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日本における電子政府の現状と課題

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(1)

日本における電子政府の現状と課題

谷 口 洋 志

高     鶴

**

1 .はじめに

2 .電子政府の定義と取組 3 .電子政府の評価 4 .電子政府の理解

5 .おわりに:電子政府の課題

1 .はじめに

1990年代後半,米国では主要官庁が統計データを詳細かつ広範囲に提供し,しかも,テキスト,

pdf

excel

形式ファイルなどの多様な形で提供したことから,利用者はすぐにそれらをパソコン に取り込んで処理し,分析することができた.他方,日本では統計データを提供することが精一杯 で,しかもデータは画像用の

jpeg

gif

ファイルとして提供されたので,利用者はいったん印刷 した上で新たにデータ入力する必要があった.もしかすると,日本では,希少なデータを従来有料 で提供していたものを無料開放したのだから,それだけでも大きな前進だと自賛していたのではな いか.

日本政府による情報提供の問題はそれだけではない.そもそもデータ量が少ない,関連するデー タが分散している,探しにくい,重要部分が提供されていない,時系列データがなく,あっても期 間が短いといった状況がずっと続いた.利用者がどのような統計データを必要としているのか,統 計データの入力にどれだけの負担があるかといったことへの配慮はほとんどなかった.まさに供給 側だけの論理で,「ないよりはマシ」という状況が長く続いた.現在,こうした状況はかなり改善 されたとはいえ,基本的な問題点は未解決で,利用者にとっての不便さには変わりがない1)

† 本稿は,2018年10月20日に山東師範大学公共管理学院で開催された国際シンポジウムでの報告内容(谷 口,2018)に基づく.

1 ) 日本における統計データを含む情報提供の不便さは,アメリカや中国の情報提供と比較すればおのず と明らかになる.米国や中国のデータは比較的見つけやすく,時系列データがそろっている.しかし,

(2)

では,電子政府についてはどうか.以下では,日本における電子政府の取組について取り上げ,

その成果と問題点について議論する.第 2 節では,日本における電子政府の定義と取組を取り上げ る.第 3 節では,日本における電子政府の取組に対する評価を取り上げる.第 4 節では,電子政府 をどのように理解するかについて論じる.第 5 節では,日本における電子政府の問題点を取り上 げ,改善の方向について考える.

2 .電子政府の定義と取組

2-1 電子政府の定義

日本における電子政府の議論は1994年までさかのぼる.1994年12月25日に閣議決定された「行政 情報化推進基本計画」には,以下の記述がある.「行政の情報化により,事務・事業及び組織の改 革を推進するとともに,セキュリティの確保等に留意しつつ,『紙』による情報の管理からネット ワークを駆使した電子化された情報の管理へ移行し,21世紀初頭に高度に情報化された行政,すな わち『電子政府』の実現を目指す」.電子政府という用語を使用した点では世界的に早い.

ただ,この段階では,「行政の情報化」,「ネットワークを駆使した電子化された情報の管理」と いった理解にとどまり,電子政府のコンセプトを深く検討した形跡はない.また,1994年段階では インターネット利用が初期段階にとどまり,オープンなネットワークでの情報共有よりも,イント ラネットや専用線・パソコン通信を利用した閉鎖的なネットワークでの利用が中心であり,企業で も個人でもネットワーク利用よりもスタンドアロンでの利用が主であった.

こうした状況は,1990年代後半になると少し変化する.1995年に

OS

Windows95が発売さ

れ,安価なパソコンが普及し,ブラウザを利用してのネット販売や検索が米国を中心に拡大した.

一方,通信網では,アナログからデジタルへの転換が進展し,通信速度も年々上がっていった.と はいえ,1990年代後半における通信速度は,ISDN(総合デジタル通信網)と呼ばれるデジタル回 線では64kが主流であった.

1990年代後半には米国やシンガポールだけでなく,韓国でも知識基盤経済建設の機運が高まる一 方,日本国内ではインターネット利用がようやく広がり始めたばかりで,インフラやハードウェ ア,インターネット利活用の点ではこれら諸国に後れを取っていた.こうした状況が変わるきっか けとなったのが,2000年 7 月21~23日に開催された

G

8 九州・沖縄サミットであった.九州・沖 縄サミットでは「グローバル情報社会」が主要テーマの 1 つとなり,ICT(情報通信技術)の利活

日本の場合にはデータが分散していたり,存在しなかったりする.しかも,最近データですら, 2 ~ 3 年前というものが混ざっている.例えば,県民経済計算では,2019年度に利用できる最新データは2016 年度のものである.

(3)

用機会(digital

opportunity)

と利活用格差(digitaldivide)が議論された.このあたりから,デジ タル社会における日本の役割が意識されるようになり,それが2000年11月27日発表の

IT

戦略会議 による「IT基本戦略」となって結実した.

IT

基本戦略では,「超高速インターネット網の整備とインターネット常時接続の早期実現,電子 商取引ルールの整備,電子政府の実現,新時代に向けた人材育成等を通じて,市場原理に基づき民 間が最大限に活力を発揮できる環境を整備し,我が国が 5 年以内に世界最先端の

IT

国家となるこ とを目指す」とし,重点政策分野として,超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策,電子商 取引ルールと新たな環境整備,電子政府の実現,人材育成の強化,の 4 つを掲げた.

そのなかで,電子政府を以下のように定義している.「電子政府は,行政内部や行政と国民・事 業者との間で書類ベース,対面ベースで行われている業務をオンライン化し,情報ネットワークを 通じて省庁横断的,国・地方一体的に情報を瞬時に共有・活用する新たな行政を実現するものであ る」.ここでは,電子政府を,「業務をオンライン化し,情報ネットワークを通じて情報を瞬時に共 有・活用する行政」の意味で理解している.

IT

基本戦略における電子政府の定義は現在も引き継がれている.ただし,その後は電子政府だ けでなく,電子行政やデジタル・ガバメントといった表現も使われている(表 1 参照).例えば,

2017年 5 月30日の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定

「デジタル・ガバメント推進方針」では,「電子行政を推進する目的は,行政の

IT

化による国民利 便性の向上及び行政運営の効率化の実現にある」とし,「本方針において,デジタル・ガバメント とは,サービス,プラットフォーム,ガバナンスといった電子行政に関する全てのレイヤーがデジ

表 1 日本政府における

ICT

戦略と電子政府の推進

ICT

戦略 電子政府の推進

2001年 1 月,IT戦略本部「e-Japan戦略」 2002年12月「行政手続オンライン化法」

2003年 7 月,IT戦略本部「e-Japan戦略Ⅱ」 2003年 7 月「電子政府構築計画」

2006年 1 月,IT戦略本部「IT新改革戦略」 2006年 8 月「電子政府推進計画」

2007年,2008年に同推進計画改定 2009年 7 月,IT戦略本部「i-Japan戦略2015」

2010年 5 月,IT戦略本部

「新たな情報通信技術戦略」

2011年 8 月「電子行政推進に関する基本方針」

2012年 7 月「電子政府オープンデータ戦略」

2012年11月「政府情報システム刷新に当たっての基本的 考え方」

2013年 6 月,閣議決定

「世界最先端

IT

国家創造宣言」(2014年 6 月,

2015年 6 月,2016年 5 月に宣言の変更を行った)

2017年 5 月,閣議決定

「世界最先端

IT

国家創造宣言・官民データ活用推 進基本計画」

2017年 5 月「デジタル・ガバメント推進方針」

2017年 5 月「オープンデータ活用方針」

2019年12月「デジタル・ガバメント実行計画(案)」

(出所)筆者作成.

(4)

タル社会に対応した形に変革された状態を指す」と定義している.

2-2 電子政府の取組

日本における電子政府の取組内容をいくつかの政府文書から拾うこととする.

( 1 )電子政府構築の原則

2003年 7 月17日の各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定「電子政府構築計画」では,電 子政府構築の原則として,以下の 8 点を挙げる.

・国民にとって使いやすく分かりやすい,高度な行政サービスの提供

・政策に関する透明性の確保,説明責務の履行及び国民参加の拡大

・ユニバーサル・デザイン(誰もが使いやすい設計)の確保

・業務効率の徹底的追求

・民間活力の活用

・情報システムの安全性・信頼性の確保と個人情報保護

・国の行政機関以外の機関との連携及び国際連携の確保

・活力ある社会形成への配慮

上記の原則に基づき,以下の目標の実現を掲げた.

① 利用者本位の行政サービスの提供

国民が行政組織等を意識せず,多様な手段により,24時間365日ノンストップで必要な情 報を容易に入手し,行政手続等についてワンストップで適切な行政サービスを受けることを可 能にする.

② 予算効率の高い簡素な政府の実現

業務処理過程の重複等の徹底した排除,各府省共通業務・類似業務における共通システムの 利用や業務・システムの一元化・集中化,定型的業務等の外部委託の推進等業務・システムの 最適化により費用対効果を高め,人的・物的資源の効率的な活用を通じた行政の簡素・合理化 を図ることにより,予算効率の高い簡素な政府を実現する.

( 2 )電子政府・電子自治体における重点分野

2009年 7 月 6 日の

IT

戦略本部「i-Japan戦略2015~国民主役の『デジタル安心・活力社会』の 実現を目指して~」では,電子政府・電子自治体における重点分野として,以下を掲げた.

① 行政窓口改革

・テレビやパソコン,携帯電話や窓口など自ら選択するチャネルを通じて,電子政府・電子自治 体に参加できるようにする.

・自宅やコンビニ等において24時間,必要な証明書等が手に入るようにする.

・デジタル技術に不慣れな高齢者等にも,行政の窓口において質の高いワンストップ行政サービ

(5)

スが提供され,ストレスなく参加できるようにする.

・クリック程度の少ない画面操作で,国と地方の行政情報やサービスメニューにたどりつけるよ うにする.

・国民や企業が望めば,安心して金融や医療,教育等の各分野をはじめ,民間サービスと行政 サービスがシームレスにつながるようにする.

② 行政オフィス改革

・行政機関の行政オフィス相互のデータ連携により,行政機関間の情報交換をペーパーレス化す るとともに,国民にとって不要となる行政手続や添付書類を廃止する.

・国・地方ともに,国民・企業等の目線からシステムやサービスを徹底的に見直し(BPR),国 民電子私書箱が普及・定着し,国民が活用することにより,その事務に係るコストの 3 割以上 の大幅な削減が可能になる.削減コストの一部を,行政サービスの開発や改善のために,集中 的に投入する.

③ 行政見える化改革

・国民・企業等が自らに係る行政手続の処理状況を追跡し,自らの情報の所在を確認できる「見 える化」を徹底する.

( 3 )基本的な視点や取組の方向性

2011年 8 月 3 日,高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決定「電子行政推進に関する基本 方針」では,基本的な視点や取組の方向性を以下の 7 点に整理している.

・利用者視点

・費用対効果の視点

・制度及び業務プロセスの見直し

・運用継続

・国と地方の協力

・民間との連携

・PDCAの徹底

 (PDCA=Plan-Do-Check-Action 計画・実行・評価・改善)

( 4 )利活用推進のための重点項目

2016年 5 月20日の閣議決定「世界最先端

IT

国家創造宣言」(宣言の最終版)では,IT利活用推進 のための重点項目として,以下の 3 点を掲げた.

① 国・地方の

IT

化・業務改革(BPR)の推進

・国の

IT

化・業務改革(BPR)の更なる推進

・地方公共団体の

IT

化・業務改革(BPR)の推進

・ガバナンス体制の強化

(6)

② 安全・安心なデータ流通と利活用のための環境の整備

・利用者志向のデータ流通基盤の構築

・データ流通の円滑化と利活用の促進

・課題解決のためのオープンデータの「実現」

③ 超少子高齢社会における諸課題の解決

・ビッグデータを活用した社会保障制度の変革

・マイナンバー制度等を活用した子育て行政サービスの変革

・IT利活用による諸課題の解決に資する取組

産業競争力の強化,地方創生の実現,マイナンバー制度を活用した国民生活の利便性の向上,安 全で災害に強い社会の実現

( 5 )推進方針

2017年 5 月30日の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決 定「デジタル・ガバメント推進方針」では,デジタル・ガバメントの推進方針を以下のように整理 している.

① デジタル技術を徹底活用した利用者中心の行政サービス改革

・サービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進

・デジタル技術に対応した情報提供のあり方の見直し

② 官民協働を実現するプラットフォーム

・データ流通を促進する環境の整備

・官民データ活用のためのインタフェースの整備

・プラットフォームの共用化と民間サービスの活用

③ 価値を生み出す

IT

ガバナンス

・サービス改革に対応した推進体制の整備

・ITマネジメントの徹底と投資効果の最大化

( 6 )デジタル手続法の整備

ICT

を活用した行政の推進を強化するため,2019年 5 月に,2002年の「行政手続き等における 情報通信の技術の利用に関する法律」が改正され,「情報通信技術の活用による行政手続等に係る 関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通 信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」,いわゆる「デジタル手続法」が制定・公 布された.

政府が説明するデジタル手続法の概要2)によると,同法は,「情報通信技術を活用し,行政手続 2 ) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/pdf/gaiyou.pdf.法律の本文や新旧対照表について

(7)

等の利便性の向上や行政運営の簡素化・効率化を図るため,①行政のデジタル化に関する基本原則 及び行政手続の原則オンライン化のために必要な事項を定めるとともに,②行政のデジタル化を推 進するための個別分野における各種施策を講ずる」ものである.そして,行政のデジタル化の基本 原則として,以下の 3 つを挙げている.

・デジタルファースト:個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する

・ワンスオンリー:一度提出した情報は,二度提出することを不要とする

・コネクテッド・ワンストップ:民間サービスを含め,複数の手続・サービスをワンストップで 実現する

( 7 )ま と め

2003年 7 月の「電子政府構築計画」における電子政府構築の原則は,2011年 8 月の「電子行政推 進に関する基本方針」における基本的視点に引き継がれている(運用継続を除く).運用継続が追 加されているのは,2011年 3 月の東日本大震災の影響を考慮したものである.

一方,「電子政府構築計画」における電子政府の目標は,2016年 5 月の「世界最先端

IT

国家創 造宣言」における重点項目や2017年 5 月の「デジタル・ガバメント推進方針」における推進方針に ほぼ引き継がれている.また,2009年 7 月の「i-Japan戦略2015」で強調されているように,組織 改革や行政改革が不可欠であるとの認識が示されている.さらに,2019年12月20日の「デジタル・

ガバメント閣僚会議」第 6 回会合で示された「デジタル・ガバメント実行計画」では,「デジタル 手続法の施行を受けて,業務改革(BPR)やデジタル化の推進を更に加速させることが求められて いる」としている.

ICT

における技術進歩やイノベーションが著しいとはいえ,同一ないし類似の目標・項目がこ のように長期にわたって掲げられているのは,一向に前進しない電子政府の現状を示唆している.

また,デジタル手続法における 3 つのデジタル化基本原則が貫徹されるためには,行政だけでな く,企業や個人の誰もがデジタル化の基盤を有し,行政内部では従来の縦割り行政が統一的情報シ ステムの構築によって解消されていることが不可欠となる.これには,デジタル化の実現にとどま らず,行政改革やそれに伴う意識改革が求められる.果たして,これらは容易に実現されるのだろ うか.そこで次節では,日本におけるこれまでの電子政府の取組に対する評価をみてみよう.

は,デジタル手続法のウェブサイト(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/pdf/gaiyou.pdf)

を参照.

(8)

3 .電子政府の評価

3-1 国内の評価

( 1 )2009年 3 月,NTTデータ経営研究所「平成20年度『ITによる改革の達成度に関する調査』

報告書【電子政府分野】」

NTT

データ経営研究所が行った電子政府分野に関する調査(アンケートおよびヒヤリング)によ ると,調査結果を以下のように整理している.

・企業では国税以外の登記・社会保険は十分高いとは言えない

・個人の国税申告については,利用継続者が低く,「利用断念」も多い

・企業では,国税申告の継続利用率以外は利用率が低い

・社労士の利用率が税理士や司法書士に比べて低く,利用を断念した人の割合が比較的高い

・手続き全般での利用阻害要因は,個人・企業では「電子署名」が最も多いが,士業では「操作 性」や「申請の時間短縮効果」が多くなっている

( 2 )2010年 3 月,山田肇「日本における電子政府の現状と将来の方向─電子申請を中心に─」

『科学技術動向』

山田氏は,電子申請を中心に,日本における電子政府の現状について論じ,電子政府,特に電子 申請への移行が遅れている理由として,「書類ベースの手続きに比べて電子申請に魅力がないこ と」,「申請のプロでさえ初めは使いにくいこと」の 2 点,つまり,魅力がないことと使いにくいこ との 2 点を挙げる.

( 3 )2011年 8 月 3 日,IT戦略本部決定「電子行政推進に関する基本方針」

IT

戦略本部「電子行政推進に関する基本方針」では,電子行政の問題点として以下の点を挙げ る.

「これまでの電子行政に関する戦略等については,目指すべき電子行政の全体像が必ずしも明確 でなく,また,体系的かつ事後評価を前提とした検証可能な目標設定が十分なされていたとは言え ず,PDCAサイクルを回し,戦略を着実に実現していくための措置が十分講じられてきたとは言 えない.

戦略に基づく具体的な施策に関しても,各府省からの自主的な登録等に基づく総花的なものと なっていた傾向も見受けられ,戦略の目標を実現する観点から真に必要となる施策の立案・整理が 十分なされておらず,施策の実現が戦略の実現に必ずしもつながっていない…….」

( 4 )2016年 5 月20日,閣議決定「世界最先端

IT

国家創造宣言の変更について」

「世界最先端

IT

国家創造宣言の変更について」では,日本における電子政府の取組が評価され ているとして以下のように整理している.

(9)

「国連経済社会局(UNDESA)が,国連加盟193カ国を対象とした『国連電子政府調査』に基づ いて,平成26年 6 月に発表した電子政府世界ランキングでは,我が国は前回平成24年の18位から 6 位にランクアップ.平成27年 4 月の世界経済フォーラムが発表した『2015年版世界

IT

競争力報 告』では,政府部門における

IT

の活用度は前年22位から 7 位へ,円滑な法整備を示す『政治・規 制環境』は前年16位から 8 位へと大きく躍進.」

( 5 )2017年 5 月30日,高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略 会議決定「デジタル・ガバメント推進方針」

「デジタル・ガバメント推進方針」では,日本における電子政府推進の成果と課題を以下のよう に整理している.

「これまで,政府

CIO

の下で,ITガバナンスの強化,政府情報システム改革,IT投資の可視 化,情報連携基盤の整備等に取り組み,政府情報システムの数については…… 6 割を超える減(目 標は半減),運用コストについては……1

,

000億円超の削減を見込むなど,一定の成果を上げてきた.

加えて,マイナンバー制度(マイナンバー,マイナンバーカード,マイナンバーカードによる公的 個人認証サービス,マイナポータル,及び法人番号を含む)の導入や官民データ活用推進基本法の成 立等,行政データの流通・活用を加速するための制度が整備されつつある.

一方で,これまでの電子行政の取組は,IT投資に関して,投資額(分母)を小さくすることに 軸足が置かれてきた.今後,急速に変化する社会に対応しつつ,電子行政の投資対効果を一層高め ていくためには,行政内部の効率化に留まらず,国民や事業者に提供するサービスそのものの価値

(分子)の拡大に焦点を当てた取組を行っていく必要がある.

また,国の行政機関だけではなく,国民にとってより身近な接点となる地方公共団体においても 同様の取組を進める必要がある.」

3-2 国連の評価

国際連合は,加盟各国の電子政府環境とオンラインの持続的発展能力に関する現状を整理し,政 策計画者のツールとすべく,2001年に

Benchmarking E-government:AGlobal Perspective

を発 表した.2003年からは

UN Global E-Government Survey

とタイトルが変わり,2008年からは隔 年で調査レポートを発表している.最新版は,United

Nations E-Government Survey2018であ

る.

国連の電子政府調査では,各国の現状を 3 つの指数で示し, 3 指数の平均値を総合指数として各 国の数値とランキングを発表している.総合指数は,電子政府発展指数(EGDI,

E-Government

Development Index)

と呼ばれ,オンライン・サービス指数(OSI),通信インフラ指数(TII),人 的資本指数(HCI)の 3 指数の平均値として示される. 3 指数の内容は,以下の通りである.

EGDI=

( 1 / 3 )×(OSI+TII+HCI)

(10)

① オンライン・サービス指数(OSI,OnlineServiceIndex)

ネット上のサービス・ポータル,参加ポータル,省庁のウェブサイト環境など140の質問事 項への回答から作成.

② 通信インフラ指数(TII,TelecommunicationInfrastructureIndex)

インターネット・固定電話・移動電話・固定ブロードバンド・無線ブロードバンドの加入者 数の 5 つから作成.それぞれの比重は均等で 5 分の 1 .

③ 人的資本指数(HCI,HumanCapitalIndex)

総入学率,就学期待年数,平均就学年数,成人識字率より作成.比重は,成人識字率のみ 3 分の 1 ,その他は均等で 9 分の 2 ずつ.

表 2 は,2018年版の報告書により,日本,韓国,中国,シンガポール,米国の主要 5 か国の点数 を示したものである.192か国の

EGDI

ランキングでは,韓国 3 位,シンガポール 7 位,日本10 位,米国11位,中国65位である.OSIではシンガポールと米国,TIIでは韓国と日本,HCIでは 韓国と米国の数値が非常に高い.日本の数値は平均的に高く, 5 か国の中では

TII

の数値が相対的 に高く,OSIと

HCI

の数値が相対的に低い.

図 1 は,日本,韓国,シンガポールの 3 か国について,2001年または2003年以降の

EGDI

と世 界ランキングを示したものである.韓国の点数が非常に高く,世界ランキングでも近年は最上位に ある.シンガポールと日本は,一時期を除けば上昇する傾向にあり,近年はシンガポールが10位以 内,日本が10位前後となっている.

図 2 は,EGDIを構成する 3 指数についての日本の動向を示したものである.図 2 より,TIIは 2012年から急上昇,OSIも2012年から急上昇,HCIは当初より高かったものの,2012年から若干 低下している.

2018年の報告では,国連は,日本の電子政府について,以下のように紹介している.

「日本では,行政手続きのオンライン利用,政府情報の電子的提供,労働とシステムの最適化,

政府調達の改善,情報セキュリティ措置などの構想(initiatives)を推進している.日本には,『デ ジタル・ガバメント戦略』や『官民データ活用推進基本計画』もある.『デジタル・ガバメント戦

表 2 主要 5 か国の

EGDI:2018年

国 電子政府発展指数

EGDI

オンライン・サービス指数

OSI

通信インフラ指数

TII

人的資本指数

HCI

日 本 0

.

8783 0

.

9514 0

.

8406 0

.

8428 韓 国 0

.

9010 0

.

9792 0

.

8496 0

.

8743 中 国 0

.

6811 0

.

8611 0

.

4735 0

.

7088 シンガポール 0

.

8812 0

.

9861 0

.

8019 0

.

8557 米 国 0

.

8769 0

.

9861 0

.

7564 0

.

8883

(出所)UnitedNations,United Nations e-Government Survey 2018,July192018.

(11)

HCI

OSI

TII

2001 2003 2004 2005 2008 2010 2012 2014 2016 2018 1

0.9 0.8 0.7 0.6 0.5

図 2 日本の

EGDI

構成要素の変化:2001~2018年

(出所)UnitedNations,United Nations e-Government Survey 2003―2018 and Benchmarking e-Government: A Global Perspective, 2001.

韓国

韓国 日本

日本

2001 2003 2004 2005 2008 2010 2012 2014 2016 2018 シンガポール

シンガポール 1

0.9

0.8

0.7

0.6 0

10

20

30

電子政府発展指数(EGDI)ランキング

図 1 日本,韓国,シンガポールの

EGDI

および世界ランキング:2001~2018年

(出所)UnitedNations,United Nations e-Government Survey 2003―2018 and Bench- marking e-Government: A Global Perspective,2001.

(12)

略』の 3 本柱の 1 つは,継続的・包摂的・持続可能な経済成長やすべての人の完全雇用・生産的雇 用・ディーセントワークの実現という『持続可能な開発目標(SDG)』と合致した官民連携プラッ トフォームである」(UnitedNations,2018,p.92).

4 .電子政府の理解

国連が指摘するように,日本では多数の電子政府推進構想や戦略が策定されてきた(表 1 ).し かし,2003年 7 月の「電子政府構築計画」における電子政府構築の原則が,2011年 8 月の「電子行 政推進に関する基本方針」における基本的視点にほぼ引き継がれたことや,「電子政府構築計画」

における電子政府の目標が2017年 5 月の「デジタル・ガバメント推進方針」における推進方針にほ ぼ引き継がれたことからわかるように,約10年たっても同一の原則や目標を掲げていることは,

「世界最先端

IT

国家創造宣言」をしたからといって,これらの実現が簡単にはできないことを示 唆する.

また,2011年 8 月の「電子行政推進に関する基本方針」では,2003年 7 月の「電子政府構築計 画」から 8 年経過したにもかかわらず,これまでの戦略については,

・目指すべき電子行政の全体像が明確でない

・体系的かつ事後評価を前提とした検証可能な目標設定が十分なされていない

・PDCAサイクルを回し,戦略を着実に実現していくための措置が十分でない といった致命的な問題点があることが指摘された.

さらに,国連の電子政府調査では,日本の電子政府が比較的上位にランクされているものの,イ ンフラやハードウェアなどの物的な目標や,就学年数や

ICT

加入者数といった形式的な目標は,

「利用者本位の行政サービス」や「利用者視点」といった原則や方針が徹底されていることを保証 するものではない.

こうした問題点の背景には,日本の戦略や構想では,重要概念が明確に定義されることがなく,

定義されていても形式的で実質的な内容がなかったり,多数の論点を盛り込んだ総花的なものであ るため,明確に理解しがたいといった日本独特の根本的問題が潜んでいる3)

そこで以下では,図 3 と図 4 を用いて,電子政府とは何かを単純かつ明確に示すこととする.

3 ) 例えば,何ら対策を講じる意図がないのに,「前向きに対処する」といってみたり,具体的な対策や行 動を示すことなく「実現に全力を尽くす」といってみたり,外国人だけでなく,普通の日本人にも到底 理解できない独特の言語文化がある.典型的な例として,2000年頃の政府ウェブサイトに掲載されてい た

IT

革命に関する説明がある.すでにウェブサイトは削除されてしまっているが,かつてそこには,

「ITとは何か」「ITとは情報通信技術のことである」,「IT革命とは何か」「ITは革命である」といった 馬鹿げた説明が掲載されていた.これについては,谷口(2002,26―35ページ)で取り上げた.

(13)

図 3 は,日本で最近区別されることの多い電子政府と電子自治体の関係および政府・国民間の関 係を示したものである.この図より,以下の点が理解される.

① 電子政府は中央政府の活動であり,電子自治体は地方政府の活動である.

② 広義の電子政府は,中央政府と国民・企業の関係(狭義の電子政府),地方政府と国民・企 業の関係(電子自治体),中央政府と地方政府の関係(電子政府・電子自治体間関係)の 3 つか ら構成される.

③ 電子政府・電子自治体が対象とする国民(広義)は,個人(狭義の国民)と企業(もしくは 法人ないし組織)の 2 つから構成される.

次に,図 4 は,電子政府(電子自治体を含む広義)が主な対象とする国民(狭義)・企業と政府の 関係から電子政府を捉えたものである.この図より,以下の点が理解される.

④ 電子政府の活動の一方には,国民・企業が電子政府に対して行う行為がある.すなわち,国 民による申請・参加(図の

C)

や,企業からの政府調達(企業による財・サービス提供,図の

D)

といった活動である.

⑤ 電子政府の活動のもう一方には,電子政府が国民・企業に対して行う行為がある.すなわ ち,国民・企業に対する政府による情報・サービスの提供(図

E)

である.この場合,国民・

企業は,情報・サービスを利活用するためのスキルやツールを持つこと(図

F)

が前提となる.

⑥ 電子政府を通じての国民・企業と政府の間での相互依存関係を円滑かつ成功裏に進めるに は,固定・無線通信網や通信機器・ハードウェア・ソフトウェア・端末(デバイス)などの

ICT

インフラ(図の

H)

が不可欠である.

⑦ ICTインフラに加えて,国民・企業と政府の間での電子政府サービスを合法的かつ効率的 に進めるには,ICTインフラや

ICT

利活用を支える法律・規則や制度の存在(図の

G)

が不 可欠である.

政府・国民間

情報・サービス

中央政府

A

電子政府

地方政府

B

電子自治体 申請・参加

申請・参加 情報・サービス

政府間国民・企業

図 3 電子政府の理解 1

(出所)筆者作成.

(14)

図では明示されていないが,日本における電子政府推進の中で重視されていたように,電子政 府・電子自治体を効率的,効果的な存在とするためには,行政内部での

ICT

化だけでなく,業務 改革・サービス改革や組織改革が不可欠である.これは,ICT投資を効率的,効果的とするため には

ICT

投資と同時に組織改革が不可欠であるという

Brynjolfsson&Hitt

(1998)の主張に沿う ものである.

なお,国連の

EGDI

(電子政府発展指数)を構成する 3 指数のうち,OSI(オンライン・サービス 指数)は④と⑤と図の

C・D・E

の側面を,TII(通信インフラ指数)は⑥と図の

H

の側面を,HCI

(人的資本指数)は⑤のうちのスキルと図の

F

の側面を把握しようとしたものである.ただし,⑦ と図の

G

の側面はカバーされていない.

5 .おわりに:電子政府の課題

第 3 節で触れたように,日本における電子政府の推進では,一定の成果があった.例えば,政府 の評価では,「ITガバナンスの強化,政府情報システム改革,IT投資の可視化,情報連携基盤の 整備等に取り組み,政府情報システムの削減,運用コストの削減を実現した.また,マイナンバー 制度の導入や官民データ活用推進基本法の成立等,行政データの流通・活用を加速するための制度 が整備されつつある」(2017年 5 月,「デジタル・ガバメント推進方針」)と整理されている.

国連の評価では,通信インフラの整備やオンライン・サービスの提供において発展がみられた.

また,電子政府世界ランキングでは,2001年の27位から2010年の17位,2018年10位へ躍進した.

申請・参加 調達 需要側

情報・サービス 供給側 国民

スキル・ツール

政府

政府 企業

国民・企業

C

D

E

F

G

H

インフラ法律・規則,制度

ICT

機器・ハードウェア・端末 図 4 電子政府の理解 2

(出所)筆者作成.

(15)

しかし,国連の評価には問題はないのだろうか.また,日本の電子政府には重大な欠陥はないの だろうか.

5-1 ICT 戦略変遷の意味

表 3 が示すように,日本では,2001年 1 月の「e-Japan戦略」から2017年 5 月の「世界最先端

IT

国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」に至るまで,数次にわたる

ICT

戦略・構想・計 画が策定されてきた.これらの戦略・構想・計画が目指す社会の方向性やイメージは,

と変化してきた.e-Japanでは,ICTインフラの整備に重点がおかれ,ICTの利用環境が整備さ れていくと,次に,「いつでも,どこでも,誰でも」アクセスできる「ユビキタス(ubiquitous)

環境」を目指す

u-Japan

が構想された.こうした方向性のもとで,ICT利活用を社会的包摂(so-

cial inclusion)

とイノベーション(innovation)につなげる

i-Japan

が構想され,さらに「『デー タ』大流通時代の到来」を意識した

d-Japan

4)が構想されている.

ICT

戦略・構想・計画において「目指す社会」のイメージがこのように変化してきた背景に は,ICTの変化のスピードやその経済・社会への浸透・影響が予想以上に速いことがある.2017 年 5 月30日に閣議決定された「世界最先端

IT

国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」に は,以下のような記述がある.

「最初の

e-Japan

戦略から既に16年が経過しているが,この間においても,ITをめぐる技 術進歩はとどまるところを知らない.……IT革命における技術進歩のスピードは我々の想像 を超えるほど早い」.「コミュニケーションの在り方をはじめ,仕事,観光,エンターテインメ ント,医療・介護等,あらゆる場面で企業活動や国民生活等を一変させるほど,ITの技術進 歩は,最初の

e-Japan

戦略の策定当時には想定できなかったようなインパクトを持ちつつあ る」.

「ICTの変化のスピードやその経済・社会への浸透・影響が予想以上に速い」ことは,電子政府 推進にとって厄介な問題を提起する.第 1 は,これまでの電子政府の推進内容が適切かどうか,今 後はどのような修正や対応が必要とされるか,という問題である.第 2 は,国連の電子政府発展指

e-Japan

u-Japan

i-Japan

d-Japan

(2001) (2006) (2009) (2017)

4 ) e-Japan,u-Japan,i-Japanについては実際に

ICT

戦略の目指す社会の方向性として実際に用いら れたが,d-Japanという表現は使用されていない.

(16)

表 3 日本における

ICT

戦略の変遷 2001年 1 月22日

高度情報通信ネット ワーク社会推進戦略 本部

「e-Japan戦略」

「超高速インターネット網の整備とインターネット常時接続の早期実現,電子商取引 ルールの整備,電子政府の実現,新時代に向けた人材育成等を通じて,市場原理に基 づき民間が最大限に活力を発揮できる環境を整備し,我が国が 5 年以内に世界最先端 の

IT

国家となることを目指す.」

2003年 7 月 2 日

IT

戦略本部

「e-Japan戦略Ⅱ」

「『第 1 期:IT基盤整備』から,『第 2 期:IT利活用』への進化」.「国民一人ひとりが 知識を介した繫がりを持ち,地理的・身体的制約にとらわれずに安心して暮らし,利 便性のみならず知的感動を享受できる,『元気・安心・感動・便利』社会」を目指す.

2006年 1 月19日

IT

戦略本部

「IT新改革戦略」

「いつでも,どこでも,誰でも

IT

の恩恵を実感できる社会の実現」.「第 1 に,「いつ でも,どこでも,何でも,誰でも」使えるユビキタスなネットワーク社会を,セキュ リティ確保やプライバシー保護等に十分留意しつつ実現することである.そして,第 2 に,それによって世界最高のインフラ・潜在的な活用能力・技術環境を有する最先 端

IT

国家であり続けること」を目指す.

2009年 7 月 6 日

IT

戦略本部

「i-Japan戦略2015」

「国民主役の『デジタル安心・活力社会』の実現」.「社会の隅々に行き渡ったデジタ ル技術が「空気」や「水」のように抵抗なく普遍的に受け入れられて経済社会全体を 包摂する存在となる(Digital

Inclusion)ことを目指す」,「また,デジタル技術・情

報により経済社会全体を改革して新しい活力を生み出し(DigitalInnovation),個 人・社会経済が活力を持って,新たな価値の創造・革新に自発的・前向きに取り組む ことを可能とするとともに,企業の低コスト高収益体質への変革,環境・資源制約と 持続的経済成長の両立や国際社会との協調,連携及び共生が可能な社会を実現する.」

2010年 5 月11日 高度情報通信ネット ワーク社会推進戦略 本部「新たな情報通 信技術戦略」

「『国民主権』の観点から,まず政府内で情報通信技術革命を徹底し国民本位の電子行 政を実現する.加えて情報通信技術の徹底的な利活用により地域の絆を再生し,さら に新市場の創出と国際展開を図る.」

2013年 6 月30日 閣議決定

「世界最先端

IT

国家 創造宣言」

2016年 5 月20日

「宣言」変更

「閉塞感を打破して再生する我が国を牽引することを企図し,世界最高水準の

IT

利活 用を通じた,安全・安心・快適な国民生活を実現する」(変更前).

「世界最高水準の

IT

利活用を通じた,安全・安心・快適な国民生活の実現に向けた次 のステップとして,これまでの国や地方での着実な成果を我が国全体に展開すること とし,「国から地方へ」,「地方から全国へ」の横展開を基本的な方針としつつ,「一億 総活躍」,「地方創生」,「女性の活躍促進」,「国土強靱化」などの諸課題の解決に

IT

を利活用する取組を強化する」(変更後).

2017年 5 月30日 閣議決定

「世界最先端

IT

国家 創造宣言・官民デー タ 活 用 推 進 基 本 計 画」

「全ての国民が

IT

利活用やデータ利活用を意識せず,その便益を享受し,真に豊かさ を実感できる社会である『官民データ利活用社会』~データがヒトを豊かにする社会

~のモデルを世界に先駆けて構築する.」

(出所)筆者作成.

(17)

数(EGDI)によって電子政府の発展度合い,特にその時系列的変化をみることは意味をもつの か,という問題である.

「世界最先端

IT

国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が述べるように,「これからの社 会を全て予測することはできない.将来的には,データ利活用がもたらす現時点で想定している効 果(生産性の向上やイノベーションの創出)以上のものを生み出していくことも否定できない.IT をめぐる環境は,技術開発やサービス提供におけるプレイヤーのこれまでの変遷にも見られるよう に,これからも想像を超える変革を続けていくものと考えられる」.とはいえ,同計画がそのあと に述べるように,「世の中は様々なことが起こり得る.特に,ITをめぐる環境は想像していないこ とが起こりうるという認識に立ち,常にアップグレードし,アジャイル型で環境の変化に柔軟に対 応できるようにしておくことが重要と考えられる」.

電子政府の推進にも,これと同じような認識が求められる.その場合,原則・方針を明確にする とともに,それらの定期的なチェックと見直しが不可欠である.

5-2 キラーアプリケーション

「ICTの発展に伴う不確実性」はあるとしても,それはインフラ技術,ハードウェア,ソフト ウェア,アプリケーションにおける不確実性であり,ICT利活用の重要性という流れを変えるも のではない.実際,日本ではインフラ整備を目指した

e-Japan

以降,u-Japan,i-Japan,d-Ja-

pan

と変化してきたが,これらはいずれも

ICT

の利活用に関わるものである.日本での動きは,

ICT

利活用をどのような認識のもとで,どのように展開するか,をめぐる模索と考えられる.

ICT

利活用を考える場合には,起爆剤となるキラーアプリケーションの存在が欠かせない.日 本の強みは,インフラやハードウェアなどの物的環境を整備することに優れていることであり,日 本の弱みは,キラーアプリケーションを十分適切に展開できていないことである.ここでは,電子 政府のキラーアプリケーション候補を 2 つ取り上げる.

( 1 )個人番号カード

日本では,1980年代前半に「グリーンカード(納税者番号カード)」の導入が計画されたが,結局 施行されずに終わった.グリーンカードは,個人間での所得捕捉率の違いが大きな不公平を生み出 しているという認識から,個人の所得や貯蓄を正確に捕捉し,公平な租税負担を実現することを 狙ったものであったが,所得や貯蓄の正確な捕捉という目標が一部の人間にとって脅威とされ,結 局,強い抵抗を受けて導入に失敗した.

2000年代になると,徴税目的でなく,一般的な個人認証の効率化・合理化を目的とする「住基

(住民基本台帳)カード」が提案・導入された.住基カード発行は2003年に開始され,「マイナン バー」の導入に伴って2015年で終了した.個人認証だけでなく,社会保障(医療・健康など)や公 的機関(図書館などの公的施設)など広範な利用を狙ったものであったが,プライバシーの侵害で

(18)

あるという強い批判から住基カード発行をためらう自治体が続出し,個人認証に用いる機会がほと んどなく,大失敗に終わった5)

2010年代になると,社会保障と税の一体改革のもとで,納税と社会保障の両方に用いるカードと して,マイナンバー制が2015年10月から導入された.マイナンバーは,日本に住民票を持つ全個人 に発行される12桁の番号であり,その使用範囲は,税金・社会保障・災害の 3 分野である.2016年 からは,プラスチック製のマイナンバーカード(個人番号カード)が発行され,身分証明書や電子 証明書の利用などに用いられる.

マイナンバーはすでに税金や社会保障(給付,年金,医療)で使用されているが,マイナンバー カードはその利便性が喧伝されてきたにもかかわらず,普及率は非常に低い(図 5 ).2020年 1 月 20日現在における普及率は全国平均で15.0%であり,最高は宮崎県の20.5%,東京都の19.8%,神 奈川県の18

.

6%であり,最低は高知県の9

.

0%,新潟県の10

.

6%,山形県と福井県の10

.

9%である.

マイナンバーカード普及の遅れに対し,高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部のもとに設 置された「デジタル・ガバメント閣僚会議(議長・内閣官房長官)」は,2019年 6 月 4 日の第 4 回会 合で,「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」を決定し,同年 9 月 3 日の第 5 回会合では,「2022年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有している ことを想定し……,それに至る具体的な全体スケジュールに加え,保険者,医療機関等,市町村に おける時期ごとの具体的な取組方針について決定」6)した7)

( 2 )電子納税

もう 1 つのキラーアプリケーションの候補は,2008年から導入された電子申告・納税(e-Tax)

システムである.e-Taxは,所得税,消費税,法人税,酒税,印紙税などの申告・納付手続きな 5 ) かつて,私が在住する市役所で住基カードを作ろうとしたら,窓口の市職員から,「何のために作るの か」,「有料でも作りたいのか」と問われ,暗にカードを作る意味はないといわれたことがあった.長い 年月と費用をかけたのに,結局はすべてが無駄で無意味な一大公共事業であった.しかも,誰もその失 敗の責任を問われない.

6 ) 第 5 回会合における菅内閣官房長官の発言(デジタル・ガバメント閣僚会議,第 5 回会合議事録

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai5/gijiroku.pdf, 8 ページ).

7 ) デジタル・ガバメント閣僚会議の第 5 回会合において,麻生財務大臣は,会議に出席していた役人に 対し,マイナンバーカードを持っているか,何回使ったかと問いかけ,「これは免許証を返納してしまっ た高齢者が身分証明書のかわりに使っている以外に,ほとんどこれを使ったというメリットがない」(議 事録 7 ページ)と発言している.この発言が例証するように,過去において何度も推進してきたはずな のに,その成果がみられない.本気で普及拡大させようとするなら,1980年代から1990年代前半のフラ ンスにおけるビデオテックス(サービス名はテレテル,端末はミニテル)の普及が参考になるかもしれ ない.フランスにおけるミニテル端末の普及台数は1983年の12万,1987年の337

.

3万,1989年の506

.

2万か ら1993年の648

.

5万へと増加した.しかし,1990年代後半以降になると,ビデオテックスの普及がイン ターネットの普及を遅らせるという結果を招いた.フランスにおけるビデオテックスの経験について は,OECD(1998)を参照.

(19)

どに利用されている.2018年度の

e-Tax

利用者は,所得税申告(個人)1,147.3 万件,消費税申告

(個人)77

.

1万件,法人税申告226

.

8万件,消費税申告(法人)165

.

5万件,酒税申告3

.

6万件,印紙税 申告8

.

7万件で,利用率はそれぞれ57

.

9%,68

.

5%,84

.

3%,82

.

6%,81

.

8%,60

.

8%である(国税庁

「平成30年度における

e-Tax

の利用状況等について」2019年 8 月).

図 6 は,所得税申告と消費税申告(個人)における

e-Tax

利用率の推移をみたものである.所 得税申告にける利用率は2007年度の約20%から2017年度の57.9%へ上昇し,消費税申告(個人)に おける利用率は約20%から68

.

5%へ上昇しているものの,所得税申告の利用率は頭打ちに近い状態 となっている.財務省改善取組計画では,上記 2 税の2016年度目標は58%とされていたので,2016 年度の消費税申告(個人)利用率63

.

2%は超過達成であり,所得税申告利用率53

.

5%は大幅未達成 である(2018年度の利用率でみても所得税申告については2016年度目標を達成していない).

国税庁は,2016年度目標未達成の理由を「マイナンバーカードや,対応するカードリーダーの普 及が遅れたことが原因」とみている(日本経済新聞,2017年 8 月17日電子版).しかし,原因はそれ だけではない.個人的な経験からいえば,私は

e-Tax

を利用して所得税申告書を作成するが,最 終的には紙に印刷して税務署に行って提出する.このようなタイプの人と

e-Tax

を使って申告を する人の全体に占める割合は

ICT

活用率として公表され,2018年度の所得税申告では82.9%,消 費税申告(個人)では78

.

4%となっている.しかし,ICT活用率の上昇が

e-Tax

利用率の上昇につ ながる可能性は高くない.その原因は,次のように考えられる.

25

20

15

10

5

0

25

20

15

10

5

0

1 47

東京 19.8

全国平均 15.0

宮崎 20.5

(%)

都道府県

図 5 マイナンバーカードの普及状況

(出所)総務省「マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和 2 年 1 月20日現在)」.

(20)

e-Tax

だけで所得税申告を完了させるには,e-Taxソフトを使用できるパソコン・通信環境を もつことに加え,「公的個人認証サービス」による電子証明書を事前に取得する必要があり,マイ ナンバーカードやそれを読み取るためのカードリーダーを準備する必要がある.所得税申告のパソ コン操作は年 1 回だけであるため,必要な手続きを迅速に進めることができない.このケースを一 般化すると,年 1 回の電子証明書の取得やパソコン操作が面倒であることが,e-Taxの利用をた めらわせ,結果としてデジタル・デバイドを招いて

e-Tax

利用率が伸び悩むという結果につなが る.操作過程と操作性が大幅に簡略化・簡単化されない限り,e-Taxがキラーアプリケーション として電子申請の普及拡大の原動力となることは難しいのではないか.

なお,2019年 6 月にデジタル・ガバメント閣僚会議が決定した「マイナンバーカードの普及とマ イナンバーの利活用の促進に関する方針」では,従来の国税情報システムの課題として「納税者の 利便性の向上」が挙げられている.しかし,ここで指摘した問題点への言及はなく,情報システム の問題として認識されているだけである.

5-3 利用者本位

日本では,電子行政サービスのうち,最も基本的な電子申請ですら,書類ベースの手続きに比べ て魅力がないとか使いにくいと酷評されてきた.その一因として,2009年 7 月の「i-Japan戦略 2015」では,「従来の戦略の立ち位置が,デジタル技術の利活用を強調しつつも,ややもすると技 術優先指向となり,同時にサービス供給者側の論理に陥っていた面がある」ことを挙げる8).こう した反省から,2017年 5 月の「デジタル・ガバメント推進方針」では,「多様化し,急速に変化す

所得税申告

年度

消費税申告(個人)

80 60 40 20

0 2008 2010 2012 2014 2016 2018

(%)

年度 80

60 40 20

0 2008 2010 2012 2014 2016 2018

(%)

図 6 電子納税の利用率:2007~2018年度

(注)2011年までの公表データと2012年以降の公表データの間には連続性がない.

(出所)国税庁「e-Taxの利用状況等について」(平成21~30年度),2009―2019年.

(21)

る社会に対応した行政サービスを展開するには,これまでどおりの提供者(サプライサイド)視点 ではなく,利用者(カスタマーサイド)視点で行政サービスをデザインし,利用者中心のサービス 提供を行っていく必要がある」としている.実際,このような観点から,

・使いやすさや操作性の改善

・利用頻度が高い行政サービスについては週 7 日24時間,自宅やコンビニ等で入手できるなど,

時間と場所の制約を緩和すること

・ 1 箇所で多様なサービスが利用できるワンストップ・サービス化 といった改善が行われてきた.

しかし,日本では,電子政府推進の初期段階から,常に利用者本位,利用者視点,利用者中心と いった原則や方針が強調されてきたのである.例えば,2003年 7 月の「電子政府構築計画」では,

「国民にとって使いやすく分かりやすい」ことが強調され,「利用者本位の行政サービスの提供」を 目標に掲げていたにもかかわらず,である.同じ問題点が長期にわたって指摘されていることは,

「利用者本位とは何か」が的確に理解されていないことを意味する.電子政府の概念を含めて「利 用者本位」の概念を再検討することが不可欠である9)

残念ながら,自治体の各種証明書発行においては,従来方式と変わらず,窓口で署名捺印を必要 とすることもある.証明書があっても印鑑を持参しないとサイン(署名)だけでは認められず,証 明書発行が断られるケースもある.人間のサインよりも三文判(安物)の印鑑が信用されるという 前近代的で,日本式印鑑を持たない外国人には非常に差別的な対応である.

また,ポータルサイトには手続きの案内が書いてるあるだけで,必要な手続きは従来と変わらな いといったことがある.また,専用キヨスクがあっても,入手可能な証明書は一部に限られ,自動 機械を使う利便性は高くない.

問題は,供給側の視点が強く,需要側の視点が重視されていないことにある.毎年,大げさな名 称の戦略が繰り返し策定され,その内容は各組織の対応をまとめただけの総花的で,優先順位も明 確でない.結果として,矛盾した政策が並行して存在したり10),インフラやハードウェアが存在し ても十分に利用されないといったことが生じている.

8 ) 日本では相手に対する非常に繊細な配慮を伴った行為が日本的な「おもてなし」としてときどき高く 評価されるが,これは供給側の「おもてなし」であり,重視されるべきは需要側に立った「おもてなし」

である.日本における電子政府推進の初期段階ではこうした視点が欠けているとして私は強く批判して きた(谷口,2002).また,これに関連する文献として,谷口(2003)及び

OECD(2001)を参照.

9 ) 筆者は,徹底的な利用者本位を追求してきた事例として

Amazon.com

の動きに注目してきた(谷口,

2000).

10) こうした傾向や問題は民間でもみられる.例えば銀行業界は,一方で電子化・キャッシュレス化を進 める一方で,現金での受け払いを容易にする

ATM

の設置を積極的に行ってきたのである.日本におけ るキャッシュレス化の問題については,谷口・高(2020)を参照.

(22)

こうした反省から,改めて需要側・利用側の視点に立った整備と提供を徹底的に進めること,明 確なビジョンを遂行する戦略と強力なリーダーシップを確立すること,すべての人がアクセス可能 なアクセシビリティ(accessibility)環境を整備し,デジタル・デバイドに配慮した

ICT

利活用を 保障することが必要である.

2019年12月20日の「デジタル・ガバメント閣僚会議」第 6 回会合で示された「デジタル・ガバメ ント実行計画(案)」では,「利用者中心の行政サービス改革を推進する」ことが強調されるととも に,「デジタル・デバイドの是正に取り組む」として,「デジタル技術の利活用により,年齢,障害 の有無,性別,国籍,経済的な理由等にかかわらず,全ての国民が不安なくデジタル化の恩恵を享 受できる環境の整備に取り組む」ことが重視されている.

こうした方向性は大いに歓迎されるものとはいえ,デジタル・デバイドの対象者として,個人情 報処理や資金取引が制限される未就学児や児童や被介護者,あるいはアクセシビリティの保障が重 要となる障害者や外国人(特に日本語を十分に理解していない人)への対応をどこまで考えているの だろうか.ちなみに,「デジタル・ガバメント実行計画(案)」には,デジタル・デバイドという用 語は何度も出てくるが,「アクセシビリティ」という用語は一度も出てこない.

5-4 エッセンシャル・サービスとしての「防災・災害関連電子政府サービス」

日本では,近年,大地震や台風被害・豪雨被害が頻発し,予知・予報システムの整備や防災対策 が不可欠となっている(大地震の発生状況については,表 4 を参照)11).すでに災害情報システムが 整備され,被害・支援情報も一部提供されている.しかし,必要とされる情報は,安否・医療情報 や災害・被害情報だけでなく,救済や支援に関する情報,水・通信・電気・ガス等のライフライン に関わる情報も不可欠である.これらの情報提供はようやく緒についたばかりであり,ワンストッ プ・サービス化にはほど遠い状況にある.

しかも,災害が発生するたびにデマや風評被害が絶えず,外国語での情報提供がほとんどないな ど,情報の提供は効率的,効果的とはいえない.サービスの利用方法は煩雑で操作が容易でなく,

利用者側のスキル・知識も十分でないといった問題もある.インフラやハードウェアの供給が適切 とはいえず,ソフトウェアやアプリケーションが十分使いこなせない状況も残っている.

災害・防災だけでなく,危機や紛争などの危機に対する情報提供も必要である.電子政府の現状 がどうであれ,日本のように自然災害に直面する機会が多い国においては,災害・防災に関わる電 子行政サービスは,利用者視点が最も問われるものであり,喫緊かつ最重要な電子政府サービスで ある.

11) 谷口(2016)では,震災に対するさまざまな対策や経済政策について論じた.

(23)

表4 近年の大規模地震発生状況 摘 要阪神・淡路大震災新潟県中越地震東日本大震災熊本地震(熊本・大分地震)大阪北部地震北海道胆振東部地震 発生日時1995年1月17日 午前5時46分2004年10月23日 午後5時56分2011年3月11日 午後2時46分2016年4月14日 午後9時26分2016年4月16日 午前1時25分2018年6月18日 午前7時58分2018年9月6日 午前3時7分 震源地淡路島北部新潟県中越三陸沖熊本県熊本地方大阪府北部胆振地方中東部 マグニチュード7

.3

6

.

896

.5

7

.

36

.

76

.1

震度

7兵庫県神戸市,芦 屋市,西宮市,宝 塚市,淡路島川口町宮城県栗原市熊本県益城町熊本県益城町,西 原村厚真町 6強 神戸,洲本

小千谷市,山古志 村,小国町宮城,福島,茨 城,栃木の各県 南阿蘇村,菊池 市,宇土市,宇城 市,合志市,熊本 市中央区など

安平町,むかわ町 6弱

十日町市,堀之内 町,中里村,川西 町,越路町,刈羽 村,長岡市,栃尾 市,三島町,広神 村,入広瀬村

岩手,宮城,福 島,茨城,栃木, 群馬,埼玉,千葉 の各県

熊本市東区・西区・ 南区,玉名市,宇城 市,西原村,嘉島町

阿蘇市,八代市, 玉名市,菊陽町な ど,大分県別府 市,由布市

大阪市北区,高槻 市,茨木市,箕面 市,枚方市

札幌市東区,千歳 市,日高町,平取町 人的 被害

死者6

,

434人68人1万9

,689人

273人6人42人 行方不明 者3人0人2

,563人

0人0人0人 負傷者4万3

,

792人4

,805人

6

,233人

2

,809人

452人762人 住家 被害 棟数 合計63万9

,

68612万2

,676

116万4

,746

20万7

,

1565万7

,

3481万4

,

632 うち全壊10万4

,

9063

,175

12万1

,995

8

,

66721462 半壊27万4

,

1821万3

,810

28万2

,939

3万4

,

7194541

,

570 物的被害総額9兆9

,000億円

(兵庫県)約3兆円約16兆9

,

000億円

約2

.

4~4

.6兆円(内閣

府,2016年5月), 3

.8兆円(熊本県,

2016年9月) (出所)消防庁「阪神・淡路大震災について(確定報)」2006年5月19日,消防庁災害対策本部「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報) 2019年38日,内閣府平成16年(2004年)新潟県中越地震について」2009年10月27日,消防庁「熊本県熊本地方を震源とする地震(第121報)」2019年4月12日,消防庁応 急対策室「大阪府北部を震源とする地震による被害及び消防機関等の対応状況(第31報)」2019年2月12日,消防庁応急対策室「平成30年北海道胆振東部地震による被害及び 消防機関等の対応状況(第34報)2019年1月28日等より作成.

(24)

参 考 文 献 谷口洋志(2000)『米国の電子商取引政策』創成社.

谷口洋志(2001)「電子政府の失敗は不可避か?」日本計画行政学会『計画行政』第24巻第 3 号, 9 月, 3

8 ページ .

谷口洋志(2002)「IT革命のための社会・経済基盤整備」『日本経済政策学会年報』第50巻, 5 月,26―35 ページ.

谷口洋志(2003)「アジア諸国における

IT

戦略と電子政府」『制度と社会の安全保障報告書』日本大学総合 科学研究所, 4 月,299―309ページ.

谷口洋志(2016)「震災とコミュニティ」丸尾直美・宮垣元・矢口和弘編『コミュニティの再生:経済と社 会の潜在力を活かす』中央経済社,152―169ページ.

谷口洋志(2018)「日本における電子政府の現状と課題」山東師範大学公共管理学院「公共ガバナンス」国 際シンポジウム報告論文,10月20日.

谷口洋志・高鶴(2020)「日本はキャッシュレス後進国か?」『経済学論纂』第60巻第 5 ・ 6 号, 3 月,395- 416ページ.

山田肇(2010)「日本における電子政府の現状と将来の方向─電子申請を中心に─」『科学技術動向』 3 月 号, 8

―20ページ .

Brynjolfsson,E.&L.M.Hitt(1998),“BeyondtheProductivityParadox,”Communications of the ACM, Vol.41:8,August,pp .

49―55.

OECD(1998), France’s Experience with the Minitel: Lessons for Electronic Commerce over the Internet, DSTI/ICCP/IE(97)10/FINAL,October.

OECD(2001),“TheHiddenThreattoE-Government:AvoidingLargeGovernmentITFailures,”Public Management Policy Brief,No.8,March.

UnitedNations(2001),Benchmarking e-Government: A Global Perspective.

UnitedNations(2003―2018),United Nations e-Government Survey.

〈ウェブサイト〉

http://www.e-gov.go.jp/index.html(電子政府の総合窓口)

http://www.e-gov.go.jp/doc/index.html(電子政府の推進について)

http://www.soumu.go.jp/denshijiti/index.html(総務省「電子自治体」)

http://www.mlit.go.jp/saigai/dimaps/index.html(統合災害情報システム)

中央大学経済学部教授 博士(経済学))

**長春工業大学経済管理学院副教授 博士(世界経済))

図 3 は,日本で最近区別されることの多い電子政府と電子自治体の関係および政府・国民間の関 係を示したものである.この図より,以下の点が理解される. ① 電子政府は中央政府の活動であり,電子自治体は地方政府の活動である. ② 広義の電子政府は,中央政府と国民・企業の関係 (狭義の電子政府) ,地方政府と国民・企 業の関係 (電子自治体) ,中央政府と地方政府の関係 (電子政府・電子自治体間関係) の 3 つか ら構成される. ③ 電子政府・電子自治体が対象とする国民 (広義) は,個人 (狭義の国民) と企
表 3  日本における ICT 戦略の変遷 2001年 1 月22日 高度情報通信ネット ワーク社会推進戦略 本部 「e-Japan 戦略」 「超高速インターネット網の整備とインターネット常時接続の早期実現,電子商取引ルールの整備,電子政府の実現,新時代に向けた人材育成等を通じて,市場原理に基づき民間が最大限に活力を発揮できる環境を整備し,我が国が 5 年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す.」 2003年 7 月 2 日 IT 戦略本部 「e-Japan 戦略Ⅱ」 「『第 1 期:IT 基盤整備』

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