• 検索結果がありません。

スキーにおける基礎 回転技術 の重要性 について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "スキーにおける基礎 回転技術 の重要性 について"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

研究論文

スキーにおける基礎 回転技術 の重要性 について

‑ プルークボーゲン・ プルークターンの動 作解析 データより‑

竹 腰 誠 ( 神 奈 川 大 学) 大 出 ‑ 水 ( 日本体育大学) 西 山 哲 成 ( 日本体育大学)

要 旨

本研 究ではカー ビングスキー を用 いた基礎 回転技術 の重要性 を確認 す るための客観 的デー タを取得す る と共 に、今後 の技術指導 の一助 と

なる基礎デー タを蓄積す ることを 目的 とした。

カー ビングスキーが普及 して以降、スキー滑走時のス ピー ドコン ト ロール が非常 に難 しくなってきてい る。 これ はカー ビングスキーの特 性 と少 なか らず 関連 がある と思 われ、回転初期‑の ター ン導入 が容易 になった といわれ るカー ビングスキーではあるが、その一方 ター ン後 半の横滑 りが少 な くな りス ピー ドコン トロール が難 しくなってい るた めではないか と考 え られ る。

本編 では筆者 らが2008年 に発表 した 「スキー技術 の関連性 に関す る 研究」 を元 に、スキー指導 にお ける基礎 回転技術 の重要性 について再 検討 を試みた。そ こで、これまでの先行研究ではあま り注 目されなかっ た基礎 回転技術 のプルー クボー ゲ ン(PFB)や プル ー クター ン(PFT)に注 目し、滑走時の重心位置や スキー板 の動 きか ら、 2つ の技術 がスキー 滑走時 に重要 な回転 時のス ライ ド(横 滑 り)を習得す るた めの もので あ ることが確認 され た。 またスキー用具の変化 に とらわれず基礎技術 を 習得す ることの重要 さを再認識す ることができた。

キ ー ワー ド :基礎 回転技術 ・カー ビングスキー ・3次元DLT法

145

(2)

緒言

スキー の技術指導 は我 が国 にスキーが紹介 され た直後 の講習会 か ら行 われ て お り、今 シー ズ ン(2010‑2011シー ズン)で ち ょ うど100周年 を迎 え よ うと してい る1。 この技術指導 とい う活動 は現在 にお いて も盛 ん に行 われ てお り、 ス キー とい うスポー ツにお いて 「指導 を行 う

「指導 を受 け る とい う対極 の活動 が どち らもスキー の楽 しみ方 の一つ となってい る。 これ は他 のスポー ツでは見 ら れ ない現象 で あ り、ス キーが流行 の滑走ス タイル に伴 った指導 を受 ける とい う 文化 と共 に歩 んできたスポー ツであることを再認識 させ て くれ る。 これ らスキー

の指 導 は最初 に伝 え られ た 「一本杖 スキー(1911年)」に始 ま り、 「アールベル グ ・ス キ ー(1930年 頃 )」、 「外 傾 ス キ ー(1940年 頃 )」、 「フ ラ ン ス ス キ ー (1948年頃)」、 「オース トリアスキー(1958年頃)」とい うよ うに変化(発展)していっ た。 それ は当時の流行 の滑 りを取 り入れ よ うとした動 きで あ り、活発 に指導 に 関す る議論 が行 われ た 日本 にお けるスキー指導 の文化 で もあ る。 その後 、 これ らの滑走法 を基本 とし、全 日本 ス キー連盟 か ら 「日本 スキー教程 が発刊 され たので ある。 日本 スキー教程 は1965年 の初刊 以来数年 お きに改訂 してお り、昨 年 その最新刊 が発刊 され現在 に至 ってい る。 この 日本 スキー教程 は、毎年行 わ れ るス キー指導員検 定会2や指導員研修会 で使用 され てお り、基本 的 な運動や 技術 を示す教本 として取 り扱 われ てい る これ らの研修会 を経 て、スキー指導 者 は教程 を確認 した上で、それぞれ の経験 を元 に技術指導や技術 の伝達 を行 っ

てい るのである3。

さて、その指導 の現場 に 目を向ける と、カー ビングスキー が普及 し始 めた19 98年 の長 野オ リン ピック前後 か らスキー ヤー の滑走 ス タイル に大 きな変化 が見

られ るよ うになった4。 長 さは これ までの板 よ り20cm以上短 く、 トップ幅 ‑セ ンタ一幅 ‑テール 幅 か ら算 出 され るサイ ドカー ブ は よ り深 くなった5。 これ ら の変化 に よ り非常 に回転 しやす くなった板 の出現 でスキー技術 に大 きな変革 が 起 きた ので あ る6。少 し傾 け るだ けで簡 単 に回転 し始 め る この板 の特性 か ら、

滑走 中の身体 の動 きが小 さくな り滑走者 の特徴(運動 の差)が あま り見 られ な く なって きた。 この傾 向は競技選手 に顕著 に現れ てお り、ゲ レンデ を滑 るスキー ヤー には競技選 手 の滑 りがカー ビングスキー の滑走法 として正 しい動 きで あ る

(3)

研究論文 スキーにおける基礎回転技術の重要性 について

と認知 され、一般 スキーヤーにもその滑 り方 が広 まっていった。

カー ビングスキーの普及 はスキー技術 に大 きな影響 を与 えたため、その指導 法 においても様 々な研究が行われ、カー ビングスキー を使用 したパ ラ レル ター ンに関す る研究 は多数見 ることができる。 また実際の指導現場 ではそれぞれ の 指導者が 自己の経験や感覚を元にた くさんの指導法を試 してお り、それはスキー ジャーナルや スキー グラフィックといったスキー専門誌‑の記事掲載 とい う面 で多 くを確認 で きる。

さて、昨シーズン改訂が行われた 「2009年版 日本スキー教程 (以後2009スキー 教程)」であるが、その改訂 に伴 ってスキー指導員 (スキー準指導員含む) の 検定種 目も変更 された。新検定では、 これまで重視 されていた基礎回転技術 で あるプルー クボーゲン(以後PFB)やプルー クター ン(以後PFT)の検定が廃止 され、

基礎技術 の検定種 目として、横滑 りと谷回 りとい う新 しい種 目が設定 されたの である PFB種 目については2009スキー教程 において、ほんのわずかな記述 し か残 され てお らず 、スキー伝来以来100年 あま り行 われ てきた基礎 回転技術 が 新教程か らほぼ姿 を消す ことになった。現在 のカー ビングスキー を中心、とした スキー技術 にPFBの よ うな基礎 回転技術 は必要無いのであろ うか。 またPFTに つ いては 「2003年版 日本 スキー教程 (以後2003スキー教程)」か ら導入 され、

カー ビングスキー に対応す るための基礎 回転技術 として指導員検定会 の種 目に も含 まれ ていたのであるが、今回の改定で教程お よび検定種 目か ら削除 されて

る。

筆者 は これまで5期10年 にわた り(財)神 奈川県スキー連盟 で、スキー指導員 検定の資格付与活動 に携わってきた。 カー ビングスキーが普及 して以降、 この スキー指導員養成講習会 において、ス ピー ドをコン トロールす る種 目で非常に 苦労す る受講生の姿が見 られ るよ うになってきたのだが、 これ はカー ビングス キーの特性 と少 なか らず関連があるであろ う。回転初期‑のター ン導入が容易 になった といわれ るカー ビングスキーではあるが、その一方 ター ン後半の横滑 りが少 な くな りス ピー ドコン トロールが難 しくなってい るよ うに感 じられ る。

本編 では筆者 らが2008年 に発表 した 「スキー技術の関連性 に関す る研 究」を元 に、スキー指導 における基礎回転技術 の重要性 について再検討 を試みたい。

147

(4)

研究 目的

本研 究の 目的は、 これ までの先行研 究ではあま り注 目され なかった基礎 回転 技術 のプルー クボーゲン(PFB)や プルー クター ン(PFT)に注 目し、滑走時の重心 位置や スキー板 の動 きか ら、 2つの技術がスキー滑走時に重要 な回転時のス ラ

イ ド(横滑 り)を習得す るための ものであることを確認す ることである。

(5)

研究論文 スキーにおける基礎 回転技術の重要性 について

表 1 . 被検者プロフィール

被検音 名 技術 レベル 受貧 予定級所持 資格および 身長(cm) 休重(kg) 1 A TopProA ナショナルTモンtL'9 168 70 2 TopProB 元オリンピック選手 175 78

3 C Exp.A 1級所持者 168 58

4 D Exp.B 164 60

6 Mid.A 2線 受験 者 170 64

7 F Mid.a 168 65

8 G BegtA 3級 受験 者 174 61

/ ′ 試技 中の服装 は、黒のセパレートタイプ のスパッツを着用 。動作分析のディジタイ ジングのための解剖学的マーカーとして 蛍光色のテープを各関節に貼付した。

測定には、サ ロモン社製カービングス 辛‑ (170cm R=16)を使用し、動作分 析用マーカーを貼付した。

ブーツは、普段履きなれているものま たは、レンタルブーツを使用一した。

図 3. 滑走中の映像

上 :トッププロ 下 :初級者

149

(6)

研究方法

1.被験者 :

トッププ ロ として、全 日本 スキー連盟 ナ シ ョナル デモ ンス トレー ター7 ・

元 オ リン ピ ック選 手各 1名。N体育大 学 スキー指導実習参加 中の指導学生 スタ ッフお よび学生、合計8名 (表 1)

2.試技 :

2003ス キー教程 にあるパ ラ レル ター ン (PT)、プル ー クボーゲ ン (PFB)、 プル ー クター ン (PFT)を試技動作 とした。

3.使用用具 :

板 に関 して は170cm (R16)日に限定 し、全被 験者 が 同サ イ ズ の板 を使 用o ブー ツ につ いては普段使 用 し慣 れ てい るモ ノ、または レンタル ブー ツを使 用 した0

4. 滑走 コース状況 :

志賀 高原 焼額 山スキー場 内イース トコー ス 中間部 をコー ス閉鎖 し、本 実験 コー ス として使 用。 コー スはマーカー で規制o斜度pT/PFBは約16度 pT は約20度 雪質圧雪 全長pFT/PFBは約100m PTは約200m (図3)

5.動作分析 :

3次元座標デー タ :2台の固定カメラで撮影 した映像か ら全身22点 とスキー 板6点

観察面 :合成重 心の進行方 向 を基準 に観 察面 を決 めた。 2台 の固定 ビデオ カメ ラで撮影 した映像 か ら全身の形態測定点の三次元座標 を得 た0 (図3) 6. 座標化 のための撮影 :

各 コー スに2台 の固定 ビデオカ メラ (Sony社製) を設置 、 これ らは三脚 を 用いて コース下方 に固定 され た。 シャ ッター速度 は250も しくは500フ レー ム/秒 、サ ンプ リング速度 は30フ レー ム/秒 であった。 両カ メ ラ映像 の同期 のた めに コー ス内にLEDライ トを置 き、滑走試技 ご とに これ を点灯 させ て 両映像 内に記録 した。撮影範 囲は、滑走 開始後2ター ン 目終 了時か ら4ター ン 目に入 る場面 まで とした。(図 1)

7.キ ャ リブ レー シ ョン :

(7)

研究論文 スキーにおける基礎 回転技術の重要性 について

コース内に12カ所 に3個のマーカー をつ けたキャ リブ レーシ ョン模型 を置 き、その空間を測距計で読み取 りを行 った。(図2)

8.座標化作業 :

同期 したカメラ(2台)の映像 よ り、 3次元DLT法 を用いて、被験者 の全身 解剖学マーカー、お よびスキーにつけたマーカーのデ ィジタイ ジング作業

( F RAME ‑ DI AS

、 DKH

社製)を実施 した。 (表

1)

舟 乗ゝ乗ゝ 勇. 勇. 東 食 東 食 食 事: 余 ノ 東 / 穴

ー 4‑‑ 々一 秒 や,I で… ゝ 一 くト

pFB

青 書 3

pFTpT

請書

i空鹿

骨 や 骨、 弁 済 ノ ダ . 虜\ 斉\ 斉, ‑ 舜\ 骨、 J か査 J *

i 章一 霊宝

20 40 6 0 80

〆軒 二か :辞\p蘇 ㌔丸

夢、 虜、 璃 ㌧

r . /t J、 丁か 1 汁 、さ く巳

I.‑∃漣I邑I‡E.1

・ 化

0図

4 . タ‑ン技術別の姿勢およびスピ‑ドの. 2 0 4 0

151

(8)

栗 東 A . / 碕禿 栗 東 欠 食 東 泉 丸 久 7 3 ‑ ‑i 3 ′ l ‑ y 〜 ヅ\ タで ヰ\ 卓、 や .、 やや や ‑ 杏、 く さ

pFB

] 書

pFT

甘 i g z '

一 霊宝

牽 ′ ノ を . / . I , ダ チノ

秀一 * ' 概. リ㌢浄食事 将領や 肇食

i

王心i変圧

i i

0

1 多j

舟弁

済 ′

2 0

斉㌧

1

rJ ‑S

4

F

0

夢‑

ハ モ

汐‑

オー 8

0 斉

、倉

骨頂l 8 0

も ー.

13

1号 L ≡‑ よ 心

PT l 速 度

0 図、

5

.タ‑ン技術別の姿勢およびスピ‑ ドの変化20 40 80 80

結果

動作分析データよ り

8人 の被験者 のPFBお よびPFT、そ して比較対象 としてPT(パ ラ レル ター ン) について、3ター ン 目(動作分析範 囲) を中心 に、2ター ン 目の終 了時か ら、

4ター ン 目に入 る切 り返 し局面 までの区間 をステ ィ ック ピクチ ャ 9で示 した (図4‑13)。 これ らは映像 か ら得 られ た3次元座標 よ り、滑走者 の上面 、前面 か

らの視点で示 して ある。以下各デー タについての比較所見 を述べ る 1. 前面(frontview)デー タよ り

被験者A(トッププ ロ)は どの種 目において も、前 面か らみ た重心位 置 はつ ね に身体 の中心部(おお よそ‑ ソの部分)に維持 され てい る。 それ に対 して 被 験者E(中級着)はPFBでは身体 の 中心 に重 心位 置 が維 持 され てい るが、

pFTとPTではわず かではあるが ター ン内側 に移動 してお り、 ター ン中の重 心移動 が確認 された。重心の高 さについては、PFBでは両者共 に大 きな移

(9)

研究論文 スキーにおける基礎 回転技術の重要性 について

動 はな くほぼ同 じ高 さで維持 され ている。

P FT・P T

においてはスキー板 が フォール ライ ン(最大傾斜線)に向いた ときに下方 に動 いてお り、 こち らで もター ン中の重心移動が確認 された。

2.上面

( t opv i e w)

データより

P FB

においての重心位置 は被験者

A. B(

トッププ ロ)両名 がブルー クスタンス の中央 に維持 され てい るのに対 し被験者C〜Hは両 スキーの間にはあるも のの内脚近 くに位置 している。 スキー板 の軌跡 については外 スキーにター ン全般 を通 してスライ ド(横滑 り)が確認 され る。 内スキーはあま りスライ

ド(横滑 り)がみ られず滑走 ライ ンに沿って進 んでい る。

被験者

A. B

はスタンスの中央付近 に重心 を維持 して滑ってい るのに対 し他 の被験者 はやや ター ン内側 に寄 ってい る。

p F T

にお ける重心位置はすべての被験者 において内スキーの上 にある。

スキー板 の軌跡 は外 スキーのス ライ ド(横滑 り)幅が狭 くな り、内スキーは 外 スキー と平行 に近づ くよ うに回転す る。被験者

A. B

お よび被験者

C. D(

上 級者)では内スキーは内脚 の外旋 を伴 い、重心の軌跡 と重 な るよ うに して 進 んでお り、そのスライ ドはター ンの頂点付近 よ り確認 されている。

P T

においての重心位置は内脚 よ りもター ン内側 を通 っている。被験者

A. B

両氏 には速度別 に3種類 の

P T

の試 技 が実施 され た。 滑走速度 が上 が るほ ど重心位置 はター ン内側 に移動 し、秒速10mを超 えた試技では完全 に内脚 の内側 に位置 している。

スキー板 の軌跡 は両スキーが平行 にスライ ド(横 滑 り)してい る。被験者A.

Bお よび被験者C.Dにおいては、 スライ ドのあるター ンに加 え、全 くス ラ イ ドのないカー ビングター ン(図

6

・図

7

P T3)

(

図9

P T)

も確認 され た。

153

(10)
(11)

研 究論文 スキーにおける基礎 回転技術 の重要性 について

155

(12)
(13)

研究論文 スキーにおける基礎回転技術の重要性 について

157

(14)

3.個 々(被験者別)のデー タよ り

(ア) 図6,7 板 と重心の軌跡 か ら(トッププ ロ群)

pFBでは重心が両方の板 の中心に位 置 してい る。 また他 の被験者 との比 較 で明確 になるが被験者Aの重心の軌跡 は非常 にきれ いな弧 を描 いてい る。被験者BはPFBの滑走速度 がPFTとほぼ同 じ速度 となっていた。 ター ン弧 に関 しては被験者Bにおいて も非 常 に整 った回転弧 で ある0 PT2・ PT3は被験者A.Bのみの試技 で あ り、普段滑走 してい るス ピー ドに近 い

ス ピー ドで滑 ったデー タである。

またPFTとPT1.2において内脚 に外旋動作が確認 され てい る。

(イ) 図8,9 板 と重心の軌跡 か ら(上級者群)

pFBでは重 心がやや 内脚 に近いが両方 の板 の間に位置 してお り、非常に スライ ド(横滑 り)の多 く出た軌跡 が描かれてい る。被験者C.Dともにター ン前半か ら大 き く外 スキー を開きだ してター ンを行 ってい る。 また、回 転 を指示す るマーカー付近で急激 に方 向が変 え られてい るの も被験者C.

Dの特徴 である。重心の移動速度 は4.4か ら5.0m/sec PFB,PFTだけでは な くPTも含 めた重 心移動 の軌跡 が似 てい る またPFTとPTにお いて内 脚 に外旋動作が確認 された。

(ウ) 図10,11 板 と重心の軌跡か ら(中級者群)

pFBでは重心がやや 内脚 に近いが両方 の板 の間に位置 してお り、被験者 E.F共 にスムー ズな重心の移動 を見せ てい る。PFBの重 心移動 の軌跡 も

きれ いなター ン弧 になってお り、外脚 スキー板 の軌跡(ス ライ ド状況)は PFT,PTに共通 してい る。

こち らの中級者 レベル群 において も、PFTとPTで内脚 に外旋動作が確認 された。

(エ) 図12,13 板 と重心の軌跡か ら(初級者群)

pFBでは重 心がやや 内脚 に近いが両方 の板 の間に位置 してい る。 また外 スキーの軌跡 については、両被験者共 に外 スキーの軌跡 が どのター ンに おいて もほぼ同様 である と確認で き る。滑走ス ピー ドはPFB‑PFT‑PTと い う順 で上昇 してお り、重心の位置 も同様 の順 で ター ン内側 ‑ と移動 し

(15)

研究論文 スキーにおける基礎 回転技術の重要性 について

い る。PFTとPTにおいて内脚 に外旋動作が確認 され る 図6‑13の中 ではもっ とも顕著 に外スキーのスライ ドが確認 された。

考 察

1. 図5.6より

pFB滑走時の重心位置がはっき りと身体 の中央付近 に確認 できる。被験者 A(トッププ ロ)だけではな く被験者E (中級着) において も身体の‑ ソ付近 に 重心が保 たれているのはこの技術 がポジシ ョンを安定 させ ることを 目的 とし た技術であることの証明であろ う9安定 とい う面に関 しては重心の速度変化 においても確認 でき、滑走時のス ピー ドに大きな変化 がない ことか ら初心者 や初級者 に重要な技術である と考 え られ る。 しか しなが ら急 な斜 面で この姿 勢 を保つ ことは非常に困難 であるため、 この姿勢以外 で速度や姿勢 の安定 を 図 る滑 り方が必要である。被験者AはPFT・PTにおいて も重心位置 がほ とん ど移動 していないが被験者Eはター ン内側 に少 し移動 してい る。デー タの誤 差 を認識 しなけれ ばいけないが、被験者Aがいかにバ ランスの とれた滑走 を しているかが証明 され 、 中級者Eではバ ランス(重心位置)を維持 しなが ら滑 るのが難 し かが よくわかるデー タである。

また、被験者EはPFT・PTで重心速度 に大 きな変動 が確認 され る これ は スキー板 を横 にす る操作が影響 してい ると思われ、板 が大 きく横 になった区 間で低下 しているのがわかる。 この動 きは悪い動作ではな く、初級 ・中級者 には速度 を抑 えるとい う意味で必要な動 きであろ う。 スキー をスライ ドさせ る操作 を重視 してPFBやPFTといった基礎 回転技術 を学習す ることも必要で ある。

2.図7‑13より

まず この よ うに上面か らスキー板 の軌跡や重心の軌跡(移動 曲線)が確認 さ れた ことが有意義であると言 える。技術 の異なる8名 の被験者 ごとにその軌 跡 を確認 してみ ると、まず個 々の滑 りに共通点が確認 され た。ひ とっは どの 技術 を使 って滑っていて も重心の移動 曲線(軌跡)が似 てい ること。 もちろん すべてが合致す る とい うわけではないが、マーカー に対す る入射角10やマ‑

159

(16)

カー を抜 けたあ との板 の方 向な どはそれぞれ に共通点がある。次 に板 のスラ イ ドしてい るタイ ミングや角度でそれぞれの滑 りに同 じ特徴 がみ られ る。特 に被験者G.H(初級者)お よび被験者E.ド(中級着)の計4名において、PFB・PドT・

PTすべての滑 りで外 スキーのスライ ド(横 滑 り)に共通点がある。 これ らの被 験者 はこの段階で3種類 のター ンを練習 しているレベルであ り、外 スキーの 操作が似 ていることは当然の結果で もある。 しか しなが ら、 これ はター ン技 術 の関連性 が確認 できることであ り、パ ラ レル ター ンを習得す る際 にPFBや PFTで外 スキー をスライ ドさせ る感 覚 を身 につ けてい るためではないか と考 え られ る。 この よ うに初級者 ・中級者が もっ とも克服 しなけれ ばな らないの は斜面やス ピー ドに対す る恐怖心であ り、スキー をスライ ドさせ ることは恐 怖心を和 らげ、ス ピー ドをコン トロールす る方法であると考 え られ る。

さらに、 この上面データでは滑走時の速度 も確認 できてい る。普段 の指導 で もス ピー ドにつ いて質問 され るこ とが多いが、 このデー タによれ ばpFB‑

PFT‑の技術変化 でおお よそ2m/sec〜4m/secのス ピー ド変化 があることがわ か るo PドT‑PTについて も同様 で技術 の習得 には速度 を上 げ させ る とい う指 導ポイ ン トを含むべ きであろ う。 この速度の上昇 は技術 レベルが上が り、ス キーの開きだ Lが少 な くなることと共 に重心がター ン内側 に移動 しているこ

とか ら遠 心力 に対す る身体の構 えができてきた とい うふ うに も考 え られ、技 術指導のある段階で身体の傾 き方 を覚 えさせ ることも必要であろ う。 これ ら

は2009スキー教程 に含 まれている 「谷回 りの運動」に近い動 きであ り、上級 者以上の レベル になればこのよ うな身体の使 い方 を学習す る必要性 があるの か もしれない。 しか しなが らむやみに身体 を傾 かせ るのは非常に危険性 を伴 うもので もあるため、技術 レベル の確認 はもちろんのこと、滑走時の斜度 ・ 速度 ・ター ン(回転弧)の深 さな ど、スキー指導 においては十分 な注意 が必要 である。

3. 技術別被験者の特徴 よ り

本研究では、SAJナ シ ョナルデモ ンス トレー ター と元オ リンピック選手 に よる トッププ ロ群、sAJスキー技能検定 1級取得者 による上級者群 、同2級 受検者 による中級者群、そ してスキー を始 めて間 もない初級者群 に分 けて動 作分析がな された。 これは先行研究で もあま り例が見 られず 、スキー技術 の

(17)

研究論文 スキー における基礎 回転技術の重要性 について

バイオメカニクス的研究の成果以上 に技術別 の滑走事例 として、技術指導 の 点で有意義 な ものであろ う。PFBでは トッププ ロと中級者 が同 じよ うに身体 の‑ ソ付近に重心位置 を保持 してお り、基礎回転 とい う技術 にお ける重心の 位置 については大差がない ことがわかった。 もちろん他 の部分で動 きの差は あると思われ るが、 この よ うにこれまで推察や経験だけで語 られていた こと が実証 され ることは技術指導の現場 においては重要なことである。 また上面 (topview)か らの滑走軌跡が技術別 に観察 された ことで、PFBとPFTの外スキー のスライ ド (横滑 り)の状況がはっき りと確認 された。2003日本 スキー教程 や副読本 となるオ フィシャル ブ ック11では 「PFTでは内スキー操作 に必要 な 身体の使 い方 を学ぶ」と示 されてお り、2003スキー教程 においては外スキー 操作ではな く内スキーの操作 を学ぶための技術であるとされてい るが、それ だけではな く外 スキーのスライ ド量 を調節す る効果 もあるのではないか と考 え られ る。 これはPFBやPTの軌跡 をみ ることで確認 でき、個 々の滑 りの特徴 がPFBか らPFT、PT‑ と連動 していることがわかった。筆者 らの先行研究 に おいて 『pFTでは内スキーは内脚 の外旋 を伴い、重心の軌跡 と重 なるよ うに して進 む。 とい うことが示 され た。PT習得 のためには この操作 が重要 なポ イ ン トであ り、操作のタイ ミング としてはデー タに示 されてい るマーカー を ター ンの頂点 と考 える と、ター ンの頂点に入るポイ ン トで内スキーのス ライ ドを意識 させ ることが重要である。』 とされているが、PFTの学習 は内スキー のスライ ドだけではな く外スキーのスライ ドに も影響 を与 えてお り、PFBか

らPTに発展 させてい く上では非常に重要 な滑 り方であると言 える。

まとめと提言

今回の分析結果 よ り、 これまで経験や推測で話す ことの多かった、滑走時の 重心がほぼ‑ ソ付近 にあることが確認 され た。 ター ンはその技術 レベルや速度 によって、 この重心をどの位置 に保持す る必要があるのかを確信 を持 って伝 え ることができるよ うになった。 しか しなが ら、今回の分析 では この重心か ら両 スキーに どれ くらいの荷重がな されてい るかがわかっていない。荷重量や荷重 の方向がはっき りすれば、横滑 りさせたい時の荷重感覚や横滑 りさせ た くない

161

(18)

ときの荷重感覚が数値か らも見 えて くるのではな か と思われ る。

また初 ・中級者 のPFB・PFTにお ける外 スキーの軌跡(横 滑 りのあ と)がPTの 外 スキー の軌跡 と非常 に似 てい ることが確認 された。 これ はス ライ ドの多い PFBやpFTを習得 してか らPTに発展 してい くとい う技術 の関連性 か らみ られ る

ことであ り、指導の局面では重要なポイ ン トであろ う

スキー とい うスポー ツは指導者 自身 も滑走 し師範(模範演技)す るスポーツで あるため、指導者 を"Instructor"(イ ンス トラクター)と呼ぶ ことが多い。指導者 は様 々な学習 を して、そ こか ら指導法について知識 を積み重ねているはずであ るが、その中には 自身の経験か ら得た指導技術 も多 く含 まれてい るであろ う。

緒言でも述べた よ うにスキーは教 える こと ・教 わることがその楽 しみの一つ に なってお り、い ろい ろな指導者か らいろい ろな指導方法について見聞きす るこ

とで指導技術 を積み重ねてい くのである。

た くさんの指導者 がそ うであるよ うに、筆者 らもその経験か ら 「多分そ うで あろ う」とい う思いの上で技術指導 を行 っていることが少 なか らず あった。特 に今 回分析対象 とした基礎 回転技術 のPFBとPFTにおいては初心者や初級者 を 教 える際に専門的な用語 をあま り使 わないで指導す る必要があるため、身体の 重心を‑ ソやおなか付近 とし骨盤 の向き と合 わせて滑走中の身体の動 きを示 し てきた。 しか しなが らそれはあ くまで も経験か ら得た知識 であ り、実際の動 き については検証 されたモ ノではなかったため、滑走時の身体の動 きを検証 した い とい う願 いを持 っていたのである。

2005年 のプ レテス トか ら始まった今回の実験研究(スキー滑走時の動作分析) に よって、まずパ ラレル ター ン滑走時の肩や骨盤 の向き(動 き)が明確 にな り、

初級者か ら上級 になってい くと滑走中の肩や骨盤 の向きを進行方向に向けて移 動 してい くこと、つま り‑その向きを進行方 向に向けていけばスムーズな回転 が行 われ ることが明 らかになった。 これはスキー板 のスライ ド(横滑 り)を抑 え る動 きであると思われ、現在用い られてい るカー ビングスキーにおいて有効 な 動 きであることがわかった。 その結果 を得て今回の分析が行 われたわけである が、まずポイン トとなったことはプルークボーゲン(PFB)やプルークターン(PFT) は どの様 に身体 を動か してい るのか、その際の重心位置 は どこにあ り、 どんな 移動 曲線 を描いてい るのか とい う非常に基本的な疑問だったのである 先に取

(19)

研 究論文 スキーにおける基礎 回転技術 の重要性 について

り上 げた2009スキー教程 では低速技術 に関す る項 目が少 な くなってきてお り、

改訂前の2003スキー教程 をみて も動作解析 の科学的デー タを用いての解説 はみ られ ない。 またスキー動作分析 に関す る先行研究 において も低速技術 に焦点 を 当てた発表 は少 な く、今 回の よ うな 3次元DLT法 を用 いての研究はみ るこ とは できない。 これ はスキー とい うスポーツの環境 も大 き く影響 してお り、実験機 材 の準備 に始ま り、被験者 の確保 、スキー場 にお けるコース閉鎖等 も加 えると 大変 な準備作業が必要 となるため、 どうして もパ ラ レル ター ンの大回 りや小回

りの よ うな実践的な技術 に関す る研究が多いのであろ う。

今回の実験 においては動作解析 に加 え筋電計による筋の活動状況 も調査 され、

他 のスタ ッフによって発表が行 われている。今後 は これ らの分析 システムが よ り簡易にな り、フィー ドバ ックまでのス ピー ドが よ り短縮化 されれ ば、スキー スポーツお ける科学的分析法の活用の幅が非常に広 くなる と思われ る。

今 回の 3次元DLT法 に よる分析 で、 これまで経験値 に頼 っていた基礎 回転技 術 の運動 メカニズムが明確 に された。その結果、現スキー教程 に提唱 されてい る谷 回 りとプルー クター ン

( P FT)

の動 きが動作的 には似 てい るのではないか と い う印象 を得た。 ター ン始動時に内側‑の動 きを意識 させ る谷回 りに対 して、

pF T

は外脚 の押 し出 しが強調 されているが重心の位 置は内脚 の上 に位置 してお り共通点 も多い。谷回 りが回転 の前半を重視す るのに対 して

P FT

は回転 中盤部 分の板 の動 きに重点が置かれているため指導現場では違 う技術 として扱 われて いるが、これ らは共通の技術 として発展 させ てい くべ きであろ う。

また

PFB

については今後 も指導現場では多用 され る と考 え られ る。 スキー滑 走時 に最 も重要な板 のスライ ド(横 滑 り)を習得 させ るためには効果的 な方法 で あ り、初心者 にス ピー ドコン トロールや停止 を覚 え させ る上で も重要な技術 で ある。 ス ピー ドや斜面 に対す る恐怖心を克服す ることが上達‑のポイ ン トであ る とすれば、ス ピー ドコン トロールや停止動作の基本 となるこの技術 の学習 は 欠かせ ない項 目となる。 スキー教程 における重要技術 として再考 を期待す る。

欧米のスキー場 ではすでにカー ビングスキー に変わ るやや幅の広いスキーが 流行 の兆 しを見せ てい るよ うである。 その点 も踏 ま えて、カー ビングスキーの みに特化 したスキー指導技術 の展開は問題 であろ う。 スキー本来 の優雅 なス ラ イ ド(横滑 り)のある滑 り方 も楽 しみたい。

163

(20)
(21)

研究論文 スキーにおける基礎回転技術の重要性 について

最後 に、スポーツ指導 に科学的な分析 を用 いることで、 これまでの経験 を通 した指導に明確 な裏付 けが加 わるよ うになる。 これ らのデー タには即効性 があ るモ ノが多 く、競技選手はもちろんのこと初心者や初級者 の よ うに、その運動 に不慣れな人 にも効果的なア ドバイスをす ることが可能 となる。 図14や 図15の よ うなステ ィックピクチ ャーによる動画やそれ らの画像 を使用す ることで、特 に姿勢や フォームを重視す るスポー ツ種 目や動 きの連続性 を求 めるスポー ツ種 目においては、 自身の動 きの変化や上級者 との動 きの比較 な ど、様 々な活用方 法が考 え られ る。指導者 においても指導内容 とデー タの親和性 が増す ことで よ り良いア ドバイスが可能 にな り、指導対象者 との信頼 関係 を築 くことが可能 と なる。

しか しなが ら、スキーのよ うに屋外で広範 囲を移動 しなが ら行 うスポー ツに おいては、デー タのフィー ドバ ックに時間 を要すため、指導現場 では細かな分 析デー タを使用 しなが らの指導が行 えない。また 自然 のゲ レンデ を滑 るスポー ツであるため、今回の実験の よ うに整備 された均一の斜面で行 われた実験デー タ とは違 う現象が起 こることも考 え られ る。 これ ら屋外 スポー ツの特殊性 を考 えた上で、指導対象者‑のフィー ドバ ックをいつ どこで行 うか、 どのよ うなデー タを作 るのか、 このスポー ツにあったプ ログラムを作成す る必要がある。

このよ うにスポーツ指導時の動作分析等の科学的アプ ローチにおいては、特 に屋内での競技に効果があるように思われ る。今後は、より早 く運動動作のデー タ分析が行 えるよ うなシステムの開発が期待 され ると共 に、スキーの よ うな屋 外で行われるスポーツ種 目においても、早い時間に正確な動作分析データのフィー ドバ ックが行 えるよ うな簡易で容易に移動 ができるシステムの開発 が期待 され る。

またスキー指導 の最先端で活動す るナシ ョナルデモ ンス トレー ターやsAJデ モ ンス トレー ターにおいて も、スキーにお ける科学的分析法の活用 に注 目し、

指導の現場か ら新 しい教程作 りにアイデ ィアを提供 して も良いのではないだ ろ うか。 日本 のスキー指導が今後 も良いスポー ツ文化 と して受 け継 がれてい くこ とを望みたい。

165

(22)

謝辞

本研究 を遂行す るに当た り、 日本体育大学学術研究補助制度 を活用 させ てい ただいた ことについて多大なる感謝 と御礼 を申 し上げます。 さらに 日本体育大 学野外方法学 (雪上)研究室の大出‑水教授 、身体動作学研究室の西山哲成教 授 には共同研究者 としてお声がけをいただいた ことを心 よ り感謝 た します。

また本研 究の被験者 として協力いただいた皆 さま、現地でのコース整備等 に ご協力いただいた 日本体育大学スキー指導実習スタ ッフの皆 さま、志賀高原焼 額 山スキー場関係者 の皆 さまにもこの場 をお借 りして御礼 申 し上げます。

日本体育大学の卒業生 として この研究に携 わ らせ ていただき、現職場である 神奈川大学国際経営研究所、国際経営 フォー ラムで発表 させ ていただけること

をすべての関係者 に感謝いた します。

注記

1. スキー指導100周年 :

スキー の板 自体 は1911年 以前 に 日本 に存在 した といわれ るが、系統 的 な指導 が初 めて行 われたのは1911年新潟県高 田市(現上越市)での講習会 が初 めて。

2. スキー指導員検定会 :

スキー指導 員検 定 は全 日本 スキー連盟 の管轄 で行 われ 、例年2月 中旬 に全 国5会場 で実 技検定 と筆記試験 が行 われ る。 (5会場 は地域 ブ ロック ごとに分 け られ てい る)

それ に対 して、ス キー準指導員検 定会 は各都道府 県 ス キー連 盟 に委託 され てお り、 こち らも毎年3月 に実技検定 と筆記試験が行 われ る。

3. スキー指導員研修会 :

指導員検定で取得 した指導員 ライセ ンスは2年 に一度更新講習 を受 けなけれ ばな らない。

更新講習会 は都道府 県スキー連盟 が主催 し、 どの連盟 で受 けて もよい。

4.カー ビングスキー(CarvingSkis):

1995年以 降急速 に普及 して きたスキー板 の名称。 現在使 用 され てい る一般 的 なサイ ズは スキーの先端110mm前後 、スキーセ ンター60mm前後 、スキーテール 100mm前後。

5. サイ ドカーブ(氏):

前述 のカー ビングスキー のボ リュー ムあ るサイ ドライ ンが作 るカー ブの こ とo あ る一定 の負荷 をかけて滑 るとできる回転弧があ り、その半径 をR15の よ うに数字 で表す。

6.カー ビングター ン(Carvingtom):

カー ビングスキー を使用 して行 うター ンの こ とで、カー ビング とは 「削 る」 「切 る」 とい う意味で用い られ る。

(23)

研 究論文 スキー における基礎 回転技術の重要性 について

7. ナ シ ョナルデモ ンス トレー ター :

2年 に一度選 考 され るス キー指導者 の最 高峰。 全 日本 スキー技術 選 手権 の上位 者 お よび 現役 のデモ ンス トレー ター他 、限 られ た人 しか この選考会 には出場 できない。実技試験 ・ 筆記試験 ・口頭試験等があ り約30名 が選 ばれ る。

8. ステ ィ ック ピクチ ャー :

人 間の体や付属物 を線 を使 って表 し、 関節 の角度 な どを測 定 して フォー ム を分析 す る方 法。

9. 入射角 :

スキー での回転 時 に決 め られ た 目標 に対 してス キー の板 を侵 入 させ る角度。 主 に競技 の 時 に使 われ ることが多い。

10.オ フィシャル ブ ック :

数年 ごとに改定 され るスキー教程 に対 して、毎年発行 され るスキー指導 員向けの副読本。

その年 の指導員研修会 にお けるテ ーマや指導 マニ ュアル 、 トピックス的 な指導理論 が書 かれ てい る。

参考文献

1. 大出‑水 、竹腰誠 、坂見敏 夫、伊藤 直樹 、吉池宏彰 、鳥羽泰光、鈴木正保 :中級 スキー ヤー のパ ラ レル ター ン修得過程 に関す る一考察 、 日本 体 育 大学紀 要 、第18巻 (1号 ) pp29‑35、1988

2. 竹腰誠 :学校 にお けるスキー の普及過程 に関す る研 究 一明治43年 か ら大正15年 までの 信越地方 を中心に‑、 日本体育大学大学院修 士論文、1992

3. 大 出‑水 、竹腰誠 、関 田貴人 :日本体育大学スキー実技テ キス ト、 (有)雄 久社、1994 4. 三浦望慶 、樋 口健 一、加藤壮志 、スキー にお ける角づ け操作 に関す る身体各部 の可動範

囲 と動作、 日本 スキー学会誌Vol.5,40‑49、1995

5. 大出‑水 、竹腰誠 :楽 しい基礎 スキー (生涯 スポー ツ、 スキー の魅力)、1997、スキー ジャーナル株 式会社

6. 山岸俊樹 、関矢貴秋、三浦望慶 :スキー にお けるプルー クボーゲンか ら初級パ ラ レル ター ン‑の習熟過程、vol.7、1997

7. 長谷川健 二、清水史郎、小寺忠 :スキー操作 とター ンの機構、1998‑7、 日本機械 学論 文 (C編)64巻623号(1998‑7)、pp52‑58,1998

8. 大 出‑水 、竹腰誠 :改訂楽 しい基礎 スキー (生涯 スポーツ、スキー ・ス ノーボー ドの魅 力)、スキー ジャーナル株式会社、1999

9. 八 島健 司、市場俊 之、加納樹里 :カー ビングスキー について、体 育研 究、33、pp9‑21 1999

10. 山本周史、古川年正 、森晃 、北川薫 :アルペ ンスキー ス ラローマ一 、皆川 賢太郎選手 の 特徴、JJBSE5(4)206‑211、2001

ll. 三浦哲 、三浦望慶 、下永 田修 二、カー ビングター ン動 作 のキネマテ ィ ックスか らみた特

167

(24)

徴 ‑カー ビング とスキ ッデ ィングのター ン動作の比較 ‑、 日本 スキー学会誌pp153‑163 2001

12.佐橋稔雄 :カー ビング ・ター ン と角付 け角、大 同工業大学紀要 、第38、pp177‑186 2002

13.石演慎 司、石井哲次 、石演加奈子 、島崎 あかね、上 田大、泉圭祐 、森 田恭 光、弘卓三 : カー ビングスキー滑走時 の筋電図お よび ビデオ分析 一上級者 と初級者 の比較 ‑、運動 と スポー ツの科学、 812002

14. 日本 スキー教程 、財 団法人全 日本 スキー連盟2004 15. 日本 スキー教程指導編 、財 団法人全 日本 スキー連盟2004 16.カー ビングスキー、財 団法人全 日本 スキー連盟、2004

17.伴好彦 :低速度 にお けるカー ビングター ン指 導 プ ログ ラムにつ いて、 日本 スキー学会 2005、ppll1‑118、2005

18.今井啓、鈴木大介、塩野谷明 :新指導準か らの発展 ‑スキー にお けるター ンの洗練 とカー ビングに関す る一考察 ‑、 日本 スキー学会2005、ppl19‑128、2005

19.オー ス トリアスキー教程 、 ブ ンデ ススキー アカデ ミー代表ベル ナ一 ・ヴェル ン ドレ、

2005

20.谷 口圭吾、乗安整而、岡野五郎 、加藤満 、スキー用具が筋活動 に及 ぼす影響、 日本 スキー 学会2005、pplO3‑110、2005

21. 竹腰 誠 、西 山哲成 、大 出‑水 :カー ビングスキー に よるパ ラ レル ター ンの動作分析 、 日本バイオメカニ クス学会大会抄録集、2006

22.岩原文彦、伊藤雅充、佐藤孝 之、石演慎 司、竹腰 誠 、 日比端洋 、岡本翼 、大 出‑水 、 西 山哲成 :カー ビングスキー に よるター ン技術 の違 い につ いて‑EMG の観 点か ら‑、第 59回 日本 体育学会大会号、2008

23. 石演慎司、竹腰 酒井達郎、佐藤孝之、大石健二、伊藤雅充、大出‑水、西 山哲成 : パ ラ レル ター ンの動作分析‑ トッププ ロと一般 スキーヤー の比較‑ 、第59回 日本体育学 会大会号、2008

24.伊藤雅充 、岩原文彦 、佐藤孝之、石潰慎 司、竹腰 誠 、 日比端洋 、岡本翼 、大 出‑水 、 西 山哲成 :スキーパ ラ レル ター ン時の筋活動パ ター ンの個人 内変動 、第20回 日本バイオ メカニ クス学会大会抄録、2008

25.竹腰 誠 、石塔慎 司、酒井達郎、大石健二、佐藤孝之、岩原文彦 、伊藤雅充、大出‑水 、 西 山哲成 :カー ビングスキー を用 いた ター ン技術 の動作分析 、第20回 日本バイオ メカニ

クス学会大会抄録、2008

26. 日本 スキー教程 「スキー指導マニ ュアル編」、財 団法人全 日本 スキー連盟2009 27. 日本 スキー教程 「技術編 」、財 団法人全 日本 スキー連盟2009

参照

関連したドキュメント

喫煙者のなかには,喫煙の有害性を熟知してい

 高齢者の外科手術では手術適応や術式の選択を

大きな要因として働いていることが見えてくるように思われるので 1はじめに 大江健三郎とテクノロジー

と言っても、事例ごとに意味がかなり異なるのは、子どもの性格が異なることと同じである。その

以上の基準を仮に想定し得るが︑おそらくこの基準によっても︑小売市場事件は合憲と考えることができよう︒

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON

ご使用になるアプリケーションに応じて、お客様の専門技術者において十分検証されるようお願い致します。ON