民 名 (本籍〉
学位の種類 学位記番号
学位賄与の日付 学位授与の要件 学位記文題鼠
論文審査委員
わた なべ まさし
渡 辺 征 (東 京)
獣 医 学 博 士
乙 第 79号 昭和50年12月15日 学位規則第5条第2項該当
ブドウ球菌毒素に関する研究一黄色ブドウ球菌α・毒素の結晶化とその 生物学的ならびに物理化学的性状について一
(主査)教授今井信実
(副査) 教授 古 泉 巌 教授 田 憤死享 一
論 文 内 容 の 要 旨
ブドウ球菌感染症における毒素の役割を明らかにするとともに,毒素の生物学的ならびに物理化学的性状:
を調べるためには,単離,精製した毒素を用いなければならない。結晶を形成し得るほどに高純度に精製し た毒素を用いれば,.さらに確実なものとなる。
細菌毒素はAbramsら(1946)およびLa血annaら(1946)によりポツリヌスA型毒素が初めて結晶化され て以来,破傷風毒素(Pillemerら,1948),ジフテリ.ア毒素(K:atpら,1960>お.よびコレラ毒素(Finkelstein ら,1972)等の結晶形が報告され,それぞれ針状,、平板状あるいは針状,針状あるいは平板状の長斜方(偏菱)
形として得られている。すでにブドウ球菌毒素のうち結晶化されているものにY。shlda(1963)による棒状 あるいは菱形結晶を呈するδ一毒素がある。
ブドウ球菌によって産生される種々な毒素のうち,最も強毒で,人および家畜由来のコアグラーゼ陽性の 病原性を有するブドウ球菌の多くが産生するα一毒素は,感染症に果たす役割が注目されている。同時にα一毒 素の性状には,まだ十分野明らかにされていない点が少なくない。α一毒素はMad旋ら(1962)により本格的
,な精製が始められて以来現在まで多ζの精製の報告がある。しかし,.α一毒素の結晶化に成功したという報 告はまだない。そこで本研究ではα一毒素の結晶化を試みるとともに,得られた結晶α一毒素を用ヤ・て,.α一毒素『
の生物学的ならびに物理化学的性状を解明すること等を目的とした。細菌毒素に限らず,.一般に活性物質を『
結晶化するには種々な生化学的な精製方法を用いて,活性を失活させないように注意しながら,高度に単離,
精製しなければならない。そののち。少なくと.も2種類以上の物理学的および免疫学的な純度検定法を用い
て,均_であるどとを藩罪質二二葬を都論譲二二靴k二二しない.・
α一毒素の精蜘こは強力α一毒素産生菌株として国際蝕こ知られているWo。d46を用い,、肉水培地儒肉本 に対して2%毒素用ペプトン,0.2%kH2PO4および0.03%MgSO4・7H20を加え,. pH 7、0に修正したの ち,,500m1の振盈コルベンに150m1ずつ分注)に接種し,37℃の空気中で27時間水平振壷培養(ユ20回/
分)後,冷却高速遠心機1こより遠心(10.000rpm,30分)して得た透明上清10 を出発材料とした。4℃に おいて塩化亜鉛沈澱,Sephadex G−25ゲル炉過法,デンプンゾーン電気泳動法(2回), CM・Sephadex C5。
イナン交喚クロマトグラフィーおよびペピコンゾーン電気泳動法の併用によりα一毒素を高純度に単離精製
した。このようにして精製されたα一毒素の純度を検定したところ,0.1%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム
一24一
(SDS)およひ0.5M尿素を含むSDS一ポリアクリルアミドゲ・レ電気泳動法(ゲ・膿度10%)において1本の みバンドを形成し,また寒天ゲル内沈降反応においても・ウサギ抗精製α一毒素血清との間で1本のみの沈降 線を形成し,物理学的および免疫学的に均一であることが確かめられた。
細菌毒素を結晶化するには色々な方法が報告されているが,著者はペピコンゾーン電気泳動を経て高純度 に精製されたα一毒素をViskmg社製のcel!u王ose透析膜(size・8/32)に入れ・両端を閉じ・これを4℃にお ・ ・いて大量(毎回1Z)の飽和硫安液(pH 7・0)に対して透析し・除々に結晶を形成させるという独創的な方法 を用いたところ,初めて結晶化に成功することができ た。すなわち,比較的うすい塩濃度の0・05Mリン酸
㌃ 緩衝液(pH 7,0)を溶媒とするペピコンゾー:/電気泳動後の精製α一毒素の。・2%(2 mg/m1)を4℃において し 、∵〉一飽和硫安液(pH 7・0)に対して透析すると・2日後には透析膜内に肉眼で認めうる白色沈澱が形成された。
.㌦ これを4℃において温和に遠心(1,0QO rp皿,5分)したのち,沈澱を冷却した徴量の飽称硫安液(pH 7.0)に 浮遊させ,その一滴をミク巨ピペットで清浄なスライドグラス上に取り,カバーグラスをかぶせ400倍の倍
、・
@,率で顕微鏡により観察したところ,平板状の長斜方(偏菱)形を呈する単結晶が数多く認められた。残りの結
∵や・ 晶は冷却した少量の0.05Mリン酸緩衝液(pH 7・0)に溶解したのち,40Cで再び大量の飽和硫安液(pH:7.0)
し もこ
5一一 滝対して透析し,48時間後に形成された白色沈澱を鏡検すると,やはり同様な平板状の長斜方(偏菱)形の結 ジ船、㌧・晶を数多く観察することができた。このような再結晶操作を3回繰り返した結果,平板状の長斜方(偏菱)形 糖、一 あ結晶が再現することを確認した。なお結晶は飽和硫安液(pH 7.0)には不溶性であるが,0.05 Mリン酸緩
ヤミヘヘセ い て ミ も へ ら し
蝕ぶ・衝液(pH 7. o)に1ま容捌こ溶解した・
欝欝㌧一》α」毒素の生物学的活性を測定するのに最も鋭敏で,また簡便な方法はウサギ赤血球の溶血活性を測定する 二r ジ・いと「とである。溶血単位(ヨU)は安定剤として牛血清アルブミンを0.1%(W/V)の割合に加えたO.05Mリン
ド プナ キモ
乍∵1 酸緩衝食塩水(pH 7.0)を毒素希釈液として用いてα一毒素を2倍階段希釈し,これに等:量の2%(V/V)ウサ
:、1㌧敦一 雫赤血球浮遊液を加え,37℃1時間恒温槽で水平振培(140回/分)後,遠心上清に等量の0,1%Na2CO3繕
いず@きこ
層 を加えて室温15分後,分光光度計でOD54エ。皿の吸収を測定し,50%溶血を起こすのに要するα一毒素の最大 黒讃議題度の逆数とした。
ζ1悟∵{ 舞晶α一毒素の比活性は100×103HU/mg蛋白量で,1HUは0.01μg蛋白:量に相当し,溶血活性の収量は
の を キ いニ ァ う
忌1燕愉、24%,精製率は435倍であった1HUが0.01μ9という値はBe颯helmerら(1963)およびA函uthnottら 戯・ぐ蜘の。.。5,9よ,,倍も齢、良、、。、を示。て、、。.次に編。.麟を用、、て。瀬の生物学的な、
露鯵唄㍉・
鞍懸灘難驚懇軸搬器至黙諾垂畠1驚護
穏幽灘用が示された.なお最小皮膚壊腿、・。、。3,9と、、う値はB,,。h,lm,,ら(、963)およびL。ml。,撤 鍵iぢ血963)の・.5−L・μ9よりも,約25儲性が高、、ことを示して、、る。
繋嬉・サギの網赤蝋。,,、。u1.,y,,,)、.対す。結晶。.毒輔蠕性を翻た結果,網赤血球、騨ウ め
霧繋磨El・・・・…u…g法・・よ・結晶磁心点(・1)を損・定・た・・ろ・全溶血活性の95%から成・単一
ワヤデ し
無熱鯵
のピークの最:高HUを持つ分画のpHとしτ,.7.98土0.05という値が得られた。 Sixら(1973)はp工7.2と 8.4を報告し,Wadstr6m(1968)はpl 8.5を報告している。しかし,著老の結晶α一丁目のpH 7.2,8.4,8.5 等を示す分画には溶血活性が認められず,これらのplは否定的であった。
5.結晶α一婁素はCM−Sephadex C5σカラムクロマトグラフィーおよびelectrofocusing分析において,い ずれも溶血活性と一致する単一のピークのみから成り,Bemheimer(1968)が報告したp。lymerの存在は 否定的であった。
『161∵編.・毒素の354μ9/mlを用いpH 7・0における紫外瓢1駆ペク.ト・レ蝉定たた結果・最木吸収に.
27915誌m,最小吸収は251nmで,典型的な単純蛋白質としてのスペクトルを示した。
7.結晶α一毒素のアミノ酸組成はトリプトファンの4.2を含む合計267¢)残基数から成っていた。.アミノ 酸組成において注目すべき事はシステムが欠如していることと,アスパラギン酸 リジンおよびスレオニン の含量が多いことであった。
8.アミノ三分厨の結果,α一毒素にはシスチンが欠如していることから,α一毒素はS−S結合を欠くペプチ ド鎖より成ることが推測される。そこでα一毒素にトリプシンを30:1(W/W)の割合に加え,25℃において 温和に消化を行ない, 活性を持ったフラグメントを取り出すための予備的実験を行なった。その結果,α一毒 素の溶血,皮膚壊死および致死の3活性のうち,トリプシン消化3時間後ではマウスに対する致死活性以外 の溶血活性およびウサギ皮膚壊死活性が顕著に低下した。トリプシン消化24時間後にはSDS一ポリアタリ ルアミドゲル電気泳動において消化前の側毒素のバンドよりも易動度の早い,、すなわち,低分子の互いに接 近した2本のバンド(フラグメントAおよびB)に解離した。しかし,これら2つのフラグメ.ントを含む消 化毒素は溶血活性のほとんどすべてを失った。トリプシン消化48時間後には,.さらにポリペプチド鎖は細 かく切られ,SDS一ポリアクリルアミドゲル上にはバンドとして検出されなかった。
9.結晶α一毒素はcarb。xypeptidase Bの処理によりなんらの影響も受けず, C一末端アミノ酸の遊離は認め られなかった。
10..編・毒素の糠含量をフェノー・レ嫌酸法およびアン和ン反応により測定した結果,ブド蠣とし て1%以下であった。
11.、結晶α一毒素の熱に対する.安定性を60℃加熱して調べたと.ころ,3分後には溶血渚性の大部分が失活し た。このことからα一毒素が,易熱性蛋白質であるととが確められた。
12.結晶α一毒素ほゼラチン水解法にまり蛋白質溶解活性を持たないこ.とが認められた。
.一一 ハに継礁地中へ拙ず研毒動量聴数ある・と蜘られ恥尋・ぞ亨噸鞭噸鵜.
本実験から,.培地.立中へ46.血g:のα一毒素を放出することが分かった。これをBemhel皿e士ら(1963), L。・
皿inski.ら(1963), Coulter(1966)およびSixlら(197⑳の報告と比較してみξと,それぞれ841蕊g,801ロg,
12mgおよび100 mgであった。
α一毒素は溶血,致死および三三壊死のほかに筋肉,特に平滑筋の収縮とその後の麻痺,各種組織培養細胞 に対する傷害作用,トウサギの血小板溶解作用およびウサギ白血球由来のリソゾーム溶解作用などを持ってい Pる.・とが知られていう・薦素セま獺性揃ち,撒素は薦素の渤,激死および願の.3.活性二二
する。
α一毒素ゐブドウ球菌感染症に果たす役割については,.α一毒素が感染局所においても,in v至troと同様に
一26一
産生されていることは明らかなので・局所の病巣の増悪および組織壊死の原因となることは考えられる。ま 炉ウス,ウサ響の実験動伽・べ・レでを濾染後期・おいて産生さ批α一難力敏死の原因となることが 考えられる。このことはα一毒素をマウス・ウサギ等の静脈内に注射すると・動物は1・2日以内に死亡する
」とからもうづける。
ブドウ球菌はα一毒素のほかにβ一毒素,δ一毒素,r毒素,エンテβトキシン(腸管毒), exfQliative toxin(皮 膚剥脱毒素)およびロィコシジン(白血球殺滅毒素)等の外毒素を産生することが知られている。β一毒素は牛 由来の菌株が多く産生し・羊・人の赤血球を溶寧すやポジウナギの赤血球には作用、しない。δ一毒素および 憤毒素は多種類の動物の赤血球を溶血する。δ一毒素は人の赤血球・白血球に毒性を示すために病原性への関 与が津目されたが,人およびウサギの正常血清および血漿成分によりその溶血活性が強く阻止されることか
ら,あまり重視されていない。γ一毒素はα一毒素の中和関係の一部異ったものにすぎないという見解から,7一
.毒素という名称は使用されないことがある。エントロトキシンは主にファージ3群に属するブドウ球菌が聖 君の食品中で増殖し,菌体外に産生する蛋白質である。この毒素は食中毒の原因となるが,主な症状は嘔吐
{と下痢で,赤毛ザルに投与すると定型的な反応を起こす。皮膚剥脱毒素はフプージ2群に属するブドウ球菌 が産生し,新生幼若マウスの全身性皮膚脱剥を起こすとともに人におけるRitter氏病のようなtoxic epi・
dermal necr。lysis(TEN)の原因と考えられている。胃イコシジンは人とウサギの白血球を殺滅するが,赤
}血球にはほとんど毒性がないことが知られている。
吟後著者は結晶α一毒素をトリプシンで消化することにより解離したフラグメントAおよびBを別々に単 離精製し,α一毒素の溶血,致死および竣死等の活性が別個に分けられることができるかどうか,検討して
、ゆきたいと考えている。
論文審査の結果の要旨
黄色ブドウ球菌(S毛aphyloc。ccus aureus)1よ人体や家畜に対する病原細菌として古くから知られており,
・、・・
@そめ病原性の成立因子としては本菌の分泌する毒素に最大の意義を保有させていることもまた周知の事実で ある。著者が今回改めてこの毒素のうちの一つであるα一毒素なるものの精製ならびに結晶化を目的として 班究に着手した所以は,従来多くの学老によりこの種の毒素の結晶化を試みられたが,未だ何れも成功しな
.、 かったため,.著者はそこに着眼してα一毒素の結晶化の方法を考察し,その結果,結晶化に成功したものであ
、・塔bぬお1このようにして結晶化した骸・・聯牲群晦ら陣擁化裳難状解しても・試験蘇
:・遷考察し・・従前の他の学者による成績に比して格段のi新知見を提出するに擦った。以下,本論文の骨子につ 謡毒概説する。
まずα一拳素の意義であるが,これはブ菌産生毒素(いわやる菌体外毒素として)のうち,このほかにβ一,
・.謄δなどの各毒素に比して特異的な差異としては,,α一毒素がウサギ赤血球を溶血するという活性を保有す ,・・るこ為ならびに,これ以外の前記3毒素とは抗原的にも異なるという点である。すなわち,このα一毒素は
:私 ・で
平め赤血球に対する溶皿作用はウサギ赤血球に比して1/150程度に低いにも拘わらず人の化膿性感写染に 果たす役割が無視できないことが知られてし}る。
E・一毒素の産生法1
一27一.
灘・
疋桟、ギ 転
特定な毒素の毒素作用を解明するためには,そのものを単離した高純度のものでなければならないので,
今回のα一毒素の場合にも当然にその化学的成分を明らかにする意味からも,粗毒素材料を精製した純度の 高い標品を取得するのが第一段階の目的であった。
これがためにはα一毒素産生の良好なプ菌用培地と,しかも毒素産生能の高いブ菌の菌株を使用して,大量 にこれを培養する必要を認めて,野老は強力α一毒素産生株として知られているW。。d46株を用い,これを あらかじめ10%ウサギ血液加寒天平板に塗抹し,37。C,24時間培養後,溶血理のなるべく大きな集落を選 んで釣回した。この菌を浄水培地(馬肉水を基礎培地として,・一 これに2%毒素用ミクニペプトン,0.2%KH2 PO4,0.03%MgSO4・7H20の割合に加えて溶解し, pH=7.0に修正後,振とうコルベンに150 mlずつ分注
したもの)に接種し,37℃の空気中で水平の振とう培養(120回/分)に供した。
∬. α一門i素の精製法
この毒素の精製のためには,前記のように,37。C,27時間振とう培養後,高速冷却遠心(16,000 rplnに 30分間)して菌体を除き,透明上清を出発材料として,塩:化亜鉛沈澱,Sephadex G25ゲル濟過,デソブデ
ゾーン電気泳動(2回),CM・Sephadex C50イオン交換クロマトグラフィー,ペピコンゾーン電気泳動の併 用によりα一毒素を高純度に精製した。
皿.純度検定法『
SDS一ポリアクリルアミドゲル電気泳動および寒天ゲル沈降反応により精製α一毒素率よび結晶σ一毒素の純 度を検定した。すなわち,SDS一ポリアクリルアミドゲル電気泳動用には,0.1%(W/V)ドデシル硫酸ナトリ ウム緩衝液(pH=7.2)の連続緩衝系の最終濃度5,10,15%のゲルを用い,カラム(内径6mm,長さ90瓢瓜)・
1本当り12タgの蛋白量をのせ,8mA/カラムで室温において約8時聞通電した。アクリルアミド対Cross・
1inker(N, Nノ.me亡hylene.bisacr71amide)の含有比は74:1(W/W)とした。
一方;寒天ゲル内沈降反応では1%寒天を用い,抗α一毒素血清としてはα一毒素を0.4%ホルマリンにより トキソイド化してウサギを免疫して得た抗精製α一毒素血清を用いた。この抗毒素血清を中心の孔に入れ,そ の周囲の孔にはα一毒素各分画を入れ,、37℃のふ卵器内に2目間静置後,沈降線の出現状況を観察し,結果 を判定した。
W.,α一毒素の結晶化法
高度に精製した活性物質を結晶形で収穫するためには諸方法があるが㌔今回は精製の結果高純度のα一毒素 を飽和硫安溶液に対して4℃において透析し,。徐々に結晶化させるという狸創的な方法を行なったとごろ・
最良の結果を得るζとができたと・すなわち,・比較的希薄な熱肇暫時qぢ05Mリン酸緩衝液(pH=7.0)を溶媒 するとペピコ ンゾーン電気泳動後の精製あ毒素り0.2%(2mg/m…)をViskihg皆野のセルロース透析チュー
ブ(size=8/32)に入れ,.両端を閉じ,、これを4。Cで大量の飽和硫安液(pH=7.0)に対して透析した。数時間 後には透析膜内に肉眼的に白色混濁が認められ,48時間後には明瞭な白色沈澱が形成されだ。 一
これを一4。Cでおだやかに遠心(1,000rpmに5分間)後,沈澱を冷却した微量の飽和硫安溶液に浮遊させ たのをミクロピベッ トで清浄なスライドグラス上に一滴取り,,400倍の倍率で顕微鏡下に観察した。残りの 沈澱は,冷却した少量の0.05Mリシ酸緩衝液(pH≒7.0)で溶解し窄のち,4。Cで再び大量(毎回1Z)の飽和 硫安液(pH=7. O)に対して透析を行なった。このような再結晶操作を3回繰返した。
V.・結晶α一毒素の生物学的ならびに物理化学的性状の測定法
一28一
瀞激 ブ菌の37。q.27時血振とう培養後の高速冷却遠心により得た透明上清10 Zを出発材料として精製を行な
難;鯵藏謙鵜繍認嵩鷺熱潔二一…
灘 一く一一嚇三一液一)一一を
,1.溶血活性1ウサギ赤血球に対する結晶α一毒素の溶血単位(HU)を測定する。
2.皮膚壊死活性:結晶α一毒素を2倍階段希釈し各希釈液を白色ウサギ(3kg,δ)の背部皮内注射し,3 日後に直径10mmの出血性壊死を呈するのに要する最小蛋白量で表現する。
3.致死活性:結晶α一毒素の各階段希釈液をO・1m1つっ1群10匹のマウス(DDD系,209,♂)の尾静脈
㌍に注射し,2日後に半数を殺す最小蛋白量(LD5。)で表現する。
4. ウサギ網赤血球に対する溶血性:AIIe且らの方法による。
_.5…分子量;呂鱒礁離・越恥k・・らの方面よりSDS一ポリアクリルアミドゲル電気樋轡こより
測定する。
6.等電点:Ampholin electτ。f。cusing蛋白質分離装置を用いて測定する。
7.紫外線吸収スペクトル:0.05Mリン酸緩衝液(pH=7.0)を溶媒とする結晶α一毒素の354μ9/m1にお ける紫外線(UV)吸収スペクトルを測定する。
8,アミノ酸組成=6NHC1で105℃,24時間および72時間水解後,アミノ酸自動分析計により測定す
る。
g.糖含量:フニノール・硫酸法およびアンス冒ン反応により定量する。
10. トリプシン消化:
11. Carboxypept1dase B・(Cpase B)による処理
12,熱安定性:結晶α一毒素を600Cの恒温槽内で3,5,10,30,60分間加温し,その際のHUを測定し て,熱に蹴する安定性の変化を知る。
13,中和試験:精製σ一毒素を0。4%ホルマリンで不活化し,このようにして得たα一toxoldでウサギを免 疫して得た抗精製α一毒素血清を用い,Wo。d 46, S瓜ith, YST−809, No.582,寺島の計5株から産生された 粗α一毒素の溶血活性に対する中和能を求める。
14.蛋白質溶解性 15∴蛋 白 量 〔試験成績の総括〕
L α一毒素の産生程度ならびに精製の結果
ブドウ球菌由来のα一毒素については,菌の増殖が培養15時間目に対数期を終了し,培地のpHは初期6時 間までは6.5に低下したが,、以後上昇した。この毒素の産生は,培養6時間後から漸く検出され始あ,27時
ーー
1
スライドグラス上に取り,カバーグラスをかぶせて400倍の倍率で鏡検すると,平板状の長斜方形(偏菱形)
を呈する単結晶を多数認めた。なお再結晶操作を3回反復したが,同一の形状を常に確認した。
皿.結晶α一毒素の生物学的活性 A.溶血活挫(単位はHUとする)
結晶α一毒素のウサギ赤血球に対する溶血上の比活性は100x103 HU/lng蛋白量であり,1HUは0.01μ9 蛋白:量に相当し,溶血活性の収量は24%,精製率は435倍であった。1ヨUが0.01μgという値はBernhei・
:n6rら(1963)およびArbuthnottら(1967)の0。05μgよりも5倍も純度が高ヤ・ことを意味しているq、.
B. ウサギ皮膚壊死作用およびマウス致死作用
それぞれ0.03μg蛋白量(最小皮膚壊死量)および1.0μg蛋白量(LD50)が測定され,同一の毒素蛋白質に よる頻的燐作用の存在・・糊した.しかも・のよう磁徹B・m聯・・らく・963)お・び・・m…ki ら(1963)の0.5〜1.0μgよりも約25倍だけ活性が高いことを示した。
C.ウサギ網赤血球に対する結晶α一毒素の溶血活性
網赤血球(retiCU1。cyte)に対しては正常ウサギ赤血球よりも溶血性が半分に低下していた。 ・ D.結晶α一毒素の分子量
SDS一ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により結晶α一毒素の分子量を測定したところ,36,000土2,000と 算定された。この値は結晶α一毒素のアミノ酸組成より概算した分子量34,800と ほぼ一致する値である。
E.、結晶α一毒素の等電点(pD
全溶血活性の%%からなる単一のピークの最高HUを有する分画のpHとして7..98土0。05という値が得 られた。この値は,ほかの学者の示した7,2,.&4;.8.5などでは,溶血活性が認められず;,従ってこのよう な各数字でめplは否定さやるべぎものとなった。
F。.結晶α一毒素の紫外部吸収スペグトル
354μ。/斑1の結晶。一毒魏,H昌7.・にお・・て,.駄敷}ま279・5一働吸収は251・皿であり,鯉 的な単純蛋白質としてのスペクトルを示した。・
G..結晶α一毒素のアミノ酸組成1
トリプトフアンの4.2を含む合計267の残基数からなっている。とぐに注目・すべきことは,.アミノ酸組成 においてはシスチンが欠如していることと,、アスパラギン酸,.リジンi溶よびスレオニンの含量が多いことで ある。
1』−^?