言 語 と ジ ェ ン ダ ー
日英語に表れる性差
熊 抱 ゆ か り
*1.は じ め に
発話のスタイルや語彙の使用に於ける男女の性差は、多少の差はあるとして も、どの言語にも表れるものである。日本語は特に語尾に於いて性差が顕著に 表れるので、ジェンダー研究には欠かせない言語の1つになっている。英語も 日本語ほどではないが、その発話スタイルに男女の差は見られる。例えば女性 はよく付加疑問文を使い、 頻繁に使用する形容詞 ―‘cute’、‘charming’、
‘lovely’、‘pretty’、‘sweet’― がある、などである。しかし日本語の語尾に表 れる性差とは違い「絶対的」なものではない。
また言語に於ける性差は、その言語が所属する社会の「男女の位置関係」に も密接に関係していると言える。語彙に於ける性差の根底には、長年に渡り存 在している性差別も影響しており、語彙の性差を無くすことで社会に於ける性 差別も改善されるのではないだろうか。
本稿では、英語と日本語の性差について比較研究を試みるものである。性差 は多岐に渡っているが、まず人称代名詞についての性差を検証し、次に英語特 有の動物の性差とその擬人化について、さらに社会の中の男女観を反映してい
*福岡大学人文学部外国語講師
る「ことわざ」や、その他の語彙に表れる性差について考察していきたい。
2.人称代名詞
英語の人称代名詞で性差が表れないのは一人称の単数(I-my-me)・複数
(we-our-us)、二人称の単数・複数(共にyou-your-you)、また三人称 単数(it-its-it)と複数(they-their-them)である。唯一性差が生じる のは三人称単数(she-her-her / he-his-him)である。これに対して日本 語の人称代名詞はその殆どに性差が表れ、話者と聞き手の関係や発話された時 点でのフォーマルさの度合いなどによって性差が見え隠れする(例1参照)と いう特徴がある。
「自分」という言い方は、例えば自衛隊などでかなりフォーマル度が増した 時に使用されることもあり、時と場合により上記の図式は当てはまらないこと になる。日本語では同じ意味で使用される「私」と「自分」であるが、英語に 当てはめるとどうだろうか。例えば<例2>のAの「誰がやったんだ?」の 質問に対して、Bが「私です」、そしてB'が「自分です」と解釈してはどうだ ろうか。‘myself’を付加するだけで「私です」ではなく、「自分です」つまり
「自分がやりました」という表現が含まれるのではないかと考える。
<例1>
一人称単数;
Informal Formal
(男性)俺 僕 / 自分 わたし わたくし
(女性) あたし 自分 わたし わたくし
<例2>
A : Who did it?
B : I did it.
B' : I did it myself.
通常、フォーマル度が低ければ性差が生じやすいのが日本語の特徴であるが、
中には例外もある。例えば<例3>の三人称複数である。フォーマル度が中間 の時に「彼ら/彼女ら」で性差が生じるのみで、その他のケースでは性差は見 られない。
また日本語の場合二人称と三人称の使い分けは、フォーマル度に加えて話者 と聞き手、話者と第三者との関係に左右される。二人称単数の男性形を例に挙 げてみよう。
<例3>
三人称複数;
Informal Formal
(男性)あいつら 彼ら/あの人達 あの方々
(女性)あいつら 彼女ら/ あの人達 あの方々
ややフォーマルのほうに挙げた「きみ」であるが、通常目上(年上・上司)
から目下(年下・部下)に対して、男性同士で丁寧表現(気取った時など)と して、或いは男性が女性に対して使用するものである。
日本語の三人称単数の「彼」・「彼女」は英語の人称代名詞の役目だけでは なく、一般名詞(Boyfriend / Girlfriend)としても使用される。<例5>の 質問Aの「彼女は何しているんですか?」では、それ以前の会話が返答の意 味に影響する。
<例5>
A : What does she do?
B : She is a student.
日本語訳1;
A :(あの子かわいいですね。)彼女は何しているんですか?
B : 彼女(=‘She’)は学生です。
日本語訳2;
A :(あの子が君の彼女か。)彼女は何しているんですか?
B : 彼女(=‘Girlfriend’)は学生です。
<例4>
二人称単数;
Informal Formal
(男性)てめえ おまえ あんた きみ あなた様 きさま そっち おたく あなた
また日本語では、三人称単数が二人称単数の意味で使用されることもある。
下記の例①や②で見られるように、例えば町でキャッチセールスをしたり、ナ ンパしたりする時などでは「彼女」=‘You’として使用される。
<例6>
① 彼女(=You)何してるの?
② 彼女(=You)暇?
英語の三人称単数‘It’であるが、その使用範囲は物体などの性が無い物だけ ではなく、下記の例①や②に見られるように人にも使用される。逆に例③のよ うに、人を表す人称代名詞で動物を表現する場合も多い。
<例7>
① Her baby is tiny. It only weighs 2 kilos.
② A: Who is it?
B: It's me.
③ A: Have you seen John's new dog?
B: Yes. She is so beautiful, isn't she?
A: Yeah. He is so proud of her.
また動物と同様に、例えば‘moon’・‘church’・‘city’・‘ship’・‘country’・
‘earth’・‘nation’・‘nature’・‘music’は‘she’、これに対して‘sun’・‘war’・
‘ocean’・‘mountain’・‘river’・‘law’は‘he’を代名詞として使用することが可 能である。また人称代名詞は物への個人的な愛着感で決まる場合もある。例え ば男性が自分の愛車を‘she’と言ったり、また逆に女性が愛車を‘he’と言った りすることが出来る。
3.動物の性差と擬人化
日本語では動物の性差、つまり「雄」・「雌」を表すのには、基本的に「雄」
・「雌」を単語の前に置き、次にくる単語により「おす~」・「めす~」、「お ん~」・「めん~」、「お~」・「め~」などに変化する。これに対して表1のよ うに、英語には動物の性差を表す固有の語彙がある。表1には単語は各々1つ しか記載していないが、例えば「ブタ」という語を例に挙げると、去勢してい るか否かで‘hog’或いは‘boar’、子ブタは‘pig’(雌ブタの意もある)、食卓に
上がれば‘pork’に変わり、動物に関する語彙は豊富である。
また‘pig’を擬人化して「利己的な人」、「だらしない女」、「さえない女の子」
の意味で使用したり、‘buck’を「元気な若者」、「だて男」、「(けなして)黒人 の男」の意味で使用したりと擬人化も多く見られる。この擬人化の傾向は特に スラング(Slang=「俗語」・「隠語」)表現で頻繁に行なわれる。例えば、日 本語の「犬」に当たる‘dog’(雄イヌ)と‘bitch’(雌イヌ)であるが、女性を けなすスラングとして、‘bitch’が使用される。
表1
動物名 雄 雌
ブタ
boar sow
シカ
buck doe
ウシ
bull cow
ニワトリ
cock hen
イヌ
dog bitch
アヒル
drake duck
ガチョウ
gander goose
ヒツジ
ram ewe
ウマ
stallion mare
<例8>
① A: Are you working overtime tonight?
B: Yeah, my boss says I have to.
A: She's such a bitch.
(女性に対して;「性悪女」・「嫌な女」・「底意地が悪い女」の 意) (例文はセイン他、2003年、p.66より抜粋)
② A: What happened to my car? Where is it?
B: I drove it into a wall.
A: You son of a bitch.
(‘bitch’の息子、 つまり通常男性に対して;「くそったれ」・
「ろくでなし」の意) (同、p.70より抜粋)
③ A: I got tickets to the Rolling Stones concert.
B: That's bitching!
(感嘆詞で性差には無関係;「すげーっ!」の意)
A: I had to wait in line for five hours.
(同、p.80より抜粋)
④ A: Do you know who that guy is?
B: Sure, he's been my dog since junior high.
(通常男性に対して;「ダチ(友人)」・「相棒」の意)
(同、p.168より抜粋)
例④に見られるように、‘dog’は通常男友達に対して使用されるので、例え ば‘He is a dog’(通常は‘He is my dog’)は「彼はダチの一人だ」という意 味になるが、‘dog’は女性に対しても使用されることがあり、‘She is a dog’
と言うと「彼女はブスだ」という容姿をけなす表現になるので要注意である。
4.ことわざ
ことわざは古くから受け継がれている歴史的な男女観を表しており、その社 会が性差に関してどのような固定観念を持っているのかを垣間見ることが出来 る。渡辺(1995)は、日本語の男女を題材にしたことわざのカード254枚を
「女を題材にしたもの」、「男を題材にしたもの」、「男女双方を題材にしたもの」
の3つに分類し、さらにその内容によって細分類した。その結果、女性を題材 にしたことわざは170枚で、男性を題材にした66枚よりも圧倒的に多かった。
ことわざは批評の文学であると言われている。日本社会が歴史的にいかに男性 優位の構造を取ってきたかが分かる。渡辺はことわざに関して、下記のように 独自に概念規定(同、pp.162-165)を定めている;
規定1.ことわざの本質 ― ことわざとは人間や人世、社会や自然の諸事 象を批評して、その真実を的確にとらえ、簡潔な言葉で表現した 言語作品である。
規定2.ことわざの機能 ― ことわざは<規定1>に記した本質がある為 に、多くの場合私達の日常生活における態度や行動を選択、決定 するに関してのよりどころ、またはそれらを正常化、合理化する ためのよりどころとして機能する。そしてまた他人が取った態度 や行動を解釈、理解する際のよりどころとして機能する。
規定3.ことわざの作者 ― ことわざの作者は多くの場合特定することが 出来ない。ことわざはいわば民衆の間に自然発生的に生まれ<規 定1>に記した本質と<規定2>に記した機能があることによっ て、共時的には多くの民衆の間に広まり、通時的には多くの民衆 によって世代を越えて受け継がれている。
渡辺の調査から、女性を題材にしたことわざの焦点を分類すると下記の通り
である;
1.女の知恵をけなしたもの(13枚)
2.男は女を近づけてはいけない、女に近づいてはいけないというもの
(8枚)
3.女の力はこわくないというもの(6枚)
4.女はおしゃべりであるというもの(10枚)
5.女は嫉妬深い、執念深いというもの(12枚)
6.女心は変わりやすいというもの(4枚)
7.女には家が無いというもの(5枚)
8.その他、女をマイナスに評価・批評したもの(27枚)
9.女の態度・振る舞いに関するもの(8枚)
10.女の容貌・化粧に関するもの(37枚)
11.女は玉の輿にのるというもの(3枚)
12.女をプラスに評価・批評したもの(9枚)
13.その他(28枚)
日本語のことわざには「女性をマイナスに評価・批判したもの」が多く、ま た「容貌・化粧を題材にしたもの」が多いということが分かる。下記の例①~
⑤は前者の例で、⑥~⑩は後者の例である。
<例9>
① 女の知恵は鼻の先
② 酒と女は仇なり
③ 女心と秋の空
④ 女は乱の基
⑤ 女の太刀ではたち切れぬ
⑥ 悪女の深情け
⑦ 夜目遠目笠の内
⑧ 佳人薄命
⑨ 女は化け物
⑩ 色の白いは七難隠す
これに対して、男性を題材にしたことわざ66枚のうち、「男の態度・振る舞 いに関するもの」(18枚)や「役割分担に関するもの」(4枚)、「男は優れて いるというもの」(7枚)が特に目立った。以上の結果から、日本語のことわ ざには女性を卑下しステレオタイプ化したものが多く、日本社会に於ける男女 間の格差を的確に捉えているものが多いことが分かる。
一方英語のことわざには男性に関するものが極端に少なく、日本語と同様に 女性が批判の対象になっているものが多い。この理由について奥津(2005)は、
聖書の中にある女性観 ― 神の命に背いて禁断の木の実を食べ、アダムをそそ のかして原罪を犯したイブは極めて罪深い存在である ― が根底となっている と指摘し、日本語よりも英語の方が徹底的に女性を攻撃していると述べている。
また奥津(同、p.135)は英語のことわざには女性の不可解さ、複雑さ、魔性 などを強調したものが多く、日本語は女性が全く男性に隷属するものであると いう考えに基づいたものが多いと言及している。ぞれぞれの社会に於ける女性 観の違いが言語に反映されていると言える。
英語には下記の例①のようなことわざに反発し、 例②・③ (奥津、 同、
p.137より抜粋)のように古いことわざを改変し、新しいことわざを作るとい
う動きもある。
<例10>
① A woman is an angel at ten, a saint at fifteen, a devil at forty, and a witch at fourscore.
② A Ms is as good as a Male.
(男女平等を説くもの;‘A miss is as good as a mile’のもじり)
③ A woman's place is in the House.
(女性の政界進出《House=国会議事堂》を促しているもの;
‘A woman's place is in the house’のもじり)
日本語にも古くからのことわざに反発し、メディア発信のものがことわざに 転じた例もある。「亭主元気で留守がいい」も既にことわざ辞典に記載されて いるという。
5.語彙に表れる性差
女性は「物」や「食べ物」に形容されることが多い。例えば日本語で「売れ 残る」・「片付く」・「箱入り」とか、「摘み食い」・「悪い虫がつかないように」
などは女性を対象にしている表現であり、一般的に男性には使用されない。ま た「○○さんを私にください」という表現も男性が女性を対象に発する言葉で ある。英語でも女性は甘いデザート(cake、cookie、cherry pie、sweet pie、
pumpkin pieなど)に例えられることが多い。また女性を持ち出して ’ けな
す対象’として使用されることもある。例えば「女の腐った」、「女々しい」な どである。ごく最近では女性を犬に例えて「負け犬」などの言い方もある。平
賀(1997、p.126)は隠喩概念の分析を試みた結果、次のように述べている;
本書で試みた<女>に関する隠喩概念の分析は、人間に関する隠喩概念体 系のごく一部をなすものである。しかしここで大切なことは、これらの概
念があまりにも慣習化されているために、我々はもはやその存在にすら気 がつかずにいるということである。特に、現代の社会における男女の地位 や役割を考える場合には、慣習化された隠喩によっていわば無意識的に、
しかし根強く、我々に影響を与えている固定的観念から自己を開放する必 要があると思われる。それと同時に、そのような概念を容認し定着させて いる要因である社会そのものを変革してゆかなければならないことは言う までもない。
語彙の構成に於いても、例えば日本語では「男女」・「夫婦」・「父母」・
「兄弟姉妹」というように、語順は男性が先で女性が後にくる。英語も‘Adam and Eve’、‘husband and wife’、‘male and female’、‘boys and girls’など日 本語と同様の傾向が見られるが、‘Ladies and Gentlemen’は例外中の例外で ある。
職業を表す語彙は、男性形から女性形を引き出すのが主流である。例えば
「作家」に対して「女流作家」、「医師」に対して「女医」、「教師」に対して
「女性教師」、「警官」に対して「婦警」、「アナウンサー」に対して「女子アナ」
などである。しかし最近では中性化の傾向があり、例えば「保育士」や「看護 師」などの表現が好まれるようになってきたが、これらはまだごく一部にすぎ ない。英語も同様の現象が起きているが、日本語よりも中性化された語彙が多 い。表2はそのほんの一例である;
表2
Original Term New Term
airline steward, stewardess flight attendant
cameraman camera operator
chairman chairperson, chair
上記のように、古くから職業による性差の固定観念が単語自体を作り出して きたのである。以前は英語も日本語同様、単語の前に‘female’を添付したり、
後半の‘man’を‘woman’に変えたりすることで性差を表現してきた。或いは
‘steward’に対して‘stewardess’のように、男性形の語尾に女性形の接尾辞を 加えることで女性の職業を表現してきた。しかし逆に単語を見てすぐに性差が 判明するメリットもあったのである。
また‘housewife’(専業主婦) に対して外に働きに出る女性を‘working
woman’や‘working mother’というが、‘housewife’が‘work’ではないのか、
と い う 問 題 も あ る 。 同 様 に 外 で 働 く 男 性 を‘working man’ や‘working father’と は 言 わ な い 、 と い う 現 実 も あ る 。‘human’は ど う だ ろ う か 。
‘huwoman’とはならないし、‘mankind’と‘womankind’の意味は全く同じで
はない。‘snowman’とは言うが、なぜ‘snowwoman’ではいけないのか。中
性化に伴い‘snowperson’と言い換えるべきなのであろうか。また呼びかけの 時に一般的に使用する‘Hello, guys’は‘Hello, girls’とは同じ意味を成さない。
例を挙げればきりが無いが、未だに女性が男性を表す語彙の中に含まれている ことが多いのは否めない。
丁寧表現で日本語の呼称は「~さん」や「~様」というように性差はないが、
英語では男性には‘Mr’、女性には3種類の呼称 ―‘Mrs’、‘Miss’、‘Ms’が使
draftsman drafter
fireman firefighter
housewife house manager
policeman police officer
repairman repairer
salesman salesperson
spokesman spokesperson
用される。‘Ms’は米国の女性解放運動(The women's liberation movement)
により生まれた新しい呼称であり、1973年以降は国連でも正式に採用されて いる。男性の呼称が1つなのに対して、未だに女性の呼称が3種類というのは どうだろうか。かえって性差を浮き彫りにしているように思えてならない。例 えば‘Ms’は地域・社会によっては限定された使用法しかされていない場合も あるからだ。カナダでのある調査 (Romaine、2000、p.131) で、‘Miss’は
「まだ1度も結婚していない未婚の女性」に使用され、‘Ms’は「離婚歴のある 女性」に使用されるという結果も出ている。いっそのこと‘Mr’と‘Ms’のそ れぞれ1種類づつ、或いは男性の呼称を女性と同様に3種類にしたほうが妥当 だったのでは、と思えてならない。女性解放運動先進国の言語でさえ、未だに 様々な矛盾を抱えているのが現状である。
6.おわりに
英語と日本語に於ける性差の違いや共通点を、人称代名詞や語彙、ことわざ に焦点を当てて論じてきた。日本語の人称代名詞はフォーマルさの度合いによ り、また話者と聞き手、或いは話者と第三者との関係に左右され、英語には無 い独特の使用方法もある。逆に英語は動物の性差を表す語彙が豊富であり、物 や動物を擬人化して人称代名詞や語彙を使用することもある。
ことわざで見てきたように、言葉による「男女観」の構築が古くから成され、
暗黙のうちに男女の役割分担や価値観を反映するものになり、それが固定観念 となった。未だに以前からの男女観で物事を見てしまう傾向があり、それが現 在まであまり認識されることなく続いている性差を構築していると言える。
時代と共に女性解放運動が活発に行なわれるようになり、男女同権の精神か ら、性差のある語彙を中性化しようとする傾向にあるが、未だに様々な問題を 抱えていることも否めない。例を挙げて見てきたように、中途半端に性差が無 くなり、未だに女性が男性を表す語彙の中に含まれていることが多いという矛
盾点もある。また逆にこのような語彙に於ける性差が全く無くなってもいいの だろうか、とも考える。なぜなら語彙の中には性差が一目瞭然に分かるものも 多く、その便利さも見られたからである。
[参考文献]
奥津文夫(2005)「日英ことわざと背景文化の比較」『日英語の比較 ― 発想・背景・文 化』日英言語文化研究会 三修社
131―138
Kumadaki, Yukari
(2003). A Comparative Study of Gender Distinctions in English and Japanese
福岡大学人文論叢 第35
巻第2号671―686
セイン・ディビッド他(2003)「ネイティブがよく使う英語スラング」 明日香出版社 中島平三(2005)「言語の事典」 朝倉書店
平賀正子(1997)「品物としての女 ― メタファーにみられる女性観」『女性語の世界』
明治書院
114―129
堀井令以知(1990)「女の言葉」 明治書院
渡辺友左(1995)「ことわざに表れた性差別」 南雲堂
Romaine, Suzanne
(2000). Language in Society. New York: Oxford University Press.
[追記]
本論文は
2006
年3月25
日に開催された、第18
回日本比較文化学会九州支部大会(於:中村学園大学)に於いて、筆者が口頭発表したものを加筆修正したものである。