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クロマトグラフィーを用いたプラスチック添加剤の 定量分析

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

クロマトグラフィーを用いたプラスチック添加剤の 定量分析

著者 松山 重倫

学位名 博士(工学)

学位授与番号 13903甲第1005号 学位授与年月日 2015‑03‑31

URL http://doi.org/10.20602/00003155

(2)

学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

論文審査委員

マツヤマ シゲトモ

松山 重倫

博士(工学)

博第1005号

平成27年3月31日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

クロマトグラフィーを用いたプラスチック添加剤の定量分析

(Qual]titative ana▲ysis of plastic and poly茎ner additives by using chromato9ぎaphy)

主 査  教 授

准教授 准教授 准教授

大 谷 北 川 高 田 石 田

慎 也 主 岳

康 行(中部大学)

論文内容の要旨

 プラスチソクの耐久性向上,物性改変などを目的として大娃のプラスチック添加剤が用 いられてきた.これらの物質は様々な形で環境中に排出されて人体や生態系への影響が懸 念されるようになった.欧州では2006年にRoHS指令(Directive on the restriction of the

USe OfCertain h.aZardOUS SUbStanCeS in eleCtriCal and eleCtrOniC eqUipment)が施行され,

〜部の並金屈と難燃剤の使用が制限された.さらに2013年の改正でそれまで規制対象外で あった,一部の臭素系難燃剤と可塑剤であるフタル酸エステルの一部を規制対象に含める かどうかを検討することが明記された.RoHS指令で規制されている添加剤に関しては,

測定機関ごとに定硅分析結果が異なることが,しばしば報告されており,その原因の解明 が必要である.また,プラスチック添加剤の分析値の信頼性を向上させるためには,異な る測定法を用いて得られた結果を比較することが望ましいため,新たな分析法の開発が重 要である.また,本論文はこうした背景のもとで行った,クロマトグラフィーを用いた,

RoHS指令の規制(候補)プラスチック添加剤の定量分析に関する一連の研究成果をまとめ たものであり,以下の各章から構成されている.

 第1章は序論であり,本研究の背景と目的にっいて述べた.

 第2章では規制対象である臭素系難燃剤の一種デカブロモジフェニルエーテル(DBDE)

(3)

の含有濃度が認証されている認証標準物質NMIJ CRM 8110・a(臭素系難燃剤含有ポリスチ レン(高濃度))に対してガスクロマトグラフィー一質量分析を行い,測定結果が認証値と大 きくずれる原因を調べた.標準物質からDBDEを単離した溶液に含まれる不純物の同定と 定量を行った.不純物を添加したテスト溶液による実験から,測定結果が認証値と大きく ずれる原因がプラスチック中に含まれるパラフィンであることを見いだした.プラスチッ

ク中から抽出したDBDEをGC・MSで分析する場合,サイズ排除クロマトグラフィーなど によってパラフィンを取り除く操作が重要であることを示した.

 第3章では臭素系難燃剤の新たな検出方法として荷電化粒子検出器(コロナCAD)を検出 器に用いる液体クロマトグラフィー分析に着目した.コロナCADは不揮発性物質であれば 化学構造によらずに検出でき,その検出感度は物質によらずほぼ一定であることが報告さ れてきた.しかし,密度の異なる臭素系難燃剤を分析した結果,検出感度は検出対象物質 密度の(・2/3)乗にほぼ比例し,その検量線は濃度の2/3乗に比例していることを実証した.

この結果から,コロナCADの検出強度は装置中で生成される測定対象物質の微粒子表面積 に比例していることを解明した.

 第4章ではコロナCADが半揮発性物質に対して利用できるかどうかを調べた.半揮発性 物質としてプラスチックの可塑剤であるフタル酸エステルを用いた.コロナCADの検出強 度はフタル酸エステルの蒸気圧が低いほど高いことが判明した.さらに移動相の組成を変 化させて分析した場合,検出強度は移動相の組成変化とともに単調増加・あるいは単調減 少をするだけでなく,極大や極小をとる場合があることを見いだした.この検比憾度の変 動は既に報告されている経験式から求められる検出感度の変動と挙動が一致していること が判明した.その結果,移動相組成が変化した場合,その検出感度が変動するためにコロ ナCADの検出強度が変動することを解明した.

 第5章ではRoHS指令の規制(候補)物質を定量分析において,信頼性を確保した測定法を 確立したことについての総括を行うとともに,未解決の開題、および今後の展望について

述べた.

(4)

論文審査結果の要旨

 プラスチックの耐久性向上,物性改変などを目的として大量のプラスチック添加 剤が用いられてきた.これらの物質は様々な形で環境中に排出されて,人体や生態 系への影響が懸念されるようになった.欧州では2006年に,RoHS指令(Direct輌ve on

the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and e▲ectronic

equipment)が施行され,一部の重金属と難燃剤の使用が制限された.さらに2013 年の改正でそれまで規制対象外であった,一部の臭素系難燃剤と可塑剤であるフタ ル酸エステルの一部を,規制対象に含めるかどうかを検討することが明記された.

RoHS指令で規制されている添加剤に関しては,測定機関ごとに定量分析結果が異 なることがしばしば報告されており,その原因の解明が必要である.また,プラス チック添加剤の分析値の信頼性を向上させるためには,異なる測定法を用いて得ら れた結果を比較することが望ましいため,新たな分析法の開発が重要である.本論 文はこうした背景のもとで行った,RoHS指令の規制対象(候補)プラスチック添加 剤の,クロマトグラフィーを用いた定量分析に関する一連の研究成果をまとめたも のである.

 まず,代表的な臭素系難燃剤で,RoHS指令規制対象であるデカブロモジフェニ ルエーテル(DBDE)の含有濃度が認証されている認証標準物質について,ガスクロ マトグラフィー一質量分析測定を行うと,しばしば測定結果が認証値と大きくずれ るが,その原因は主としてプラスチック中に含まれるパラフィンであることを見い

だした.

 っついて,臭素系難燃剤の分析方法として,荷電化粒子検出器(コロナCAD)を検 出器に用いる液体クロマトグラフィーに着目した.コロナCADは不揮発性物質で あれば,その検出感度は物質によらずほぼ一定であることが報告されてきた.しか し,密度の異なる臭素系難燃剤を分析した結果,検出感度は検出対象物質密度の

(−2/3)乗にほぼ比例し,その検量線は濃度の2/3乗に比例していることを実証した.

この結果から,コロナCADの検出強度は,装置中で生成される測定対象物質の微 粒子表面積に比例していることを解明した.

 さらに,コロナCADが半揮発性物質に対して利用できるかどうかを調べた.こ こでは半揮発性物質として,RoHS指令規制対象(候補)で,可塑剤としてしば しば用いられているフタル酸エステルを用いた.コロナCADの検出強度は,フタ ル酸エステルの蒸気圧が低いほど高いことが判明した.さらに移動相の組成を変化

させて分析した場合,検出強度は移動相の組成変化とともに単調増加・あるいは単 調減少をするだけでなく,極値をとる場合があることを見いだした.この検出感度 の変動は,既に報告されている経験式から求められる感度の変動と挙動が一致して いることが判明した.その結果,移動相組成が変化した場合,その検出感度が変動 するためにコロナCADの検出強度が変動することを解明した.

 このように,申請者は,環境保全の観点から,クロマトグラフィーを用いた規制 対象プラスチック添加剤の定量分析における重要な成果を得ている.以上のことよ

り,本論文は博士(工学)の学位論文として受理するに値するものと判定した.

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