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ディビジョン番号 ディビジョン名 3 理論化学・情報化学・計算化学

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Academic year: 2021

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ディビジョン番号 ディビジョン名

理論化学・情報化学・計算化学

大項目 1. 理論化学

中項目 1-4. シミュレーション 小項目 1-4-5. 溶液反応

概要(200字以内)

計算機シミュレーションによる研究には、構成粒子間の相互作用の記述とモデル化、相互作用 場の下での粒子の動力学または統計分布のシミュレーションの実行、結果の解析という三つの 段階がある。これらについて、経験的力場法から第一原理計算、古典動力学から半古典論や量 子古典混合法、電子状態間の非断熱遷移を扱う方法、その他モンテカルロ法など、段階の異な る近似モデルについて、現状を概観する。

現状と最前線

計算機シミュレーションによる反応、構造、物性の研究には、大きく分けて三つの段階があ る。第一は、構成粒子間の相互作用の記述とモデル化、第二は、相互作用場の下での粒子の動 力学または統計分布のシミュレーション、第三は、シミュレーション結果の解析である。分子 レベルのシミュレーションでは、反応の研究が構造や物性の研究と不可分となる場合が多い。

構成粒子間の相互作用の記述では、原子核と電子のレベルから出発する第一原理計算(非経 験的分子軌道法、密度汎関数法など)、半経験的方法(経験的原子価結合法、電荷平衡法など)、 経験的力場法といった段階の異なる近時モデルが、目的や計算資源に応じて用いられる。溶液 や蛋白質などの大きな系では、着目する反応中心のみを第一原理的に扱う QM/MM 法も近年発 展している。経験的力場法において電子分極効果を適切に記述する手法の開発も重要性を失っ ていない。従来は、ポテンシャルエネルギー曲面やパラメータをあらかじめ構築し設定するこ とが通例であったが、シミュレーション実行中にその場で (on the fly) エネルギーとその勾 配を電子状態計算から求めることも、計算機能力の発展に伴って可能になって来ている。

シミュレーションの実行段階では、特に溶液反応や蛋白質などの凝縮系については、古典動力 学が用いられる場合が多い。室温程度において、水素やヘリウムよりも重い原子の場合には、

古典動力学でも十分に実用になることが、気相反応の研究などから示されているからである。

原子核運動の量子効果が重要となる場合、例えば振動緩和過程やプロトン移動反応などを扱う ための、半古典論や量子古典混合法なども活発に開発が続けられている。データ解析の段階で、

古典的シミュレーションデータに量子補正を取り入れる方法もある。

多くの分子シミュレーションは、ボルン・オッペンハイマー近似に基づいて、主に電子基底 状態を扱っているが、電子励起状態の関与する光化学過程や電子移動反応(酸化還元反応)な どに拡張する場合には、電子状態間の非断熱遷移を適切に取扱うことが必要になる。この目的 においても、半古典論や量子古典混合法などが開発応用されている。また、直接的なシミュレ

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ーションではなく、理論モデルの枠組みの中で必要となる微視的情報、例えば時間相関関数や スペクトル分布関数などを分子シミュレーションから決定し、理論モデルへの入力情報として 利用するといった手法もある。

計算コストの高い動力学シミュレーションを避けて、統計分布や平均のみを効率よく計算す る目的には、モンテカルロシミュレーションが多く用いられる。モンテカルロ法を応用して量 子効果を計算する手法(経路積分モンテカルロ法など)も近年発達している。また、液体論の 積分方程式を分子モデルに基づいて解く RISM 法や、それと電子状態計算とを組合せた RISM-SCF 法、動的過程へ拡張した動的 RISM 法のような手法も開発されている。

分子シミュレーションの隣接分野として、電子のみならず原子核の波動関数をも軌道(オー ビタル)モデルで記述する試みも注目される。

将来予測と方向性

・5年後までに解決・実現が望まれる課題

・電子分極効果を取り入れた蛋白質シミュレーション力場の確立

・凝縮系における実空間・実時間量子シミュレーション法の開発と実用化。

・10年後までに解決・実現が望まれる課題

・ボルン・オッペンハイマー近似によらずに電子と原子核を取り扱う動力学シミュレーショ ン手法の開発と応用

キーワード

溶液反応、分子シミュレーション、半古典論、量子古典混合法、非断熱遷移

(執筆者: 安藤耕司 )

参照

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