論文内容要旨
3D
スキャナーを用いた乳房測定値と製図器具による徒手的乳房測定値の比較検討昭和学士会雑誌 第
81
巻 第4
号 2021年 掲載予定専攻名 外科系 形成外科学 小島康孝
現在,われわれは,徒手的に定規やノギス等の製図器具を用いて得た乳房測定(以下,徒手測定)
値に基づいて乳房再建用シリコンインプラント(Silicone Breast Implant:以下,SBI)のサイ ズ選択を行い,良好な結果を得ているが,徒手測定は測定に用いる器具の当て方により測定値の 変動が生じやすいため操作に慣れが必要で,測定に時間がかかる欠点がある。そこで近年の
3D
画像解析技術の向上に着目し,3D
スキャナー及び3D
画像解析ソフトを用いて患者に接触するこ となく乳房測定(以下,3D測定)を行い,SBIのサイズ選択において特に重要な,乳房の横径,縦径,突出度の
3
項目の3D
測定値と徒手測定値を比較することで,3D
測定値の信頼性を検討し た。2018
年1
月から9
月に昭和大学病院形成外科で乳房再建術を予定した乳癌患者45
名を対象 とした。3Dスキャナーは,「Kinect V1Ⓡ」を使用し,キャプチャーソフトは「Artec Studio PROⓇ」,画像解析ソフトは「Breast RugleⓇ」を用いた。3D測定値は,横径,縦径,突出度の全てに おいて製図器具による徒手測定値より大きい傾向を認めた。これは,3D 測定時の画面解像度が 一因と考え,特に縦径は,乳房頭側の境界が不明瞭であるため,測定値間の乖離が大きいと推察 した。両測定値間には正の相関を認め,回帰式を算出することができた。回帰式の自由度調整済 み決定係数は,横径及び突出度は高い精度を示したが,縦径においては低い精度であった。現在,
国内で使用できる
Allergan
社のSBI
は,全て正円形(ラウンド型)となっているため,3D測定 と徒手測定間で得られる高さ値の乖離は,SBI
のサイズ選択に影響を及ぼすことはない。しかし,底面が楕円形であるアナトミカル型
SBI
は横径と縦径が異なるため,発売が再開された場合に は, SBIの縦径の測定値の信頼性の向上が必要となるが,3Dスキャナーの解像度の向上及び,取り込んだデータの質を損なわずに解析可能なソフトの導入により改善が期待できる。今後は 徒手測定値をもとに選択した