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2 0 1 7
年 合 格 目 標
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司 法 書 士 試 験 無 料 公 開 講 座
【 2 0 1 7
年 度 版 】
押 さ え て お き た い
登 記 法 重 要 先 例
2 0
選
伊 藤 塾
司 法 書 士 試 験 科
担 当 講 師
髙 橋
智 宏
法律資格・公務員
法律資格・公務員
法律資格・公務員
法律資格・公務員
法 科 大 学
法 科 大 学
法 科 大 学
法 科 大 学 院
院
院
院
無断転写・転載を禁じます。
Topic1
相続による所有権移転登記①
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★ 重要先例
相続の対象となる所有権又は持分に第三者の権利が登記された持分とそうでない持分がある場合であっ ても,「相続」を原因とする所有権又は持分の全部移転は,一申請情報申請による。その後,第三者の 権利の目的となっていた持分のみ又は目的となっていない持分のみが売買により買受人に移転したとき は,登記の目的を「所有権一部(順位○番から移転した持分)移転」又は「何某持分一部(順位○番から 移転した持分)移転」として移転登記を申請する(平11.7.14民三1414号回答,登記研究629号)。 ①「被相続人名義の不動産について,『相続』を登記原因とする所有権一部移転の登記を申請すること はできない。」とする先例がある(昭30.10.15民甲2216号回答)。これは「実体上,被相続人と相続人の共 有関係にあることはありえない。」という実体上の要請を根拠とする先例である。 ②「共有持分上に第三者の権利(例:抵当権)に関する登記がされている持分については,別個の申請によ り各別の登記を申請しなければならない。」とする先例がある(昭37.1.23民甲112号通達)。これは「登 記上,担保権の目的となっている持分が分からなくなる。」という登記上の要請を根拠とする先例である。 実体上の要請を根拠とする①の先例の考え方を重視し,相続を原因とする所有権又は持分の全部移転を する場合には,第三者の権利が登記された持分とそうでない持分があるときであっても,一申請情報申請 によることとした。 その後,第三者の権利の目的となっていた持分のみ又は目的となっていない持分のみが売買により買受 人に移転したときは,どの持分を移転するのかを特定するため,登記の目的を「所有権一部(順位○番から 移転した持分)移転」又は「何某持分一部(順位○番から移転した持分)移転」として移転登記を申請する。■ リンク過去問
H3-30-5 (不登法) 数回に分けて持分の移転の登記を受けている場合において,その後その持分の一部について移転の登記を申請するときは,申請書の登記の目的は,「何某持分一部 (順位何番で登記した持分)移転」の振り合いのように移転すべき持分を特定して 記載する。 ○ ○ ○ ○ 同一の不動産につき,同一人が,数回に分けて所有権又は持分を取得しているときであって,その所有 権又は持分の一部移転の登記を申請する場合,登記の目的を「所有権一部(順位○番で登記した持分)移 転」又は「何某持分一部(順位○番で登記した持分)移転」と表示する(昭58.4.4民三2252号通達)。 ∵ どの所有権・持分の一部を移転するのかを特定するため。 実体上,被相続人と相続人が共有関係にある なんてありえない!(実体上の要請) 被相続人名義の不動産について,「相続」を登 記原因とする所有権一部移転の登記を申請する ことはできない(昭30.10.15民甲2216号回 答)。VS
登記上,担保権の目的となっている持分が分 からなくなってしまう!(登記上の要請) 共有持分上に第三者の権利に関する登記がされ ている持分については,別個の申請により各別 の 登 記 を 申 請 し な け れ ば な ら な い ( 昭 37. 1.23民甲112号通達)。 実体上の要請を重視! 他方で そこで なおTopic2
相続による所有権移転登記②
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★ 重要先例
特別受益証明情報の作成は,民法826条の利益相反行為に該当せず,親権者のみで作成することもで きる(昭23.12.18民事甲95号回答)。 相続人の中に特別受益者がいる場合,戸籍謄本等のほか,特別受益者が作成した相続分のないこと又は 法定相続分と異なった相続分しかないことを証する情報(印鑑証明書付)を提供する。 親権者と子の間で利益が相反する法律行為がある場合には,家庭裁判所によって選任される特別代理人 がその子に代わって法律行為を行う(民826条)。 「特別受益証明書を作成すること」は,あくまで事実の証明をしているにすぎず,親権者と子の間に法律 行為があったわけではないため,民法826条の規定する,お互いの利害が対立するおそれのある利益相反行 為に当たらない。 特別受益証明情報の作成は,親権者のみですることができる。■ リンク過去問
H2-20-2 (不登法) 未成年者が自ら作成した特別受益証明書は,相続を証する情報の一部となり得る。 ○○○○ 特別受益者が未成年者の場合において,その未成年者が印鑑証明書等を提供することができるときは, 未成年者単独で特別受益証明情報を作成することができる(昭40.9.21民事甲2821号回答)。 ∵ 特別受益者であることの証明は,相続分がないという事実の証明であり,未成年者が意思能力を有する限り, 事実の証明は有効に行うことができる。ただし,書面の真正担保のため,未成年者自身の印鑑証明書を併せて 提供する必要がある。 H4-18-4 (不登法) 親権者とその親権に服する数人の子が相続人である場合において,遺産分割協議のためその子ら全員のために特別代理人1名が選任され,その遺産分割協議書を添付し て相続の登記の申請がされたときは,その申請は,却下される。 ○ ○ ○ ○ 親権者とその親権に服する数人の子が遺産分割協議をする場 合は,利益相反行為となるので,親権に服する子1人ごとに特別 代理人を選任しなければならない。したがって,親権者と,親 権に服する数人の子全員のために選任された1人の特別代理人 との間でされた遺産分割協議に基づく相続登記の申請は,却下 される(昭30.6.18民事甲1264号通達)。 ∵ 遺産分割協議は.売買のような取引行為ではないが,どの遺産 を取得するか等で,相続人相互間に利害対立が生じるおそれのあ る法律行為であり,民法826条の利益相反行為に該当する。ま た,特別代理人1人が数人の子を代理することになると,双方代 理(民108条)と同様,いずれかの利益を害するおそれがある ため,子1人ごとに特別代理人をそれぞれ選任しなければならな い。 子A 子B 特別代理人 Aのために Aの分を 多めに・・・ まとめて代理すると,どちら かの利益を優先してしまう Bのために Bの分を 多めに・・・ ところで しかし よってTopic3
遺贈による所有権移転登記
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★ 重要先例
清算型遺贈があった場合には,遺言執行者の単独申請により,被相続人から相続人名義に相続による 所有権移転の登記を申請した上で,遺言執行者と買主との共同申請により,相続人名義から買主名義に 所有権移転の登記を申請することができる(昭52.2.5民三773号回答)。 遺言の内容が「遺言執行者は不動産を売却してその代金中より負債を支払い,残額を受遺者に遺贈す る」旨であるときは(清算型遺贈),①相続人への法定相続分による所有権移転登記,②買主への売買に よる所有権移転登記,の順で登記を申請する。受遺者は不動産の売却金について遺贈を受けていることか ら,遺言者の死亡により,一度この不動産の所有権は相続人に帰属していることになるからである(昭 46.10.5民事甲4160号回答)。 前提登記となる所有権移転の登記の登記原因が「相続」であっても,後件の所有権移転の登記を実行す るために必要な登記であり,かつ,その相続登記の申請が民法1012条に規定する「遺言の執行」としての 意味を持つとすれば,遺言執行者に相続登記の申請権限があると考えられる。 ①「相続人への法定相続分による所有権移転の登記」は,遺言執行者の単独申請によることができ, ②「買主への売買による所有権移転の登記」は,遺言執行者と買主の共同申請によることができる。■ リンク過去問
H20-24-オ (不登法) 遺言者が甲不動産を相続人A及びBにそれぞれ2分の1ずつ相続させる旨の遺言をし,かつ,遺言執行者を指定した場合,遺言執行者は,A及びBを代理して,A及び Bの共有名義にするための所有権の移転の登記の申請をすることができる。 × × × × 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言に基づき,遺言執行者は相続を登記原因とする所有権 移転の登記を申請することはできない(最判平7.1.14)。 ∵ 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は,遺産分割の方法の指定と解され,当該遺産は遺言 者の死亡により直ちに相続人に承継される。これによる相続登記の登記原因は「相続」となるところ,相続人 の単独申請によりすることができるものであるため,遺言の執行に不可欠な行為とはいえない。 H20-24-イ (不登法) Aは,甲土地をBに遺贈し,Bはその登記を経由することなく甲土地をCに遺贈するとともに遺言執行者を指定した場合,Cへの所有権の移転の登記の前提として,当 該遺言執行者は,Aの相続人との共同申請により,AからBへの所有権の移転の登記 の申請をすることができる。 ○ ○ ○ ○ Aが甲土地をBに遺贈し,Bがその登記を経由することなく甲土地をCに遺贈するとともに遺言執行者 を指定した場合,Cへの所有権移転の登記の前提として,当該遺言執行者は,Aの相続人との共同申請によ り,AからBへの所有権移転の登記を申請することができる(昭43.8.3民事甲1837号回答)。 ∵ 中間省略登記が禁止されている現状下では,遺言の執行(BからCへの遺贈の登記)をするためには,前提 としてAからBへの登記の申請が不可欠である。 【理解のポイント 【理解のポイント 【理解のポイント 【理解のポイント~~~~遺言執行者の申請権限遺言執行者の申請権限遺言執行者の申請権限遺言執行者の申請権限~~~~】】】】 民法1012条においては,遺言執行者の権限について,「遺言執行者は,相続財産の管理その他“遺 言の執行に必要な一切の行為”をする権利義務を有する」と定められています。試験対策上,遺言執 行者ができるのは「遺言の執行に不可欠な行為」と押さえておきましょう。 そして よってTopic4
抵当権設定登記
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★ 重要先例
主債務が特定し,保証契約が締結されている場合の,委託による保証人の求償債権を担保するために 抵当権を設定する旨の抵当権設定登記は,申請することができる。当該登記の登記原因は「年月日保証 委託契約による求償債権年月日設定」と表示する(昭48.11.1民三8118号通達)。 抵当権の付従性は,抵当権の設定当時,既に債権が発生して いることを要求するものではなく,抵当権の設定当時,被担保 債権の発生の可能性が法律上存在すれば,当該債権を担保する ために抵当権を設定することができる(付従性の緩和)。 保証人の求償債権は,その発生の可能性が法律上存在してい るため,求償債権を担保する抵当権を設定をすることができる。 この場合,抵当権の被担保債権が保証委託契約から発生する 求償債権であることを公示するため,登記原因は「年月日保証 委託契約による求償債権年月日設定」と表示する。 被担保債権の内容 登記原因 保証委託契約による保証人の債務者に対する 求償債権を被担保債権とするとき 年月日保証委託契約による求償債権年月日設定 保証委託契約による保証人の債務者に対する 保証料債権を被担保債権とするとき 年月日保証委託契約による保証料債権年月日設定 保証委託契約による保証人の債務者に対する 求償債権及び保証料債権を被担保債権とするとき 年月日保証委託契約年月日設定■ リンク過去問
H19-18-オ (不登法) 保証人の将来の求償債権を被担保債権とする抵当権設定の登記がされている場合に,主たる債務者が債権者に弁済したことにより当該抵当権の登記の抹消を申請す るときの登記原因は,弁済である。 × × × × 保証人の求償債権担保の抵当権設定登記後,主債務者が弁済をした場合の当該抵当権の抹消登記の登記 原因は「主債務消滅」とする(登記研究126号)。なお,保証人が債権者に保証債務を弁済した後に主債務 者が保証人に対し求償債権の弁済をしたときは,「弁済」を登記原因として抵当権の抹消登記を申請する ことができる(登記研究589号)。 ∵ 主債務が弁済された場合に登記原因を「弁済」とすると,抵当権の被担保債権である求償債権が弁済された ことにより抵当権が消滅した旨の公示がされてしまうので,「主債務が消滅⇒求償債権が消滅⇒抵当権が消 滅」の経緯で抵当権が消滅したことを公示するため,抵当権の登記の抹消の登記原因は「主債務消滅」となる。B
C
100A
主債務者 保証人 保証債務 求償 債権 将来発生する求償債権を被担保 債権として抵当権を設定できる そして 【理解のポイント 【理解のポイント 【理解のポイント 【理解のポイント~登記原因の割り振り~~登記原因の割り振り~~登記原因の割り振り~~登記原因の割り振り~】】】】 上記の表から分かるのが,「保証委託契約により発生する債権=求償債権+保証料債権」と捉えられてい るということです。もちろん両債権が存在しても,片方だけ抵当権で担保することも可能です。ですから, その場合はどちらを担保しているかを公示するため,「保証委託契約による求償債権」又は「保証委託契約 による保証料債権」としますが,両債権を担保する場合には,単に「保証委託契約」と表示します。Topic5
抵当権の処分の登記
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★ 重要先例
民法376条1項が規定する「同一の債務者」には,債務者でない設定者(第三取得者)も含まれる (平9.1.22民三85号回答)。すなわち,A所有の不動産にAを債務者とするB名義の抵当権設定の登 記をした後,AからCへ所有権の移転登記がされた場合には,Bから,Cの一般債権者であるDに対して 抵当権の譲渡の登記をすることができる。 抵当権者は,「同一の債務者」に対する他の債権者の利益のため,抵当権の譲渡・放棄をすることがで きる(民376条1項)。 このように,民法376条1項が「同一の債務者」と規定する趣旨は,設定者が自己の意思とは無関係に他人 の物上保証人となること(不測の物上保証)は設定者に酷であることから,これを防止するものである。 抵当不動産の第三取得者に対する一般債権者への抵当権の譲渡・放棄であれば,現在の所有者である第 三取得者としては,自己の債務が担保されることになるため,不都合は生じない。 民法376条1項が規定する「同一の債務者」には,債務者でない設定者(第三取得者)も含まれるとさ れており,抵当不動産の第三取得者に対する一般債権者への抵当権の譲渡・放棄をすることができる。■ リンク過去問
H11-16-オ (不登法) 債務者をAとする1番抵当権の設定の登記及び債務者をBとする2番抵当権の設定の登記がされている場合に,1番抵当権の順位を2番抵当権に譲渡しても,その旨 の登記は申請することができない。 × × × × 抵当権の順位の譲渡又は放棄の当事者の債務者が異なる場合 であっても,順位の譲渡又は放棄をすることができる(昭30. 7.11民事甲1427号回答)。 ∵ 順位の譲渡等の場合,受益者となるのは,抵当不動産上に,既 に後順位で担保権を有している債権者であることから,被担保債 権の債務者の異同を問わず,順位譲渡等をすることが認められて いる。 (債務者B)甲
乙
(債務者A)丙
順位 譲渡 もともと乙-B間の債権を 担保する意思があり,不測 の物上保証にならない○
○
○
○
どこの誰かも分からないCの 物上保証人にさせられてしまう×
×
×
×
抵当権 譲渡・放棄 100C
債務者AA
B
D
①所有権 移転 ②抵当権 譲渡・放棄○
○
○
○
100C
債務者AA
B
D
Cにとっては,自己の債務のた めに抵当権が用いられるため, 不測の物上保証とならない しかし そこでTopic6
根抵当権者の元本確定の登記
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★ 重要先例
根抵当権の転抵当権者又は根抵当権の被担保債権につき債権質入の設定を受けた質権者がした,根抵当 権の目的不動産についての競売の申立ては,民法398条の20第1項1号(根抵当権者による競売)では なく,3号(第三者による競売)の元本の確定事由に該当する(平9.7.31民三1301号回答)。 根抵当権者が,目的不動産について,競売による差押えを申し立てたときは,その申立ての時に元本は 確定する(民398条の20第1項1号本文)。これは,根抵当権者自らが根抵当権を実行することによって取引 を終了した場合には,流動性を失わせるのが当然との趣旨に基づくものである。 根抵当権の目的不動産につき第三者の申立てによる競売手続の開始による差押えがあったことを,根抵 当権者が知った時から2週間を経過したときは,その2週間の経過時において元本が確定する(民398条 の20第1項3号)。これは,根抵当権者と第三者との利害関係を図る趣旨に基づくものである。 根抵当権の転抵当権者又は根抵当権の被担保債権につき債権質入の設定を受けた質権者がした,根抵当 権の目的不動産についての競売の申立ては,根抵当権者の意思によるものではないため,民法398条の20第 1項3号(第三者による競売)を適用するのが妥当である。 この場合は,根抵当権者の了知から2週間経過後に元本が確定し,登記記録から元本確定が明らかでない ため,元本確定後の根抵当権についてすることができる登記を申請する場合においては,前提として元本 確定の登記を申請する必要がある。■ リンク過去問
H21-26-ア (不登法) 根抵当権の一部譲渡を受けた者を債権者とする差押えの登記がされている場合は,根抵当権の元本の確定の登記がされていなくても,債権譲渡を原因とする第三者への 根抵当権の移転の登記を申請することができる。 ○ ○ ○ ○ 根抵当権の一部譲渡を受けた者を債権者とする差押えの登記がされている場合は,民法398条の20第1項1 号(根抵当権者による競売)に規定する根抵当権の元本確定事由に該当すると解される(平9.7.31民三 1301号回答)。この場合,元本が確定していることが登記記録上明らかであるため,元本確定の登記がさ れていなくても,債権譲渡を登記原因とする根抵当権移転の登記を申請することができる。 ∵ 共有根抵当権においては,1人のみについて元本確定事由が生じても,元本は確定しないのが原則であるが, 根抵当権の準共有者の1人が差押えを申し立てた場合,競売による換価をせざるを得ないため,唯一の例外と して,根抵当権の元本は確定する。 【競売申立ての性質】 根抵当権の一部譲渡を受けた者の競売申立て 根抵当権の転抵当権者・根抵当権の 被担保債権の質権者の競売申立て 民法398条の20第1項1号 (根抵当権者による競売) ➠申立時に元本が確定 ➠登記記録から元本確定が明らか 民法398条の20第1項3号 (第三者による競売) ➠根抵当権者の了知の2週間後に元本が確定 ➠登記記録から元本確定が明らかでない また そしてTopic7
用益権に関する登記
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★ 重要先例 民法281条1項但書の特約(地役権は要役地とともに移転しない旨の特約)がある地役権の要役地の 所有権が移転したときにする「年月日要役地の所有権移転」を登記原因とする地役権抹消の登記におい ては,承役地の所有権の登記名義人が登記権利者,地役権設定当時の要役地所有者(地役権者であった 者)が登記義務者となり,要役地の新所有者は抹消登記の申請に関与しない(昭36.4.4民甲812号通 達)。 地役権は要役地の便益のための権利であるため,地役権者が要役地の所有権を譲渡した場合,これに随 伴して地役権も移転し,要役地の譲受人は,地役権を取得する(地役権の随伴性 民281条1項本文)。た だし,地役権は設定者の地役権者に対する好意で設定されることがあるため,別段の定め(特約)により, 地役権が要役地の所有権とともに移転しないものとすることができる(同条1項但書)。 当該民法281条1項但書の特約(地役権は要役地とともに移転しない旨の特約)がある場合において, 要役地の所有権が移転したときは,これにより地役権が消滅するので,「年月日要役地の所有権移転」を 登記原因として地役権の抹消の登記を申請することができる(書式精義中p324)。 要役地の所有権が移転しても地役権はそれに伴って移転しないため,実体上,要役地の新所有者は地役 権者になっていない。 当該地役権の抹消の登記においては,承役地の所有権の登記名義人が登記権利者,地役権設定当時の要 役地所有者(地役権者であった者)が登記義務者となり,要役地の新所有者は抹消登記の申請に関与しない (本先例)。■ リンク過去問
H10-12-オ (不登法) 地役権は要役地とともに移転しない旨の定めの登記がある地役権の要役地について所有権移転の登記がなされた場合には,「年月日要役地の所有権移転」を登記原 因として地役権設定の登記を抹消することができる。 ○ ○ ○ ○ 民法281条1項但書の特約(地役権は要役地とともに移転しない旨の特約)がある場合において,要役 地の所有権が移転したときは「年月日要役地の所有権移転」を登記原因として地役権の抹消の登記ができ る(書式精義中p324)。 ∵ 要役地の所有権が移転したことにより地役権が消滅したことになるから。 そこで この場合 したがってTopic8
仮登記の本登記手続
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★ 重要先例
仮登記権利者が仮登記義務者の相続人を登記義務者として,当該仮登記に基づく本登記を申請する場 合には,前提として相続登記を経る必要はなく,仮登記義務者の相続人は,一般承継証明情報を提供し て,仮登記権利者と共に仮登記に基づく本登記の申請をすることができる(昭38.9.28民事甲2660号通 達)。 仮登記後に仮登記義務者が死亡したときは,相続により仮登記の本登記義務も相続されるから,仮登記の 本登記の登記義務者は仮登記義務者の相続人となる。 所有権移転請求権保全の仮登記に次いで,相続による所有権移転登記がされている場合は,仮登記に基づ く本登記が実行されると,すでになされた相続による所有権移転登記は職権で抹消される。 このように相続登記をしてもすぐに抹消されてしまうため,相続登記を申請する実益は少ない。 前提として相続登記を経る必要はなく,仮登記義務者の相続人は,一般承継証明情報を提供して,仮登記権 利者と共に仮登記に基づく本登記の申請をすることができる。■ リンク過去問
H15-21-3 (不登法) 農地法第3条の許可があることを停止条件とする所有権移転請求権を保全するための仮登記に基づく本登記をする場合において,当該許可がある前に売主が死亡してい たときは,当該本登記の前提として相続登記をすることを要しない。 ○ ○ ○ ○ 農地法の許可を停止条件とする農地についての所有権移転仮登記について,許可書到達前に所有権登記 名義人が死亡した場合,本登記の前提として相続登記をすることを要しない(昭35.5.10民三328号回答)。 ∵ 農地法の許可到達前に所有権登記名義人が死亡している場合,相続人は所有権を相続するため,実体の権利 関係をそのまま公示するのであれば,一旦,相続登記をしてから仮登記の本登記を申請することになるが,相 続登記をしても,本登記が実行されると職権抹消されてしまい,相続登記を申請する実益が少ないから。 H26-20-エ (不登法) Aが所有権の登記名義人である甲土地について,Aの死亡を始期とする所有権の移転の仮登記がされている場合において,その後にAが死亡し,当該仮登記に基づく本 登記を申請するときは,その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請し なければならない。 × × × × 所有権登記名義人の死亡を始期とする始期付所有権移転の仮登記に基づく本登記を申請する場合は,本 登記の前提として相続登記を経由することなく,直接本登記を申請することができる(登記研究445号)。 ∵ 本件の仮登記は,所有権登記名義人の死亡を始期としているため,死亡と同時に仮登記権利者に所有権が移 転しており,相続人は所有権を相続していないから。 そして よって そこでTopic9
処分制限の登記①
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★ 重要先例
仮処分に後れる登記を抹消する旨の通知を発した日から1週間経過後に登記の抹消を申請する場合に は,抹消の申請情報と併せて内容証明郵便で通知書を発したことを証する情報を提供すれば足り,配達 証明書の提供は不要である(平2.11.8民三5000号通達)。 仮処分に後れる登記の抹消を申請する場合には,あらかじめその登記の権利者に対し,内容証明郵便に よりその旨を通知しなければならない(民保59条1項)。このとき抹消の通知は,相手方に到達することが必 要である。 この通知は,これを発する時点における当該登記の権利者の登記記録上の住所又は事務所に宛てて発す ることができ,遅くとも,これを発した日から1週間を経過した時に到達したものとみなされる(民保59条2 項)。通知到達の要件を厳格に要求すると,抹消される登記の権利者の執行妨害に悪用されるおそれがあ るからである。 通知を発した日から1週間経過後に登記の抹消を申請する場合には,通知の到達を証する情報(配達証明 書)の提供は要しない(国や地方公共団体等の,抹消される登記の登記権利者の住所・事務所の記載がない 場合は除く)。内容証明郵便には差出年月日が記載されるので,通知を発した日から1週間を経過し,到 達が擬制されたことは当該記載から明らかだからである。 ※ 登記記録上の住所以外の住所に宛てて発せられたものであるときは,①内容証明郵便,②配達証明書, ③登記記録上の住所からの移転を証する情報の提供が必要となる。 事例 通知証明情報の具体的内容 通知を発した日から1週間経過“後”に登記を申請 内容証明郵便 通知を発した日から1週間経過“前”に登記を申請 内容証明郵便+配達証明書 登記記録上の住所以外の住所に通知(※) 内容証明郵便+配達証明書 +登記記録上の住所からの移転を証する情報■ リンク過去問
H26-24-ウ (不登法) 仮処分の債権者が債務者を登記義務者とする甲土地についての所有権の移転の登記を申請する場合において,処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請する ときは,その旨をあらかじめ当該登記の登記名義人に対して通知したことを証する 情報を提供しなければならない。 ○ ○ ○ ○ 仮処分に後れる登記の抹消を申請する場合,民事保全法59条1項に規定する通知をしたことを証する情報 として,内容証明郵便の謄本を提供する(令別表71添,72添)。 ∵ 仮処分に後れる登記の抹消は仮処分債権者の単独で申請するところ,抹消される登記名義人に登記が抹消さ れることを了知させて,違法な抹消がされた場合の対応手段(抹消回復登記)がとれるようにする趣旨である。 よって そしてTopic10
処分制限の登記②
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★ 重要先例
仮処分の登記に後れる第三者の登記が,仮処分債権者の保全していた権利と一部抵触する場合は,仮 処分債権者は単独で,仮処分の登記に後れる第三者の登記について,更正の登記を申請することができ る(昭41.2.16民事甲386号通達)。 処分禁止の仮処分の登記の後にされた第三者の権利の取得又は処分の制限は,仮処分債権者が行う登記 に係る権利の取得又は消滅と抵触する限度において,その債権者に対抗することができない(民保58条1 項)。 所有権につき処分禁止の仮処分の登記をした後,その仮処分の債権者がその仮処分の債務者を登記義務 者として,所有権の登記を申請する場合においては,これと同時に申請するときに限り,その債権者は単 独でその仮処分の登記に後れる登記の抹消を申請することができる(不登111条1項,民保58条2項)。 ここでいう「抹消」とは全部抹消に限らず,実質的一部抹消である更正登記も含む。 処分禁止の仮処分の登記に後れる第三者の登記が,仮処分債権者の保全していた権利と一部抵触する場 合は,仮処分債権者は単独で,仮処分の登記に後れる第三者の登記について,更正の登記を申請すること ができる。 例えば,処分禁止の仮処分登記後に仮処分債務者Aが,当該不動産の所有権をCに移転し,その登記が 完了した後において,Aに対して,仮処分債権者Bへその所有権の2分の1の所有権移転登記手続を命ず る判決が確定した場合は,Aはこの判決に基づいて,所有権一部移転の登記の申請と同時に仮処分の登記 後にされたCの所有権移転の登記に関する登記の目的を2分の1とする更正登記を単独で申請することが できる。なお,この更正登記の登記原因は「仮処分による一部失効」となる。■ リンク過去問
H8-25-ウ (不登法) 所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の登記をした仮処分債権者による仮処分債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記を申請する場合, 処分禁止の仮処分の登記の後に登記された賃借権の設定の登記は,登記官が職権によ って抹消することができる。 × × × × 所有権についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の登記がされた後,当該処分禁止の仮 処分に係る仮処分債権者が当該仮処分債務者を登記義務者とする所有権の登記を申請する場合,当該債権 者は,当該処分禁止の仮処分の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる(111条1項)。 ∵ 仮処分に後れる登記として抹消対象となる権利のうち,保全すべき登記請求権に係る登記と併存可能な登記 は,抹消を申請せずに仮処分債権者が引き受けることが可能であることから,登記官は申請がないと抹消すべ きものか判断することができないため.登記官の職権ではなく,仮処分債権者の“申請”により抹消する。 したがって よってTopic11
添付書面の原本還付
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★ 重要先例
相続による権利の移転の登記等において,相続関係説明図が提供されたときは,申請書に添付した登 記原因証明情報のうち,戸籍謄本等の原本の還付の請求をすることができる(平17.2.25民二457号通 達)。ただし,遺産分割協議書について原本を還付するためには,相続関係説明図の提出があっても, 別途その謄本が必要となる(同先例参照)。 申請人は,原本還付を請求するときは,原本と相違ない 旨を記載した謄本を提出しなければならない(規55条2項)。 これは原本と同一内容の謄本を登記所に残し,証拠保全を 図る趣旨である。 相続関係説明図は戸籍謄本等と同一内容であり,証拠保全 の役割を果たすことができるため,相続関係説明図が提供 されたときは,戸籍謄本等の原本の還付を請求することが できる。 相続関係説明図は遺産分割協議書と同一内容ではなく,証 拠保全の役割を果たすことができないため,相続関係説明 図の提供があっても,遺産分割協議書の原本の還付をする ことができない。■ リンク過去問
H19-16-エ (不登法) 登記義務者の登記識別情報を提供することができないため,申請代理人である司法書士が作成した本人確認情報を提供して登記を申請する場合には,当該本人確認情報 に添付した司法書士の職印に係る印鑑証明書については,原本の還付を請求すること ができる。 ○ ○ ○ ○ 本人確認情報に添付する資格者代理人の職印に関する証明書(規72条3項,準則49条2項2号)につい ては,原本還付の請求をすることができる(規55条1項参照)。 【印鑑証明書と原本還付】 還付される 還付されない ① 遺産分割協議書の印鑑証明書 ② 本人確認情報に添付した司法書士の職印に 係る印鑑証明書 ③ 登記識別情報の有効証明の請求に当たって 提供した印鑑証明書 ④ 住所証明情報として提供した印鑑証明書 ❶ 登記義務者の本人確認のための印鑑証明書 ❷ 同意書・承諾書の印鑑証明書 ❸ 登記識別情報の失効の申出に当たって提供し た印鑑証明書 そして これに対して 登記所 内容が同一 ⇒戸籍謄本の 原本還付可 申請人 相続関係 説明図 A B C 戸籍謄本 (原本) 遺産分割協議書 (原本) 内容が同一でない ⇒遺産分割協議書 の原本還付不可Topic12
登録免許税の還付
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★ 重要先例
二重登記であることを理由に所有権保存の登記が抹消された場合,当該登記について納付した登録免許 税は還付される(昭43.3.13民事甲398号回答)。 申請が登記官により却下された場合,申請人はその登録免許税の還付を受けることができる。 そうであるならば,「本来登記官が却下すべきであるのに,それを見過ごして登記がされてしまったケース」 においても,却下した場合とのバランスをとって登録免許税の還付を認めるべきといえる。 本件の事例は,却下事由である「申請に係る登記がすでに登記されているとき」に該当するため(不登 25条3号),登記官が本来,当該申請を却下すべきであったが,それを見過ごして登記がされてしまった ケースといえる。 申請が登記官により却下される場合と同様,本件の事例においても登録免許税の還付が認められる。■ リンク過去問
H17-18-ウ (不登法) 国がAに払い下げた土地を,誤ってB名義とする所有権の移転の登記を嘱託した場合,錯誤を原因として当該登記を抹消しても,当該嘱託の際に納付された登録免許税 は,還付されない。 ○ ○ ○ ○ 国がAに払い下げた土地について,誤ってB名義とする所有権移転の登記を嘱託した場合,錯誤を原因と して当該登記を抹消しても,嘱託の際に納付された登録免許税は還付されない(昭40.3.1民事甲482号 回答)。 ∵ この事例においては,登記を嘱託した国が誤っていただけのため,「登記官が却下すべきだった」とはいえ ない。なお,Aの要保護性と登録免許税の還付は別の話であり,ミスをしたのが国だからといって登録免許税 が還付されるわけではないことに注意しよう。 H24-27-ウ (不登法) 学校法人が校舎の敷地として非課税であることを証する書面を添付することなく,登録免許税を納付して所有権の移転の登記を受けた場合には,その後に,当該非課税 であることを証する書面を提出して当該登録免許税の還付を受けることはできない。 ○ ○ ○ ○ 申請人が免税措置・軽減措置を受けるのに必要な添付情報を提供しないで登記を受けた場合は,その後,当 該添付情報を提供しても登録免許税の還付請求はできない(昭42.7.22民事甲2121号通達)。 ∵ 登記申請の当時,非課税証明書が提供されていなかった以上,登記官が,納付された登録免許税でその登記 をすることに問題はなく,非課税で受け付けるべきだったのにそれを見過ごしたわけではないためである。 【理解のポイント 【理解のポイント【理解のポイント 【理解のポイント~登録免許税の還付の可否~~登録免許税の還付の可否~~登録免許税の還付の可否~~登録免許税の還付の可否~】】】】 他の登録免許税の還付の可否を問う問題も,「本来登記官が却下すべきであるのに,それを見過ご して登記がされてしまったケースかどうか」の判断基準に照らし合わせれば答えを導き出すことが可 能なものがほとんどです。一度,この判断基準に照らし合わせて自分のテキストを確認してみましょ うう。 したがってTopic13
株主リストを添付書面とする登記
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★ 重要先例
登記すべき事項について株主総会議事録の添付が必要となる場合は,①各株主の氏名又は名称及び住 所,②各株主の有する株式の数及び議決権の数,③各株主の有する議決権の割合を記載した株主リストの 添付が必要となる(規61条3項)。この株主リストにおいては,自己株式等で議決権を行使することがで きない株主は記載をしないが,株主総会に欠席したり,議決権を行使しなかった株主については記載するこ とを要する(平28.6.23民商99号依命通知)。 株主総会議事録の添付が必要となる場合において,株主の氏名又は名称,住所及び議決権数等を証する 書面(株主リスト)の添付を要求する趣旨は,登記官が株主リストを通して適法に株主総会決議が成立して いることを確認することによって,株主総会議事録の偽造を防止し,商業登記の真実性を高めることにある。 自己株式等で議決権を行使できない株主は,決議の成立には無関係であるため,株主リストへの記載を要 しない。 株主総会に欠席したり,議決権を行使しなかった株主については,決議の成立に関係があるため,株主リス トへの記載を要する。 【株主リストへの記載の要否】 ○○○○:必要 ×××:不要 × 議決権を行使できない株主 株主総会に欠席した株主 議決権を行使しなかった株主 × ×× × ○○○○ ○○ ○○■ リンク問題
(会社法) 株式会社Aが,他の株式会社Bの総株主の議決権の4分の1以上の株式を有する場 合,Bは,その保有するAの株式についてAの株主総会で議決権を行使することがで きない。 ○ ○ ○ ○ 相互保有株式(株式会社がその総株主の議決権の4分 の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がそ の経営を実質的に支配することが可能な関係にあるもの として法務省令で定める株主の株式)は,議決権を有し ない(会308条1項括弧書) ∵ 例えば,A社が実質的に支配する(議決権の4分の1 以上を有する)B社が保有するA社株式について,A社 のいいなりのB社が議決権を行使すると,公正な株主総 会が行われなくなってしまうため,相互保有株式に議決 権は認められない。 また B社株式の4分 の1以上を保有 A社 B社 相互保有 B社はA社の言いなり ➠A社株式について議 決権を行使できない そうだとするとTopic14
役員の解任による退任登記
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★ 重要先例
種類株主総会で選任された取締役の任期満了前に,当該種類株主総会において議決権を行使すること ができる株主が存在しなくなったことにより,通常の株主総会の決議により解任した場合には,①当該 取締役の選任に係る種類株主総会の議事録,②議決権を行使することができる種類株主が存在しなくなった ことを証する書面,③解任に係る株主総会の議事録を添付する(平14.12.27民商3239号通達)。なお,② の書面については,登記記録から当該種類株式にかかる発行済種類株式の総数が「0」と判明する場合 には添付は不要である(同先例)。 取締役・監査役選解任権付株式の株主で構成される種類株主総会によって選任された取締役等は,原則 として,当該種類株主総会の決議でしか解任することができない。 議決権を行使することができる種類株主が存在しなくなった場合においては,解任権を持つ機関が存在しな くなってしまうため,例外として,株主総会の決議によって解任することができる。 株主総会で解任された取締役の退任登記を申請する場合は,「①種類株主総会によって選任されたが, ②議決権を行使できる種類株主がいなくなったため仕方なく,③株主総会の決議で解任した」という事情 を立証するため①当該取締役の選任に係る種類株主総会の議事録,②議決権を行使することができる種類株 主が存在しなくなったことを証する書面(ex.株主名簿),③解任に係る株主総会の議事録を添付する(※)。 ※ 株式の消却等によって取締役等選解任権付株式の発行済種類株式総数が0株の場合のように,議決権 を行使できる種類株主の不存在が登記記録から明らかな場合には,②の書面は不要。■ リンク過去問
H26-34-イ (商登法) 種類株主総会によって選任された取締役を当該種類株主総会の決議によって解任した場合における変更の登記の申請書には,当該取締役を解任した種類株主総会の議事 録のほか,当該取締役を選任した種類株主総会の議事録を添付しなければならない。 ○ ○ ○ ○ 種類株主総会で選任された取締役を種類株主総会の決議で解任した場合は,取締役を解任した種類株主 総会議事録のほか,当該取締役を選任した種類株主総会議事録を添付する(平14.12.27民商3239号通達)。 ∵ 種類株主総会によって選任された取締役を当該種類株主総会の決議によって解任する場合は,自らに解任権 があること,すなわち当該種類株主総会によって選任したということを立証する必要があるため。 しかし + + + + + 選・種 解・種 選・種 定款 解・株 選・種 種類株主不存在 解・株 【種類株主総会】 【株主総会】 選任 取締役 【原 則】選任した 種類株主総会で解任 【例外①】定款に「株主総会で 解任できる」定めがある場合 【例外②】議決権を行使でき る種類株主が存在しない場合Topic15
譲渡制限に関する規定の設定の登記
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★ 重要先例
株式の譲渡制限に関する規定を設定する定款変更の決議後,その効力発生日までの間に募集株式の発 行がされた場合,株式の譲渡制限に関する規定の設定による変更の登記を申請することはできない(昭 51.3.18民四2157号回答)。 株式の譲渡制限に関する規定の設定の定款変更の決議後,その効力発生前の日付を払込期日(期間の末 日)とする募集株式の発行を認めると,募集株式の引受人は,譲渡制限に関する規定のない会社だと思っ て出資したのに,株主になってすぐに株式の譲渡が制限されてしまうことになる。 この場合,株式の引受人に不測の損害を与えるおそれがあるため,株式の譲渡制限に関する規定の設定に よる変更の登記を申請することはできない(【図1】参照)。 株式の譲渡制限に関する規定を設定する決議後,募集株式の発行の募集事項の決定を行い,株式の譲渡 制限に関する規定の設定の効力が生じた後に,募集株式の発行の効力が生じた場合,募集株式の引受人に 株式の譲渡制限に関する規定について通知がされていない限り,募集株式の発行による変更の登記を申請す ることはできない(ハンドブックp243)(【図2】参照)。■ リンク過去問
H3-38-4 (商登法) 新株予約権を発行している株式会社は,新株予約権の行使期間の経過前においては,当該新株予約権の目的である株式について,譲渡制限に関する定めの設定の登記 の申請はすることができない。 × × × × 新株予約権を発行している会社では,新株予約権の行使期間の経過前であっても,新株予約権の目的で ある株式について,譲渡制限に関する規定の設定の登記を申請することができる(ハンドブックp243参 照)。 ∵ 新株予約権者には,新株予約権買取請求権(会118条1項)が認められているため,譲渡制限に関する規定 の設定を認めても,新株予約権者の保護は十分されていることになる。 また 【理解のポイント 【理解のポイント 【理解のポイント 【理解のポイント~~~~申請できない方の登記はどっちなのか?申請できない方の登記はどっちなのか?申請できない方の登記はどっちなのか?申請できない方の登記はどっちなのか?~~~】~】】】 【図1】⇒譲渡制限に関する規定の設定の登記がアウト 【図2】⇒募集株式発行による変更の登記がアウト どっちが申請できないかは「効力発生日が後の方がアウトになる」と覚えましょう。また,記述式 の問題で「譲渡制限の設定」と「募集株式発行」が併せて出てきたらこの論点をすぐ思い出せるよ うにしましょう。 5/1 6/1 譲渡制限 効力発生 譲渡制限 設定決議 7/1 8/1 募集株式 発行決議 払込期日 5/1 6/1 譲渡制限付の 株式だと… 払込期日 譲渡制限 設定決議 7/1 8/1 募集株式 発行決議 譲渡制限 効力発生 譲渡制限なし の株式だ! 譲渡制限なしの株式だ! 譲渡制限付の株式だと… 【図1】 【図2】Topic16
募集株式の発行の登記①
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★ 重要先例
募集株式の発行による変更の登記の申請書に金銭債権について記載された会計帳簿(当該金銭債権に係 る負債の帳簿価額を確認することができるもの)を添付すべき場合において,当該会計帳簿の記載から 当該金銭債権の弁済期の到来の事実を確認することができないときであっても,会社が期限の利益を放棄し ていないことが添付書面から明らかな場合を除き,これを提供することができる(平18.3.31民商782号通 達)。 募集株式の発行の際に,現物出資があった場合は,原則として検査役の調査を受けることを要する(会 207条1項)。 「現物出資財産が,弁済期が到来している会社に対する金銭債権で,募集事項の決定の際に定められた 価額が当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合」においては,会社の会計帳簿に記載されている のであればその金銭債権の存在が明らかであることから,検査役の調査が不要となる(会207条9項5号)。 会社に対する金銭債権の弁済期が到来していないと,会社に弁済すべき額が確定せず,評価が適正であ るか判断することができないため,「弁済期が到来している」金銭債権であることを要する。 債務者である会社は期限の利益を放棄することができるため(民136条2項),会社が期限の利益を放棄 していないことが添付書面である「金銭債権について記載された会計帳簿」から明らかな場合を除き,検 査役の調査報告を記載した書面を添付することなく,登記の申請をすることができる。■ リンク過去問
H17-33-イ (商登法) 現物出資の目的である財産が市場価格のある有価証券であり,募集事項として定められた価額が当該有価証券の市場価格を超えない場合には,その価額が500万円を超 えるときであっても,募集株式の発行による変更の登記の申請書には,当該有価証券 についての検査役の調査報告を記載した書面及びその附属書類を添付する必要はな い。 ○ ○ ○ ○ 現物出資財産が市場価格のある有価証券であり,募集株式の募集事項として定められた価額が当該有価 証券の市場価格として法務省令(会施規43条)で定める方法により算定されるものを超えない場合には,検査役 の調査を受ける必要はない(会207条9項3号)。その場合は,添付書面として,有価証券の市場価格を証 する書面を提供する。 ∵ 市場価格のある有価証券は,客観的な価値の評価が可能であるため,株式引受人間の公平を害するおそれは なく,その価額にかかわらず検査役の調査は不要である。 ただし もっとも しかし 【よく 【よく 【よく 【よくある質問ある質問ある質問ある質問~金銭債権の現物出資~~金銭債権の現物出資~~金銭債権の現物出資~~金銭債権の現物出資~】】】 】Q
Q
Q
Q
「金銭債権を現物出資」は禁止される相殺(会208条3項)に当たらないのですか?A
A
A
A
そもそも,相殺が禁止される理由は「会社が望まない場合まで相殺されると困るから」ですが,現物 出資による場合は,何を現物出資として認めるかは募集事項として会社の承認をもらっておくものなの で問題ありません。だからこの場合は禁止される相殺に当たらず,許容されているのです。Topic17
募集株式の発行の登記②
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★ 重要先例
株主総会で発行可能株式総数を増加する定款の変更が決議されることを条件として,変更後の発行可能 株式総数を上限とする募集株式の発行をすることができる(昭34.8.29民事甲1923号回答)。 株式会社が発行しようとする募集株式の数を定めるときは,募集株式の発行後の発行済株式総数が発行 可能株式総数を超過しないようにする必要がある。 発行可能株式総数を超えることとなるような募集株式の発行(枠外発行)は無効である。 発行可能株式総数を超えることとなる募集株式の発行の決議 をした後,募集株式の発行の効力が発生する前に適法に発行可 能株式総数を変更して募集株式を発行した場合や(昭32.6.27 民事甲1248号回答),発行可能株式総数が変更されることを条件と して募集株式を発行した場合には(本先例 【図1】参照),有 効に募集株式発行による変更の登記を申請することができる。 取締役会で枠外発行の決議をした後,同日開催の株主総会に おいて,当該枠外発行がされることを条件に,発行可能株式総数 の増加の決議をして,現実に枠外の募集株式の発行がなされた 場合には,これに基づく変更登記の申請をすることはできない (昭45.6.29民四468号 【図2】参照)。枠外発行という違法 な事項を条件として定款変更の決議がされているからである。■ リンク過去問
H27-30-エ (商登法) 新株予約権を発行している会社が,当該新株予約権の行使をすることができる期間の初日が到来する前に募集株式を発行した場合において,当該募集株式の発行後の発 行済株式総数に新株予約権の目的である株式の数を加えた数が当該会社の発行可能株 式総数を超えるときは,当該会社の発行可能株式総数の変更の登記をしなければ,当 該募集株式の発行による変更の登記を申請することはできない。 × × × × 新株予約権(行使期間の初日が到来していないものを除く。)の新株予約権者が新株予約権の行使により取 得することとなる株式の数は,発行可能株式総数から発行済株式(自己株式を除く。)の総数を控除して 得た数を超えてはならない(会113条4項)。本問の場合,新株予約権の行使期間が到来していないため, 新株予約権の目的である株式数を留保することを要しない。 よって ただし 一方 発行可能 株式総数 株式総数 発行済 新株予約権の目的株式 自己 株式 行使期間の 到来したもの 1000株 500株 ・期間到来 →100株 ・期間未到来 →100株 50株 発行できるのは・・・ 450株 発行可能株式総数が300株に変更され ることを条件に,新たに100株を発行 新たに100株を発行することを条件 に,発行可能株式総数を300株に変更 【図1】 【図2】○
可○
済 200 200 200 200×
×
×
×
○
○
○
○
○
可○
済Topic18
本店移転の登記
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★ 重要先例
会社が本店を他の登記所管轄内に移転し,新旧両所在地における本店移転の登記をした後,当該本店 移転は無効であるとして,その登記の抹消登記の申請をする場合には,新旧両本店所在地における抹消 登記の申請は,旧本店所在地の登記所において同時に受理し,本店移転の登記手続の例に従い処理する (昭45.3.2民事甲875号回答)。 本店を他の登記所の管轄区域内に移転(管轄外移転)した場合には,①「旧所在地の管轄登記所に対す る本店移転の登記」,②「新所在地の管轄登記所に対する本店移転の登記」の2件の登記を申請しなけれ ばならないが,この場合における新所在地での登記は,旧所在地の管轄登記所を経由して,旧所在地での 登記と同時に申請しなければならない(経由同時申請 51条1項,2項)。 これは,審査の矛盾が生じないように併合審査を行う趣旨である。 本店移転の抹消登記を申請する場合も,同様の趣旨が妥当するため,旧所在地及び新所在地における抹 消登記の申請は,経由同時申請によってする。■ リンク過去問
H6-35-イ (商登法) 株式会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合には,旧所在地を管轄する登記所あての申請書と新所在地を管轄する登記所あての申請書とを同時に旧所在地 を管轄する登記所に提出しなければならない。 ○ ○ ○ ○ 本店の管轄外移転の場合,新所在地における登記の申請は,旧所在地の管轄登記所を経由し,旧所在地 における登記の申請と同時にしなければならない(経由同時申請 51条1項,2項)。 ∵ 審査の矛盾が生じないように併合審査を行う趣旨である。 H26-30-オ (商登法) 本店を甲県所在のA登記所の管轄区域内から乙県所在のB登記所の管轄区域内に移転する本店移転の登記が申請された場合において,B登記所の登記官が新所在地にお ける登記の申請を却下したときは,その旨の通知を受けたA登記所の登記官は,旧所 在地における登記の申請を却下しなければならない。 × × × × 新所在地の管轄登記所は,送付を受けた新所在地における本店移転の登記の申請に却下事由があるとき はこれを却下し,旧所在地の管轄登記所に通知する(52条3項)。新所在地における本店移転の登記の申 請が却下されたときは,旧所在地における本店移転の登記の申請も却下されたと“みなされる”(同条5 項)。 ∵ そもそも,本店の管轄外移転の場合に経由同時申請の形式が採られているのは,審査の矛盾が生じないよう に併合審査を行う趣旨であるので,新所在地の登記が却下されれば,これと整合性を取り,当然に旧所在地の 登記も却下したものとみなされる。 そしてTopic19
組織再編の登記における印鑑証明書の添付
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★ 重要先例
新設分割及び株式移転による設立の登記の場合については,設立時代表取締役の就任承諾書に押印し た印鑑に係る印鑑証明書の添付を要する(平20.1.25民商307号通知)。これに対して,組織変更又は 新設合併による設立の登記の場合は,就任承諾書に押印した印鑑に係る印鑑証明書の添付は不要である (規61条4項前段括弧書)。 新設合併,組織変更による設立登記を行う場合は,消滅会社 や組織変更前の代表者が,再度代表者に就任するのがほとんど であることから,代表者が再任する場合と同視することができる。 組織変更,新設合併による設立登記の場合は,設立時代表取締 役の就任承諾書に押印した印鑑に係る印鑑証明書の添付は不要 である。 新設分割,株式移転による設立登記を行う場合は,全く別の 会社が作り出されるため,従前とは別の代表者が就任すること も想定されるので,代表者が再任する場合と同視することができ ない。 新設分割,株式移転による設立登記の場合については,通常の 設立の場合と同様に,設立時代表取締役の就任承諾書に押印し た印鑑に係る印鑑証明書の添付を要する。 【就任承諾書に押印した印鑑に係る印鑑証明書の添付の要否】 ○○○○:必要 ××××:不要 組織変更 新設合併 新設分割 株式移転 × ×× × ×× ×× ○○○○ ○○ ○○■ リンク過去問
H19-32-イ (商登法) 取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)を設立する場合には,設立の登記の申請書には,設立時代表取締役の就任承諾書に押された印鑑につき市区町村長 の作成した印鑑証明書を添付する必要はない。 × × × × 取締役会設置会社を設立する場合,設立時代表取締役が就任承諾書に押印した印鑑につき,市区町村長 の作成した印鑑証明書を添付しなければならない(規61条4項,5項)。 ∵ 会社の代表者が実在することを証明し,虚無人登記や他人名義の代表者の就任登記を防止するため。 よって よって これに対して 分割会社・ 完全子会社の代表者 【新設分割・株式移転】 設立会社・ 完全親会社の代表者 組織変更前・ 消滅会社の代表者 設立会社の代表者 組織変更後・ 【新設合併・組織変更】 代表者の再任と 同視できる 代表者の再任と 同視できないTopic20
特例有限会社の登記
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★ 重要先例
特例有限会社が商号を変更し,通常の株式会社へ移行する場合に申請する,商号変更による設立の登 記において,特例有限会社の従前からの取締役・代表取締役・監査役が引き続き株式会社の取締役・代 表取締役・監査役であるときは,就任年月日については,登記官の職権によって特例有限会社の登記か ら移記される(平18.3.31民商782号通達)。 他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記を申請する場合は,本店移転の際に新たに登記記録が作ら れることになるので,現に効力を有する登記事項をすべて登記し,その会社の情報を新たな登記所に知ら せる必要がある。 新所在地における本店移転の登記においては,役員の氏名・住所等に併せて就任年月日を記載する(規 65条2項)。 商号変更による設立の登記においては,役員の氏名・住所等が登記事項となるが,手続としてはあくまで 「設立登記」であるため,従前からいる役員について,その就任年月日を申請書の内容とすることを要しな い。この場合,当該役員の就任年月日は登記官の職権により,特例有限会社の登記より移記される。 【役員の就任年月日の記載の要否】 ○○○○:必要 ×××:不要 × 本店移転の新所在地 における登記 商号変更による 設立の登記 ○ ○ ○ ○ ×× ××■ リンク過去問
H19-28-ウ (商登法) 本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合において,その管轄区域内に当該会社の支店の登記があるときは,新所在地を管轄する登記所に対してする本店移転の登 記の申請書には,本店を移転した旨及びその年月日を記載すれば足りる。 × × × × 支店の登記事項は一定の事項に限られているため(会930条2項各号等),本店を他の登記所の管轄区域 内に移転したときは,支店の有無に関係なく,現に効力を有する登記事項を登記しなければならない(会 916条)。 ∵ 新所在地に支店がある場合には,支店の登記記録を閉鎖して,本店の登記記録を新たに作る処理をする。そ のため,現に効力を有する登記事項を登記する。 よって これに対して1
択一式登記法で上乗せ点を確保するためのポイント
1 求められる上乗せ点
司法書士試験の基本戦略は「正答率の高い(60%以上)Aランクの問題は確実に 正解し,正答率のやや低い(50~60%程度)B+ランクの問題をできるだけ得点し ていくこと」にあります。 主要な過去問知識だけで正解できる問題であれば,それはAランクに位置づけら れ,確実に正解しなければならない問題といえます。これは基準点到達のために絶 対不可欠です。しかし,基準点から上乗せ点を積み増し,総合合格点を突破するた めには,B+ランクの得点を上げなければなりません。 というのも,2016年度本試験においては,基準点の合計から総合合格点突破に必 要となる上乗せ点が「23点(択一式で約8問分)」と高かったのに加え,基準点到達 者のうち総合合格点を突破した人数(合格者)の割合が「57%」でした。つまり, 基準点に到達しても半分程度しか合格できないといった,いわば「総合点勝負」の 年であったといえます。 【各基準点到達者のうち,総合合格点突破者(合格者)の割合】 2013年 2014年 2015年 2016年 合格者/各基準点到達者 (割合) 796/1152(69%) 759/1065(71%) 707/1211(58%) 660/1150(57%) 択一式を午前の部,午後の部で分けて考えると,上乗せ点を積み上げやすいのは 基 準 点 の 低 い 午 後 の 部 で す 。 そ こ で 狙 い 目 に な る の が , 択 一 式 午 後 の 部 の 68%(24/35問)の得点割合を占める択一式登記法(不動産登記法・商業登記法)です。2 登記法における上乗せ点確保①~未出知識の押さえ方~
上乗せ点を取るべく,得点を上げるには,正答率が低めの問題も得点する必要が あります。それでは,正答率が低い問題とはどのような問題か。それは,「過去問知 識だけでは解けない問題」です。受験生の多くはテキストと共に過去問を軸として 学習しているため,過去問知識だけで解けない問題となると,正答率がガクッと下 がります。ですから,上乗せ点を取るためには過去未出の知識も,ある程度押さえ ていく必要があるといえます。 未出知識を学習する際のポイントは,「周辺知識・関連知識とリンクさせること」 です。未出知識を単独で記憶するのではなく,周辺知識・関連知識とリンクさせ, 鎖のように繋げて記憶することで,記憶がより強固になるのに加え,周辺知識・関 連知識の復習にもなります。リンクさせる知識は,テキストの周辺に書かれている 知識や,制度趣旨が似ている,あるいは関連する知識にするといいでしょう。なお, 知識をリンクさせる場合は,それぞれの知識を線で結びつけたり,相互参照の印 (例:「@民法P122」)をつけるのがおすすめです。 なお,未出知識を吸収する際に,気を付けなければならないのが,「基礎をおろそかにし✍
Memo 第1~11問の民事訴 訟法以下で上乗せ点 を確保する戦略も考 えられますが,これ らは過去問知識を中 心とする出題が多い ので,未出知識へ学 習範囲を拡大するこ とはコストパフォー マンスが悪いといえ ます。ないこと」です。未出知識の学習はいわば「攻め」に当たり,これに対して基礎知識 (主要な過去問知識)の学習はいわば「守り」に当たります。上乗せ点の確保を狙 うあまり,未出知識の学習だけをして,攻めてばかりいると,基礎知識が抜けてし まい,守りがおろそかになってしまいます。その結果,基準点を下回ってしまうと いう例は実に多いです。したがって,未出知識を学習する際は,基礎知識の学習と のバランスを意識することが重要といえます。答練の復習をする際には,「未出知識 の学習」と「基礎知識の学習」のバランスに気をつけるようにしましょう。