか しこの持分 計算法 は前記改 算式持分 計算 法 に比 し計算が複雑 で あ るので一 般に利用 され るこ とが少ない。 なお,こ の計算 の方法 を とる場 合 には,持 分 計算 を明 らかにす るための持 分 計算表(前 掲)の 外 に各組合 員別 の持 分額 を示 す持分 台帳が必要 であ るが,そ の様 式 は下 記の ご と くであ る。

持 分 台

第 号

氏 名 営業種類

住 所 (電話 号) 加 入 昭和 年 月 日

営業所 (電話 号) 脱 退 昭和 年 月 日

年度

按分額

現在額

法 定 準 備 金 按分額

讐 暫

○ ○ 積 立 金

増減額 現在 額

○ ○ ○ ○ 按分額

現在

合計

(14)

一84一 商 学 討 究 第20巻 第3号

以上二つ の持 分計算法 につい て考 えてみ るに,改 算式 は計算が 単純 で,上 記 の持分 台 帳 も要せ ず帳 簿が少 な くて済む ので複雑 を き らう一般人 受け のす る長所 が あ り,こ のた めに普及性 があ るわけ であ り,こ の点十分 根拠 あ る もの と認むべ きであ る。 しか し,協 同組 合は本来組 合員 の 自発的意思 に よって組 合員 の福利 増進 を計 る とい う積極的 使 命 と 理 想 とが あ ることを考え ると,単 な る出資額に基 づ く計算法 は,上 記理 想 と使命 に十 分 合致 す るもの と認め ることはで きない。組 合員 が如 何ほ ど組 合を利用 したか を計算 に入 れ るこ とを適当 と考え る。 この点 を考慮 した加 算式計算法 は協 同組 合の理論 に合致 す る

もの といえ るであ ろ う。 ただ加 算式 において法定 準備 金につ いて改 算式 の よ うに出資額 主義に よってい るのは問題 であ る。本来 協同組 合 の法定 準備 金 と特 別積立金は,そ れぞ れ 株式会社 の法定準備 金 と任意 積立金 とその成 立存立 の理念は異 な る ことな く,い ずれ もそれぞれ利益 金乃至剰 余 金に よって財政基盤 を盤固 にす るため に設定せ られ るもので あ ることを考 え る とき,加 算式 におい て,法 定 準備金 も,特 別積立 金同様 に利用 分量 に よ る計算 方法 を取 って も格別 の不都 合あ る もの とは考 え られ ない。少 な くともそ うす る 方が上述 の ご とき組 合 の理想 と使命 とに よ り一 層合致 す る よ うに思われ る。加算 式 の利 用分量 に よる計算 法 につ いての問題 は,手 数料,組 合 の施 設 ・設 備の利用料,取 扱高 に つ いての単純 合計額 に よるのか,あ るいは これ らにそれ ぞれ の比率 を規定 しおいてそ の 比率 計算 に基づ く合計額 に よるか の問題 で ある。 勿論,定 款 の規 定 に まつ べ き事 柄 であ るが,計 算 の複雑 化を避け る上 か らは前 者 の方が望 ま しい といえ よ う。

四,売 買事 業 に お け る共 同 計 算 方 式 に つ い て

協 同 組 合 事 業 に お い て は,志 を 同 じ うす る 組 合 員 は,そ の 購 買 や 販 売 の 面 で 共 通 要 素 を も つ が ゆ え に,組 合 と して,こ れ らの 購 買 ・販 売 に お い て,ま た,ひ い て そ は の 精 算 に お い て 共 通 の 勘 定 に よ っ て 処 理 され 得 る こ と は 自 然 の 理 と い うべ き で あ ろ う。 次 に 問 題 点 と な る これ ら の 主 な る場 合 の 概 要 とそ の 簿 記 上 の 処 理 と を 示 し論 ず る こ と に す る 。 (1)予 約 申 込 み と 概 算 金 の 受 入 れ

① 〔予 約 申 込 み 〕 委 託 者 か ら 「肥 料 共 同 計 算 予 約 申 込 書 」 を 提 出 さ せ,同 時 に 概 算 金 を 受 け 入 れ,普 通 貯 金 で 処 理 す る 。

〔例 〕 概 算 金 寮3.500.OOOを 受 け 入 れ る 。

現 金

(借)ま た は3,500,000(貸)普 通 貯 金(肥 料 口)3,500,000

普 通 貯 金

(15)

協同組合簿記 の若干の問題点(古 賀) 一85一

② 〔予約 注文 〕予約 申込 書か ら 「共同計算購 買集計表」 を作成 して,品 目数量 を算 出 して経 済連 に予約 申込 みをす る。

③ 〔委託者 別共同計算購 買精 算帳 の整理〕予約 申込 書 に よって,こ の帳 簿 に委 託老別 に予約数量,受 入概算金 な どを記入整 理す る。

(2)現 品 の受入 れ と引渡 し

① 〔荷受け〕経 済連か ら現 品が到着 した ら,出 荷案 内書 と照 合 し,そ の着荷 を確 認す る。

② 〔受入起票 〕経済連 か ら計算書(信 連 預金 引落 通知書)を 受 領 した ら.こ れ に も と つい て,共 同計算購 買品元帳 の受入数 量,概 算単 価,概 算 金額 などを記入 し,次 の仕訳 を行 な う。

〔例〕購入価額i郷.200,∞0の 預金 引落 通知書 を受け取 る。

(借)共 同 計 算 購 買3,200,000(貸)預 金(普 通 預金)3,200,000

⑧ 〔引取運賃 ・諸掛〕 引取運 賃諸掛 な どを支払 った場合 は,共 計勘定 で処理 し,共 計 購 買品元帳 の各 品 目に按分 して記入 す る。

〔例〕 引取運賃 諸掛Y3,700を 現金で支払 う。

(借)共 同 計 算 購 買3,700(貸)現 金3,700

④ 〔現品 引渡 〕現品 を委 託者 に引 き渡す ときは,送 り状(2枚 複写)の1枚 を同時 に 渡 し,1枚 に受 領印 を も らう。送 り状 に よって,共 計購 買 品元帳 の払 出欄 と委託者 別共 計精算 帳 の引渡 数量欄 に記 入す るのみ で,仕 訳 は必 要 と しない。

⑤ 〔配達運賃 諸掛 〕配達運賃 な どの供給に要す る諸掛 は,ア 原 則 と して手数料 に含 めて徴 収 して,共 同計算購 買勘定 に プールせず供給 費で処理す るが,イ 手 数料 に含 め ず,共 同計算 に プールす る処理法 もあ る。

〔例〕配達運賃Y5,000を 現 金で支払 う。

ア(借)購 買費用(供 給費)5,000(貸)現 金5,000 イ(借)共 同 計 算 購 買5,000(貸)現 金5,000

惟 うに,会 計学上,簿 記学上 の通念 に照 らし,配 達 運賃諸掛 を手 数料 に含 め る処理 は 避 くべ きで,こ とに このために記帳手 続を繁雑 にす る ことはな く,む しろ経理 内容 を一 層 明晰 な らしめ るものであ り,か つ また,共 同計算購 買勘定 は,本 質 上共 計購 買 の委託 者 に対す る債権 を内包す る もので あ る以上,配 達運 賃 も手数料 も委 託者 に対 す る組合 の 債権 を あ らわす もので あ るか ら,こ れ らの勘定 を共 同計算購 買勘定 に所属 させ るイの処

(16)

一86一 商 学 討 究 第20巻 第3号

理法 を採 るを可 と考 え る。 アの処理法 に従 い,配 達 運賃諸掛 を手 数料に含 めた り,供 給 費 とい う幅広 い勘定 に よる処理法 は,一 般受け し易 いであ ろ うが,簿 記会計 は何 よ りも 真実 を最 も克 明丹念 に表 示す るこ とが第一 で あ り,こ とに このために手続 きに繁 雑 を来 す ほ どの ことがないか ら,ア 法を採 るには賛成 し兼 ね る。実務 を考慮 し,農 協 簿記 の普 及 伸展 の観点 に立 って も,こ の段 階 まで入 り込 ん で来 た記帳者 に取 って両 者の難 易 の差 は まった く言 うに足 りない もの と思 われ るゆ え,む しろ この段階 まで進み来 りたる記 帳 者 に取 っては簿記 会計 の科学 的理解 と把握 に馴致せ しめ ることが肝 要 と信ず る。

手 数料 と共 同計算購 買に 関す るこの 問題 は組 合が 精算す ると きに も 当然 に適用 され る。即 ち,共 同計算精算書 を集計 し,共 計購二買品 元帳 を締 め切 り,合 計を算 出 して両 者 を照 合 し,共 計勘定 を普通貯 金 と振替 決済す る と同時に,購 買手数料 を除 いた金額 で取 扱 高 を表示 され る ことにな り, .下の仕訳 例 を示す こ とを得 る。

〔例〕普通貯 金Y3,500,0∞,共 同計算購 買勘定Y3,650,000,う ち購 買手数料 寮150,000 の内容 で精算す る。

(借)普 通貯金(肥 料 口)3,500,000(貸)共 同 計 算 購 買3,650,000 購 買 未 収 金150,000

諸掛,手 数料,共 同計算に 関す るこの 問題 は また,販 売 の場 合に も 当 ては ま る。 い ま,共 同計算販 売勘定 の精算 につ いてい うと,精 算 単価 を受託販 売元帳 を締 め切 って, 委 託者別販売 数量 に乗 じて精 算額 を算 出 し,次 の仕訳 を して精算 金を貯 金に振 り込 む 。

同時に共 同計算販 売元帳 の販 売額合 計で取 扱高 の起 票 をす る。

〔例〕共 同計算販売勘定 残高i麹,500,000,仮 渡 金Y1,000,000,立 替金 多50,000,仮 渡 金利 息Y20,000,手 数料i麹5,000,共 同計算販 売元 帳 の販売額 合計Y1,550,000

(借)共 同 計 算 販 売1,500,000 輪 繍

金金金益糊益創

普販販販倣事催

385,000 1,000.OOO

sO,CK)0 45,000 20,000

こ こで,共 同計算販 売勘定 は,前 記 の共 同計算購 買勘定 が,委 託者に対す る債権 勘定 で あるのに対 し,委 託者に対す る債務勘定 であ るこ とはい うまで もない。即 ち,あ る一 定期間 に取 り扱 う販 売品 の代 金を プール して,貸 方 に販 売代金,経 済連か らの仮配分 金 な どを記入 し,借 方に委託者 の出荷数量 に平等に負担 させ られ る運賃 諸掛 の立 替金 を処

(17)

協同組合簿記の若干の問題点(古 賀) 一87一

理 し,精 算完了に よって消滅す る勘 定 なのであ る。

五,評 価 と原 価 算 定 上 の阻路

(1)精 算単 価算定法 と評価 について

次に共 同計算販売 に関連 し,精 算単 価算 出法 の問題 をあげ たい。即 ち,共 同 計算期 間 が終 了 した ら,共 同計算販 売元帳 を締 め切 り,品 目別 ・銘柄 別 ・等級別 な どの精算単 価 を算出す るが,こ れ には次 の方法 があげ られ てい る。

ア 標準格 付評価一 各 等級銘 柄 に あ らか じめ格差 をつけ てお き,一 つを標準格付 し て逐 次他 の単 価 を算 出す る。(A品 を標準格 付)

A品精騨 価遁 墾 鍾 繋 品繕 櫃1×B品数量)

B品 精算単 価=A品 精 算単 価 一A品B品 格差

イ 点数評価 一 各等級銘柄 に予め点 数をつけ てお き,そ の一点 あた りの精 算単価 を 出す方 法。

精算単価一繍 講 羅 鐙 の合計)一ω

A品 精 算 単 価=(x)×10(注)A品 を10点 と し た 場 合 ウ 等 級 別 点 数 評 価

精算単価一等級別緻讃 騰 灘i旛 の翻

工 等 級別 または銘柄 別評価

精騨 価一 讐 羅 購 雛讐

次に上 記算 出諸方 法につ き卑見 を述 べ たい。当 てはめ る適例 と して北 海道 の著名 な る 農産物 た る小豆 を引用す る。北海道 の小豆 は地域 ・成育時 期等 の諸条件 か ら冷霜害 を受 け 易 く,ま た温 度 の差 少 なか らざる北海道 内の各成育地,ま た山岳地物 と平野成 育物 な どの差が あ って,霜 害 とい って も,受 け ず に済 む物 と比較 的軽度 の もの と重症物 との差 が生 じ,こ こに一等 品,二 等品 の平年,豊 年 時の外に,三 等,四 等,五 等品 と生 じ来 る ので あ る。 これ ら各等 品 の価格,単 価決定 が問題 とな らない年 はほ とん どないが,今 こ の事実 を資料 として上記 算 出方 法に当 てはめて考 えるのは決 して妥 当性 を欠 くものでは ない。上 記諸方 法中のA品 ・B品 を ここで二等 品 と三等 品 とに お きかえ て考 え.論 ず る

(18)

一88一 商 学 討 究 第20巻 第3号

のが実感 を呼び起す こ とにな る と思 うのでか くす ることにす る。 まず,格 差 の決定は, 不作,凶 作 の場合,商 品 自体 の格差 よ りもむ しろ商品 市況 に著大 に影 響 され,凶 作時 に は特 に商品市況は不安 定 とな る傾向 を持 つ もので あ るか ら,か か る場 合に は アの単価 の 出 し方 は公正 さを欠 くものにな り易 い ことを指摘せ ざるを得 ない。豊 作 の場 合には余 り 問題 は生 じない。 イの方法 について も概 して同 じことがいえ るが,欠 陥 のあ らわれ るの がやや 少 ない よ うに思 う。 ウの方法はや は り各等級 の点数 のつけ方 に問題 があ るが,こ れが科学 的に行 なわれ る よ うになれ ば一応無 難な方法 とい え よ う。エ の方法 は最 も無難

な方法 で ある と思 うが,反 面市況に反 応 で きない欠点 を持 つ。逆 にいえば余 り相場 の変 動 な き農 産物 につ いては最 も公正 を期 し得 られ る単価算 出が で きるよ うに思 う。 アイ ウ エ の四 方法 は 一応順 に 市場性強 きものか ら 弱 い ものえ の適応 した 算 出方法 ,別 言すれ ば,ア イ ウエ の順 に 市場 相場 の 影響強 き ものに 適 した ものの 順 にな ってい るといえ よ

う。北海 道 をは じめ とす る我 国の小豆 は価格 決定に市況 の影響 きわ めて強 い もので あ る か ら,上 か ら順 に適 して い るとい うことがいえ る。 しか し,農 産物 の中 には米 の よ うに 市況 の影 響が まった くといって よいほ どない重要産物 もあ り,市 況 の影 響 を受 くる度合 は さまざ まで あ り,従 って結局 は,商 品 に よって方法 を選択 すべ き問題 とい うこ とに な る。 この問題は農業協 同組 合組織 の充実発展 に よる農業 の振興 を計 る見 地 に立 てぽ最 も 重要 な研究課題 の一つ であ る。

(2)加 工事業 におけ る原 価算定 の問題点

組 合員か ら農 産物原 料 を受け入れ て製造 し.製 品 を販 売 した代金か ら,組 合の手数料 と加工 に要 した費用 を控 除 して,原 料 の精算額 を決定 して支払 う販売 向受託加工 の事 業 を農 業協 同組 合で営む ものが少 な くないが,こ の加工 方式 に よる と,製 造原価 のなかで もっ とも重 要 な原料費 が,受 託 品のため,製 品を販 売 して諸経費 を控除 した結果組 合員 えの精算金 と しては じめて確定 す るため,長 期 間にわ たって製造原価管 理が で きない欠 点があ るため,こ の欠 点を除去 す るため,「 受託原材料 費勘定」 を設け,原 料 の受け 入 れ と同時 にあ らか じめ 決定 しておいた概算単価(こ れ を仕訳基 準価格 と称す る)で,こ の勘 定 と 「受託原 材料未払 金勘定 」 で振替仕訳 をす る ことに よって,精 算 までの原価管 理 を行 なお うとす る考 え方 があ る。 この考 え方 に よる処理方式 に問題が あ るが,そ れ を 論 ず るため の段階 として この考え方 に よる加工 の精算 までの,各 勘定 の関連 を示 せば次 の とお りであ る。

(19)

協 同組 合簿記 の若 干の問題点(古 賀) 一89一

受 託 原 材 料 費

①250,000250,000一

加 工 労 務 費

①20,00020,000r

加 工 経 費

①2,0002,000‑一 一一

加 工 原 材 料 費

①10,00010,000r

製 造 勘 定 製品販売原価

→受託原材料費

250,000

→加工原材料費

②⊥ 加工労讃 …

20.000

→加 工 経 費

2,000

‑(受 託原 材料費)

118,000

̲里4㍗0001

⑥ 製 品 販 売 高

450,000←1

受託原材料未払金

一368 ,000

250,000① 118,000←

普 通 貯 金

368,000←

(注)各 勘定 の中 の数字 は次 の とお りであ る。

¢ は発 生のつ ど記入 した金額 。

② は各 費用 を製造 勘定 に振 り替 え る仕訳。

③ は,製 品販売 高 と製造勘定 との合計額 を対比 して,組 合員の受託原 材料 の精算 金 に余裕 があ る場 合,そ の追 加 の記入 であ る。

④ は製造勘定 の合計額 を製品販 売原価勘定 への振替 。

⑤ は,受 託原材料代 金 を貯金振 替で精算す る仕 訳 であ り,こ れを もって完了す る ことにな る。

⑥ の対比 か ら販売利益 が計算 され る。

上記勘定 関連 図 と注 とを見 れば(注)② の場合

(借)製 造 勘 定282,000

㈹{羅

250,00010,000

20,000 2,000

の仕訳 とな るが,③ の場 合,製 造勘定 合計 と製品販 売高合計 を対比 し,組 合 員の受託原 材 料 の精 算 金 に 余 裕 が あ るの を 見 て 受 託 原 材 料 を単 な る会 計 技 巧 と して追 加 す る所 に問 題 があ る。 これ を原価 計算上 の予定原価 と実際原価 との差 と考 え るのは この差 の認容限 界 をい ささか逸脱 す る ことにな るであろ う。仕訳 に よって示せば,製 造勘定 合計 と製品 販 売高合計 を対比 し,組 合手 数料分 を控 除 した差額 も,受 託原材料精 算金 の追加 と して

受託原材料未払 金 に加算 す る場合,

(20)

一90一

商 学 討 究 第20巻 第3号

(借)製 造 勘 定118,000(貸)受 託原材料 未払金118,000 とな り,④ に よって,

(借)製 品 販 売 原 価400,㎜(貸)製 造 勘 定400,000 の仕訳 とな る。

一・体 ,販 売高 の確 定が あ って後 にそ の費用 を確定 す る とい うことは学 理上 も実 務上 も 根拠 のあ る ことではあ るが,純 乎 た る営利 企業 体で な く組 合員 の福利 増進 を本来 の使命

とす る協 同組 合の 処理方 式 として 考 え る ときに 首肯 しか ね る ものがあ る。 卑見 に よれ ば,こ の よ うな社会的使 命を持 つ協 同組合 は,収 益 の確定 を まって費用 を確定す る処理 手続 は原 則 として採 るべ きでな く,あ くまで数字 に よって真実 の展開 を表示 す ることを 建 前 とす べ き ものだ と思 う。上 記 例に よって も組 合員 の受託原材 料 の精 算金に余裕 あ る のを見 て製造原 価 引いては販売原価 を単 な る会計操 作 に よって人 為的 に増やす ことに よ って販売益 を少 な くす る ことは組合,引 い ては組 合員 に も租税 の面 な どに得 をす る こと に もなろ うが,こ うい うこ とは何等 か別 の工夫 に よってすべ きであ ろ う。収益 と費用 と の算出は企業会 計 の生命 であ り,こ れ ら企業 の結成 してい る組合 は,相 互 の福利 増進 の ためには多少共長期 的展望 に立 ち,損 益 計算 も真実 の数字 を常 に出 し合 うことに よって 企業 また,そ の所属 す る組合 の合理化へ切磋琢 磨 をす るこ とに よって,組 合員 お よび組 合 の利益 増進 を計 る立場 に立 って こそそ の本来 の 目的達成 が可能 ではないで あろ うか。

デ ンマ ークの協 同組 合 の発展 の歴 史は この ことを暗示す る ものが あ る。商略的考 えに よ って勘定 記入額 に影響を及ぼす ことは少 な くと も協 同組 合 の会計理念 としては正 し くな い。 ただイ ンフ レ経済 下で貨幣価 値の変動激甚 の場合 には必 要悪 として認容すべ きだ と 思 うが,こ の場合 は,時 価 に よる損益 計算 の勘定 は別 口として,本 来 の もの と相並 んで 二 重二様 の勘定を持 って,誤 解 を防 止すべ きもの と考 え る。販 売向受託加工 の経理上 の 上述 の隆路 は,原 材料 を受け入れ るとき確 定 した価 格で仕切 り精 算 し,'組 合の責任 にお いて製造 し 販売す る加工,即 ち仕 切制買取加工 に おいて 打開 され る。 これ は瓶 詰 ・缶 詰 ・畜 産加工 ・醤油醸造 な どに適 した方式 の よ うであ る。

六,結 語一 今 後 の農 協 簿 記 の 問題

稿尾掲 記の諸 資料 に より農業協 同組合 を中心 と した協 同組 合 の簿記 の特色 を明 らかに し,そ の問題点 とな るべ き箇所 を提起 し,卑 見 を加 え る叙述 の展開 を試 みたが,不 徹 底 性 を痛感 す る次第 で,本 論 におけ る諸論点 の体系的結論 は さ らに論 点の充実 を計 った後

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協同組合簿記の若干の問題点(古 賀) 一91一

の機会 にゆず り,こ こで はむ しろ上 記諸 資料に基づ き,こ れか らの農協 簿記 のあ り方を 考 え,卑 見 を述べ て結び と致 したい。

約1世 紀 にお よぶ 協 同組 合の歴 史 を持 つ協同組合主 義の先進 国 デ ンマー クは,終 始 一 貫 農民 の盛 り上 る 意思 に よ り,何 等 官憲 の介入,法 の規制 に よる ことな く,発 展 し来 り,当 然 に組 合は,企 業 的意欲 に燃 えて,運 営 され,世 界 に誇 り得 る実績 を挙 げた。わ が国 の農業牧畜業 の振興 に同国 の この歴 史を鑑 にすべ き こと多 きこ とを考 え,わ が国 の 農 協の簿記 は,企 業簿記 に よ らなければ な らない と思料 す るのであ るが,本 論 の部で述 べ た よ うに,組 合 の業種 は雑多 で,こ れ ら業種 に適用 さるべ き簿記 の種類 を一 覧表 的 に 示 す と次 の とお りであ る。

信用事業 … …銀行簿記 。 共 済事 業 ……保険 簿記。 購 買事業 お よび販売事業 … …商業 簿記 。 加工 ・製造事業 ……工業簿記 。 農業倉 庫 ・利用事業 ・厚生事業 ・運送事業 …

…サ ー ビス会計。 指導事業 ……予算 会計(官 庁簿記)

わ が国では規模 の比較的大 きな農協一 か な りの数 に上 る一 では上 記諸事業 を併せ 行 な ってい るので,各 事業部 門ではそ の業種 に応 じて上記 各簿記 を と り行 なわね ぽな ら ない のであ るが,よ く行 なわれ てい るか ど うか,大 いに疑 問 の節(ふ し)が あ る。 しか

し,学 問上,理 論上 は,か く行 なわれねば な らない に もかかわ らず,わ が国 で農協 の簿 記会 計に関す る文献 で,こ の問題 の徹底的 解決を示 した文献 は見 当 らない よ うであ る。

従 って上 掲 の各業種 を併有す る ところの組 合が各事業部 門別 の損益 計算 をすべ きことを 説 き,各 部門 の合併の大綱的 な決算報告書類 の様式 を示 す に とどま り,合 併精算 の手続 処理 につい ての細かい解 説指導 は皆無 の よ うで あ る。ただ,企 業 簿記法 に よ り,い わゆ る企 業簿記 の原理 に則 った大綱 図 な処理 だけ示 してい るのが一般 であ る。それ で十 分 で はないか との説を成す者 は農 協全般 の問題,農 協簿記 の問題 を学 問的 に考 えてい る人 で はない であろ う。 この事柄 は農協簿記 の基本問題 の一つ とい うべ きで あろ う。 この問題 は,デ ンマー クで発展 を見 た よ うに,こ れ らの業種 が細分 化 して一 た とえば,同 国 で の チーズ輸 出組合 とか 飼料購入組 合一 い くことに よって概ね 解決を見 る性 質 の事柄 と 思 わ れ る。 とは い え,そ の た め に農 協 簿 記 上 の 問題 と して研 究 を進 め るべ き価 値 が 失 な われ るべ きものでは ない。 デ ンマー クの よ うに細分 化 してい った場合 には,保 険簿記, サ ー ヴィス会計等 の導 入を充実,強 化 してい くべ きで あろ う。

参考文献:播 久夫著 「協同組合協業組合等の経理」 星三男著 「(改訂版)農 協簿

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一92一 商 学 討 究 第20巻 第3号

記入門」 星三男著 「農協簿記」 伏見章著 「非営利法人の複式簿記」 田中義 英著 「複式農業簿記」 同 「農業会計学」 西村博行著 「農業会計一 史的展望 と現況」 伊藤勇夫著 「現代 日本協同組合論」 国 際 農 友 会 編 「デンマーク農 業」

参照

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