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九州大学学術情報リポジトリ

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

都市圏域の構造把握とそれにもとづく広域的道路網 の評価に関する研究

吉武, 哲信

https://doi.org/10.11501/3071400

出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

4.2

地域階層にもとづく構造分析

4.2.1

空間的携造とその変化

(1)

各階層に属するゾーンの地理的展開 主中心, 副次中心, 周辺. 孤立ゾーン といった各階層に属するゾーンが, どのように地理的に展開しているかを地図上でみ よう6),7) 図4-1は. 昭和40,50ぅ60年における北部九州4県の圏域情造を示している.

図中, ・印は主中心ゾーンを示し, 企印は副次中心ゾーンを. 実線は階層構造の連鎖 を, また着色部分は孤立ゾーンを示している.

図より. 年次が進むにつれ主中心ゾーンが減少し 副次中心ゾーンが増大するとと もに. 階層の述鎖を示す線の数が大きく増大していることがわかる. また, 孤立ゾー ン数も著しく減少しており, 昭和60年には山間部, 島艇部の一部を残すのみである.

次に3つの年次の階層構造を比較しその変化を明らかにする. 図中, 前年次と異なる 階層を有するゾーンにはO 印を付しているが, 新たに主中心ゾーンとなったのは, 昭 和40'"'-'50年で, 国見町. 杷木町, 矢部町, 松島町と倉岳町の5町であり, 昭和50'"'-'60

年では, 嬉野町, 安心院町の2町である. これらはし1ずれも人口規模が小さく. また,

山間地や半島部に存在していることで共通している. 他方, 主中心ゾーンから他の階 層へ転化したものは, そのまま孤立ゾーンになる場合と副次中心ゾーンになる場合の 2とおりに分けられる. 前者のグループには, 昭和40"'50年で, 安心院町(昭和60年 には再度, 主中心ゾーンになっている)と津久見市が. 昭和50",60年で‘は小国町と倉 岳町がある. これらの町も山間部や半島部に存在している. 後者のグループには, 多 くの市町村が属しているが, これは他の主中心ゾーンの都市圏域に組み込まれた結果 によるものである.

副次中心ゾーンの増加は, 主中心ゾーンからの階層転化と周辺ゾーンや孤立ゾーン からの階層転化によるものの2つに分けられる. このうち前者については上述したとお りであるが, 後者のうち孤立ゾーンから副次中心ゾーンへ転化したのは, 昭和40"'50 年の中津江村(山間部に位置している)のみである. 他方, 周辺ゾーンからの階層転化 を起こした市町村は, 昭和40"'50年で11 ゾーンI 50年 "'60年で20ゾーンあり, こ れらは主中心ゾーンの近傍に位置していることがわかる.

主中心ゾーンと副次中心ゾーンの地理的分布状況に着目しよう. 昭和60年では. 北 九州市から福岡市を通り. 久留米市, 大牟田市そして熊本市へ通じる地帯と, 北九州 市から苅田町を通り中津市へ向かう地帯, そして武雄市から佐賀市を通り久留米市,

浮羽町へ至る地,市に多くの主中心ゾーン. 副次中心ゾーンが存在していることがわか る. これらは明らかに北部九州地域の幹線交通網の整備が十分になされているところ

昭和40年

昭和60年

昭和50年

国:主中心ゾーン Â.:副次中心ゾーン

0:前期と階層の異なるゾーン

刈4-1 北部九州地域の都市圏域の構造

(3)

と一致している. すなわち順に. JR鹿児島本線と九州縦貫道. JR日豊線の複線区間,

JR長崎本線と長崎自動車道, 大分自動車道などがこれにあたる. 逆に上記の地帯以外 の地域. 例えば県境部などは. たとえ交通網が整備されていてもそれらが多くの中心 ゾーンを形成するほどの能力を備えていないともいえる. むろん, 交通網の整備のみ が中心ゾーンを育成するものではないが, 交通網が中心ゾーン形成と大きく関わって いることは以上から明白である.

さて, 主中心ゾーン同士の位置関係をみると, ある程度の距離が存在する傾向があ ることがわかる. 主中心ソーン同士が隣接しているのは, 昭和60年では佐賀県の武雄 市. 嬉野市. 鹿島市と. 大分県の日田市, 玖珠町, それに国東町, 国見町の3か所の みである. これらの市町の境界はいずれも山地が多く, 交通施設が必ずしも十分に整 備されていないことで共通していることを考えれば. 主中心ゾーン聞には一般にある 程度の距離が存在しているといってよい. 主中心ゾーンは, 他の主中心ゾーンと一定 の距離を保つような位置関係があるといえる.

主中心ゾーンと副次中心ゾーンの位置関係に関しては, それらの隣接は珍しくない といえる. また, 副次中心ゾーン同士は隣接していることが多い. たとえば, 昭和60 年において福岡都市圏の副次中心ゾーンである志免町, 粕屋町は互いに隣接している が, また福岡市とも隣接している. 副次中心ゾーンは, 主中心ゾーンと距離がある範 囲以内にあるという意味で主中心ゾーンとの聞の位置関係で決定されているといえる が, 他の副次中心ゾーンとの位置関係は, 副次中心ゾーン相互が隣接していることを 踏まえれば, 主中心ゾーン相互のようにある程度の距離を保つような関係にないこと がわかる.

以上の現象は, 中心地理論1)から長く分析, 理論化されてきたものでもあり, 中心 ゾーンの規模と分布の仕方に着目して中心ゾーンシステムを分析することは重要であ ると考えられる. しかし, この問題は本節での課題でないため本章4節で改めて分析 することとする. 地図上の分析からは. 主中心ゾーン間の位置関係と, 主中心ゾーン と副次中心ゾーン, 冨iJ次中心ゾーン聞の位置関係は同一に論じられないことが明らか

になったので, 後の分析はこの知見にもとづいて行なうこととする.

(2) 階層系列化の進展 図4-2は, 昭和40",60年における主中心ゾーン, 副次中 心ゾーン, 周辺ゾーン, 孤立ゾーンといった各階層に属するゾーン数を県別に示した ものである. 4県全体としては, 主中心ソーン数と孤立ゾーン数が減少し. 高IJ次中心 ゾーン数と周辺ゾーン数が増加していることは前章で指摘したが, 各県ごとにみても これらの傾向は共通している. また, 主・高IJ次合わせた中心ゾーン数は, すべての県で

増加している. これらから, いずれの県においても地域の階層系列化が進行している といえる.

県問の各階層に属するゾーン数の比較を行なうと, 主中心ゾーン数は. 昭和60年で は福岡県が長も少なく, 次いで佐賀, 大分. 熊本県の順となっている. 面積の大きい 福岡県と. 比較的面積の小さい佐賀, 大分県の主中心ゾーン数が同様に少ない. これ は, 福岡県は福岡市と北九州市の強力な主中心ゾーンが存在するため, 多くの中心的 ゾーンが副次中心ゾーン化していること. 他方, 佐賀, 大分両県は県面積が小さいこ とと副次中心ゾーン数が少ないことを考えあわせれば, 強力な主中心ゾーンが存在し ないためである. また熊本県は, 山間部, 島峡部が多く, 県面積も大きいことが, 主 中心ゾーンが多い理由である.

各階層に属するゾーン数の経年変化を比較すると, 福岡, 熊本, 大分県の3県は変 動が大きいが, 佐賀県のみは比較的変動が小さい. 特に主中心ゾーン数は, いずれの 年次においても6か7であり, 基本的な地域階層構造は昭和40年以降ほとんど変わっ ていない. 図4-1に示したように, 佐賀県においてもゾーンの従属関係を示す実線は いくらかは増加しており, 地域の階層系列化が進行しているといえる. しかし, 佐賀 県は佐賀平野を除いては, 山地によりいくつかの地域に分断されており, 社会経済の 発展による地域階層の系列化は未だその制約を大きく受けていると考えられる.

4.2.2 社会経済構造とその変化

(1) 居住・従業構造 各階層に属するゾーンの集合体である地域 (階層地域) が北部 九州地域の社会経済構造とその変化にどのように関わっているかを明らかにする. 分 析は, 都市機能の最も代表的な居住機能と従業機能に着目することとし, それらを表 わす指標として, それぞれ居住人口と第2,3次産業従業人口を用いる. 都市機能を表 わす指標は数多いが, 人口をとり上げたのは, 他の指標が人口と相関が高いことが経 験的に知られており, かつデータの信頼性が高いことによる. また, 従業機能を表わ す指標として第1次産業従業人口を除外したのは. それが農林水産業であるため都市 的機能を表わすものでないとの認識による. 対象ゾーンの階層構造は, ここでは人口 変化すなわち社会経済活動の変化を取り扱うため, フィックスト・プリンシプルにもと づくものとし. 昭和60年のものに固定して考えることとする(図4-1参照).

a) 県別の居住, 従業人口 各階層地域の社会経済的な位置づけを分析する前に,

各県ごとの居住. 第2, 3次産業従業人口の全体的な変化を杷握しておこう (図[1-3). 図より, 明らかに福岡県の居住人口と第2,3次産業従業人口が他県に比して大きい.

(4)

福岡県

ゾーン数

70 60 50 40 30 20 10

S40 S45 S50 S55 S60

年次

ゾーン数 熊本県

60

50

40

30 20

10

S40 S45 S50 S55 S60

年次

ゾーン数 佐賀県

各県別に人口の変動をみると, 福岡県は昭和40年以降, 居住人口, 第2,3次産業従業 人口ともに増加している. ただし. 特に第2,3次産業従業人口の伸びは昭和40年以降 は鈍化傾向にあり, 居住人口のそれは昭和50年以降わずかながら鈍化している. 佐賀 県では, 居住人口は昭和45年まではわずかに減少, 昭和50年以降はわずかに増加し ている. 第2,3次産業従業人口は昭和40年以降緩やかに増加しているが, 昭和55年 以降はさほど仲びてはいない. また熊本県は, 居住人口は昭和50年を境として減少か ら増加に転じている. 第2,3次産業従業人口は昭和40年以降増加してきたが, 近年そ の伸びは鈍化傾向にある. 大分県の人口の変動については佐賀県と比較的類似してお り, 居住人口は減少から緩やかな増加に転じ, また第2,3次産業従業人口は, わずか に増加傾向を保っている状況にある.

30

20

10

5000000

一�

S40 S45 S50 S55 S60

年次 4000000

ゾーン数 大分県

福岡県居住人口 佐賀県居住人口 熊本県居住人口 大分県居住人口

福岡県第2I 3次産業従業人口 佐賀県第2.3次産業従業人口 熊本県第2. 3次産業従業人口 大分県第2I 3次産業従業人口

3000000

園田ーー0園田ー圃 40

一一-0一一一

2000000

30

六芳一以ιゴ

0

....……0

20 1000000

ー_-0・・司伺』旬包G F、 句 "ー__---0---

円・ 一---..,_, ・.... ...・...

i:::::::;::::::::ふ・"...・

. . . . _. ..ー ー ・ .-

10

4 0 45 5 0 55 60

年次(昭和)

図4-3 県別居住人口と第2,3次産業従業人口

S40 S45 S50 S55 S60

年次 以上より各県においては, 県全体としては居住人口, 第2,3次産業従業人口ともに,

増加あるいは横這い傾向にあり, また, 第2,3次産業従業人口の増加傾向は居住人口 の増加に比べ, 比較的早く鈍化しているといえる.

一--0一一 主中心ゾーン数

一一←一一 副次中心ゾーン数

一一+一一 周辺ゾーン数

一一一←ー 孤立ゾーン数

図4-2 各階層ゾーン数の経年変化

b) 県別, 階層地域別の居住, 従業人口 図4-4は, 県ごとに各階層地域に関し その居住, 第2,3次産業従業人口の経年変化を示したものである.

福岡県の居住人口に着目すれば, 主中心地域の居住人口が最も多く. 次いで高iJ次中 心地域. 周辺地域そして孤立地域の順となっている. 孤立地域を除けば, それらの居 住人口は順調に地加しているが, 主中心地域は昭和50年から, 副次中心地域は昭和

(5)

55年からその伸びにわずかながら鈍化傾向がみられる. また. 周辺地域には明確な鈍 化傾向はみられない. 他方, 第2,3次産業従業人口をみると, やはり主中心地域が最 も大きく, 大きさの順は居住人口と同犠である. しかし, それらの仲びに着目すれば,

主中心地域では昭和45年から鈍化傾向にある一方で, 副次中心地域と周辺地域では昭 和45"'50年で一度. 昭和55,,-,60年で再び鈍化傾向が現れる点で. 居住人口の傾向と

異なることがわかる.

佐賀県に関しては以下のことが明らかになる. すなわち, 居住人口に関しては主中 心地域が最も大きいが, 次いで周辺地域, 副次中心地域の順となり, 階層の逆転現象 が起きている. なお孤立地域は佐賀県には存在しない. これらの経年変動をみると,

主中心地域は昭和40年以降徐々に増加しているが, 副次中心地域と周辺地域は昭和 40,,-,50年で減少し, その後わずかながら増加に転じていることがわかる. さらに周辺 地域の伸びの方が. 副次中心地域のそれよりも大きい. 他方, 第2,3次産業従業人口に 関してみれば, 大きさの}I債は主中心地域, 副次中心地域そして周辺地域である. それ らの経年変化をみると. 主中心地域の伸びが比較的大きいが副次中心地域と周辺地域 のそれは比較的小さい. 以上から佐賀県においては. 主中心地域においては居住, 従 業機能ともに比較的大きく発達しているが, 副次中心地域は居住の場としては周辺地 域よりも小規模でありながら従業の場としてその機能を果たしているといえる.

熊本県をみると次のとおりである. 居住人口の大きさの順は. 佐賀県と同様に主中 心地域, 周辺地域. 副次中心地域そして孤立地域となっており, 周辺地域と副次中心 地域の逆転がみられる. また経年的には主中心地域は昭和40年以降順調に増加してい るものの, 副次中心地域は昭和50年を境として減少から増加に転じ, 周辺地域は昭和

40,,-,45年で大きく減少したものの昭和50年以降緩やかな増加に転じている. 昭和50 年以降の伸びは. 周辺地域の方が副次中心地域のそれよりも大きい. 他方, 第2,3次 産業従業人口をみると. 大きさの順は主中心地域, 副次中心地域と周辺地域, そして 孤立地域となっており, 副次中心地域と周辺地域の大きさはいずれの年次においても ほぼ等しい. 経年的に比較すれば, 主中心地域が増加しているが昭和55年以降伸びに 鈍化傾向がみられる一方で, 副次中心地域と周辺地域は緩やかな増加傾向を保ってい るといえる. 以上から, 本県の副次中心地域は, 全体として, 居住, 従業機能ともに

周辺地域に比べ大きな役割を担っているわけではないといえる.

最後に大分県をみると次のことが明らかになる. すなわち居住人口に関してその大 きさの順に並べると. 昭和60年では主中心地域, 副次中心地域, 周辺地域そして孤 立地域の)1回となる. ただい 昭和40年においては周辺地域の人口の方が副次中心地 域よりも大きかったがその後逆転している. これらの経年変化をみると, 主中心地域

2500000

2000000

1500000

1000000

500000

800000

600000

400000

200000

人口 福岡県 人口 佐賀県

400000

...<1:ヨ「・ーー-ー・・・ー.-t]

...ø・・・E .e...

.'・

Ci1'

�... - ・+ーー ・ー::::::::::::::

....・・・ーー 一a・ -ー・也・・・・・・・・・

..

300000

B B

B B 200000

540 545 55 0 55 5 560

年次

人口 大分県

100000

ー・.._#....・・4・・・・・・・・・・・4 - ・」・.._-'一一一噌

...ーー・ v

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a...唱・・・・・・ー・・一司ーー

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540 545 55 0 55 5 560

年次

人口 熊本県

540 545 55 0 55 5 560

年次

図4-4 県別, 階層別居住人口と第2,3次産業従業人口

600000

500000

400000

---三A ・ ・.Ð・f・...e

・ .[!)-. . . .

300000

Ci1' 200000

z・1:,:_1・・・也・・・- -_ - --・・.a 100000

-ー・・・ー・・・・・・唱・・・・・・・・・・・噌・・・・・・・・・・・4・・・・・・・・・・・噌

540 545 55 0 55 5 S60

年次

一---0-一

主中心地域居住人口

一一+一 副次中心地域居住人口

一一+一 周辺地域居住人口

一→一一 孤立地域居住人口

.0-… 主中心地域第2,3次産業従業人口

一←… 副次中心地域第2,3次産業従業人口

周辺地域第2,3次産業従業人口

ーか…・ 弧立地担携2,3次産業従業人口

(6)

のみが大きな増加を示しており. 副次中心地域は停滞, 周辺地域と孤立地域は減少し ている. 周辺地域の居住人口が近年においても減少しているのは本県のみである. 他 方. 第2,3次産業従業人口に着目すれば, 大きさの}I聞は主中心地域, 副次中心地域, 周 辺地域そして孤立地域と階層の降}I債になっており, 居住人口における順と異なってい る. また. 経年変化をみると. 主中心地域はその傾向は鈍化しながらも増加傾向にあ り, 副次中心地域と周辺地域はわずかながら増加し, 孤立地域は現象傾向にあるとい える. 以上のことから, 本県においては主中心地域では居住, 従業機能の著しい発達 がみられるが, 副次中心地域と周辺地域の居住機能には衰退が. 従業機能には停滞現 象がみられることがわかる.

結局. 北九州4県のうち福岡県のみが. 主中心地域は当然としてそれ以外の副次中 心, 周辺地域においても人口増の状態にあるが, 残る3県では, 主中心地域への人口 集中がある一方で, 副次中心. 周辺地域での減少という絶対的集中化傾向にあるとい える.

また, 以上の分析結果を. 居住, 従業といった都市機能の集中化, 分散化の観点か ら解釈すれば. 次のような都市化のプロセスを想定することができょう. すなわち.

まず主中心地域への居住人口と従業人口の集中化が進むが, 集中化がある程度まで進 行すると, 従業人口の集中化がまず鈍化し, 次いで居住人口の集中化も鈍化していく.

これらの鈍化は. 副次中心地域と周辺地域が支えるが, 副次中心地域と周辺地域への 分散化の聞には時間のずれが存在し, 副次中心地域への分散化が若干早く始まると考 えられる. これらのうち特に, 居住人口と第2,3次産業従業人口との関係に関しては,

先の図4-3の県単位の分析からも明らかになったところである.

(2) 通勤・通学流動による地域間結合構造 本節では, ゾーン間ベースの指標であ る通勤-通学流動を用いて, 地域間結合の構造を階層地域の観点から明らかにする. 通 勤-通学流動は, 発地の居住機能と着地の就業・就学機能を結合するものであり, 各階層 地域間がどのような機能的関係において結合しているかを明らかにすることができる 点で重要である.

a) 県別通勤・通学流動の主, 副次圏域内々量 各階層地域間流動の構造を明らかに する前に, 各県全体の主, 副次圏域内においての総流動量を把握しておこう(図4-5).

ただい 流動量の全発生量は圏内の居住人口と相関が高いので, ここでは特にゾーン 内々流動を除外し, 圏内のゾーン間流動のみを対象とした圏域内々量とその変化を明 らかにする.

500000

400000

300000

200000

10000{)

内々通勤通学流動量

伺...・..(!I

同...白・・"

.山山Ð"…】山同一....t:f- 図・....-

S40 S45 S50 S55 S60 年次

一----Ð-ー福岡県主圏域

一一+一一佐賀県主圏域

一一←一熊本県主圏域

一+一大分県主圏域 一…..e……福岡県副次圏域

一+一…佐賀県副次圏域 一一一・…一熊本県

副次圏域

……+……・大分県副次圏域

図4-5 県別主, 副次圏域の内々通勤・通学流動量

図より, 福岡県の主圏域の内々量が群を抜いて大きい. また, 同内々量は昭和40年 以降増加傾向にあるが, その伸びは昭和55^"'60年で若干鈍化している. これは, 図 4-3における岡県の居住人口の動向と類似している. また, 福岡県の副次圏域の内々

量の伸びは主圏域に比べ小さいが, 昭和50年以降わずかながら大きくなっている.

福岡県の主. 副次圏域の次に大きいのは熊本県の主圏域であるが. その内々量は昭 和40年以降ずっと増加傾向を保っており, またその伸びにも鈍化傾向はみられない.

他方, 同県の副次圏域に関しては, その量も伸びも小さく, 圏域としてまとまった発 達がみられるとは言い難い. したがって熊本県では, 主圏域に関しては都市圏域とし ての成長がみられるが. 高Ij次圏域は一体的な発達がみられるほどの力をもっていない といえる.

佐賀, 大分県に関しては, 主圏域, 副次圏域ともに流動量は他2県に比べ小さく, ま たそれらの伸びも大きくはない. したがって, 県レベルでみれば両県では圏域の形成 と圏域としての一体的な発達がみられる段階にはないといえる.

b) 県別通勤・通学の階層地域間流動量 図4-6 は, ゾーン間通勤・通学流動が. 階 層地域からみた場合どのような構造をなしているかを分析するため, 流動を発ゾーン と着ゾーンの地域階層により区分し, その区分ごとに流動量を示したものである. た だし 孤立地域に関する流動はその規模が小さいことから図には示していない. また.

ここではゾーン問ベースの分析を行なうことが目的であるから, ゾーン内々量は, 除 外して計算している.

(7)

まず福岡県に着目すると, 他3県に比していずれの階層地域間流動量もかなり大き

通勤通学流動量 佐賀県

80000

通勤通学流動量 福岡県

160000

周辺地域か ら発生し主中心地域へ集中する流動であり. 次いで副次中心地域から主中心地域への 流動となる. また, 周辺地域から副次中心地域, 副次中心地域相互の流動も比較的大 いことは明らかである. 県内の階層地域間流動量の中で最も大きいのは,

60000

40000

20000

C/C C/S C/P S/C S/S S/P P/C P/S P/P

階層間交通

140000 120000 100000

したがって福岡県においては, 主中心地域で展開される就業-就学機能を高IJ次中 心地域と周辺地域の居住機能が, 副次中心地域で展開される就業-就学機能を周辺地域 きい.

80000 60000

の居住機能が支えているといえる. 次に各流動量を経年的に比較すると, 低階層の地

域から主中心地域. 副次中心地域に集中する流動量の伸びは特に昭和50年以降小さく 40000

C/C C/S C/P S/C S/S S/P P/C P/S P/P

階層間交通

20000

上位から下位 の階層地域への流動量の伸びが大きくなっている. これは, 近年は同階層の地域相互,

上位から下位階層地域への流動量が増加し, 地域間の結合関係がより複雑化している なっている一方で. 主中心地域相互を除く同階層地域相互の流動量と,

ことを示している.

分布ノモターンは熊本県と比較的類似している. すなわち, 周辺地域から主中心地域へ の集中流動が群を抜いて大きく, またその他の階層地域間流動の間では大きさにさほ したがって, 佐賀県は主中心地域で展開される就業・就学機能を, 主とし て周辺地域の居住機能が支えており, 副次中心地域は, 主中心地域の居住機能も周辺 地域の就業-就学機能も大きく支えているわけでないといえる. また, 各階層地域間流 動量を経年的に比較するといずれの流動量も増大しているが, 周辺地域から主中心地

通勤通学流動量 大分県

80000

通勤通学流動量 熊本県

80000

その 佐賀県に関しては, 通勤・通学流動量は4県の中でも大分県と並んで小さいが,

60000

40000

20000 60000

40000

20000

ど差がない.

C/C C/S C/P S/C S/S S/P P/C P/S P/P

階層間交通

o

C/C C/S C/P S/C S/S S/P P/C P/S P/P

階層間交通

主中心地域の集中 域への流動が特に順調に伸びている. これは, 佐賀県においては,

地域としての機能すなわち従業機能が成長しつつあることを示すと考えられる.

・中中集中集集域中集域中域地集中集・出地集地心域集域中地心域心中地域地集心中地中次辺地心境中次辺主副周心中地2主副周・・・中次辺パ

・生生生主副周じ生生生発発発・・・JJI発発発域峨域生生生域域域地地地発発一川地地地心心心頃域峨;心心心中中中地地地い中中中次次次辺辺辺川r主主主副則一則周周周三

ゾ CSPCSPECSP

//////////////////

••

cccsssppp&守 年次

回 S

4 0

協S

4 5

闇 S

5 0

園S

5 5

口 S

6 0

熊本県は, 佐賀県と同僚に, 周辺地域から主中心地域への流動量が他階層地域間流 動に比しでかなり大きく, 他の階層地域間流動量の間にはあまり大きな差異がないこ とが特徴的である. したがって本県においては, 主中心地域で展開される就業-就学機 能を, 主として周辺地域の居住機能が支え, 副次中心地域は, 他階層地域の居住機能 と就業・就学機能を大きく支えているわけではないといえる. 各階層地域間流動量を経 年的に比較すれば, 周辺地域から主中心地域への流動量と副次中心地域から主中心地

比較的順調な伸びを見せている. 熊本県 の伸びが鈍化している以外は.

域への流動

階層地域間の通勤-通学流動量 わずかながらも地域間結合関係の複雑化現象が現れてきているといえる. 図4-6

最後に大分県をみてみよう. 通勤-通学流動量に関しては佐賀県と並んで小さい.

た. 周辺地域から主中心地域への流動量が最も大きく, 次いで副次中心地域から主中

土A山は,

その他の階層地域間流動量の問にはさほど大きな違いはな したがって本県においては. 主中心地域で展開される就業・就学機能を, 周辺地域 心地域へのものが大きい.

(8)

と副次中心地域の居住機能が支えているといえる. また. 経年的には副次中心地域と 周辺地威から発生し主中心地域へ集中する流動の伸びが近年低下している. 他方, 規 模は小さいものの. 副次中心地域相互の流動. 主中心地域から副次中心地域や周辺地 域への流動の伸びは近年増大傾向にあり, 大分県においても地域間結合関係の複雑化 が徐々に進行しているといえる.

以上, 通勤-通学流動を用いて地域間結合の構造に関し, 流動量の面から検討を行 なった. この結果, 各県によって, 副次中心地域の果たす機能やその程度には差があ るが, いずれの県においても低階層から上階層地域へ向かう流動だけでなく, 同階層 や下位階層への流動も増加傾向にあり, 地域間結合はより複雑化の傾向にあることが 明らかになった.

4.3

都市圏域の構造

本節では, 個々の都市圏域を分析単位として, 空間的. 社会経済的機造およびそれ らの変化に関する分析を行なう.

まず空間的情造の分析では, 個々の都市圏域の空間的構造とその変化, そしてそれ らを規定するものあるいは影響を及ぼすものを明らかにすることを目的とする. 具体 的はまず, 都市圏域の空間的規模, ここでは構成ゾーン数がそれらを構成するゾーン の階層構成とどのように関わっているかを明らかにし, 次いで. 都市圏域の空間的拡 大や縮小の実態、. またそれらと都市圏域内のゾーンの階層構成との関係について検討 を行なう さらに, 前節からの課題であるゾーンの階層とゾーン間距離の関係に関し てもここで考察を行なうものである.

社会経済的構造の分析においては, 個々の都市圏域の社会経済的構造とその変化を 明らかにすることを目的としている. このためにまず, 居住・従業機能からみた地域構 造を地域の階層構造の観点から分析し 各都市圏域の特徴やその位置つeけを明らかに する. 次いで地域間結合構造からみた分析を行なうため. 通勤・通学流動を用いて各都 市圏域の特徴を明らかにしようとするものである. これらの分析は単に都市圏域聞の 相対的な特徴を明らかにするだけでなく. 時系列的な変化すなわち都市圏域の成長や 衰退の状況を明らかにするものであり, さらにはそれらがどのような都市圏域の社会 経済的特徴と深く関わっているかを明らかにすることをめざすものである.

4.3.1 空間的構造とその変化

(1)

都市圏域の規模と圏内ゾーンの階層構成 図4-7は, 昭和40,50,60年の3年 次に関し, 主圏域内の副次中心ゾーン数zとその周辺ゾーン数yとの関係を示したも のである. 図中にはy = 2xの直線も示している. 図より, いずれの年次も. ほとんど の主圏域内の周辺ゾーン数は副次中心ゾーン数の2倍前後より多い傾向があることが わかる. 特に副次中心ゾーン数が5以上の場合はこの傾向は顕著である. これらは,

一般的な副次中心ゾーン数と周辺ゾーン数のバランスを示していると考えられる.

3つの図を比較すると, 規模の比較的大きい主圏域に関しては, 昭和40年当時はほ ぼすべてがy = 2xの直線より左側に位置し 周辺ゾーン数が高IJ次中心ゾーン数より極 めて多い状態、である. しかし 昭和50年においてはそれらは直線に疋づき, さらに昭 和60年には福岡, 佐賀, 北九州都市圏などが, 直線より右側に位置するに至り. �IJ次 中心ゾーン数が相対的に増加している. ここにおいても多くの都市圏域が多極化して いることが明らかになる. しかし, たとえば熊本や大分都市圏は, 他の郎市圏域と比

(9)

づt九H�

10i田川

/

・・

飯塚

J

5空・人吉

15

留米都市闘を除けば, 副次圏域は全体としてはその圏域内のゾーンの副(々)次中心 ゾーンと周辺ゾーンの構成比率に明確な傾向が現れるほどの圏域形成力をもっている わけではないといえよう. また久留米都市圏に関しでも, 副次中心ゾーンが多いのは 福阿部市圏内の高lJ次中心ゾーンが久留米都市圏にも属しているためであり

, この意味 で久留米都市閣の圏域形成力が強いとは必ずしもいえるものでもない.

較しでも副次中心ゾーン数が少なく. 少極的な都市圏域であることがわかろう.

昭和4 0年

301'周辺ゾーン数 昭和5 0年

30干周辺ゾーン数

25

/

25

20 20

15 20

周辺ゾーン数

昭和4 0年

2

0

周辺ゾー ン数

昭和5 0年 10

15 15

'山鹿 5. . -久留米

0

o 5 10 15

副次中心ゾーン数

._ .大牟田

多良木

-久留米

5 10 15

副次中心ゾーン散

10 10

5

神崎

.一一一豊前鳥栖

2 3 4

5

6 7 B

副(副)次中心ゾーン数

5

ζ .飯慢 一回)11

・直方

.行橋, 玉名 荒尾, 上村

・ー鳥栖 長洲, 免田 ー神崎, 三田川, 宇土

|

-直方

昭和6 0年 30干周辺ゾーン数

2 3 4

5

6 7 B

副(副)次中心ゾーン数

25 -熊本

-福岡 20

15 -佐賀 2

0

昭和6 0年

周辺ゾーン数 10i ・大タ/ ・北九州

P 人百

円 : Y

・中津

・大牟田

武雄

15

久留米 0

o 5 10 15

副次中心ゾー ン数

図4-7 主圏域内のゾーンの階層構成

10i飯塚

ー直方

; イズZ,

・行揖

5

多良木

次に. 問機の図を高IJ次圏域に関し描いたものが図4-8である. 久留米都市圏では副 次圏域内に副(々)次中心ゾーン(高Ij次圏域の“副次中心ゾーン"であることからこの用 語を用いる)が多く存在することがわかる. この久留米都市函を経年的にみれば, 左 側から右側に推移し多極化の方向へ進行していることがわかる. その他の副次圏域に 関しては. 1つの直線上に圏域が分布するといった主圏域での図のような明確な傾向 は見山せないが, 昭和40年においては副々次中心ソーンがlつの圏域が4つのみで あったが. 昭和50年にはその数が増加し昭和60年には副々次中心ゾーンが2の圏域 もいくつか出現しており, やはり多極化へ向かう都市圏域が多いといえる.

主圏域と面Ij次悶域を比較すれば. 高IJ次圏域の規模が小さいことは当然であるが, 久

2 3 4

5

6 7 B

副(副)次中心ゾーン数

図4-8 副次圏域内のゾーンの階層構成

(2)

ゾーン間距離とゾーン階層 主中心ゾーンや副次中心ゾーン, そして周辺ゾー ンといった都市圏域を情成するゾーンの階層は. そのゾーンの特性とゾーン問の関係 の'1'で決定されていると考えられる. したがって, 都市圏域の情造に関する理解を深 めるためには, 前節までの検討のようにゾーンあるいはゾーンの集合体である地域そ のものに関する分析だけでなく, ゾーン問の関係をも視野に入れたシステム的分析が

(10)

必要であることはし1うまでもない. そこで本節では, ゾーン特性としてゾーン居住人 口をとりあげ. 発・着ゾーンのゾーン特性とゾーン聞の距離に関する考察を行なうもの である.

まず, 具体的分析に入る前にゾーン間距離の定義と内容に関し考察を行なっておく.

ゾーン間距離はゾーンが空間的広がりを持つことから, 本来は一意に定まるものでな くある種の分布をなすが, 本節においては. ゾーンの中心地点

(

役所

)

間の距離で代表

することとする. これは, 本研究においてはゾーンを単位とした都市圏域のシステム 的分析に主眼があり, したがって発-着ゾーン特性もゾーン全体の居住人口を対象とし ていることによる.

次にゾーン問距離は通常, その内容から空間距離と時間距離の2つに分けられる.

このうち前者は定義や計算が容易である一方で, 経年的に変化せず固定的である問題 があり. 本来流動的な都市圏域を分析するには適切な指標であるとはいえない. また,

後者にはゾーン間の所要時聞が, 利用交通施設あるいは機関によって異なり, 一般的 な時間距離の定義が困難である問題はあるが. 交通機関や施設の整備効果を反映でき る利点がある. 本研究においてはこのうち後者を用いるものであるが, これは何より も人々の日常生活におけるソーン問の移動や, 経済活動におけるゾーン聞の結合関係 においては, ゾーン聞を移動するための所要時間こそが問題となるのであって, 決し てそれが空間距離に大きく依存するものでないことによる.

時間距離の計測に関しては, ゾーン間で利用可能な交通施設, 交通機関の所要時間 のうちで最短と考えられる時聞を採用する. 最短時間を用いるのは, 当該ゾーン間で 主として利用されている交通機関, 施設とその能力を代表しうると考えることによる.

なお, 一般道による時間距離を計算する場合には, 渋滞の影響を考慮、に入れるため. 市 内での速度を市外でのそれより小さく設定している. しかし, 以上のようにしてえら れる時間距離はあくまでも理念上のものであり, 現実の所要時間とは必ずしも合致す るものではない. ここで使用する時間距離はあくまで相対的な関係を示す尺度である.

さて以降の分析は. 主中心ソーン間, 主中心ゾーンと副次中心ゾーン間, 副次中心 ゾーン問, および主中心ゾーンと周辺ゾーン聞の4種の関係に区分して行なうことと する. これは, 4.2における地図上の分析からもみたように, ゾーン間の関係のメカニ

ズムはゾーンが属する地域階層によって異なると考えられることによる.

また, 4番めの関係すなわち主中心ゾーンと周辺ゾーンとの問の関係に関しては本 来, 主中心ゾーンの他に副次中心ゾーンとその周辺ゾーンの関係をあわせて分析を行 なう必要があるが, ここでは主中心ソーンのみを対象とする. これは, 高'J次中心ゾー ンの圏域

(

副次圏域

)

に属する周辺ゾーンの多くは主圏域

(

主中心ゾーンの圏域

)

にも

属しているため. 中心ゾーンと周辺ゾーンの関係が複雑であり. また副次中心ゾーン の影響は主中心ゾーンのそれに比して小さいと考えられることから. 便宜的に主中心 ゾーンとその周辺ゾーンとの関係のみを対象としてよいとの判断による.

a)

主中心ゾーン聞の関係 図4-9

(

A

)

に, 4県に関し昭和60年における主中心 ゾーン間の時間距離と両ゾーンの居住人口の関係を示す. ただし. すべての主中心 ゾーン聞の関係を明らかにすることは煩雑であるので, 他の主中心ゾーンを介さずに 直接交通施設により結ぼれている主中心ゾーンのぺアのみを対象とした. さらに主中 心ゾーン間の関係は, 日常生活上のものよりはむしろ経済的, 業務的な性格の方が強 いため. この意味で時間距離に関しては, 高速道路や新幹線をも利用可能な交通機関 に含めて計算している. また図の水平面上の2軸は, いずれも主中心ゾーン人口を示 しているので, 図は左右対称である.

(A) (B)

図4-9 主中心ゾーン問の時間距離と人口の関係

図より, 全体としては各点は主中心ゾーン人口が小さい方が時間距離が大きく, 主 中心ゾーン人口が大きくなり原点から遠ざかるにつれて, 時間距離が小さくなる傾向 がみられる. 特に主中心ゾーン人口が100万人を越える場合

(

福岡市, 北九州市がこれ にあたる

)

, 他の主中心ゾーンとの時間距離が他の主中心ゾーン間とのそれに比しでか なり小さい. この現象は一見, 2つの主中心ゾーン人口が大きければ大きいほど, ゾー ン問の距離が大きくなると考える中心地理論とはまったく逆の傾向を示している. 特 に大規模な抑市は, 歴史的には個別に発展. 成長してきており. 必ずしもシステムの

(11)

中に位置付けられてきたわけではないこと. そして近代に至っては大規模主中心ゾー ンを重点として交通施設が整備されてきたことにより以上のような結果がえられたも のと考えられる.

ところで, 同図を詳細にみると各主中心ゾーンのぺアが占める点の位置関係から.

両方の主巾心ゾーン人口が20万人以下のもの. 一方の主中心ソーン人口が20万人か ら 60万人までのもの. そして一方のそれが100万人を越えるものの, 大きくは 3つに

区分することができる. 以下. これらに関し調べてみよう.

両主中心ゾーン人口が20万人以下の場合に着目する. 各点が密集して分布してい るので. 図4-9(B)にその部分を拡大したものを改めて示している. 図より, 主中心 ゾーン聞の関係を表わす点は, 2つの面を構成していることがわかる. すなわち, 両 主中心ゾーン人口は概ね等しくとも, 時間距離が大きいグループと小さいグループが 存在している. また, 前者は時間距離のばらつきが大きく. 後者では小さい. これら の背景を探るために, 2つの面を構成する主中心ゾーンのぺアの内容を見てみよう.

まず, 前者に属する主中心ゾーンのペアには, 1)たとえば大牟田市と田川 市(117 分). 竹田市と日田市(106分)のように, 距離的には遠く, 主中心ゾーン聞には他の主 圏域が複数存在しているが. 他の主中心ゾーン自体を介してはいないものと, 2)たと えば佐賀市と唐津市(68分)や, 水俣市と人吉市( 66分)のように, 主中心ゾーン人口 は小さいが, 周辺に存在する市町村との兼ね合いで, 比較的広域の圏域を有するもの のペアが存在しているものの2種があることがわかる. このうち1)に関しては, 実質 的には他の主中心ゾーンを介していると考えてよく, 考察の対象から除外しでもよい.

また, 2)に関しては. 1)に属する主中心ゾーンのぺアよりは時間距離が若干短かい傾 向(70分前後)があるが, 両主中心ゾーン人口と時間距離の間には明確な傾向は見い出 せない.

後者には. 3)武雄市と伊万里市(41分)や, 本渡市と松島町(4 0分)のように. 主圏 域が小さく, 主中心ゾーン問で地形や交通施設の制約が厳しいぺアや, 大牟田市と大 川市(35分)のように距離的には近くとも, 歴史的な背景から互いに独立な中心ゾーン のペアも存在する. これらは. 地形上や歴史的制約条件が存在するために, 比較的距 離が小さくとも. 独立に主圏域を構成するものであり, 逆に考えればこれらの制約が 解消されれば一方が副次'1:7心ゾーン化する可能性もあろう.

さて, 特に2). 3)からはまた別の課題が提示されている. すなわち. 2)からは, 主 中心ゾーン間の関係は単にそれらだけでなく, それらの主圏域を構成する周辺ゾーン 群との兼ね合いを考える必要があることが. 3 )からは, 時間距離よりも, 交通施設能 力や歴史的要因などをも考慮、した総合的なゾーン間距離の槻念が必要であることが示

唆されている. しかしこれらに関しては. 都市閤域の大枠としてのシステム的把握と いう本研究の主たる課題からは外れるため, 今後の研究課題としておく.

次に, 一方の主中心ゾーン人口が100万人以上のものに関しみてみよう. 図4-9(A) よりこれらの点の分布をみると. 時間距離が比較的短いことで共通しており, かっそ の大きさは60分前後で, 他方の主中心ゾーン人口の大小に関してさほど変動していな い. 時間距離が小さい理rhは先述したように交通網が大規模中心ゾーンを中心として 整備されてきた結果であるが. 他方. 時間距離がある値より小さくならない理由は.

ある値以下になると小規僕な主中心ゾーンが副次中心ゾーン化するためである. その 関値がここでは60分前後で現れているといえる.

最後に一方の主中心ゾーン人口が20'"'-60万人のぺアに関してみてみよう. 時間距離 が最大となる主中心ゾーンのぺアは熊本市と大分市のペアであるが, これは先述1)の 理由で除外して考えてよい. すると時間距離は 90分以下で分布しているといえる. ま た, 一方の主中心ゾーン人口を固定すると, 他方の主中心ゾーン人口が大きくなるに つれて時間距離が小さくなる傾向がある. 熊本市(人口 555,719人)とその他の主中心 ゾーンの関係, たとえば八代市(108,790人, 25分), 山鹿市( 33, 64 7人, 39分). 矢部 町(15,605人, 50分)や高森町( 8ヲ531人, 63分)がその例である. これは, 以上の主 中心ゾーンが人口規模の大きい方側( ここでは熊本市 )との連関の中に位置づけられ,

ある種の時間距離と人口規模との聞のシステムが形成されていることを示唆している.

中規模な主中心ゾーンとその他の主中心ゾーンの関係が, 先の大規模主中心ゾーンと その他の主中心ゾーンの関係とはまた異なっていることは興味深い.

b) 主中心ゾーンと副次中心ゾーン閣の関係 主中心ゾーンとその主圏域に属する 副次中心ゾーンの関係に関し分析する. 図4-10は, それぞれのゾーン人口とその間 の時間距離との関係を表わしたものである. 図より, 副次中心ゾーンは, 主中心ゾー ン人口の大きさによって定まるある値以下の人口をとる傾向があるが, その値は主中 心ゾーン人口の増加にともなって増加していること, また, 主中心ゾーン人口の軸側 からみると, 全体的には両ゾーン聞の時間距離はある値以下をとる傾向があり. かっ その値が副次中心ゾーン人口の増加とともに低下している状況が読みとれる. また,

逆に副次中心ゾーン人口の軸側からみた場合には, 主中心ゾーン人口が小さい場合に は, 主中心ゾーン人口との時間距離は若干の例外はあるものの全体的に小さい傾向が あるが. 主中心ゾーン人口が大きくなると. 時間距離は大小犠々な値をとり, また全 体的には大きな値をとるものが現われる傾向があるといえる.

これらの傾向は. 大きな人口を擁する主中心ゾーンほど. 大きな副次中心ゾーンを

(12)

もつこと, 大きな人口を擁する高IJ次中心ゾーンは主中心ゾーンに近いこと, 人口が小 さい主中心ゾーンは副次中心ゾーンを有しでもそれは比較的近いところに限られるが,

人口が大きい場合は比較的速いところにも副次中心ゾーンを有すことができることを 示している.

(A)

(余)選出E宮

(8)

図4-11 副次中心ゾーン聞の時間距離と人口の関係

でみたように, 副次中心ゾーン相互は地理的に隣接することも多く, 主中心ゾーン相 互の関係とは異なる地理的分布傾向を示していることと, 前項でみたことと併せて考 えれば, 高Ij次中心ゾーンの位置や規模は他の副次中心ゾーンとの関係よりは, 主中心 ゾーンとの関係によって大きく定まるといってよいであろう.

なお. ;Ij次中心ゾーン問の時間距離そのものがどのような分布をなしているかを,

参考までに図4-12に示す. 図より, ほとんどの距離は40分以内にあることがわかる.

しかしこれは. 高Ij次中心ゾーンの位置関係がそれらの相互の人口規模的な関係で決定 されている結果ではなく, 主中心ゾーンが形成できる都市圏域の大きさによって強く 制限されている結果であると解釈する方が妥当である.

図4-10 主中心ゾーンと副次中心ゾーン聞の時間距離と人口の関係

以上より, 高lJ次中心ゾーンの人口規模が主中心ゾーンとの時間距離によって一意に 定まるものではないが, ある程度はそれに規定されている部分もあり, そこにはシス テム的関係が存在していると考えてよいことが明らかになる.

c) 副次中心ゾーン聞の関係 図4-11(A)に, 同一主圏域に属する副次中心ゾーン 間の時間距離と人口との関係を示す. 図中の副次中心ゾーンのぺアは, 他の副次中心 ゾーンを介さずに直接到達できるものについてのみ示しており, 図は左右対称である.

図より, 人口10万人を越える2 つの副次中心ゾーン, すなわち久留米市(222,847 人). 別府市(134,775人)が関わる副次中心ゾーンのぺアを除けば, すべてのペアは人 口l万人以下の箇所に密集している. これらに属するぺアの傾向を詳細にみるため,

人口l万人以下の部分を抜き出したものが図4-11(B)である.

図(B) からは, まず, 時間距離が50分を魅えるぺアがいくつかあることが明らか であるが. これらはたとえば前原町と太宰府市, 玉名市と甲佐町のように他の副次中 心ゾーンこそ介していないが主中心ゾーンを介しているものであり, 考察の対象から 除外してよい. この結果残された副次中心ゾーンペアの関係の時間距離をみると大小 様々であり. 特に副次中心ゾーン人口の大きさとは関わりがないようにみえる. 図4-1

d)

主中心ゾーンと周辺ゾーン間の関係 主中心ゾーンとその都市圏域に属する周 辺ゾーンの人口と時間距離に関し明らかにすれば. 図4-13のとおり である. 図4-8

に示した主中心ゾーンと副次中心ゾーンの関係のグラフと比較的よく類似している.

すなわち, 周辺ゾーン人口は主中心ゾーン人口によって定まるある一定の値以下の人 口をとる傾向があり, かっその値は主中心ゾーン人口が大きくなるほと大きくなって いる. また, 主中心ゾーン人口を固定して考えた場合, 周辺ゾーンとの時間距離はあ る値以下となるが, その値は周辺ゾーン人口の増加につれて減少していることで共通 している. さらに, 主1ド心ゾーン人口が小さい場合は. 周辺ゾーンとの時間距離は比 較的小さい方へn寄っているが, 人口が大きくなると時間距離が大きいものが増える

(13)

(余)糧出臣官 aHu aHo

aHu aMM 局HW AHuv aHHw aHu aD 守' Hν 'hd a4 qe e- a7Av

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(omu . 0己 (2.0寸} (O寸.0め} (O円.ON}

(ONdニ

35 頻度

CFV

30 25 20 15 10 5

8 8

時間距離

(omv .0∞}

(oh .0ω]

主中心ゾーンと周辺ゾーン間の時間距離と人口の関係 図4-13

るいは停滞傾向にあるといえ, 都市圏域の居住人口の増加にはある程度の規模が必要 であると考えられる. 他方. 中・大規模都市圏域に目を転じれば, 大牟田都市圏が居住 人口減少から停滞に転じ, 北九州都市圏と佐賀都市圏が停滞傾向を示している一方で,

福岡, 熊本および大分都市閣は増加傾向にあることがわかる. これらのうち, 大牟田 市と北九州市は工業を主幹産業とした都市であることで共通しており. 中心部市の主 副次中心ゾーン聞の時間距離の分布

主中心ゾーンと副次中心ゾーンの関係と同様に, 大きな人 口を擁する主中心ゾーンほど. 大きな周辺ゾーンをもつことができること, 大きな人 口を擁する周辺ゾーンは主中心ゾーンに近いこと, 人口が小さい主中心ゾーンは周辺 ゾーンを有してもそれは比較的近いところに限られるが, 人口が大きい場合は比較的

図.1-12 したがって.

傾向がある.

また. 福岡都市圏は昭和 これは他都市圏域のそれに比して著しく大きく,

図4-15は, 第2ぅ3次産業従業人口に関し同様の図を描いたものである. 北九州都 市圏, 大牟田都市圏および各県庁所在都市の都市圏域のみが従業人口10 万人を越え 幹産業により圏域の発達が影響を受けることが推察できる.

40",-60年で約1 .5倍も増加している.

同都市圏の特異性がここでも明らかになる.

速いところにもそれを打すことができるといえよう.

以上は, 基本的には主rl1心ゾーンと副次中心ゾーンの関係と主中心ゾーンと周辺 ゾーンの関係が同じ情近の上に成り立っていることを示しており, 興味深い

社会経済構造とその変化

4.3.2

前図において ている. 従業人口の経年変化をみると多くの都市圏域が増加しており,

これは, 産業の基軸が第l次産 多くの都市圏域が減少していることと対照的である.

居住・従業構造 (1)

業から第2,3次産業にシフトしたことによると考えられる.

中・大規模都市圏域に関しその経年変動をみると, 福岡, 熊本, 大分および佐賀都市 圏は増加, 北九州, 大牟田都市圏は停滞傾向にある. これらの傾向は. 概ね前図でえ

a

)

都市圏域の人口規模 最初に各都市圏域の人口規模とその変化を明らかにして おこう. 図,1-1/1は. ß?1利GO年で設定された全主圏域に関し, 居住人口の変化を示し

られた居住人口の傾向と一致しているが. 大牟田都市圏のみは. 居住人口が減少傾向 これは, 小規模都市圏域において, 居住 たものである. ただし, 郎市圏域の構成ゾーンは昭和60年のものに固定している. ほ

とんどの都市圏域は居住人円が20万人以下の小規模なものであり, 人口が20万人を にある一方で従業人口はほぼ停滞している.

人口が減少傾向にありながら従業人口が明加している傾向と類似しているとも考えら れる. 第2,3次産業への産業燐造の転換が早いl時期になされ. 都市圏域としての成長 をなす他の�If . 大規模都市圏域と異なり, 大牟田都市圏はいまだ第2,3次産業への産 そして各県庁所在都市の都市圏域

居住人口の経作変化に行nすれば. 小規模都市圏域に関してはほぼすべてが減少あ 越える郎市悶域は, 北九州郎市岡と大牟田都市圏.

のみである.

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