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「平成14年血液法改正における献血者数の変化についての研究」

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平成 14 年血液法改正における献血者数の変化についての研究

〈要旨〉

本稿では,平成 14 年の血液法改正に着目し,同改正による献血者数の変化に

ついて実証分析を行った.

本研究では,同改正をきっかけとして献血者への処遇品としての金券の配布

を中止したため,献血者数が減尐したという仮説を立てた.

実証分析の結果,仮説のとおりに同改正によって献血者数が減尐したことが

示され,献血者が処遇品の金銭的インセンティブに反応することが明らかにさ

れた.また,献血者の属性によって,処遇品の金銭的インセンティブへの反応

の仕方が異なることが明らかとなった.

これらの結果を踏まえ,より効率的に献血者を集めるための政策提言等を行

った.

2011 年 (平成 23 年) 2 月

政策研究大学院大学 まちづくりプログラム

MJU10049 小野寺 容資

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2

目 次

第 1 章 はじめに.

..

.3

第 2 章 献血の現状と平成 14 年血液法改正の概要.

.4

第 3 章 実証分析1 基本的分析.

..

.5

3-1 データ.

.6

3-2 推計式.

.7

3-3 被説明変数及び説明変数.

..

.8

3-4 推計結果.

.9

3-5 考察.

.9

第 4 章 実証分析2 応用的分析.

..

.10

4-1 データ.

.10

4-2 推計式.

.12

4-3 被説明変数及び説明変数.

.12

4-4 推計結果概略.

.14

4-5 考察.

.15

第 5 章 まとめと政策提言.

..

..

..

.15

第 6 章 今後の課題.

..

.16

補論.

.17

参考文献.

.23

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3 第 1 章 はじめに* 血液はいまだ人工的に製造することができず,病気や怪我の治療に必要とされる輸血 用血液製剤の原料となる血液は,国民の善意による無償の献血により支えられている. 我が国の献血者数は昭和 60 年度に延べ約 876 万人を数えたが,平成 21 年度には延べ約 530 万人まで減尐している.尐子高齢化によって血液需要の増加が見込まれている中で, 血液製剤の安定供給は国家的な重要課題の一つとなっている.にもかかわらず,我が国 では国民の献血に対する意識改革のためのキャンペーンばかりが目立ち,献血者がどの ようなインセンティブに基づいて献血を行ったり,行わなかったりしているのかという 実証研究はほとんどなされてこなかったという現状がある.したがって,献血者がどの ようなインセンティブに反応しているのかを知るための研究は,有意義かつ時機を得て いるものといえよう. 本稿では,無償であるとされている献血であっても,実は献血時に配布される処遇品 (おまけ)の価値が重要であると考え,人々は献血の処遇品の金銭的インセンティブに 有意に反応していることを証明する1.そこで平成 14 年の血液法改正に着目する.この 制度改正によって,処遇品として図書券等の金券の配布が中止されたことで,献血者が 感じる処遇品の価値が低下したと考えられるからである.この制度改正が原因で統計的 に有意に献血者数が減尐したことを実証分析により明らかにする.実証分析は基本的分 析と応用的分析の2つを行う. まず,基本的分析では,制度改正が原因で献血者全体が減尐したことを証明する.サ ンプルは平成 12 年から平成 18 年までの都道府県別パネルデータを用いて,最小二乗推 定法及び固定効果モデルにより推定を行った.その結果,両方の推定結果から制度改正 が原因で献血者が減尐したことが 1%の水準で統計的に有意に示された.固定効果モデ ルでは,3.5%の減尐が示された. 次に,応用的分析では,献血者を世代別・男女別に分けて,どの層が制度改正に有意 に反応しているかを明らかにする.サンプルは平成 12 年から 18 年までの都道府県別パ ネルデータを用いて,最小二乗法推定法及び固定効果モデルにより推定を行った.固定 効果モデルの結果より,10 代男女の献血者,20 代男女の献血者,40 代女性献血者及び * 本論文を執筆するにあたり,主査としてご指導をいただいた安念潤司客員教授に感謝の意を表する.そ して,梶原文男教授,西脇雅人助教授及び田尾亮介講師には副査として本論文の細部にわたりご助言とご 指導をいただいた.ここに感謝の意を表する. また,福井秀夫教授 (プログラム・ディレクター) をはじめ,まちづくりプログラムの教員各位及び 知財プログラムの教員各位には,適切なご助言をいただいた.ここに感謝の意を表する. そして,日本赤十字社には,照会に応じていただき,貴重な情報を教示いただいた.ここに感謝の意を 表する. 最後に,1 年間の研究生活をともに過ごしたまちづくりプログラムの学生各位に謝意を表したい. なお,本論文における見解及び内容に関する誤りは,すべて筆者個人に帰属する. 1 レヴィット,ダブナー (2007) に,献血と金銭のインセンティブの関係が記述されている.しかし,本 稿の研究とは逆に,献血者に対して尐額の奨励金を支払うことは献血者数を減尐させることを示唆してい る.

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4 50 代女性献血者が,制度改正が原因で減尐したことが 10%以上の水準で統計的に有意 に示された.特に減尐幅が大きいのは 10 代女性献血者であり,制度改正により 18.2% の減尐が示された. なお,本稿の以下の構成は次のとおりである.まず,第 2 章において献血の現状と平 成 14 年の血液法改正の概要を説明する.次に,第 3 章では基本的分析として献血者全 体についての分析を行い,第 4 章では応用的分析として世代別・男女別の献血者につい ての分析を行う.そして,第 5 章では実証分析のまとめとそれを踏まえた政策提言を行 う.最後に第 6 章で今後の課題について述べる.さらに補論においては,第 4 章の応用 的分析の各世代別・男女別推計結果の詳細を記載している. 第 2 章 献血の現状と平成 14 年の血液法改正の概要 我が国において制度としての献血は,昭和 27 年の日本赤十字社による完全無償の血 液銀行の開設に始まる.しかし,当時の日本では血液を無償で提供することに対して多 くの賛同を得ることはできず,この当時の献血実績は年間 1,000 件足らずであった.こ の時期に日本の供血を担っていたのは,日本ブラッドバンクに代表される民間の商業血 液銀行であった.すなわち売血が当時の日本の輸血体制を支えていたのである.昭和 30 年代までは輸血用保存血液のほとんどが売血による血液によってまかなわれており, 日本赤十字社でさえも一時買血を行っていたほどである.その後,ライシャワー事件2 をきっかけに政府が献血制度の推進を掲げたことによって献血の割合は上昇し,昭和 44 年以降は売血による輸血用保存血液は姿を消すこととなった.そして,昭和 49 年以 降は輸血用保存血液の 100%が献血によってまかなわれることとなった3 それ以後,日本の輸血用保存血液はすべて無償による献血によって支えられてきたわ けであるが,献血は売血と異なり献血者の善意に頼る制度であるため血液の安定的な確 保が売血よりも難しく,血液の安定的な確保は常に問題となっていた.その流れの中で, 昭和 60 年には 400ml 献血と成分献血が導入されることとなる.ところで,この無償と いう概念の中にはいわゆる「献血のおまけ」である処遇品を配布することは含まれてお らず4,献血者を集めるために処遇品としてお菓子や飲み物のほか,500 円分の図書券や 2 昭和 39 年 3 月 24 日,当時の駐日アメリカ大使のエドウィン・O・ライシャワーが,駐日アメリカ大使 館前で暴漢に襲われた暗殺未遂事件.その治療の際に使用された輸血用血液によってライシャワーは血清 肝炎に罹患した.その輸血用血液が売血によるものであったため,社会的に売血制度への批判が巻き起こ った. 3 売血と献血の制度の他に預血と返血という制度が存在した.預血とは,あらかじめ血液を提供しておく ことで本人又はその家族が血液を必要とした時に優先的に血液の提供を受けることができる制度である. 返血とはその逆の制度である.これらの制度が併存していたことが,売血による輸血用保存血液の割合が ゼロになった後でも献血による割合が100%にならなかった理由である. 4 赤十字国際会議での献血者の定義によると,献血ボランティアの行為は,反対給付を求めないで自らの 意思で血液を提供することだが,その時に簡単な記念品や軽食等を配ることは,無報酬の献血と両立する との見解を示している.

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5 テレフォンカードなどの金券を配布する例が見受けられた.この金券の配布は血液法の 改正まで続くこととなる. 本稿で着目する平成 14 年の血液法の改正は,薬事法及び採血及び供血あつせん業取 締法の一部を改正する法律 (平成 14 年法律第 96 号) によって行われた.血液製剤に ついて,非加熱製剤による HIV 感染問題等を踏まえ,その安全性の向上に加え,安定供 給の確保を図るための法的な枠組みの整備が必要とされてきたことがこの改正の背景 として挙げられている. この改正によって血液法はその正式な題名を,「採血及び供血あつせん業取締法」か ら「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に改正された.同時に,法の目 的・基本理念が定められ,関係者の責務が明確化されるとともに,計画的に血液製剤の 国内自給を推進し,需給バランスをとりつつ血液製剤を安定供給すること等が定められ た.ちなみにこれまで法律上献血者は「被採血者」と規定されていたが,この改正によ って「献血者」と明記された. そして,改正後の血液法第 16 条5には,何人も,有料で採血してはならないという規 定が追加された.この規定は平成 14 年 7 月から施行された.日本赤十字社は,この規 定を厳格に運用するために,平成 14 年 11 月から処遇品としての金券の配布を中止した. この制度改正後,金券の代わりとしてお菓子や飲み物の処遇品が増えたほか,現在で は物以外のサービスも増えている.例えば,献血中の占いやマッサージ,DVD 鑑賞,さ らには気功ヒーリングまでサービスとして受けることができるようになった6.意外な ことであるが,日本赤十字社血液事業本部へのヒアリングによると,制度改正の前後を 比較しても献血者1人当たりの処遇品のコストにはほとんど変化がないとのことであ った. しかし,1人当たりの処遇品のコストに変化がないとはいえ,処遇品が金券と占いで は献血者にとっての処遇品の価値は異なるものと考えられる.したがって,平成 14 年 の制度改正によって,献血者にとっての処遇品の価値が低下したことで献血者が減尐し たという仮説を設定した. 第 3 章 実証分析1 基本的分析 本章では,基本的分析として,制度改正が原因で献血者全体が減尐したことを証明す るための実証分析を行う.まず 3-1 において,使用するデータとその出典等を明らかに する.次に,3-2 において推計式の説明を行うとともに,3-3 において被説明変数及び 説明変数の説明を行う.そして,3-4 において推計結果を示し,その結果に基づき 3-5 5 第十六条 何人も,有料で,人体から採血し,又は人の血液の提供をあつせんしてはならない. 6 新宿西口献血ルームを例にとると,平成 23 年 2 月の献血者へのイベントとして,毛髪チェック,運勢占 い,ネイルカラー,タロット占い,手相占い,ハンドマッサージ,カラーコーディネート,気功,九星占 い,メンタルセラピー等が実施されている.

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6 において考察を加える. 3-1 データ 基本的分析では,都道府県ごとの献血者数の対数値を被説明変数とし,15-64 歳人口 の対数値,1 人当たり都道府県民所得の対数値,生活保護受給者割合の対数値,採血バ ス数の対数値を説明変数として用いている.そしてダミー変数として制度改正ダミーを 用いている.サンプル期間は,制度改正があった平成 15 年7を中心に前後 3 年,合計 7 年分のデータを収集した.したがってサンプルサイズは 329 である. データの出典について,献血者数は,日本赤十字社『血液事業の現状』平成 12 年か ら平成 18 年までより引用した.これは日本赤十字社血液事業本部が毎年発表している 統計資料である.ここでいう献血者とは,献血申込後に簡易検査や問診を経て実際に献 血を行った者の人数をいい,単位は人である. 15-64 歳人口は,総務省統計局『人口推計』より引用した.ここには毎年 10 月 1 日 現在の各都道府県の年齢 3 区分別の総人口を記載されており,その中から 15 歳から 64 歳までの区分の人口を利用した.単位は千人である. ただし,平成 12 年及び平成 17 年に関しては,『国勢調査』よりデータを引用した. 他の年次に合わせるために,各都道府県の 5 歳階級の総人口のうち 15 歳から 69 歳まで の人口を足し合わせ,1000 で除した値を利用した. 1 人当たり都道府県民所得は,内閣府『平成 19 年度県民経済計算』より引用した. そのうち「1 人当たり県民所得」から平成 12 年度から平成 18 年度までの部分を利用し た.単位は千円である. 生活保護受給者割合は,厚生労働省『社会福祉事業報告(福祉行政報告例)』平成 12 年度から平成 18 年度までより引用した.そのうち「被保護実人員及び保護率 (人口千 対) ,都道府県‐指定都市‐中核都市×月・1か月平均」より年度保護率を利用した. 単位は人口千対である. 採血バス数は,『血液事業の現状』平成 12 年から平成 18 年までより引用した.デー タは各年 12 月 31 日現在の各都道府県の献血バスの数である.単位は台である. 制度改正ダミーは,平成 15 年以降について1を,平成 14 年以前について 0 をとるダ ミー変数である8 7 実際に制度改正があったのは平成 14 年 11 月であるが,本稿では,データの制約上平成 15 年から制度改 正があったものとみなしている. 8 本来であれば,日本赤十字社が金券の配布を中止した平成 14 年 11 月以降を1とすべきであるが,デー タが年単位であるため,平成15 年以降を1とした.

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7 これらの変数の基本統計量は以下の表 1 のとおりである. 【表 1】 基本統計量 観測数 平均値 標準誤差 最小値 最大値 ln (献血者数) 329 11.383 0.710 10.213 13.342 ln (15-64 歳人口) 329 7.161 0.772 5.922 9.080 ln (1 人当たり都道府県民所得) 329 7.910 0.139 7.602 8.428 ln (生活保護受給者割合) 329 1.847 0.602 0.336 3.020 ln (採血バス数) 329 1.792 0.530 0.693 3.784 制度改正ダミー 329 0.571 0.496 0 1 3-2 推計式 基本的分析における推計式モデルは以下のとおりである. ln (献血者数)=α +β1×ln (15-64 歳人口)it +β2×ln (1 人当たり都道府県民所得)it +β3×ln (生活保護受給者割合)it +β4×ln (採血バス数)it +β5× (制度改正ダミー)it +εit α:定数項 β1~β5:パラメータ ε:誤差項 i :都道府県 t :年 この推計式モデルは,制度改正ダミーによってその献血者数に対する効果をとらえよ うとするものである.したがって,被説明変数は献血者数の対数値である. 推定は最小二乗推定法 (OLS) 及び固定効果モデル (FE) により行う.パネ ルデータを用いることで,観測できない要因を固定効果として取り除くことができるこ とから,固定効果モデルの方がより望ましいモデルであると考えられるので,分析結果 の解釈は固定効果モデルに基づいて行う.

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8 3-3 被説明変数及び説明変数 被説明変数:ln (献血者数) 各都道府県における献血者数の対数値を被説明変数とした. コントロール変数Ⅰ:ln (15-64 歳人口) 人口の増減に伴う献血者数の変化を表す指標として,各都道府県における 15-64 歳人 口(単位:千人)の対数値を用いた9 コントロール変数Ⅱ:ln (1 人当たり都道府県民所得) 機会費用の代理変数として,各都道府県における 1 人当たり所得(単位:千円)の対 数値を用いた. コントロール変数Ⅲ:ln (生活保護受給者割合) コントロール変数Ⅱと同じく機会費用の代理変数として,平均的な所得の大小に加え て,その中のばらつきも重要であると考慮した結果,低所得者割合を表す指標として, 各都道府県における人口千人当たりに対する生活保護者数の割合(単位:人口千対)の 対数値を用いた. コントロール変数Ⅳ:ln (採血バス数) トラベルコストの代理変数として,各都道府県の採血バス数(単位:台)の対数値を 用いた.なお,採血個所としては,献血ルーム等の固定された採血施設数も利用するこ とが考えられたが,1つしかない県が多いことや経年での変化が尐ないこと,採血バス 数との相関が非常に高いこと等から変数としては不適当と考え除外した. 制度改正ダミー 制度改正ダミーは,平成 15 年以降について1を,平成 14 年以前について 0 をとるダ ミー変数である.予想される符号はマイナスである. 9 献血可能な年齢は 16 歳から 69 歳までであるが,データの制約上近似的に 15-64 歳人口を用いた.

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9 3-4 推計結果 モデルの推計結果を表 2 に掲げる. 【表 2】 推計結果 被説明変数:ln (献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (15-64 歳人口) 0.773*** 0.022 2.622*** 0.291 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.073 0.071 -0.342*** 0.127 ln (生活保護受給者割合) 0.042*** 0.014 -0.042 0.054 ln (採血バス数) 0.212*** 0.032 0.108*** 0.028 制度改正ダミー -0.078*** 0.014 -0.035*** 0.011 切片 6.013*** 0.540 -4.785** 2.430 サンプルサイズ 329 329 within=0.594 決定係数 adjR²=0.969 between=0.968 overall=0.960 (注)***,**,*は,それぞれ 1%,5%,10%の水準で統計的に有意であることを示す. 表 2 から分かるとおり,制度改正ダミーの係数の符号は,OLSとFEのどちらの分 析においても 1%の水準で統計的に有意にマイナスとなり,予想どおりの結果が得られ た.より望ましいと思われる固定効果モデルに着目すると,制度改正が原因で献血者が 3.5%減尐したことが示された10 3-5 考察 この分析の結果から,献血者は処遇品の金銭的なインセンティブに反応していること が示された.処遇品が金券から金券以外のものに変化したという差によって,これだけ の差が生じていることから,献血者は,処遇品の価値の変化に敏感に反応するものと考 えられる.また,この結果から,処遇品としての金券の配布を再開することにより,献 血者数を増加させることが可能なのではないかと考えられる. 10 なお,本稿では被説明変数を,実際に献血を行った人の数である献血者数の対数値として分析を行った が,被説明変数を献血申込者数の対数値として同様の分析を行っても,同様の結果が得られ,制度改正ダ ミーがマイナスに有意であることには変わりがなかった.

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10 第 4 章 実証分析2 応用的分析 第 3 章の基本的分析の結果,献血者全体についての傾向として制度改正が原因で献血 者数が減尐したことが示された.本章では,応用的分析として,献血者を世代別・男女 別に分けて実証分析を行う.まず 4-1 において,使用するデータとその出典等を明らか にする.次に,4-2 において推計式の説明を行うとともに,4-3 において被説明変数及 び説明変数の説明を行う.そして,4-4 において推計結果の概略を示し,それらの結果 に基づき 4-5 において考察を加える. 4-1 データ 応用的分析では,世代別・男女別献血者数の対数値を被説明変数とし,世代別・男女 別人口の対数値,1 人当たり都道府県民所得の対数値,生活保護受給者割合の対数値, 採血バス数の対数値を説明変数として用いている.そしてダミー変数として制度改正ダ ミーを用いている.サンプル期間については,基本的分析と同じく平成 12 年から平成 18 年までの年別・都道府県別パネルデータを用いた.したがってサンプルサイズは 329 である. データの出典については,世代別・男女別献血者数は,『血液事業の現状』平成 12 年 から平成 18 年までの中から「年代別・男女別献血者数」を引用した.ここには各年度 の 4 月から 3 月までの累計の 10 代から 60 代までの男女別の献血者数が記載されている. 単位は人である. 世代別・男女別人口は,『人口推計』より引用した.ここには毎年 10 月 1 日現在の各 都道府県の年齢 5 歳階級別の男女別人口が記載されており,その中から 10 代から 60 代 までの男女別の人口を利用した11.単位は千人である. ただし,平成 12 年及び平成 17 年に関しては,『国勢調査』よりデータを引用した. 他の年次に合わせるために,各都道府県の 5 歳階級の男女別人口から 10 歳ごとに人口 を計算し,1000 で除した値を利用した. そして,1 人当たり都道府県民所得,生活保護受給者割合,採血バス数ついては,基 本的分析で使用したデータと同じものを用いている. 11 ただし,10 代人口については,献血可能な 10 代は 16-19 歳であるので,それに近似的に対応させるた めに,15-19 歳人口を用いている.

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11 これらの変数の基本統計量は以下の表 3 のとおりである. 【表 3】 基本統計量 観測数 平均値 標準誤差 最小値 最大値 ln (10 代男性献血者数) 329 8.226 0.785 6.585 10.234 ln (20 代男性献血者数) 329 9.400 0.743 8.219 11.650 ln (30 代男性献血者数) 329 9.581 0.727 8.082 11.613 ln (40 代男性献血者数) 329 9.432 0.666 8.371 11.195 ln (50 代男性献血者数) 329 9.018 0.723 7.822 11.783 ln (60 代男性献血者数) 329 7.675 0.860 5.940 9.646 ln (10 代女性献血者数) 329 8.324 0.793 6.592 10.522 ln (20 代女性献血者数) 329 9.257 0.757 7.750 11.643 ln (30 代女性献血者数) 329 8.946 0.734 7.781 11.052 ln (40 代女性献血者数) 329 8.562 0.687 7.369 10.290 ln (50 代女性献血者数) 329 8.349 0.779 6.849 10.237 ln (60 代女性献血者数) 329 7.092 0.999 5.106 9.520 ln (15-19 歳男性人口) 329 4.036 0.727 2.833 5.841 ln (20-29 歳男性人口) 329 4.806 0.833 3.526 7.007 ln (30-39 歳男性人口) 329 4.853 0.838 3.526 7.038 ln (40-49 歳男性人口) 329 4.825 0.745 3.555 6.767 ln (50-59 歳男性人口) 329 4.998 0.742 3.761 6.800 ln (60-69 歳男性人口) 329 4.746 0.753 3.497 6.594 ln (15-19 歳女性人口) 329 3.990 0.732 2.708 5.793 ln (20-29 歳女性人口) 329 4.790 0.823 3.434 6.914 ln (30-39 歳女性人口) 329 4.865 0.816 3.555 6.983 ln (40-49 歳女性人口) 329 4.838 0.734 3.584 6.690 ln (50-59 歳女性人口) 329 5.017 0.747 3.761 6.799 ln (60-69 歳女性人口) 329 4.852 0.727 3.611 6.677 ln (1 人当たり都道府県民所得) 329 7.910 0.139 7.602 8.428 ln (生活保護受給者割合) 329 1.847 0.602 0.336 3.020 ln (採血バス数) 329 1.792 0.530 0.693 3.784 制度改正ダミー 329 0.571 0.496 0 1

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12 4-2 推計式 応用的分析における推計式モデルは以下のとおりである. ln (世代別・男女別献血者数)=α +β1×ln (世代別・男女別人口)it +β2×ln (1 人当たり都道府県民所得)it +β3×ln (生活保護受給者割合)it +β4×ln (採血バス数)it +β5× (制度改正ダミー)it +εit α:定数項 β1~β5:パラメータ ε:誤差項 i :都道府県 t :年 この推計式モデルは,基本的分析の推計式と同じく制度改正ダミーによってその献血 者数に対する効果をとらえようとするものである.したがって,被説明変数は世代別・ 男女別献血者数の対数値である. 推定は最小二乗推定法 (OLS) 及び固定効果モデル (FE) により行う.パネ ルデータを用いることで,観測できない要因を固定効果として取り除くことができるこ とから,固定効果モデルの方がより望ましいモデルであると考えられるので,分析結果 の解釈は固定効果モデルに基づいて行う. 4-3 被説明変数及び説明変数 被説明変数:ln (世代別・男女別献血者数) 各都道府県における世代別・男女別献血者数の対数値を被説明変数とした. コントロール変数Ⅰ:ln (世代別・男女別人口) 人口の増減に伴う献血者数の変化を表す指標として,世代別・男女別の献血者に対応 する各都道府県における世代別・男女別人口(単位:千人)の対数値を用いた12 コントロール変数Ⅱ:ln (1 人当たり都道府県民所得) 12 10 代については,献血可能年齢は 16-19 歳であるが,データの制約上,男女ともに近似的な 15-19 歳人 口を用いている.

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13 機会費用の代理変数として,各都道府県における 1 人当たり所得 (単位:千円) の 対数値を用いた. コントロール変数Ⅲ:ln (生活保護受給者割合) コントロール変数Ⅱと同じく機会費用の代理変数として,平均的な所得の大小に加え て,その中のばらつきも重要であると考慮した結果,低所得者割合を表す指標として, 各都道府県における人口千人当たりに対する生活保護者数の割合 (単位:人口千対) の 対数値を用いた. コントロール変数Ⅳ:ln (採血バス数) トラベルコストの代理変数として,各都道府県の採血バス数 (単位:台) の対数値 を用いた.なお,採血個所としては,献血ルーム等の固定された採血施設数も利用する ことが考えられたが,1つしかない県が多いことや経年での変化が尐ないこと,採血バ ス数との相関が非常に高いこと等から変数としては不適当と考え除外した. 制度改正ダミー 制度改正ダミーは,基本的分析と同様に平成 15 年以降について1を,平成 14 年以前 について 0 をとるダミー変数である.

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14 4-4 推計結果概略 4-2 の各世代別・男女別の推計モデルを分析し,その結果から固定効果モデルの制度 改正ダミーの係数と標準誤差を抜き出してまとめたものが次の表 4 の推計結果概略で ある.なお,各世代別・男女別の最小二乗推定法及び固定効果モデルによる詳しい分析 結果については,補論に記載してあるので参照されたい. 【表 4】 推計結果概略 制度改正ダミー係数 標準誤差 10 代男性 -0.044* 0.027 20 代男性 -0.092*** 0.012 30 代男性 -0.022 0.028 40 代男性 0.014* 0.008 50 代男性 0.026 0.027 60 代男性 0.043*** 0.015 10 代女性 -0.182*** 0.036 20 代女性 -0.161*** 0.035 30 代女性 -0.024 0.019 40 代女性 -0.045** 0.019 50 代女性 -0.039** 0.018 60 代女性 0.014 0.023 (注)***,**,*は,それぞれ 1%,5%,10%の水準で統計的に有意であることを示す. 固定効果モデルによる推定の結果,制度改正が原因で献血者が減尐したと統計的に有 意に示された層は,10 代男性献血者,20 代男性献血者,10 代女性献血者,20 代女性献 血者,40 代女性献血者及び 50 代女性献血者の 6 つの層であった. 10 代男性献血者については,制度改正ダミーが 10%の水準で有意にマイナスとなり, 制度改正により 4.4%の減尐が見られた. 20 代男性献血者については,制度改正ダミーが 1%の水準で有意にマイナスとなり, 制度改正により 9.2%の減尐が見られた. 10 代女性献血者については,制度改正ダミーが 1%の水準で有意にマイナスとなり, 制度改正により 18.2%の減尐が見られた. 20 代女性献血者については,制度改正ダミーが 1%の水準で有意にマイナスとなり, 制度改正により 16.1%の減尐が見られた. 40 代女性献血者については,制度改正ダミーが 5%の水準で有意にマイナスとなり, 制度改正により 4.5%の減尐が見られた. 50 代女性献血者については,制度改正ダミーが 5%の水準で有意にマイナスとなり,

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15 制度改正により 3.9%の減尐が見られた. その他の層では,制度改正が原因で献血者数が減尐したことは統計的に有意に示され なかった. 4-5 考察 この分析の結果から次の2つのことが考えられる.まず一点目として,処遇品として の金券の配布を再開することで,献血者数を増加させることが可能であると考えられる. 二点目として,献血者の属性によって,処遇品の金銭的インセンティブの効果が異なる ものと考えられる. また,応用的分析の結果,制度改正ダミーが 10%以上の水準で統計的に有意にマイ ナスとなるのは,10 代男女,20 代の男女,40 代女性及び 50 代女性の献血者であった が,これらの層が処遇品の金銭的インセンティブが有意に働く原因としては,推察にと どまるが,これらの層は,全体的に所得が低いものと考えられるため,処遇品の価値の 変化に敏感に反応しているものと思われる. 第 5 章 まとめと政策提言 本稿では,平成 14 年の制度改正によって,処遇品としての金券の配布が中止された ことで献血者数が減尐したと仮定した.そこで,平成 12 年から平成 18 年までの都道府 県のパネルデータを用い,平成 15 年以降を 1 とする制度改正ダミーの効果を推計する ことを試みた.そして,固定効果モデルによって,制度改正が原因で献血者数が 3.5% 減尐したという結果が統計的に有意に得られた.また,献血者を世代別・男女別に分け て同様の分析を行い,10 代男女,20 代男女,40 代女性及び 50 代女性の献血者数が制 度改正により統計的に有意に減尐したという結果が得られた. 以上の分析結果を踏まえて次の2つの政策提言を行いたい. まず一点目は,献血者 1 人当たりの処遇品のコストを変えずに,より効率的に献血者 を集めたいのであれば,日本赤十字社は,処遇品としての金券の配布を再開した方がい いのではないかということである13.先述のとおり,日本赤十字社へのヒアリングの結 果,制度改正の前後によって,献血者 1 人当たりの処遇品のコストにはほとんど変化が ないとのことである.したがって,同じコストでも処遇品を金券に変えることで,より 多くの献血者を集めることが可能である. 二点目は,本稿によって,献血者の属性によって処遇品の金銭的インセンティブへの 13 献血の処遇品として尐額の金券を配布することは,現金でないこと及び対価として位置付けられていな いこと等の理由から血液法で定められている有料での採血禁止という規定には当たらないのではないかと 思われる. また,本稿と直接の関係はないが,ミラー,ベンジャミン,ノース (2010) では,臓器の提供に対し て金銭的報酬を支払う制度を確立したことにより腎臓移植の滞貨が解消されたイランの例が紹介されてお り,臓器提供に金銭を支払うことの是非について問いかけている.

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16 反応が異なることが実証されたので,日本赤十字社は,地域ごとや職業ごとなどさらに 献血者の属性を細かく分類して分析を行った方がいいのではないかということである. 現在の献血の処遇品は献血ルームごとに独自に決めているが,その決め方は各地の来場 者や献血候補者である地域住民等の属性に合わせたものであるとは言い難い.そこで, 限られた処遇品の財源をより効率的に使用するという意味でも,まずは献血者の属性を さらに細かく分析することが必要であると考えられる. 第 6 章 今後の課題 本稿の研究は,データ上の制約から個票データが利用できないために,どのような人 が制度改正により献血に行かなくなったのかを分析することができず,また同様にデー タ上の制約から世代別・男女別の献血者の分析時に献血申込者数を被説明変数とした分 析が行えなかった.それらは今後の課題となろう.さらに,今回の研究は献血者の数に 限定した分析を行ったが,献血者の質の変化についての分析も行うことが必要であると 考えられる.これらの分析を積み重ねることで献血に関する施策の改善へとつなげてい くことが期待される.

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17 補論 応用的分析 各世代別・男女別推計結果 第 4 章の応用的分析の推計結果の詳細を以下に掲げる.なお,各表中の***,**,* は,それぞれ 1%,5%,10%の水準で統計的に有意であることを示す. 【表 5】10 代男性献血者 被説明変数:ln (10 代男性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (15-19 歳男性人口) 0.862*** 0.056 1.050*** 0.220 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.769*** 0.178 -0.477* 0.278 ln (生活保護受給者割合) -0.092** 0.036 -0.355*** 0.119 ln (採血バス数) 0.305*** 0.079 0.092 0.064 制度改正ダミー -0.104*** 0.036 -0.044* 0.027 切片 10.517*** 1.379 8.281*** 2.529 サンプルサイズ 329 329 within=0.540 決定係数 adjR²=0.833 between=0.794 overall=0.783 【表 6】20 代男性献血者 被説明変数:ln (20 代男性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (20-29 歳男性人口) 0.820*** 0.026 0.942*** 0.093 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.253*** 0.096 0.005 0.146 ln (生活保護受給者割合) 0.064*** 0.019 -0.176*** 0.067 ln (採血バス数) 0.104** 0.041 0.100*** 0.032 制度改正ダミー -0.150*** 0.019 -0.092*** 0.012 切片 7.238*** 0.733 5.028*** 0.399 サンプルサイズ 329 329 within=0.816 決定係数 adjR²=0.949 between=0.915 overall=0.912

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18 【表 7】30 代男性献血者 被説明変数:ln (30 代男性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (30-39 歳男性人口) 0.757*** 0.030 0.024 0.364 ln (1 人当たり都道府県民所得) 0.074 0.108 -0.143 0.318 ln (生活保護受給者割合) 0.034 0.021 0.043 0.134 ln (採血バス数) 0.125*** 0.046 0.159** 0.073 制度改正ダミー -0.577*** 0.022 -0.022 0.028 切片 5.067*** 0.826 10.241*** 2.980 サンプルサイズ 329 329 within=0.024 決定係数 adjR²=0.933 between=0.700 overall=0.664 【表 8】40 代男性献血者 被説明変数:ln (40 代男性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (40-49 歳男性人口) 0.759*** 0.025 0.856*** 0.069 ln (1 人当たり都道府県民所得) 0.076 0.078 -0.303*** 0.094 ln (生活保護受給者割合) 0.064*** 0.016 0.178*** 0.036 ln (採血バス数) 0.154*** 0.036 0.026 0.020 制度改正ダミー 0.043*** 0.016 0.014* 0.008 切片 4.746*** 0.600 7.311*** 0.742 サンプルサイズ 329 329 within=0.390 決定係数 adjR²=0.956 between=0.939 overall=0.936

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19 【表 9】50 代男性献血者 被説明変数:ln (50 代男性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (50-59 歳男性人口) 0.788*** 0.041 0.618** 0.271 ln (1 人当たり都道府県民所得) 0.097 0.125 -0.204 0.333 ln (生活保護受給者割合) 0.080*** 0.025 0.145 0.127 ln (採血バス数) 0.182*** 0.057 0.064 0.073 制度改正ダミー 0.048** 0.025 0.026 0.027 切片 3.811*** 0.954 7.144** 3.209 サンプルサイズ 329 329 within=0.082 決定係数 adjR²=0.906 between=0.918 overall=0.889 【表 10】60 代男性献血者 被説明変数:ln (60 代男性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (60-69 歳男性人口) 0.822*** 0.511 1.134*** 0.152 ln (1 人当たり都道府県民所得) 0.248 0.156 -1.138*** 0.186 ln (生活保護受給者割合) 0.058* 0.031 0.162** 0.074 ln (採血バス数) 0.343*** 0.073 0.056 0.041 制度改正ダミー 0.115*** 0.032 0.043*** 0.015 切片 1.025 1.196 10.873*** 1.622 サンプルサイズ 329 329 within=0.522 決定係数 adjR²=0.896 between=0.853 overall=0.848

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20 【表 11】10 代女性献血者 被説明変数:ln (10 代女性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (15-19 歳女性人口) 0.673*** 0.066 0.279** 0.131 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.594*** 0.221 -0.669 0.419 ln (生活保護受給者割合) -0.151*** 0.045 -0.847*** 0.168 ln (採血バス数) 0.463*** 0.095 0.348*** 0.093 制度改正ダミー -0.252*** 0.045 -0.182*** 0.036 切片 9.931*** 1.717 13.550*** 3.438 サンプルサイズ 329 329 within=0.595 決定係数 adjR²=0.745 between=0.220 overall=0.254 【表 12】20 代女性献血者 被説明変数:ln (20 代女性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (20-29 歳女性人口) 0.728*** 0.037 0.234** 0.117 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.372*** 0.140 -0.511 0.424 ln (生活保護受給者割合) 0.007 0.028 -0.503*** 0.174 ln (採血バス数) 0.275*** 0.057 0.322*** 0.094 制度改正ダミー -0.199*** 0.028 -0.161*** 0.035 切片 8.319*** 1.073 12.622*** 3.527 サンプルサイズ 329 329 within=0.455 決定係数 adjR²=0.893 between=0.439 overall=0.438

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21 【表 13】30 代女性献血者 被説明変数:ln (30 代女性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (30-39 歳女性人口) 0.624*** 0.030 0.020 0.074 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.074 0.108 -1.176*** 0.224 ln (生活保護受給者割合) 0.057*** 0.021 -0.087 0.087 ln (採血バス数) 0.411*** 0.045 0.225*** 0.050 制度改正ダミー -0.039* 0.022 -0.024 0.019 切片 5.676*** 0.824 17.921*** 1.832 サンプルサイズ 329 329 within=0.156 決定係数 adjR²=0.934 between=0.044 overall=0.046 【表 14】40 代女性献血者 被説明変数:ln (40 代女性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (40-49 歳女性人口) 0.533*** 0.037 0.210*** 0.070 ln (1 人当たり都道府県民所得) -0.054 0.118 -0.541** 0.224 ln (生活保護受給者割合) 0.024 0.024 -0.097 0.087 ln (採血バス数) 0.530*** 0.053 0.236*** 0.049 制度改正ダミー -0.017 0.024 -0.045** 0.019 切片 5.427*** 0.916 11.610*** 1.797 サンプルサイズ 329 329 within=0.252 決定係数 adjR²=0.903 between=0.861 overall=0.832

(22)

22 【表 15】50 代女性献血者 被説明変数:ln (50 代女性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (50-59 歳女性人口) 0.611*** 0.048 0.068 0.082 ln (1 人当たり都道府県民所得) 0.170 0.152 -1.189*** 0.221 ln (生活保護受給者割合) 0.083*** 0.030 -0.225*** 0.086 ln (採血バス数) 0.507*** 0.068 0.261*** 0.049 制度改正ダミー -0.051* 0.031 -0.039** 0.018 切片 2.909** 1.165 17.384*** 1.843 サンプルサイズ 329 329 within=0.265 決定係数 adjR²=0.879 between=0.152 overall=0.149 【表 16】60 代女性献血者 被説明変数:ln (60 代女性献血者数) OLS FE 説明変数 係数 標準誤差 係数 標準誤差 ln (60-69 歳女性人口) 0.768*** 0.081 0.419*** 0.111 ln (1 人当たり都道府県民所得) 0.815*** 0.241 -1.892*** 0.274 ln (生活保護受給者割合) 0.176*** 0.048 0.077 0.106 ln (採血バス数) 0.516*** 0.113 0.218*** 0.061 制度改正ダミー 0.071 0.050 0.014 0.023 切片 -4.372** 1.860 19.482*** 2.260 サンプルサイズ 329 329 within=0.255 決定係数 adjR²=0.812 between=0.431 overall=0.426

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23 参考文献 香西豊子 (2007) 『流通する「人体」』勁草書房 pp.141-170 厚生省薬務局企画課血液対策室監修 (1995) 『血液ハンドブック』薬業時報社 厚生労働省医薬食品局血液対策課 (2009) 『平成 21 年版 血液事業報告』 ダグラス・スター (1999) 『血液の物語』河出書房新社 野村拓監修 (2003) 『日本赤十字の素顔』あけび書房 ロジャー・L・ミラー,ダニエル・ベンジャミン,ダグラス・ノース (2010) 『経済学で現代社 会を読む 改訂新版』日本経済新聞出版社 pp.69-77 薬事研究会編 (2002) 『図解 2002 年改正 薬事法・血液法の概要』じほう スティーブン・D・レヴィット,スティーブン・J・ダブナー (2007) 『ヤバい経済学 増補改 訂版』東洋経済新報社

参照

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