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洋 楽 を活 用 した リス ニ ン グ活 動

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洋 楽 を活 用 した リス ニ ン グ活 動

敏 彦

ABSTRACT

英語 の楽 曲(以 下 「洋楽 」)を使 用 した授 業が近 年 、特 に1990年 代 に高 校 のカ リキュ ラム にオー ラル コ ミュニ ケー シ ョンが 導入 され て以来 、 日本 の 中学、 高校 、大 学 の レベ ル を問 わず普 及 を見せ て い る。 大学 一 年生 を対 象 とした調査1で も、半 数以 上 の学 生が大 学 入学以 前 に、洋 楽 を使 用 した授 業 を受 けた ことが ある と回答 して い る。 洋楽 は、正式 な 英語 学習 が始 まる以前 か ら日本 語母 語 話者2が 幼 児期 か ら もっ と も頻 繁 に接 す る英 語媒体 であ る に も係 わ らず、一部 の熱心 な教 師以外 には、

学 習 の対 象 として は認 知 され て こなか った。 洋楽 の使 用 した活 動 は、

単 に授 業 を活性 化 し、 英語 学習 へ動機 づ けに役立 つ だ けで はな く、 音 声 認識 能 力 と発音 を高 め る本格 的 な教授 法 として認知 され るべ きで あ る。 そ して、定 期 試験 等 にお いて も音楽 の実 技試験 の よ うな もの を実 施 し、評価 法 を大 胆 に柔軟 化 し多様 な基 準 を設 け る こ とで、従 来 の評 価 法 で は、 は じか れ ていた 英語学 習 者 を救 う道 も開 け るだ ろ う。本 稿 で は、筆者 が1990年 秋 以来12年 間 、 日米 の大学 や英 語学 校 で実践 し 豊 富 な フ ィー ドバ ック を基 に改 良 を繰 り返 して きた、 聞 き取 りか ら発 声 まで を含 む洋楽 を活 用 した授業 活 動 の手法 を紹 介 す る。

11NTRODUCTION

洋 楽 は 、 日本 人 英 語 学 習 者 に と っ て もっ と も身 近 に存 在 す る英 語 媒 体 で あ

り、 洋 画 と 同 様 に 我 々 の 魂 に 直 接 訴 え か け て く る 。(Ferrasci,Murray&

Someya,1999)そ の 係 わ り は 特 に 若 い 世 代 に 顕 著 で あ る 。Kanzaki(1987, p.3)は 若 者 と 洋 楽 の 係 わ り に つ い て 以 下 の よ う に 述 べ て い る 。

音 楽 は 近 頃 の 若 い人 に と っ て 、 生 活 の 一 部 に な っ て い る、 と い っ て過

言 で は な い だ ろ う 。 乗 り物 に 乗 れ ば 、 す ぐバ ッ ク か らカ セ ッ ト を取 り

出 し イ ヤ ホ ー ン を 耳 に差 し込 ん で 音 楽 を聴 き始 め る。

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1980年 代 は、 洋 楽 の再 生 に は 、 カ セ ッ トプ レ ー ヤ ー が 主 流 だ っ た が 、今 日 で はCDやMDが 主 流 で あ る。筆 者 自身 も中 学 校 入 学 に入 学 し英 語 を習 い 始 め る前 か ら洋 楽 に親 し ん で きた が 、 当時 は、 あ く まで も音 楽 と して 聞 い て い るの で あ って 歌 詞 に 注 意 を払 っ て い た 記 憶 は な い。

Kanzaki(1987,p.3)は 、 こ の 点 に つ い て 以 下 の よ う に 述 べ て い る 学 生 た ち に 聴 い て い る歌 の 内 容 を 尋 ね る と、 ほ とん ど の 者 が わ か ら な い と答 え る 。 あ れ だ け 多 くの 時 間 とエ ネ ル ギ ー 、 そ れ に お 金 を費 や し て い る の に 、 意 味 も よ くわ か ら な い歌 を た だ 空 う に 聴 い て い る の は、

い か に も っ た い な い 話 で は な い か 。

ま った く同感 で あ る。1日1分 も英 語 の テ キ ス トの テ ー プや ニ ュー ス を 聞 か な い 学 生 も、洋 楽 な ら1日10分 は聞 い て い る学 生 は多 い だ ろ う。洋 楽 鑑 賞 は 、教 師 の指 示 や 強 制 な しで 行 わ れ る 自発 的 な 英 語 の イ ン プ ッ トで あ り、 内 発 的 な 動 機 づ け に よ る行 為 で あ る 。 こ の習 慣 を教 室 外 の イ ン プ ッ ト供 給 源 と して活 用 しな い 手 は な い 。 洋 楽 を授 業 に取 り入 れ 、 そ の 楽 し さ を体 験 させ 、 英 語 が 身 近 な存 在 で あ る とい う こ と を再 認 識 させ て あ げ る こ とで 、 英 語 学 習 の意 欲 が 高 ま る こ とが 期 待 され る 。Kanzaki(1987,p.3)は 、 この点 につ い て 以 下 の よ うに 主 張 し て い る:

英語 の理 解 が深 まれ ば、好 きな音楽 の楽 し さ も倍増 す る。 そ して音 楽 の楽 しさが増 えれ ば更 に英 語 の勉 強 に力が入 る とい う もの であ る。

ま た 、 洋 楽 の 持 つ 教 材 と し て の 可 能 性 をTsuda(2001,p.1)は 、以 下 の よ う に 教 材 と し て の 洋 楽 に つ い て 述 べ て い る:

映 画 も 、 歌 も、 と も に テ ー マ を 持 ち 、 背 後 に あ る文 化 や 時 代 を反 映 し て い ま す 。そ れ ぞ れ が 与 え る感 動 、影 響 力 は 言 う ま で も あ りま せ ん が 、 英 語 学 習 に と っ て も 多 くの 可 能 性 を秘 め た 教 材 だ と言 え るで し ょ う。

もっ と も身 近 な はず の 洋 楽 で あ る が 、 歌 詞 の 聞 き取 りは 、 あ らゆ る リス ニ ン グ活 動 の 中 で 、 実 は もっ と も聞 き取 りが 難 しい 英 語 媒 体 で あ る。 か な り英

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語 の 成 績 が 良 い 学 習 者 が 知 っ て い る はず の簡 単 な英 語 の 歌 詞 を聞 き取 れ な い 時 に、自 己 喪 失 や 自 己 嫌 悪 に 陥 って い ま う英 語 学 習 者 が 少 な くな い 。(Kumai

&Timson,1999)ま た 、 英 語 圏 の滞 在 経 験 が 豊 富 な 英 語 上 級 者(実 用 英 語 検 定1級 、TOEIC8603点 以 上 の取 得 者)に とっ て も、 歌 詞 の聞 き取 りは 、 そ の 音 声認 識 の 困難 さ に お い て 、 洋 画 の さ らに上 位 に位 置 づ け られ 、英 語 学 習 の 最 終 到 達 レベ ル と位 置 づ けて も よい だ ろ う。

2=洋 楽 を使 用 す る7つ の 理 由

2‑1.も っ と も英 語 学 習 者 に馴 染 む深 い英 語 媒 体

小 学 校 や 中学 校 で 英 語 学 習 を 開始 す る は るか 以 前 か ら、 多 くの 日本 語 母 語 話 者 が 洋 楽 を耳 に し て い る事 実 は見 逃 せ な い 。 洋 楽 は 、 一 般 の 日本 語 母 語 話 者 が 日本 国 内 で 最 初 に接 す る英 語 媒 体 で あ る と同 時 に 、 意 識 的 また は無 意 識 の うち に接 して い る異 文 化 で あ る 。Graham(1992,p.43)は 、 この 点 を以 下 の よ うに 指 摘 して い る:

Musicopensdoors,givinglanguagestudentsagreaterawareness ofthenewculturetowhichtheyarebeingexposedandasenseof feelingmoreathomewiththesoundsandrhythmsofthelanguage theyarelearning.

か な り普 及 して い る は ず の 洋 楽 で あ るが 、 日本 語 母 話 者 の ほ とん ど は、 歌 詞 を 聞 き取 れ ず 理 解 して い な い か 、 また は関 心 が な い 。 そ れ は、 洋 楽 の 聞 き 取 りの 難 解 で あ る こ と よ りも、 この 英 語 との接 点 が もっ と も早 く、 しか もそ の後 も頻 繁 で身 近 な存 在 で あ る洋 楽 とい う媒 体 を英 語 教 育 界 が 娯 楽 媒 体 と し て扱 い 、 教 材 と し て認 知 して こな か った た め で は な い だ ろ うか 。 そ の た め、

洋 楽 の 歌 詞 が 学 校 で習 う同 じ英 語 で あ る とい う意 識 が喪 失 し、 本 来 メ ッ セ ー ジ を伝 え て い る歌 詞 が た だ の 音 響 効 果 の 一 部 とな り、 ギ タ ー や ドラ ム と同 じ 楽 器 音 と して しか 認 識 され て こな か った の で あ る。 確 か に、 中学 、 高 校 の英 語 テ キ ス トに は、 巻 末 に英 語 の歌 詞 が 載 せ て あ る もの が 多 吟 が 、 そ れ は あ く

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まで も付 録 扱 い で あ り、 本 格 的 な授 業 活 動 と して使 わ れ る こ とを期 待 され て は い る よ う に は 思 わ れ な い 。 こ の英 語 教 育 界 の洋 楽 に対 す る姿 勢 に つ い て 、 Griffee(1986,p.4)は 、以 下 の よ う に述 べ て い る:

SongsandmusicareaperennialfeatureoftheTESOLfield.

Seldom,however,doesinterestinthem,translateintoarangeora bandwagen.

学 習 者 の もっ と も身 近 に あ っ て、 もっ と も親 しみ の深 い英 語 学 習 教 材 を宝 の 持 ち腐 れ に して きた と言 え る。 実 際 に英 語 が どの よ うな形 態 で 我 々 の 生 活 の 中 に存 在 し て い るか とい う、 根 本 的 な 事 実 に 目 を背 け 、視 覚 中 心 の英 語 学 習 を続 け る な らば 、 そ の成 果 は英 語 の 実 情 に合 わ な い ぼ か りか 、 英 語 は ア カ デ ミ ック な 科 目 と して しか認 識 され な くな り、 外 発 的 動 機 づ けが な くな る時 点 で 英 語 学 習 は放 棄 さ れ る 。 こ の身 近 で あ りな が ら、 授 業 で 軽 視 さ れ 、 聞 き 取 りが も っ と も困難 な洋 楽 を あ る程 度 聞 き取 れ る よ う に指 導 し、 教 室 外 で 学 習 の成 果 が 実 感 で き る よ うな 環 境 を作 り上 げ る こ とは、 学 校 で 筆 記 体 を教 え

る こ と と同 様 に ご く自然 な こ とで は な い だ ろ うか 。

洋 楽 は、 英 語 学 習 を放 棄 した 者 に も、 ス ム ー ズ に英 語 の 学 習 が 進 ん で い る 進 学 組 に とっ て も、 英 語 の 生 態 系 の一 部 と して 、 大 き な存 在 で あ り、 実 際 の 英 語 使 用 の 場 に お い て も、 受 信 技 能 に お い て は鑑 賞 の形 で 存 在 し、 発 信 技 能 に お い て は歌 や カ ラオ ケ とい う形 で 実 在 す る。 米 国 に留 学 して 、 英 文 和 訳 を す る機 会 は ま っ た くな い か も知 れ な い が 、 英 語 の 歌 詞 を 口 ず さ み、 大 都 市 に は必 ず あ る カ ラ オ ケ ・バ ー で 親 交 を深 め る機 会 は あ る。 しか し、 そ れ は従 来 英 語 教 育 界 で は まっ た く想 定 して い な か った 学 習 者 の 言 語 使 用 域 な の で あ る。 現 実 の英 語 の 使 用 域 を正 確 に把i握せ ず に教 養 主 義 に偏 重 し て きた 英 語 教 育 界 、 と りわ け無 関 心 の現 場 の 教 師 に よ る 不 作 為(inaction)が あ った こ とは

自 明 で あ る。

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2‑2.授 業 の レデ ィネ ス と授 業 の 雰 囲気 の 活 性 化

大 学 の1講 義90分 間 に 同 じ授 業 形 態 や 活 動 が延 々 と続 け ぼ、学 生 の 注 意 力 は 散 漫 に な り、 苦 痛 が 生 じ る。 洋 楽 の 中 で も特 に 映 画 音 楽 を活 用 し て い る Maekawa&Dermer(1999,p.1)は 、 そ の点 につ い て以 下 の よ う に回 顧 して 、 い る:

私 た ち 自 身90分 とい う長 丁 場 の 講 義 で 、 リー デ ィ ン グ 用 教 材 の み に よ っ て 学 生 の 関 心 を 惹 きつ け 続 け る こ と の 難 し さ を 感 じて い ま す 。 私 た ち が 採 っ て 方 法 は 、 途 中 の 英 米 の 文 化 と言 葉 か ら離 れ る こ と な く、

学 生 の興 味 を リ フ レ ッ シ ュ す る材 料 を 知 的 な 雑 談 と し て 供 給 す る こ と で した 。 そ の た め に は映 画 音 楽 は優 れ た 教 材 で し た 。

洋 楽 の 数 あ る効 用 の 中 で も、 もっ と も顕 著 な の は、 洋 楽 に学 習 者 を楽 し ま せ る 要 素 が あ る と い う点 で あ る。(Graham,1992)そ れ は成 果 が 観 察 され る ま で 時 間 を要 す る音 声 的 な 恩 恵 よ りも、 学 習 者 自身 に も容 易 に認 識 で き る も の で あ る。 よい 雰 囲 気 が 維 持 さ れ て い る状 態 は、 授 業 の成 功 のバ ロ メ ー タ ー で あ り、 そ れ は学 習 者 の 表 情 や 態 度 に素 直 に表 出 す る 。対 照 的 に 、 学 習 者 と 対 立 し、 加 虐 的 な 衝 動 が教 師 側 に芽 生 え る事 態 はだ け は絶 対 に 回避 す べ き で あ る 。

授 業 開 始 直 前 まで 日本 語 の 世 界 に ど っぷ り浸 か っ て い た 学 習 者 の頭 に英 語 が す ん な り入 る よ う に す る に は、 授 業 開 始 時 に洋 楽 を 聞 か せ て、 リ ラ ッ ク ス させ る と効 果 的 で あ る。 大 学 の1講 義 目や3講 義 目 の 睡魔 の 時 間 に は特 に効 き 目 が あ る。 す べ て の英 語 授 業 が 魚 市 場 のせ りの よ うに 活 気 づ く必 要 は な い が 、 授 業 中 の学 生 の居 眠 り を放 置 し続 け る こ と は、 語 学 の 授 業 で は論 外 で あ る。 毅 然 た る態 度 で 教 室 内 の 雰 囲 気 を室 温 と同様 に快 適 に 保 た な け れ ぼ な ら な い 。

2‑3。 もっ と も困 難 な 聞 き取 りの 形 態

英 語 の 音 声 認 識 の難 し さ は以 下 の よ う に整 理 で き る。 洋 楽 は あ らゆ る英 語 の音 の ジ ャ ンル の 中 で も、 聞 き取 りの 困 難 さ に お い て は 、 最 高 位 に位 置 す る

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こ とに異 存 は な い だ ろ う。

1 ⊥ 9 盈 9 σ 4 只 ﹂

洋 楽 の聞 き取 り 洋 画 の聞 き取 り ニ ュー ス の 聞 き取 り 講義 の 聞 き取 り 対 話 で の聞 き取 り

一 般 に英 会 話 ぐ らい で き た い と考 え る人 の 目標 は5の レベ ル で あ る。 一 対 一 の 直 接 対 話 で は、 話 し手 が 聞 き手 の反 応 を伺 い な が ら話 した り、 フ ォー レ ナ ー トー ク に よ り、 語 彙 や 音 声 レベ ル で さ ま ざ まな調 整 を行 うた め に、 理 解 可 能 な イ ンプ ッ ト(comprehensibleinput)カ §確 保 され る。

洋 楽 の歌 詞 の 聞 き取 りが 困 難 を極 め る最 大 理 由 は 、 語 彙 的 特 徴 よ り も音 声 的 特 徴 に よ る も の で あ る。Kumai(2002,p.3)は 、 自 らの 洋 楽 を通 じた リス ニ

ング 学 習 を以 下 の よ う に 回顧 す る:

英 語 の 歌 に よ く登 場 す る音 声 変 化 は 実 際 の 日 常 会 話 に も よ く出 て く る の で 、 ネ イ テ ィ ヴ ・ス ピー カ ー との 会 話 で 相 手 の 言 っ て い る こ と を 理 解 す る の に と て も役 に立 ち ま し た 。

こ の よ う に 、 洋 楽 に お け る 音 声 を 認 識 す る 能 力(discriminationskill)は 、 一 般 の 会 話 の 聞 き 取 り に も 関 連 が 伺 え る 。Buck&Axtel1(1986,p.4)は 、 音 楽 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 発 達 の 関 係 に つ い て 以 下 の よ う に 説 明 し て い

る:

Theabilitytodiscriminatefinedifferencesinmusicaltonesisa skillnecessaryforanypromisingstudentsofvoiceormusical instruments.Similarly,thedevelopmentoflisteningskillsneces‑

sarytodiscriminatebetweennewsoundsinaforeignlanguageis vitaltothelanguagelearners'progresstowardcommunicative competence.

彼 ら は 、この 主 張 を前 提 に、沖 縄 県 の 高 校 で 音 楽 を専 攻 す る生 徒12名 と専 攻 して い な い 生 徒8名 を被 験 者 と し、 ミニ マ ル ペ ア な どの 音 声 の 聞 き分 け や

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洋楽 を活 用 した リスニ ング活 動 87

多 義 選 択 式 の デ ィク テ ー シ ョ ン を行 っ た 。 そ の 結 果 、被 験 者 数 が 実 証 性 を十 分 に証 明 す る足 りな か った こ と を認 め つ つ 、 音 楽 専 攻 の 生 徒 の 方 が 英 語 の 聞 き取 りが 優 れ て い る こ とを確 認 した 。 音 楽 性 と英 語 の音 声 聞 き取 りの 間 に 強 い 関 連 が あ る こ とを伺 わ せ る実 証 研 究 で あ る。'

洋 楽 の発 声 は、 日常 の 対 話 や 独 話 と共 通 点 は多 い もの の、 通 常 観 察 さ れ な い音 声 変 化 が 現 れ る こ と を忘 れ て は な らな い 。 た い て い 曲 に は 、母 音 の長 音 化 、 語 尾 の 子 音 の リダ ク シ ョ ンな どが 、 日常 の 会 話 よ り も顕 著 な 形 で 現 れ 、 発 音 の 特 徴 、 イ ン トネ ー シ ョ ン、 ピ ッ チ、 リズ ム も曲 ご とに異 な る特 徴 を有 して い る。 さ ら に、 演 奏 が 伴 い 聞 き取 りが 一 層 困 難 にな っ て い る。 しか し、

この 聞 き取 りの 難 解 さ を極 め る 洋 楽 の 音 声 に 慣 れ る こ とで 、 日常 会 話 の音 声 変 化 や 聞 き取 りが 容 易 に感 じる よ う に な る と考 え られ る。 最 高位 に位 置 す る 洋 楽 を聞 き取 れ れ ば語 彙 や 語 用 の 要 素 が 大 き く影 響 を及 ぼす 場 合 を除 い て 、 音 声 認 識 に 関 す る限 り、下 位 の レベ ル は容 易 に感 じ る よ う にな る は ず で あ る。

リダ ク シ ョ ンな どの英 語 の 音 声 変 化 が もっ と も顕 在 化 す る洋 楽 を通 じ て整 理 して あ げ る と他 の媒 体 の 聞 き取 りへ の応 用 が効 く と考 え る。

2‑4.調 音 様 式 と発 音 の 強 化

Brown&Helgesen(1986)は 、 洋 楽 の 主 要 な 効 用(primaryadvantage)は 、 語 彙 と発 音 の 発 達 だ と述 べ て い る 。Miller(2000,p.1)は 、 洋 楽 を 使 用 し た 発 音 指 導 の 効 用 に つ い て 、"Songsarepedagogicallysoundandmotivating."

"Th

ereisapowerfulconnectionbetweensongsandspeech.""Somesongs encouragemovementneededtointernalizetherhyt㎞pattersofanew language."の3点 を 挙 げ て い る 。

音 声 の 認 識 が で き れ ぼ 自 動 的 に 発 音 も上 達 す る と は 言 い 切 れ な い 。 音 声 認 識 は 、左 脳 の ウ ェ ル ニ ッ ケ 領 域4で 行 わ れ る が 、正 し い 調 音 が で き る よ う に な る に は 、 そ の 先 の ブ ロ ー カ ー 領 域5、 運 動 制 御 領 域6、 発 声 器 官 を 実 際 に 稼 動 さ せ る 必 要 が あ る 。(図 を参 照)

発 音 の 強 化 の た め に は 、 実 際 に 発 話 器 官 を使 っ て 発 音 す る こ と が 大 切 で あ

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る 。筆 者 の 授 業 で は、音 声 認 識 の た め の 語 彙 選 択 や 空 欄 穴 埋 め の タ ス ク後 に、

テ ー プ レ コー ダ ー で 曲 を 再 生 した り、DVDの カ ラ オ ケ を大 画 面 に写 し出 し な が ら ク ラ ス 全 体 で合 唱 し て い る。 現 在 多 くの 洋 楽 を活 用 した 大 学 用 テ キ ス トが 出 版 さ れ て い る が 、 合 唱 を奨 励 して い る もの は皆 無 で あ る。 また 、 そ れ らの テ キ ス トや 筆 者 が 扱 っ て い る洋 楽 の ほ とん どが 、音 楽 ジ ャ ンル の 中 で も 聞 きや す く、 歌 い や す い ポ ッ プ ス の 部 類 に入 る。

2‑5.会 話 フ レ ー ズ の 紹 介 と 内 在 化

誰 で も歌 の 一 節 を 口 ず さ む こ と が あ る よ う に 、 歌 詞 は 記 憶 の 中 に 留 ま り 、 何 か の 機 会 に 想 起 さ れ る こ とが あ る 。Brown&Helgensen(1986,p.8)は 、 洋 楽 が 長 く学 習 者 の 記 憶 に 保 持 さ れ る 利 点 を紹 介 し て い る:

Songsaregenerallyacrystalizedformoflanguage;theyhave specificlyricsthatdon'tchange。Assuch,theycanprovideinter‑

estingformatsforgrammaticalorfunctionalpractice.Theyalso

Broca's

Motorcontro1

Lateral(Sylvian) sulCUS

Heschl's gyn

Centralsulcus

(ofR.olando) Sensory

P「occsslng

〆,ノ!芝 話

Wemicke's

Angular gyn1S

Visual P「oceSSIng area

図:脳 と 言 語 処 理

(Steinberg著 『AnIntroductiontoPsycholinguistics』(p.182)よ り 抜 粋)

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洋 楽 を活 用 した リス ニ ン グ活 動 89

seemtobemoreeasilyrememberedtharlmanyotherformsof discourse.Witnessthelargenumberofstudentswhocanremem‑

berthelyricstotheStepehmFoster(orBeatles)tunestheylearned injuniorhighschooleventhoughtheywouldbehard‑pressedto recallthedialoguesthey"learned"atthesametime.

た だ し、 洋 楽 に よ る会 話 フ レ ー ズ の 紹 介 は、 上 記 の効 用 か ら比 較 す る とあ く まで も二 次 的 な もの で あ る。 特 定 の フ レ ー ズ を教 え る た め に 選 曲 す る の は、 困 難 で あ り、 あ る 曲 を授 業 で使 用 す る こ と に な っ て 、 歌 詞 中 に た また ま 使 わ れ て い る表 現 を紹 介 す る とい うの が 現 実 の ア プ ロ ー チ で あ る。

対 照 的 に、 特 定 の フ レー ズ を教 え る こ と を 目的 に、 そ れ に 音 楽 を 付 け る

"j

azzchanting"(Graham,1992)に も注 目 し た い 。 特 定 の 日常 会 話 の フ レ ー ズ 、 例 え ば、"1'drathernotsay."な どに ジ ャ ズ の リズ ム を付 けて 、 軽 快 に、

そ し て 時 に身 体 を動 か しな が ら発 音 す る。 ラ ップ の よ うに歌 い なが ら覚 え さ せ る の で あ る。 リズ ム、 ス トレ ス 、 イ ン トネ ー シ ョン な どの 発 話 の側 面 を強 化 す る 方 法 と して 、 特 定 表 現 に焦 点 を絞 り、 しか も何 度 も繰 り返 す の で 、 洋 楽 を歌 う よ り、表 現 の 内 在 化 が 進 み、定 着 しや す い。た だ し、有 名 な ア ー テ ィ ス トの楽 曲 を聞 い て 楽 しむ 要 素 に欠 け る。

2‑6.柔 軟 な 英 語 力 評 価 法

現 行 の 受 験 体 制 や 検 定 試 験 の 枠 組 み で は、 しっ か り と した 語 彙 と文 法 知 識 を持 っ た 英 語 力 が 高 い評 価 を受 け る 。 高 校 、 大 学 受 験 で は 書 き言 葉 に偏 重 し て お り、 実 用 英 語 検 定 な ど は、 文 法 、語 彙 、 読 解 、 英 文 和 訳 、 和 文 英 訳 、 リ ス ニ ング 、 英 語 面 接 に至 る まで あ らゆ る技 能 を試 され る。 学 習 者 の認 知 ス タ イ ル や 思 考 パ タ ー ン の違 い か ら、これ らの技 能 間 に は 通 常 ば らっ きが あ るが 、 そ の 方 が む し ろ 自然 で あ る6

中学 、 高 校 の英 語 に まっ た くっ い て行 け な くな っ て し まっ た 生 徒 に と っ て は、 卒 業 ま で の 残 る英 語 の 授 業 は 、 た だ 過 ぎ るの を待 っ て い るだ け の 非 生 産 的 な 時 間 で あ る ばか りか 、 苦 痛 で あ り精 神 衛 生 上 好 ま し くな い 。 そ ん な 彼 ら

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の 中 に も 目 を輝 か せ 洋 楽 に耳 を傾 け、 カ ラ オ ケ で 歌 っ た り、 歌 詞 を部 分 的 に 口 ず さ む者 は い る は ず で あ る。 英 語 は、 洋 楽 とい う形 態 を取 り、 既 に若 者 の サ ブ カ ル チ ャ ー と し て浸 透 し て い る事 実 を な ぜ 教 育 者 は無 視 し続 け るの だ ろ うか。 洋 楽 を活 用 した 英 語 授 業 を展 開 し て い る人 た ち は 、 英 語 が 不 得 意 な学 生 に対 し て英 語 へ の関 心 を高 め、 動 機 づ け を与 え よ う と して い る教 育 者 も多 い の で あ る。(Moriguchi&Kimura,2002)

もち ろ ん、 コ ミ ュニ ケ ー シ ョン上 、 洋 楽 の 聞 き取 り能 力 や 歌 唱 力 な ど は本 人 の ニ ー ズ や 選 択 し だ い で あ り、 不 要 と考 え る人 が 多 い の は確 か で あ る。 し か し、 そ れ は事 実 誤 認 で あ る。 洋 楽 は英 語 使 用 の 使 用 域 と して しっ か り と認 識 さ れ 、中 学 、高 校 の教 科 書 に は独 立 した 章 を設 け、制 度 的 に洋 楽 を用 い て 、 歌 え る状 態 に ま で 指 導 す る こ とを シ ラ バ ス に 明記 す べ きで あ る。 そ して 、 定 期 試 験 等 に お い て も音 楽 の 実 技 試 験 の よ う に、 歌 唱 力 は 問 わ ず と も、 正 し い 発 音 で し っか り と歌 う技 能 が評 価 対 象 に入 れ られ て もよ い の で は な い だ ろ う か 。 この よ う に評 価 法 を大 胆 に柔 軟 化 し多 様 な基 準 を設 け る こ とで 、 従 来 の 評 価 法 で は、 は じか れ て い た 英 語 学 習 者 を救 う道 も開 け るだ ろ う。

2‑7.生 涯 の 知 的 資 産 と して の 洋 楽

筆 者 は米 国 で 英 語 を教 え て い た 時 期 を入 れ12年 以 上 洋 楽 を取 り入 れ て い るが 、 卒 業 後 も この 洋 楽 の部 分 を思 い 出 に語 る卒 業 隼 は少 な くな い。 また, 日本 語 の授 業 で は,カ ラ オ ケ を導 入 し,日 本 の流 行 歌 や 「上 を 向 い て 歩 こ う」

な ど の ス タ ン ダ ー ドを 使 っ て リス ニ ン グ と歌 唱 指 導 を行 っ た こ と も あ る。

TheBeatlesのYesterdayぐ ら い な らカ ラ オ ケ で 歌 え る 日本 語 母 語 話 者 も 多 い か も知 れ な い が 、30曲 の 洋 楽 が 歌 え る人 は少 な い は ず で あ る。 カ ラ オ ケ に限 らず 、 ス タ ンダ ー ドの 曲 を選 ぶ こ と に よ り、街 角 のBGMな どで い ず れ か の 曲 を耳 に した 時 に、そ の 授 業 の様 子 が 鮮 明 に思 い 出 され る か も知 れ な い。

洋 楽 は イ ンパ ク トとイ フ ェ ク トの 両 方 を提 供 し て くれ る の で あ る。

ア カ デ ミッ ク な 英 語 か ら空 気 の ご と く身 近 に存 在 す る洋 楽 へ と視 点 が シ フ ト した学 習 者 は 、英 語 に対 す る精 神 的距 離 が 縮 まっ た と答 え る。そ して 、洋 楽

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洋 楽 を活 用 した リス ニ ン グ活動 9ヱ

に 限 らず 、 日本 社 会 に溢 れ る英 語 の音 を耳 に す る度 に 、耳 を そ ば た て 内 容 を 把 握 し よ う とす る習 慣 が 身 に付 い た とす れ ば 、 そ れ は洋 楽 を授 業 に 導 入 した 大 きな 成 果 と して 考 え て も よ い の で は な い だ ろ うか 。APPENDIXVは 小 樽 商 科 大 学 で 平 成14年 後 期 の 授 業 で 行 っ た ア ンケ ー トの 結 果 を ま とめ た も の で あ るが 、洋 楽 を一 部 取 り入 れ た 筆 者 の授 業 を半 年 受 講 した 結 果 、「普 段 洋 楽 を 聞 く とき も、歌 詞 を で き るだ け聞 き取 ろ う と思 う よ うに な った 」「洋 楽 を た だ 聞 き流 す だ け で な く歌 詞 を 聞 き取 ろ う とす る よ うに な り ま し た 」 「今 ま で は、 無 意 識 に 聞 い て い た 曲 も言 葉 に 注 目す る よ う に な っ た 」 な どの コ メ ン ト が あ る よ うに 、 意 識 的 に 英 語 の音 を追 う習 慣 が 形 成 さ れ た 者 が 少 な くな い こ

とが わ か る。

3=洋 楽 の 選 択 か ら教 室 内 で の 実 践 ま で 3‑1.洋 楽 の 選 定

担 当 の ク ラ ス に は、 学 習 レベ ル の差 や 雰 囲 気 や 求 め るニ ー ズ の違 い な ど、

担 当者 の みが 授 業 の 経 緯 の 中 で 知 り う る考 慮 す べ き事 情 が 多 い。 授 業 で 使 用

'

す る 洋 楽 の 選 曲 に つ い て は 、 新 た な 事 情 を 考 慮 し て 、 準 備 し て い た 曲 を や め 、 代 わ り に 学 生 の ア ン ケ ー ト な ど で 流 行 の 曲 を 選 ん で 準 備 す る こ と も あ り 得 る が 、教 師 自 身 の 嗜 好 も 選 曲 の 重 要 な 決 定 要 因 と な る こ と を 忘 れ て は な ら な い 。 Graham(1992,p.44)は 、 次 の よ う に 提 案 し て い る:

Thetypeofmusicthatyouselecttopresenttoyourclasswill dependonthestudentsthemselvesandyourownmusicalback‑

groundandexperience.Ingenera1,Ithinkit'sagoodideatostick withmusicthatyouyourselfloveandfeelcomfortablewith.

しか し、 この 基 準 だ けで は教 材 と し てふ さ わ し い もの が 選 ばれ る保 証 は な い 。 個 人 的 嗜 好 を優 先 させ る だ けで は、 特 定 の ジ ャ ン ル に偏 り、 語 彙 、 音 声 的 に も教 材 と して 不 適 切 な もの に な りか ね な い 。 以 下 に 示 した 基 準 を考 慮 の 上 、 選 定 す べ きで あ る 。

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孕【す ぎな い雛 に発 淳 さノzノ乞野 き47ク や す い磁

言 う まで もな く教 材 と して使 用 す る の が 目的 な の で 、 聞 き取 り能 力 の習 得 を促 進 す る も の で な けれ ぼ な ら な い。 また 、 ま っ た く聞 き取 れ な い 曲 は 、 学 習 者 の意 欲 を削 ぐだ けで な く、 自信 を喪 失 させ て し ま う。 そ の た め に は 明 瞭 な 発 音 で歌 わ れ て い る こ とが 望 ま し い。

また 、 洋 楽 の歌 詞 は、 日常 の会 話 の速 度 よ りず っ と早 く発 音 され る もの か ら、 か な りゆ っ く り発 音 され る もの ま で 、 多 種 多 様 で あ る。 目 的 や 学 習 者 の レベ ル に合 わ せ て選 曲 す る に は 、 日頃 か ら教 師 の方 で 多 くの洋 楽 に接 し、 新 曲 を聞 い た 時 に も、 自分 の 担 当 す る どの ク ラ ス に適 切 で あ る か とい う意 識 を 持 つ こ とが大 切 で あ る 。

翼1な麦 劾 曽 ま犯 で い な い吻

洋 楽 の歌 詞 は、 常 に文 法 的 で あ る とは 限 らず 、 歌 と して の美 し さが 優 先 さ れ る こ とが よ くあ る。 また 、 歌 詞 の 内 容 も論 理 的 で 明 確 な 内 容 の もの か ら主 観 的 で 印 象 的 か つ 抽 象 的 な もの も多 く、い った い何 を伝 え よ う と し て い るか 、 不 明 な も の も少 な くな い 。 同 様 に、 語 彙 や 表 現 につ い て も 日常 で は あ ま り使 用 しな い 大 げ さな 表 現 や俗 語 や 卑 語 も出 て くる もの もあ り、 曲 の選 定 に は細 心 の注 意 を払 わ な けれ ば な ら な い。

一 般 に教 育 上 不 適 切 と考 え られ る表 現 が 出 て くる 曲 は避 けた 方 が無 難 で あ る。 音 楽 は記 憶 に残 りや す く、 不 適 切 な 表 現 も流 す だ け で は済 ま さ れ な い こ とが あ る。 い つ ど こで ふ と出 て し ま うか 予 測 で きな い もの で あ る。 幼 児 向 け の 曲 な ど は そ の 点 安 心 で き るが 、 ロ ッ ク な どで人 を中 傷 す る表 現 が 使 わ れ て い た り、"Hedon't̲"や"Heain't̲"な ど学 習 者 に は使 っ て ほ し くな い 表 現 が 頻 出 す る もの が 少 な くな い。 この 点 に 関 し てGraham(1992,p.43)は 次 の よ う に述 べ て い る:

Whilethesongsthemselvesmaybesuperb,thelyricscanbeso

ungrammaticalthattheywouldonlyaddtotheconfusionofthe

newlanguagelearner.Forexample,"Iain'tgonnaworkon

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洋 楽 を活 用 した リスニ ング活 動 93

Maggies'farmnomore."

こ こ で 指 摘 し た い の は 、"thenewlanguagelearner"と い う 記 述 で あ り 、 英 語 の 基 本 を 学 ん で か ら 入 学 し て く る 大 学 生 に っ い て は 、 事 情 を し っ か り と 説 明 す れ ば 混 乱 す る こ と は な い も の と考 え ら れ る が 、 知 的 財 産 と し て 洋 楽 を 持 ち 歌 に し て あ げ る か ら に は 、 や は り適 切 な 内 容 を 適 切 な 語 彙 や 文 法 で 書 い

た 歌 詞 の 曲 を 選 び た い も の で あ る 。

教 室)勾の廃 寮7〆こ遊 虜クな 憂 さの碑

大 学 の講義 の よ う に90分 も あれ ぼ別 で あ る が 、 中学 ・高 校 の よ う に50分 程 度 の授 業 で は、 あ ま りに も長 い 曲 は適 切 で は な い。 そ の よ うな 場 合 は部 分 的 に使 用 した り、 何 度 か の 授 業 に 分 け て分 割 して 行 う方 法 も考 え られ る。 筆 者 の 大 学 の 授 業 で は授 業 の初 め の15分 以 内 に聞 き取 りか ら合 唱 ま で 終 らせ

よ う とし て い る。

筆 渤 麗 業 で懇 〆 こr魔涙7乙 で い る 離 奨

以 上 の3点 の 基 準 を考 え る と 、 ヘ ビ メ タ や ラ ッ プ よ り も オ ー ル デ ィ ー ズ や ポ ッ プ ス が ふ さ わ し く 、 街 角 のBGMで よ く耳 に す る 、 時 代 は 古 い も の の ス タ ン ダ ー ド曲 と し て 今 も な お 耳 に す る 、TheBeatles、ElvisPresley、Carpen‑

ters、ABBA、Simon&Garfunkelな ど の 曲 が 望 ま し い 。 以 下 の 表 は 、 筆 者 が 選 定 し 、 毎 年 の よ う に使 用 し て い る 洋 楽 の リス トで あ る 。

表:筆 者 が 授 業 で 使 用 す る洋 楽 の リス ト

1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 , ‑

Eyeofthetigerll Dancingqueen12 YesterdayoncemQre13

Believe14

Bridgeovertroubledwater15 Myheartwillgoon16 Crazyforyou17 Foryoureyesonly18 Gowest19 NewYorkcityboy20

Takemehomecountryroad26 Y.M.C.A.

Inthenavy Sukiyaki Standbyme Yesterday

Unchainedmelody Candleinthewind Prettywo皿an Imagine

1 2 3 4 5 7 8 9 0 2 2 2 2 2 2 2 2 3

Lovemetender

Can'thelpfallinginlove

Mr、Lonely

EICondoraPasa

Topoftheworld

LastChristmas

Tearsinheaven

Whataworlderfulworld

That'swhatfriendsarefor

Wearetheworld

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この リス トは、 国 立 大 学 の 通 年 の 英 語 授 業 の シ ラバ ス に 掲 示 して い る もの で 、毎 時 間1曲 ず つ 使 用 し、全 部 で30曲 を用 意 して い る。授 業 で す ぐ使 用 で き る よ う に120分 の オ ー デ ィオ テ ー プ に30曲 全 部 収 録 した もの を用 意 し て い る 。ク リス マ ス の 頃 に26の 曲 が使 用 す る な ど、配 列 に は季 節 の こ と を考 慮 に入 れ て い る。

この リス トの 曲 は、過 去12年 間 の 授 業 の積 み 重 ね で 、学 生 か らの フ ィー ド バ ック を基 に何 度 も入 れ換 え を行 っ て きた もの で あ る。Murphy(1985)は 、学 習 者 自 身 を理 解 し、最 新 ポ ップ ス につ い て情 報 を得 る方 法 と して 、好 きな アー テ ィ ス ト、曲 名 な どの 調 査 を行 う こ とを奨 励 して い る。こ の リス トの 中 に は 、 筆 者 の授 業 の 中 で課 題 と して授 業 で扱 っ て い る 曲以 外 に好 きな 曲 を選 ん で 歌 詞 と録 音 テ ー プ を提 出 させ る課 題 を 出 した こ とが あ り、7、19、23、27、28 の5曲 は、 そ の 際 に追 加 さ れ た もの で あ る。

3‑2.洋 楽 の 聞 き取 りシ ー トの作 成

授 業 で の 配 布 物 は、 受 講 生 だ け で は な く、 友 人 、 他 の教 官 、 親 の 目 に まで 触 れ る 可 能 性 が あ り、 十 分 適 切 で 誤 りな どな い よ う に気 を っ け な け れ ぼ な ら な い。 また 、 教 師 の 個 性 や 感 性 が 反 映 され る もの で あ る の で 、 学 習 者 を思 い 遣 り、 わ か りや す く、 た め にな る情 報 を盛 り込 み 、 欠 席 した 学 習 者 が 後 日見 て もわ か る もの が 理 想 で あ る。 以 下 の 点 に注 意 して シ ー トを あ らか じ め1年 分 ぐ らい 作 成 し、毎 回 の授 業 で の 、フ ィ ー ドバ ッ ク を 基 に直 して い く とよ い 。

STEP1:LISTENINGFORCOMPREHENSION(内 容 把i握)

歌 詞 カ ー ド を 見 な い よ う に 指 示 し、 全 神 経 を 耳 に 集 中 さ せ 、 聞 か せ る 。 こ の 際 お お ま か な 内 容 が 理 解 で き る よ う に 、 あ ら か じ め 設 問 を 設 け 、 聞 き取 り の ポ イ ン ト を 学 習 者 に 定 め さ せ る 。 こ の プ ロ セ ス を 一 度 踏 ん だ 上 で 次 の 音 声 認 識 に 移 行 す る と よ い 。

APPENDIXIに あ るBridgeOverTroubledWaterの 例 を 挙 げ れ ば 、 内

容 把i握 の タ ス ク は 、 以 下 の よ う なquestion&answer(質 疑 応 答)、trueor

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洋 楽 を活 用 した リスニ ング活 動95

false(内 容 真 偽)、sentencecompletion(文 完 成)な どが あ る が 、時 間 の 関 係 や 学 習 者 の 負 担 な ど か ら 項 目 は ひ と つ に 絞 っ た 方 が よ い ガ ろ う。 歌 詞 の 一 部 分 に 言 及 し た も の で は な く、 お お か ま な 歌 詞 全 体 の テ ー マ や さ び(refrain)の 部 分 に 表 れ や す い 歌 詞 全 体 の 主 旨 を 問 う よ う に 作 る こ と が 理 想 で あ る 。

question&answer(質 疑 応 答)

Listentothesongandchoosethebestanswertothefollowingquestion.

Question:Whatwillthesingerdoifhisfriendisintrouble?

A)Hewillencouragehisfriendtohelphimself.

B)Hewilladvisehisfriendtocalmdown.

C)Hewilltrytocomforthisfriend.

trueorfalse(内 容 真 偽)

Listentothesongandcheck"T"ifthefollowingstatementistrue aboutthesong;choosè̀F"ifitisnot.

Statement:Thesinger'sfriendbecamesuccessfulafterahard periodoftime.(T/F)

sentencecomp'etion(文 完 成)

Listentothesongandchoosethebestphrasetocompletethefollowing sentence.

Sentence:Thesingerisreadyto‑一 一 一 ・ ・ 一 一.

A)comforthimwhenhisfriendisintrouble B)tellhimhowtoovercomehistrouble C)persudehimtochangehiscourseoflife

STEP2=LISTENINGFORPERCEPTION(音 声 認 識)

内容 把 握 の後 に は、 音 声 変 化 が豊 富 な洋 楽 の 特 徴 を活 か し、音声認 識 のタ

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ス ク を行 う。 一 般 的 な タ ス ク とし て は、 空 欄 穴 埋 め 、 語 彙 選 択 、 相 違 箇 所 の 指 摘 、 並 べ 替 え な どが あ る が 、 以 下 、 空 欄 穴 埋 め 、 語 彙 選 択 を作 り方 を 説 明 す る。

ンベ ノレに 否 わ ぜ た欝 と翻

曲 全 体 や 一 定 の長 さ を デ ィク テ ー シ ョ ンす る方 法 は有 効 で あ るが 、 何 度 も テ ー プ を再 生 しな けれ ば な らず 、1、2回 しか 再 生 で き な い授 業 時 間 の制 限 か ら は、 簡 易 化 した 空 欄 穴 埋 め や 語 を選 択 す る形 式 の 方 が 適 切 で あ る。 全 文 デ ィ ク テ ー シ ョン な ど は課 題 と して 出 した り、 ま と ま った 時 間 が 取 れ た 時 に 行 う方 が よい か も知 れ な い。

また 、 空 欄 や 選 択 の 箇 所 の数 は レベ ル が 上 が る ほ ど増 や す と よ い。 低 い レ ベ ル で は 、 い ま どの部 分 を歌 っ て い る か を把 握 す る こ とさせ 困難 な こ と もあ るの で す べ て 選 択 に した 方 が よい 。 選 択 す る語 彙 もス ペ ル が 難 解 で 書 く時 間 が か か る もの は さ け 、 日常 生 活 で の 使 用 頻 度 の高 い もの を選 ぶ よ う に す る。

さび 》ク議 分 κ舗

さび の部 分 は、 繰 り返 し聞 く機 会 が あ るの で 、 そ の 分 難 しい部 分 を選 び 、 選 択 よ り も空 欄 に して 、 聞 き取 っ た 単 語 また は フ レ ー ズ を書 き入 れ る よ う に す る。 レベ ル に応 じて 、 単 語 の ス ベ ル の一 部 を以 下 の よ う に あ らか じ め書 き 入 れ た もの を提 示 す るの も よ い 。

例1)Therearepeopledyingandit'stimeto(2:l theWolrd)

例2)Wecan'tgoon(4:ping)daybyday

)ahand(Weare

凝7

さび の部 分 に対 して 、 他 の部 分 は通 常 一 度 しか 聞 くこ とが で きな い の で 、 そ れ だ け答 え方 が 容 易 な 方 法 に しな けれ ぼ な ら な い。 語 彙 選 択 の形 式 に す る 場 合 は、 な るべ く学 習 効 果 が あ る よ う に、 ミニ マ ル ペ ア 、 同 音 異 義 語 や 音 声

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洋 楽 を活 用 した リス ニ ング活 動 97

的 に紛 らわ しい 組 み合 わ せ を考 え る。

例3)Wearetheonestomakea(2:better/幽)day(Wearethe Wolrd)

例4)When(1:atear/tears/thetears)...(BridgeOverTroubledWater) 例5)Iwill(6:callon/counton/comfort)you.(BridgeOverTroubled

Water)

遊 勿 な騰

空 欄 や 選 択 を作 る箇 所 の 間 隔 は 、 学 習 者 の レベ ル や 曲 を歌 う早 さ に よ っ て も異 な る が 、 最 低5語 分 は間 隔 を開 け、1行 に2か 所 以 上 は作 らな い方 が よ い。 シー トを 作 成 す る 際 に、 実 際 に 自分 自 身 で 書 き取 りを行 っ て み た り、 タ ス ク中 に学 習 者 の表 情 や 手 元 を よ く観 察 す る こ とが 大 切 で あ る 。

3‑3.テ ー プの 再 生 と解 答

洋 楽 の 中 に は、 早 口 の た め母 語 話 者 に も聞 き取 れ な い もの もあ る。 学 習 者 の レベ ル の応 じて 速 度 調 整 機 能 が付 い た カ セ ッ トプ レー ヤ ー で再 生 速 度 を調 整 す る こ と も可 能 で あ る。こ の点 、CDやMDよ り も従 来 の オ ー デ ィオ テ ー プ の 方 が 便 利 で あ るが 、速 度 を落 と して も洋 楽 独 自 の音 声 変 化 の た め に、 何 度 ゆ っ く り再 生 し て も聞 き取 れ な い場 合 もあ る。 そ れ が歌 詞 の一 部 で あれ ば 、 空 欄 な どを そ こ に作 らな い こ とで 問 題 は な い が 、 歌 詞 全 体 が そ うで あ る場 合 は、1度 聞 か せ た 後 で 、教 師 が ゆ っ く り と音 読 して あ げ る こ と も考 え られ る。

瀦 ξ鱗

Kane1(1995、1997、1999)は 、全 体 を少 な く と も2度 再 生 す る必 要 が あ る と 主 張 し て い るが 、 現 実 に は洋 楽 専 用 の ク ラ ス で は な い 限 り、1度 しか 再 生 で き な い場 合 が あ る の で 、1度 聞 い た だ け で タ ス クが 完 成 で き る よ う に、 空 欄

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や語 彙 選 択 も無 理 が な い もの を作 成 し な け れ ば な らな い 。 ま た 、 全 体 を再 生 せ ず に、 特 定 の 難 解 部 分 を2、3度 聞 か せ る こ とが 必 要 な の か も知 れ な い 。

基 本 的 に は一 度 再 生 させ た ら、 曲 の終 り まで そ の ま ま聞 か せ るの だ が 、 書 き取 りの 時 間 を与 え た り、 学 習 者 の 様 子 か ら、 どの部 分 が 歌 わ れ て い る の か が わ か らな く混 乱 して い る こ とが わ か れ ぼ 、 即 座 に停 止 し、 巻 き戻 し て や り 再 生 し直 さね ば な らな い 場 合 も考 え られ る。 よ く学 生 の 顔 の表 情 や 手 元 を観 察 し な け れ ば な らな い 。

ボ グユ ー ム認 整

ボ リュ ー ム で 一 番 気 を つ け な くて は な らな い こ と は、 学 習 者 へ の 配 慮 よ り も現 実 に は 他 の 教 室 や廊 下 へ の 音 の 漏 れ で あ る。筆 者 は 日米 の 大 学 にお い て 、 何 度 も再 生 中 に他 の教 員 か ら授 業 中 ま た は 授 業 後 に激 し く抗 議 され た 経 験 を 持 つ 。 そ れ を避 け るた め に は 、 ヘ ッ ドホ ン を使 うか 、 な い場 合 は ボ リ ュー ム を下 げ て耳 を そ ぼ た て る よ う聞 くよ うに 指 示 す る。 また 、 上 級 者 の場 合 は、

故 意 的 に ボ リュ ー ム を下 げ る か 、 テ ー プ を再 生 させ な が ら手 を叩 い た り呼 び 鈴 を鳴 らす な どの雑 音 を入 れ る こ とで 、 目標 音 声 に よ り集 中 す る訓 練 を取 り 入 れ る こ と も考 え られ る。

時 間 の 配 分 を考 慮 し、 この部 分 は な るべ く簡 潔 に時 間 を か け な い よ う に し た い。 しか し、 テ ス トで は な くタ ス ク と して 音 声 認 識 能 力 を 高 め よ う と して い る の で 、 解 答 に至 る プ ロ セ ス を しっ か り と説 明 した い と こ ろで あ る。 一 般 的 に は 、 まず 全 体 の 解 答 を教 師 が 口頭 で 上 か ら下 まで 全 部 言 って か ら必 要 に 応 じ て解 説 す る よ う に した い 。 時 間 の余 裕 が あ れ ぼ、 再 び再 生 し て、 空 欄 や 選 択 の 部 分 が 流 れ た 時 点 で 停 止 し解 答 す る。 必 要 な解 説 や 聞 き取 りの 注 意 点 を教 え る よ うに した い。 また 、 教 師 が 一 方 的 に解 答 す る よ りも、 何 人 か の 生

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洋 楽 を活 用 した リスニ ング活 動 99

徒 ・学 生 を あ て た り、 選 択 の場 合 は、 挙 手 させ る な ど して、 あ る程 度 の 緊 張 感 を与 えて お か な い と、 真 剣 に聞 き取 ろ う と しな い 者 が 現 れ るの で 状 況 に応

じ て判 断 し な け れ ぼ な らな い 。

3‑4.語 彙 、 文 法 、 音 声解 説 つ初 ㌶

空 欄 や語 句 選 択 の 解 答 後 、歌 詞 の全 部 また は一 部 を 日本 語 に訳 す こ と もで き る。 た だ し、 これ に は膨 大 な 時 間 を要 す る た め 、 洋 楽 専 用 の 授 業 で な い 限 りは省 略 す る か 、 あ らか じめ和 訳 をハ ン ドア ウ トに載 せ て お くか 、 また は タ ス ク後 に別 紙 で 配 布 す る と よい 。 一一部 分 を指 名 して 和 訳 させ た り、 和 訳 を逆

に英 訳 さ せ 、 歌 詞 と比 較 し添 削 す る タ ス ク も可 能 で あ る。

重 黒 表 盟 や 文 房

時 間 の 許 す 限 り 歌 詞 の 中 の 表 現 が 日 常 生 活 で ど の く ら い 使 用 さ れ る も の か 、 ま た ど う い う 時 に 使 え る 表 現 で あ る か 説 明 す る よ う に し た い 。 文 法 的 な 知 識 を 確 認 し た り特 定 の 文 法 事 項 の 復 習 に 活 用 で き る 例 も多 い 。

例 え ば 、以 下 はCarpentersのYesterdayOnceMoreの 一 節 の 語 彙 選 択 で あ る 。

ItwassongsoflovethatIwouldsingto(8:them/then/there)

これ は歌 詞 を実 際 に聞 か な くて も"then"と 分 か るが 、 そ の 理 由 を きち ん と説 明 で き る学 習 者 は以 外 に 少 な いか も知 れ な い 。 そ の た め選 択 に して も よ い 箇 所 と言 え る。 実 際 聞 い て見 る と"them"と"then"は 一 音 節 の ミニ マ ル ペ ア で あ るた め に 聞 き分 け は 困難 で あ る。 この よ うな 場 合 は、 文 法 的 な知 識 を 活 か して 決 定 す る こ とが 実 際 の 英 語 使 用 場 面 で は よ くあ る こ とで あ る 。ま た 、 次 の 例 はCelineDionのMyHearWillGoOnの 一 部 で あ る。

Faracrossthe(4:distance/distances)and(5:space/spaces)betweenus.

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そ れ ぞ れdistanceとspacesが 正 解 で あ る が 、 前 の例 の よ う に 聞 く前 か ら 選 択 す るの は難 しい 。 両 者 と も可 算 名 詞 に も不 可 算 名 詞 と して も使 わ れ る こ と もあ るの で 文 脈 で 決 定 さ れ る こ とに な る。 筆 者 は実 際 に何 人 か の英 語 の ネ イ テ ィヴ ス ピ ー カ ー に なぜdistanceとspacesと い う単 複 の違 い が 生 じ るか 聞 い た こ とが あ るが 答 え に 窮 す る人 が 多 か っ た。

文 法 的 な 面 に っ い て も学 校 文 法 で非 文 法 的 と され る文 が含 まれ る歌 詞 は使 用 し な い 方 が い い と思 わ れ るが 、 教 育 的 な 配 慮 か ら む し ろ そ れ を指 摘 す る作 業 を教 室 内 で 行 う場 合 も可 能 で あ る。例 え ぼ、Simon&GarfunkleのBridge OverTroubledWater(明 日 に カ・け る橋)に 次 の 一 節 が あ る。

Whenyoza'rez〃 θα窃feeling'small.

Whentearsare勿 ツozareyes,∫wi〃d7fythemall.

1'mon夕ourside,oh,whentimesgetrozagh.

・4ndfriends勿s'can'tbefound

LikeaB万 ㎏60verTroubledWaterIz〃ill勿medown.

LikeαBridgeOverTroubledVVaterlwill勿medoz〃n.

こ の 中 で 下 線 部 の 文 は明 らか に非 文 で あ り、 本 来 な らmeは 再 帰 代 名 詞 の myselfに しな け れ ぼ な らな い と こ ろ で あ る。これ は教 師 よ り も学 生 に正 しい 形 に書 き改 め る よ う指 示 す べ きで あ る。 また 同時 に、 なぜ 非 文 が 使 用 され て い る の か を説 明 しな けれ ぼ な ら な い。 これ は作 詞 者 の 教 養 が 原 因 で あ るの で は な く、あ く まで も音 楽 性 に基 づ く表 現 で あ り、単 に歌 いや す さか ら こ うな っ た と説 明 す る のが 妥 当 と考 え られ る。 この さ び の部 分 は"Iwilllaymyself down."と す る と演 奏 に合 わ な くな り、早 口で 歌 わ な くて は な ら な くな る。歌 詞 に 曲 を 付 けた の か 、 そ の反 対 な の か は 定 か で は な い が 、 この 部 分 に 関 して は、 曲 の 方 は とて も よ い連 結 と な っ て い る部 分 で あ り、 音 学 性 が 文 法 性 よ り 優 先 さ れ た もの と考 え られ る。 「歌 詞 で は よ くあ る こ とだ 」とい う こ と を学 生

に説 明 す る こ とは 重 要 で あ り、 歌 詞 を そ の ま ま真 似 て 使 用 して は い け な い場 合 が あ る こ とを教 え る必 要 が あ る。

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洋楽 を活 用 した リス ニ ン グ活 動 ヱ0‑Z

契澹

洋 楽 を使 用 した リス ニ ン グ の意 義 は、 語 彙 文 法 よ り も そ の音 声 に あ る と言 え る。(Brown&Helgesen,1986)調 音 、 ス トレ ス 、 イ ン トネ ー シ ョン、 リ ダ ク シ ョ ン、 コ ン トラ ク シ ョン な どの 音 声 学 的 知 識 を学 習 者 に実 際 に音 を 聞 か せ な が ら例 示 す る こ とが 可 能 で あ る。特 に、リダ ク シ ョ ン とコ ン トラ ク シ ョ ン は 、洋 楽 に は多 く発 生 し、 中 で もカ ン トリー は豊 富 で あ る。(Griffee,1986, p.20)そ の た め に、 特 定 箇 所 を何 度 も再 生 す る こ と も必 要 で あ る。

歌 手 の 個 人 的 癖 や 曲 の 特 質 か らか な り変 わ った 発 音 を聞 く こ とが あ り、 歌 詞 カ ー ドを見 比 べ て も納 得 で き な い 場 合 もあ る。例 え ば、次 の 歌 詞 はWeAre TheWorldの 一 節 でSyndyLouperが 歌 う"Let'srealizethatachangewill onlycome."部 分 は、 何 度 聞 い て も歌 詞 の通 りに は 聞 こ え な い と ほ とん どの 学 生 は言 う。

また 、 あ る曲 の 一 部 が 日本 語 の よ う に聞 こ え る もの が あ る。 これ を専 門 に 取 扱 っ た テ レ ビ番 組 がTBSの 金 曜 日 に放 映 され る 「タ モ リ倶 楽 部 」の 「空 耳 ア ワ ー 」 で あ る。 視 聴 者 か ら番 組 に 送 られ た英 語 に 限 らず 海 外 の音 楽 で 日本 語 の よ う に聞 こ え る部 分 を ビ デ オ ク リッ プ に して1分 程 度 の ドラ マ 仕 立 て に して 紹 介 して い る。 例 え ぼ、 以 下 の例 は筆 者 が 授 業 で 実 際 に使 用 した もの で あ る 。 筆 者 は収 録 し た番 組 の 中 か ら面 白 そ うな も の を授 業 で 使 う こ とが あ る が 、 学 生 の反 応 はた い へ ん よ い。 番 組 自体 は教 育 的 と は言 え な い もの の、 こ の コ ー ナ ー に つ い て は 、音 声 の不 思 議 を体 感 させ られ 、 重 宝 す る。

オ リ ジ ナ ル

(1)She'sshakinglikedashboarddo11.

(2)1'mnotgoodforbetter.

(3)should'vebeen,could'vebeen, would'vebeen

空 耳

人 生 ゲ ー ム 投 げ 出 し も う た 何 を 押 す と出 る?

白べ ん 、 黒 べ ん 、 和 田 べ ん

番 組 で は た だ 「不 思 議 で す ね え 」 を連 発 す るだ けで 音 声 学 的 な説 明 は一 切 な い 。 教 師 と して は使 用 す るか らに は、 何 らか の 音 声 学 的 説 明 を加 えた い と

(22)

こ ろ で あ る 。 こ こ で 特 記 し て お き た い の は 、 ビ デ オ ク リ ッ プ の 中 で オ リ ジ ナ ル が ス ー パ ー で 画 面 上 の 提 示 さ れ る の だ が 、正 確 で な い 場 合 が あ る 。例 え ば 、 上 記 の(3)は 放 送 当 時(平 成10年)で は 、"souldofbeing,couldofbeing,

wouldofbeing"と 表 示 さ れ て い た 。"sould"は"should"の 間 違 い で あ る こ と は 明 白 で あ る が 、ofに つ い て は こ の よ う な 文 法 も あ る の か と聞 き 流 し て し ま っ た 視 聴 者 も 多 か っ た の で は な い だ ろ う か 。 こ れ に は筆 者 も一 瞬 当 惑 し、

番 組 に 問 い 合 わ せ て 確 認 し た わ け で は な い が 、 こ れ は 助 動 詞 とbeingの 間 に はhaveは あ り 得 な い し 、ofに 近 い 音 と し て"‑ve"と い う 短 縮 形 で あ る と考 え 、beingはbeenの 間 違 い で あ る に 違 い な い と 当 時 授 業 で 説 明 し た 。 そ れ が 平 成13年 の 年 末 の 特 別 番 組 で 同 コ ー ナ ー の 過 去 の 傑 作 集 で(3)の ビ デ オ ク

リ ッ プ が 流 れ た 時 に は 、 私 が 指 摘 し た よ う に 訂 正 さ れ て い た 。

3‑5.合 で徐 鰐

音 声 的 説 明 は た だ 納 得 させ る だ けで な く、 実 際 に音 声 器 官 を使 っ て 体 感 さ せ る こ とが 大 切 で あ る。 そ の た め に全 員 き起 立 させ 、 教 師 自 ら先 陣 を切 っ て テ ー プ に合 わ せ て 歌 う。 音 量 は聞 き取 りに使 用 した 時 とほ ぼ 同 じで よい 。 な る べ く歌 詞 カ ー ドに 頼 らず 顔 を 上 げ て 歌 う よ う に 指 示 す る。 そ の た め に OHCな どで シ ー トを提 示 し、そ れ を見 な が ら歌 う よ う に指 示 す る。 また 、筆 者 は収 録 され た 曲 が あ る時 はDVDの カ ラ オ ケ ソ フ トを利 用 し て い る。

灘 卿 こ求 め6泥 る 姿 勢 一

こ の 際 に 注 意 し な け れ ば な ら な い の は 、 教 師 自 身 が 恥 ず か し そ う に し た り た め ら っ た 様 子 を 絶 対 に 見 せ て は な ら な い こ と で あ る 。Brown&Helgesen

(1986,p.10)は 、 教 師 自 身 の た め ら い に つ い て 、 以 下 の よ う に 述 べ て い る:

(23)

洋 楽 を活 用 した リスニ ング活 動 103

Whentalkingtootherteachers,weoftenhear"ButI'mnotagood singer!"Norleofthetechniquessuggestedrequiresingingandwe have,attimes,usedthemwithouthavingthestudentssing.Oneof uscangetbyatkaraoke,theotheristonedea£Butusuallywe singandthestudentsdotoo.Aftera11,that'swhatsongsare meantfor.

"N

oneofthetechniquessuggestedrequiresinging"の 部 分 は、 彼 らが 論 文 し紹 介 して い る洋 楽 を使 用 した 活 動 に 限 定 さ れ る判 断 で あ って 、 こ こで 筆 者 が 論 じて い る洋 楽 を活 用 した 活 動 で は、 合 唱 す る こ とを重 視 し て い る。 教 師 は、 堂 々 と毅 然 と した 態 度 で 楽 し そ う に学 生 の 方 を見 なが ら大 き な声 で 歌 い 、 で きれ ば歌 い な が ら教 室 の 中 を1周 、2周 歩 け ば、 歌 っ て い な か っ た 学 生 が 歌 い 出 す よ うに な る。 た だ し、 せ か した り、 無 理 じ い す る こ とは避 け る よ う に した い 。Griffee(1986)は 、学 習 者 は 、 ま ず歌 い 出 す 勇 気 を持 つ の に時 間 が 要 る の で 、 あせ らせ た り、 非 難 して はな ら な い と主 張 して い る。

教 師 も一 緒 に合 唱 し な け れ ば な らな い 。教 師 が た め ら え ぼ、洋 楽 に限 らず 、 学 習 者 は学 習 項 目 と して 意 識 しな くな る。 教 師 が 授 業 中 に英 語 を ま っ た く話

さな い 姿 勢 は、 同 時 に英 語 は話 さ な くて も よ い もの で あ る とい う メ ッセ ー ジ を送 っ て い るの と同 じで あ る。

3‑6.シ ー ト使 用 しな い聞 き取 りタ ス ク

歌 詞 カ ー ドが 入 手 で き な い 、 また は イ ンタ ー ネ ッ ト上 か ら入 手 し た り、 自 ら聞 き取 っ て トラ ン ス ク リプ トを作 成 して い るが 、 間 に合 わ な い 、 不 明 箇 所 が 確 認 さ れ て い な い 、 な どの諸 事 情 で 聞 き取 り用 の シー トが 準 備 で き な い 時 に は、 以 下 の タ ス ク が好 都 合 で あ る。 こ こで 紹 介 す る4つ の タ ス ク は、 洋 楽 に 限 らず 、 ニ ュ ー ス 、 洋 画 、 テ レ ビ ドラ マ な ど あ らゆ る メ デ ィア の テ ク ス ト に も応 用 で き る。

(24)

の鍛)ク ク ン み(wordorPhrasecounting)

Dissosway(1986)が 提 唱 し た 方 法 で 、単 数 形 ・複 数 形 の 双 方 が 現 れ る楽 曲 を 聞 か せ 、そ れ ぞ れ の形 態 が 何 度 出 て きた か を 数 え させ た り、特 定 の語 彙 項 目、

例 え ば10veが 何 度 認 識 で き た か を 数 え させ る も の で あ る。 タ ス ク を単 純 化 し、 聞 き取 りの ポ イ ン トを絞 る こ とで 、 闇 の よ う に不 可 解 な歌 詞 の 中 に一 点 の光 明 を見 い 出 そ う とす る も の で 、 歌 詞 の聞 き取 りに対 す る心 理 的抵 抗 を緩 和 す る と考 え られ が 、 具 体 的 な授 業 の 進 行 形 態 に つ い て は、 触 れ られ て い な

いQ

房 奏 の溝7き放 クifoczasedlistening♪

これ は特 定 の 品 詞 、 統 語 機 能 、 ジ ャ ンル の語 句 を書 き取 る方 法 で 、 これ ま で 筆 者 が 何 度 も改 良 を続 けて きた タ ス クで あ る。 リス ニ ング に お い て は、 学 習 者 の 左 脳 に あ る聴 覚 中枢 か らウ ェ ル ニ ッケ領 域 に伝 え られ た 音 声 は、 意 味 あ る単 位 に識 別 し 区分 す る"segmentation"(Richards,1987,p.162)が 意 識 、 無 意 識 の う ち の行 わ れ る 。 区 分 さ れ た そ れ ぞ れ の 単 位 に は、 語 彙 的 、 統 語 的

ラベ ル化 の い ず れ か が 、 また は両 方 が ほ ぼ同 時 に行 わ れ る。 個 々 の 要 素 の語 彙 的 な ラ ベ リ ング(lexicallabeling)だ け で は、部 分 的 に メ ッセ ー ジ は理 解 で き て も全 体 を理 解 す る正 確 さ に欠 け る 。 一 方 、 個 々 の要 素 の 統 語 的 ラ ベ ル 化 (structurallabeling)だ けで 構 造 が 分 か るだ けで は意 味 は不 明 で あ る。個 々 の 要 素 は 、 そ の語 彙 的 な意 味 と他 の語 との 統 語 関 係 が ほ ぼ 同 時 に理 解 され る こ とで 記 号 解 読 作 業 が 完 了 す る。 特 定 語 彙 の 聞 き取 り作 業 は 、 そ の プ ロ セ ス を 促 進 す る一 助 に な る と考 え られ 、 以 下3つ の レベ ル に分 け られ る。

第1は 、 動 詞 、 形 容 詞 、 副 詞 な どの特 定 の 品 詞 だ け を聞 き取 らせ る 方 法 で あ る。 品 詞 の ラベ ル 化 は、 文 の 中 で の そ れ ぞ れ の機 能 を特 定 し正 確 に セ ンテ ン ス の意 味 を理 解 す る た め に 不 可 欠 な プ ロセ ス で あ る。

第2は 、特 定 の機 能 を持 つ語 彙 項 目 を聞 き取 らせ る方 法 で あ る。「主 語 」「 詞 」 「目的 語 」 「補 語 」な ど を聞 きな が らラベ ル 化 す る こ とで 文 構 造 を理 解 し、

正 確 な セ ンテ ン ス の 意 味 を理 解 で き る よ う に な る。

参照

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