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(中央大学論文審査報告書)
「論文の内容の要旨」
“Robust Image Processing with Risk Consideration on Small Exploration Rovers”
Kovács Gábor
本論文は、ロボットの小型化に際して生じるセンサの計測範囲の狭小化と移動性能の低下に対し、
画像処理・解析の方向からの対策法に関して議論をおこない、アルゴリズムの提案、シミュレーシ ョン・実験により評価より有効性を示すものである。
第1章では、近年のロボット技術を用いた月惑星表面探査の状況分析から将来的に小型探査機が多 用される可能性を議論し、跳躍移動機能を有する小型表面移動探査ロボットの構成とその有用性を 論じるとともに、副作用的に生じる物理的性能制約課題に関して議論した。
第2章では、小型移動ロボットの性能制約課題として、機体サイズの小型化にともなう「搭載セン サの選択制限、計測位置の低地上高化が招く計測範囲の狭小化」、「環境との相対的サイズ比変化に よる障害物の増加と移動性能低下」を指摘した。さらに移動に関する課題は跳躍移動導入により解 決し得るが、移動・計測上の不確かさ対するリスク対応が必要であることを指摘した。結論とし表 面移動探査機の小型化では、狭小計測領域の継続計測による広域対応化、移動に際してのリスク許 容が重要となり、そのための画像処理技術の確立が必要であることを指摘した。
第3章では、環境中の特徴領域を継続的に安定追従することで計測範囲の狭小化課題に対応するこ と議論した。画像中の特徴領域抽出には人間の認知機能とされるSaliencyを自然環境理解へ適用し 特徴領域候補を選定したのち、ロボットの行動特性を考慮してポテンシャル場を設計、融合評価す ることで自動的に画像特徴領域(点)を抽出する手法を提案した。また移動中、複数特徴点を安定的 に選定、追従し続けられることをシミュレーションおよび伊豆大島においてロボットを移動させた 際に計測、取得した画像群に対して提案手法を適用、検証し、その有効性を確認した。
第4章では、小型表面移動ロボットにおいて跳躍移動の導入と最小搭載計測装置として単眼カメラ を仮定し、跳躍移動を考慮した環境計測手法とリスクの取り扱いに関して議論した。跳躍時の不確 かさ、跳躍後の衝突・転がり等の移動結果に対する不確かさ、計測自体の不確かさなどをリスクと してモデル化し、計測地形に対して考慮、評価することを検討した。そしてリスク評価を伴う着地 候領域選定手法を提案した。その際、第 3 章で用いたポテンシャル場のスキームを導入し最終候補 領域を選定した。また跳躍中の環境計測を、SFM(Structure From Motion)法を利用して実施する際 に生じるスケール未確定問題を加速度等の情報から推定される跳躍軌道を利用して実施することで 解決した。提案手法は、数値シミュレーションに加え、目的地誘導機能の構成とともに、自然不整地 環境レンダリングエンジンにより生成された仮想環境および衛星からの地上計測結果(スケール調 整にて)を利用して検証、議論し、その有効性を確認した。さらにJAXA探査イノベーションハブ実 験棟に設置された大型砂場に敷設した不整地環境における計測実験により評価し、有効性を確認し た。
第5章では、各章での議論と得られた成果をまとめ、研究の結論を述べるとともに、今後の課題と 発展に関して議論した。
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(中央大学論文審査報告書)
「論文審査の結果の要旨」
I.論文の主題
Robust Image Processing with Risk Consideration on Small Exploration Rovers
II.当該分野における位置付け
宇宙ロボット技術は、未知環境に対する物理的接触が必須である月惑星表面における探査 を可能にし、新たな探査領域を開いてきた。しかし高性能な処理機能、精度を必要とする多 数の観測・計測装置を搭載し、機体への高いロバスト性と高い失敗リスク回避が課されるた め、大型化、高コスト化し、ミッションも保守傾向になっている。また必要とされるロケッ ト搭載重量が増すことで観測機会の確保が困難になることで、多用途化(高機能化)と高い リスク回避要求が課される。これに対し近年、はやぶさ ( 初号機 , 2号機 ) に搭載された小型探 査ロボットなどの成功により小型探査機が注目されている。小型機は、ロケット搭載重量に 対するインパクトが低く、搭載条件の緩和、余剰搭載重量の活用、必要な重量・サイズの柔 軟化など、搭載機会の増加に寄与する。また機体サイズとのトレードオフから要求仕様の高 度化やコストが抑制され、複数運用による失敗リスクの分散と多用途化が期待できる。その 一方で、高い搭載制限と機体構成上の制約から機体性能や観測性能の低下が不可避となる。
本論文では小型化により生じるデメリット回避をセンシングから議論しており、跳躍移動導 入を前提に、搭載画像処理機能において安定的な連続計測を実現することで計測範囲狭小化 問題へ対応し、行動リスク許容のための画像計測と環境解析および目的地誘導手法に関して 具体的に議論しており、小型機の導入・利用障壁を下げるものと期待できる。
III. 論文の構成
第 1 章: 社会・研究分野の背景から小型機導入の将来性に関して議論し、当該研究分野の 調査と分析を行なっている。その結果より小型機導入に際した跳躍移動機能の有用性および 小型移動機の物理的制約から生じる問題を指摘している。
第 2 章: 小型機導入に起因する問題点に関して議論し、その解決において重要になる安定 的かつ連続計測による狭小計測範囲の拡大と移動リスクの許容と考慮が重要となることを 指摘し、本論文で扱う課題を明確化している。
第 3 章: 安定的に特徴点を自律選定することで狭小計測範囲を拡大できる可能性に言及 し、人の認識特性 Saliency を導入することで自律特徴点抽出手法を提案している。また行 動特性を考慮することで追従特徴点候補の選定手法を提案している。提案により計測範囲狭 小化問題の解決の可能性を示し、シミュレーション、実験により有効性を確認している。
第 4 章: 小型機に跳躍移動を導入することで移動性能低下を緩和し、その際に生じる行動
リスクの許容を前提としてモデル化、考慮した画像解析手法を提案している。また跳躍によ
る空中遷移中に環境を計測する際、未確定になるスケールを軌道推定から行うことを検討し、
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