科目 2 経営・マーケティング基本論 マーケティングパート
( 7 )食のマーケティング I (市場環境分析)
開発担当者: 高知工科大学マネジメント学部 教授 末包 厚喜 株式会社三菱総合研究所
オリエンテーション
経営戦略とマーケティングの関係
–
マーケティングとは、経営戦略で決めたことをどうやって実現するかを考え、実行することである。
–
経営戦略がWhat
ならば、マーケティングはHow
である。 第 7 ・ 8 ・ 9 回の目的
–
マーケティングの全体像をつかむ。–
マーケティングの手法を実際に使ってみる。 進め方
–
座学は程々に–
実践の場として、グループディスカッションを活用食のマーケティング I
本講義の目的と流れ
本講義の目的
–
マーケティングの基本的な考え方・全体像をつかむ。–
マーケティングの第1
ステップとなるSWOT
分析を使ってみる。 本講義の流れ
–
マーケティングとは•
マーケティングとは何か•
マーケティングの全体像•
マーケティングを実践する上でのポイント–
事業環境分析とは• SWOT
分析とは• SWOT
分析の進め方•
グループディスカッション–
まとめマーケティングとは
質問 1
高度な技術を確立すれば、あるいは優れた製品を開発すれば、事業は成功する
でしょうか。
マーケティングとは何か
定義
–
売れ続ける仕組みづくり(M
・ポーター) 視点
–
買い手を中心にする。–
買い手は、消費者のこと。 マーケティングと売り込みの違い
マーケティング 売り込み
製品志向
どうやって買わせるか 商品を作ってから考える 消費者志向
商品を作る前に考える
売れ続ける仕組みづくり
質問 2
「マーケティング」と聞いて、思い浮かぶ事柄・イメージはどんなものでしょうか。
マーケティングのプロセス
価値の創造
–
外部からはよく見えないが、最も重要な活動である。 価値の伝達
–
外部から見え、イメージがしやすい活動だが、価値の創造があってこそである。 価値とは
–
消費者が求めること(ニーズ)に応えられること。マーケティングの全体像
自分の置かれた環境を把握 し、戦略を立てる
マーケティングのプロセス 考え方・ツール
戦略実行に向け、
狙うべき顧客を見つける
狙った顧客に評価される 自分の訴求点を決める 自分の訴求点が適切に伝わ
る商品を設計・開発し、
顧客に届きやすくする
事業環境分析・SWOT分析
セグメンテーション:S ターゲティング:T ポジショニング:P
ブランディング
マーケティング・ミックス:4P 繰
り 返 し
顧客の反応を確認する 顧客満足度 価値の
創造
価値の伝達 伝達度 の確認
講義
第7回
第8回
第9回
マーケティングの一例
資生堂 TSUBAKI の場合( 2006 年 3 月発売)
自分の
置かれた環境
(2005年時点)
・シャンプー・リンス市場は、
2,000
億円弱の成熟市場。・主要プレーヤーは、シェア順にユニリーバ(
LUX
)・花王(アジエンス)・P&G(パンテーン)・ 資生堂(スーパーマイルド)。
・トップブランドの
LUX
は、日本女性の欧米女性への憧れを刺激する戦略・アジエンスは、アジアンビューティーを訴求する路線でヒット
・パンテーンは、「内側から輝く透明感のある髪の実現」を訴求してヒット
・資生堂のシェアは当時徐々に低下傾向で第4位に甘んじていた。
狙うべき顧客 ・20~30歳代の女性 狙った顧客へ
の訴求点
・日本女性の髪の魅力を引き出すシャンプー
商品 ・高純度の椿オイルを配合した高級品 ・五島列島の椿の実のみを使用
・椿蜜花の香 ・椿油という日本らしいイメージを持った素材
価格 ・
700
~800
円台(550ml
)(やや高価格帯だが、手が届く)どこで売るか ・ドラッグストア ・化粧品専門店 広告宣伝・
販売促進
・50億円のCM
・共感を得やすい
SMAP
の曲と6
名の女優で一般大衆にアピールTSUBAKI 資生堂
写真
マーケティングの一例
結果は・・・。
540.9 551.1
563.0 481.0
462.3 433.9
364.4 342.1
344.9 410.6
397.3
426.7 447.0
417.3 400.8
269.4 249.7
255.2 275.4
259.2 305.0
354.3
377.5 392.2 358.6
320.6 286.6
247.9 221.8
217.8 206.2
245.8
213.1
366.4 412.3
434.7 400.8
464.3 470.0
455.7 341.3 450.1
342.1 290.8
189.1 200.5
209.5 239.4
251.9 220.9
274.4
428.8 381.9
399.9 400.8
238.8 235.2
239.4 275.4
421.6 463.3
485.4
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
花王 資生堂 P&Gジャパン ユニリーバ・ジャパン カネボウ その他
(億円)
出典)経済産業省、シェアは日経推定
マーケティングを実践する上でのポイント
①マーケティングを理解する上でのポイント
–
消費者志向 ②マーケティング活動を実際に行う上でのポイント
–
最初はざっくりと全体像を作る。–
見直しを何度も行って、精緻化する。(終わりはない)消費者志向 (1)
自分ができること(技術シーズ=種)と相手が望むこと(消費者ニーズ)はずれて いる。
–
基本は、A
の領域で商品開発を行う。– B
の領域は消費者ニーズの発掘を行わない限り製品志向となる。後々売り込みが 必要となってしまう。ただし、見えないニーズを捉えられれば、イノベーションになる。– C
は、自社で研究開発するか、他社と提携することで消費者ニーズに応えた方がい い。A
B C
自分ができること
(技術シーズ)
相手が望むこと
(消費者ニーズ)
消費者志向 (2)
消費者志向の留意事項
– 手段と目的を混同しない。
– 手段の目的化はマーケティング近視眼を招く。
『1/ 4 インチのドリルが売れた。
購入者はドリルが欲しかったのか。』
( T. レビット)
消費者志向 (3)
手段 目的
鉄道 輸送
石油精製 エネルギー供給
映画 娯楽提供
フィルム 情報の記録
電気洗濯機 クリーニング
洗剤 クリーニング
運送 引越し
コンピュータ ソリューション
手段と目的の組み合わせの例グループ・ディスカッション 1
目的:マーケティング近視眼に陥った実例から消費者の真の目的を探る。
テーマ:
グループで議論し、高度またはユニークな技術を有しながらもマーケティング近 視眼に陥ったケースを挙げ、どのように手段と目的を履き違えたと考えられるか を発表してください。
時間: 5 分
発表: 1 分 / 班
市場環境分析とは
~ SWOT 分析~
SWOT 分析の位置づけ
自分の置かれた環境を把握し、
戦略を立てる
マーケティングのプロセス 考え方・ツール
戦略実行に向け、
狙うべき顧客を見つける
狙った顧客に評価される自分 の訴求点を決める
訴求点が適切に伝わる商品を 設計・開発し、
顧客に届きやすくする
事業環境分析・SWOT分析
セグメンテーション:S ターゲティング:T
ポジショニング:P ブランディング
マーケティング・ミックス:4P 繰
り 返 し
顧客の反応を確認する 顧客満足度 価値の
創造
伝達
伝達度
マーケティングにおける SWOT 分析の位置づけ
SWOT 分析とは (1)
SWOT 分析の由来と枠組み
– S trength
=
強み– W eakness =
弱み– O pportunity =
機会– T hreat
=
脅威S:強み W:弱み O:機会 T:脅威
内部環境
外部環境
プラス要因 マイナス要因
事 業 環 境
影響
SWOT 分析とは (2)
SWOT 分析とは
–
事業環境を、自分にとってプラスかマイナスかで評価するツール。 目的
–
戦略立案の前提条件・制約条件などをはっきりさせる。(敵を知り、己を知れば、百戦危うからず)
優れた点
–
表側(表の縦軸)・表頭(表の横軸)とも、ヌケ・ダブリがない。– 4
つに分けるだけで、自分が置かれている環境の全体像をつかむことができる。内部 環境 外部 事
業 環
S:強み W:弱み プラス要因 マイナス要因
影響
SWOT 分析の進め方
ステップ1
:対象とする業界・商品・サービスを決める。
ステップ2
:対象に関係する事柄を列挙する。
ステップ3
:列挙した事柄が自分にとってプラスか
マイナスか判断する。
ステップ4
:SWOT
分析の枠に落とし込む。
ステップ5
:SWOT
分析の結果から、戦略を立てる。内部 環境 外部 環境 事
業 環 境
S:強み W:弱み
O:機会 T:脅威 プラス要因 マイナス要因
影響
S
=強みを活かして、O
=機会を捉える。 S
=強みを活かして、T
=脅威に備える。 W
=弱みを克服して、O
=機会を捉える。 W
=弱みを克服して、T
=脅威に備える。対象に関係する事柄を列挙する (1)
内部環境分析において、関係する事柄をリスト化するためには、以下のような分 析軸が活用できる。
分析軸 概要
ヒト 人材
モノ 製品・サービス、生産設備・知識 カネ 自己資金・財務状況
分析軸① ヒト・モノ・カネ
内部 環境 外部 環境 事
業 環 境
S:強み W:弱み
O:機会 T:脅威 プラス要因 マイナス要因
影響
ここに使う
生産 調達 加工 サービス 販売 企画・設計・開発
消費者 分析軸② バリューチェーン分析
対象に関係する事柄を列挙する (2)
分析軸 概要
政治
(
Political
)法規制(規制強化・緩和)/税制 政府・関連団体の動向、
裁判制度、判例 経済
(Economic)
景気/物価(インフレ・デフレ)
金利・為替・株価 社会
(
Social
)宗教/価値観/人口動態 世論・流行/教育水準
治安・安全保障/ライフスタイル 技術
(Technological)
技術革新/特許
代替技術/新技術の普及度 分析軸③
PEST分析
内部 環境 外部 環境 事
業 環 境
S:強み W:弱み
O:機会 T:脅威 プラス要因 マイナス要因
影響
ここに使う
外部環境分析において、関係する事柄をリスト化するためには、以下のような分
析軸が活用できる。
対象に関係する事柄を列挙する (3)
分析軸④
3C分析
顧客・
市場分析
①既存顧客の層は? 意思決定者は誰か?
②市場規模や成長性はどのように評価できるか?
③顧客の購買動機、ニーズは?
④顧客にとって充足されていないニーズは何か?
⑤既存の流通経路は?他にどのような流通経路が考えられる か?
競合分析 ①既存の競合相手は? 強み・弱みは? どうして強いのか?
②競合企業の売上、シェア、利益、コスト構造は?
③新規参入が出現する可能性は?
④業界としての魅力や収益性は?
自社分析 ①自社戦略は?強み・弱みは?財務状況や業績(売上、収益)
は?
②先行投資(研究開発や設備投資)は行っているか?または 多すぎないか?
③生産力、販売力、コスト構造に問題点はないか?
内部 環境 外部 環境 事
業 環 境
S:強み W:弱み
O:機会 T:脅威 プラス要因 マイナス要因
影響
ここに使う
外部環境分析において、関係する事柄をリスト化するためには、以下のような分
析軸が活用できる。
グループ・ディスカッション 2
目的– SWOT
分析を実際に使ってみる。テーマ
–
あなたは、宇都宮市観光協会の職員です。ある日上司に呼ばれて会議室にいると色々な部 署から同じように集まった人たちが席に座っていました。–
その場で上司から、「宇都宮市ならではの地域資源を活かした観光集客の戦略を1つ考えて 欲しい」と言われました。そこで・・・、–
①SWOT
分析を用いて、事業環境を分析してください。内部環境は、市内と捉えて頂いて結構です。
–
②強みを活かして、機会を捉える戦略を1つ考えてください。
時間:30
分–
①目安20
分–
②目安10
分
発表:1班3
分ディスカッション・シート
強みを活かし、機会を捉える戦略
S W
O T
内部環境
外部環境
プラス要因 マイナス要因
事 業 環 境
影響
まとめ
第7回講義のまとめ
マーケティングについて
–
消費者志向で考える。–
製品・サービスは消費者にとっての手段。目的志向で考える。–
マーケティング活動は、全体にまず取り組むことが重要。繰り返し見直し、精緻化す る。 事業環境分析について
– SWOT
分析で事業環境から自身の置かれた状況を把握する。–
その上で、自分ができる事を見つける。–
基本的な戦略の立て方は、「強みを活かして、機会を捉える」である。教材利用条件
この教材は以下で公開されている、農林水産省「平成22~23年度新事業創出人材育成事業」で開発された成果を 利用しています。
http://www.6ji-biz.jp/kyozai/
「クリエイティブコモンズ・ライセンス表示
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」に従う限り、自由に利用・改変することができます。http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/
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