O 論 説 中 国 農 業 の 基 幹 問 題
誰 が 中 国 農 業 を 担 う べ き か
中 国 の 農 業 経 営 主 体 問 題 に 対 す る 考 察 張 安 明
・ ・ ⁝
中 国 農 業 の 根 本 的 問 題
中国では︑二〇〇三年から農業︑農村︑農民問題を﹁三
農問題﹂と呼び︑その解決を最大の政策課題として位置づ
けするようになった︒それまで農業問題の捉え方として農
業に限定し︑食糧増産︑農産物生産の増大に重点を置いて
いたことと比べて大きな政策転換といえよう︒ただし︑日
本でも展開された﹁食糧農政←農業農政←農村農民農政﹂
という農政の歴史的流れをみると︑中国も同じ道をたどろ
うとしていると感じられる︒現段階では︑中国政府の政策
文献によると﹁三農問題﹂の中身が次のように認識されて
ム いる︒農業問題とは︑農業生産構造の調整を推進しつつ食 糧の安定的増産をはじめとする農業の総合生産能力の維持
と向上を図ることであり︑農村問題とは農村のインフラ整
備を推進し︑教育︑医療︑生活環境を改善することで社会
主義新農村を建設することであり︑そして農民問題とは補
助金制度を導入し︑農業税の廃止をはじめとする農民への
租税公課を軽減し︑農村労働力の農外移動を促進すること
で︑農民の所得向上を図ることである︒この中身をみる
と︑確かに現在の中国にとってはどれも解決しなければな
らない大きな課題であろう︒
一方︑日本では政策上農業問題が食料︑農業︑農村問題
と捉えられており︑そこに農民問題が入っていない︒いう
までもなく︑補助金制度の役割や農家兼業化の深化等によ
り︑日本には都市勤労者と比べて農家の低所得問題は存在
誰が中園農 業を担 うべ きか
io3
していない︒ただし︑農家所得に占める農外所得の割合の
高さから言えば︑日本の農家低所得問題の解決は決して農
業の発展を通じて達成されたのではない︒食料問題が日本
農業の最大政策課題となっていることはまさしくそれを物
語っているであろう︒現在における中国政府の農業問題の
捉え方をみると︑補助金制度の導入や農村労働力の農外移
動による農村過剰人口の解消を通じて農民の低所得問題の
解決を図ろうとしている一方︑農業そのものの発展を追及
して農民農村問題を解決しようとする姿勢があまりみられ
ない︒結果的に日本と同じように︑農民低所得問題の解決
ができたとしても農業が衰退し︑農村が荒廃する可能性が
大きいと思われる︒
その意味で言えば︑中国も経済の高度成長が続いている
間に農業が逆に衰退していく轍を踏もうとしている現在こ
そ元気な農業︑魅力のある農業を創造することが求められ
ていると思われる︒元気な農業︑魅力のある農業の創造に
当たって︑誰がその担い手になるかということはきわめて
重要である︒しかし︑後に詳しく触れるが︑現状では︑中
国政府は︑農業産業化戦略を積極的に推進し︑農業の発展
を農産物・食品加工(輸出)企業に強く期待している一
方︑小規模の零細農家を明瞭に位置づけしていない︒そし
て農村労働力の量的過剰を解消するために農業従事者の質
的不足を引き起こしている︒これはいずれも中国の農業主 体にかかわる問題である︒
中国農業の将来を展望すると︑これから農業の発展を図
るために家族経営をどのように位置づけするか︑農村労働
力の農外移動に伴って農業従事者の高齢化・女性化が急速
に進んでいることをどのように認識し︑対策を講じるか︑
要するにこれから誰が中国農業を担うべきかということは
中国農業にとって一番の根本的問題ではないかと考えられ
る︒しかし︑前述した中国政府の﹁三農問題﹂認識にはこ
の点は明らかに抜けている︒
この視点から考えると︑中国の農業経営主体対策を議論
しなければならないと思われる︒そこで︑本稿では︑家族
経営の位置づけと農業従事者の高齢化・女性化の現状を明
らかにした上で︑筆者も含めた日中両国の研究者︑農業関
係者が作成した中国の一地域の農業経営主体対策を紹介す
ム ることにする︒日本でも担い手対策といわれる農業経営主
体対策が必ずしも成功したとはいえないものの︑家族経営
の強化と農業従事者の高齢化・女性化に対応するために︑
日本各地では様々な試みが行われてきた︒その農業経営主
体対策の作成に当たって︑示唆に富んだ日本の先発事例が
大いに参考になったのである︒
io4
農 業 産 業 化 戦 略 の 提 起 と 家 族 経 営 の 位 置 づ け
一九九五年一二月=日付の﹃人民日報﹄の一面に﹁農
ムヨ 業産業化について﹂という社説が掲載された︒それまで︑
農業産業化という用語を直接使う文章︑あるいは農業産業
化とほぼ同じことを意味する用語を使う文章の掲載および
その先進事例の報道があったが︑この社説のように農業産
業化を重要な農業政策として提起したのは初めてである︒
この社説は︑山東省灘坊地域の先進事例を総括し︑その経
験を農業および農村経済の改革と発展を全体的に推し進め
る農業産業化戦略と位置づけしている︒この社説による
と︑農業産業化とは︑﹁国内外の市場動向に基づき︑経済
収益の向上を中心とし︑地域農業の基幹部門および主要農
産物に対して︑地域別配置︑専門化生産︑一貫経営︑社会
化サービス︑企業化管理を実施し︑生産︑資材供給と農産
物販売︑貿易部門︑加工部門と農業部門︑そして経済︑科
学技術と教育をそれぞれ緊密に結合させることで"一匹の
竜"のような経営システムを形成する﹂ことである︒簡単
に言うと︑﹁伝統的な自給自足農業および農村経済を改善
し︑市場と結びつけ︑家族経営をベースに農業生産の専門
化︑商品化および社会化を実現する﹂ことである︒そして この"一匹の竜"のような経営システムの中で︑個別零細
農家と市場を結びつける役である農産物・食品加工(輸
出)企業等は竜頭と例えられ︑そのような企業は竜頭企業
と呼ばれる︒中国人の感覚でいうと︑竜頭が舞い上がって
からはじめて竜全体が舞い上がることになる︒その意味
で︑竜頭企業と呼ばれる農産物・食品加工(輸出)企業等
がこの経営システムの中で一番重要な存在であると強調さ
ム れている︒
政策上農業および農村の発展を図るために農業生産を実
際担っている農民よりむしろ農民に販路を提供したり付加
価値加工を行ったりする農産物・食品加工(輸出)企業等
が期待されるようになった︒だれが中国農業を担うべきか
という視点から見るとこの社説は中国農政の一つの転換点
を示すことになると思われる︒この社説が掲載されてから
農業産業化戦略は次から次へと中央政府の政策文献に盛り
込まれ︑農業および農村問題を解決する最重要な政策の一
つとして位置づけられるようになった︒そして一九九六年
から中央政府と地方政府は︑竜頭企業に対して財政︑税制
および融資等において優遇措置を講じるようになった︒
各地域の事例をみると農業産業化は主に二つの形で展開
されている︒一つは農産物・食品加工(輸出)企業と農家
の間に契約栽培が行われることである︒もう一つは農産
物・食品加工(輸出)企業が農場を直営する形で地元の農
誰 が中国農業を担 うべきか IOS
民あるいは外地の農民を農業労働者として雇い入れること
である︒前者は︑農産物・食品加工(輸出)企業が主導す
る下で家族経営がかろうじて維持されているのに対して︑
後者は︑農民が経営者ではなく︑労働者として雇われるた
め実質的に資本主義的農場経営となっているのである︒特
に近年では︑輸出農産物等に対する品質基準がますます厳
しくなり︑そのハードルをクリアするために︑山東省や漸
江省等の主要輸出産地では契約栽培から直営農場形式に切
り替わる農産物・食品加工(輸出)企業が著しく増えて
ムら いる︒もちろん︑全国的にみると︑契約栽培にしても直営
農場にしてもそのウエイトがまだそれほど高いとはいえな
いが︑中央政府の政策文献は︑これらの動きが中国農業の
方向性を示していると肯定している︒そして各地域では︑
農民が自分の請負地を企業に貸し︑その上に企業で労働者
として働くとなると︑地代も労賃ももらえるので︑これに
越したことがないのではないかという論調が高まって
ム いる︒当初家族経営をベースに想定された農業産業化は現
状では企業主導で展開されているのである︒
農業産業化の効果としては農産物の販路開拓と確保︑加
工による農産物付加価値の向上が高く評価されている︒そ
の反面中国農業を担う主体をどのように考えるべきかとい
う大きな問題を抱えている︒中国では農業産業化戦略が提
起された背景として日本のような農協組織の不在や政府系 バァ 農業技術普及部門の弱体等が上げられるが︑家族経営を否
定する方向で推進された農業産業化戦略が果たしてうまく
いくかという問題を提起せざるをえないと思われる︒
そして家族経営がかろうじて維持されている契約栽培で
も現実的に大きな課題を抱えているとみられる︒一般的に
いえば︑企業である以上︑利益の最大化を追求するもので
ある︒その意味で農産物・食品加工(輸出)企業と個別農
家の問に利益共同体を組むのは不可能であろう︒たとえ
ば︑現在︑契約栽培で結ばれている農産物・食品加工(輸
出)企業と個別農家の関係については︑以下の二点が特に
評価されている︒一つは︑農産物・食品加工(輸出)企業
による最低保護価格での買取りである︒つまり︑農産物・
食品加工(輸出)企業が市場価格が高ければ市場価格で契
約農家から農産物を買取り︑市場価格が低ければ事前に設
定した最低保護価格で買取ることである︒もう一つは︑農
産物・食品加工(輸出)企業が利益の一部を契約農家に還
元することである︒前者については︑農業部の資料による
と︑数多くの竜頭企業が最低保護価格で買取る約束を果た
ハ していない︒そして後者については︑竜頭企業が契約農家
に還元するかしないか︑どれほど還元するかは基本的にそ
の企業の裁量に委ねられている︒制度的には︑必ず還元
し︑どれほど還元しなければならないということになって
いないのである︒それゆえ︑竜頭企業から契約農家に対し
to6
バ て行われた還元はお布施とも呼ぼれている︒つまり︑企業
の良心次第という次元の話である︒
要するに︑竜頭企業と契約農家との関係は基本的に売買
関係に止まっている︒そして竜頭企業と個別農家の交渉力
が異なるため︑この組み合わせは必ずしも農家に有利では
ない︒たとえ︑契約が履行されたとしても︑個別農家に
とっては販路を得たものの︑手取り所得の最大化を実現す
ることができないのである︒
農 村 労 働 力 の 農 外 移 動 と 農 業 経 営 主 体 の 現 状
現在︑中国の新聞記事をみると︑出稼ぎ農民が増えるに
つれて︑農業従事者の主体を﹁三八六一九九部隊﹂︑﹁三八
六一部隊﹂あるいは﹁六〇三八部隊﹂という言葉で表現す
ムい るようになった︒中国では︑﹁三八﹂は国際婦人デー(三
月八日)にちなんで女性を意味し︑﹁六=は国際児童
デー(六月一日)にちなんで子供を意味し︑そして﹁九
九﹂は重陽節(九月九日)にちなんで高齢者を意味する︒
また﹁六〇﹂は文字通り六〇歳以上の高齢者を指す︒つま
り青壮年を中心とする農民が出稼ぎするために村を離れ︑
女性・高齢者・子供だけが残されているのである︒
農業従事者の性別および年齢層を示す統計データが手元 にないが︑いくつかの資料を利用して推計することができ
よう︒
二〇〇五年に中国政府のシンクタンクの一つである国務
院研究室は︑全国の出稼ぎ農民について調査し︑その報告
ムロ 書を公表した︒それによると︑出稼ぎ農民の総数は一・二
億人と推定されている︒そして男女比率はそれぞれ六六・
三%と三三・七%となっている︒年齢状況については一六
〜四〇歳層は全体の八四%を占めており︑出稼ぎ農民の平
均年齢は二八・六歳となっている︒出稼ぎ農民の他に︑地
元の郷鎮企業等に勤めている農民は八千万人と推定されて
いる︒そのうちの多くも二〇代︑三〇代の男性とみられ
る︒統計資料によると︑二〇〇五年末現在︑農村戸籍就業
者のうち男性と女性はそれぞれ二億六九三〇万人と二億三
四五七万人で︑その比率は約五三%対四七%となって
ハに いる︒しかし︑上述したように︑多くの男性農民が農外就
業に流れたため︑農業従事者の男女比率が逆転したとみら
れる︒就業者性別︑年齢層の他に︑教育を受けた年数の長
い農民ほど出稼ぎしたり地元企業に就職したりしていると
みられる︒同じ報告書によると︑出稼ぎ農民と地元の郷鎮
企業等の農民就業者を合わせた農外従事者のうち中卒の人
は六六%を占めており︑農村労働力の平均値を大きく上
回っている︒
統計資料と研究報告書のデータに基づいて整理すると︑
誰が中国農業 を担 うべ きか
IOC
中国の農業従事者について次のような傾向が確認された︒
①二〇〇〇年を境目に農村従事者に占める農業従事者の
ムロ 割合だけではなく︑その絶対数も減少に転じた︒
②出稼ぎ農民の急増に伴って農業従事者に占める高齢
者・女性の割合が大きく増えている︒
ムロ ③農村戸籍を持つ農家戸数が依然増加傾向にある︒
①と②をみると︑農民の出稼ぎは若い男性もしくは若夫
婦だけが出稼ぎに行き︑妻︑子供あるいは親を田舎に残すと
いう形で進行しており︑一家全員の離村型となっていない
ことがうかがえる︒そのため︑農業従事者の絶対数が減少に
転じたにもかかわらず︑③のように農家戸数が依然増加傾
向を示している︒以上の分析をみると︑農村労働力の農外移
動は農業従事者の脆弱化をもたらしてはいるが︑政策上期
待されたように農民の減少による経営規模の拡大等農業構
造改善には寄与していないことが確認されたと思われる︒
全国的にみると︑農村労働力の農外移動に伴って︑高齢
者と女性は農業経営の主体となりつつあると同時に︑出稼
ぎ農民の主な出身地である四川省︑河南省︑湖南省︑江西
省︑安徽省︑重慶市および経済先進地域の漸江省︑江蘇省
等ではその傾向がより鮮明になっている︒前者では︑主に
北京︑上海︑広州等の大都市へ流れ︑後者では︑主に省内
の中心都市に流れているという違いがあるものの︑多くの
若い農民の出稼ぎにより農業従事者の高齢化・女性化が急 速に進んでいるという共通の構図が現れている︒筆者の中
国農村現地調査によると︑親の看病︑知的障害者等特別な
事情を抱えている人を除いてほとんどの青壮年が農外産業
に従事し︑高齢者と女性だけが農業に従事している地域も
現れている︒
現在︑中国では出稼ぎによる農村の留守家族︑留守子供
ムゐ の急増が深刻な社会問題として頻繁に取り上げられている
が︑高齢者・女性および小卒や読み書きのできない農民が
主な農業従事者となっていることをそれほど深刻に受け止
めていないようである︒これからの中国農業をこうした高
齢者・女性および読み書きできない人たち(文盲)だけに
任せられないという主張があるものの︑現実を直視した上
で農業従事者の高齢化・女性化傾向をプラス思考で捉える
動きが現れていない︒
一方︑中国政府は︑かつてないほど﹁三農問題﹂を重視
する姿勢を見せている︒毎年の最重要政策文書であるコ
号文件﹂は二〇〇四年から三年連続農業問題を取り上げて
いる︒にもかかわらす︑現実に農村の中核労働力の急速な
都市・農外への流出の中で農業労働力の高齢化・女性化が
急速に進んでいるため︑誰が中国農業の将来を担うべきか
という基本問題に対して︑現状ではなんら効果的な政策的
対応は行われていない︒最新の﹁一号文件﹂(二〇〇六
年)でさえ︑農業経営者対策については﹁文化知識を持ち
Io8
技術が分かり経営ができるような新型農民を育てる﹂
ハお うきわめて抽象的な指摘に止まっている︒
四
とい誰 が 農 業 主 体 か ま た 協 同 組 織 化 を ど う 進 め る か 1 家 族 経 営 の 強 化 と 高 齢 者 ・女 性 の 農 業 主 体 形 成 と 農 民 協 同 組 織 化 の 推 進
前述したように︑中国では﹁三農問題﹂の解決が強調さ
れているものの︑誰が中国農業を担うべきかという最大の
課題が中国政府の認識から抜けている︒中国の中央農政に
政策提言を行うと同時に︑中国の一地域としてこの課題に
対応するために講じるべき対策を打ち出すという意味で︑
日中両国の研究者︑農業関係者が農業経営主体づくり戦略
を中心に中国の江蘇省句容市を対象に農業農村振興計画を
共同作成した︒
この節では︑句容市およびその周辺地域で行われた農家
および農民協同経済組織のヒヤリング調査︑農産物市場調
査および行政村のアンケート調査の結果を踏まえて作成し
ムロ た句容市の農業経営主体づくりの対策を紹介する︒
e 句 容 型 農 業 経 営 主 体 づ く り 戦 略
句容市の農業経営主体は︑他の地域と同様に︑基本的に
地 元 の 農 民 お よ び 農 民 自 身 の 協 同 経 済 組 織 も し く は 専 門 協
ム 同経済組織であるべきであろう︒また句容市の社会主義新
農村建設はまず重点村で推進されることになっている︒し
たがって効果的に計画の推進を図る視点からいえば︑重点
村における農業経営主体づくり戦略を打ち出す必要があ
る︒句容市の先行事例調査を整理すると︑重点村農業経営
主体づくり戦略について次の四点が指摘できる︒
ω家族経営強化と協同組織化の関係
社会主義中国に入ってから二〇年以上も続いた農業集団
化と一九九〇年代の後半から推進されている農業産業化の
間に一つの共通点が存在している︒つまり両方とも家族経
営の弱体化あるいは消滅という前提で推進されていたので
ある︒前者においては︑﹁個別経営11家族経営﹂の台頭を
異常に警戒し︑極力その復活を抑え︑その代わり﹁共同経
営11集団経営﹂を追求していた︒それに対して︑後者にお
いては︑﹁会社+生産団地+農家﹂という組み合わせを理
想の経営形態としているために︑農家を小作化し︑農民を
作業労働者としか位置づけしていないのである︒しかし︑
ここで提唱する協同組織化は︑その点においては明らかに
これまでの農業集団化または農業産業化と異なり︑あくま
でも家族経営のよさを最大限に生かし︑その弱点を強化す
るという前提で推進されていくのである︒
㈲生産者から経営者(生産+販売+加工等)への転換
誰が中国農業 を担 うべ きか
ioq
日本で長年にわたる食管制度の下で国による米の全量買
上げあるいは農協系統への全量委託販売が行われていたと
同様に︑中国でも食糧︑綿花を中心とする農産物の統一買
付・統一販売が実施されており︑農民自身による農産物の
販売は自由市場での自給の余剰品の処分に限定されてい
た︒そのため︑農産物流通が自由化された現在でも多くの
農民は単なる農産物の生産者にとどまり︑加工や販売まで
にかかわる経営者に成長していない︒
句容の農村では園芸・果実の大規模農家のうちに経営者
としての性格が強い(生産だけではなく︑販売も行う)農
家が比較的に多い︒これは︑米︑小麦︑菜種を主とする伝
統的耕種部門と異なり︑園芸・果実部門がほぼ百%販売目
的で経営されていることによるものと思われる︒
そのために︑園芸・果実の大規模農家をリーダーに農民
専門組織を作ることに対する期待も根強い︒しかし︑園
芸・果実の大規模農家をリーダーに小規模農家をまとめる
組織は︑その運営過程でさまざまな課題に直面している︒
販売への経営的取り組みの経験を持たないという意味での
個別家族経営の長年の未完結性により発生してくる問題が
多いとみられる︒しかし個別家族経営の未完結性という問
題を短期間に解決することは極めて困難であり︑リーダi
格の大規模農家にとっては重過ぎる課題である︒結果的に
組織の機能が生産場面に限定されるか解散するケースが多 い︒協同組織化を推進する上で明らかに個別家族経営の強化
つまり生産者から経営者への転換が求められる︒丁荘村︑
侃塘村︑戴荘村等の先行事例をみると︑現実の形としては
協同組織へ向かうプロセスの中で個別家族経営が強化され
ム ていくことであろう︒
㈲誘導・協力システムの構築
生産者から経営者への転換を誘導し︑手助けするには︑
一定の組織的支援が必要である︒これについて鎮江農科所
はこれまで丁荘村︑椀塘村︑戴荘村等で様々な実践を行っ
ム てきた︒支援を行う行政部門や普及機関等にとって次のよ
うな重要な経験がある︒
①誘導し︑手助けする必要があるが︑主体はあくまでも
地元の農民と位置づけるのが原則である︒農民が主役
で︑技術支援者︑経営指導者が協力者であることを心
がける︒
②一番有効な誘導・協力方法は︑誰でも努力すれば利益
が取れることを農民に見せることであろう︒自らモデ
ル園を立ち上げてその先頭に立ち︑農家に経営プロセ
スを見せることは非常に重要である︒そしてその場合
は立派な施設や聞こえのいいハイテク技術というより
普通の農家でもまじめに勉強すれば導入可能なもので
なければならない︒こうすればできるという見せ方を
IIO
工夫する︒
③農民を完全に信じる気持ちで計画を立て継続的に誘導
と手助けを実施することが大切である︒一過性の運動
方式で行われると失敗に終わるのだけではなく︑農民
サイドから不信感が生じることが多い︒
④GDP成長率絶対視︑業績優先の影響で地元の農業経
営から農民を排除するという手法で推進されると︑地
域全体の農業振興が進まず︑大多数の農民に利益が及
ばないことになる︒
②個別家族経営強化の具体策
総合産地の形成のために︑生産サイドに必要なことは︑
地域の条件にあった複数の品目を複合生産して経営リスク
を回避するように個別家族経営を強化することである︒そ
れは︑農業生産︑農業資材購買︑農業施設利用︑農産物販
売の各分野における協同組織化の後押しとなる︒
協同組織化へ向かう段階もしくは組織が出来た後にも組
織の諸機能を発揮させるために︑次のような個別家族経営
の強化策が考えられる︒
①重点村もしくはモデル園は︑販売して利益を上げられ
ると思われる作目のリストとその栽培暦を作り︑提示
する︒
②各農家は自分自身の能力と好みに応じて販売実現可能
な作目リストの中から自ら行う作目を選択し栽培す る︒栽培暦の統一を通じて協同組織化・共同販売化体
制づくりを行う︒
③将来は作物別および自然村(村民小組)別の経営改善
共励会や農作物共進会の定期的開催を実施して個別家
族経営のレベルアップと高品質への誘導を行う︒
協同組織化へ向かう段階においては︑こうした方策を具
体的に推進する組織は重点行政村の党支部および村民委員
会と想定されるが︑鎮江農科所のような技術支援・経営指
導機関との連携が必要不可欠である︒さらに鎮江農科所︑
農林学院︑市農業局等で構成される中日友好農業技術交流
センターを核とする技術支援・経営指導体制に中心的な役
割を果たしてもらう︒
農業を主とする農家のうちには︑高齢者︑女性が多く含
まれている︒またその多くが学校教育を受けていない人や
小学校卒の人である︒したがって計画推進には創意工夫が
求められる︒たとえば︑分かりやすい教材や小冊子やスラ
イドの編集やそれによる講演︑現場指導が必要だし︑同一
地域もしくは隣村の先行農家の体験談を聞く会合の開催も
必要である︒
さらに協同組合の原則を説明し本来の協同化の意義と人
民公社の農業集団化との違いへの理解を深める必要があ
る︒その上で個別家族経営の強化による所得向上と協同化
の関係を周知させ︑また練り上げる必要がある︒
誰が 中国農業を担 うべ きか
III
③協同化のリーダーの発見と育成
このような推進過程に︑自分自身の経営が改善されたと
同時に︑協同組合の原則と協同化の実際の意義に対する理
解が深まった農家が確実に増えると見られる︒丁荘村︑椀
塘村のような園芸︑果実経営の盛んな地域では︑同じ経営
部門を持つ小規模農家をまとめようとする献身的な大規模
農家が現れている︒一方︑戴荘村のような強固な伝統的耕
種地域ではこれといった大規模農家がない代わりに︑元生
産隊長︑村の技術普及員︑他産業経験者等が周辺の農家を
まとめていくリーダーに成長した例が数多く現れている︒
こうした献身的なリーダーの出現が村域の協同化にとって
決定的な意味合いを持つとみられる︒血縁関係︑隣近所︑
面識集団等から現れたリーダーこそ信頼関係が強いため︑
村域の協同化に結びつきやすい︒行政村組織と鎮江農科所
のような普及機関はタイアップして個別家族経営の強化を
通じて協同化のリーダーの発見と育成を図ることが極めて
重要である︒後に触れるように句容市の農村現場ではその
ような成功事例がすでに多数現れている︒
㈲個別家族経営支援の協同活動の展開
次のステップとして個別家族経営を支援する協同活動を
さらに展開する必要がある︒つまり︑地域に現れたリー
ダーを中心に︑村域(行政村)の農民協同経済組織もしく
は農民専門協同経済組織を創設し諸機能を発揮させること である︒特に一番重要な共同販売機能を果たすためにその
組織の下で︑以下の施設とシステムを整備し︑個別家族経
営を支援する必要がある︒
①集荷︑商品づくり︑配送センター︑共同精算等を含む共
同販売システムづくりを整備して販売主体として独自
販売を展開し︑産地商人から販売の主導権を取り戻す︒
②生産資材・出荷資材の共同購入システムづくりを整備
して生産コストおよび流通コストを下げる︒
③共同育苗センターを整備し︑それを核に栽培・品質の
平準化を図る︒
④組合員の知恵や社会各界のノウハウを結集して商品開
発委員会︑ブランドづくり委員会︑消費宣伝委員会等
を有する販売促進システムを整備して高付加価値販売
を追及する︒
⑤加工・利用施設運営委員会を創設し民主的かつ効果的
に加工・利用施設運営を行う︒
⑥さらに農地利用調整︑作業受委託︑作業機の共同活
用︑施設のリース化等も重要になってくる︒
これまでも一部の大規模農家は︑周囲の小規模農家に対
して苗の供給や販売の代行等を行ってきている︒このこと
からそれに対する小規模農家のニーズが確実にあることは
見てとれる︒しかし︑全体的にこうした施設やその施設を
核とするシステムが整備されていないため︑個別家族経営
II2
を支援する協同活動ができていないと同時に︑村域(行政
村)の農民協同経済組織もしくは農民専門協同経済組織が
創設されてもほとんど機能していない︒そういう意味で上
記の施設の整備とシステム作りが絶対不可欠である︒ただ
し︑施設整備の公益性(地域の大多数農家が受益するこ
と)を考えると︑零細小規模農家で経済力が弱いとはい
え︑組合員が当然応分の負担をしなければならないが︑財
政的な支援を講じるべきである︒組合員および財政的な支
援の出資によって整備された施設こそ組合員による民主的
運営管理となり︑村域の大多数農家の利益につなげること
ができる︒これは︑農外資本あるいは個人資金による整備
と異なり︑個別家族経営支援や協同経済組織の機能強化に
つながる︒
口 自 給 の 豊 か さ ︑ 農 畜 の 複 合 経 営 の 継 承
小 規 模 ・ 高 齢 ・ 女 性 農 家 の 意 義 と 周 年 少 量
多 品 目 型 生 産 ・ 販 売 体 制 の 構 築
ω小規模・高齢・女性農家は基礎的農業主体
本計画の目標は︑農業を主とする農家の所得を最大限に
向上させることである︒農業を主とする農家の中には大規
模農家もあるが︑その大多数を占めているのが小規模・零
細農家である︒そのため︑大規模農家だけではなく︑小規
模・零細農家も農業経営主体として活躍できるような農業 経営イメージまたは政策が求められる︒小規模・零細農家
を排除するような農業経営イメージまたは政策が追及され
るべきではない︒また︑高齢・女性農家はすでに句容農業
生産の主体となっている︒農村労働力移動の更なる進展に
伴ってこの傾向がさらに強まるに違いない︒政策的にも小
規模・高齢・女性農家を農業経営の基礎的な主体と位置づ
けて︑支援措置を講じるべきである︒
小規模・高齢・女性農家は個別の生産規模こそ小さい
が︑個別家族経営の強化︑専門組織の育成等により一定の
出荷規模の形成が可能である︒そのよさは︑無理に農地集
積による規模拡大や農業経営から小規模・高齢・女性農家
の排除をせずに︑あるがままで規模形成の力となることで
ある︒
農民所得の向上は農業を主とする農家所得の向上にか
かっている︒農業を主とする農家のうち一番多く含まれて
いる小規模・高齢・女性農家にも所得向上の機会を与える
ことは︑農業を主とする農家所得の向上︑さらに言えば農
民全体の所得向上に大きく貢献できる︒
②食文化を売る総合産地化
句容市では一九八二年に農地請負制が導入されてから幾
度も農地再分配が行われたが︑最終的にすべての地域で家
族人口に基いて農地再分配が実施され︑小規模・零細農家
の経営体制が形成された︒
誰が 中国農 業を担 うべ きか
113
一方︑この二十数年問に農作物の生産構造が米・小麦主
軸(一九八三年︑七一・二%)から米・菜種主軸(二〇〇
四年︑六七・三%)に変わったものの︑一般的な農家経営
としては表作の米と裏作の菜種を中心としつつ野菜︑トウ
モロコシ︑大豆︑イモ類等も複合して栽培する経営形態が
定着している︒米と菜種については販売部分もあるが︑野
菜︑トウモロコシ︑大豆︑イモ類等を含めて自家消費(人
間の食料︑家きん家畜の飼料)の割合が高く︑農村の農産
物自給ベースが基本的に維持されている︒
いうまでもなく︑この二十数年間に一部の水田の利用転
換(イチゴ等)︑綿作栽培面積の削減(ブドウ等)︑限界地
の開拓(モモ︑ナシ等)によりハウスイチゴ︑ブドウ︑モ
モ︑ナシ等の高収益作物が導入され︑こうした部門に限っ
て大規模経営農家が現われた︒
これから句容市における農業経営主体のあるべき姿とし
ては︑高収益作物部門においては可能な限り最適規模を追
求する大規模経営農家を支援しつつ︑在来作物部門におい
ては自給農業の延長として小規模・零細農家を生かす生産
体制を確立することである︒前述した句容市農家の多品目
生産構造は農家のバラエティに富んだ食生活を支えている
が︑近場の都市住民にもこのような食生活が提供できる総
合産地化を進める必要がある︒
自給的︑多品目型生産のよさを生かし︑地域の食文化に 根付いたバラエティに富んだ食生活を提案できる総合産地
を形成するために句容市の大多数を占める小規模・高齢・
女性農家をきちんと位置づけしなければならない︒
㈹小規模・高齢・女性農家の活用路線
これまでの句容市の路線をみると︑多品目型の自給的生
産を行う小規模・高齢・女性農家の存在をただマイナス的
に捉えて︑無理やりに単一品目大規模経営を進めてきてい
る︒これは︑句容市の産地特性(気候︑品種︑生産形態︑
水利等)を無視して単品大型産地化の進んだ山東省︑江蘇
省北部と競争しているように映る︒そのために︑農外資本
の導入や大規模経営が異常にもてはやされているのに対し
て地元の小規模・高齢・女性農家が農業経営主体から徐々
に排除されている︒これからこの路線を大転換して小規
模・高齢・女性農家の存在をプラスに活用しなけれぼなら
ない︒
㈲今後の農産物流通はどうなるか
日本農業の近代過程における農産物流通の変遷をみる
と︑まず在来の自由市場流通から卸売り市場を中心とする
全国流通へと展開し︑生産場面では単品大型産地が成長
し︑大規模経営が生産の主力となった︒また徐々にそれに
合わせてスーパーマーケット方式が小売の中心形態となっ
た︒そして一九九〇年代に入ってから量から質へと変化し
た消費者のニーズにこたえるために直売を主とする地場流
ri4
通が盛んになり︑生産場面では少量多品目総合産地が成長
し︑小規模・高齢・女性農家がその主役として活躍してい
る︒一方︑小売の中心であるスーパーマーケットもこれら
の産地との直接取引を急成長させてきた︒これからの中国
農産物流通形態は日本と同様に段階的に地域の自由市場←
全国流通←地産地消というように変化していくのではな
く︑むしろ全国流通と地産地消の二つの動きが同時進行す
る可能性が大きいとみられる︒特に句容の立地条件からい
うと︑食文化共有圏を流通エリアとする少量多品目総合産
地としての成長が期待される可能性が大きいため︑小規
模・高齢・女性農家が大きく活躍できると思われる︒
㈲地産菜に対する旺盛な需要
現に生活水準の急速な向上につれて︑句容市を含む長江
デルタ地域の一部の消費者はすでに食文化を重視するよう
な消費行動を取り始めた︒その表れとして子供の時から食
べなれた地産野菜に対する需要が大きくて︑供給が追いつ
かない状況が続いている︒その意味でいえば︑地域の食文
化を無視して作られた遠隔産地の農産物より食文化を共有
している句容市農民の手により作られた農産物のほうが近
場の消費者に受けいれられやすく︑その分の競争力が付く
と考えられる︒通常にマイナス要因と捉えられているもの
を逆手にとり︑句容市ゆえに︑そして小規模・零細農家ゆ
えにできることを推進すべきである︒ ㈲自給のよさ︑農畜結合の継承
句容市農村では小規模・零細農家ほど農産物の自給ベー
スが強固に維持されていることが確認された︒それを支え
ているのが農家の自家菜園である︒その自家菜園の栽培品
目をみると︑まさしく少量多品目であり︑周年栽培品目も
含まれている︒そしてこの地域に庭先養豚︑緑肥栽培を核
とする自然循環型農法の伝統があり︑現在でもその伝統が
少なくとも農家の自家菜園では貫かれている︒その意味で
農家の食卓は遠隔産地の大型単品を消費する都市住民の食
卓よりはるかに豊かである︒この豊かさを支える自給のよ
さはまさしく総合産地を実現できる積極的な要素になる︒
このように自給の意義を考えると︑販売目的の単品ではな
く︑農畜結合の複合経営による総合生産(食文化の共有︑
種類の多さ︑周年供給)こそが総合産地の形成︑持続可能
な農業の構築(減農薬︑減化学肥料栽培︑有機栽培)につ
ながることにある︒
農家自給生活のお裾分けつまり農家の人達のバラエティ
に富んだ食生活をともに楽しむのが食文化共有圏内の都市
住民︑消費者にとって非常に望ましいことである︒もちろ
ん︑それは単なる自給農業の延長あるいは拡大版ではな
い︒現状のままの自給的︑多品目型生産がそのまま消費者
に受け入れられるとは限らない︒小規模・零細農家ゆえの
よさがある一方︑小規模・零細農家ゆえの難しさもある︒
誰 が中国農業 を担 うべきか
IIS
それをきちんと認識した上で︑自給的︑多品目型生産のよ
さを残しながら﹁四安﹂(安全・安心・安価・安定)が提
供できるようにしなければならない︒句容市の小規模・高
齢・女性農家はこのような農業を経営できるように成長す
る必要がある︒そのステップとしては︑個別家族経営強化
の具体策を確実に実施していくことである︒この段階を経
て句容市の小規模・零細農家は真の農業経営主体に成長す
るに違いない︒
少量多品目適正規模の総合産地︑多元販売チャンネルの
総合産地が産地づくりの方針として打ち出されたことで︑
多様な生産者に活躍の場が与えられる︒高齢者・女性を含
む農家はおのおのの栽培能力︑栽培習慣︑好みに応じて栽
培作物を選択し︑できあがったものの品質に応じて直売
場︑自由市場︑スーパー︑贈答品コーナー等のように売り
方を決めることができる︒
日 総 合 産 地 の 実 践 主 体
戴 荘 村 先 行 事 例 の 意 義
これまでの句容市の先行事例(成功事例)を見る限りで
は︑本計画の第四章で打ち出された総合産地戦略の実践は
第一段階として一つの行政村範囲で行われるのが望まし
い︒有機農業を目指している戴荘村の先行事例がそれを強
ムの く示唆している︒ 二〇〇三年に鎮江農科所は︑天王鎮戴荘村の白沙集落で
土地を借りて有機農業モデル園を立ち上げてから三年後︑
戴荘村有機農業組合の設立にこぎつけた︒前にも触れたよ
うに︑戴荘村は︑米︑菜種︑小麦を主とし︑サツマイモ︑
落花生︑野菜等人間用および家きん家畜用の自給農産物も
作る伝統的生産構造が現在も強固に残っている地域であ
る︒そして多数の若い人が出稼ぎに行ったため︑農業生産
を担っているのは中高年および女性を中心とする小規模農
家である︒この特徴からみると︑戴荘村は句容市農村の
もっとも一般的な村である︒その意味でいえぼ︑戴荘村で
の試みは中国全土にとっても普遍的な意味合いを持つこと
になる︒ここで白沙有機農業モデル園の設置から戴荘村有
機農業組合の設立までの過程を整理して村域農民協同組織
化の推進手法を提起する︒
ω戴荘村有機農業の推進過程
㈲有機農業モデル園の周辺への波及効果
前章で総合実証展示圃の設置が提案されているが︑鎮江
農科所が設置した白沙有機農業モデル園はそれに近い存在
である︒白沙有機農業モデル園は立ち上げられてから大き
な展示効果を発揮した︒まず︑モデル園の周辺農家は鎮江
農科所のモデル園担当者の指導を受けてモデル園の作業に
従事しながら栽培法を学ぶと同時に︑そこで収穫された農
産物が高値で売れることを自分の目で確認した︒そして自
116
ら有機農業の実践を始めることになった︒さらにモデル園
から離れた農家は鎮江農科所のモデル園担当者の説明だけ
では信じられなかったが︑モデル園周辺の先行農家の成功
事例を目の当たりにして有機農業を始める決心をした︒そ
の後︑モデル園周辺の農家は︑自らモデル園に足を運びモ
デル園担当者の指導を受けたり︑現場指導のために担当者
を自分の集落に招いたりする︒モデル園の設置←モデル園
周辺農家の先行実践←周辺集落の農家の追加参入という波
及効果が明らかである︒
㈲技術・経営指導機関と村域既存組織のタイアップ
鎮江農科所は技術支援・経営指導機関として戴荘村の有
機農業推進に当たってきた︒計画作成︑新技術・新品種の
導入︑技術・経営指導︑商標登録︑有機認証および加工施
設の導入等の面において献身的に努めている︒特に農民協
同組織化の機運を高めるために︑村民の中で協同組織の仕
組みや組織化のメリット︑参加者要件および今後の展望等
を説明し︑有機農業組合の設立準備や模範定款の作成等を
手伝っている︒一方︑党組織︑村民委員会︑村民小組等の
村内の既存組織は積極的に協力している︒党組織の責任者
は村の全体の調整を担当し︑各村民小組の責任者は自然村
ごとに推進役を務めている︒鎮江農科所と既存の村組織の
タイアップは︑戴荘村の有機農業を力強く推し進めること
になった︒ ㈲高収益をあげてみせる
農家の参加意欲を引き立てるもっとも重要な要素は収益
性の向上つまり所得の向上である︒戴荘村の有機農業はま
だ始まったばかりであるが︑すでに高い収益性を示してい
る︒米だけを見ても有機米のムー当たり所得は慣行栽培米
の三・五倍に相当する︒これは農家の参加意欲を大きく刺
激した︒抽象的な理屈より眼に見える成果があるかどうか
が成否を握るのである︒
㈹一五〇人の組合員と一一人の理事会
モデル園の波及効果︑鎮江農科所と既存の村組織のタイ
アップ︑有機農業の高収益等により有機農業の参加農家は
確実に増えている︒その増加につれて︑有機農業組合の設
立機運が高まった︒村の幹部の他に有機農業の推進過程に
現れた農民リーダーも積極的に有機農業組合の設立準備に
当たる︒現時点で組合に加入した農家は一五〇戸に達し︑
組合員大会の選挙により=人の理事会が選ぼれた︒理事
会は責任を持って組合を運営することになる︒これから戴
荘村有機農業組合は引き続き鎮江農科所の技術支援・経営
指導の下で村の党組織︑村民委員会と協力し︑自主運営の
軌道に乗る︒
㈲戴荘村有機農業組合の定款
戴荘村有機農業組合の定款に組合の機能として次のよう
な七項目が盛り込まれている︒
誰が中 国農 業を担 うべ きか
117
①有機農業生産の展示圃を設置し︑新品種︑新技術︑新
型設備︑新しい成果の開発︑導入︑試験および普及を
行う︒
②組合員の生産経営に対する技術指導︑相談︑研修およ
び交流等の活動を展開する︒
③組合員に必要になる種苗と農業資材を仕入れ︑原価で
提供する︒
④有機農産物の品質基準および有機農産物の栽培技術基
準を作成し︑基準に従って合格の有機農産物を生産す
るように組合員を手伝い︑協力する︒
⑤商標登録を行い︑有機農産物の認証マークを申請し︑
販売店を設置し︑有機農産物市場を開拓する︒
⑥組合員が基準に従って生産した合格の有機農産物の販
売を手伝い︑協力する︒農産物の付加価値を高め組合
員の所得を増やすために︑段階的に有機農産物の貯
蔵︑輸送︑加工を行う︒
⑦組合員に必要になる法務︑保険︑担保等の業務を展開
すると同時に︑段階的に組合員の文化︑福利厚生等の
事業を展開する︒
簡単にいうと︑生産︑販売︑加工に関する一連のサービ
スの組合員への提供と農業技術の学習である︒現在︑戴荘
村有機農業組合の中に有機米と果実・茶・家きん家畜とい
う二つの部会が設けられているが︑これは同時に︑自然村 ごとにもグループが設置されている︒そのためすでに部会
ごとにあるいはグループごとに有機米栽培技術の勉強や育
苗等が行われている︒こうした動きは確実に個別家族経営
のレベルアップにつながる︒農民協同経済組織が本来に果
たすべき機能が少しずつ現れている︒
②村域農民協同組織化への示唆
前にも触れたように︑伝統的農業生産構造が現在も強固
に残っており︑これといった大規模農家や農産物・食品加
工(輸出)企業も存在しておらず︑中高年および女性を中
心とする小規模農家が農業生産の主体を務めている戴荘村
ゆえに︑この協同組織化へ向かった過程には多くの示唆が
含まれている︒これから戴荘村と似たような状況にある地
域の村幹部や農民リーダーの立場に向けて︑改めてそれを
次の四点に整理することができる︒
㈲大多数の村民の利益になる持続的農業経営の選択
現在︑農外資本誘致の方針の下で外部から様々な事業話
が村に持ち込まれる可能性がある中では︑村は︑大多数の
村民の利益になる持続的農業経営であるかどうかという基
準で主体的に村の方針を決める必要性がある︒つまり中高
年および女性を含む大多数の農家が活躍できるような農業
経営を導入しなけれぼならない︒一部の人たちだけが利益
を得るか一時的に利益が上がるようなものを導入すべきで
はない︒戴荘村で米とアヒル︑モモと鶏を中心とする農畜
Ilg
連携の有機栽培が多くの村民に受け入れられた︒慣行栽培
より収益が高く︑省資材︑活自然の環境にもやさしい経営
なので順調に進んでいる︒
㈲献身的な技術支援・経営指導機関との協力関係の構
築
現在︑句容市の農業技術普及部門は︑食糧・油脂作物お
よび綿花の栽培技術指導を通じて一定の役割を果たしてい
るが︑生鮮果実︑畜産︑野菜等高収益農業部門に対して技
術指導ができていない︒これに対して︑鎮江農科所は︑イ
チゴ︑ブドウ︑モモ︑ナシ︑カキ︑イチジクおよび有機米
等のいわゆる高収益農業部門で新品種・新技術の導入・開
発およびその指導・普及を行うことができる研究者を数多
く有している︒そのため︑村は︑大多数の村民の利益にな
る持続的農業経営を推進するために鎮江農科所のような献
身的な技術支援・経営指導機関と緊密な協力関係を結ぶ必
要がある︒
㈲地域リーダーは必ず存在する
これといった大規模農家や農産物・食品加工(輸出)企
業がない村にも実は多くの人材が存在している︒大多数の
村民の利益になるような持続的農業経営の政策︑方針が展
開されると︑村内から積極的にそれを推進するリーダー的
な人物が現れる︒その多くは元生産隊長︑村の技術普及
員︑他産業経験者である︒村民の中で協同組織化への機運 が高まると︑このようなリーダーを核に組合を設立する可
能性が大きい︒村の既存組織は︑このような人材の台頭に
気づき︑技術支援・経営指導機関とタイアップして研修や
先進地視察等を通じて協同組織化のリーダーとして育成す
る必要がある︒
㈲既存組織と協同組織の役割分担と協力
農民協同経済組織の育成段階では︑党支部や村民委員会
のような村の既存組織の役割が極めて大きい︒戴荘村では
有機農業組合を設立できた背景の一つとして村の既存組織
からの強いサポートが上げられる︒逆に村の既存組織から
協力が得られない場合では︑農民の協同組織がなかなか育
たないケースが非常に多いことも確認された︒
そして農民協同経済組織の運営が軌道に乗ると︑村域に
新たな組織が出現することになる︒村民の利益になるよう
に努めることについては村の既存組織も農民協同経済組織
も共通しているが︑役割分担の明確化と協力関係の構築が
必要不可欠である︒既存の党組織と村民委員会は公益サー
ビス等村の全般の生活の対内的な仕事を扱い︑農民協同経
済組織は対外的な経済活動で所得を獲得するという具体的
な役割があるのである︒両者は補完こそすれ︑両者の間に
対立関係ができると︑決して村民の利益にはならない︒
誰が 中国農業を担 うべ きか 119
四 農 民 協 同 経 済 組 織 発 展 段 階 の 農 産 物 ・ 食 品 加 工 (輸 出 ) 企 業 ・ 農 民 経 記 人 と の 関 係
ω一般的な農産物販売主体
本計画の目標は︑農業を主とする農家の所得を最大限に
向上させることである︒そのために︑生産分野においては
句容市の産地特性に基づく販売品目の選定と生産等農業生
産構造調整を行うとともに︑販売力の強化を図る必要があ
る︒
現状では句容市農家の大多数を占める小規模・零細農家
は︑農産物の生産主体を担っているものの︑販売力は極め
ムお て弱い︒これは︑多品目型の自給的生産を行う小規模・零
細農家に限らず︑主に販売目的として高収益部門を経営し
ている大規模農家にも共通している︒農家のヒヤリング調
査でも行政村のアンケート調査でも明らかになったよう
に︑句容市産の農産物の販売はほとんど﹁農民経記人﹂
ムふ (産地商人)の手に委ねられている︒情報量不足や個別販
売等により買付量や価格形成の主導権は農民経記人に握ら
れている︒個別農家は︑農民経記人の介在で一定の販路を
得ることができるものの︑手取り所得を最大化することは
到底望めない︒個人利益の最大化を追求する一般の農民経
記人が他の農家と利益共同体を組むことがありえないから
である︒これは農産物の買付けをしている農産物・食品加 工(輸出)企業にも同様である︒
②合理的な利益分配関係の構築
原理的にいえば︑農家と農産物・食品加工(輸出)企
業・農民経記人は利益共同体を組むことができない︒とは
いうものの︑農家と農産物・食品加工(輸出)企業・農民
経記人との間に協力関係が結ばれる可能性が存在してい
る︒現段階では︑農民経記人・農産物・食品加工(輸出)
企業の存在を活用しつつ将来的には農民協同経済組織の確
立を通じて農家と農産物・食品加工(輸出)企業・農民経
記人との共同利益分配関係を構築していくべきである︒句
容の事例をみると︑農産物・食品加工(輸出)企業・農民
経記人・大規模農家・小零細農家のそれぞれからそれを可
能にする二ーズが出ている︒
農民経記人・大規模農家は︑出荷規模の形成︑出荷量の
安定化︑農産物・食品加工(輸出)企業は︑安定価格︑安
定量の加工原料をそれぞれ求めている︒これに対して︑小
規模・零細農家は︑販路の安定化︑価格の安定化を求める
と同時に︑栽培技術の取得や市場情報の獲得を望んでい
る︒このように両者の共通しているニーズをベースに︑協
力関係を結ぶ可能性が確実に存在している︒ただし︑個別
農家と農産物・食品加工(輸出)企業・農民経記人が直接
交渉すると双方にとっても不利益が発生する可能性があ
る︒個別農家にとっては情報不足や供給量の過小等により
120
交渉力が弱い︒一方︑農産物・食品加工(輸出)企業・農
民経記人にとっては品質のばらつきや買付量過小等により
コスト高や原料供給の不安定さが生じる︒この問題を解決
するためにも︑個別農家が協力して協同経済組織を作り︑
その組織を通じて農産物・食品加工(輸出)企業・農民経
記人との合理的な利益分配関係を結ぶことが必要なのであ
る︒
③農民経記人の位置づけと農民協同経済組織
現状では︑大部分の村において農民経記人が農産物販売
の主体を担っている︒その条件の下でも︑少しでも全般的
農家所得向上に有利になるように︑農民経記人の登録制度
や農民経記人の自律組織を創設すべきであろう︒つまり農
民経記人の存在をプラス的に生かすために農民経記人と個
別農家の農産物売買関係に一定のルールを整備することで
ある︒さらに農民協同経済組織が進む段階では︑その販売
部内への吸収という形で農民経記人の協力を得ることも考
えられよう︒
句容市農村の実態調査によると︑農民経記人は純粋の産
地商人の場合とその品目の大規模生産者が経記人を兼ねて
いる場合の二種類に分けられる︒後者は︑特定品目の大規
模生産を行いつつ周辺農家の生産物を買付けしたり︑販売
を代行したりしている︒句容市農村のブドウ合作社(協
会)︑イチゴ合作社(協会)等の事例をみると︑特に産地 商人の役も兼ねた特定品目の大規模農家を核とする農民専
門組織が現実に存在している︒しかし︑そのような大規模
農家を核とする農民専門組織であるゆえに︑大規模農家個
人の販売能力に過剰に依存し︑その他の参加者は共同運営
者としての自覚が極めて希薄である︒個別販売より有利販
売が実現できないと︑組織自体がたちまち崩壊の危機に直
面することになる︒
農民専門組織の立ち上げ段階においては︑核とする大規
模農家の奉仕精神︑一般農家の共同運営者としての自覚性
および有利販売の実現が特に要求されているのである︒つ
まり小規模・零細農家も主人公の意識を持って運営に参加
するような農民専門組織の構築を推進しなければならな
い︒そのため︑組合原則の周知︑模範定款の制定︑有利販
売を実現するための出荷施設の整備に取り組む必要があ
る︒行政としては様々な支援を行う中で︑前にも触れたよ
うに共同販売のためのハードウェア整備に対する支援制度
を設けることが望まれる︒個別販売より有利な共同販売が
安定して実現されると農民専門組織の運営ははじめて軌道
に乗ることができる︒大規模生産者個人の能力にだけ依拠
しない販売体制の実現である︒
これまでに︑小規模・零細農家は︑農産物の生産を担っ
ているものの︑その生産物を直に消費者に届けることには
ほとんど関与していない︒そのため︑消費者のニーズや生
誰が 中国農 業を担 うべ きか
121
の声を捉えることができていない︒農民専門組織の運営特
にその販売に携わると︑消費者のニーズや市場動向に敏感
になり︑それに答えるように主体性を持って構造調整や経
営改善に取り組むことが可能になる︒このような仕組みが
形成されると︑一種の好循環が生まれる︒これは︑行政等
に指図されて受身的に構造調整をするよりははるかに効果
が高まると思われる︒それゆえに小規模・零細農家は生産
だけではなく︑消費者に届ける販売まで︑他人任せではな
く︑自ら責任を持って行う必要がある︒そしてこの効果が
最も発揮されるのが農民協同経済組織である︒
五 農 民 協 同 経 済 組 織 の 村 域 ︑ 鎮 域 ︑ 市 域 へ の 発 展
句容市全域を一つのまとまりある総合産地として育てる
ために︑市内各地域・村の特性に基づく販売品目の選定と
生産を確立すると同時に︑地域間の連携によって周年生産
販売システムを形成することも不可欠である︒それを支え
るのは句容市域の農民協同経済組織連合になろう︒
産地づくりの主体は︑農業従事の農家であり︑分散して
いる農家が村域農民協同経済組織を作り主体としての役割
を担う︒
産地づくりの組織基盤は︑そのような各々の村域農民協 同経済組織である︒まず︑天王鎮戴荘村のような重点村を
モデルとして農業組合を試験する︒そして各鎮の重点村に
一︑二のモデルを設けるまで徐々に試験範囲を拡大し︑最
終的にかなりの村に普及させる︒こうして村域農民協同経
済組織が徐々に整備された上で︑鎮域の連合経済組織を設
立し︑共同販売︑加工等の経営を展開し︑共同施設を整備
し︑様々なサービスを提供する︒さらに条件が整った段階
で︑句容市域の連合経済組織を設立し︑句容農業の全体的
な力を強化し︑句容ならではの総合産地を形成する︒これ
を通じて句容の農業経済を全面的に振興させ︑社会主義新
農村を建設し︑農業︑農村の近代化および農民の豊かで幸
せな生活を実現する︒
将来このような展開が十分考えられる︒これを視野に入
れた上でまず重点村において村域農民協同経済組織の確立
を目指すことが求められよう︒
注
︿1>中国政府は毎年﹁一号文件﹂という政策文書でその年
の最重要政策課題を取り上げることにしている︒そのコ
号文件﹂は︑二〇〇四年から三年連続農業問題を取り上げ
た︒文書のタイトルはそれぞれ次の通りである︒
二〇〇四年﹁中共中央国務院の農民所得向上を促進する
いくつかの政策に関する意見﹂
122
二〇〇五年﹁中共中央国務院の農村工作をさらに強化し
農業の総合生産能力を向上させるいくつかの政策に関
する意見﹂
二〇〇六年﹁中共中央国務院の社会主義新農村建設の推
進に関するいくつかの意見﹂
このタイトルを見る限り︑三つの政策文書はそれぞれ農
民問題︑農業問題および農村問題に焦点を当てているとい
える︒そこから中国政府の﹁三農問題﹂認識が現れている
とみられる︒詳細については張安明﹁均衡発展を目指す中
国の農業・農村・農民政策の課題‑中央政府﹁一号文
件﹂より﹂﹃のびゆく農業﹄九六〇︑㈲農政調査委員会︑
二〇〇五を参照されたい︒
︿2>二〇〇五年六月に㈹農山漁村文化協会(農文協)と中
国江蘇省鎮江市︑句容市は共同で﹁句容市農業農村経済発
展戦略計画﹂(句容計画)を作成する事業を立ち上げた︒
句容市は︑鎮江市管内の一つの県級市(県レベルの市)で
ある︒当計画はすでに二〇〇六年八月に完成し︑近く農文
協から刊行される︒
︿3>﹃人民日報﹄一九九五年一二月=日︒
︿4>現在︑中国政府は農業産業化を推進するために固定資
産︑売上額および関係農家数等の指標に基づいて重点竜頭
企業の認定を行い︑認定重点竜頭企業に対して支援策を講
じている︒そして地方政府も地方レベルの重点竜頭企業を
認定している︒中国農業部によると︒二〇〇四年末現在︑
国認定と各省認定の重点竜頭企業数はそれぞれ五八二社と 二七〇〇社に達した︒認定重点竜頭企業のリストをみる
と︑農産物・食品加工(輸出)企業は大多数を占めてい
る︒中華人民共和国農業部﹃二〇〇五中国農業発展報告﹄
中国農業出版社︑二〇〇五年︑四九頁︒
︿5>﹁公司+農場+農業工人竜大演繹農業産業化経営
新模式﹂﹃人民日報﹄二〇〇二年一二月九日︒﹁慈渓着力提
高農産品出口競争力﹂﹃平陽農網﹄二〇〇二年一二月一六
日︒
︿6>﹁浅談農業生産変革方式的構造及其対策﹂﹃寧波農村経
済﹄二〇〇五年第四期︒﹁陳楼鎮"三農楽章"﹂﹃徐州
市郵州興農信息網﹄二〇〇六年六月五日︒
︿7>中国では︑従来の郷鎮段階の農業技術普及組織は予算
削減や新規作物への指導力不足等によりほとんど機能して
いない︒これに対して︑契約栽培の対象作物について自社
の技術者を使って農家に指導を行う竜頭企業もある︒
︿8>農業部の統計によると︑契約栽培を実施している一万
六九四八社の竜頭企業のうち︑最低保護価格で買付けする
約束を果たしていない企業は三八%に上っている︒董軍﹁合同農業的運行機制及績効﹂漸江大学中国農村発展研究
院﹃農産品供応鍵管理高級培訓班資料匪編﹄二〇〇六年
五月︑八九頁︒
︿9>劉登高﹁着力孤好農民専業合作組織示範工作﹂﹃中国
農経信息網﹄二〇〇六年五月一五日︒
︿10>﹁如何看待農村"三八六一九九"部隊﹂﹃河南日報﹄二
〇〇六年七月五日︒
誰が 中国農業を担 うべ きか
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