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経済開発理論の一反省ぐ ラ

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(1)

経 済 開 発 理 論 の 一 反 省

ぐ ラ

ーBaVer・Yamey「 低 開 発 国 の 経 済 学 」 一

麻 田 四 郎

1は し が き

い わ ゆ る後進 国開 発 理論 に つい て,す で に 多数 の文 献 が発 表 され て い るが, 論 者 に よ り問題 の アプ ロー チが 違 い,ま た広 い 範囲 に わ た る意 見 の相 違 が み ら れ る。 ミュル ダ ール は あ る個 所 で 「それ ぞれ の 研 究 者 がい ろい ろ違 つ た方 法 で

同時 的 に 聞 題 に 組 取 むの は,科 学 知 識 の 均 衡 成長 め ため に喜 ば レい こ とで あ

● ■ ● ● く う

る」(筆 者傍点)と い つ て い るが,と もあれ,後 進 国 開 発 理 論 全 般 に わ た る反 省 が な され て しか るべ き時 期 に きて い る と思 わ れ る。

くの

筆 者 は さ きに,わ が 国 で ひ ろ く知 られ て い る ヌル ク セの 後 進 国 理 論 に つ い て

ピの

若 干 の 反 省 を試 み た 小 論 で,今 後 の 実 証 研 究 の 必 要 性 を感 じ,後 進 諸 国 の 現 実 ● に つ い て の 実 感 的 知 識 が,こ の 分 野 の 意 見 の 不 統 一 を少 くす るで あ ろ う こ と を 示 唆 して お い た 。 以 下 本 稿 で 紹 介 し よ う と るす バ ゥア ー ・ヤ ー ミー 共 著 「低 開

発 国 の 経 済 学 」 は,そ れ が 権 威 あ るTheCambridgeEconomicHandbooks

の 一 冊 で あ るか ら とい う よ りは,む しろ,著 者 達 の 現 実 体 験 に 裏 付 け され た後 進 国 開 発 理 論 に対 す る反 省 の 書 物 で あ る点 で,特 に 筆 者 の 興 味 を惹 い た の で あ

る。

本 書 は決 して新 しい理 論 模 型 を提 供 しよ うとす る積 極 的 研 究 で ない 。 む しろ

(1)P.T.BauerandB,S.Yamer.TheEcenomicsげUnder‑develoρe4

Countries.TheCambridgeEconomicHandbooks.(London.Caml)ridge U.P.1957)pp.xiii十271,

(2)G.Myrdal.EconomicTheorγand'Underdevelope4Regions.(London.

GeraldDuckworth.1957)p.v.

(3)R.Nurkse.ProblemsげCapitalFornzationinUnderdeveloρedCount.

rεθ5.(Oxford。1953)

(4)拙 稿 「経 済 開 発 理 論 ノ ー ト.一 一・R・ ヌ ル ク セ の 所 説 を 申 心 と し て 一 」.商 学 討

究,第 七 巻,第 二 ・ 三 合 併 号.

(2)

後 進 諸 国 の 多岐 多様 に わ た る経 済 的特 徴 の 若干 を明 らか に して,従 来 の後 進 国 理 論 に お け るsweepinggeneralisationsに 反 省 を求 め るとい う消 極 的研 究 で あ

る。 ま た その議 論 も経 済理 論 の枠 内に止 ま り,徒 らに議 論 を宙 に飛 ば さない 注 意 が払 われ て い る。後 進 国の現 実 に 多 くの知 識 を もたぬ われ われ に とつ て,著 者 達 の意 見 に俄 かに賛 否 を表 明 す る必要 は ない が,本 書 の議 論 か ら多 くの反 省

すべ き問題 が与 え られ るで あろ う。以 下 で は,原 書 の 内容 を,筆 者 の好 み に よ つ て取捨 選 択 しな が ら,テ ー マ毎 に統 合 して紹 介 す る。 本稿 と原書 との対 応 は 脚 註 に示 す が,原 書 の 章別 は次 の通 りで あ る。

第 一一編 叙 述 と分 析

第 一 章 経 済 学 の低 開 発 国 へ の妥 当 性 。 第 二 章 経 済 計 測 の 若干 問 題:国 民 所得 と資 本 。第 三 章 経 済 計 測 の 若干 問 題:労 働 とそ の配 分 。 第 四 章

自然 資源 。第 五 章 人 的資 源:人 口,制 度 。 第 六 章 人 的 資 源:失 業 と不

完 全 雇用 。第 七 章 人 的 資 源:報 酬,欲 望,労 苦 。 第八 章 人 的 資 源:企 業 者 職能 。 第 九 章 資 本:水 準 と利用 。 第十 章 資 本 と経 済発 展 。 第 二 篇 政府 と経 済 発展

第十一章 政府 の役割の一般 的評価。第十二 章 政府 の職能。 第十三 章 促進 され た資本形成。 第十 四章 農業 に関 す る若干 の特 殊政策 第十五 章 工業 に関す る若干 の特殊政 策。

2計 測 上 の 諸 問 題

後 進 国関 係 の統 計資 料 に つい て注 意 す べ き点 が 多い こ とか ら始 め よ う。統 計

資 料 の有 無 に っい ては 不 問 とす るが,計 測 上 の概 念 規定 ・実 際的統 計操 作 が ・

え られ る統 計数 値 に 大 きな影 響 を もつ こ とが 留意 され ね ば な らぬ。 ま た後 進 国

経 済 に とつ て重 要 な意 義 を もち な が ら も,技 術 上 の理 由 か ら統 計面 に表 われ な

い 現 地 の特 殊 事 情 の 存 在 も考慮 に 入れ られ ね ば な らない 。 これ らの点 に つい て

の適 当 な配 慮 な くして,既 存統 計資 料 か ら後 進 国 を眺 め るな らば,往 々,そ の

理 解 は誤 謬 に 陥 る危 険 を もつ 。 この事 情 を国 民 所 得 ・資 本形 成 ・労 働 統 計 の 各

面 に つい て の べ よ う。

(3)

くらラ

(イ)国 民所 得 統 計 に つい て 。

国民 所 得 計算 に お け る概 念 規 定 の 問題(た とえ ば,計 上 す べ き項 目 と計上 し ない 項 目の区 別,自 家消 費 の 取扱 い,最 終 生産 物 と中 間生産 物 の区 別,政 府 サ ー ビスの 取扱 い 等)は,な に も後 進 国に の み 限 られ た問題 で は ない けれ ど も, 後 進 国 で特 に重 要 とな る。概 し て,後 進 国 は 交換 経 済 セ クター が 小 さ く・ 自給

自足 セ ク タ ーが大 きい 。 ま た家 計単 位 も大 家族制 が 多い 。 そ こで先 進 国 の慣 例 に まつ て 国民所 得 計 算 をな す こ とを許 さぬ 多 くの 事情 が あ る。 た とえ ば,西 ア フ リカで 婦 人の 家族 に対 す るサ ー ビス提 供 は し ば し ば対価 支 払 を要求 す る。 ま た同一 家計 内 の み な らず 家 計外 で も,単 な る所 得 移 転 とサ ー ビ スに対 す る対 価 支 払 との 区 別 が困 難 な取 引 が 多い 。 イ ン ドに み られ るよ うに,乞 食 も一 つの職 業 とみ な さ るべ き例 もあ る。 自給 セ クタ ーの比 率 が大 きい 後 進 国 に つい て,非 交 換 経 済取 引 を国 民所 得 計算 か ら除 くこ とは,現 状 を歪 曲 す るこ とに な ろ う。

とい つ て,非 交 換経 済 取 引 を計上 す るこ と も実 際 に 困 難 で あ る。 自給生 産 項 目 (売 とえ ば農 家 自家消 費)を 計 上 す るに して も,評 価 価 格 を どこに求 め た らよ い か が問題 とな ろ う。 庭先 価 格 と消 費 市場 価 格 の 差 は非常 に大 きい し(集 荷販 売 組織 の不 備 に よ る),価 格 の季節 変動 も大 きい か らで あ る。 それ故,国 民 所 得 の 国 際比 較 は極 め て困 難 で あ る。 ま た,後 進 国 の 国民 所得 成 長 率 が 過 大評 価 され て はい ない か と疑 つて み る必 要 もあ ろ う。 けだ し,経 済発 展 に伴 い,自 給 生 産項 目が 市場 交換 に もち込 れ るこ とに な り,そ れ が 国 民所 得 を表 面 的 に増 大

させ る可能 性 を もつ て い るか らで あ る。

この よ うな弱 点 が あ るこ とは,決 し て後 進 国の 所 得統 計 が無 意 味 だ とい うこ とで は ない 。 ただ統 計 の 解 釈 に あた つ て,数 字 の物 語 る ところの 限界 を わ きま え,実 際 の観 察 に基 く修正 を加 え て,は ち め て正 しい 解釈 へ 近 づ くこ とが で き

るので あ る。

くの

(ロ)資 本 形 成 の 測定 に つい て。

資 本形 成 測 定 上 の 困 難 は,先 進 国統 計 に おい て も充分 い い う る こ とで あ る が,後 進 国 に おい て ド それ が… 層 増 大 す るこ とはい うまで もない 。次 に後 進 国

(5)Bauer&Yamey.qp.ciち.Ch.2.Sec.1.

(6)Bauer&Yamey.iろid.,Ch.2,Secs.2.3.

(4)

で特 有 に み られ る若 干 の 問 題点 を指 摘 す る。

ま つ消 費 支 出 か 資本 支 出 かの 決 定 し に くい項 目が 多い 。先 進 国 で は 家庭用 耐 久 財 へ の 支 出 は消 費 支 出 とみ な され るが,後 進 国で は必 ず し も同 じ処 理 を許 さ

な い 。 自転 車 が タ クシ ー代 用 や貨 物 運 搬 に使 わ れ る例 は も とよ り,一 一 部 の衣 類 装 身 具 は非 常用 備 蓄 ま た は一 種 の 貯 蓄 として購 入 され,金 融 組織 の整 つ た先 進 国 で は み られ ない 経 済 的職 能 を果 すの で あ る。 また,当 然,資 本 とみ な され る べ き項 目で す ら,そ うす る こ とが正 し くない 事情 もあ る。 その著 例 は家 畜で あ

る。 多 くの後 進 国 で,家 畜 は重 要 な資 本 内容 で あ るが,あ る後 進 国で は,家 畜 は社 会 的 権 勢 の具 とし て ま た は宗 教 的 崇 敬 の対 象 とし て飼 わ れ てい る。 それ は もはや将 来 の 生 産 力 として,貢 献 す るとい う資 本 本 来 の 目的 か ら離 れ,逆 に マ イナスの 生 産 力 と取扱 わ れ ば な らない の で あ る。

既 存 統 計 で,後 進 国 の 農 業投 資 が 往 々に無 視 され 易い 点 が,次 に注 意 され ね ば な らない 。 多数 の小 規 模 農 業 に お い て,農 地 の改 良 拡 張 の た めに,個 々の 農 民 に よつ て,多 大 の 経 済 的労 苦 が 払 わ れ てい る。 そ れ は,個 々 として は微 小 で あ るが,総 計 として は決 して無 視 し え ぬ規 模 を もつて い る。 これ を無 視 す るこ

とは後 進 国 の投 資 活 動 を不 当 に過 小 評 価 す るこ とに な り,ひ い て は,後 進 国 住 民 は長 期 的 観点 に 立 つ て 自己 の 経 済活 動 を律 す る能 力 に欠 け てい る とい つ た誤 つ た観 念 を与 え や すい の で あ る。 農 民個 人 に よ る農 業投 資 が,資 本 に 関 す る統 計 で 無 視 され や す い理 由 とし て,そ の 資料 が技 術 的 に極 め て集 め に くい こ とが 考 え られ るが,そ れ とは別 に,農 業投 資 を軽 視 す る一般 的風 潮,即 ち,経 済発 展 た は工 業投 資 が重 要 な役 割 を もつの だ とい う観 念 が あ る よ うに思 う。 この点 に っ い て は後 に論 ず る。 と もあれ,後 進 国 の資 本形 成 に 関 す る多 くの統 計 は, 現 実 を物 語 るに極 め て不 充分 か つ表 面 的 な もの と疑 つ て み な けれ ば な らない 。

まtc,そ れ を利用 して 導 か れ る後 進 国 の資 本1所 得 の比 率 は,事 実 よ りか な り 過 小 とな る傾 向 が あ る とみ た方 が 安全 で あ る。

くわ

(ハ)労 働 統 計 に つ い て 。

後 進 国 に つ い て,一 般 的 に コ ー リン ・ ク ラ ー クの 分 類 を 用 い,第 一 次 産 業

(7)Bauer&Yamey.op。cit.,Ch.3.

(5)

(農 ・林 ・水 産)に 多数 の 雇 用 が 集 ま り,第 二 次 産 業(工 ・鉱)な い し 第 三 次 産 業(商 ・運 輸 ・サ ー ビス)の 雇 用 は比 較 的 小 で あ る と され て い る。 この 一 般 化 に つ い て も反 省 す べ き点 が 多 い 。

先 づ,雇 用 労 働 力 それ 自体 を 明 確 に 定 義 す る こ とが 容 易 で な い 。 労 働 需 要

(特 に農 業労 働)の 季 節 的変 動 は激 し く,ま た 家族労 働 の 占 め る比 重 は大 で あ る。従 つ て,た とえ ば農 閑期 に み られ る労 働 力 の失 業 状態 も,そ れ が労 働 供 給 力 維 持 の一 形 態 で あ るこ とが 多い た め,一 概 に それ を生 産 力 に貢 献 し ない 生 産 資 源 の 遊休 状 態 とみ な す わ けに はゆ か な い ので あ る。

ま た,後 進 国 で は労 働 の職 業 間 の 移動 が比 較 的 に 自由で あ り,特 定 の 雇 用 労 働 を特 定 の 職 業(産 業)に 分 類 す る こ とが し ば し ば無 理 で あ る。農 民 とい え ど

も,相 当程 度 の 運 輸 ・商 業 活動 に従 事 す る。 西 ア フ リカにみ られ るよ うに,現 地 人 医師 ・ 法 律 家 は殆 ど商 業 活 動 に も従事 し,そ の収 益 も時 に は 巨額 に の ぼ る。

後 進 国 の経 済 活 動 は,生 産 要 素 が特 定 の 業務 に專 従 す る とい うよ り,む し ろ, 多種 の業 務 を同 時 的 に兼 業 す る とい う形 で行 わ れ て い る。 この よ うな事 実 が配 慮 され ない で,い わ ゆ る農 民 を農 業 人 口 と簡単 に分類 す るな らば,第 一 次 ・二 次 ・三 次 産 業 とい つた産 業 別 労働 統 計 が,実 際 に労 働 が どの よ うな経 済 活動 に 従 事 し て い るか を示 す意 味 が失 われ る こ とに な る。

この よ うに,労 働 の産 業 別 分 類 が 明確 さを欠 く理 由 は,低 い 資本 ・技 術 水 準 市場 の狭 阻 等 に よ る職場 転換 の 容 易性 に あ るの で あ るか ら,経 済発 展 が進 み, 市 場 が 拡 大 整 備 され るに つれ て,労 働 の 職 場 転換 も少 くな り(移 動費 用 の 増 大),そ れ とと もに,産 業 別労 働 分 類 の意 味 も確 立 され て くるで あ ろ う。 それ 故,交 換経 済 の 未 発 達 の後 進 国に,ク ラー ク流 の産 業分 類 を適 用 す るこ とは必 ず し も妥 当で は ない とい わ ね ば な らない 。 従 つて,ま た,そ の 国 際比 較 も困 難 で あ り,そ こか ら第二 次 ・第 三次 産 業 へ の 雇用 転 換 が経 済発 展 への 道 で あ る と 結 論 す るこ と も危 険 で あ る。 た とえ ば,第 三 次 産 業 の拡 張 の た め,サ ー ビス 業

の拡 大 とい つ て も,そ れ が後 進 国で 大 きな 割 合 を占て い る家 庭サ ー ビス の増 大

で あ つて は,後 進 国生 産 力 増 大 とは な らな い ので あ る。

(6)

ビの

3生 産 資 源 の概 念:自 然 資源

後 進 国 の経 済 発展 の 可 能性 に つい て,し ば し ば生 産 資 源 の 多寡 が 重要 な影 響 を もつ と考 え られ てい る。 これ は常識 的で 簡 単 に納得 され や す い 。 し か し,生 産 資 源 と経 済発 展 との関 係 は,一 見 す るほ ど単純 で はな い 。

あ る生 産 資 源 が生 産 活 動 に使 用 され う るた め に は,そ の資 源 が利用 可能 で あ る と共 に,そ れ と協 同 し て用 い られ る他の 補 完 的 資 源(生 産 要 素)も 同 時 に利 用 可能 で な けれ ば な らない 。 また その結 果,生 産 され た生 産 物 に対 して充 分 な 市 場(需 要)が な けれ ば な らない 。 あ る生産 資 源 が 経 済的 生 産 資 源 とし て意 味 を もつた め に は,他 の生 産 諸 資 源 と市 場 条件 が整 つ てい な けれ ば な らない の で あ る。 それ ばか りで な く,生 産 資 源(資 本 ・土 地 ・労 働 ・その 他)の 生 産 力 は 技 術 。生 産 組 織 ・政 治 的 ・社 会 的 組織 に よつ て も大 き く影 響 され る。 従 つ て ・ これ らの 関係 に留意 し ない で ・特 定 資源 の み を独 立 的 に取 上 げ る こ とは,往 々 誤 つ た分 析 に陥 る。

この こ とは,方 法 論的 に,後 進 国 の生 産 資 源 を分 析 す るつ に い て は,い わ ゆ る部 分 均衡 分 析 が不 適 当 で あ るこ とを意 味 す る。 部分 均 衡 分 析 自体 が誤 つた 分 析方 法 で あ る とい うので はな く,後 進 国 で は生 産 資 源 相互 の 関係 が特 に密 接で あ るた めに,部 分均 衡 論 的 に それ を不変 と仮 定 す るの が妥 当で ない か らで あ る。

以下 本節 で は この 点 を 自然 資 源 に つい て 考察 す る。 人的 資 源 ・資本 に つい て は次 節 以下 で 論 ず る。

後 進 国 の あ る地 に み られ るよ うに,極 めて 不 利 な 自然環 境(た とえ ば砂 漠 の 如 く)が 経 済発 展 の 大 きな障 害 とな つてい るこ とは否定 しえ ない 。 し か し,後 進 国の お くれ た 経 済水 準 が不 利 な 自然環 境 の 結 果 で あ る と簡 単 にい つ て は な ら

ない 。先 進 国 とい わ れ る諸 国 も現 在 か らみ れ ば後 進 国水 準 とい わ れ る低 い 経 済 水 準 か ら発 展 し,し か も,比 較 的 短期 間 に発 展 した の で あ る。 それ故,自 然 資 源 の 多寡 が経 済 発 展 の決 定因 で あ る とみ るの は速 断 で あ り,ま し て,自 然 資 源 の不 足 が資本 形 成 を阻 み,貧 困 の 悪 循環 を生 じて い ると考 え るの は行 過 ぎ とい わ ざ るをえ ない 。 ア メ リカ合 衆 国の 豊 富 な資 源 も数 世紀 に わ た つて無 為 に放 置

(8)Bauer&Yamey.op.cit。,Ch.4.

(7)

され ・ それ が経 済 的 に有利 に開 発 され るた め に,補 完 的生 産要 素 た る資 本,生 産技 術 その 他の 利 用 が 可能 とな るの をまた な けれ ば な らな か つ た ので あ る。自 然 資 源 が経 済 的意 義 を もつた め に は,補 完 的生 産 要 素 の 利 用 可能 性accessabi.

1ityが 必 要 で あ る。

経 済 発 展 に この補 完 的 生 産要 素 が 大 きな役 割 を演 じた こ との 興 味 あ る一 例 を あ げ よ う。

19世 紀 末 まで の生 ゴム世界 総 供給 量 は年 々数 千 トンに す ぎず,そ の総 て が南 米 諸 国 か ら供給 され てい た。20世 紀 に 入 り,自 動 車 産 業 とゴ ム技 術 の進 歩 に伴 つ て,ゴ ムの 世 界需 要 は飛 躍 的 に増 加 した が,そ の 結果 生 ゴ ムの供 給 源 は東南 アジ ア諸 国 に移 り,南 米 の ゴム供 給 は,価 格 騰 貴 にか か わ らず減 少 し た の で あ る。 この 事 実 を満足 に説 明 す るた め に は,資 源 の 利 用 可能 性 を考 慮 し な けれ ば な らない 。 す なわ ち,東 南 ア ジ ア諸 国で は,そ の 当 時西 欧諸 国 か らの 資 本 導入 が 可能 で あ り(プ ラ ン テ ィシ.ン の発 展),ま た現 地 人 の豊 富 な 労 働 力 を利用 す るこ とがで きた の に対 し,南 米 で は労働 力 の 供給 源 を もた なか つ た か らで あ つた 。

この 観点 ぽ後 進 国の現 実理 解 に大 き く役 立 つ よ うに忠 われ る。 し ば し ば,土 地 や 鉱物 資 源 が未 利用 の ま ま放 置 され てい る現 象 が,先 進 国 か らの 調査 団 を困 惑 させ た 。彼 らに とつ て は,後 進 国 は資 源 不足 の 国で あ るはず だ か ら,本 来 的 に,そ の よ うな遊休 資 源 の 存 在 は期 待 し難 い もの で あ る。 そ こで,お そ ら くそ あ 理 由 は,行 政 上 の 不手 際 に よ る もので あ ろ う と結 論 す る こ とが 多か つ た ので

あ る。 し か し,多 くの 場合,真 の理 由 は純 経 済 的で あ る。遊 休 資 源 を利用 す る た めに 不 可欠 な補完 的資 源 の欠 除 に よ るの で あ る。 一例 を と ろ う。 こ こに技 術 的 に肥 沃 で 耕 作 可能 地 が あ る。 しか し その 開発 のた め に開 墾 ・灌 概 に資 本 設備 が必 要 で あ る。 ぐ の資 本 設備 は他 の経 済 活 動分 野 で 需 要 が 多 く,そ の価 格 も高 い 。従 つ て 開 発費 用 が高 くて採 算 が とれ な く,食 糧 不足 の 中 で 可耕 地 の 遊休 状 態 が続 くこ とに な る。 この 場 合,農 業 開 発 の促 進 は他経 済 活 動 分 野 の抑制 を意 味 す るの で あ る。未 利 用 資源 の存 在 は,多 くこの よ うな経 済 的理 由 に よ るの で

あ る。

(8)

4人 的 資 源

個 人 ・集 団 ・国 家 が もつ てい る諸 性 向が,経 済発 展 に 重 大 な影響 を もつ てい る こ とは,極 めて 明 か な事 実 で あ る。 しか し,こ の事 実 を包 括 的 に分 析 し説 明 す る こ とは決 して 容 易で は ない 。 お そ ら く丈 化 的 ・歴 史的 ・人 類学 的 ・生 物学 的 。地 理 学 的諸 側 面 に 関 す る包 括 的知 識 が要 求 され る。 これ まで 多 くの 経 済学 者 が,し ば しば この 点 に つい て立 言 し提 案 して きた が,そ れ が どれ 程有 敷 で あ つ た か は疑 問 で あ る。卒 颪 にい つ て,こ の種 の 問題 を取 扱 うに 適 当 な経 済 理 論 とい つた もの は ない の で あ る。 とはい え,経 済学 者 に全 然 発言 権 が ない わ けで は ない 。既 存 経 済 理 論 に基 い て,経 済 学者 が有 意 義 な発言 を し う る場 は あ る。

しか し,そ れ は限 られ た場 で あ るこ とを忘 れ て は な らない 。 以下 この 限 定 の 下 で,若 干 の 問題 点 を と りあ げ る。'

く ブ

イ)失 業 に つい て 。

後進 国経 済 の一 般 的 特 徴 として,数 量 的把 握 は困 難 で あ るが,不 熟 練労 働 の 広 範 囲 の失 業(又 は不完 全 雇 用)状 態 がみ られ る。 これ は先 進 国経 済 に み られ る失 業 とは明 らか に性 質 が違 う。後 者 は主 とし て有敷 需 要 の 不 足 に起 因 す るに 対 レ,前 者 は資 本 ・技 術 ・土 地 ・行 政 力 ・企業 家職 能 等 の補 完 的 生 産要 素 の 不 足 を主 要原 因 とし てい る。 前 者 をケ イ ンズ 的 失 業 とい うな らば,後 者 は古典 的 失 業classicalunemploymentと い い う る。 それ は農村 の 過 剰 人 口 とい う形 で あ らわれ,後 進 国の最 も重 要 な問題 の 一 つ とな つ てい る。後 進 国の 失 業 は,根.

本 的 に は,経 済 発展 その もの に よつ て解 決 され ねば な らない もの で あ るが,こ こで は後進 国失 業 の特 色 の 若 干 を指 摘 す るに止 め る。

先 づ,古 典 的 失 業 の社 会 的意 味 が経 済 発展 と共 に深 刻 化 す る傾 向 に あ る と う い 点 で あ る。経 済発 展 以前 に は,失 業 の 多 くは,自 給 生 産 セ クター内 部 に 吸収

され,扶 養 され て い る。 それ が 交換 経 済 の 発展,個 人 主 義 的 観念 の 増 大 と共 に,彼 らの 社 会的 基 盤 は弱 化 し,次 第 に 政 治的 社 会 的 緊張 の原 因 とな る傾 向 を

もつ 。 その失 業 者 の 教 育水 準 が高 い程 この傾 向 は強 ま るで あ ろ う。

次 に,失 業 を抱 え た後 進 国で は,不 熟 練労 働 の 賃 銀率 水 準 は当然 下 落 す る も

(9)Bauer&Yamey.Op.cit.,Ch。6.

(9)

の と期 待 され るので あ るが,実 際 に は仲 々 そ うで ない 。 その 理 由 は次 の通 りで あ る。 ま つ,逆 説 的 に み え るが,自 給 生 産 セ クタ ーの 余剰労 働 力 が賃 銀下 落 に 対 す る障害 とな る。 農村 の 家族 共 同体(し ば しば 大 家族 制 度 を と る)の 一 員 と して 扶養 され てい る余剰 労働 力 は,そ こで 保 障 され た水 準 以上 の 生 活 を可能 と す る賃金 水 準 で な けれ ば離農 し よ う とし ない か らで あ る。 一般 に ・後 進 国の 家 族制 度 は,一 種 の社 会保 障 の 役 割 を果 す が,そ の 反面,失 業の 培養 基 盤 に もな るの で あ る。 ま た,賃 金 引 下 阻止 の 要 因 は労 働 需 要 側 に もあ る。 行 政機 関 ・一 部 の 大 企 業 ・外 国 商社 は,社 会 的 体 裁 や雇 用 者 とし ての 良心 か ら,あ ま り抵 い 賃金 を与 え ない こ とが あ る。 そ の場 合,こ れ が 一 つの社 会 的 標 準 とな り・ それ 以 下 の 賃金 は,社 会 的 に労働 搾 取 と受取 られ や す くな る。 その 結 果,最 低 賃 金 制 ・労 働 組合 組織 の 有無 に 拘 らず あ る種 の最 低 賃金 水 準 が生 じ,そ れ が他 の 雇 用 面 の 賃 金下 落 を阻 げ る結 果 とな る。 この事 実 は後 進 国農 業労 働 に特 徴 的 な低 賃 金 の 現 実 とは,必 ず し も矛盾 し ない 。 農 業労 働 の 多 くは 家族労 働 と結 び つい て お り,労 働 の生 産 力 に基 い た賃 金契 約 に よ る交換 経 済 的賃 金 契 約 とは違 つた 次 元 に立 つ てい るか らで あ る。'

  リ

ロ)賃 金 ・価 格 変 化 と経 済活 動 水 準 に つい て 。

しば しば,後 進 国 の 住民 特 に農 民 の 賃金 や価 格 の変 動 に対 す る生 産 活動 の反 応 度 が小 さ く,そ れ が経 済発展 に対 す る障害 の一 つ とな つてい る とい われ る。

(た とえ ば,労 働 供 給 の価 格弾 力 性 が小 さ く,労 働 供給 曲線 は左 上 りの場 合 も あ る,と い うよ うに。)そ れ は,彼 等 の欲 望 体 系 が固 定 的で あつ て,必 ず し

も一 定 額 以 上 の貨 幣 購 買 力 を必 要 とし ない か らで あ る とい うの が,一 般 的 に与 え られ る説 明で あ る。 しか し この欲 望 固 定 性 の仮 定 に も反省 の必 要 が あ る。

確 か に欲 望 体 系 が固 定的 な こ と もあ るが,そ れ は 多 くは一 時 的現 象 で あ る。

後 進 諸 国の 消 費態 様 を綿 密 に調 べ るな らば,必 ず し もそれ が 持続 的 に固 定 的 な もの で あ る とはい え ない こ とが わか る。 一般 的 に,時 間の 経 過 と共 に欲 望 体 系 も変 化 し,価 格 変 化 に対 す る彼 らの反 応 度 も増大 す る とみ るの が正 しい 。事 実

彼 等 が,高 い 生 活水 準 の 外 国 人 に接 した り,ま た 市場 で入手 し う る種 々 の 商品 に 関 す る知 識 を与 え られ る と きは,そ の よ うな比 較 の対 象 の ない 時 に く らべ て

(1O)Bauer&Yamey.op.cit.,Ch.7.

(10)

容 易 に欲 望 体 系 に変化 をみ せ るの で あ る。従 つ て,交 換 経 済 の発 達 は,欲 望 体 系 の 変化 ・貨 幣購 買力 に対 す る欲 求 の増 大 ・自給 生産 セ ク ターの縮 小 ・市 場生 産 の 増 大 を通 じ,賃 金 率 を含 めた意 味 での 供 給 の価 格 弾 力性 を,一 般 的 に増 大 させ る と期 待 して よい の で あ る。 この点 を証 明 す る事 例 は 多い が,こ こで は省 略 す る。

以上 の推 論 は,直 ちに次 の反 論 を呼 ぶ か もしれ ない 。 即 ち,こ の 推 論 は,価 格 が後 進 国 住民 の 合理 的 経済 行 動 に とつて 有敷 な指 標 と して役 立 つ こ とを意 味 す るで あろ う。 しか し実 際 に それ を期 待 す るこ とは非 現 実 的 で あ る。な ぜ な ら ば,一 般 に,後 進 国 で は大 衆 の文 盲 ・商 業 上 の 不 道徳 ・交通 組織 の不 備 そ の他 に よ り,農民 その 他 は,市 場 情 報 を有敷 に利 用 しえ な い で あ ろ うか らで あ る,と 。 しか しこの見 解 は不 当 に悲 観 的 で あ る と思 われ る。卒 直 にい つて,各 経 済 主 体 は,多 くの制 約 を うけて はい るが,許 され る範囲 で最 も有 利 な機 会 を つか も

う とす る努 力 を してい るの で あ る。 一例 を あげ る。 サ イ プ ラス島 の ブ ドウ栽 培 農 民 は,各 種 ブ ドウ製 品 の価 格(ブ ドウ酒 醸 造業 者 の 原料 ブ ドウ購 入価 格,乾 ブ ドウ価 格,ブ ドウ酒価 格,ア ル コール価 格 等)に つい て 頗 る詳 しい 情 報 を も つ てい る。 それ ら価 格 の比 較 的 小 さな変 化 に対 して も,あ る時 に は アル コ ール 生 産者 とな り,ま た あ る時 は乾 ブ ドゥ生産 者 とな つて,彼 らの 生産 活 動 は敏 感 に 反応 してい る。 ア フ リカの 綿花,東 南 アジアの ゴム 栽 培 農 民 に つい て も,同 じ種 類 の事 例 が 多い 。 また,同 じ こ とは 需 要 者 として の 経 済活 動 に もみ られ

る。市 場 価 格 が需 要者 に も知 られ て お り,時 に は 子供 が価 格 変 動 を利用 し商 業 的 利益 を収 め るこ とす ら決 して 珍 し くない の で あ る。従 つ て,・一般 に後 進 国 住 民 とい え ど,与 え られ る経 済 的 可能 性 に は充分 な注 意 を払 つて 合理 的 な 行 動 を 行 つてい るの で あ り,決 して経 済 的刺 戟 に対 して 鈍感 で あ る とはい え な い の で あ る。

くコの コ

ハ)企 業 者 職 能 に つ い て 。

革 新 者 ・企 業 者innovator,entrepreneurの 経 済 発 展 に果 す 役 割 に つ い て は,過 去 の 歴 史 か ら明 らか な と こ ろ で あ る。 そ し て,後 進 国 の 企 業 者 に つ い て 述 べ るべ き こ と も多 い 。

(ll)Bauer&Yamey.op.cit.,Ch.8.

(11)

後 進 国 の現 実 として,企 業者 職能 の 発展 に とつて 多 くの 障 害 が あ る。 た とえ ば ・伝統 的 習慣 ・社 会 階級 ・低 い 資 本水 準 等 峠 ・ 新 しい 経 済 活動 分 野 を開拓 し

よ う と試 み る者 に とつて大 きな障 害 とな って い る。 しか し,こ れ らの障 害 を過 大 視 す るこ と も,ま た後 進 国 に企 業 家 精神 が欠 除 してい る とみ るの も不 当 で あ る。後 進 国 発展 の 一部 は,現 地 人 企 業 者 に よつて 実行 され て い る。彼 らは将 来 を配 慮 し,新 しい 観 念 を もつ て行 動 してい る。 そ の行 動 は,資 本 ・技 術 ・経 営 組織 の不 足 の た め小規 模 で あ るが,他 面,そ の行 動 を通 じて交換 経 済 セ ク ター

を拡 大 し,新 しい 観 念 を普 及 させ,そ して企 業者 活動 に対 す る社 会的 障害 を除 去 しつ つ あ るの で あ る。 この事 実 は,そ の活 動 が小規 模 で あ るた めに往 々無 視 され 易 い が,決 して軽視 され るべ きで ない 。 それ は新 しい経 済的 可能 性 を見 逃 す こ とな く経 済 発展 に利 用 す る彼 らの潜在 的能 力 を示 すの で あ る。

現 地 人 企 業 者 とは別 に,外 国人 に よ る企業者 職能 も充 分 に評価 され るべ きで あ る。 外来 企業 は後進 国 を世 界貿 易体 制 に包 み込 み,資 本技 術 を提 供 し ・同 時 に現 地 人 企 業 者 の 活動 分 野 を押 進 め る。 この 外来 企 業 の現 地 人 企業 活 動 に対 す る促 進 敷 果 は特 に強 調 され る必 要 が あ ろ う。 これ ま で は,内 外 企 業者 の対 立 関 係 が 多 くの論 者 の 注 意 を ひ き,ま た 外 国人 企 業 の資 本 形 成 や収 益 に対 して敵対

的偏 見 を もつた議 論 が 多い よ うに思 われ るか らで あ る。 内外 企業 者 の補 完 的活 動 が よ り多 く認 識 され ね ばな らない の で あ る。

先 進 国 か ら供給 され る企業 者職 能 に つい て 多 く語 る必 要 がな い が,後 進 国 よ り他 の徐 進 国へ の 企 業者 職 能 の 供 給 に つい て も・ 一層 の 認 識 が 必 要 と思 われ る。 た とえ ば ・東 南 ア ジ アに対 す る申 国人 移民,東 タ フ リカに対 す るイン ド人 移 民 が その 好例 で ・彼 らは その地 域 の経 済発 展 に対 して,技 術 の 導 入 。資 本 蓄 積 を通 じて,大 な る貢 献 をな した の で あ る。 そ れ に は次 の 二 つ の事 情 に よ る。

先 づ低 所得 水 準 か ら移 住 した彼 らは,移 住地 に おい て も低 い生 活 水 準 に 耐 え る

こ とが で き,そ の習 得 して い た技 術 を利用 して,低 収 益 の 経 済活 動 に も従 事 し

て ・交換経 済 の拡 大 に貢 献 した 。次 に ・彼 らは移 住者 として の社 会 的 地位 の 不

安 を カバ ーす るた め,財 産 を得 よ う と努 力 す る。 その た め貯蓄 性 向 は高 く初 め

に無 資 本 で移 住 した と して も,資 本 形成 に大 きな貢 献 をな す結 果 とな つ た の で

あ る。

(12)

5資 本 に 関す る諸 問 題

その計 測 に 関 して種 々の 問題 が あ るけれ ど も,一 般 的 に,後 進 国の 資 本水 準 が極 め て低 い こ とは承 認 され ね ばな らな い。 多 くの後 進 国 問題 に関 す る文 献 が 資 本形 成 に重 点 を置い てい るこ とは,け だ し当然 の こ とで あ るが,そ れ だ けに

また反 省 され るべ き問題 点 も多い 。

く  エ

イ)資 本 形 成 と経 済 発 展 に つ い て。

先 進 国 で は人 ロー 人 当 り資 本 量 が 高 く,後 進 国 の それ は低 い とい う事 実 か ら 資 本形 成 と経 済 発 展 を機械 的 に結 び つ けて,後 進 国経 済発 展 の 鍵 は大 規模 の資 本 形 成 に あ りとす る考 え方 が 多い が,こ れ は余 りに も単 純 化 しす ぎ る とい わ ざ

る をえ な い 。経 済 発 展 は,資 本 の量 的 。質 的変 化 ばか りでな く,都 市 人 口の増 大 ・技 術 者 の 増 加 ・大 衆 の欲 望体 系の 変 化 。新 しい 生活 理 念の発 展 等,経 済的

・社 会的 変動 を伴 う構 造 変 動 の 過程 で あ つて,単 純 に,資 本形 成 が行 われ るな らば 経 済発 展 は実 現 す るで あろ う と考 え るわ け に は ゆか ない 。事 実,経 済 的 。 社 会 的諸理 由 か ら,利 用 可 能 の 資本 設備 を利 用 しえ な い でい る後 進 国 の 事例 が

多 く存 在 す る。 経 済 発 展 は 資本 蓄 積 の 函数 で あ る とい うよ り,む しろ,資 本 は 経 済発 展 それ 自体 の 過程 で蓄 積 され る,と い つ た方 が真 理 に近 い の で あ る。

し ば しば,資 本/所 得 の 比 率(資 本 係数)が,経 済 発展 分 析 に有 敷 な 武器 で あ る と され てい るが,そ の有 敷 性 に つい て 疑 問 が あ る。先 に,投 資 額 や 国民所 得 の 計 趾 ヒの困 難 に つい て の べ た 。 その弱 点 を もつ資 料 を基礎 とす る盗 本係 数 の 信 頼 性 が 問 われ な けれ ば な らない が,そ の点 を 不 問 と して もまだ 疑 問 が残 る。一 概 に,資 本 量 ・資 本 蓄積 額 とい つ て も,そ れ は,具 体 的 に は,特 定 の 目 的 に応 じた特 定形 態 の資 本 設 備 と して存 在 してい るの で あ つ て,一 定 額 の資 本 設備 とい え ど も,そ の具 体 的形 態 の適 不 適 に よつ て,生 産 力 ひ・ い て は経 済 発展 へ の貢 献度 は大 き く違 つ て くる もの で あ る。従 つ て,資 本 総 額 を重視 して,そ の構 成 内 容 に殆 ど考 慮 を払 わ ない この分 析方 法 に,あ ま り有 敷 な結 果 を期 待 す

るこ とは で きな い の で あ る。

(12)Bauer&Yamey.op.cit.,Ch.ユ0.

(13)

貧 困 の悪 循環viciouscircleofpovertyと い うこ とが一 般 に論 ぜ られ てい る。 この主 張 に は,確 か に 真理 の 一 面 が あ るが ノ 同時 に これ も行 過 ぎの単純 化 で ない か と反 省 され る必 要 が あ る。貧 困 な るが故 に貯 蓄 が嗣 難 で あ る とい う 命 題 は,そ れ 自体 として正 しい が,そ れ を もつ て後 進 国 の低 い 資 本蓄 積 が説 明

で き る とは思 われ な い 。 その低 所得 水 準 に もか 、わ らず,後 進 国 に相 当 の投 資 '(特 に農 業投 資)が 行 われ てい るこ とは先 に のべ た

。 また,先 進 国 とい え ど, か つ て は現 在の 後 進 国程 度 の所 得 水 準 か ら急 速 な経 済 発展 をみ せ た こ と も,先 に のべ た通 りで あ る。 そ こで,資 本 蓄 積 の 多寡 をば,所 得 水 準 の 高低 に結 び つ

け るよ りも,む しろ,資 本 蓄積 を行 うに好 都 合 な 一 般環 境(経 済 的 ・社 会 的 ・ 政治 的)が あ つ たか ど うか で説 明 す るの が適 当 と思 われ る。 先 進 国 の経 済 発展

は,投 資 を行 うに有 利 な社 会環 境 が備 つ て い た か ら,低 所得 水 準 にか か わ らず 貯蓄 が 活濃 にな され,そ の 結 果 とし て の経 済発 展 に よつ て,一 層 の資 本蓄 積 が 促 進 され た と考 え,後 進 国 の場 合 に は,そ の環 境 に 恵 まれ てい ない(例 へ ば社

会 秩 序 の 不 完 全,政 治 的 不 安 定,金 融 組 織 の 不 備,土 地 制 度,家 族 制 度 そ の 他)

とみ るべ きで あ る。 確 か に,後 進 国 の 投 資 能 力 ま た は 潜 在 的 貯 蓄 能 力 は 軽 視 し て は な らな い 。 顕 著 な 例 と し て,宝 石 ・貴 金 属 や 土 地 が し ば し ば 貯 蓄 形 態 とし て 望 ま れ,そ の 金 額 も相 当 額 に な る こ とが 指 摘 され て い る。 そ れ らが 戦 争 内乱 の 如 き非 常 事 態 や,ま た 貨 幣 価 値 下 落 の 危 険 に対 し て 比 較 的 安 全 な 財 産 保 有 形 態 で あ る こ とが,そ の 選 好 の 主 な 理 由 で あ る。 そ の 他 多 くの 形 態 の 非 生 産 的 貯

蓄 が あ るが,こ れ らの 貯 蓄 源 が,投 資 活 動 に 有 利 な 社 会 環 境 の 発 展 に 伴 い,非 生 産 的 貯 蓄 か ら生 産 的 資 本 蓄 積 へ 転 化 す るで あ ろ う こ とは,充 分 期 待 し う るの で あ る。

次 に 国 際 的 デ モ ン ス トレ ーシ 。ン敷 果internationaldemoristrationeffect

に つ い て 一 言 す る。 確 か に,ヌ ル ク セ の い う よ うに,デ モ ン ス トレ ー シ 。ン 敷 果 が 後 進 国 の 資 本 蓄 積 能 力 を 削 減 す る 可 能 性 は あ る 。 し か し,そ の 分 析 に お い て は ・ 消 費 様 式 の 模 倣敷 果 が 一 面 的 に強 調 され ・ そ の 貯 蓄 及 び投 資 意 敢 へ の 影 響 が 軽 視 され るた め に,結 果 的 に は デ モ ン ス トレー シ.ン 敷 果 が 経 済 発 展 の 阻 害 要 因 と され る結 果 とな る。 デ モ ン ス トレー シ 。ン敷 果 に つ い て 多 くの 反 証 が 考 え られ る。 た とえ ば,富 裕 国 へ の 移 民 の 多 くは,自 己 の 消 費 水 準 を上 げ るた

(14)

め に,ま た社 会 的地 位 を安定 させ るた め に,非 常 に高 い 貯 蓄性 向 をみ せ る事実, ま た,ア フ リカ現 住 民 に み られ るよ うに,先 進 国の技 術 や専 門 的訓 練 に よ る高 生 産 性 ・社 会 的名 声 を認識 し た現 地 人 が,彼 らの所得 の大 い 割合 を子 供 の 教育 に振 向 け るよ うに支 出態様 を変 え てい つ た事 実,ま た,新 生 活 様式 との 接解 が, 一 般 大 衆 の 貨 幣 購 買 力 に対 す る欲 求 を増大 させ ,交 換 経 済 セ クタ ー を促 進 す る可能 性,こ れ らの諸 点 が見 落 され て は な らない 。 高 消 費水 準 との 接 触→ 貯 蓄

・投 資 意 欲 の 増大→ 所 得 増大 ・経 済発 展→ 消 費 ・投 資 水 準 の 二層 の 向上,と い う関係 で,消 費 と投 資 は相促 的 で あ る とい つ て もよい 。 デ モ ンス トレー シ 。ン 敷 果 は政府 の公 共支 出 の よ うな分 野 で最 も特 徴 的 に あ らわれ るの で あ つ て,私 経 済 の分 野 で は,そ れ は,大 きな 発展 阻害 要 因 とな りえ な い の み な らず,逆 に 発 展 促 進 の 敷 果 もあ るの で あ る。

ロ ヨ 

ロ)強 制 貯蓄 政 策 に つい て。

最 近 の 文 献 で,強 制 貯蓄 賛 成 論 とい わ るべ き議 論 が 多い 。 その議 論 の骨 子 は こ うで あ る。経 済 発展 の た め必 要 な資 本 形 成 力 は,後 進 国 で は一般 に弱 い 。一 方 ・国 家 が負 担 すべ き経 済活 動 の 分野 は大 きい 。 そ こで,後 進 国 で は ・資 本形 成 を促 進 す るた め に も,ま た国 家 が必 要 な経 済 活動 を行 うた め に も,課 税 政策

ま た は イ ン フ レー シ 。ン政 策 に よ つ て 強 制 貯 蓄compulsorysaving(貯 蓄 の 社 会 化socialisationofsavingと い つ て もよい)が 必 要 とな る,と い う の で あ

る。 以 下 この 議 論 を 吟 味 し よ う。

経 済 発 展 と資 本 貯 蓄 を簡 単 な 函 数 関 係 で考 え る こ との 危 険 性 に つ い て は,先 に 指 摘 し た 。 市 場 の 大 さ,生 産 要 素 の 利 用 可 能 性,政 治 的 ・社 会 的 諸 条 件 が 同 時 的 に 考 慮 され ね ば な らな い こ とは,再 言 を要 し な い 。 次 に,後 進 国 政 府 の 経 済 活 動 が 重 要 な理 由 と し て,個 人 的投 資 対 象 とし て は 不 適 当 で あ るが 経 済 発 展 一 般 の た め に は 不 可 欠 な 投 資 対 象 が あ る こ と,そ し て この 分 野(た とえ ば 社 会 的 一 般 資 本)に お け る政 府 活 動 が 望 ま れ る こ とは認 め て よ か ろ う。(実 際 に あ た つ て,そ の 政 府 活 動 の 経 済 敷 果 の 判 定 に つ い て は,論 者 の 価 値 判 断 に よ つ て,議 論 が 岐 れ るで あ ろ うが 。)し か し,強 制 貯 蓄 論 者 は,往 々,こ れ 以 上 の

(ユ3)Baner&Yamey.Opcit.,Ch.13.

(15)

議 論 を進 めて,次 の よ うに論 ず る。 経 済 発展 は非連 続 か つ飛 躍 的 な経 済 フ ロン テ イ ァの 拡 大 を含むか ら,往 々 に し て,新 しい投 資 分野 が 個 人 企 業者 の投 資 選 好 の視 野 に入 つ て こない 。 た とえ個 人 企 業者 が新投 資 分 野 を認 識 し た と し て も,個 人企 業 に委 す な らば,そ の 新 しい 経 済 的 可能 性 の充 分 な 利 用 が期 待 され ない ケ ース が あ る。(た とえば,均 衡成 長 の ケ ース,こ れ に つい て は後 述 。) この場 合,国 家 が強制 貯蓄 政 策 よ り,個 人 企 業 に代 つ て,投 資 活 動 の 実 行 に 乗 出 す こ とは,意 味 あ るこ とで あ る,と 。

この議 論 に対 し て種 々 の疑 問 が生 ず る。 先 づ,こ の議 論 で考 え るよ うな ケ ー ス が実 際 に 多い だ ろ うか9そ う多 くあ るとは 思 え ない 。 ま た ・仮 に ・ その ケ ー ス が あ るとし て も・国 家が個 人 企 業 の投 資活 動 を代 行 しな けれ ば な らぬ理 由 は な さそ うで あ る。官 吏 が個 人 よ りも完 全 な知 識 を もつ と して も,政 府 の指 導 勧 告 で 目的 の 多 くは果 され るで あろ う。強 制 貯蓄 賛 成 論 者 に は,経 済 発展 をば, た とえば ・急速 な工 業化 とい うよ うに,特 定 方 向へ の 経 済構 造 の 変動 と解 す る 傾 向 が あ る。工 業 化 へ の憧 憬 とい つ て よい 。工 業化 の み が経 済発 展 へ の 道 で は ない 。 どの 道 を選 ぶべ きか は,ひ と り経 済 理 論 の み に よつ て決 定 し う るこ とで はな い 。 経 済学 以 外 の諸 科 学(自 然 科学 ・社 会 科学)の 知 識 の 外 に,論 者 の政 治 的価 値 判 断 を持 込 ま な けれ ば,工 業化優 先 の 結 論 の で ない こ とが気 付 か れ な けれ ばな らない の で あ る。

さ らに論 をす す め て,強 制 貯 蓄 が課 税 に よ る場 合 とイ ン フ ヒーシ ・ン政 策 に よ る場 合 に区別 し て 吟味 し よ う。先 づ,課 税 に よ る場 合 。 この場 合 に は,個 人 貯蓄 供 給 を減少 させ,個 人 企 業 家活 動 を制 約 す る危 険 が あ る。 これ を軽 視 して はな らない 。個 人 の 貯 蓄 と企 業活 動 が経 済 の各 分 野で も り上 るこ とは,た とえ 政府 が資 本 供 給者 ま た は企 業 活動 担 当 者 として大 きな比 重 を 占め てい る経 済 に お い て も,経 済 発 展 の た め に重 要 な条 件 で あ る。 ま た,政 府 が その 貯蓄 を個 人 企 業 者 に貸 付 け るこ とに よつて,原 理 的 に は,個 人貯 蓄 減 少 の傾 向 を緩 和 す る

こ とがで きよ うが,こ の 場合,政 府 当 局 が貸 付先 を決 定 す るこ とは,投 資方 向 の 決 定 に他 な らない 。 そ こで,こ の 政府 が 行 う投 資 方 向の決 定 が果 して 経 済的 に合理 的な もので あ るか ど うか が疑 問 とな る。 け だ し,後 進 国 で は,資 料 不足

・有 能 官 吏 の不 足 ・行 政機 構 の非能 率 ・既 得 権益 や独 占団 体 か らの 圧 力 その 他

(16)

多 くの悪 条 件 が あ るか らで あ る。 課税 に よ る強 制 貯 蓄 が公 営 企業 に投 下 され る 場 合 で も事 情 は 同 じで あ る。要 す るに ・政 府 に よ る投 資(方 向)決 定 は,と も す れ ば政治 的環 境 に 支配 され や す く・ また 誇示 的投 資形 態(た とへ ば資 本集 約 的 工 業 創 設 等)に 向 け られ や す い 。 資 本 不 足 に悩 む後 進 国 に とつ て,資 本集 約 的 工 業投 資 の合 理 性 につ い て は,後 に工 業 化 の問 題 とし て吟 味 す るで あろ う。

次 に,イ ン フレ 財 政 政 策 に よ る強 制 貯 蓄 に つ い て 。 イン フ レー シ 。ン政 策 (適 当 に管 理 され た イ ンフ レーシ 。ン)が 強 制 貯 蓄 を生 み 出 す プ ロセ スは,簡 単 に は,信 用拡 張 一 物価 騰 貴(た だ し各 財価 格 の 騰貴 速 度 は不 同)一 限 界貯 蓄 性 向 の低 い所 得 階 層 よ りそれ の 高い 所 得 階 層へ の 実質 的所得 移転 一 社 会 的 貯蓄 総 額 の 増大 ・ で あ る。 信 用 拡 張 で購 買 力 を獲得 す る政府 当局 も・ この 過程 か ら 所 得 移 転 の 利益 を うけ ると論 ぜ られ る。以 下 その批 判 に うつ る。

まつ,物 価 騰 貴 と資本 蓄 積 を単純 な因 果関係 で理 解 す るこ とは危 険 で あ る。

過 去 の 事 実 とし て,確 か に物 価 水 準 の 一 般 的 騰貴 の 時期 に資 本 蓄 積 の 促 進 され た こ とは否 定 で きない が,そ れ と同様 に,18世 紀 の イギ リスに み られ た如 く, 物 価 安定 の 時期 に も資本 蓄 積 の 進 行 の あ つ た点 を看 過 し て は な るまい 。 従 つ て 資 本 蓄 積 の ため に ・fンフ レ政 策 を万 能 薬視 す るの は,い さ さかsweepinggen・

eralisationの 観 を もつ。 の みな らず,後 進 国 に おい て は,こ の強 制 貯 蓄 の 可能 性 が一 般 に考 え られ てい るよ りも小 で な か ろ うか と疑 う必 要 が あ る。 けだ し, 後 進 国 で は定 額 貨 幣所 得 者 の比 重 は少 く,各 財価 格(賃 金 を含 む 〉騰 貴 速 度 も, 先 進 国 の 場 合 に く らべ て整 合 的 で あ る。従 つて,実 質所 得 移 転 の 行 われ る可 能 性 が限 定 され る傾 向 が強 い 。 都 市労 働 者 が政 治 的 勢 力 とな つ て い ると きは,物 価 騰 貴 は 賃金 引上 要求 を惹 起 し,実 質 所得 移転 の 可 能 性 を一 層 減 少 させ るで あ

ろ う。 他面,イ ン フ レー シ.ン の進 行 は,た とえ それ が適 当 に 管理 され た 財 政 政 策 に よ る もの で あ つ て も,種 々の 弊 害 を と もな う。強制 貯蓄 に 同情 的 な 学 者 は,イ ン フ レの弊 害 を過少 視 し,ま た反 対 的 な学 者 は逆 に過大 視 す る傾 向 が あ つ て,一 般 的 意 見 の一 致 が困 難 で あ るが,強 制 貯蓄 の 可能 性 が小 さい とな れ ば そ れ に 応 じて イ ンフ レの弊 害 が配 慮 さ るべ き必 要 が大 とな る。 多 くの弊 害 の う

ち,後 進 国 で は,政 治 的 圧 力 ・行 政 機 構 の非 能 率 か ら,貨 幣 当局 が ・fンフ レ管

理 の節 度 を失い や すい こ と,通 貨 価 値 の 将 来 に対 す る信 頼 感 の 欠除 が イン フ レ

(17)

悪 化 の 危 険 を 含 む こ と,投 資 方 向 の 歪 曲,な どが 特 に留 意 され ね ば な らな い 。

ハ)工 業化 促 進 政策 に つい て 。 ロの

強 制 貯 蓄論 の他 に,政 府援 助(関 税 ・補助 金 ・保 証 ・課 税 免 除 ・出資 ・公 営 その 他)に よ る工 業化 促 進 が,後 進 国 発展 の 鍵 で あ るとの論 調 が 多い 。 以下 こ れ を吟味 す る。

先 づ,工 業 化 を重視 す るあ ま り,農 業 分 野 の 経済 発展 に対 す る重 要 性 が無 視 ま た は軽視 され て は な らぬ点 を強 調 したい 。 過 ま の経 験 が示 す よ うに,農 業 は 都 市人 口扶 養 力 の供 給 源 として,工 業 製 造品 に対 す る市場 として,ま た 工 業用 資 本 財輸 入の た め輸 出 供 給源 とし て,工 業 発展 の重 要 な基 盤 とな るの で あ る。

工 業 化促 進 の た めの最 善 の道 は農 業生 産 力 発展 政 策 で あ る とい えばover・simp lificationと な るが,農 業 の重 要 性 を充分 考慮 し な けれ ば な らぬ こ とは 明 か で あ ろ う。

さて,工 業化 促 進 論 の 内在 的 批判 に進 ま う。 この議 論 の 内 容 は 多岐 で あ るが 大 略,次 の諸 点 か ら,工 業 化の有 利 性 を裏 付 け よ うとし てい る。(i)先 進 国 の 工 業人 口比率 は,後 進 国 の それ よ り高 く,ま た,労 働 生 産 性 は工 業 に おい て 農 業 に お け るよ りも高 い 。(ii)工 業 発 展 は農 村 過 剰 人 口 を吸収 し,労 働力 を一 層 生 産 的 に稼働 させ る。(iii)一 般 的 に,工 業品 需 要 の所得 弾力 性 は高 く・ 農 業品 の それ は低 い 。(iv)交 易条 件 の 農 業品 に対 す る長 期 的不 莉化 。(v)幼 稚 産 業 保 護 の 必 要 。(vi)均 衡成 長 的工 業 化 の有 利性 。(viDモ ノカル チュァ経 済 の不 安定 性 。 果 して これ ら諸 点 が,工 業化 促 進 論 を正 当 化 す るに足 る もの で ど うか を, 以下 順 次 に 吟味 す る。

(i)に っい て 。先 進工 業国 の 工 業 化水 準 が高 い こ とが,そ の 実 質 所得 や労 働 生 産 性 が高 い こ との 原 因 で あ る とは,必 ず し もい え な い 。工 業 化 水 準 の高 い こ

と も実 質所 得 の 高 い こ と も,共 に,他 の要 因,た とえ ば 自然 資 源 ・技 術 。資本 設 備 ・そ の他 の社 会 的諸 条 件 の結 果 で あ るか もしれ ない 。 の み な らず,統 計 資 料 に よつ て,工 業化 が高 所 得水 準 の源 泉 で あ る こ とを証 明 す るこ とは,明 か に 不 可能 で あ る。米 国 の工 業 人 口の総 労 働 人 口に 占め る比 率 は約25%で,英 国 の

(ユ4)Bauer&Yamey.op.cit.,Ch.15.

(18)

それ よ りは るか に小 さい けれ ど も,米 国 の一 人 当 り実 質所 得 水 準 は英 国 よ りも 明 か に高 い 。 また カナダ,ニ ュー・ジ ー ラン ド,ス エ ーデ ンの 農 業 人 口 比率 は英 国 の それ よ り高 い けれ ど も,実 質所 得 水 準 も英 国 よ りも高 い の で あ る。

(ii)に つい て 。 農 村 過 剰 人 口 も工 業化 促 進 論 を正 当 化 す るに は 不 充 分 で あ る。 け だ し,可 耕 地 が限 られ て い る とい つて も,可 耕 地 ・耕 作 不 能 地 の 区 別 は 一般 に曖 昧 で あ り・ また ・仮 りに特 定 条件 下 で耕 作 不能 地 で あつ て も,技 術 ・ 資 本 設備 ・市場 ・国 家政 策 の変 化 に よ つて,可 耕地 に転 化 す るこ とは,し ば し

ば み られ る事 実 で あ る。従 つ て,工 業 化 に よ るよ りも農 業 開発 に よつ て,よ り 有 利 に また よ り少 い 資 本 支 出 に よ つて,農 村 過剰 人 口 が吸収 され う るこ とは, 充 分 に考 え られ るこ とで あ る。

(iii)に つい て 。前 と同 じ く,こ こで も,需 要 の所 得 弾 力 性 か ら工 業化 促 進 を 裏 付 け るこ とは,早 急 に す ぎ る。 た とえ,工 業 品 需 要 の所 得 弾 力 性 が農 業品 に く らべ て高 い とし て も,そ の こ とは,輸 出向 け農 業品 生 産 に特 化 し て工 業 品 を 輸 入 す るこ とが,後 進 国 に とつ て有 利 で あ る可能 性 を否定 す る もの で ない 。 国 際 分 業 の 利益 を無 視 し て はな らな い 。 また,封 鎖 経 済 を考 え て も,所 得 配 分 の 変 化 を も考 慮 せ ね ば な らな い 。 各財 に対 す る需要 の所得 弾 力 性 は,そ の所 得 水 準 の高 低 に応 じて,各 個 人得 よ つて 相 違 し て い る。 国民 所 得 増 加分 の大 きな 割 合 が低 所得 階層 に帰 属 す る と きは ・し か らぎ る場 合 に く らべ て,農 業品 に対 す る需 要 の所 得 弾 力 性 は大 き くな る。この こ とが後 進 国 で は し ば し ば起 りが ち で あ り,農 業品 需 要 の所 得 弾 力性 も一般 に想 定 され るよ りも高 い の で あ る。

(iv)農 業 品対 工 業品 の 交 易条 件 が,農 業 品 に不 利化 す る長 期 的傾 向 が あ るか ら,工 業化 が将来 の 利益 にな る との議 論 が 多 い 。 その長 期 的傾 向 を示 す もの と して,し ば し ば,1870年 代 よ り1930年 代 に わた る統 計 が利 用 され て い る。 しか し,こ の よ うに 半 世紀 以 上 の長 期 間 に は,貿 易 量 ・貿 易 構成 ・生 産技 術 。輸 送 技 術 ・品 質 そ の他 も大 き く変化 して い るの で あ るか ら,そ の統 計 的傾 向値 か ら

直 ちに農 業 の 不 利 を結 論 す るこ とは,危 険 とい わね ばな らぬ。 この半 世 紀 の間

で,農 業品 に有 利 な 交易 条件 変 動 の 時期 が,相 当 期 聞 に わ た り存 在 し た事 実 も

看 過 して はな らな い 。 一歩 進 ん で,各 個別 農 業品 に つい てみ れ ば,そ の価 格 変

動 方 向 は区 々 で あ る。 多 くの 後 進 国 に とつ て問 題 とな るの は,農 業品 一 般 の 交

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易条 件 の変 化 よ りも,む し ろ特 定 農 業品 の それ で あ つ て,前 者 か ら後進 国農 業 一 般 の不 利 性 を理 由 づ け よ う とす るこ とは ,明 か に 行過 ぎ で あ る。 ま た 過去 の 数 値 をそ の ま ま将 来 に適 用 す るこ と も問 題 とな ろ う。 これ か らの数 十 年 は 交易 条 件 は農 業 に有 利 に変 化 す るで あ ろ う と予想 す る論者 もあ る。要 す るに過 去 の 交 易条 件 は,将 来 の 産 業発 展 方 向決 定 の資 料 として は,不 確 実 で あ る とい わ ね ばな らな い 。

(v)幼 稚 産 業 保護 を理 由 とし て,特 定 産 業 に対 す る国 家援 助 を正 当化 せ ん と す る議 論 は,周 知 の と ころで あ つて,こ こで再 説 す る必 要 はない 。 た しか に, 幼稚 産業 保 護 論 それ 自体 の抽 象 的 妥 当性 はみ とめ られ るが,し か し,不 幸 に も

この抽 象理 論 だ けか らは,保 護 さ るべ き産 業 が何 で あ るか を決 定 す るこ とが で きない 。 工 業 が それ に 該 当 す る と結 論 す るの に,別 の積 極 的 理 由 が 必 要 で あ る。色 々 な事 情 が,そ の理 由 として指 摘 され る。 た とえ ば,交 通 機 関 ・金 融 制 度 そ の 他社 会的 一般 資 本 の不 備,技 術 労働 の 不足,外 部経 済 の欠 除 等 々 。 しか し,こ の よ うに指 摘 され る事実 の 多 くは,そ の国 民 経 済 自体 が未 発 展 の 状態 に あ るこ とを表 明 す るに 止 ま つ て,工 業化 促 進 の 有 利性 を積 極 的 に 基礎 づ け る も の で はな い 。積 極 的 基 礎 づ け は,工 業化 促 進 が,資 源 配 分 を よ り合理 的 に す る もの で あ るこ と,生 産 資 源 の 生 産性 が工 業 に おい て 他部 門 よ りも高 い こ とが証 明 され ね ばな らない 。 この場 合,工 業 部 門 の拡 張 が他部 門の縮 少 又 は拡 張 の抑 圧 とい う儀 牲 を伴 う こ と も考 慮 され ね ば な らぬで あ ろ う。 要 す るに,工 業 化 促 進 を正 当化 す るた め に は幼稚 産 業 保 護 理論 以 上 の積 極 的 基礎 づ け が必 要 で あ り そ の た め に,個 々 の事 例 に つい て の具 体 的 調査(そ れ も他 部 門 に わ た る広 範 囲 の 調 査)が 必 要 とな ろ う。 その結 果 工 業化 に有 利 な結 論 が で る とは,常 に期 待 す るこ とは で き.な い の で あ る。

(vi)い わ ゆ る均 衡 成長 とい う考 え方 で 国 家の工 業化 促 進 を正 当化 し よ う とす る議 論 は,大 略,次 の よ うで あ る。通 常,後 進 国 に お け る工 業品 需要 は低 く, 特 定 商 品 を製 造 す る近 代 的工 場 を設立 して も,設 備 の操 業 度低 く,採 算 に あ わ な い 。 ま た,そ の工 場 に働 く労 働者 の 所得 支 出 とい え ど も,そ の 需要 不 足 を埋 め る もの で は ない 。 け だ し,労 働 者 は その 所得 の大 部 分 を,彼 が働 く工 場 の 製 品 購 入 に 向 け るの で は な く,各 種 品 目の生 産 物購 入 に分 散 す るの で あ るか ら。

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しか し,各 種 製品 を製 造 す る多様 の工 業が 同時 的 に設 立 され るな らば事態 は好 転 す る。 各種 工 業 は相 互 に需要 者 とな つて市 場 を拡 張 す るで あ ろ うし,こ れ ら 各工 場 に働 く労働 者 の所 得 も,各 工 業 製品 に向 け られ るで あ ろ うか ら,こ れ ま た 市場 拡 張 に役 立 つ。 従 つて,特 定工 業 のみ の 設 立 が不 可能 で は あ るが,相 互 的 関 係 に あ る各工 業 が一 群 として,一 定 の 調和 を保 ちつ つ,同 時 に設 立 され る な らば,そ のた めの投 資 は有 利 とな ろ う。 この よ うな意 味 で の工 業 の均 衡成 長

balancedgrowthは 後 進 国 発 展 に とつて望 ま しい こ とで あ り,そ れ を促 進 す るの に 国 家 が積 極 的 に援 助 す るこ とは意 味 あ るこ とで あ る。

さて,こ の 吟味 に 移 る。工 業発展 の た め に均 衡成 長 が意 図 され る必要 が あ る こ とを抽 象 的 に認 め た とし て も,実 際 に それ が問 題 とな るよ うな事 態 が・ そ の 主 張者 が 想像 す るほ どし ば し ば あ るで あ ろ うか との 疑問 が生 ず る。後 進 国開 発 の最 近 の経 験 か ら,均 衡 成 長 的工 業 発展 の事 例 を探 す こ とは困 難 で あ る。 この 点 を不問 として も,均 衡 成 長 の 有 利悸 は,そ う大 き くな い と思 われ る。 な ぜ な らば工 業 発 展 に伴 な い,非 工 業 部 門 よ りの生 産 物 供 給特 に食 料 供給 が 増 大 しな けれ ば,賃 金 その他 の生 産 費 が 騰貴 し,そ の 結果,工 業 発 展 自体 の有 利 性 が削 減 され て し ま う。 そ し て,こ の事 態 が 多 くの後 進 国 で実 際 に起 りや す い の で あ る。 また,こ の 場 合 の工 業 は国 内市 場 を対 象 とす る もの で あ る筈 で あ るか ら・

これ まで の輸 入 工 業 品 を代 替 す るはず で あ る。 国 際分 業 の利益 とい う点 を論 外 とし て も,国 内 市場 向 け工 業発 展 の 利益 は ・代 替 され る輸 入品 の 運 送 費 の 節 約 とい う限 られ た もの とな るで あ ろ う。 この 限 られ た 利益 に対 しそ の計 書 の 費用

・危 険 を考 え るな らば,国 家 が これ を積 極 的 に援 助 す べ し とす る理 由 は一層 薄 弱 とな るで あ ろ う。 それ ば か りでな い 。 た とえ均 衡 成 長 の有 利 性 を認 め た とし て も国 家 は企 業 者 に そ れ を周 知 させ れ ば よい の で あ つて,国 家 が その 計書 を担 当 し た り,ま た 危 険 を負 担 をし な けれ ば な らぬ理 由 はな い の で あ る。個 人 企 業 者 が そ の有 利性 を理 解 す るな らば,お そ ら く彼 等 は,国 家の そ の よ うな 産 業 指 導 に反応 を示 す で あ ろ う。 企 業者 が無 反応 の と きは,そ の 計書 が実 際 に は それ ほ ど有 利 でな い か らで あ ると考 え る方 が 真 実 に 近 い よ うに 思 われ る。

(vii)一 国 の 経 済 が限 られ た少 数 の 生 産物(主 とし て農 ・鉱 産物)の 生 産 及 び

輸 出 に大 き く依 存 す るこ との不 利益 が,し ば し ば,国 家 の工 業援 助 の理 由 とし

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て 用 ひ られ る。 特 定 生 産 物 に 対 す る世 界 需 要(世 界 価 格)の 変 動 が,そ の 国 の 所 得 水 準 に 大 きい 影 響 を与 え るか ら,こ の よ うな モ ノ カ ル チ ュ ア経 済mono‑

cultureeconomyの 不 安 定 を除 くた め に,工 業 発 展 に よ る 経 済 構 造 の 多 様 化

diversificationが,国 家援 助 の も とに な され る こ とが 望 まれ る とい うの で あ

る。 モ ノ,カル チ ュアの程 度 を既 存 統 計 資 料 か ら推 測 す るこ とに は困 難 が あ ろ う が,確 か に モ ノカル チ 。ア経 済 の不 安 定 性 は否定 し えな い 。 しか しな が ら,そ れ だか .らとい つ て,国 家 が補 助 金 ・保 護 関税 そ の他 に よつ て工 業 発展 を促 進 す べ し とす る根 拠 は,次 の理 由 に よ つて,弱 い と思 われ る。 お そ ら く援 助 され る 工 業 は国 内市 場 向 けで あ つ て海 外 市場 に進 出 して輸 出 し う る能 力 はな い で あ ろ

う。従 つ て,そ の工 業 生 産 物 の需 要 者 の 多 くは,そ の 国 の主 要生 産 物 の生 産 ・ 輸 出 に従 事 す る人 々 で あ る。主 要生 産 物 の 世 界価 格 の下 落 は,先 づ 彼 等の所 得 を減少 させ,つ い で設立 され た工 業 それ 自体 の 活動 水 準 を引 下 げ るで あ ろ う。

それ故 に,こ の場 合 の 工業 発展 は,モ ノカル チ ュア経 済 の 不 安 定 に 対 す る安定 化 要 因 とし て は・ あ ま り有 敷 とは思 え な い の で あ る。 この種 の不安 定 に対 す う 対 策 として は,農 産物 価 格 安定 化 政 策(価 格平 衡 基金 等)の 如 き,よ り直 接 的

な手 段 の方 が有敷 と思 われ る。経 済構 造 の 多様 化 が根本 的対 策 で あ るこ とは 明 か で あ るが,経 済構 造 の 多様 化 は,ひ と り工 業 発展 の結 果 で あ る とい うよ り,

もつ と広 く,工 業 発展 を含 む経 済発 展 一般 に作 用 す る社 会 的 ・政 治 的 ・経 済 的 諸 要 因 との 関連 で考 え られ な けれ ば な らな い の で あ る。

6結

この 紹介 で は原 書 の 内 容 を具 体 的 に つた え るの に主 眼 をお い て,筆 者 の主 観

,

を入 れ ぬ よ うに努 めた 。 そ こか ら知 られ る様 に,著 者 達 の議 論 は,既 存 文 献 に

対 す る批 判 的 態度 に終 始 し てい る。特 に工 業 化 に対 す る批 判 は 厳 し い 。 し か

し,筆 者 は,著 者 達 が既 存理 論 の 諸命 題 を個 別 的 に と り上 げて,批 判 す るが故

に,そ の批判 が時 に は一 方 的 で あ り,ま た時 に は批判 の た めの 批判 の感 を うけ

(22)

(15)

た 。著 者 達 の 批判 に か \わ らず,工 業化 重視 の 一般 的思 潮 は 変 らな い で あ ろ

1

う。特 に幼 稚 産 業 保護 や モ ノカル チ ュア脱 却 を 目的 とす る工 業化 に対 す る批 判 は強 力 で あ る とは思 われ ない 。 しか し,こ の こ とは必 ず し も本書 の価 値 を大 き '〈損 う もの とは な らない

。著 者 達 の意 図 は 多 くの文 献 また 多 く後 進 国 の 実 際 に み られ る 「 工 業 化 の魅 力 」 に対 して反 省 の 機 を与 え うれ ば,そ れ で満 され る と み るべ きで あ ろ う。 そ の反省 は確 か に な され な けれ ば な らない ので あ る。従 つ て,本 書 の詮索 的 な批判 も,こ れ ま で の文 献 ・資 料 の価 値 を否 定 す るよ りは,

む し ろ,そ れ を一 層 有 敷 に 生 か す た め に な され て い る と理 解 す るな らば,本 書 の ユ ニ ー クな 貢 献 を正 当 に 評 価 し う る もの と思 わ れ る。 筆 者 は これ ま で の と こ ろ,本 書 に つ い て の 批 評 を 目に し て い な い が,ス ペ ン グ ラ ー が バ ゥ ア ー の 別 書 に つ い て,そ の 批 判 の 独 創 性 とpenetratingな 点 を 高 く評 価 し て い る こ とに は

(1d、

同感 で あ る。

Feb.1958

(15)本 書 で は 批 判 の 対 象 と な る 議 論 に っ い て の 文 献 は 余 り 明 瞭 に 示 さ れ て い な い 。 本 書 の 性 質 上 詳 細 な 文 献 目 録 を 付 け る こ とが 望 ま しい 。 バ ゥア ー は 別 書(註16) P.37.で,MyrdaLDeveZopmendandUnderdevelOpment(Cairol956)及

びAnlnternationαlEconomγ(NewYorkl956)に 批 判 的 態 度 を とつ て い る が,バ ゥ ア ー が 本 書 で 「経 済 発 展 は,社 会 的 ・文 化 的 ・政 治 的 経 済 的 諸 変 動 の 合 成 の 結 果 で あ り,そ れ が ま た 一 層 の 諸 変 動 を 惹 き 起 して ゆ く」(本 書p.128)と 書

い て い る こ と は,ま さ に,ミ ュ ル ダ ー ル の 中 心 的 分 析 用 具 た る 累 積 的 因 果 関 係cu・

mulativecausationの 概 念 を 用 い て い る と い わ ね ば な ら な い 。See.esp.Myrda1.

EconomicTheorツandUnderdeveloρedRegions.Ch.2.

(16)Bauer.EconomicAnαlOrsisandPolicyinUnderdevetopedCountries

(DukeUniv.Press.1957)Forword参 照 。 こ の 書 は バ ゥ ア ・ 一 がDuke大 学 の

Visitinglecturerと し て 行 つtC講 演 で,本 書 の 一 変 形 で あ る が,内 容 は 狭 め ら れ

て い る の で,本 稿 で は と り あ げ な か っ た 。

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