• 検索結果がありません。

地方社会運動・労働運動史研究序論 (上)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "地方社会運動・労働運動史研究序論 (上)"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

地方社会運動・労働運動史研究序論 (上)

著者 橋本 哲哉

雑誌名 金沢大学経済学部論集 = Economic Review of Kanazawa University

巻 5

号 1

ページ 1‑19

発行年 1984‑12‑24

URL http://hdl.handle.net/2297/18354

(2)

地方社会運動・労働運動史研究序論(上)

橋本哲哉

目次

I地方社会運動・労働運動史研究の課題

Ⅱ地方社会運動・労働運動史研究の概要 1.北海道・東北地方

2.関東地方

3.北陸・甲信越地方(以上本号)

4.東海地方(以下次号)

5.近畿地方 6.中国地方 7.四国地方

8.・九州|・沖繩地方-

1H諸研究の一応のまとめ

I地方社会運動・労働運動史研究の課題

本稿は予備的作業にもとずく序論であるので研究意図を詳述することはさ けるが,とりあえず次のような問題関心,あるいは視角といったものを提出

しておくことにしよう。

社会史研究というものが一種の流行現象を示している。それが従来見落し ていた研究対象も捕捉し,研究視野を広め,しかも研究の専門化・分断化を 批判して全体史把握という立場から,諸研究を総合化する役割を発揮せんと

1

(3)

金沢大学経済学部論集、第5巻第1号1984.12

している点は評価する。しかし研究対象がむやみに広がり,民衆個々の生活結果 の山積みの事態に逢着したり,従来の研究を分断化されたもの,細分化され たものと観念的にきめつけることになってはならない。いかなる立場でどの ように総合化するかという点で,その科学性は問われる。また社会の個々の 諸現象と質および量を前提とした運動とを単純に並置し,総合化することに は同意できない。以上のことから広い意味の社会運動史研究が,客観的に見 てどういった水準に到達しているのか,そしてそれを社会史研究の積極面に

どれだけ含ませうるのかを検討することは,一定の意義があると考える。

このことを別の方向から述べると次のようなことにもなる。最近の10年間 社会史研究がもり上りをみせているのと対照的に,それはちょうどシーソー の相手の様に人民闘争史研究は落ち込んでいる観がある。1970年前後の人民 闘争史研究はそれまでの階級闘争史研究と比較して,巾広い視野を持ち,階 級として未成熟なもの,あるいは階級的自覚を持つにいたっていない段階の 多くの人民大衆の闘いを把握しようとする研究であったと理解している。さ らに付言すれば,筆者は人民闘争を社会運動,民衆運動と置き換えることに

(注1)

大きな抵抗を有していない。そうした立場から社会史研究と人民闘争史研究 との間に,何とか有機的な紐帯を見い出しえないかと考えている。しかしそ れは人民闘争の中で階級闘争の位置を明確にするという歴史的研究が仲々や っかいな様に,社会史研究と人民闘争史研究の関連性を解明することも難題 である。すくなくとも従来の人民闘争史研究の枠の中の諸研究成果を観念的 にではなく総括することから始めてみようと考えているわけである。

その際何よりも地方の研究から手をつける,あるいはそれを重視せんとし ていることに若干の意義を見出しておく必要があろう。そのことを述べる前 提に次の2つの関連研究をとりあげてコメントをする。

渡辺悦次は過去2度にわたって地方社会運動・労働運動史研究の目録をま とめ,研究の特徴について発言している。第1の「広がり深まる地方労働運 動史」では,1968年に政府が強行した「明治百年」記念行事がかえって自主

(注2)

的研究の気運を高めたとし,各地のそうした研究成果を紹介してし、る。その 目録は本稿と同様に県別にまとめられており,戦前だけでなく戦後も含めた ものとなっている。これらを概観した上で,渡辺は「県当局による地方労働

(4)

運動史が圧倒的であ」るが,戦前活動家等が編纂するものもある。しかし-

度編纂が完了すると「自分達の資料さえもそれらの刊行によって不必要であ るとして捨てさられている状況がある」,したがって「自主的な地方労働運 動史の編纂,地方労働運動史研究会の設置,活動の充実は急務といえよう」

(注2)

と主張している。ついで「地方社会運動史」では視野を社会運動史に広るlf (注3)

新たな動向として編纂に「研究者の協力によるところ」カゼ増加したことを指

(注4〉

摘している。活動家の回顧・記録の段階から研究者カゼ内容をチェックする等 一定の貢献をする段階にいたったわけである。しかし研究者といえども専門 の研究対象として地方社会運動史が定冠されたとはまだいえない状況である。

そこに研究の意義を見つけだそうと模索したものが,星島一夫r地方労働 運動史研究序説」である。星島は一定の論考作業をへて地方労働運動史の意 義を次のように総括する。「各地域,各職場における労働者大衆の自己運動 をじかに,具体的につかみ,地方の労働者の自覚的階級形成の歴史的過程を 究明U,地方における労働者の実践的課題にこたえるとともに,地方労働運 動を日本労働運動との相互依存,相互連関のもとで究明することによって,

日本労働運動史研究に普遍的意義をあたえ,労働運動史研究をその基本的課 題にこたえうるものとし,日本の労働者階級の実践的課題にこたえること」。

(注5)

労働運動を労働者の自i慾的階級形成の過程としてとらえ,それを地方と日本 全体との相互連関のもとで究明するという一般的意義の指摘としては納得で きる。しかしその方法に関しては何も明らかにされていない。地方労働運動 といっても一様には展開しないので,相互連関という場合すくなくともその 点の言及はさけて通れない。さらに労働運動と他の諸社会運動との関連につ いても配慮がなされていない。労働者の「自覚的階級形成」がいかなる歴史 的意味を有したのかの見通しは,どうしても必要であろう。その場合に労働 運動を中央のレベル,あるいは頂点的な労働争議だけで論ずる方法をまず克 服しなければならない。地方において小さいながらもおこる民衆の様々の動 きは運動の発展の可能性の範囲を示していると考えられる。その個々の動き は中央レベルの運動と比較すると質や時代等の差があることは当然である。

しかし相互連関という以上はそれらを含めて総体的に日本の労働運動を把握 する方法をつくり出さなければならない。運動の発展の可能性の範囲と前述

(注6)

-3-

(5)

金沢大学経済学部諭築第5巻第1号1984.12 したが,もちろんこれは運動の限界とも言い換えうるものである。

さて,その課題は大きいがそれに接近するために本稿では地方社会運動・

労働運動史の基本文献を整理し,従来のこの方面での研究の一応の総括を試 みるが,次の3点の制約の上での作業となる。

第1は都道府県別に基本的文献のみに限って整理することにした点である。

準備作業であるので各地方の著書等の刊本をまず対象とし,それに近い体裁 のものを若干加える程度とする。前掲の渡辺の研究を土台とするが,これは 法政大学大原社会問題研究所の所蔵資料がもととなっている。それにその後 筆者が独自に調査したものをここではつけ加える。第2の制約は筆者の分析 能力の限界から戦前期のものとした点である。第3は社会運動・労働運動史 に限定し,その他個別の運動史類は除外したことである。農民運動史は多数 の文献があるが,当面は検討の対象とはしない。

、地方社会運動・労働運動史研究の概要

前述したように,地方の社会運動・労働運動史研究,文献を整理する場合,

本稿では各都道府県ごとに基本文献ならびにその他の諸文献の現況を考察す ることにしたい。それを本号では次の4つの地方に分けてとりあえず概観す ることにしよう。①北海道・東北地方として北海道,青森,岩手,宮城,秋田,

山形,福島,②関東地方として茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈 川,③北陸・甲信越地方として新潟,富山,石川,福井,山梨,長野,岐阜,

④東海地方として静岡,愛知,三重の各県である。なお,本稿末の基本文献 目録もその順番に作成してある。

1.北海道・東北地方

北海道は,近年民衆史の掘りおこし運動がすすみ,社会運動に関する個別 の研究は多数発表されているが,それらを体系化する段階にはいたっていな いようである。北海道労働部の編纂した『資料北海道労働運動史』があるが,

戦後のみの叙述となっている。渡辺惣蔵「北海道社会運動史』(1)(本稿末の 地方社会運動・労働運動史基本文献目録の頭書の番号と照応しているので参

(6)

照されたい。以下同)がいまのところ唯一の文献である。本書は1949年に明 治大正編として刊行されたものに,第3部昭和篇(戦前)を加えて再刊され たものである。第1部明治篇では北海道開拓と囚人労働,第2部大正篇では 小樽高商の軍事教育反対事件,政治研究会の啓蒙活動,第3部では市民運動,

学生・文化運動,太平洋戦争下の弾圧(キリスト教団,朝鮮人労働者を含む)

といった点にまで言及し,いわゆる社会運動史らしい体裁となっている。も ちろん炭鉱の労働争議,友愛会~総同盟の活動等の労働運動,初期社会主義,

無産政党,日本共産党といった社会主義・政党運動,農民組合運動などの 農民運動に関する充分な叙述もなされている。全国情勢にはほとんどふれて おらず,北海道内の個有な運動に限定して述べており,その地域的特質を見 ることができるが,同時にそれらを通じて全国的な運動史の流れもある程度 察知しうる構成となっている。著者は戦前からの活動家で,序文によると戦 後も鈴木茂三郎らと社会党系の活動を続けている。こうした経歴は第3部に おいて「全協の極左偏向とその混乱」といった部分に若干は投影しているが,

全体通じて,地域別の社会運動史の代表的な文献のひとつに数えてさしつか えない。

青森県には県の労政課が発刊した「青森県労働運動史』明治大正編(2),と 戦前編(3)の2巻がある。資料編も含めると3巻2500頁をこすぼう大なもので,

全国的にみて1,2を争う分量を誇っている。青森県という地域性から考え て近代的な労働運動が盛んであったために大部の労働運動史となったとは言 いにくい。そこには次の2つの理由があるようである。(2)のあとがきは編さ ん基本方針を「青森県史の一環として,労働(戦前は労働・農民・民権・護 憲)運動の推移をまとめ,県民に対してこれからの運動の正しい認識と理解 を求める」と述べている。たしかにその内容はたんに労働・農民運動にとど まってはおらず普選,米騒動,青年運動,さらには文学運動にまで及んでい るのである。(2)および(3)は本来ならば社会運動史とも呼ぶべきものであろう。

本書が大部なものとなったもうひとつの理由は聴きとり調査が広範におこな われ,また関連文献が数多く参照されている点にある。『物語青森県労農運 動史」(5)は共産党系の戦前からの活動家大沢久明(戦後一時,青森県委員長)

の記録で,60年間の大沢の活動歴をうかがえる様なエピソードが興味深いも

(7)

金沢大学経済学部論築第5櫓第1号1984.12

のである。この中から(2),(3)に生かされた部分があるが,一例をあげると(5) の第1章片山潜と青森県は(2)の第2章第4節片山潜と本県といった具合にな っている。こうしたことから叙述は具体的で平易なものとなり,県労政課の 編纂した同類書の中では特色のある文献といえよう。ただし全国的状況を少

し追いすぎている点も付言しておく。

岩手県には県労働部が刊行している戦後のr岩手県労働運動史」はあるが,

戦前に関する独立した刊行書はない。しかし他に紹介もあるので『物語岩手 社会運動史』(6)と『岩手無産運動史』(7)を基本文献としておいた。(6)は鈴木 彦次郎カヨr岩手日報』の求めに応じて執筆したもので,1958年3月2日の夕 (注7)

刊から同年12月22日まで246回にわたる長期間の連載となった。その総分量 は400字詰原稿用紙700枚にも及び,-冊の著書に匹敵する。その構成は大逆 事件と岩手(49回分),牧民会(49回分),釜鉄の大争議(66回分),小天 皇の威容(18回分),結束固し(34回分),東海岸の灯(29回分)となって いる。大逆事件については全国的動向の記述が大半で,岩手の医師大條虎介 に関してわずかにふれているが,すでに伝記が刊行されている。釜石鉱山に 関しては別に『釜石鉱山労働運動史』(1966年,倉I文堂)がある。大正期に石 (注8)

川金次郎を中心とした社会啓蒙・思想団体牧民会が地方的な影響力を発揮し たことの具体的な叙述は,地方のデモクラシーを考える参考例のひとつとなる。

この点は東海岸の灯も啓明社と川村廉平を対象としており同類である。この 2項が(6)の中で評価しうるものであるので,本書は狭い意味での社会思想団 体史ともいうべきものであろう。(7)は(6)に欠けているところの昭和前期の無 産運動史である。

宮城県には戦前に関する社会運動・労働運動史の類がすぐない。(8)の「物 語宮城県民のたたかい」は天明の米騒動から始まり,近代では自由と民権を 求めて,東北線・機関方のスト,同盟する小作農,燃える市民(米騒動)の 4章がある。いずれも啓蒙的な物語りである。(9)の『みやぎ抵抗史」は著者 自身が「宮城における抵抗の断片史」と述べているとおり通史的なものとは 必ずしもなっていない。前半の米騒動迄は(8)と大きな違いがないが,しかし 昭和前期,とくに著者自身が携わった農民運動に関しては独自の内容を示し ている。ただ客観的な史料の裏付けがやや乏ぼし〈個人の作業の限界がうか

(8)

がえる。東北地方の中心地仙台をもつことを考えても,今後の宮城の研究が 待たれるところである。

、秋田県には田口勝一郎が主宰する秋田社会運動史研究会や同じく秋田近代 史研究会といった民間の団体の自主的研究がすすんでいる。01)および(IDはそ の活動から生みだされた成果で秋田県社会運動史の基本資料とも言うべき位 置にある。とくに(11)の小沢三千雄の作成した年表は克明で,それ自身が秋田 近代史となっている。これは秋田近代史研究会編「近代秋田の歴史と民衆』

の叙述および巻末年表を豊富かつ正確にしたものである。この書自身に'0名を上 まわる研究者が執筆していることから見ても活発な研究活動を推測することがで きる。その最近の成果として同じく田口編『秋田県の百年』(山川出版社,1983 年)が続いている。00の『秋田県労農運動史』は戦後間もなく刊行されたも ので,労働運動篇,農民運動篇の2部構成となっている。著者の今野賢三は プロレタリア文学運動から社会運動にかかわり,戦後は社会党員であった。

前篇をもrす労働運動篇を見ると,秋田と「種蒔く人」,ロシア飢漣救済運動, (注9)

普選運動,秋田初期のメーデーといったタイトルが含まれ,広い視野で叙述 されていることがわかる。また秋田での特徴的な労働運動は小坂,阿仁,尾 去沢鉱山などの労働争議が中心であったことをこの書は教えている。叙述の 方法はそれぞれの運動,事件,出来事に関係した人物の談話が主体となって おり,したがってその内容も生々とした感じで現在に伝わってくる。(10は30 年以前の刊行書であることもあって,これ自身が記録資料になっているとい

えよう。秋田にこのほか県労政課編の労働運動史類はない。

山形県は戦前・後の労働運動史を編さんする企画をもっていない様である が,「山形県史』近現代史料1.2(1978年.1981年)が刊行された。後者 には四として社会運動の項目があり,初期社会主義と民衆運動,庄内地方の 農民運動,村山地方の農民運動に関する資料が収集されている。笹原定次郎 らの初期社会主義が大正デモクラシー以降に与えた影響が大きかった様で,

この点は別稿で評価しておいたが,(IDの『ものがたり山形社会運動史』から (注10)

もうかがうこと力ざできる。(13)は戦直後に前編のみ出版されたもので,そのほ か大正期以後の農民運動が叙述されている。これらを見る限りでは山形県に 労働運動の展開する基盤が弱かった様に思われる。各地域の活動家の戦前回

(9)

金沢大学経済学部論柴第5巻第1号.1984.12

想録は数多いと思われるが,山形の竹内丑松『夜明けをめざして」を紹介し ておく。竹内は戦前・後とも共産党員で,正確な証言が綴られている。巻末

(注11)

にある「近代山形県社会運動史年表」(日塔哲之作成)Iま貴重である。

福島県には商工労働部の編纂した戦後の『福島県労働運動史」があるが,

戦前については『福島児史』16(政治2)の第2編社会運動が略述している。

これは労働運動,農民運動,婦人運動・青少年運動の3章からなっており,

いずれも戦前から戦後(1965年迄)を対象時期としているので戦前労働運動 史は140頁余しかない。しかしその分量の割には充実した内容で,県内の労 働者をめぐる状況を要約しつつ各時期の労働運動の特色を把握している。労 働争議の中では常盤炭鉱を中心とした炭鉱争議が重きをなしていたことがわ かる。この章の執筆者の庄司吉之助は,別に(1,の『近代地方民衆運動史』を 著わしている。内容はいずれも福島県内に関するものなので,ここに含めて おきたい。庄司が戦後書きためた論文を上下巻にまとめた体裁となっている。

戦前分のみを列挙すると,自由民権運動,貧民救済運動と強制耕作反対騒動,

日鉄機関方争議をはじめとした労働者の運動,農民の運動,米騒動以降の民 衆運動,電燈料値下同盟などの市民運動といった具合である。ちょうど『福 島県史』では労働運動に限定して書くことができなかった広い分野にわたっ て,庄司は叙述しているといえよう。庄司の両方の仕事をあわせ読むことで 福島県の社会運動全般を見通したことになる。この庄司の一連の仕事を一般 向けに書き下ろしたものが(lイ)『福島県民の歴史」で,この編者の代表は庄司 が務めていた。

2.関東地方

茨城県は地域研究が盛んであるが,社会運動・労働運動史の見るべき成果 は少ない。ここでは少々片寄ったものであるが,『茨城県共産主義運動史』

(10を紹介するにとどめる。題名の通り第1部は戦前における日本共産党茨城 県委員会の結成とその後の活動,共産党影響下の共青,全協,コップなどの 活動を記録しているd下巻後半の第2部で日本無産党,生活主義教育運動を とりあげている。著者の羽田は茨城県特高課員で,したがって運動史という より権力の側からの弾圧史となっており,そのような利用価値を有するにと

(10)

どまる。

栃木県には二つの文献がある。(17)の『栃木県労働運動発達史』は戦直後,

栃木県労政課が発行している「栃木県労働時報」に6回にわたって掲載され たものをまとめたものである。著者である黒沢幸一は執筆の動機を,栃木県 の労働運動について,「足尾銅山に関するものを除いて一つもあらわれてい ない。それで私は戦争前の労働運動について自分の記憶を追うて」(前掲07),

1頁)みる,と述べている。内容はもちろん足尾に関するものが半分位を占 めているが,加えて大正以降の県内の労働争議を5つほど紹介している。栃 木県において足尾銅山の労働運動が圧倒的な位置にあったことは,(10の『栃 木県労働運動史』によく表われている。足尾に関しては『足尾銅山労働運動 史』(足尾銅山労働組合編,1968年刊)があり,個別論文も相当数にのぼる。

さらに栃木県史の最近の研究もすすんでいる。しかし(10の中の初期社会主義 の項,足尾労働運動の退潮後の昭和期の労働運動の章は資料収集の一定の成 果が表われていると評価できる。

群馬県には社会運動と労働運動に関して,それぞれ「群馬県社会運動物語』

09と『群馬県労働運動史』(20の2箸が揃っている。(19の著者は「上毛の山河 をこよなく愛している」とはしがきを書き始め,またサブタイトルを「解 放運動に捧げた郷土の人々」としている様に,郷土の先輩の活動を情熱をも って記録している。印象的な章のタイトルを掲げると大逆事件と群馬の人々,

高津渡と群馬青年共産党事件,、無産強戸村剛と須永好,立見米市と福田政 勝の周辺,無産者診療所の誕生と文化活動といったものが続く。またその間 には,新しい時代への息吹きという章を設けて抜け落ちた人物,事件を補足 し,また窮乏する農村と農民の章の様に運動以前の客観的情勢を伝える工夫 も見られる。せっかく載せた主要参考文献が少々荒っぽいのは残念であるが,

それは著者が活動家であって研究者でないのでやむをえない。いずれにせよ 本書は社会運動史のひとつの参考例である,と評価してさしつかえない。(20は 群馬地方労働組合評議会が編纂委員会を組織して,戦前・後の労働運動史を 作成したが,その3巻のうちの初巻分である。(19に欠けている労働運動に関 する部分をある程度は補い,大正期の群馬の労働争議,野田醤油争議,昭和 の桐生日絹・上州絹紡の争議,群馬自動車の全線ストなどがとりあげられて

(11)

金沢大学経済学部論築第15巻第1号1984.12

いる。昭和前期迄は資料調査が弱く,全国状況の叙述が多すぎる。『群馬県 史」に若干の該当部分があるが,その以外に行政ベースでの労働運動史類の 文献はいまのところ見当らない。

『埼玉県労働運動史』(21)は埼玉県労政課の職員が調査と執筆をおこなった ものである。あとがきに記されている編さん方針によると収集した資料は可 能な限り本文中に載せ,労働運動に関するものは,如何に小さい事件でも記 述するとある。たしかにそれらは成果となって本文中に表わされており,研 究の素材の提供という役割は果している。しかし一方では争議の経過記録集 の様な内容となり,読みものとしてはおもしる味に欠ける。それはある意味 では客観的かもしれないが,資料の選択と評価する力量を読者に要求してい ることにもなっている。群馬と埼玉は隣県であるが,時代を経過するに従っ て埼玉は東京圏に組み込まれていき,労働運動の様相も都市的でエ場労働者 中心型に近づき,群馬と対照的な展開となることがわかる。01)は埼玉県のは じめての通史であったが,この資料収集にあたった渡辺悦次は後続の研究者 と研究に大きな刺激を与えた。1966年には埼玉県労働運動史研究会が設立さ れ,機関誌『埼玉労働運動史研究」が刊行されたことはなかでも特筆されて よい。この研究会のメンバーが中心となって「新編埼玉県史』(資料編23,近 代・現代5,社会P労働1,1982年)が作成された。労働・農民運動に関す る資料にとどまらず,社会主義,米騒動,水平社運動,婦人運動,消費組合 運動,さらには社会行政・事業に関する基本資料が公開されるところとなっ た。資料解説は渡辺と池田信が担当しているがiそれは埼玉県社会運動小史 となっている。池田はこうした仕事をつうじて,東京・神奈川は労働運動の 中枢的確立を示した府県と見,それに対比して埼玉は衛星的確立をなしたと 考えているが,この点の検討は後述(次号)する。・

千葉県には戦後の年表(千葉県労政課編)のほかは(22)の『千葉県労働運動 史」がある。最初に全体の6分の1程度の分量で戦前の全国的な労働運動史 の大要を叙述し,さらに千葉県の工業と労働者の状態と農民運動を略述する という独特の構成をとっている。ついで野田を中心とした醤油労働運動,京 成電鉄争議を3章にわたってとりあげ,労働運動の消滅で終っている。千葉 県では野田争議と京成争議の2争議が代表である様で,とくに前者の分析は

10-

(12)

詳細で説得力を有している。しかしその他の数多くの労働争議が脱落してし まったのはものたりない。(22)は千葉県労働組合連合協議会の編集したもので ある。

東京における社会運動・労働運動史のまとまった文献はない。『東京百年 史』(東京都編,1972-1973年)の中に若干の記述がある程度である。

神奈川には前述の青森のものと肩を並べるほどの大冊の『神奈川県労働 運動史」㈱がある。県の労政課が竪山利忠に編著を依頼して作成したもので,

渡辺悦次,近藤申一,中村勝範が執筆に協力している。竪山は戦前共産党の 活動家で,戦後は右派労働運動の理論家として活躍している。本書は労働運 動史を黎明期(明治期),大正形成期,本格的発展期(1923年迄),戦争期 の4期に時期区分し,それぞれ労働者の状態,組織状況を概観しつつ労働争 議を記述している。対象としている争議は主要なものだけでなく,港湾人夫,

職人その他の争議といつだものまでとりあげている。京浜工業地帯の中枢 であるため,その時期区分とそれぞれの特徴的な争議と運動の展開は全国的 分析の基準ともなる重要性を帯びている。とくに前述した様に東京の分析がない こともあって,その意義は大きい。もちろん労働争議が中心となっているが,初 期社会主義米騒動といった点も若干ではあるが含んでいる。また巻末には主要 な資料と年表も掲載されていて,利用しやすい。(24)は1928年時点での労働争 議・運動の現況をまとめたものである。神奈川は県史研究が持続的にすすめ られているが,その一部は「神奈川県史』(資料編13,近代・現代(3)社会,1977 年)にあらわれている。資本主義形成期の民衆運動,資本主義確立期の社会 運動,大正デモクラシー期の多様な社会運動,戦時体制下の社会の4編に分 けて資料の整理がおこなわれている。編年的な構成,その他資料編作成のひ

とつのモデルといえよう。

3.北陸・甲信越地方

新潟県には該当する文献はないが,最近『新潟県史」(資料編19,近代7,

社会文化編,1983年)が刊行された。ここには自由民権運動,明治23年の米騒 動,初期社会主義,農民運動,労働運動,大正デモクラシー期の社会運動,

十五年戦争下の社会運動などの項目の下に基本的資料が収集されている。あ

。~・一宇~

-,-

(13)

金沢大学経済学部論築第5巻第1号1984.12

とがきにそれは「膨大な採録資料の一部にすぎない」とあり,今後の研究の 深化が期待される。

その内容,構成は大きく異なるが,社会運動史と称する文献が2つある県は 富山県のみである。㈱の『富山県社会運動史』は前・後の2編にわかれ,前 編は富山県の立憲青年会の結成と滑川普通選挙期成同盟会,後編は滑川の米 騒動,富.山電気争議の叙述が目立つ程度である。したがって(20の「富山県戦 前社会運動史』のあとがきの中で,内山弘正は富山県の「運動の全容は今日 まで明らかにされていない」と述べることになった。内山は戦後日本共産党 の中央委員を経験しており,中央委員会所蔵の富山県関係運動資料とさらに 多くの関係者の聞きとり資料と手稿を利用したとしている。全国的に見ても 最も新らしい文献であるので章名を列挙すると明治大正期の古い社会運動,

古い社会運動の継承である社会民主主義諸運動,科学的社会主義系諸運動の はじまり,全協の運動,全農の運動,学生の運動,共産党および共青の組織,

社会民主主義系諸運動の新しい発生,非常時下の「抵抗」,敗戦,社会運動 の再建の10章となる。この書の特徴は共産党,全協を中心に書き,社会民主 主義系諸運動を協調的なものとして対極におしやっている点にある。このこ とは古い社会運動ならびにその継承といった表現の中にも明確に示されてい る。また明治大正期がその後と比較していかにも内容力獅いが〉これは共産党中 央委員会の資料の所蔵分の弱点が反映しているのであろう。しかし前掲(2,の水 準を大巾に超えた文献であることはまちがいない。付言すると戦前社会運動 史の終章を敗戦直後の運動の再建に求めている構成はユニークで,今後のひ

とつのモデルとなろう。

石川県社会運動史刊行会は1970年に発足し,(27),(20の2書のほか『石川県 における戦前のメーデー』,「昭和7.8年石川県特高警察資料」などを刊行 している。「明治百年祭」に対抗して開催された研究会を起点にこの刊行会は 結成されたが,これまで自主的で地道な研究会と資料発掘,紹介をつみ重ね てきている。『明治大正期の石川県における労働運動」(27)は当該期の労働争 議を簡単に記録し,その大部分は1920.22年の尾小屋鉱山争議に焦点をおい ている。『昭和前期の石川県における労働運動」(20は石川合同労働組合,全 協石川地区の活動,5923弾圧,戦時下の抵抗などの労働運動をはじめとして,

12-

(14)

文化.学生運動にも叙述をひろげている。調査・研究は一応完了しているのでb 本巻の「石川県社会運動史」の刊行を待つ必要がある。石川県労政課は戦後 のr石川県労働運動史年表」(1974年)を作成しているだけである。

福井県労政課編『福井県労働運動史」(29の事実上の執筆者は田中明(当時福 井商業高校教諭)である。福井は戦災と戦後の大地震に遭遇し,戦前に関す る基本資料をほとんど喪失した。したがって全国的資料の中の福井関係資料 が多くを占め,具体的な運動内容は乏ぼしい゜しかし労働者の状況などの分 析を含めながらいくつかの労働争議を発掘している。また座談会「戦前の労 働運動の思い出」を収録し,不充分さを補う努力の跡が見られる。戦前を3 つの章で構成しているが,それを明治・大正・昭和と機械的に区分している 事は労働運動史の時期区分としては賛成しかねる。

「山梨労働運動史」帥は行政ベースでは戦後もっとも早く刊行されたもの である。そのため労政課長はその序文に「労働教育はもうす迄もなく,民主 化教育であります……私達も労政教育を通じて新時代を造るために斗うので あります」と書きしるしている。こうした意欲は記述内容にもうかがえる。

生糸業組合の規約をめぐる女エの可否論争,新聞紙上の労働争議賛否論,労 働争議の類型把握(原生的争議,近代的争議等),反労働運動,女工組合の 賛否論,防衛的労働争議の分析,労農一体の闘争といった興味をそそるテー マが随所にある。また工場法について6章もあて,又昭和前期では農民組合,

その他の無産運動の叙述も含まれている。構成がアンバランスな部分もある が,全体として評価できる文献である。

本節の最後は長野,岐阜の両県であるが,両県は隣県同士で地域的にも共 通性があり,しかもそれぞれ社会運動史を刊行している。しかし2箸の水準

は大きな隔りがある。

GI)の『長野県社会運動史」は,1952年に同じく青木恵一郎が「長野社会運 動史」として刊行していたものの,増補改訂版である。150頁ほどの増頁とな っている。(31)は(1)と比較して内容的にみて遜色がない。戦前部分の構成は大 きくみるならば,明治維新の農民戦争,封建制打倒の自由民権運動,社会主 義と自由民権運動,欧州大戦と新たなる昂揚,日本共産党の創立と各種団体 の活動,27年テーゼと3.15弾圧事件,32年テーゼに基ずく闘争と弾圧,人

13-

(15)

金沢大学経済学部論巣第5巻第1号1984.12

民戦線運動の展開と松高生の闘争,無政府主義運動と農村青年社の9項目と なる。初期社会主義を自由民権と結合して把握する部分,大正末年の警察廃 止反対の長野暴動の叙述等,興味深い点がいくつもある。著者は農民運動史 の研究者であるので農民運動の事項が多いが,これは長野という地域的特性 も関連している。しかし水平社,教員の運動,新興仏教青年同盟,学生運動と いった諸運動の記述も含まれている。

しかしこれにくらべて『岐阜県社会運動史」02)は評価できない。古代の叙 述からはじまって700頁をこえる大著であるが,幕末迄の350頁の中で美渡・

飛騨地方に関する部分は10数%で,社会運動的分野は合計しても10頁ほどで ある。明治以降においても岐阜県の社会運動史部分は15%にすぎない。した がって例えば米騒動について9頁をさいても,岐阜県下の様子は1頁弱とい った有様で,他はいずれも全国的状況の略述である。岐阜県社会運動史編纂 委員会がきちっと組織されているにもかかわらず,新たな知見がないのは残 念である。この中で1929年の犀川切り落し騒擾という民衆騒擾がくわしく叙 述されているのが目につくが,注記にエると,03)の「岐阜県労農運動史思い

出話」からの引用の様である。ただし,この文献のみ筆者は未見である。

両県の行政側の動向を見ると,長野県は,戦後の『資料長野県労働運動史」

(第1.2巻1957年迄)と年表を出している。岐阜県にはない。なお長野県 は近世以降の『長野県史」の編纂を股近開始しており,近代史料編だけをみ ても22冊を上廻わる刊行計画を発表している。そのうちの第8巻,社会政策

・社会運動は近刊予定であるが,まだ筆者は手にしていない。

4.東海地方

『静岡県労働運動史』(3イ)は同類の中で,股も新しいものである。静岡県評 の結成30周年を期して出版されたが,第1編戦前の労働運動の執筆者は海野 福寿(明治大学教授)である。この第1編は第1章労働組合の結成と労働争 議,第2章戦争前夜の労働運動の2章から編成されている。第1章では友愛 会支部,米騒動,日本絹糸大宮工場争議,各合同労組の闘い,日本楽器争議,

3.15,4.16事件が対象となっている。第2章は総同盟,全協支部の活動,

1930年代の労働争議,無産政党の活動,持越釜山争議,戦前のメーデーをと

14-

(16)

り上げている。第1章の書き出しは1913年の友愛会小山支部の成立であるの で,1910年代初頭迄の歴史は切り捨てられている。この点について海野は04)

の資料編のあとがきで「静岡県下の近代的労働運動は,1910年代に誕生し,

1920年代から1930年代前半にかけて高揚し」と述べているので,近代的労働 運動だけを叙述したことになるのであろうか。静岡県では1912年迄24件の労働争 議が確認でき,そのうち少くとも4件は王子製紙などの近代的工場での労働

(注12)

争議で,これらを省略して労働運動史を書き始めることlこは納得できない。

しかし1913年以降は適確に叙述され,その資料批判も信頼できる。そして利 用した資料が「いわゆる官憲側の手によって作られた記録類」であり「した がって資料作成の意図を考えると,資料に記述されている「事実』がそのま ま真実であったとは考えられません」〔㈱のあとがき〕というコメントに同意 したい。㈱と(36Iは前掲割りとワンセットの企画の中で刊行されたものである。

㈱は米騒動,日本楽器争議,3.15事件,社会運動の状況,総同盟の運動の5 章より成る資料集である。県労政課等の編纂物は静岡県にはない。静岡県近 代史研究会が『静岡県近代史研究」を発刊し,そこに社会運動に関する自 主的研究成果を載せている。

愛知の名を冠する運動史は『愛知民衆運動の歴史」(3Dと『愛知県労働運動 史』(稿)』(39の2箸である。(37)のはじめの3つの章は近代以前の農民一撲を 叙述し,以下世直し騒動,地租改正反対運動,自由民権,米騒動,小作争議 の5章が続き,この書は大正期迄の啓蒙的な社会運動史である。(39は稿本で,

その内容の大半は同じ著者の㈱『名古屋地方労働運動史』に含まれている。

内容のこまかい点の対照はしていないが,㈱は(39の増補,改訂版と考えてさ しつかえなかろう。したがって㈱は名古屋地方とタイトルにあるが,愛知県 のものと判断して基本文献の1つとした。

㈱は明治大正篇と副題が付けられている様に,第1章労働者階級の形成 と労働運動の胎動,第2章日露戦後の労働運動と社会主義運動,第3章第1 次護憲運動と民衆,第4章大戦と労働運動の発生,第5章普選運動と労働運 動の発展,第6章恐慌と労働運動,第7章統一戦線運動,第8章方向転換,

第9章産業別労働組合運動,第10章無産政党組織運動という展開となってい る。個別の労働争議から労働組合運動まで一応順序だった叙述となり,構成

-15-

(17)

金沢大学経済学部論巣第5巻第1号1984.12

()適当である。また名古屋を主な舞台としているので初期社会主義,謹懸運 動,米騒動,婦人・借家人・水平社運動にも眼が及んでいる。また大正末の 無産政党の叙述もあり,労働運動を中心としながら周辺の民衆の諸動向にも 留意したものになっている。1920年代後半以降の分析が待たれるところであ る。愛知県労政課は敗戦後から1965年迄の詳細な年表(B5判500余頁)を出 版しているが,戦前については触れていない。

『三重県労働運動史」QUIは三重県労働運動史研究会の研究活動の成果で大 山峻峰が執筆し,大島清が修正加筆したとそのはしがきにある。自主的研究 活動らしくガリ版印刷であるのが特徴的だ。なお大山は他に「三重県水平社 労農運動史の研究」(「部落問題研究』17,所収)の論文や戦前の社会・労働 運動史の年表を作成している。㈹の構成は前史として明治期の労働争議等を 叙述した後,大正・昭和と編年体で労働運動史を追っている。ほとんど三重 県内の労働運動だけを対象としており,また『日本労働年鑑」をはじめ基本 資料を駆使している。さらに戦前関係者の座談会,談話記録等の準備もある。

誠に手竪い内容をもつ,三重県の基本文献である。三重県労政課は1000頁に ものぼる「三重県労働運動史』((')を出しているが,その冒頭に戦前の概説的 要約を載せている。これは㈹の要旨で,仮りに戦後の労働運動史だけを叙述 するとしても,この程度のものは付け加えるべきであろう。それも㈹の成果 があるから成しえたわけである。(未完)

(注)

(1)以上の点に関して,高橋昌明「社会史の位置と意義について」,歴史学研究会鯛r歴 史学研究」NOL,520(1983年9月),松村高夫「イギリスにおける社会史研究とマルク ス主義史学」,歴史学研究会編「歴史学研究」NOL,532(1984年9月)を参照。

(2)「図徴新聞」第1169号(1972年7月1日)所収。

(3)地方史研究協議会網「日本史文献年鑑」77年版(1976年1月,柏番房)所収。

(4)同前321頁。

(5)星島一夫「地方労働運動史研究序脱」(愛媛大学経済研究叢密1,1963年3月)113 頁。

(6)橘本哲哉「地方における初期社会主義の活動」,金沢大学経済学会「経済論染」第 21号(1984年3月),同「民衆運動と初期社会主義」,歴史学研究会・日本史研究会 綱r嚇座日本歴史』近代2(1985年5月刊予定)の2論文をとりあえず参照願いたい。

-16-

(18)

(7)「日本社会運動人名辞典」(青木轡店1979年3月)中に2箸が明示されている。

(8)菅原芝郎『辺地の赤ひげ先生大條虎介小洋々社,1976年10月。

(9)秋田社会運動史研究会縞r秋田社会運動史研究」第2号(1971年3月)は今野の特 集号となっている。

(ID橋本前掲論文および同「日本における初期社会主義研究の意義」,金沢大学r経済 学部論築」第4巻第2号(1984年3月)を参照。

(Ⅱ)竹内丑松「夜明けをめざして」光文堂書店,1980年11月。

(12)青木虹二『日本労働運動史年表』明治大正綱(新生社,1968年5月)を参照。

(付肥)

本文中において,文献卿の「岐阜県労農運動史思い出話」を未見としたが,本稿脱稿 後に見ることがで言た。本文の論述を変更することができないので,ここに付記して若 干のコメントを述べることにする。

著者の坂井由衛は戦前からの共産党系の活動家で,文献卿は農民運動中心の叙述とな っている。本文中に予測した嫌に,とくに犀川切り落し民衆騒擾はくわしい。

さらに本文中で近刊予定としておいた『長野県史」も刊行されたので(1984年10月),

付言しておく。近代史料綱(第8巻3)であるが,全体で1200頁ほどの内1000頁余が社 会運動の史料で占められている.社会運動を農民運動,労働運動,青年・学生運動,婦人 運動,部落解放運動,プロレタリア文化運動,社会主義運動,国家主義運動の8項に分 け,それぞれ編年休で史料を整理している。農民運動の分量が最も多く,労働運動がそ れについでいるが,どちらも1920年代後半以降の史料に片寄っている。

(1984年9月26日脱稿)

-17-

(19)

金沢大学経済学部論集第5巻第1号1984.12 地方社会運動・労働運動史基本文献目録(戦前分)・上

18-

番名 鯛著者名 発行者・所 刊行年 判及頁数

(1)北海道社会運動史 (2)青森県労働運動史・第1

巻(明治大正綱)

(3)同上・第2巻(戦前編)

(4)青森県労働運動史編纂資 科(明治大正綱)

(5)物語青森県労農運動史 (6)物語岩手社会運動史 (7)岩手無産運動史

(8)物語宮城県民のたたかい (9)みやぎ抵抗史

(10秋田県労農運動史 (11)秋田県社会運動の百年

(その人と年表)

(ID秋田県社会運動史資料 (大正昭和鰯)

(13)ものがたり山形県社会遮 動史・前編

(M)福島県民の歴史(解放を めざす百年の歴史)

(Iヨ近代地方民衆運動史(上

・下)

(l6I茨城県共産主義運動史 (上・下)

(ID栃木県労働運動発達史

(1m栃木県労働運動史 (10群馬県社会運動物語 卿群馬県労働運動史・上

(先駆けの人々)

(21)埼玉県労働運動史(戦前 編)

渡辺惣蔵 宵森県労政課

同上 青森県

大沢久明 鈴木彦次郎 上田仲雄

浜田隼雄 米倉辰治郎 今野賢三 小沢三千雄

秋田社会運動 史研究会 佐藤善夫

同左綱集会蟻

庄司吉之助

羽田邦三郎

黒沢幸一

同編集委貝会 廓沢実 同綱纂委貝会 埼玉県労政課

レポート社 同左

同上 同左

同左出版後援会 岩手日報・夕刊 岩手史学研究.

第50号別冊 ひかり書房 TKT企画 同刊行会

同左 みしま書房

民主組織促進会

福島教織組連合 校倉番房 爵書房

栃木県労働問題 研究所 労働旬報社

同上 同左 同左

1966年 1969年

1971年 1965年

1963年 1958年 1967年

1976年 1973年 19541F 1977年

1980年

1946年

1968年

1978年

1977年

1950年

1976年 1968年 1974年

1965年

A5416頁 A5745頁

A5790頁 B5982頁

B6259頁 246回分連戦 B526頁

B6215頁 B6347頁 A5537頁 B5368頁

B5342頁 B6112頁 A5428頁 B6492頁計

B6666頁計

B671頁

A5182頁分

B6234頁

A5578頁

B5430頁

(20)

(備考)本文でも述べたように,各都道府県における社会運動史,労働運,!)史類のうち著 番の体裁のものをリストアップした。本文中の引用書の註記の番号と各々の書名の 頭轡の番号とが,照応している。なお「判及頁数」の欄のうち,分とあるのは戦後 迄叙述されているもののうち,戦前部分の頁数を示してある。また,計とあるのは 数巻に分れて戦前の叙述がなされている場合,その合計分の真数である。頁数のみ の表示は全巻が戦前分であることを示している。

-19-

瞥名 編著者名 発行者・所 刊行年 ,判及真数

(221干葉県労働運動史

(23I神奈川県労働運動史(戦 前編)

(24)神奈Ⅱl県下に於ける労働 運動

蜘寓山県社会運動史 (26I富山県戦前社会迎動史

⑰明治大正期の石Ⅱ|県にお ける労働運動

(2,昭和前期の石Ⅱl県におけ る労働運動

㈱福井県労働運動史 剛山梨労働運動史

(31)長野県社会運動史 02)岐阜県社会運動史 (33)岐阜県労農運動史思い出

(30静岡県労働運動史

鯛同上(資料上・戦前縄)

㈱同上(略年表1912~75)

(3D愛知民衆運動の歴史 綱名古屋地方労働運動史

㈱愛知県労働運動史(縞)

側三重県労働運動史 (11)同上(戦前概説)

千莱県労働組 合連合協繊会 堅山利忠

横浜社会問題 研究所 斉藤弥一郎 内藤弘正 石Ⅱ|県社会運 動史刊行会

同上

福井県労政課 IfI府労政事務 所

青木患一郎 同編纂委員会 坂井由衛

同綱さん委員 会

同上 同上 伊藤英一 斉藤勇

同上 同研究会 三砿県労政課

労働旬報社

神奈Ⅱ1県労政課

同左

同刊行会 同刊行会 同上

同上.

同左 同左

巌南堂醤店 同左 同遺稿巣刊行会

静岡県労働組合 評議会

同上 同上 翠香瞥院 風媒社 愛知1日友クラブ

同左 同左

1967年

1966年

1928年

1961年 1983年 1972年

1975年

1963年 1952年

1964年 1971年 1970年

1983年

1980年

1980年 1969年 1961年 1963年 1966年

A5356頁分

B51111頁

A586頁

A5207頁 A5530頁分 新番264頁

新書346頁

A5305頁 A5477頁

A5418頁分 A5764頁分 A5300頁

A5241頁

A5876頁

B531頁分

A5193頁

A5747頁

B56分冊

B5301頁

A530頁分

参照

関連したドキュメント

[r]

Council Directive (( /((( /EEC of (( July (((( on the approximation of the laws, regulations and administrative provisions of the Member States relating

(実 績) ・協力企業との情報共有 8/10安全推進協議会開催:災害事例等の再発防止対策の周知等

非正社員の正社員化については、 いずれの就業形態でも 「考えていない」 とする事業所が最も多い。 一 方、 「契約社員」

の主として労働制的な分配の手段となった。それは資本における財産権を弱め,ほとん

c マルチ レスポンス(多項目選択質問)集計 勤労者本人が自分の定年退職にそなえて行うべきも

労働者の主体性を回復する, あるいは客体的地位から主体的地位へ労働者を

関係の実態を見逃すわけにはいかないし, 重要なことは労使関係の現実に視