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緑化がコンクリートスラブの温度上昇・蓄熱に及ぼす影響 その 2

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Academic year: 2021

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緑化がコンクリートスラブの温度上昇・蓄熱に及ぼす影響 その 2

1.はじめに

前稿に引き続き本稿においても、緑化及び断熱 材のヒートアイランド抑制効果をコンクリート の温度上昇や蓄熱・放熱の観点から検討する。

本稿では、緑化によるコンクリートへの蓄熱に 着目し、真夏日が連続した状況下でのコンクリー トスラブの温度推移を検証すると共に、緑化層が 有する蒸発性能(蒸発冷却効果)及び植栽と土の 保水容量の違いに着目し、緑化試験体への散水が コンクリートの温度変化に及ぼす影響について 考察する。

2.実験の概要 2-1.試験体の概要

本稿において、検討対象とした試験体は前稿と 同様であり、緑化試験体として芝、セダム、コケ の 3 試験体、土のみの試験体、外断熱工法及び内 断熱工法を想定した試験体、コンクリートに防水 シート・反射防水シートを貼っただけの試験体の 計 8 試 験 体 で あ る 。 試 験 体 は 厚 さ 150mm 、 480×380mm の大きさとし、側面は高性能断熱材 で覆った。

2-2.実験の方法

本稿における検討対象期間は、2010 年 7 月 15 日から 2010 年 9 月 14 日までとした。本稿におい てはコンクリートへの蓄熱の状況を確認するた め、検討対象期間のうち真夏日(最高気温 30℃

以上)が連続した 7 月 20 日~7 月 25 日の 6 日間 の 8 試験体のコンクリートスラブ中央温度の推 移を考察する。同時に、緑化試験体への散水効果 を確認するため、8 月 15 日以降の真夏日(最高 気温 30℃以上)を記録した日において、緑化試 験体及び土のみの試験体に時間帯を変えて散水 し、散水の時間帯とコンクリートスラブの表面温 度・中央温度の推移を考察し、緑化層が有する蒸 発性能(蒸発冷却効果)及び植栽と土の保水容量 の違いによるコンクリートの温度変化に及ぼす

影響について検証する。

尚、本稿において緑化試験体への散水効果を考 察するために行った散水は1回につき 1ℓ であり、

検討対象期間内においては必要に応じて、それぞ れ1日1回の散水を行っている。

また、本実験では、前稿と同様に熱電対により、

表面温度、コンクリート上面・中央・下面(底面)

温度、コンクリートスラブ下の空間の空気温度を 測定すると共に、外界気象条件として、気温、相 対湿度、日射量、風向、風速、雨量を測定した。

以上は 1 分間間隔の自動計測である。表面温度に ついては適宜手動計測による赤外線カメラでも 確認した。測定場所は前稿と同様である。

3.結果及び考察

図 1 に真夏日(最高気温 30℃以上)が 6 日間 連続した 7 月 20 日~7 月 25 日の全 8 試験体のコ ンクリートスラブ中央温度と気温を示す。また、

その内、最も高い気温を記録した 22 日(最高気 温 37.5℃)の表面温度と中央温度を図 2、図 3 に 示す。更に、緑化試験体への散水効果について考 察するため、緑化試験体及び土試験体に 10 時と 17 時に散水した 8 月 31 日の表面温度及び中央温 度のデータを図 4 及び図 5 に、9 時と 15 時に散 水した 9 月 7 日の表面温度及び中央温度のデータ を図 6 及び図 7 に示す。

3-1.緑化によるコンクリートへの蓄熱の影響 図 1 より全 7 試験体のコンクリート中央温度の 変化特性をみてみると、日中高温化する(47℃~

51℃程度)するものとして、内断熱及び無対策(防 水シート)試験体が挙げられる。この 2 試験体に 対して、緑化した試験体(芝・セダム・コケ)・

土のみの試験体・外断熱試験体は、比較的コンク リート中央温度の日変化幅は小さい。特に、緑化 試験体は外断熱試験体と比較して、中央温度は低 く抑えられており、緑化・土壌層が日射を遮蔽す ると共に、コンクリートの温度上昇を抑える効果 日大生産工(研) ○杉本 弘文 日大生産工 湯浅 昇 日大生産工 川岸 梅和 日大生産工 北野 幸樹 金沢工業大 円井 基史 東京工業大 梅干野 晁

Effects of Greening on the Temperature Rise and Thermal Storage of Concrete Slab PART2 Hirofumi SUGIMOTO, Noboru YUASA, Umekazu KAWAGISHI, Koki KITANO

Motofumi MARUI and Akira HOYANO

−日本大学生産工学部第43回学術講演会(2010-12-4)−

― 55 ―

4-15

(2)

を有していることが確認された。

また、猛暑日(最高気温:35.0℃以上)が連続 した 7 月 21 日・22 日(共に最高気温:37.5℃)

の温度変化をみてみると、全 8 試験体において 21 日から 22 日にかけてコンクリート中央温度の 最高温度・最低温度共に最も高く、コンクリート の温度は上昇傾向にあることが確認でき、コンク リートへの蓄熱があることが窺える。

また、緑化した試験体のうち、セダム試験体は 最もコンクリート温度は低く保たれ、日中の温度 の上昇も緩やかである。一方、コケ試験体はセダ ム試験体に比べて日中の温度上昇幅は大きい。こ れは植栽の種類による蒸発・保水性能の差異(コ ケは乾燥しやすく、セダムは葉丈があり葉密度も 高い)が蒸発冷却効果に影響すると共に、コンク リートの温度上昇にも連関していると考えられる。

20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00

芝 セダム コケ 土 外断熱 内断熱 反射防水シート 無対策(防水シート)

20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70

0:00 6:00 12:00 18:00 0:00

芝 セダム コケ 土 外断熱 内断熱 反射防水シート 無対策(防水シート)

図 1 7 月 20 日~7 月 25 日のコンクリートスラブ中央温度の推移

図 2 コンクリートスラブ表面温度の推移(7 月 22 日) 図 3 コンクリートスラブ中央温度の推移(7 月 22 日)

20 25 30 35 40 45 50 55

7.20  7.21 7.22 7.23 7.24 7.25 7.26

外断熱

【気温】

無対策(防水シート)

内断熱 反射防水シート

セダム

コケ

(℃)

(℃) (℃)

【散水】 【散水】

― 56 ―

(3)

20 25 30 35 40 45 50 55

0:00 6:00 12:00 18:00 24:00

芝 セダム コケ 土 気温

9時散水 15時散水

20 25 30 35 40 45 50 55

0:00 6:00 12:00 18:00 24:00

芝 セダム コケ 土 気温

15時散水 9時散水

20 25 30 35 40 45 50 55

0:00 6:00 12:00 18:00 24:00

芝 セダム コケ 土 気温

10時散水 17時散水

20 25 30 35 40 45 50 55

0:00 6:00 12:00 18:00 24:00

芝 セダム コケ 土 気温

10時散水 17時散水

図 4 コンクリートスラブ表面温度の推移(8 月 31 日) 図 5 コンクリートスラブ中央温度の推移(8 月 31 日)

図 6 コンクリートスラブ表面温度の推移(9 月 7 日) 図 7 コンクリートスラブ中央温度の推移(9 月 7 日)

― 57 ―

(4)

植栽の保水性能に関して、図 2 において散水後の 表面温度の状況をみてみると、芝やコケに比べて セダムの温度上昇が緩やかに推移していること からも、セダムの保水性能の高さがみてとれる。

3-2.緑化試験体の散水がコンクリートの温度 変化に及ぼす影響

緑化試験体及び土のみの試験体に 8 月 31 日及 び 9 月 7 日に時間帯を変えて散水し、散水の時間 帯とコンクリートスラブの表面温度・中央温度の 推移を考察する。尚、本稿においては、外断熱・

内断熱試験体、反射防水シート試験体、無対策(防 水シート)試験体には散水しておらず、緑化した 試験体(芝・セダム・コケ)及び土のみの試験体 への散水を行い、緑化層が有する蒸発冷却効果

(蒸発・保水性能)について考察を行う。

先ず、10 時及び 17 時に散水した 8 月 31 日の コンクリート表面温度の変化(図 4)をみてみる と、10 時の散水後、芝・コケ試験体及び土のみ の試験体は気温の上昇と共に表面温度も上昇を 示している。一方、セダム試験体については散水 後 1 時間程度、温度を低く保った後に温度が上昇 し始めている。17 時の散水後に関しては、土の みの試験体は散水後すぐ乾燥をはじめ、一時温度 の上昇を示した後、気温の低下と共に表面温度も 低下している。対して、緑化した試験体(芝・セ ダム・コケ)は散水後、温度の上昇を示すことな く、気温の低下と共に表面温度も緩やかな低下傾 向を示している。

図 5 にて 8 月 31 日のコンクリート中央温度の 変化をみてみると、全ての試験体において 17 時 の散水以降は温度は低下傾向を示している。10 時の散水後から 17 時までの温度変化幅をみてみ ると、土のみの試験体では 7.5℃程度、芝・コケ 試験体では 6.5℃程度、セダム試験体では 5℃程 度となっており、セダム試験体の温度上昇が最も 緩やかである。

次に、9 時及び 15 時に散水した 9 月 7 日のコ ンクリート表面温度の変化 (図 6)をみてみると、

9 時の散水後に関しては、8 月 31 日:10 時の散 水後の温度推移の状況と類似した傾向を示して おり、セダム試験体において温度の上昇が緩やか である。15 時の散水後に関しては、芝・コケ試 験体及び土のみの試験体は 16 時頃まで表面温度 は上昇を示した後、気温の低下と共に表面温度も 低下している。一方、セダム試験体は 15 時の散

水後、表面温度は殆ど上昇せず、温度は緩やかに 低下していることが確認できる。

図 7 にて 9 月 7 日のコンクリート中央温度の変 化をみてみると、9 時の散水後は表面温度と同様 に 8 月 31 日:10 時の散水後の温度推移の状況と 類似した傾向を示している。15 時の散水後に関 しては、全ての試験体において 17 時頃まで温度 は横ばいに推移した後、気温の低下と共に中央温 度も緩やかに低下している。

4.まとめ

本稿では夏季屋外実験により、コンクリートス ラブの温度推移をコンクリートへの蓄熱に着目 し、検証すると共に、緑化層が有する蒸発冷却効 果について考察した。以下に得られた知見を整理 する。

1)真夏日の連続により、コンクリートへの蓄熱 の状況が確認されたが、緑化を行うことにより、

コンクリート温度の日変化幅も小さく、温度も低 く抑えられることが確認された。

2)植栽への散水時間帯については、植栽の蒸発・

保水性能によって、散水後の温度変化に差異がみ られた。気温が上昇を始める午前の時間帯の散水 では、日中のコンクリート温度のピークを低く抑 える効果が期待でき、気温の低下がみられ始める 15 時以降の散水では、特にコンクリート中央温 度においてその後の温度上昇を抑制する効果が 認められた。

3)コンクリートスラブに緑化を施した場合、植 栽が十分な保水状態にあれば、緑化層の蒸発・保 水性能、蒸発冷却効果によりコンクリートの温度 が低く保つことができ、コンクリートの高温化抑 制に効果があることが確認された。特に、セダム 試験体は高い蒸発・保水性能が認められた。

コンクリートスラブでの緑化では、散水条件は 同じでも植栽の種類により生育状況が異なり、

各々の植栽の保水状態がコンクリートの温度変 化に大きく影響すると考えられる。今後は植栽の 生育条件と散水の関係性、メンテナンスの観点か らも検討を進める必要がある。

参考文献(その 1 に準ずる)

1) 垣鍔直・溝口忠・雨海清一郎・石橋龍吉:薄層屋上緑化ユニットの熱的性能 に関する実験的研究,日本建築学会計画系論文集,第 578 号,pp.79~84,

2004 年 4 月

2)梅干野晁・何江・堀口剛・王革:芝生葉群層の熱収支特性に関する実 験研究 屋上芝生植栽の熱環境調整効果 第 1 報,日本建築学会計画 系論文集,第 462 号,pp.31~39,1994 年 8 月

3)奥村定幸・松本衛・鉾井修一:屋上芝生植栽による蒸発冷却効果に関 する研究 その 1 蒸発冷却効果の実測と解析,日本建築学会大会学術 講演会概要集,pp.767~768,1992.8

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