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日本経済研究 79号.smd

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Academic year: 2022

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論 文

表彰は温室効果ガスの排出削減努力を促すか

─都道府県の製造業部門集計データを用いた検証 矢島 猶雅

*

早稲田大学

近年、温暖化対策を促進するためのインセンティブとして、事業所などの優秀な 取り組みを表彰することを目的とした制度や、表彰が付随する制度が広まっている。

しかし、表彰が必ずしも努力を促進しない可能性も指摘されている。本稿では、都 道府県単位で実施される制度に着眼し、表彰が温暖化対策を促すインセンティブと して有効であるかを検証する。分析の結果、表彰制度の導入により、約 9%の二酸 化炭素(CO2)排出量が削減されていることがわかった。また、経済的な報酬を伴 う場合には、有意な効果を持たない可能性などが示唆された。

1. はじめに

近年、地球温暖化問題への関心の高まりを受け、先進諸国で温室効果ガス削減政策が 導入されている。2016 年、平均気温の上昇を 2 度未満に抑えることを目標としたパリ 協定が発効されたことは記憶に新しい。同協定は発展途上国を含む 175 か国によって締 結され、197 か国が署名する世界的な協定である(United Nations Climate Change, 2018)。

2 度目標達成に向けて、多くの国が野心的な定量目標を「約束草案」として提出している。

例えば、中国は 2030 年までに GDP の二酸化炭素(CO2)集約度の 60─65%削減を掲 げている。日本は 2030 年度に 13 年度比 26%、50 年度に 80%の温室効果ガス削減を目 標としている。パリ協定はそれらの目標を達成する義務を課していないが、達成状況の 報告と 5 年ごとの目標更新を義務としている(Parry et al. 2016)。

これまでも、家計や企業を対象に、温室効果ガスの排出量自体の規制、排出に対する 課税、エネルギー消費量の少ない製品の普及促進など、様々な政策が取られてきた。し かし、パリ協定での目標を達成するには、多くの国で更に強く温暖化対策を進めること が求められるが、排出権取引(以下、ETS と記す)のような排出総量を規制する政策

本研究は、(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(2-1707)及び JSPS 科研費 JP19K23207 の助成 を受けたものである。また、2 名の匿名査読者より有益なアドバイスを頂いた。ここに謝意を記す。

* (連絡先住所)〒 169-8050 東京都新宿区西早稲田 1-6-1

(E-mail)[email protected]

(2)

の導入には長い時間を要した歴史がある。例えば青木(2010)によると、東京都での ETS 導入は産業界側の反対などを理由に一度頓挫している。それに対し、自主的な削 減取り組みを促し、政府が補助する政策の導入は相対的に容易だと考えられている1。 総量規制と並び、自主的な取り組みを促す政策は温暖化対策において重要な位置を占め る。

そうした政策の中で近年、事業所の温暖化対策の取り組みについて優秀な事例を表彰 する制度が増えている。事業所にとっては、温暖化対策を率先している事実や、先進的 な温暖化対策の技術開発を一般にアピールする機会となる。表彰を含む制度には、排出 量の監視や事業所への助言といった自主的な取り組みを促進する政策に表彰が付加され ている制度と、そのような介入を伴わず単に表彰のみを目的とする制度の 2 種類がある。

前者としては、米国の Climate Wise や 33/50 プログラム、日本の都道府県で実施され ている地球温暖化対策等に係る計画書制度(以下、「計画書制度」と記す)などが挙げ られる(矢島・有村 2017, Khanna and Damon 1999, Pizer et al. 2011)。後者には、同じ く日本の都道府県による政策がある。

表彰という要素が政策的に重要な点は、3 つ挙げられる。第 1 に、事業所の自主的な 判断の下での CO2 排出量の削減を促すため、経済活動を阻害しにくいと考えられる。

第 2 に、計画書制度のような他の政策に容易に組み込みうる点であり、33/50 プログラ ムや計画書制度がその事例として挙げられる。第 3 に、政策を実施する費用が低いと考 えられることである。例えば、日本の都道府県で実施されている制度では、事業所の優 秀な取り組みに対して表彰という社会的な承認のみを与え、経済的報酬の付与は伴わな い場合が大多数である。以上の特徴を持つ表彰制度が排出量削減を促す政策として有効 ならば、その柔軟性から地球温暖化対策として重要な位置を占めうる。

政策の有効性を評価するには、その効果を分析することが不可欠であるが、温室効果 ガス削減政策における表彰の効果を扱った実証研究の数は十分といえない。本研究は、

1990 年代より様々な都道府県が実施している表彰を含む制度が、事業所の温室効果ガ ス排出量の削減取り組みを促すかを定量的に分析する。なお、本稿は温室効果ガスをエ ネルギー起源の CO2 に限定し、以下では特記のない限り、排出量とは「エネルギー起 源 CO2 排出量」を示す。

本稿の構成は以下の通りになる。まず、第 2 節では日本の表彰制度を詳細に説明する。

続く第 3 節では、先行研究について触れる。第 4 節では分析のフレームワークを、第 5 節で計量分析の結果を示す。第 6 節で考察、結論とする。

1 こうした指摘は、岩田ほか(2010)や有村・片山(2017)などでされている。

(3)

2. 表彰制度と関連制度 2.1 表彰制度とは

近年、日本の都道府県において事業所・企業の温暖化対策に関する取り組みなどを表 彰し、ホームページなどで公表する制度や、そのような要素を含む制度が広く普及して おり、2014 年の段階で 25 都府県が導入している。表 1・表 2 が示すように、そのほと んどの都府県が 2000 年代以降に制度を導入している。なお、本研究は、主として温暖 化対策としての表彰制度の効果に注目するため、排出量の削減・地球温暖化防止に関す る取り組みを表彰対象として明記している都府県に限定している。また、表彰制度の対 象には事業所に限らず、個人・学校などが含まれることも少なくない。しかし、多くの 場合、学校と事業所はそれぞれ別の部門として扱われ、部門別に表彰対象者が決定され るため、産業部門に対する影響を見る上で、各都道府県における部門間の競合は考慮す る必要はないと考えられる。

表彰の形態は、基本的には以下のように分類される。まず、都道府県がホームページ に優秀な取り組みに関する公募を出す形態がある(公募型)。その後、一定期間以内に 事業所が自己の取り組みを申請し、都道府県側の審査委員会などが評価する。表彰の対

表 1 表彰を含む制度を導入している都府県

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象に選ばれた場合、知事などから表彰されたその事実が写真などと共に都道府県のホー ムページ上で紹介され、基本的に削除されることはない。上記の公募型以外に、表彰の みを目的とせず、他の制度の一部として表彰を内包する形態があり、具体的には次の 2 つに分かれる。第 1 に、都道府県が発表した温室効果ガス削減取り組みに関するプログ ラムに事業所が登録して参加した中で、優秀な取り組みを表彰する形態である(プログ ラム参加型)。参加登録には、事業所側の意思のみによって登録可能な場合(愛知県な ど)と、登録の段階で一定の審査を受ける場合(栃木県など)がある。また、登録され た段階で、事業所側が何らかの優遇措置を受けられる場合もある。そのうち、埼玉県の

「エコアップ認証制度」のみは表彰制度を設けていない2。第 2 は、計画書制度の中に表 彰する規定がある形態である。次節では、このケースについて、計画書制度の概要、お よび公募型やプログラム参加型制度との関係も含めて詳述する。ただし、計画書制度自 体は公募型の制度、プログラム参加型の制度とは根本的に別の制度であることに注意さ れたい。

2.2 計画書制度との関係

計画書制度とは基本的に、「年間エネルギー消費量が原油換算 1500 キロリットル以上 の事業所」を対象とし(矢島・有村, 2017)、温室効果ガス排出量削減に関する計画書の 提出と、実行結果を定期的に報告させる制度の総称である3。つまり、一定規模以上の 事業所に自主的な削減取り組みを促す制度と言える。ただし、詳細な規定は各都道府県 に委ねられており、その一部では対象となる事業所の優秀な取り組みを表彰する制度が 設けられている。この制度の趣旨は、公募による表彰や、自主的な参加の上で取り組み を表彰するプログラム参加型制度とは異なり、一定規模以上の事業所の排出量削減を目 的とした規制である。しかし、公募型及びプログラム参加型の制度と深い関わりがある。

上記 2 つの制度および計画書制度の関係は、主に 2 つに分類される。第 1 に、公募型 もしくはプログラム参加型制度と並列して導入されている場合である。第 2 に、計画書 制度のみが導入され、同制度に表彰の規定が含まれる場合である。前者については、表 1・表 2 において並存の有無を示した。後者については、計画書制度による規制下の事 業所のみを対象にした、表彰を含む制度の一類型として示している(表 2)。以下にお いて、各ケースについて詳述する。

2「公募型」と「プログラム参加型」の効果の違いを特定するため、類似した政策がある埼玉県を分析対象に 加えている。

3 実際には、計画書制度の対象は導入している都道府県によって若干異なる。「年間エネルギー消費量 1500kl の事業所」は、その中で最も多い定義である。詳しくは、矢島・有村(2017)を参照されたい。

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最初に、公募型の制度と計画書制度が並存するケースには、滋賀県、静岡県、大阪府、

秋田県、神奈川県、熊本県が該当する。当該自治体では、公募型制度の対象が計画書制 度の対象であるか否かは関係ない場合と、計画書制度対象の事業所・対象外の事業所の 枠が別々に設けられている場合がある。計画書制度の対象となる事業所の場合、提出さ れた計画書や実績に基づいて評価される。プログラム参加型制度と計画書制度が並存し ているケースは、岩手県、愛知県、埼玉県、石川県の 4 つである。埼玉県の場合、プロ グラム参加型制度に登録・申請できるのは計画書制度の対象となる事業所のみに限られ る。一方、岩手県、愛知県、石川県の制度はそのような制約はなく、計画書対象の内外 を問わず登録・申請が可能である。以上のように、計画書制度が並存する場合、プログ ラム参加型の対象が一定規模以上の事業所に限られるケースが生じる。

次に、計画書制度のみが導入され、かつ表彰を規定に含むケースには鹿児島県、京都 表 2 表彰を含む制度を導入している都府県

(その2 プログラム参加型の制度・計画書制度)

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府、宮崎県、岡山県、東京都が該当し、一定規模未満の事業所は制度上対象にならない。

表彰対象となる取り組みは、計画書制度において提出される計画書および実績である。

公募型、プログラム参加型、計画書制度の 3 つの相違点は、以下のようにまとめられ る。まず、公募型は純粋な表彰制度と言える。それに対して、プログラム参加型および 計画書制度に含まれた表彰は、他の枠組みの内部において付加的に表彰が組み込まれた 制度と言えるだろう。プログラム参加型の場合、単純な表彰に対する応募ではなく、

CO2 排出量削減の取り組み全般に対する意思表示である。計画書制度においては、計 画の作成と報告自体が義務であり、その枠組みの中で表彰されることを事業者が目指す。

つまり、以上 3 つは同じ表彰でありながら制度としての質は異なると考えられる。

最後に、表彰された場合の特典について説明する。全ての制度において、「表彰され た」事実が都道府県のホームページ上で公表される点が共通する。一般に、事業所が取 り組みを申請しても表彰の対象にならなかった場合には公表されない。ただし、プログ ラム参加型の場合は、参加の事実が公表される上、その中でも特に優秀な取り組みに対 して「表彰」が与えられる。また、福島県・石川県のプログラム参加型制度は、表彰に 加えて経済的な報酬を付加しており、主に金融サービスの利用時の低利子優遇措置など を設定している4

3. 先行研究

表彰の効果については、金銭的な報酬と非金銭的な報酬が向社会的行動にどのような 影響を及ぼすか、という文脈で多くの研究が行われている。向社会的行動とは、自発的 に行われる人のためになる行動である(Mussen and Eisenberg, 1977)。温暖化対策な どの行動は、向社会的行動の 1 つとして考えられている。金銭的な報酬とは、より優れ た取り組みに対して賞金などを与えるものである。一方、非金銭的な報酬とは、表彰状 など金銭を伴わない賞を与えるもので、本研究の対象とする表彰が基本的には該当する。

金銭的・非金銭的な報酬の効果について、向社会的行動の理論的なモデルを構築して 分析した Bénabou and Tirole(2006)によれば、金銭的報酬・非金銭的報酬は共に向社 会的行動を促す可能性と、阻害する可能性の両方を持つ。金銭的報酬は、直接的な利益 を増加させることで向社会的行動を促しうる一方、周りから報酬目当てと見なされる恐 れや、自身が報酬目当てで行動していると思いたくないといった感情から行動の妨げと もなりうる。非金銭的報酬は、社会的なアピールの機会になることで向社会的行動を促

4 なお、栃木県・福岡県ではプログラムに参加登録するのみで低利子融資を受けることができるが、優秀な取 り組みに対するものではないため、本研究は「経済的報酬」が伴うとはみなさない。

(7)

しうるが、かえって単なるイメージアップのためと見なされる可能性から行動の妨げと もなりうる。Bénabou and Tirole(2006)の理論は個人を対象としており、必ずしも事 業所の行動に適用されるとは限らない。事業所は利益を求めるのが当然であり、特に温 暖化対策は社会的なアピールの手段として理解されている5。金銭的報酬・非金銭的報 酬の効果は、先見的には事業所の取り組みを促す可能性が高いと考えられる。

他方、温暖化対策に関連する文脈で表彰や報酬の効果を分析している研究として、

Pizer et al.(2011)や Eccles et al.(2012)がある。Pizer et al.(2011)は米国の「Cli- mate Wise」について、企業レベルのデータを用いて傾向スコア法による計量分析を行 った。当該制度は、米国環境保護庁が実施する自主参加型のプログラムで、参加企業の 温室効果ガス削減の取り組みを求められる。その過程で、環境保護庁より具体的な取り 組み方法の情報提供や、実績に対する公的な承認などが与えられる(Pizer et al. 2011)。

ただし、Climate Wise における公的な承認は制度の一部であり、承認自体の効果では なく、制度全体の効果を分析している。分析結果によると、制度による有意な削減効果 は確認されていない。Eccles et al.(2012)はスイスの企業について、企業内で CO2 排 出量削減に関する金銭的な報酬・非金銭的な報酬が設定されている場合に排出量が減少 しているかを、2007─12 年のデータを用いて計量分析した。その結果によると、金銭 的な報酬には有意な削減効果は確認されず、非金銭的な報酬のみが排出量削減を促して いる。日本については、そうした温室効果ガス削減に関連する報酬や表彰の効果を対象 とした定量的研究が見られない。都道府県の表彰に関連する制度についても同様である。

4. モデルとデータ 4.1 モデル

温室効果ガス排出量削減の促進における表彰の有効性を検証するため、本研究は都道 府県・業種別集計データを利用し、固定効果モデルによる差の差分析を行う6。また、

日本標準産業分類の大分類「製造業」に着眼して分析する。日本においては、家庭、サ ービス業、建設業、製造業などのうち、最も CO2 排出量の割合が高い部門は製造業で ある。よって、製造業に対する政策の有効性を議論することがより重要だと考えられる。

以下より、本研究で用いるモデルを説明する。

まず、CO2 排出量は、主に 3 つの要因からなる。第 1 に経済活動、第 2 に経済活動

5 環境にやさしい行動と企業価値の関係については多くの研究がある。例えば西谷(2014)は、環境問題に対 する取り組みの開示が長期的に企業価値を高めることを示している。

6 固定効果モデルによって差の差分析を行う手法は、Bertrand et al.(2004)に従っている。また、プールド OLS およびランダム効果モデルによる推定は本稿で報告していない。

(8)

に伴うエネルギー消費量、第 3 にエネルギー消費量に対する CO2 の排出量である。第 1 の経済活動要因は、生産規模を示す。第 2 の要因は、生産 1 単位当たりに対するエネ ルギー消費量であり、様々な要因の影響を受ける。生産の効率や、省エネに対する意識、

その年の気温などである。第 3 の要因は、主としてエネルギー消費がどのような燃料か ら生じているかに依存する(環境省, 2018)。

上記の要因により決定される排出量に対して表彰が影響を及ぼすと考え、モデルを設 定する。第 2 節において述べた通り、表彰には表彰単体の制度である場合(公募型)と、

制度の一部である場合(プログラムもしくは計画書制度に内包されているケース)があ る。よって、表彰のみの制度である公募型に限定したものと、表彰が他の制度に内包さ れている場合も考慮したものの 2 種類の定式化を行う。前者の定式化により、表彰のみ の制度を単独で導入する影響を捉えることができるほか、制度を導入することの内生性 の可能性が分析される。内生性については 4.3 節において詳しく述べる。一方、後者の 定式化において推定される表彰の効果は、表彰制度を導入する効果ではなく、プログラ ムもしくは計画書制度に含まれた表彰の効果をも含んだ平均的な効果を示す。さらに、

他の制度が表彰を内包する効果の分析が可能となる。

まず、公募型に注目した分析モデルは、以下のようになる。

􀁬􀁮􎜀 􎜐􀀽 􀀫 􎨱 􀀫 􎨲 􀁟 􀀱 􀀫

􀀫 􀀫 􀀫 (1)

i は都道府県、j は業種、t は時点を表している。本分析のデータに含まれる業種は、「食 品飲料製造業」、「繊維工業」、「木製品・家具他工業」、「パルプ・紙・紙加工品製造業」、

「印刷・同関連業」、「窯業・土石製造業」、「化学工業」、「プラスチック・ゴム・皮革製 品製造業」、「鉄鋼・非鉄・金属製品製造業」、「機械製造業」の 10 業種である7。また、

データの期間は 1990 年度から 2014 年度である。なお、本研究で扱う表彰制度は対象と する業種を限るなどしていないことから、業種によらない平均的な政策効果が推定され る。サンプルサイズは 10955 となる8

以下において、変数を説明する。各変数の詳細な定義は表 3 に、記述統計は表 4 にそ れぞれ示されている。

7 これらは業種を集計したもので、その単位は都道府県別エネルギー消費統計に合わせている。『工業統計調 査』との対応は、補論 1 を参照されたい。なお、集計単位のうち「他製造業」のみ、『工業統計調査』側の秘 匿値が多いため分析から除外した。

8『都道府県別エネルギー消費統計』では、前年度の CO2 排出量に対して最大で約 2000 倍となる不自然な増 加をしたケースがある。こうした異常値の影響を除くため、CO2 排出量の前年度変化率の対数について、「平 均値±標準偏差× 3」の範囲に含まれないデータを分析から除外した。

(9)

まず、 􀀨 􀀩 は、各都道府県における各製造業部門に属する業種の年度別 CO2 排出量の対数である。

は、コントロール変数のベクトルである。まず、経済活動要因に対応するものと して、各業種の付加価値額、従業員数の対数が含まれ、係数の符号はいずれも正に推定 されることが期待される。次に、経済活動に伴うエネルギー消費量に関する変数として、

冷房度日、暖房度日、電力価格の対数値および年度ダミーを投入している9。冷房度日 とは、1 日の平均気温が 24 度より高い日について、「その日の平均気温- 22」の値を年 度ごとに足し合わせた合計値である。一方、暖房度日は、一日の平均気温が 14 度より 低い日について、「14 -その日の平均気温」の値を年度ごとに足し合わせた合計値であ る10。気温の上昇・低下によるエネルギー消費量の変化を捉え、いずれも係数の符号は 正に推定されることが期待される。なお、本研究のモデルは都道府県別の業種レベルで あるため、各都道府県における県庁所在地の冷暖房度日を代表値として用いた。電力価 格は、各電力会社管内の電力販売額を電力需要量で除した値である(円 /kWh)11。価 格が上昇すると電力消費を抑えることが想定されるため、係数の符合は負に推定される と予想される。年度ダミーは、各年度について一定の効果、例えば産業構造の転換や省 エネ意識の長期的な変化などの影響をコントロールすると期待される。また、付加価値 額と電力価格は企業物価指数で実質化される。最後に、エネルギー消費に対して発生す る CO2 排出量を把握するには各事業所の燃料消費構造を知る必要があり、コントロー ルが困難である。そこで、業種によってある程度一定と考え、業種ダミーと年度ダミー との交差項を説明変数に含め、各業種の年度を越えて変動する、観測不可能な要因の影 響を可能な限りコントロールする。その他に、近年の都道府県単位における政策として 東京都の排出量取引制度が特に重要である。同制度は 2010 年度より、一定規模以上の 事業所に対し排出量の削減を義務づけていることから、東京都 ETS ダミー変数を投入 し、影響をコントロールする。 は、計画書制度が導入されている場合に 1 を取る変数であり、矢島・有村(2017)を参考に作成した。東京都 ETS ダミー、計画 書制度ダミーの係数の符号は負に推定されることが予想される。 は都道府県固定効 果、 は業種固定効果、 は都道府県別業種固定効果であり、 は時間で変動する誤

9 電力以外に、CO2 排出の元となるエネルギーには、重油や灯油、都市ガスなど、様々なものがある。しかし、

1990─2012 年の製造業部門におけるエネルギー消費量のうち、電力消費量の割合が上昇傾向にある。12 年時 点において電力の割合は全国平均で約 3 割程度である一方、北陸など 6 割を超える地域もある(大塚、2016)。

よって、本研究では主要なエネルギーの価格として電力価格を用いる。

10 これは、気象学における指標であり、各閾値は、その温度を上回る(下回る)と冷房及び暖房を使用する と考えられる基準である。同一の変数を用いた研究には大塚(2015)や秋山・細江(2008)などがある。

11 電力会社と各都道府県の対応は、大塚(2015)を参照されたい。

(10)

差項である12

本研究が注目する変数の 􀁟 􀀱 は、各都府県において、公募型の表彰制 度が導入された年度から 1 の値を取るダミー変数である。表彰制度の導入による、平均 的な CO2 排出量の変化を捉えることが期待される。また、公募型の表彰において、何 らかの経済的な報酬を設定している都道府県が現状では存在しないため、式(1)での表 彰の効果は非金銭的な報酬の効果を示す。 􀁟 􀀱 の作成において、計画書 制度及びプログラムを持つ都府県の値は 0 とした。ただし、それらの制度が存在する都 道府県が分析に含まれていることには注意されたい。

次に、表彰を内包した制度における表彰の効果も分析対象とした定式化は、以下のよ うになる。

􀁬􀁮􀀨 􀀩􀀽 􀀫 􎨱 􀀫 􎨲 􀁟 􀀲 􀀫

􎨳 􀀫 􎨴 􀁟 􀀲 􀀫 􎨵 􀁟 􀀲

􀀫 􎨶 􀀫 􎨷 􀁟 􀀫 􀀫

􀀫 􀀫 (2)

式(1)との差異は、 􀁟 􀀲 、 、 􀁟 􀀲 と の交差

項、 􀁟 􀀲 と の交差項、 と の交差項、

􀁟 が新たに投入された点である。

􀁟 􀀲 は、公募型に加え、プログラム参加型および計画書制度に表彰が 含まれている場合にも 1 を取るダミー変数である。つまり、 􀁟 􀀲 は公募型、

プログラム参加型、計画書制度における表彰の平均的な効果を抽出するものであり、公 募型のように、表彰単体を制度として導入した場合の効果とは異なる。以下では、区別 のために 􀁟 􀀱 を「表彰制度ダミー」、 􀁟 􀀲 を「表彰ダミー」

と呼称する。 は、プログラム参加型の制度が導入されている場合に 1 を取る ダミー変数である。 􀁟 􀀲 と の交差項は、プログラム参加型制度 に表彰が含まれる場合の相乗効果を捉える。 􀁟 􀀲 と の交差 項 は、計 画 書 制 度 と 表 彰 制 度 が 並 存 す る 場 合 の 相 乗 効 果 を 捉 え る。 と の交差項は、計画書制度があり、かつ計画書制度と重複してプログラムに 参加可能な場合の効果を捉える。最後に、 􀁟 は経済的な報酬が設定 されている場合に 1 を取るダミー変数である。なお、経済的な報酬はプログラム参加型

12 なお、本研究では各コントロール変数の係数における業種間の差異には注目していないため、業種ダミー との交差項は投入しない。

(11)

の制度にしか含まれていない(表 1・表 2)。

なお、追加的な定式化として、電力価格の内生性を考慮した場合と、付加価値額と従 業員数の相関を考慮して当該変数の交差項を投入した場合の推定を実施した。詳細につ いては、補論 2・補論 3 を参照されたい。

最後に、各変数の記述統計について触れる(表 4)。CO2 排出量、付加価値額及び従 業員数については、平均値と最大値に大きな差が存在する。これは、業種間での産業規 模の違いや、都道府県間の経済規模、集積の差異を反映しており、幅広い範囲の規模の 産業が含まれることを示す。冷暖房度日についても同様の傾向が見られ、都道府県間、

地域間の気象の差異を示している。他方、電力価格については各電力会社地域間での差 は比較的小さいと考えられる。こうした値のばらつきは対数変換によって緩和され、ほ とんどなくなっている。

表 3 変数の定義

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4.2 データの詳細

本研究が主に用いるデータの解説を行う。まず、被説明変数である CO2 排出量は『都 道府県別エネルギー消費統計』から収集した。次に、製造業部門の付加価値額および従 業員数を『工業統計調査』より収集した。これは、日本標準産業分類の大分類「製造業」

に属する従業者 4 人以上の事業所を調査した統計資料である。また、冷暖房度日につい ては、気象庁のホームページより各都道府県の県庁所在地における平均気温の情報を収 集して作成した。電力価格は、電気事業連合会の『電力統計情報』より「販売電力合計」

および「電灯電力料」の情報を収集し、電灯電力料を販売電力合計で除して作成した。

「企業物価指数」は、日本銀行のホームページより入手可能な 2015 年基準の数値を用い た。さらに、表彰制度に関する情報は、各都道府県のホームページや関連資料から収集 している。

表 4 基本統計量

(13)

4.3 内生性

公募型の表彰制度は、都道府県が独自に導入した制度である。都道府県レベルの政策 には、排出量の多い都道府県ほど政策を実施しやすい、あるいは政策を導入する過程で 排出量の多い業界から圧力を受ける、といった内生性が考えられる。後者については、

東京都 ETS を対象にした青木(2010)などの研究が指摘しているが、本研究が対象と する表彰制度は、産業界側の経済活動を規制するものではなく、その導入に政治的な圧 力を受けることは考えにくい。他方で、前者に関しては注意が必要だと考えられる。本 制度について、何らかの内生性が生じている可能性は否定できないだろう。よって、本 研究では、式(1)を用いてプラシーボテストによる内生性の検証を実行する。当該手法 は、Dube et al.(2013)などパネルデータを用いた計量分析において広く用いられている。

具体的には、内生性の疑いがある政策変数を t + g 期ずらした変数(リード項)を投入 する。リード項は政策が導入される前のトレンドについて、コントロール群に対し有意 な差異があるか否かを判定するものである。政策導入前に有意な差異が認められた場合、

政策導入には何らかの内生性がある可能性や、事業所が政策の導入を予期して行動して いる可能性がある。つまり、差の差分析における平行トレンドの仮定が満たされている かをチェックするテストを行う。

5. 推定結果

式(1)の基本的な推定結果を表 5 に示す。年度ダミーと業種ダミーとの交差項、およ び本節で後述する表彰制度ダミーとタイムトレンドとの交差項の有無によって、[Ⅰ]─

[Ⅳ]のモデルを推定した。主に、年度ダミーと業種ダミーの交差項を含むモデルに注目 する。なお、集計データを用いた分析であることから系列相関の可能性があり、全ての モデルは都道府県別の業種でクラスター化した頑健標準誤差を用いて推定された。

モデル[Ⅱ]の結果を見ると、実質付加価値額の対数の符号は正、10%水準で有意であ る。さらに、冷房度日の対数も符号は正であり、1%水準で有意となっている。経済活 動や気象の影響が燃料消費を増加させる傾向が見られる。電力価格の係数も 1%水準で 有意となり、符号は負となった。電力価格の上昇が、電力消費を減少させる関係を示し ている。同様に、東京都 ETS ダミーも 5%水準で有意に負の符号を示した。しかし、

約 40%という効果は明らかに過大である。他方、計画書制度ダミーは矢島・有村(2017)

と異なり、有意な削減効果を示さなかった。分析の単位が異なること、用いた変数がや や異なることなどが要因かもしれない。これらは、業種ダミーと年度ダミーの交差項が ない場合の結果(モデル[Ⅰ])とほぼ同じであり、続く結果についても同様である。

注目する変数である表彰制度ダミーの係数は􂈒0.09 で、5%水準で有意となった。公

(14)

募型の表彰制度が導入された結果、製造業部門に所属する業種の CO2 排出量が平均的 に約 9%削減されたことになる。この推定値は、制度導入後の変化を平均した値である 点に注意が必要である。つまり、公募型の表彰制度を導入した場合に毎年度 9%の削減 が実現するとは必ずしも解釈されない。導入しない場合と比べ、本研究の最新年度であ る 2014 年度までの削減効果を平均すると、ある都府県の 1 業種 1 年当たり約 9%になる。

以上の分析結果は、公募型の表彰制度を導入した後に、CO2 が何年間でどの程度削 表 5 式(1)に関する推定結果

(15)

減されるかを知るには不十分である。そこで、表彰制度ダミーとタイムトレンドの交差 項を投入し、時系列での政策効果を分析する。表彰制度の効果は、表彰を受けた後の事 業所が削減努力を継続するとは限らないため、一般的には逓減すると考えられる。よっ て、タイムトレンドの 2 乗項まで投入した分析結果を、モデル[Ⅲ]・[Ⅳ]に示した。モ デル[Ⅳ]を見ると、タイムトレンドと表彰制度ダミーとの交差項は 1%水準で有意であ り、係数は約􂈒0.03 であった。二乗項との交差項も 1%水準で有意であり、符号は正 であることから、制度の効果は逓減する。しかし、2 乗項の係数は非常に小さく、逓減 の程度は無視しうると考えられる。分析結果を解釈すると、制度を導入した場合、製造 業部門の業種では 1 年当たり約 3%の CO2 排出量が削減されることになる。これは、

表彰して社会的に公表する制度を導入することで、3 年間で導入する前と比べ 10%前後 の削減が実現することを意味し、政策の効果としては過大だと考えられる。

次に、表彰単体の制度の内生性を検証した結果を表 6 のモデル[Ⅴ]・[Ⅵ]に示した。

プラシーボテストを実行している研究において、リード項の数の根拠を明確に示してい るものは多くない。本研究でも、制度導入のプロセスが明らかではないことから、具体 的な根拠を示すのは困難である。そこで、多くの研究で 2 から 4 までのリード項が投入 されていることを考慮し、3 期まで投入した。モデル[Ⅵ]の推定結果を見ると、いずれ のリード項も有意ではないことから、積極的には内生性は確認されないと言える。また、

全てのリード項の係数を同時にゼロとする帰無仮説も棄却されない。

最後に、式(2)に関する分析結果を簡単に説明する。推定結果を表 7 のモデル[Ⅶ]・

[Ⅷ]に示した。ここでも、年度ダミーと業種ダミーの交差項を含むモデルに注目する。

説明変数の解釈は式(1)とほぼ同じであるため、割愛する。モデル[Ⅷ]において、表彰 ダミーの係数は􂈒0.11 と推定され、5%水準で有意となった。式(1)の推定結果と類似 している。やはり、表彰に関する推定結果は過大になっている可能性があるが、表彰の 効果はある程度頑健に確認される。他方、プログラム参加型ダミー、経済的報酬ダミー、

および各種政策変数の交差項については有意な削減効果が検出されず、プログラム参加 型制度自体や、それに付加された表彰には顕著な排出量削減の促進効果が無い可能性を 示している。また、本分析が扱う制度における経済的報酬は基本的に低利子融資である ことから、その方式による報酬は十分な効果を持たない可能性がある。ただし、経済的 報酬を設定している都府県のうち、本研究の分析対象に含まれるのは石川県と福島県に 限られるため、推定に十分なサンプルサイズが確保されていない可能性もある。

式(1)・(2)の推定結果から、表彰自体には有意に削減努力を促す効果が確認された一 方、プログラムを設定し、事業所に参加を促す制度には排出量削減に関する有効性は確 認されなかった。表彰を包含した場合も削減効果は見られなかった。計画書制度につい

(16)

ても同様である。経済的報酬にも有意な効果は確認されず、Eccles et al.(2012)の結 果と類似している。事業所においても、少なくとも低利子融資などの経済的報酬は、努 力を促す効果より妨げる効果の方が大きいのかもしれない。それでも、上記の分析によ り、表彰の効果は十分に確認されたと言えるだろう。

6. 結論と今後の展望

本研究は、都道府県が導入している、事業所の排出量削減取り組みなどを表彰し公表 する制度が実際に努力を促し、排出量の削減をもたらしているのかを分析した。表彰を 伴う制度は、表彰のみを目的とした制度(公募型)と、排出量の監視や事業所への助言 といった自主的な取り組みを促進する政策に表彰が付加されているものの 2 種類がある。

後者は、都道府県が何らかのプログラムを設定し、それに自主的に参加した事業所の取 り組みを表彰するもの(プログラム参加型)と、計画書制度と呼ばれる規制政策の中で 対象事業所の取り組みを表彰するものがある。これらの制度が CO2 排出量にもたらす 効果について、1990─2014 年度の製造業の都道府県別・業種ごとの集計データを用い て計量分析した。定式化には、本研究では公募型の表彰制度にのみ注目したものと、プ

表 6 プラシーボテストの結果

(17)

表 7 式(2)に関する推定結果

(18)

ログラム参加型制度および計画書制度における表彰を考慮した 2 種類がある。さらに、

公募型の制度に着眼し、表彰制度の時間を追った削減効果の分析、および制度の内生性 の可能性を検証した。

分析の結果、公募型の表彰制度にのみを分析した場合によると、製造業に属する業種 の CO2 排出量は、集計すると約 9%削減された。本研究が分析対象としている公募型 の制度には経済的報酬を設定した都府県が無いため、純粋な意味で社会的表彰が設定さ れた効果といえる。また、表彰制度ダミーとタイムトレンドの交差項を二乗項まで投入 した結果、平均的に 1 年当たり約 3%の有意な排出量削減効果が認められた。また、二 乗項の係数は正であり、表彰の効果は逓減することが確認されたが、逓減の程度は十分 に小さい。さらに、プラシーボテストを実行して表彰制度導入に関する内生性を検証し た結果、積極的な内生性は確認されなかった。

次に、表彰を内包している制度についても考慮し、平均的な表彰の効果と共にプログ ラム参加型制度、および計画書制度と併存している表彰の効果を分析した。その結果、

頑健な効果が確認されたのは表彰の効果のみであった。経済的報酬に関しても削減効果 が見られず、Eccles et al.(2012)と類似した結果となった。少なくとも、低利子融資 による経済的優遇措置は、事業所の削減努力を十分に促さないと考えられる。しかし、

当該報酬を設定している都府県は石川県と福島県のみであり、効果の抽出に十分なサン プルサイズが確保されていない可能性もある。

本稿の分析結果から、いくつかの政策的示唆が与えられる。第 1 に、社会的表彰は製 造業部門の CO2 排出量削減の取り組みを促すインセンティブとして有効である。この 枠組みは、基本的にはホームページ上にて公募され、応募された取り組みを審査、表彰 対象を決定して知事などが表彰した旨をホームページ上で公表するのみである。よって、

政策の費用は大規模でなく、新規に導入することも容易であり、CO2 排出量削減政策 において重要な役割を果たしうる。第 2 に、表彰制度を設定する上で、経済的な報酬を 低利子融資の形式では付加すべきではない可能性がある。第 3 に、何らかのプログラム を設定して事業所の参加と自主的な取り組みを促す制度は、CO2 排出量削減政策とし て有効ではない可能性がある。その制度に表彰を加えた場合でも同様である。ただし、

以上は各都府県の制度を同質とみなして分析した結果であること、経済的報酬を設定し た都府県が少数である点に注意する必要がある。

最後に、本研究の分析の課題を述べる。本来、表彰制度の効果は、表彰される前後で 異なるはずだが本稿はそれらを議論していない。表彰前においては、表彰を受ける努力 を促すことが制度の主な効果である。一方、表彰された後においてはもう一度表彰を受 けようと努力する効果と同時に、「表彰された」事実もまた行動に影響する可能性がある。

(19)

前者の場合、表彰後にさらなる努力を重ねようとするかは、再度受賞することが可能か に依存すると共に、可能であっても再び同じ報酬を得るために努力するかに依存する。

後者の場合は、再度受賞が可能かに関係なく、表彰を受けた事業所にとってそれが自負 となる、もしくは表彰され公表されている事実が社会的な圧力となってさらなる努力を 促す可能性がある。本研究では、これらの点は区別されていない。さらに、本研究では、

排出量決定要因の多くについて年度ダミーやそれとの交差項によるコントロールを試み ている。本来は、より具体的な連続変数などによるコントロールが望まれ、モデルの妥 当性を高めることが今後の課題である。

表彰制度は、近年増加している自主的取り組みを促す政策の中でも、非常に興味深い。

パリ協定の目標はどの国にとっても非常に野心的であり、経済活動と両立して温暖化対 策を進めるには様々な政策が必要となると考えられる。表彰制度は、他の政策と組み合 わせやすい柔軟性の高い政策として、今後さらに普及することが期待される。

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参照

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