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A 非制限的副詞節についての覚え書き

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(1)

静岡大学教育学部研究報告 (人文・ 社会科学篇)第52号

(2002.3)139〜

148

非制限的副詞節 につ いての覚 え書 き

A Note on Nonrestrictive Adverb Clauses

 

  

Megumi UcHDA

(平13年10月 9日受理)

0.は じめに

when,because,though,ifな

どの従属接続詞 によって導かれる副詞節 は、それ らを含む構文全体 の情報量を豊かにする役割を果た している。それは主節の命題内容に対 して、時を明示 したり、理由 や条件を述べたりする機能を意味的には果たす ことになる。 また統語的には動詞句あるいは文全体を 修飾する関係のどちらかを示す。 さらにこの意味 と統語の側面は使用 される場面によって語用論的に 微妙 に異なって くることが多い。

本稿では理由を表す副詞節 について、意味 と統語の面か ら考察する。具体的には

because節

を中心 に取 り上げ、類似 した意味を表す

as節

や関係代名詞節 と比較検討をする。 1節 では

2種

類の意味を持

because節

について意味 と統語の特徴を分析する。

2節

では

asを

取 り上 げる。特に

asは

接続詞 と関 係詞の用法があるので、

wh型

関係詞節の非制限的用法 と対比 して論ず る。

3節

では、非制限的用法

と制限的用法全般 について 1節 と

2節

で分析 した結果を参考に考察する。

1。 becauseの 文法

1。

l becauseの

意味論

because節

の もつ意味については、主節 との関係で多義性が生 じる。

(1)の

よ うに

2種

類のbecause 節が一度 に使用 される場合が特 に顕著 になる。

(1)He's absent from dass because he's sick,because his wife just told me。

(安

井 1987)

(1)は

「病気だか ら彼 は授業 に来 ません。 なぜな らばたった今奥 さんか ら連絡があったか ら。」 という 意味になる。

because he's sickは

「彼が来 ない」 という事態を直接的に説明す るものであ り、他方

because his wife just tOld meは

補足的に病気で彼が来ないことに対 して話 し手 としてのその根拠 を付記 していることになる。前者を「制限的用法」、後者を「非制限的用法」 と通例呼んでいる。 さ らに

(場

の例を見てみよう。

(2) 

ohn smOkes(,)because he has cigarettes in his hOuse。  (廣

 1998)

139

(2)

(2)は

「 自宅 にたばこがあることが原因で ジョンは喫煙す るに至 っている。」 という解釈 と「 自宅にた ばこが置いてあるという事実か らジョンは喫煙者 に違いない」 という推論の解釈を もっている。前者 は

because節

の内容が主節命題の原因を示 しているのに対 して、後者 は主節命題の推定的判断を結論 として導 くための論拠を

because節

が提示するという意味機能を果たす。

また、否定辞が入 った次の文にも多義性が生 じる。

(3) 

ohn didn't sell his bike because the gears broke。

(JohnsOn 1994)

(3)に

は「 ジョンはギアが こわれていたのでバイクを売 らなか った」 という解釈 と「 ジョンは バイクを 売 ったがそれはギアがこわれていたためではなく他の理由による」 という読みの

2通

りが可能である。

1

すなわち否定辞のかか り方が前者 は主節だけに留 まっているのに対 して、後者 は文全体 にかか つてい

るか らこのような

2通

りの解釈が生 じる。 こうして見て くると、

because節

には理由を述べ るという 単純な定義の背後 に多様な意味が存在 しているようである。

1。

2 becttseの

統語論

(1)‑6)の

例をで見た

2種

類の用法 は統語的にも興味深い対称性を示す。そこでさまざまな統語操作 をお こない、容認可能性のゆれを検証 してみよう。

まず、主節 と非制限的

because節

の間にはコンマが置かれることが通例である。 しか しなが らこの 単純な区別 は

(1)で

は効果的であるが、

9)や(3)か

らすべての場合 に通用 しないことがわかる。 コンマは あ くまで も解釈上の参考 となる日印にす ぎない。ただ しこのような事実 はともか く、 コンマがあるの は制限的

because節

ではないということだけは最低限言えそ うである。

 

第 2に 制限的

because節

は分

裂文の焦点の位置に生 じるが、非制限的

because節

は生 じることは原則 としてない。

(1)を

使 って試 し てみる

(安

 1987参

)。

(4) a. It is because he's sick that he's absent from class.

b。

*It is because his wife just told me that he's absent from cltts.

このことは担 っている情報量の差に還元で きる。すなわち新情報が配置 される

it.…th乱

の位置には、

付加的な情報である非制限的

becautte節

はそ ぐわないことになる。

第 3に 非制限的

because節

は文頭、文末の両方 に現れ るのに対 して、制限的

because節

は文頭 に く ることはで きない。 これは制限的用法が一般的に主節命題に対 して コメントをす るということか ら導 きだせる帰結である。

(5) Because the gears broke, John didn't sell his bike.

(5)の

ように

becttse節

を前置す ると「 ジョンはギアが こわれていたのでバイクを売 らなか った」 とい う解釈 に統一 されて、 「 ジョンはバイクを売 ったがそれはギアが こわれていたためではな く他 の理由 による」 という読みは出て こない。

第 4に 制限的

because節

は疑間の作用域 に入 るが、非制限的

because節

は入 ることがで きない。

(1)

を基本 に操作を加えて調べてみよう。

(3)

非制限的副詞節についての覚え書 き

(6) a. Is he absent from class because he's sick.?

b.Is he absent from class,because his wife just told me?

(6a)は because節 まで含 めた ものが疑問文の対象内容 とな り、 (6b)は

because節

は疑間文で尋ね る内容 にはな らない。

(6a)はbecause節

は因果関係

(原

)を

示 し、

(6b)は

主節 に対する動機

(推

)を

示 している。

第 5に 付加疑問文 について考えてみよう。付加疑間にする部分 は断定を示す情報量が多い部分であ

る。

(7) a. John didn't sell his bike because the gears broke, did he?

b.?John didn't sell his bike because the gears broke, didn't they?

(7b)の よ うにbecause節 の内容 を問 い返す ことは、情報量が きわめて多 い場合 を除 いて少 ないと言 え よ う。

6に

否定 との関係 を見 てみ よ う。 制 限的

because節

は否定 の作用域 に入 るが、非制 限的bemuse

節 は入 ることがで きない。

(8)Tom didn't beat his wife(,)be(2use he liked her.

)は「 トムは奥 さんを愛 していたので殴 ったわ けで はない」 とい う解釈 と「 トムは奥 さんを愛 してい るので殴 らなか った」 とい う2通りの解釈 が可能 にな る。す なわち前者 は否定辞 の作用域が文全体 ま でおよぶ制限的用法であるのに対 して、後者 は非制限的用法であ り作用域が主節 に限定 される。1.

3節で はこの2種類 の解釈 を反映す る根拠 あるいは区別す る理 由を派生過程や内部構造の違 いに求 め てみ よ う。

1.3 becttse節の派生

ohnson(1994)は 2種類 の解釈 が存在す るのは構造 の違 いに由来す ると している。

(9)=(3) John didn't sell his bike because the gears broke。

(JohnsOn 1994)

(9)は「 ジョンはギアが こゎれていたのでバイクを売 らなか ったのではない」 とい う制限的用法 と「 ジョ ンはギアが こゎれていたのでバイクを売 らなか った」 という非制限的解釈が可能である。ついでなが 0)の主節 とbecause節 (従属節)の順序 を入れ替 えてみよ う。

101=(5) Because the gears broke, JOhn didn't sell his bike.

この場合 は非制限的な解釈 しかで きない ことになる。 なぜな らば否定辞nOtは その前 に位置す る節 に まで作用域 を広 げることはで きないか らである。」ohnson(1994)は次 のよ うな内部構造 を仮定 して いる。2

141

(4)

〃 u

b.

PP

IP

       IP

RR 

VP because

 7  D…

Ma・

Iittl tギ

≒ ,倣 )gears  I    VIP │ 

V

Y    DIP      brlke

sell   his bike

DPi

Mttty

didn't

V  DP sよ

l his lke

Group I

taの

ような階層構造を提案 して、

IP

D∩

gelrs  I′

//`

ミ 局

VF

br↓

ke

(a―

b, Johnson 1994)

(Nakaiima 1982)

文 はVの最大投射V4でぁ るとい う立場 を基本

use the ca

be

(1la)で

nOt(didn't)はbecause節

を構成素統御 (c―

command)で

きないので、

becttse節

はnOt

の作用域 に含 まれない。 したが って否定の解釈が

because節

に及ばない形すなわち非制限的

because

節 の内部構造が この タイプに相当す る。一方、

(1lb)で

nOt(didn't)がbecause節

を構成素統御

(c―

commttd)し

ているので

because節

を作用域 にす る。 ゆえに

notは

主節 と同 じく

because節

を も否 定す ることになる。 これが制限的

because節

の内部構造 と仮定 される。

2種

類の

because節

の存在の根拠を構造の違いに求める分析 は

Nakaiima(1982)で

も見 られる。

Nakaiima(1982)で

は、X'理 論 に基づ くと副詞 はグループごとに内部構造で占める位置が異 なると いう分析を提示 している。本節に関係のあるところをまとめるとは

2の

ようになる。

l121

v3

v2

Group IV because(nonrestrictive) Group III

轟 。up 

 bemuse(restrictive)

V Nakaiima(1982)

(5)

非制限的副詞節についての覚え書 き

に副詞節 はこのいずれかの階層に付加 されると主張 している。その根拠 は〔Эのようにまとめ られてい るが、

1.2節

で観察 した例を表の右側 に書 き加えてみる。

IV

do soに

よ る置換

Ok

* * *

分 裂 文 の 焦 点 Ok

Ok * * )

否 定 の 範 囲 内 Ok

Ok * * )

主 語 省 略 Ok Ok Ok

*

文 頭 前 置 Ok Ok Ok

* 101

疑 問 文 に 生 起 Ok Ok Ok

* )

本稿 に関連 したところのみに絞 ってみると、 グループIVに

because節

の非制限的用法が、 またグルー プⅡに

because節

の制限的用法が属 している。 グループⅡは

VPの

意味を制限する機能を果た している。

一方 グループIVは いわゆ る文全体 にかか る副詞節 と言 え る。 また

10の

否定辞

nOtの

位置か らして

ohnson(1994)で

分析 された

0つ

と同様 に、否定の作用域の問題 も解決できる。個々の副詞節 には

Ca

の例外 もあるだろうが、

2種

類の

because節

に対 しては明示的な説明を与えて くれる分析である。

これに対 して、制限 と非制限の区別を内部構造 に求めるのではな く、

because節

の修飾機能の違 い であると主張す る考え方がある。次のような遂行節 (performative clause)3を 仮定 して再び

(1)を

用 いて検討 してみよう。

α O ISAY TO YOU he's absent from class because he's sick,because his wife iust tOld me.

〔 ので

I SAY TO YOUは

遂行節を表す ものとす る

(Rutherford 1970)。

遂行節 は平叙文で断定機能 を もつ文の根底 にあるという特徴がある。まず非制限的

because節 (because his wife iust tOld me)

は遂行節を修飾 して話 し手の主張の動機 または根拠を表す。 これに対 して制限的

because節 (because

he's sick)は 主節 を修飾 して事態の理由を表す と分析 される。 このように遂行節を仮定すると、

2

種類の

because節

は修飾関係の違いか ら導 きだされることになる。

1。 3節

では

2種

類 の

because節

は内部構造が

2種

類あることに由来す るとい う考え と、 もともと は 1種 類の

be―cause節

が異なる部分を修飾することに由来するという分析を概観 した。次節では

beca useと

類似 した意味を持つ ことがあ り、かつ非制限的用法 も議論 になるという理由で

asと

関係代名詞 whichに ついて調べてみたい。

2.接

続詞

asと

関係代名詞

as

asは becauseと

異 な り、品詞だけで分類 して も接続詞、関係詞、前置詞の

3種

類がある。 そ こで

2

節では 1節 の

becauseお

よび

wh型

非制限的関係詞節 と関連させなが ら接続詞 と関係詞の

2種

類にしぼっ て考えてゆ くことに しよう。

接続詞

asに

CDに

見 られるように、 「 〜なので」、 「 〜につれて」、 「 〜のように」 という意味がある。

CD a.As Tom was eldest,he looked after the other。

(]理

)

143

l131

(6)

bo As a tiger stalks his prey,they hunted him.(様 態

)

c.As he grew older,he becttne more silent,(比例

)

本稿では

because節

との関連で理由の

as節

に限定 して見てゆ く。類似 した意味を もつ接続詞

because、

sinceそ

して

asを

比較 してみよう。

まず分裂文の焦点 に組み込む と

because節

だけ容認可能 になる。 ただ しこの場合の

beCause節

は制 限的用法に限 られる。

00 1t was because/*since/*as he was sleepy thl鶏

he was careless.

第 2に 主節 に遂行動詞を含むかどうかによって差異が生ず る。pronounceと いう遂行動詞が従属接続 詞の用法 に制限を与えるのか もしれない。

llつ

  *Because/Since/As the records show that neither of you has VI), I hereby pronounce you man and wife。

(安

井  1987)

第 3に

why疑

問文 に対す る答えの文 になるかどうかを調べてみると

becauseを

用いた場合のみが正 し い応答になる。

l181  Why isn't he conling to class?"

Because/?Since/?As he is sick."

また選択疑問文や選択否定文で対立することがで きるかどうか という点で異なる。

091 He is nOt coming not because/?since/*as he is sick but because/?since/*as he dOesn't

like school.(ibd.)

10か

19の

検証か ら、i)こ れ ら

3種

類の理由を表す接続詞の中で も

becauseとasは

対称的な容認可能 性のゆれを示す、

ii)sinceが

3つ の中では中間的な位置にある、面)becauseは 非制限的用法では

00

の構文 に生起で きないことか らして、主節 に対す る制限力の差異が この

3種

類の接続詞 にはあると推 測で きる、 ということをおおまかにではあるが主張す ることが可能である。

次 に完全な副詞用法ではな く、

asの

関係代名詞的な用法 についてwhichと の比較検討を中心 に調べ てみよう。

asは

主節全体

(文)を

先行詞 としているのに対 して、whichは 名詞句 と文のどち らで も先 行詞 とす ることはよ く知 られているが、それ以外の類似点 と相違点を分析す ると次のようなことが上

げられる。 まず

asと

whichが生起する位置について考えてみよう。

201 ao As/*Which you probably know, Kingston is the capitd of Jamaica.

b.Kingston as/which you probably know,is the capital of Jamaica.

c. Kingston is the capital of Jama■

ca, as/which you probably know。

(a―c, 

佐虜 晨

 1997)

(7)

非制限的副詞節についての覚え書 き 145

201に

見 られるように、

as節

は文頭、文中、文末のいずれにも生起するが、which節 を文頭にだけ置 く ことはできない。先行詞がないと成立できない

wh型

関係詞の性質から導かれる当然の帰結である。

第 2に 、器節は節内の主語または目的語の位置に空所がある点、さらにそこを

itで

埋めようとすると 非文になる点でwhich関係詞節と同 じふるまいをする。

鬱 〕 a.John is sick which/Ett  φ was well known.

b. John is sick which/as  φ the doctor concluded  φ

. m a. John is sick *which/*as 

φ

 jι is reported to the doctor.

bo John is sick*which/*as you know jι 。

(20‑m,山

1985)

第 3に 、

asが

主語の位置にあるとき、述語動詞は

beお

よびその他の連結動詞でなければならないが、

whichが主語位置にあるときにはそのような制限はない。

231 ao She has married again,as l*iii::伸 atural.

b・

 She has married again, WhiCh l 11:神 aturiluirk et al・

 1985)

第 4に 山中 (1985)に よれば、

1人

称の主語 と単純現在形の思考動詞をもつ

̀I think'や ̀I believe'

などの表現は

as節

には起 こらない。ただ し、同 じ動詞でも過去形になると

as節

に起 こることが可能に なるという事実 も指摘されている。

 ao We draw a prize, I think/*as l think。

b. Allan is going tO make a speech tonight, I believe/*as l believe.

ω  ao We draw a prize, I thOught/as l thought.

b. Allan is going tO make a speech tonight, I believed/as l believed.

―の

,山

1985)

このように

asと

whichは 重なり合 う特徴よりも異なる特徴が意外に多いことがわかる。

asは

副詞とし ても関係代名詞 としても、独自の定義づけが必要であるように思われる。

3。

制限節と非制限節

2節

asと

比較されたwhichは 、文全体を先行詞とする場合には類似 した特徴を示すように思われ る。 ここで関係代名詞の非制限的用法についてその特徴を押さえておく。

第 1に 主節に対 して

alldで

はない接続詞を用いている場合と類似 した意味になる。

261 a. Lying is a great sin against God, who gave us a tongue to speak truth and not

falsh00d.(福 地

 1985)

(8)

b. Lying is a great sin against God, because God gave us a tongue to speak truth and

not falshood.

(n) a. Ann thanked her teachers, who had been very helpful.

b. Ann thanked her teachers, because she had been very helpful.

(26a)、

(27a)は それぞれ

(26b)、

(27b)の ように

because節

で書 き換えが可能である。

第 2に 非制限的関係節 は主節現象 としての倒置が起 こる場合がある。

CI$ a. The rotunda, in which stands a statue of Washington, will be repainted.

b.*The rotunda in which stands a statue of Washington will be repainted.

(Hooper and Thompson 1973)

第 3に 非制限的関係節は疑問文や命令文の中に生 じることができる場合がある (Ross 1986,長 原

19902ヽ

周 照 )。

CI9) Has John, who was here a minute ago, left? (McCawley 1981)

CI0) Go to Cincinnati, which is on the Ohio River. (Jackend otf. t977)

第 4に 非制限的関係節 は否定の作用域 に含まれないので、その解釈 は排除される。

1311 a. I didn't see the man who brought the strawberries.

b.*I didn't see the man, who brought the strawberries.

第 5に 非制限的関係節 は数量詞の作用域に入 らないので、(31b)と 同様にその解釈 は成立 し ない。

1321 ao Everyone there had a wife who 10ved hiln.

b.*Everyone there had a wife, Wh0 1oved hiln.

このような非制限的関係節の分析結果 は

because節

as節

にすべて共通のものではないが、非制限節 が もつ基本的な特質であるように思われる。非制限節 は独立節あるいは同格節 と呼ばれる ことか らも 推測できるように、非制限節には独 自の発話行為がなされている場合がある。そ の場合 は主節 との関 連性 は薄れると同時に情報の重要度 も主節 と同等の ものになる場合がある。 このために側のように主 節現象の倒置が起 こったり、

29や 00の

ように疑間文や命令文 に現れることができる。 さらに、非制限 節 は情報量 について も新情報ではあるものの、 きわめつけの新 しさをも って相手 に訴えたいものはな

いと思われる。

次 に副詞節 について制限節 と非制限節 という観点か ら議論 してみよう。

because節

as節

の一部 も

ここに含 まれる。 まず情報構造か ら分析 してみると、 「 旧一新」 の原則的順序 に従えば、文末 に置か

れる副詞節 は新情報を担 うことになる。 また仮 に主節が新情報を担 う場合にも統語構造 で上位にある

ということか ら説明される。 しか し、新旧の区別が判然 としない場合がある。非制限的な副詞節 は断

定 される。次のような例を福地 (1985)は あげている。

(9)

非制限的副詞節についての覚え書 き 147

1331 They must be Disney freaks,because on the wall is a huge poFtrait of]Donald Duck.

(利 ヨ劇 也

 1985)

1331はbecauseに

導かれる副詞節の中で語順転倒が起 こっているが容認可能である。

以上の現象か ら

(1lb)の

内部構造が さらに変化 して、

becttse節

が「格下 げ

(downgrade)」

され て、

(1la)の

ように変化 していったと考えて もさ しつかえないように思われる。 いったん格下 げさ れると主節に近い現象が強い制約を受 けないで起 こって くると考えると妥当な説明に結 びつ く。

また

1331か

らも明 らかなように非制限節 は内容が断定的である。 したが って主観を表す役割を担 うモ

ダ リテ ィ

4と

は相 いれな い。 その証拠 と して モ ダ リテ ィを表現 す る代表 的 な動詞 で あ る

think、

beleive、 seem、

appearな どの動詞が現在形で非制限節 に現れ ることはない。 この ことか ら、非制限 節 はコメントを扱 う場合にも、より客観性のあるものを好み、主観性の強いコメントは避 ける傾向が あると分析で きる。主観性の強いものは挿入節 として文中に盛 り込 まれることができるので、挿入節 と非制限節 はモダ リティという基準ですみわけが成立 しているように思われる。

4.結

本稿では、非制限節 について議論 した。 1節 では

becauseに

導かれる副詞節 について制限節 と非制限 節の意味的・統語的特徴を分析 した。

2節

では関係詞 と接続詞の両方の顔をもつ

asに

ついて制限リト制 限 という角度で

wh型

非制限関係詞節 と比較 しなが ら検討 した。

3節

では制限 と非制限 という概念そ の ものについて考察 した。両者の統語構造 は異なるものであると言えるが、制限節の構造が格下げ現 象を起 こして非制限節の構造に変化 したのではないか ということ、

wh型

非制限関係詞節、

because節

as節

と ¶ think'な どのモダリティを表す挿入節、そ して文副詞には断定性や話者の心的態度をどの 程度表現で きるかによって用法に一種のすみわけがあるように思われる。今後 この

2点

について検討 課題 としてゆきたい。

1.Johnson(1994)に

よれば、前者を

negated head reading、

後者をnegated attunct readingと 呼んでいる。

2.α

〕は動詞句内主語仮説

(VP―

internal Suttect hypothesis)の 立場を取 っているので、主語は動 詞句内に痕跡を残 して移動 した結果を示 している。

3.遂

行分析

(perfα

mative analysis)は 「遂行文 と非遂行文の基底構造は同一である」 という立 場を採用する。

SAY/TELLは

平叙文、 ORDERは 命令文、

ASKは

疑間文の遂行動詞を表 し、す べての構文はこれらのどれかを主節に採り、補部として埋め込まれたものと仮定する。

4。

モダリティとは話者の命題に対する心的査定を意味する。瞬時的現在時を有する。

*本

稿 は平成

12年

度科学研究費補助金「英語及び日本語の副詞類の実証的、理論的研究」

(基

盤研究

lCl(2)課

題番号

12610488、

研究代表者 秋

 

孝道

)の

助成を受 けている。

参 考文 献

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1983.  A Restriction On Sentential Relative As―

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(10)

Fukuchi,H.(福

地肇

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談話の構造』 新英文法選書

10東

,大

修館

.

Hirose,Y。 (廣

瀬幸生

)1998。

「構文間の継承関係―

because節

主語構文の構文文法的分析」英語青年

12月

,511… 514.

Hooper,J and S.A. Thompson. 1973. 

On the Applicability of Root Transformations,"

Ljんg

貴〕 ι

jc Lαztjァ

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