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中学校数学教科書にみる「よい問題」の研究

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(1)

中学校数学教科書にみる「よい問題」の研究

著者 重松 敬一, 日野 圭子, 牧野 浩

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

48

1

ページ 21‑35

発行年 1999‑11‑10

その他のタイトル Research on 'Better Problem' in Mathematics Textbook of Junior High School

URL http://hdl.handle.net/10105/1457

(2)

Bull. Nara Univ. Educ.,Vol.48, No.HCult. &Soc), 1999

中学校数学教科書にみる「よい問題」の研究

重 松 敬 一・日 野 圭 子 (奈良教育大学数学教育学教室)

牧 野   浩 (奈良教育大学大学院数学教育専攻)

(平成11年4月30日受理)

キーワード: 中学数学教科書、よい問題

1.は じ め に

最近、 「算数・数学嫌い」ということをよく耳にする。

実際、生徒たちに数学についての意識を尋ねてみても、

数学に対して好意的な見方をしている生徒はほとんどい ない。生徒の意識として、数学が生活で大切であると思 わない生徒も少なくないようである。 (国立教育研究所,

1997")

生徒たちの数学に対する意識の改善を図るために、通 常の授業を見直すことも重要な点ではあるが、ここでは 生徒たちが最も触れる機会が多い教科書の問題に着目し た。教科書にある問題は、様々な場面で提示されている。

導入時のものであったり、単元のまとめ、あるいは、章 のまとめの問題といった具合にその場面はいろいろであ

るO

"問題'つま、授業中や家庭学習の時間に解決されてい く。その解決過程において生徒たちが数学的な見方や考 え方のよさを知ることができれば、数学に魅力を感じる ことが多くなると思われる。したがって"問題''を通じ て生徒たちの数学に対する意識も好意的なものに変化し ていくと考える。

本研究では、生徒たちが望ましい数学的活動をする問 題を「よい問題」として捉えているO そして、筆者らの 考える目的に沿った「よい問題」を教科書から選択する。

また、それらの問題にはどのような特徴があるのかを明 らかにしていく。

2.問題について 2.1.問題の種類

G. Polya (1975)は数学の問題を「決定問題」2'と

「証明問題」31の2つに大別した。しかし、龍田はこれ

ら決定問題・証明問題にあてはまらない問題として「オー プンエンドな問題」4)を考えることができるとしている。

そこで筆者らも、数学の問題は少なくとも以下の3つの 種類に分けることができると考える。

・決定問題:未知のものをみつける問題

・証明問題:ある命題が正しいか正しくないかを示す問

・オープンエンドな問題:

正答がいく通りにも可能になるように条件 付けた問題など

2.2.数学的活動について

数学的な見方や考え方のよさを知るためには、数学の 学習「活動」が望ましいものでなければならない。その、

数学的活動について島田(1995)は次のように述べてい WM

「既成の数学の理論を理解しようとして考えたり、数 学の問題を解こうとして考えたり、あるいは新しい理論 をまとめようとして考えたり、数学を何かに応用して、

数学外の問題を解決しようとしたりする、数学に関係し た思考活動を一括して数学的活動と呼ぶことにして‑

(後略)」

この数学的活動をモデル化したものが資料1である。

また、本研究においてもこれを数学的活動として捉え、

数学的活動を通して数学的な見方や考え方が育成される と捉えることにする。

2.3.数学的活動と問題

数学的活動と問題の関連においても、島田は数学的活

(3)

動の出発点を問題として考えている。そして、問題を解 決する際には数学的活動が行われるとしている。

本研究においても、問題とは数学的活動を促す手段で あり、数学的活動を考えるときには必要不可欠なものと

して捉えることにする。

3.よい問題について

数学的活動とは問題を解決する際によくみられるもの である。そして、数学的な見方や考え方の育成や数学的 な知識の習得を考えたとき、望ましい数学的活動が行わ れることが重要であると考える。そして、望ましい数学 的活動を促すことのできるよい問題を提示することが大 切になってくる。以下では、数学的活動が喚起・促進さ れるような問題を「よい問題」とLて考えてみたい。

3.1. 「よい問題」の目的

本研究では「よい問題」のもっ特徴を3つの数学力の 育成の観点から捉えることにしたい。

①.筋道立てて考える力の育成

②.一般化する力の育成

(乱 日常生活に活用する力の育成

この3つの関係を、以下のようなモデルで捉えている。

活用する力

一般化する力

筋道立てて考える力

・筋道立てて考える力の育成

数学に限らず日常生活において筋道立てて考える力は 大切な力であり、資料1の数学的活動においても、モデ ルのようにフロ‑チャートに沿って活動することに基本 的なものといえる。

・一般化する力の育成

数学的活動にみられる一般化は、結論を一般理論とし てまとめたり、アルゴuズムの開発を行うときに行われ る。すなわち、数学的活動の最終段階という重要な場面 で用いられるのである。

・日常生活に活用する力の育成

数学の大切さを知るためには、数学が日常生活の中に も存在し非常に有効なものであることを認識することが 大切である。そのために、生徒にとって現実感があるよ

うな内容を扱えば、数学の学習に興味・関心がでてくる だけでなく、そこで学んだ内容を日常の生活で活用しよ うと工夫する力が育っ。日常の事象を数学的な見方でみ ることによって、いっもとは違った側面に気づき、また、

そのような工夫をしていくことにより、数学のよさを感 じとることができる。

数学的活動の定義の中にも「‑・数学を何かに応用して、

数学外の問題を解決しようとしたりする・・・」とあるよう に、日常に活用することを重要な点であると捉えられて いる。

以上に述べた3つの点が、木研究における「よい問題」

の特徴と考える。

3.2.先行研究に見るよい問題の特徴

よい問題の特徴について多くの先行研究がある。それ ぞれの先行研究に挙げる問題の特徴が資料2である。こ れらにはいくつかの共通性をみることができる。 (表1) 先行研究から、分類する項目として以下の7つが挙げら れる。

a異体的な場面 ‑ 問題の設定場面が具体的なもので あったり、日常から数理化された

もの

b興味 ‑ 生徒たちが問題に興味・関心を示し、意欲 的に取り組むもの

c数学的な見方や考え方 ‑ 数学的な見方や考え方を 伸ばしうるもの

d数学的に意味のある内容 ‑ 数学的に意味のある内 容を含んでいるもの e発展性 ‑ 解決過程や解決後に発展の可能性のある

もの

f多様な考え方・解決 ‑ 解決の際、多様・多面的な 解決方法があり解決ができ るもの。 (さまざまなレベ ルで解決できる、能力に応 じて解決できる、という条 件もこれに含むことにする) g既習内容 ‑ 既習の知識との関連があるもの

先行研究にみるよい問題について主張する点がさまざ まであるが、筆者らは3つの特徴(表2)に整理したも のである。

(4)

表1 先行研究にみるよい問題の特徴

a b C d e f g

古 藤 6ー Lm

C ○ ; A

f l

〇 一〇

】 ○ ○

I', rf,,i

○ 〜○ ; ○ 1

小 高 8} I

○ 】 ○ ○ 一

〇 N elso n & I

K ilp a tric " ○ il ○ ○ I ○ ○ K ru lik &

R u d n ick 10' (⊃ ○ ; ○ ー 】

I ‑ li 矢 部 11)

…○ C 〕 ⊂) ○ ○ ○

滋 賀 県 12、 l 1

○ ○ 一 日

O E

⊂) I

該 当個 数

A 4 4 3 :

3 5 !

〜 7 ‑ ‑

5 ‑ i

表2 先行研究にみる3つの特徴

関 え ー 連 る

)

場 にな活 面 活

7 古藤 L

片桐 Pi

1

小高 J i

N elson&

K ilpatn c

[ 1 K rulik& i

R udm ck i

矢部

i i

⊂)

I

I

I

"ー旦 」 ここで、先行研究との関連を述べてみたい。

既習事項との関連を示しているもの、解決の方略につ いて示しているものは、 「筋道立てて考える力」を基本

とすると考えられる。

また、異体的・現実的な場面について示しているもの は、 「日常生活に活用する力」にあてはめて考えた。

このようにみると、庄)や③に比べて②の「一般化する 力」にあてはまる先行研究が少ないことがわかる。これ は、先行研究において、 「一般化」を数学的な見方や考 え方に含めて捉えているからだと考える。しかし、数学 的な見方や考え方という大きな枠で捉えてしまうと、あ まりにも特徴が漠然としたものになってしまう。また、

数学的な見方や考え方の中でも「一般化」は非常に強調 したい点でもある。なぜならば、島田も数学的活動の最 終場面という重要な場面に用いられる考え方として挙げ ている。また、中学校数学においても2次方程式の解の 公式のように、一般化の考え方は非常に有用である。し たがって、ここでは、あえて「数学的な見方や考え方」

としてでなく、 「一般化する力」を特徴として挙げてお くことにする。

3.3. 「よい問題」のもつ数学力育成のパターン 先に示したモデルを用いると、 「よい問題」がこれら 3つの特徴を持っとき、次の4パターンが考えられる。

これらのうち筆者らが特に強調したいパターンは「① +②」のパターンと「①+②+③」のパターンである。

なぜなら、本研究における目的の中で最も重視したいの

i

① ①+② ①+②+③ ①+③

が「②一般化する力」である。すなわち、この目的を達 成しようと思えば、必然的に①の目的を考慮しなければ ならないo Lたがって、②が含まれているこれら2バク‑

ンについて強調したいと考える。だからといって③が、

全く必要のないものであるとは考えていない。これは注 意してほしい点である。このような考え方に基づき、以 上の2パターンを強調したいのである。

4.教科書にみられる「よい問題」

この章では「よい問題」の3つの特徴をもつ問題を、

教科書から選択することにした。教科書に着目したのは、

生徒たちの触れる機会が最も多いと考えたからである。

他にも、問題集や参考書などの様々な問題が考えられる が、ここでは中学校の教科書に限定して考察を進めてい

くことにする。

現行教科書会社の1‑3学年の教科書(6社、合計18 個)の中から、本研究における「よい問題」の3つの目 的に見合う問題を合計262問選択、分類した.その一例 が資料3に示したものである。これらをもとに分析し、

教科書にみられる「よい問題」とはどのような問題なの

(5)

かを探りたい。

資料3のような分類を262問に対して行い、次のよう な分析を行った。

4.1.パターンからみる「よい問題」

本研究における「よい問題」の特徴については先述し たが、ここではその特徴から問題がどのように該当して いるのかを考察する。

まず、目的に選択した問題がどのように該当するのか を示したのが以下の集計表(表3)である。

表3 教科書にみるよい問題の分類

① ① + ② ① + ③ ㊨ + ② + ③ 合計

A 社 17 26 7 0 50

ーB 社 13 31 5 5 L 54

C 社 13 23 9 3 48

…D 社 9 17 8 り

.. . 36

…E 杜 t 9 18 7 1 35

F 杜 7 19 8 0 34

合 計 68 134 44 l l 2 57

ここで、列項目は以下のような内容を示す。

QIj: 「筋道立てて考える」だけに○がつく

①+②.I 「筋道立てて考えるIjj」と「一般化する力」に

○がっく

㊨+③: 「筋道立てて考える力」と「日常生活に活用す る力」に○がつく

㊨+②+③: 「筋道立てて考える」と「一般化する力」

と「日常生活に活用する力」に○がっく この集計から、 ㊨+② (筋道立てて考える力+一般化す る力)が半数以上を占め、非常に多いことがうかがえる。

次に多いのが① (筋道立てて考える力)のみのもので、

全体の4分の1である。

以下ではこれらの問題を一つ一つがどのような問題な のかを探りながらみていきたい。特に、筆者らが強調し たい2パターンにあてはまる問題を中心にみていくこと にする。

<〔彰+②のパターン>

まず、一番多かったのが、結果がはじめからわかって いるルーチン化された問題で、全体の約48%を占めてい た。問題文の中に結果が提示してあり、それについて説 明したり、証明したり、あるいはその結果を発展させて 扱う、といった問題である。多くの問題は、結果は最後 にでてくるもので、はじめから提示されていることはな い。すなわち、結果を求めることに目的があると考えら れる。しかしながら、この特徴の問題は結果をはじめに

提示し、その結果に至るまでの過程や考え方を探らせた り、説明させたりするのである。また、その過程や考え 方をもとに問題を発展させていくのである。したがって、

この特徴の問題の目的は結果を求めるのではなく、結果 に至る過程・考え方を知ったり、それらをもとに問題を 発展的に考察することが目的であると考えられる。最初 に提示されていた結果へと導いていく過程においてそこ に示されている結果がどんな場合でもいえることなのか、

そうでないのかなどについても考慮しなければならない。

これは、一般化する力の育成につながるものではないだ ろうか。

次に多くみられたのが、具体物を扱った問題で、これ は約15%を占めている。マッチ棒や、ストロー、石、カ レンダーといった生徒たちの身近なものを使った問題で あるO はじめは、小さい数から考えて、最終的に一般‑

と考察を広げていくというケースが多い。そのときに、

生徒たちが取り組みやすいように具体物を扱っていると 考えることができるO また、問題を理解しやすくするた めに具体物を扱っているとも考えられる。そして、 [二の 一般へ広げていくことと重複する内容であるがこれらの 問題のもう一つの特徴が、生徒たちが自分でそこにある 法則を発見するという設定が多かったということである。

はじめから「nをっかって‑」と一般形を誘導してくれ ているものもあれば、完全に自分の力で導きだすものも ある。

最後に、同じくらいの割合であったのが、 「ゲーム性、

クイズ性のある問題」と「公式(定理)を導いたり、使っ たりする問題」である。ゲーム性、クイズ性のある問題 では、上の貝体物を扱った問題の時と同じく、ゲ‑ム等 に参加し、それを数理化Lて一般形へと考察を広げてい

く、といった問題である。

また、公式を導いたり使ったりする問題も、はじめに 貝体数を扱い、一般形へと発展させるパターンが多かっ た。

以上、大きく4つの特徴をみたが、これらは全く別の ものとして存在しているのではなく、相互に関連し合っ ている問題もある。 Lかし、これらの特徴のパターンは 異なったものとみたい。一番多くみられた「結果がはじ めに提示されている問題」は要求しているものが異なる、

といった内容面に関しての特徴を表しているのに対して、

他の3つば問題の提示方法に関するものである。これら 4つの特徴を持っ問題をみると、提示方法を2つ以上持っ ている問題はあまり見られない。しかし、 「結果がはじ めに提示されている問題」と3つのうちどれかの提示方 法の両方を持っている問題は多いO

<①+②+③のパターン>

このパターンにあてはまる問題は計11問みられる。こ れらの問題にも共通する特徴がみられる。それは、どの

(6)

問題も問題場面の設定として身近な場面を用いている、

ということである。実生活の場面を数学の世界へ適用 (公理化)し、さらに数学の世界で得られた理論を日常 生活に活用する、ということを考えると身近な場面を問 題場面として設定しておくことが条件となるからであろ う。この活動こそ数学的活動そのものになっている。

また、計算などが要領よく解決できることを示した問 題もみられた。こうした問題を通して、授業中だけでな く日常にも数学が有用であることがわかりやすくなり、

問題解決から得た知識を生活場面で使うことができるよ うになると思われる。

<(事のみのパターン>

このパターンにあてはまる問題には、学習した内容の 復習とその応用をかねた問題が多くみられる。内容的に も、少し高度なものが多い。

<(事+③のパターン>

①のみのバク‑ンの内容で、問題場面が身近な場面で ある。

以上より、筆者らが考える「よい問題」のみたす条件 とは以下の3つである。

筋道立てて考える力を育成することへと導く問題 何らかの数学的な内容が含まれている

これは、 ③を含むすべてのパターンの問題からいえ ることである。これらの問題は、数学の世界だけで 終わっているケースが多い。

一般化する力を育成することへ導く問題 結果がはじめに提示されている問題を用いる

これは、 qJ+②のパターンからいえることで、この ような問題であれば一般化する力の育成が図りやす くなると考える。さらに、提示方法の工夫が備わっ た問題を用いることで、より一般化する力の育成が 図れると考える。

日常生活に活用する力を育成することへと導く問題 問題場面が身近な場面で構成されている

@が含まれているパターンに共通していえることで ある。

4.2.問題場面からみる「よい問題」

次に選択した262問を、問題の種類を参考に分類し、

種類別の数をみていく(表4)0

ここで、各項目の説明をする。教科書会社によって問 題の呼び方が異なる場合があるが、類似するものはまと

めて分類した。表4の4つの分類は、次のような内容を もとにしている。

導入‑新しく学習する内容に関した話題。きっかけと なるもの。

学習の内容の習熟一節の途中にある、例や問。学習し た事柄の理解を深める問題。

節、章のまとめ 一節、章のまとめの問題。総合的な復 習と応用問題。

興味の湧く話題一章で学習した内容に関連した興味の 湧く問題。数学的な見方や考え方の 使い方をさらに広めていくような問 題。

表4 問題場面による分類

導 入 学習内容の習熟雁 、章のまとめ; !興味の湧 く話題

A 社 $ 2 2 5 6 1 7 !

B 社 3 2 7 9 1 5

‖C 社 3 2 5 1 7 4

E D 社 5 l 1 7 6 9

[ 轟 2 ‑ 2 0 5

日 l l

F 社 6 1 4 2 1 2

奉 [一 2 1 1 l白l8 4 5 6 8

‑! 割 合 約 8 .0 % 約4 8 .8 % 約 17 .2 % 約 2 6 .0 %

このようにみると、学習内容の習熟を目的としている 問題が全体の約半分を占めるように圧倒的に多いことが わかる。 「学習内容の習熟」にあてはまっている例、例 題、問などの問題は、きわめて困難であるといったもの ではない。学習した(している)内容をもとに、多少の困 難をともないながら解決できる問題なのである。したがっ て、すべての生徒たちが解決できることが期待できると 考える。

干 「

学習内容の 48.8%習熟

次に多いものは、全体の約4分の1を占めた、興味の湧 く話題にあてはまるものである。内容は、日常生活の中 から数理化したものがあったり、数学史にまっわる話題 であったりと内容はバラエティ豊かである。その反面、

この中には学習してきた内容を総合したような数学的に 高度なものも含まれている。

節、章のまとめにあてはまる問題は、全体の約5分の1 と少ない。 「学習内容の習熟」と重なるような問題もみ られたが、一方で、既習内容を活用し、やや高度な思考 が要求される問題もみられた。よって、これらの問題も すべての生徒たちの個人解決が可能かどうかわからない。

最後に、導入に用いられる内容の問題であるが、全体

(7)

の1割にも満たなかった。これらの中には、問題提示の 時点では解決までを要求していないが、後の問で解決を 要求するパターンがみられた。

以上みてきたように、教科書における「よい問題」には、

学習内容の習熟の場面で扱う問題が多い。また、内容的 にもあまり高度で応用的なものではなく、ある程度の困 難をともなった問題であるといえる。

4.3.文末表現からみた「よい問題」

ここでは、選択した問題の文末表現に注目してみたい。

文末表現をみると、問題の種類がはっきりとわかる。

問題の種類については、第2章で述べたが、本研究では

「決定問題」、 「証明問題」、 「オープンエンドな問題」の 3つについて考える。そのために、大きく8つの文末に 分類し、それらを3っの問題の種類にあてはめて考えた。

分類の仕方は以下の通りである。

<決定問題>

「‑を求めなさい」 ‑一つの答を求めるタイプの問題。

「計算をしなさい」という文末 表現もこれに含めている。

「・‑を表しなさい」一文字を使って表現したり、立式 したりするような問題。

「‑を確かめなさい」一正しいかどうかを判断したり するような問題。

く証明問題>

「‑を説明しなさい」 ‑ なぜそうなるのかを説明する ような問題。

「‑を証明しなさい」 ‑・なぜそうなるのかを証明する ような問題。

くオープンエンドな問題>

「一について考えてみよう」

‑ あてはまる式や条件などについて結果を求め たり、方法を探ったりいろいろと考えるよう な問題。

「どんなことがいえるか」

‑・提示されたものにどのような性質などがある かを発見するような問題。

「問題をっくりなさい」

‑結果が提示されていて、その結果になるよう な式を立式するような問題。

以上のような分類をもとに集計したのが表5である。

また、この分類をもとに3つの問題の種類(「決定問 題」、 「証明問題」、 「オープンエンドな問題」)のパーセ

ンテ‑ジを示したのが、その下のグラフである。

表5 文末表現による分類

‖ 文 末 表 現 A 社‖ B ネ C 社 D ネ E ネ F ネ 決 定

問題

i 求 め な さい

だ 20 28 2 7 ! 23 1 9 18

表 しな さ い 2 1 3 1 1 1

確 か め て み よ う 2 2 0 2 i 0 0 証 明

問題

説 明 しな さ い 6 9 9 3 [ 6 4

証 明 しな さ い 8 10 9 3 5 5

ン オ

考 えて み よ う 5 3 3 2 6 7

どん な こ とが いえ …

6 3 ‖0

3 1 1

ド ー な プ

問 ン

るか …

問 題 をつ く りな さ l

0 2 ql㌔ ‑l

0 回 0 0

題 エ い

これらをみると、決定問題の数が半数を超える。数学 の問題は「答が一つに決まる」という特性を持っ。また、

オープンエンドな問題が全体の約15i を占めているが、

これらの問題も大切な要素であると考える。生徒たちが 問題を解決する段階で、多面的に事象を捉え、そこに存 在している数学的な内容を発見していくことが、数学的 な見方や考え方を育成するうえで大切であると考えられ

る。

5.調査について

前章までに、教科書における「よい問題」の特徴を3 点、明らかにしてきた。

しかし、実際にこれらの特徴と条件をふまえた問題が

「よい問題」となるのかどうかはわからない。したがっ て、これらの特徴と条件をふまえた問題(資料4)を作 成し、生徒たちに解決してもらい、アンケートによって

「よい問題」の妥当性を検討した。

5.1.調査問題とアンケート実施について

調査問題で取り上げた内容は、中学校3年生の「円」

の単元で、円周角の定理・接弦定理を用いる内容である。

ある角度を求めるために、問題に提示している条件だけ では角度が求まらず、問題にどのような条件を付け加え

(8)

ればよいか説明させる問題である。

問題を作成するにあたり留意した点は、前述の目標及 び特徴であり、牧野が実践した問題に少し手を加えたも のとなった。 (資料4)ここで、この調査問題は、 ①+

②のパターンに属する問題であり、前述の目標及び特徴 を以トのように達成していると捉えることにする。

① 筋道立てて考える力の育成

「説明すること」が筋道立てて考える力の育成に結 びつくと考えている。

② 一般化する力の育成

問題を解決するには、 「円周角の定理」 「接弦定理」

などの円に関する性質を用いなければならないO さ らに、 ∠OBCに具体的な数値を与えていないこと によって、一般性について理解が深まると考える。

学習内容の習熟

「円周角の定理」 「接弦定理」を学習し終えてから 取り組む問題で、まとめの問題のようであるが、個々 の生徒の学習段階に応じて解答することができる。

Lたがって、 「学習内容の習熟」の問題であると考 えている。

何らかの数学的内容が含まれている

「円周角の定理」 「接弦定理」などの円に関する性質 を含んでいる内容である。

結果がはL:めに提示されている

一般的な数学の問題で求めるべき値を最初から与え ている。

アンケートは、 Ej頃、数学に対してどのように恩って いるのか、また、実施問題についての印象や良かった点・

悪かった点を答えてもらうような内容にした。

調査は、公立中学3年生1クラス(男子18名、女子15 名、計33名)に対して平成11年2月12日(金)に行った。

実施時問は10分間である。また、問題を実施Lた直後に アンケート調査を行った。

5.2.問題の解答結果と考察

不正解を含め、何らかの解答をしている解答数は合計 100間あり、 ‑人当たり平均約3問解答したことになる。

また、正解しているものはそのうち79個で、一つも正解 しなかった生徒は5人いた。,したがって、一人平均約2.

4個の正解を解答したことになる。

また、この実施問題の解答について、筆者らの求めて いる段階に達している解答もいくつかみられた。

その段階は次の2つに分かれて考えている。

(B   ただ単純に定理が使えるような条件を加えてい るもの。例えば、解答(付け足す条件)として、

単に角度だけを答えているものである。また、

角度だけを答えている場合にしても、定理が使

えるように考えて答えているわけであるから、

筋道立てて考えているといえる。

①+② ①の内容に加え、条件が「弧の比」 「辺の比」

など、より一般性が強いものo ①に比べ一般化 に向けて深く踏み込んでいると思われる条件を 加えているものである。

また、実施問題の解答結果を分類するときにも、ここ に挙げたような視点で分類することにした。

ここで、筆者らの求めている段階とは①+②の段階で ある。これは、 「よい問題」の特徴のところでも述べた が、筆者らの強調Lたい目標は「一般化する力の育成」

である。したがって、実施問題の解答に対してもその段 階((令+(塾の段階)まで要求Lたいと考えている。

このように生徒の解答を分類していくと以下のような 結果になった。以下の数字は正答数7 9個に対するもの である。

①の段階のもの: 75個(約95%)

①+②の段階のもの: 4個(約 5%)

これをみると、圧倒的に①の段階の割合が多い。これ は、普段の授業での指導が現れていると解釈できよう。

すなわち、問題に直面したときに定理を単なる道貝とし て用い解答を得る、といった技能習得型の指導によるも のと考える。しかし、生徒の数学に対する意識の改善を 目指すためには、生徒たちにもう少し踏み込んで考えさ せることが必要ではないだろうか。そうすることによっ て、生徒たちが数学の問題に南面したときに、機械的・

作業的に解いていくことが少なくなっていくものと考え る。したがって、普段の授業から一つの課題に対して各々 が充分に考えられる機会を与えることが望まれるO また、

この問題のケースに関して、授業で扱うときなどに①の 段階で終わらせずに、生徒たちが①+②の段階に踏み込 んでいけるような指導・助言が必要とされる。そうすれ ば、 「一般化する力」を育成することができると考える。

5.3.アンケートの回答結果

問題を実施Lた後に、アンケートを行ったo その内容 と結果は資料5である。

以上の結果は次のようにまとめることができる。

・回答をみると、問題の題意が読み取りづらいことを 記している生徒が多く、改善の必要性がある。

・問題の印象として、予想以上に好意的に捉えている 生徒が多い。

・説明することを困難に捉えている生徒がいた。

・答が一つでないことに不安を感じる生徒がいた。

・異体的な数で角度を出せなかったことに不満感を感じ ている生徒がいた。

(9)

・内容がよくわかるようになった、楽しかった、解く意 欲が湧いた、おもしろいなどの肯定的な考え方をして

くれている生徒が少しではあるがいた。

次に、各設問間の相関について考える。

まず、 [3]と[4]について。ここでは、数学の好き 嫌いと、得意かどうかについてたずねている。ここで、

26名(約79%)の生徒が好き嫌いと得意・不得意に関し て同傾向の回答をしているのに対し、 5名(約21%)の 生徒は、 「数学は好きだが不得意」 「数学は嫌いだが得意」

といった相反する傾向の回答をしている。 「好きだが不 得意」、 「嫌いだが得意」の数はほぼ同数程度であった。

[4]と[5]では、数学が得意かどうかと楽しいかど うかについてたずねている。ここでは、 22名(約 5.7%) の生徒が同傾向の回答をしていることに対し、 11名(約 33.3%)の生徒が違う傾向の回答をしている。この中で は、 「不得意だけど楽しい」と答える生徒の数が多いのが 目立った。このような傾向がみられることにより、授業 やその中で扱う問題を見直すことにより「数学をしてい て楽しい」と思える生徒の数が増えてくると考えられる。

[3]と[5]では、数学が好きかどうか及び数学の勉 強をしていて楽しいかどうかをたずねている。ここでは、

8名(約24.2%)の生徒が違う傾向の回答をしている。

また、 「好きだが楽しくない」 「嫌いだが楽しい」の数に 顕著な違いはみられなかった。

次に[3] ‑ [5]の各設問と[9]との相関について 考える。

[9]の設問で実施問題についての印象をたずねた。

その回答を明らかに否定的な意見と、肯定的な意見に分 けてみると、否定的な意見が8名(約24.296)、肯定的な 意見は14名(約42.4‑tOいることがわかった。また、 [3]

[5]の設問との関係をみると、 [3] ‑ [5]で肯定的 に答え、 [9]でも肯定的に答えているものは6名、逆に [9]で否定的に答えているものは4名いる。 [3] ‑ [5]

で否定的に答え、 [9]で肯定的の答えているものは5名、

[9]で否定的に答えているものは2名いた。この中で

「[3] ‑ [5]では肯定的だが[9]では否定的」の生徒 のほとんどが、 「問題が難しい」といった意見であったO また、 「[3] ‑ [5]では否定的だが[9]では肯定的」

の生徒の回答には「いろいろな解き方があることがわかっ た」や「新しいタイプの問題」といった、問題の質的な 部分に対する意見が多かった。このことから、普段数学 に対して否定的に感じている生徒に対して「よい問題」

を用いることにより、その意識の改善を図ることが可能 ではないかと考える。

最後に[11]の設問で「実施問題をすることによって 何か変化はあったか」ということをたずねた。

すると5名の生徒が「変化あり」と答えた。その内容は、

・肯:いっも1つの答しか考えないが、いくつもの解き 方ができるようになった

・否:いろんな視点から見えるようになった

・否:ちょっぴりオトナになった気分

・否: 「数学」を解いたと思った

・肯:難しい問題にも挑戦しようと思った

といった内容である。 (各意見の最初にある「肯」 「否」

は普段数学に対して肯定的に捉えているか、否定的に捉 えているかを表す。)このように少数ではあるが、普段 数学に対して捉え方がどうであっても、この問題を解決 することによって、肯定的な見方をしてくれる生徒がい ることがわかる。

6.お わリ に

本研究では、生徒たちの数学的活動が喚起・促進され るような問題を「よい問題」として考えてきた。また、

筆者らの考える「よい問題」の特徴として、数学的活動 において特に大切な部分を挙げた。この特徴から教科書 の262間を選択し、分析を行った。その結果、次のよう なことが明らかになった。

l     ( り ん

「よい問題」には、学習内容の習熟の問題が多い。

「よい問題」には、決定問題が多い。

3. 「よい問題」の特徴を達成するためには、次のよう な条件が考えられる。

・何らかの数学的な内容が含まれている問題

・結果かはじめに提示されている問題

・問題場面が身近な場面で構成されている問題 そして、これらの特徴をみたした問題を作成L、実地 調査、アンケート調査を行った。

この結果、少数ではあったが生徒たちの数学に対する 意識の変化が現れることがわかったO つまり、年徒たち が取り組む問題が、生徒たちの数学に対する意識に多少 の影響を与えるということである。このように本研究で 挙げた「よい問題」の特徴にある力を育成するときには、

以上の内容を考慮にいれた問題を扱えば、目標の達成が 図りやすくなると考えられる。また、そのような問題を 提示するだけでなく、実際の指導場面において、授業の 中で生徒たちが充分に考えることができるような支援を し、問題に深く踏み込んでいくことを生徒に意識させる ことも必要である。

最後に、生徒の意識改善を目指すためには、今回考え た内容以外にも多くの要因が考えられる。また、 「よい 問題」の特徴として3点を挙げたが、それらの目標を達 成することもより追求していかなければならない。さら

に調査問題についての修正・改善についても検討してい かなければならず、これらは今後の課題としたい点であ

る。

(10)

参考文献:

(1)国立教育研究所編, 「中学校の数学教育・理科教育 の国際比較‑第3回国際数学・理科教育調査最終報 告書」東洋館出版社, 1997

(2〕G. Polya著,柿内賢信訳「いかにして問題をとく か」,丸善, pplO8‑110, 1975

(3)前掲(2)

(4)能田仲彦「算数・数学科 オープン アプローチに よる指導の研究」東洋館出版社, 1983

(5)島田茂編著「新訂算数・数学科のオープンエンドア プローチ」東洋館出版社 ppl4‑21, 1995

( 6〕古藤怜「課題設定の在り方」中島健三編「数学的考え 方と問題解決1」金子書房, pp24‑31, 1985 (7〕片桐重男, 「新しい問題の開発とその指導」東洋館

出版社, ppl5‑17, 1975

(8)小高俊夫, 「算数数学授業の原理」東洋館出版社,

p12, 1977

( 9 〕L.D.Nelson.&.J.Kilpatric, ̀Problem Solving,in Mathmatics learning in early childhood'NCTM,

1975

(10〕S.Krulik & J.A.Rudmck,伊藤説朗訳, 「問題解 決指導‑ンド ブック」明治図書, ppl6‑35, 1985 (ll)矢部敏昭, 「新しい学力観と問題解決 一授業を変

えよう‑」明治図書, 1992

(12)滋賀県中学校教育研究会「授業ですぐ使えるよい問 題」平成9年度近畿算数・数学教育研究会奈良大会 発表資料, 1997

(11)

a.魂実の世界 a.圃複

b.数学の世界

a.数学的モデル e .数学の理論

(12)

資料2

(1)古藤怜氏「よい問題」の条件(6)

①真実感のある場面(real world)から選ばれた課題

②暫定的な(tentative)解決が可能な課題

③数学的な考え方や方略が明確な課題

④発展の可能(Potentiality)を内包する課題 (2〕片桐重男氏「よい問題」の条件̀T)

1 閉じた体系としての数学ではなく、むしろ活動としての数学、すなわち実在を数学化する過程をふませる問題 2 統合的発展的考察が子どもにとって十分可能な、いわゆる開いた問題

く課題設定の立場からみたよい問題>

①数学化や統合発展に有効な数学的な考え方を伸ばしうる問題

②既習の知識や技能を確実にし、より深める問題

③児童にとって新鮮で、興味を高め、多様な思考ができる問題

④児童の能力に応じて、種々の程度のアプローチができる問題 (3)小高俊夫氏の「よい問題」の条件′只}

①何を考えればよいのか、ねらいが明確で構成場面がrealであること

②既習内容との統合に自然さと適度の因難さがあり、できれば解決方法が多面的であること

③求められた結果に対するcheckと自己評価が可能であること (杏他の問題、または広い問題への連絡、発展の余地があること

( 4.) L.D.Nelson.&J.Kilkpatncrウ'

①問題は数学的に重要な意味をもつべきである

(⑦問題を取り出したSituationは、現実の世界の対象か、現実に似たものである

③Problem Situationが、子どもの興味をとらえるべきである

④問題は、子ども自身が素材を動かしたり、変換したり、変形したりできるべきである

⑤問題は様々なレベ′レで解決できるべきである

⑥Problem Situationは多くの物質的な具体化したものをもっているべきである (5) S.Krulik & J.A.Rudnick'10、

任)その問題に対する解決が明瞭な数学的な概念や技能を含んでいる

②その間題は様々な場面‑一般化したり拡張したりすることができる

③問題そのものが多様な解決に適している (6〕矢部敏昭氏「よい問題」の条件1111

①学習者である子どもが、その問題の解決を欲しているか、または問題の解決を必要としている問題であること

②学習者である子どもが、その問題の解決に際していまだ使えるようになっている手法を持っていない問題である

こと

③学習者である子どもが、その問題の解決に際して既習事項を生かして、何か試行しなければならない問題である

こと

④数学的に意味のある内容を含んでいる問題であること

⑤問題の解決に際して、多様な解決のアプローチを含んでいる問題であること

⑥問題の解決に際して、数学的な見方や考え方とそのよさ、さらにそれらを活用する能力を感得する態度を評価で きる問題であること

⑦問題の解決後、その問題が発展・応用へつながる問題であること (7〕滋賀県中学校教育研究会「よい問題」の条件〔12'

①生徒にとって現実感があり、貝体化してとらえることのできる問題

②個に応じて取り組むことのできる問題

③解決する過程や解決した後で、新しい疑問や課題がみえてくる問題

④具体的な生活場面から数理化ができる問題

⑤異なる『予想』を引き出すことのできる問題

⑥多様な考え方ができる問題

⑦オープンエンドな問題

(13)

資料3 E社 3年生

1 え.

2

3 宿

文末表現

P 1 8 「例題 2 」 求 めな さい 2 P 2 6 「例 2 」 計算 しよう 2 P 2 8 「例 1 」 証 明 してみよ う 3 P 2 9 「例題 1 」 表 しな さい 2 P 6 7 「例題 1 」 求 めなさい 2 P 9 2 「情報 の交換」 考えてみ ま しよう 2 P 9 7 「問 1 」 求 めなさい 2 P 9 9 「問 2 」 証 明 しな さい P i l l 「練習 問題 4 」 証 明 しな さい 1 P 1 1 5 「練習 2 」 見つ けな さい 1 P 1 2 3 「5 章 の問題 3 , 4 」 証明 しな さい 1 P 1 4 6 「例 1 」 求 めてみ よう 2 P 1 5 0 「例 1 」 C ) ○ 求 めなさい 2 P 1 7 6 「数学 の考 え方 と使い方」 証 明 しな さい 2

資料4

円に関係する角について考えよう!

今、右図における∠OBCの大きさを知りたいの ですが、この状態では∠OBCの大きさを求める

ことができないので困っています。

では、どのような条件(角の大きさ、辺の長さ等) を加えてやれば∠OBCを求めることができるで しょうか?考えられるものをすべて書いて下さい。

また、なぜその条件でよいのかということも説明 しましょう。

くこの問題は、みなさんの成績・評価には一切関係しません。自由に考えましょう。 )

(14)

資料5

[1]あなたの学年

① 1年  ② 2年  ③ 3年(33人) [2]あなたの性別

① 男(18人)   ② 女(15人) [3]あなたは、数学が好きですか。

①大好き(2人)② 好き(15人)

③ 嫌い(14人) ④ 大嫌い(2人) [4]あなたは、数学が得意ですか。

① 得意(2人)   ② 少し得意(12人)

③ 少し苦手(15人) ④ 苦手(4人)

[5]あなたは、数学の勉強をしていると楽しいですか。

① いっも楽しい(2人)

② 時々楽しい(19人〕

③ あまり楽しくない(8人)

④ 楽しくない(4人)

[6]あなたは、この1年間に勉強した数学の中では、どんな内容が楽しかったですか。

・楽しかったもの

計算(lo大)  図形(8人〕確率・統計(4人) 円(4人)など

・楽しくなかったもの

確率・統計(6人)計算(5人) 2次関数(4人)

ほとんど(4人) など

[7]あなたは、数学の問題を解いていて「数学をしている」と感じるときがありますか。

QI〕ある(23人)  ② ない(11人〕

[8]それは、どのような問題ですか。

計算(6人〕 応用問題(5人) 難しい問題だが正解できた問題(3人〕

証明(2人) 図形(2人)   たくさんの式を用いる問題(1人) 復習問題(1人)補助線の必要な問題(1人)授業で扱った問題(1人)

全部(1人)

[9]今日の問題を解いていて、どのような印象を受けましたか。

色々な考え方がある(6人) 難しい(5人〕 変わった問題(4人) 意味が分からない(3人)楽しかった(2人) 作問している気分(1人〕

おもしろい(1人) 好印象(1人)誰でもできる(1人) できた(1人) わからない(1人)なし(7人)

[10]今日の問題で、良かった点と、悪かった点はどんな点ですか。

・良かった点

色々な視点から見れる(8人)

答がたくさんある(3人)自由にかける(2人) 復習できた(2人) 内容がよくわかった(2人〕

好きな分野(1人)いくつか書けた(1人) 解く意欲が出る(1人) おもしろい(1人〕

問題が1問のみ(1人) わかりやすい(1人)気分転換(1人)

・悪かった点

ない(7人)説明することが難しい(4人)

答が一つでないので分からない(3人〕意味が分からない(2人) 難しい(2人) 記号の不備(1人) できなかった(1人)

(15)

時間がほしい(1人) 面倒くさい(1人)

角度が出せなかった(1人〕正解かどうか不安(1人) なぜこれをするのか(1人)

[11]今日の問題を解く前と解いた後で、自分の中で何か変わった点はありますか。また、変わった人はどんな点が変 わりましたか。

① 変わった(5人)

・いっも1つの答しか考えないが、いくつもの解き方ができるようになった

・いろんな視点から見えるようになった

・ちょっぴりオトナになった気分

・ 「数学」を解いたと思った

・難しい問題にも挑戦しようと思った

② 変わらない(28人)

[12]あなたが、 「いいな」と感じる数学の問題はどんな問題ですか。

・なし(6人)  ・四則演算(6人〕 ・図形(3人)

・関数、グラフ(3人)

・考えないと解けない問題(2人〕

・簡単な問題(2人)

・楽しく解ける問題(1人)

・単純ですぐできる問題(1人)

・ひらめいて解けた問題(1人)

・日常の出来事を問題にしたもの(1人〕

・後で解説をみて、納得ができる解説付きの問題(1人)

・電卓を使う問題(1人)

2+3x6×2÷3×5×0÷3×10÷2‑ (1人〕

(16)

Research on ̀Better Problem' m Mathematics Textbook of Junior High School

Keiichi SHIGEMATSU and Keiko HINO

(Department of Mathematics Education, Nara University of Education, Nara 630‑8528, Japan) Hiroshi MAKINO

{Student of Master of Mathematics Education ; Nara University of Education, Nara 630‑8528, Japan) (Received April 30 ,1999〕

In Japan , students don't have good impression of mathematics. Therefore, to make student s impression of mathematics better is an important subjecL In order to accomplish this purpose, looking at the problem will be effective. The purpose of this report is to show some features of better problems which can change student's Impression of mathematics. We developed a better problem which has such features, inquired and analyzed students'responses to the problem. As a result of inquiry and analysis , it was found that the problem was received as new for the students. Furthermore, we showed that certain factors will change the

studentsつmpressions of mathematics.

Key Words: Mathematics Textbook in Junior High School, Better Problem

参照

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