• 検索結果がありません。

論 文 内 容 の 要 旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "論 文 内 容 の 要 旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

- 6 -

論 文 内 容 の 要 旨

【背  景】

 腰椎変性後側弯症(degenerative lumbar kyphoscoliosis: DLKS)では多くの例で矢状面グローバ ルバランス(sagittal global balance: SGB)が破綻し、それが患者のQOL低下させる主原因と考え られている。SGB評価には静的指標であるsagittal vertical axis (SVA)が用いられているが、これは 立位のバランスを保つため、骨盤後傾、股関節過伸展、膝関節屈曲などの代償機能が働いている状態 である。また、患者の姿勢により恣意的に変化する、立位静止時における特殊なSGBの指標と考えら れる。一方、DLKS患者の歩行における動的SGBの実態は明らかにされていない。

【目  的】

 本研究の目的は3次元動作解析装置を用いDLKS患者の歩行時SGBを測定し、SVAとの相違を明ら かにすることである。

【対象と方法】

 本研究はインフォームドコンセントを取得し、倫理委員会の承認を得て行った。

 対象はDLKS患者26例(男性5例 女性21例)とし、変形性関節症のある患者や、脊柱管狭窄に よる下肢痛のある患者は除外した。歩行解析には多機能動画入力システム(GE60 Libraly社)を用 いトレッドミル上の歩行を撮影し、基本的に腰痛により継続が困難となるまで撮影を行った。体表 マーカーはC7及びS1棘突起をはじめ計10か所設置。動作解析は3次元動画解析ソフトウェア(Move-

 馬

   洋

よう 博士(医学)

甲第681号

平成28年10月27日 学位規則第4条第1項

(整形外科学)

Dynamic global sagittal alignment evaluated by three- dimensional gait analysis in patients with degenerative lumbar kyphoscoliosis

(3次元動作解析装置を用いた腰椎変性後側弯症における歩行時矢状 面バランスの検討)

(主査)教授 古 市 照 人

(副査)教授 堀   雄 一     教授 大 関   覚

【2】

学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目

論 文 審 査 委 員

(2)

- 7 -

TR/3D Libraly社)を使用し、C7とS1マーカーとY軸のなす角を歩行前の静的な状態と、歩行時の動 的な状態で測定しそれぞれ、static・dynamic trunk angle(S-TA,D-TA)とした。またC7-S1マーカー 間のX軸上の距離を同様に静的、動的な状態で測定しそれぞれをtrunk shift (S-TS D-TS) として経 時変化を測定した。骨盤パラメータとして上前腸骨棘—後上腸骨棘間のマーカーとX軸とのなす角度 をpelvic angle (PA)とし測定した。また、動的指標は歩行前、歩行後で計測を行った。尚、其々の 群の比較はWilcoxon signed rank testを用いた。

【結  果】

 歩行時間は平均192.5秒、平均歩行速度は8.3m/minであった。測定した各パラメータ(歩行開始/終 了時の中央値)の結果は、trunk angle(21.5°/26.8°)、trunk shift(14.1/21.cm)、pelvic angle(15.7°

/22.8°)であった。また静的パラメータS-TA/S-TS/S-PAがそれぞれ16.0°/11.9cm/-5.5° (後傾)であっ た。

 全ての動的パラメータは、静的パラメータと比較し有意に増加し(p<0.01)、歩行開始時と比較し ても有意に増加がみられた(p<0.001)。つまり、立位静的な状態における各代償機能は歩行開始とと もに代償機能不全となり、骨盤は歩行とともに前傾になる事が確認された。

【考  察】

 DLKS患者の多くは、矢状面アライメント異常から矢状面バランスが破綻し、立位姿勢を維持する ため、胸椎前弯、骨盤後傾、股関節伸展、膝関節屈曲などにより代償させている。SVAはこれらの 代償機能を働かせた立位静止時のみの特殊な矢状面バランスを表すものと考えられる。一方、これま で、歩行時における矢状面バランスの実態やその代償機能が如何に働いているかは不明な点が多い。

本研究では、歩行時の動的バランスの指標である、trunk angle、sagittal trunk shift、pelvic angleは 歩行開始とともに立位静止時より増加し、歩行中に働いていた骨盤後傾、股関節伸展等の矢状面バラ ンス代償機能が歩行開始と同時に失われることにより、代償不全に陥り、体幹が前傾する状態を表し ている。また、経時的に歩行時の体幹前傾が増悪する原因としては、歩行開始後に重心が股関節軸

(hip axis)より前方へ移動することにより、体幹の前倒れ傾向が強まり、それに抵抗すべく、腰背筋 の筋活動は増すが、筋疲労のため徐々に体幹保持が困難となり体幹前傾が進むことや、股関節の伸展 障害により、立脚中期~終期にかけて体幹を前方へ推進させる事が難しくなり、伸展を代償するため 体幹を前傾させ、推進力を補っている事などが考えられる。

 トレッドミル上の歩行と平地歩行との比較は、諸家の報告がなされているが、本研究では、トレッ ドミル上の歩行を撮影することで長距離歩行データの連続取得が可能となり、DLKS患者の歩行時に おける経時的矢状面バランス変化を確認することができ、有益な方法であったと考えられる。

【結  論】

 DLKS患者26例の歩行を3次元動作解析により検討した結果、動的矢状面バランスは歩行開始と共 に悪化し、歩行距離が増すに従い経時的に増悪する事が明らかとなった。

(3)

- 8 -

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

【論文概要】

 腰椎変性後側弯症は椎間関節や椎間板の障害、腰背筋の萎縮などによる引き起こされ、脊柱矢状 面のバランスの不良はHealth-related quality of life (HRQOL)の悪化に関連する報告が多くされてい る。腰椎変性後側弯症患者は、矢状面バランスの不良がみられ、立位保持のために胸椎後弯や骨盤後 傾、膝屈曲などの代償機能が働いている状態である。矢状面アライメントの指標は立位静止時の全脊 柱Xpで評価されるが、歩行時の動的矢状面バランスは不明である。申請論文では3次元動作解析装 置を用いて、腰椎後側弯症患者26例の歩行時矢状面バランスを検討した。トレッドミル上での歩行 を撮影し、C7-S1とY軸のなす角度をtrunk angle (TA)、C7-S1間のX軸上の距離をsagittal trunk sift

(STS)、上前腸骨棘-後上腸骨棘とX軸がなす角度をpelvic angle (PA)として、立位静止時 (Static:

S)、歩行開始直後 (Dynamic initial: Di)、歩行開始終了時 (dynamic final: Df)で測定を行った。

結 果 と し てTAに 関 し てS-TA: 16.0°Di-TA: 21.8°Df-TA: 26.0°で あ りSTSに 関 し て はS-STS : 11.9cm Di-STS: 14.1cm Df-STS: 21.1cmであった。またPAに関してはS-PA: -5.5°Di-PA:15.7° Df- PA: 22.8°であった。全ての動的パラメータは、静的パラメータと比較し有意に増加し(p<0.01)、歩 行開始時と比較しても有意に増加がみられた(p<0.001)。以上の結果として、立位静止時の姿勢は代 償が働いた特殊な状態と考えられ、各代償機能は歩行開始とともに機能不全となり、骨盤も歩行とと もに前傾になる事が確認された。

【研究方法の妥当性】

 申請論文では術前の変性後側弯症患者26例を対象とした。下肢痛を伴う脊柱管狭窄症、下肢変形性 関節症のある症例は除外し、主訴が腰痛である患者を対象とした。3次元動作解析装置にはGE60、

解析ソフトはMove-TR 3D(Libraly社)を用い、キャリブレーションは測定の度に計測を行い誤差が 1cm以内になるよう設定した。静的状態、歩行開始直後、歩行終了時と計測を行うことで、変性後 側弯症患者における動的矢状面バランス変化が確認でき、本研究は妥当なものと考えられる。

【研究結果の新奇性・独創性】

 先行論文では、変性後側弯症患者における術後の歩行解析が行われ、術後成績良好群、不良群の比 較検討がされている。申請論文では術前の変性後側弯症患者を対象とし、動的変化を計測し静的指標 と比較し相違を明らかにした点において新規性、独創性に優れていると考えられた。

【結論の妥当性】

 結果としてすべての動的パラメータは歩行とともに有意な増加が見られた。

 腰椎後側弯症は立位静止時では代償機能を働かせて立位を維持しているが、歩行とともに代償機能 は働かなくなることは、論理的に矛盾するものではなく妥当であると考えられる。

【当該分野における位置付け】

 腰椎後側弯症に対する手術や評価方法はまだ歴史は浅く、多くの議論がなされている状態である。

申請論文では術前の評価を行ったが、術後の歩行解析を行うことで手術戦略を含めたあらたな指標と なりうる意味深い研究と考えられる。

(4)

- 9 -

【申請者の研究能力】

 申請者は整形外科脊椎班に所属し脊柱変形症例の治療を多く経験した上で、静的アライメントと動 的バランスの違いに注目し仮説を立案し、研究を遂行した。研究成果として脊椎領域におけるフラグ シップ国際誌に掲載が承認され、研究能力は高いと評価できる。

【学位授与の可否】

 本論文は独創的で質の高い研究内容を有しており、当該分野における貢献度も高い。よって博士

(医学)の学位授与に相応しいと判断した。

(主論文公表誌)

European Spine Journal 25:2572-2579, 2016

参照

関連したドキュメント

病状は徐々に進行して数年後には,挫傷,捻挫の如き

C. 

いられる。ボディメカニクスとは、人間の骨格や

平均的な交通状況を⽰す と考えられる適切な時期 の平⽇とし、24時間連続 調査を実施する。.

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

解析実行からの流れで遷移した場合、直前の解析を元に全ての必要なパスがセットされた状態になりま

を負担すべきものとされている。 しかしこの態度は,ストラスプール協定が 採用しなかったところである。