井原浩子
Hiroko IHARA
日本語産出文に見られる助詞の誤用
――
健常者と失文法者の比較交通事故による外傷や脳梗塞などにより引き起 こされる言語の障害の中で、特に文法に顕著な障 害が見られる失文法と呼ばれる症候群がある。そ の文法障害の現れ方は一様ではないが、共通して 見られる特徴は機能語の脱落や置換で、日本語で は格助詞の置換や脱落がしばしば見られる。一方、
言語に障害を持たない健常者の言い誤りは日常的 に見られ、音の入れ替えや音の保持、語彙検索の 誤り、語彙の入れ替えなどに加え、日本語の場合 は助詞と動詞の不整合がしばしば見られる。両者 の逸脱を引き起こす原因は異なるが、健常者であ れば最終的に発話した動詞、失文法者であれば提 示された動詞に不整合な助詞を発話しているとい う点では共通している。失語症者の場合、動詞が 与えられてもその項構造を正確に使用することが できず、不完全な項構造を使用するか、あるいは それを補うためのストラテジーを活用するかのい ずれかが行われていると考えられる。その際、保 持されている不完全な項構造、あるいは不完全な 項構造を補うために使われるストラテジーには、
普遍的、あるいは個別言語が有する認知的原理が 反映されている可能性は十分考えられる。それに 対し、健常者がオンラインで話す場合、文は漸次 的に産出され、特に日本語のようなSOV言語では、
動詞は途中まで決定されていない可能性が高い。
そして、動詞が決定される前に発話を開始するた めには、何らかのストラテジーが必要であり、そ こには認知的な原理が反映される可能性が考えら れる。本稿では失文法者の誤りと健常者の言い間 違いのうち、両者の産出文に見られる助詞「が」
と「を」の誤りを中心に、それぞれどのような認 知的な原理が反映されているのかを見ていく。デ ータは国際医療福祉大学藤田郁代教授との共同研 究として行われた失文法に関する既発表の実験デ ータおよび著者が収集した健常者による言い誤り の中の助詞の言い誤りデータ(約300)を使用する。
失文法については2種類の産出実験を取り上げる。
第一は「渡す」、「受け取る」などの授受動詞を使用 した文産出(Ihara and Fujita 1997, 2000)で、実験 結果は「行為連鎖」を反映していると考えられる。
第二は能動文・受動文(直接受動文 例:「太郎が 花子にスパイクで蹴られる」と間接受動文 例:
「太郎が花子に映画館で泣かれる」を含む)の文産 出(Ihara and Fujita 2009、井原2016, 2017)で、「行 為連鎖」に加え、被害者に際立ちを置く日本語の 特徴と有生性という要素が働くと考えられる。一
方、健常者による言い誤りについては、他動詞が 産出され、正しくは「を」が付与されるべき名詞 に「が」が付与される言い誤りで、日本語という 言語固有の事態把握の型、いわゆる「なる」型の 事態把握を反映していると考えられる。
●抄録
失文法と呼ばれる言語の障害は、脳梗塞や交通 事故による外傷などにより引き起こされる言語の 障害のうち、特に文法に顕著な障害が見られる種 類を指し、共通して見られる特徴として機能語の 脱落や置換が挙げられる。英語であれば、動詞の 三人称単数-sや複数名詞の-sの脱落、日本語であ れば格助詞の置換や脱落がしばしば見られる。一 方、言語に障害を持たない健常者の言い誤りは日 常的に見られる現象である。隣り合う単語の一部 の音の入れ替わり(例:テト4 4ラポット→トテ4 4ラポ ット)や距離的に近い単語の音の保持(例:アボ4 カド4丼→アボカボ4丼)、離れた同じ品詞の単語同 士の入れ替わり(例:マック4 4 4でハンバーガー4 4 4 4 4 4食べ よう→ハンバーガー4 4 4 4 4 4でマック4 4 4食べよう)に加え、
日本語では助詞と動詞の不整合(例:君に4話を聞 いてもらうと心強いよね→君が4話を聞いてもらう と心強いよね)が見られる。この助詞と動詞の不 整合を引き起こす原因は失文法者と健常者では異 なるが、どちらも格関係の表示が間違っていると いう点では共通しており、両者を比較してみるこ とは興味深い。
しかし、与えられた動詞を使って提示された情 景画を描写するオフラインの失文法者による産出 文と、自発的なオンラインの健常者の産出文では、
そもそも条件が異なり、比較することができない ように思われるかもしれない。失語症者の場合、
動詞が与えられてもその項構造を正確に使用する ことができず、項構造を不正確に使用するか、あ るいは不正確な使用を補うためのストラテジーを 活用するかのいずれかが行われていると考えられ る。その際、不正確に使用される項構造、あるい は不正確に使用される項構造を補うために使われ るストラテジーには、普遍的、あるいは個別言語 が有する認知的原理が反映されている可能性が考 えられる。一方、健常者がオンラインで話す場合、
文は漸次的(incremental)に産出され、特に日本 語のようなSOV言語では、動詞は途中まで決定さ れていない可能性が高い。そして、動詞が決定さ れる前に発話を開始するためには、何らかのスト ラテジーが必要であり、そこには認知的な原理が 反映されている可能性が考えられる。本稿では失 文法者の誤りと健常者の言い誤りのうち、両者の 産出文に見られる助詞「が」と「を」の誤りを中心
に、まず、それぞれどのような誤りが見られるの か、それらはどのように説明できるのか、そして 両者の共通性、あるいは違いは何かを検討する。
第1節では失文法研究の二つ大きな流れを取り上 げ、失文法という現象と言語一般の構造や言語処 理との関係という観点から両者を概観する。続い て第2節では健常者の言い誤りは文を産出する際 にどのような言語処理の段階があると考えれば説 明がつくのか、に関する主要な研究を概観する。
第3節ではまず失文法の実験結果と収集した健常 者の言い誤りデータをそれぞれ分析し、その後第 4節で認知言語学的な観点からそれぞれの結果を 考察し、両者の共通性あるいは相違点を検討する。
第5節で全体をまとめる。
脳梗塞や交通事故による外傷などが原因で引き 起こされる言語の障害のうち、特に文法に顕著な 障害が見られる障害はしばしば失文法と呼ばれる。
失文法は産出に特徴的に現れ1、自由文法形態素 や束縛文法形態素、いわゆる機能語、の脱落や置 換が多く見られる。英語の場合、三人称単数の-s や複数名詞の-sの脱落、日本語の場合は格助詞の 置換や脱落が多く見られる。失文法に見られるこ の種の現象を言語理論で説明することは、その理 論の妥当性を示すことにもなる。言語理論に基づ いた失文法の説明としてよく知られているのは Chomsky(1981)の統率束縛理論(Government and Binding Theory)に基づいた研究がある。
Grodzinsky(1984, 1986, 1990他)の一連の研究は 失文法の研究に大きな影響を与えると同時に、説 明で使用された移動やその痕跡と指標という概念 は理論上だけではなく実在性のある概念であるこ とを立証していると考えられた。日本語について はHagiwara(1993)が日本語の受動文に関する実 験結果から統率束縛理論による説明の妥当性を検 証している。さらに、Chomsky(1995)以降のミ ニ マ リ ス ト 理 論 に 基 づ きHagiwara(1995)は
Ouhalla(1993)同様、不完全な統語的樹形図とい
う観点から失文法の説明を試みた。すなわち、失 文法では補文標識の節点が文表示から欠損してお り、失語症が重度になればなるほどより多くの節 点が欠損する、という仮説を提案し、日本語失文 法の文理解と産出でこの仮説を検証した。続いて 0.はじめに
1.失文法
Fromkin(1971)は健常者が意図した発話とは別 の発話を無意識に行ってしまう「言い誤り」に見 られる特徴を説明することができる5段階からな る産出モデルを提案した。さらにGarrett(1975)
は言い誤りを9つのパターンに分類し、それらを 詳細に分析した。その結果、語や形態素の入れ替 えの言い誤りは大きく二種類に分かれ、語が入れ 替わる言い誤りでは、位置的に離れた同じ文法範 疇に属する語が句の境界を越えて入れ替わるが、
音が入れ替わる場合は異なる文法範疇に属する近 接する音同士が句の境界を越えずに入れ替わる傾 向 を 発 見 し、 前 者 は 機 能 関 係(functional relations)が決定要素となる処理レベルでの要素 の相互作用を表し、後者は順序が決定要素となる 処理レベルでの要素の相互作用を表す、と考えた。
また、Fromkin(1971)でも指摘されている、一致 や時制等を表す形態素はそれらが付加されている 語が入れ替わっても、それらはもとの位置に残っ ており(例:Make it so the tree has less apples. →
… apple has less trees; It just started to sound →
… sounded to start. Garrett 1975, p.159)、時制や 数の形態素の音形は間違って付加した語幹に適合 する(例:an aunt’s money → a money’s aunt;
adds /z/ up to → add ups /s/ to Garrett 1975, p.147)ことを多くのデータで確認した。これらの データは、数や時制が統語構造に配置された後に 内容語が挿入され、その間違って挿入された内容 語に合わせた音形が構成されることを示唆してい る。Garrett(1975)はこれらの観察に基づき、文 の産出過程の中には連続した二つの文法符号化に 関わる段階があると考えた。一つは統語構造や語 順には関わりがなく機能的な文法関係にだけ関わ る段階で、機能レベル表示(Functional level of representation)と呼び、もう一つは逆に統語構造 や 語 順 が 関 与 す る 段 階 で、 位 置 レ ベ ル 表 示
(Positional level of representation)と呼んだ。こ のモデルはさらに失語症のデータも含めた検討が 行われた(Garrett 1980, 1982)。文産出モデルの初 期段階では、機能語を伴う文全体の階層構造が作 られた後に名詞や形容詞などの内容語が挿入され る と 考 え ら れ て い た が(Garrett 1975, 1982, Stemberger 1985)、その後、統語構造全体を構築 してから発話を始めるのではなく、部分的に作っ Friedmann and Grodzinsky(1997)は統語構造をベ
ースにした、樹形図刈り込み仮説(Tree Pruning Hypothesis(TPH))を考案した。統語構造上、時 制節点が一致節点よりも上位に位置すると想定す ると(Pollock 1989)、この仮説によれば補文標識 や時制屈折は産出できなくても、一致屈折は産出 できることが予測され、実際英語とヘブライ語の 失文法話者の実験結果はその予測と一致したこと が報告されている。換言すれば、この実験結果は 階層構造からなる統語構造の実在性を示している とも言える。しかし、この説明には反例が多い。
時制節点が一致節点より下位に位置する言語であ るドイツ語やギリシャ語でも、英語やヘブライ語 同様、時制が障害されている症例が指摘されてお り、TPHには合わない。また、時制は障害されて いるが補文標識は障害されていない症例や、時制 と一致の両方が障害されている症例(オランダ語 についてはBastiaanse 2008、英語についてはLee ら2008)もあり、統語構造で一貫して説明するこ とは難しいと言わざるを得ない2。
一方、統語構造ではなく語彙項目の持つ項構造 に注目し、産出における項構造の影響を調べた一 連の研究がある(Thompson, Lange, Schneider and Shapiro 1997; Thompson 2003; Kim and Thompson 2000, 2004; Lee and Thompson 2004;
Thompson and Choy 2009)。これらの研究は、失 文法者の動詞の項構造処理自体は正常なパターン であるが、動詞の項構造が複雑になると問題が生 じることを示した。Thompson(2003)は、項構造 の複雑さが動詞の検索能力や文構成能力に直接影 響する、という項構造複雑性仮説(Argument Str ucture Complexity Hypothesis: ASCH;
Thompson 2003)を提唱した。例えば、失文法者 は1項動詞に比べて2項動詞や3項動詞の産出は 難しい傾向が見られる3と同時に、1項動詞のう ち、非能格動詞に比べて非対格動詞の産出は難し いという実験結果が示されている(Thompson 2003; Lee and Thompson 2004)。これは非対格動 詞の場合、もともと内項にあった主題が主語の位 置に移動すると想定されており、主語がもともと 外項の動作主である非能格動詞に比べると複雑で あると想定されるからである。
2.言い誤り
て組み合わせていく漸次的(incremental)方法で 構築されると想定されるようになり(Bock 1982, Kempen and Hoenkamp1987, Levelt 1989など)4、 その後、上述のGarrett(1975)の2段階からなる 文法符号化のモデルを基に、図1に示すBock and
Levelt(1994)モデルを基本としていくつかのモデ
ルが提案されている(Bock, Eberhard, Cutting Meyer, and Schriefers 2001、Bock, Eberhard and Cutting 2004, Eberhard, Cutting and Bock 2005な ど)5。
英語を始めとするSVO言語と異なり、日本語のよ うなSOV言語の場合、文の最後に位置する動詞が 決まるまで発話を保留するという想定は現実的で はない。また、日本語の言い誤りには動詞や補助 動詞を決める前に発話を開始してしまったために 発生したと思われる助詞の言い誤りがしばしば見 られる6。しかし、動詞が発話開始時に決定され ていないとすると、メンタルレキシコン内に動詞 の情報として含まれると統語情報や意味情報を使 うことができないことから、「が」や「を」などの助 詞がどのように産出されるかが問題となる。この 問題についてIwasaki(2011)は言い誤りを誘発す る産出実験の結果から、メッセージレベルでの事 態把握から意味役割を想定し、想定した各意味役 割に最も付与されやすい助詞を付与すると考えた。
次の例のような、意味的には他動詞性の強い他動
詞でありながら、その目的語に「に」を取る動詞の 言い誤りなど、一部の言い誤りはこの方法で説明 できる( •の付いた部分は間違い、( )内が正しい)。
(1)a. お客様のニーズを4(に)対応するために b. 私はこの問題を4(に)取り組んでみて
(Ihara 2012, p. 87)
これに対し、著者は意味役割を個々に扱うのでは なく、メッセージレベルの事態把握に合わせてテ ンプレートのような型を想定すると考えた(Ihara 2006, 井原2007, 2011, 2012)。次節の考察で述べる が、そう考えることで、言い誤りのうち自動詞に 伴う「を」(正しくは「が」)が産出される理由、ま たそれらよりも他動詞に伴う「が」(正しくは
「を」)の方が多いことの説明が可能であり、日本 語のいわゆる「なる」言語としての性質を捉える ことができると考えられる。
3.1 失文法
失文法の特徴の一つとして機能語の脱落および 置換が多く挙げられるが(Caplan 1985, Caramazza and Berndt 1985など)、日本語の場合は格助詞の 脱落や誤用がしばしば見られる(Sasanuma et al.
1990, 藤田1989, Ihara and Fujita 2000など)。まず、
既存のデータのうち、授受動詞と呼ばれる二種類 の動詞に伴う主格「が」の産出についての実験結 果と、能動文、直接受動文、および間接受動文(非 能格動詞、他動詞)に伴う主格「が」の産出状況を 調べた実験結果について概略を示す。
3.1.1 授受動詞に関する実験(Ihara and Fujita 1997, 2000)
授受動詞のうち「渡す」や「預ける」など起点が 主語になるタイプ(例:「女の子がお母さんに花束 を渡す」では、起点である「女の子」が主格で、着 点である「お母さん」は与格)を「渡す」タイプと呼 び、「受け取る」、「預かる」など着点が主語となる タイプ(例:「お母さんが女の子から花束を受け取 る」では、着点である「お母さん」が主格で、起点 である「女の子」は奪格)を「受け取る」タイプと呼 ぶことにする。
手続き:人やモノに漢字と平仮名で名称が付され 3.言語データ
図1 Bock and Levelt (1994) p.946
た情景画を用意し、各情景画を描写する際に使 用する動詞を文字と口頭で提示し、被験者が各 情景画を口頭で描写する。文の種類は①他動詞 能動文(例:太郎がピエロを縄で縛る)、②他 動詞直接受動文(例:ピエロが太郎に縄で縛ら れる)、③非能格動詞間接受動文(例:太郎が 女の子達に道で遊ばれる)、④(モノを対象と する)他動詞間接受動文(例:太郎が花子にタ バコを吸われる)、動詞は①〜④それぞれ10種 類で20文、計80文。
対象:軽度のブローカ失語症者2名と対照群とし て健常者1名。
結果:2名の失語症者それぞれが主語の部分を正 しく産出した率は、症例Aでは能動文95%、直 接受動文70%、非能格間接受動文75.5%、他動 詞間接受動文45%、症例Bでは、能動文70%、
直接受動文35%、非能格間接受動文60%、他動 詞間接受動文40%であった(図4参照)。健常 者はいずれも100%。
3.2 言い誤り(Ihara 2006, 井原2011, 2012)
現在まで日本語を母語とする健常者の自発話か ら収集した助詞の言い誤り約300は大きく2つに 分けられる。一つは「〜ていただく」など格助詞 を変化させる補助動詞で7、次の例に見られるよ うに発話を始めた後に丁寧さを高めるためなど意 味を追加するために補助動詞を動詞の後に付加し た結果格助詞との不整合が発生したと考えられる。
(2)a. 市民が4(に)安全に避難していただくために
(市民が安全に避難する)
b. YさんとAさんが4(に)助けに来ていただいて
(YさんとAさんが助けに来る)
もう一つは、動詞とその前に発話された名詞句の 格助詞に不整合が見られるもので、「が」と「を」に た情景画を用意し、各情景画を描写する際に使
用する動詞を文字と口頭で提示し、被験者が各 情景画を口頭で描写する。使用した動詞は「渡 す」タイプ、「受け取る」タイプ各2種類、計4 種類の動詞を用いて、一人20枚の情景画を描写 してもらった。
対象:ブローカ失語症者3名と対照群として健常 者2名。
結果:3名の失語症者それぞれが主格の「が」を 正しく産出した率は、「渡す」タイプは症例 T.S.とI.K.は100%、症例F.T.は90%、「受け取る」
タイプは症例T.S.が30.0%、症例I.K.は40.0%、
症例F.T.20.0%、であった(図2参照)。健常者
(N)はいずれも100%。
また、「渡す」タイプに伴う与格「に」が正しく産出 される率は3症例とも100%、「受け取る」タイプ に伴う奪格「から」は症例T.S.とF.T.が0%、症例 I.K.が10%であった(図3参照)。健常者(N)はい ずれも100%。
3.1.2 受動文の場合(Ihara and Fujita 2009, 井原 2016, 2017)
実験は授受動詞の場合同様、口頭による情景画 描写の方法を用いた。
手続き:人やモノに漢字と平仮名で名称が付され
図2 「渡す」タイプと「受け取る」タイプの正産出率比較
図4 能動文と3種類の受動文の正産出率比較
図3 「に」と「から」の正産出率比較
「渡す」タイプ 「受け取る」タイプ
症例A 症例B
能動文 直接受動文 間接受動文•非能格 間接受動文•他動詞
「に」 「から」
4.1 失文法実験結果
授受動詞の「渡す」タイプと「受け取る」タイプ の違いは、能動文と受動文の場合とは異なり、統 語構造上の移動などは関係しない。この言語現象 には語彙概念レベルでの意味役割、起点、着点、
移動物のうち、起点と着点のどちらに注目するか が反映していると考えられる(図5参照、太線部 分はプロファイルされた部分)。
失文法者は、起点を一番際立ちが高いとして、過 剰使用している。別の言い方をすれば、行為連鎖
(action chain)(Langacker 1991)の中で、行為の始 まり、すなわち起点を最も際立ちの高いモノと捉 えていると言えるが、これは一般的に他の言語現 象にも多く見られる(具体的な言語現象について はIhara and Fujita 1997, 2000参照)。
一方、受動文については、2症例で正産出率に 差があり、一様ではないが、共通していることは 非能格間接受動文の正産出率については両症例と もにチャンスレベルを上回っており、他動詞間接 受動文は両症例ともにほぼチャンスレベルという ことである9。症例Aは直接受動文の正産出率がか なり高いが、その症例Aでも他動詞間接受動文の 産出は難しいと言える。このことから、少なくと もギャップの有無といった統語的な説明は有効で はない。一つの可能性は井原(2012)でも言及し たが、次の図が示すように、もともと与えられた 動詞の項ではない意味役割(名詞)で、出来事の 流れの中では最も起点から遠いところに位置し、
かつ、与えられた他動詞の概念構造の外側にある 参与者10を最も際立ちが高いと解釈することにな るため、難易度が高くなると考えることができる
(図6,図7参照、太線部分はプロファイルされ た部分)。
関係する誤りは助詞の言い誤り全体の約3分の1 を占める8。「が」と「を」に関連する言い誤りは次 の2種類が見られる。
①自動詞が産出され、正しくは「が」が付与され るべき名詞に「を」が付与される。
(3)a. 住民は日に日に不安を4つのっている時に
b. すごい怒りを4こみ上げてきました
c. (台風17号は)勢力を4強いままやって来ます ので注意が必要です
d. ちょっとそれ(解答用紙)を4汚れる可能性 があります
e. これを毎日毎日飲んでいくと肝機能を4変化
していくのではないか
f. 私の場合はうんと多くの光を4…光が当たる
と見えるので
g. 少し気を4緩んでしまうと
②他動詞が産出され、正しくは「を」が付与され るべき名詞に「が」が付与される。
(4)a. 防衛省の信頼をいかに回復していくかを中
心に意見が4交わしていく予定です
b. 本の世界ってアナログっていうか昔なが らの部分が4守っているっていうか…
c. ここでは多くの人に星を見てもらおうと星 の観察会が4開いています
d. 屋根を見ますと太陽光パネルが4設置して います
e.(その木は)アロエみたいに葉が4厚くして…
f. 暑くなってきたら汗が4かいた分、水分を取
って
g. 必ず生きているということが4信じていま した
データの数を見ると、①は38/297、②は64/297で、
②の方が①よりも多い。
以上見てきた失文法の実験結果と健常者の言い 誤りについて、それぞれどのような認知に関連す る原理が働いていると考えられるかを以下で考察 する。
4.考察
図5 「渡す」タイプと「受け取る」タイプの際立ちの違い
図6 「太郎が花子に泣かれる」
「渡す」タイプ 「受け取る」タイプ
視点 視点
花子が泣く 太郎
視点
4.2 健常者の言い誤り
2節で述べたように、オンラインの文産出は漸 次的であると考えられ、SOV型の日本語の場合、
発話の途中段階まで動詞は決定されていない可能 性が高いため、動詞が決定されていない段階で発 話された名詞句に付加される格助詞はどのように 産出されるのかという疑問が生じる。Iwasaki
(2011)ではメッセージレベルでの(出来事に関与 する参与者に相当する)意味役割に最も高頻度で 付与されると考えられる格助詞を付与する、とい う提案がされている。例えば動作主であれば
「が」、被動者や主題であれば「を」ということに なる。そのため、目的語に「に」を取る他動詞の 場合、2節で挙げた「お客様のニーズを4(に)対応 するために」のような言い誤りが発生すると説明 できる。しかし、3.2節に挙げた「が」と「を」に関 係する言い誤りを個々の意味役割とそれらに高頻 度で付与される格助詞で説明しようとする場合、
①(自動詞が産出され、正しくは「が」が付与され るべき名詞に「を」が付与される)については主題 に最も高頻度で付与されるのは「を」という説明 が成り立つが、②(他動詞が産出され、正しくは
「を」が付与されるべき名詞に「が」が付与される)
については、主題に「が」が付与される理由が説 明できないことになる13。また、①の言い誤りが 取り上げられることはほとんどないが、例外とす るほど数が少なくはないため、①と②の数の差が 説明できない。本稿では、オンラインでの発話で 漸次的に文を構築していく場合、メッセージレベ ルで際立ちを含めた出来事を把握し、言語化する 前提として一種のテンプレートのような型を使用 すると想定する。3.2節で述べたように、「が」と
「を」に関係する言い誤りは2種類あるが、これ らの想定する基本的な型は1種類と考える14。そ の出来事の型は、出来事の起点から、エネルギー の到達点までの範囲をすべて具現化できるよう、
図8のような、広い範囲を持つ概念構造である。
用意するテンプレートは、「起点の参与者xがエネ ルギーの流れに沿って別の参与者yに行為を行い、
その結果yが変化する」という、一つの動詞が表 情景画の中の人物が二人である点は、非能格動詞
の場合も他動詞の場合も同じであるから、被害を 受けている側に際立ちを置く日本語の特徴(伊藤 2018)にしたがえば、他動詞の場合も正産出率が 非能格動詞の場合同様高くなっても不思議はない。
しかし実際には、主語が決められないエラーは症 例Aが2、症例Bが4あり、意味役割を逆に付与し たエラーと合わせると、症例Aでは全体数20回の うち9回(7+2)、すなわち45.0%、症例Bでは全体 数20回のうち10回(6+4)、すなわち50.0%となり、
他動詞間接受動文については主語の選び方はチャ ンスレベルと考えられる。通常他動詞構文を受動 文にする場合、能動文において目的語である主題
(theme)か被動者(patient)が主語になることから、
失文法者は直接受動文を産出しようとしたが、主 題は非有生(non-animate)で動詞の項構造外の有 生(animate)被動者と比べ有生性(animacy)の点 で主語としては階層上順位が低いため、有生の二 つの名詞で迷う結果となったとも考えられる。実 際、症例Bは「テレビがひろ子に消される」という エラー文を発話している11。
失文法者に対する2種類の実験結果には、複数 の認知的な原理が働いていると考えられる。多く の 研 究 者 が 認 め る よ う に(Bastiaanse and Thompson 2012)失文法という言語現象は一様で はなく、一つの原理で説明することは極めて難し い。今回取り上げた2種類の実験結果のうち、授 受動詞の場合は、三者の参与者のうち、起点と着 点が有生であることに加え、参与者のどちらか、
特に着点、の方が被害を受けるような出来事では ないことから、伊藤(2018)の言う着点に際立ち を置く日本語の特徴が働くことはなく、行為連鎖 に沿った際立ちの置き方が適用されたと考えられ る。一方、受動文の場合も基本的には行為連鎖が 働くが、それに加えて被害者に際立ちを置く日本 語の特徴と有生性という二つの別の要素が働くた め、授受動詞よりも複雑な結果となったと考えら れる12。
図7 「太郎が花子にバトンを落とされる」
図8 テンプレート 花子
バトンが落ちる 花子がバトンを落とす
太郎 視点
②の種類では、内項が高い際立ちを持つことを前 提としているが、これは日本語のいわゆる「なる」
言語としての特徴を表しており、①よりも②の方 がデータの数が多いことの理由とも考えられる。
4.3 総合的考察
4.1と4.2で見たように、失文法者の誤りと健常 者の誤りにはがそれぞれ認知的な原理が働いてい る。失文法者の場合、行為連鎖に加え、被動者の 際立ちの高さ16 や有生性が働いている。そのうち、
行為連鎖に代表される「出来事の流れに沿って起 点が最も際立ちが高い」という原理を過剰使用す る傾向が見られる。一方、健常者の場合、他動詞 が持つ最大範囲の概念構造を想定して、①に見ら れる言い誤りを産出していことから、行為連鎖が 働いていると言えないこともないが、今回取り上 げた「が」と「を」に関連する言い誤りを見る限り、
失文法者とは異なり、日本語の一つの性質(「な る」言語としての出来事の把握の仕方)が反映し ているように思われる。換言すると、今回取り上 げた失文法者の実験結果から見る限り、日本語の
「なる」言語的な性質は見られず、健常者で見ら れる②の種類の言い誤りとの共通性は見られない。
格助詞の言い誤りという一見類似した現象である が、今回取り上げたデータを見る限り、共通した 認知的な原理は見いだしにくい。その理由は、失 文法者は障害された産出過程の部分を補足するた めに、言語現象のうち分かりやすく使用しやすい 認知的な要素を使用したのに対し、健常者の場合 は欠陥を補足する目的ではないため、母語である 日本語の性質が反映されたと考えられる。
本稿では失文法者の格助詞の置換と健常者の言 い誤りを比較した。両者は格助詞の誤りという点 現できる最大限の事象を想定する15。上位事象、
下位事象を含めた最大の範囲を想定しておけば、
外項も内項も具現化する使役変化他動詞にも、外 項を抑制して内項だけを具現化する非対格動詞
(自動詞)にも対応できるからである。次にこの概 念構造を基に項構造を予測することになるが、伝 えたい内容の概念の中で話題や際立ちの高い参与 者はメッセージレベルで特定されているため、ど の参与者がどの項に該当するか項構造全体が予測 される前に、オンライン発話の場合、際立ちの高 い参与者に相当する名詞から発話される可能性が 十分考えられる。その際、日本語では「が格名詞 句」は文脈から話題であれば省略されることが多 いため、「が」が付与される外項xは背景化し、内 項yに「を」が付与され、「を格名詞句」が発話され る。この場合、当初想定した概念構造は最大範囲 であるが、その後動詞を選ぶ際に、背景化された 外項は見えないため、外項を含まない概念構造の 範囲を持つ自動詞を選んだという可能性が考えら れる(図9参照、太字点線はプロファイルされて いるが省略された部分、targetとの細字点線は同 一物指示を表す)。このようにして、①(自動詞 が産出され、正しくは「が」が付与されるべき名 詞に「を」が付与される)の言い誤りが生じると考 えられる。
一方、②(他動詞が産出され、正しくは「を」が付 与されるべき名詞に「が」が付与される)の言い誤 りも始めに用意されたテンプレートは同じである が、本来際立ちの高い参与者xが背景化され、y(内 項)が際立ちの高いモノとして「が」が付与される。
動詞はテンプレートの起点(外項)xを除く部分に 相当する自動詞が選択されるべきところを、適切 な自動詞が検索できない、あるいは当初想定され た最大範囲のテンプレートに影響されて他動詞を 選択した結果、不整合が生じたと説明できる(図 10)。
5.おわりに
図9 自動詞が産出され、正しくは「が」が付与されるべき名 詞に「を」が付与される言い誤り
図10 他動詞が産出され、正しくは「を」が付与されるべき名 詞に「が」が付与されるの言い誤り
が 他動詞
自動詞 topic を
参考文献
Bastiaanse, R.(2008) Production of verbs in base position by Dutch agrammatic speakers: Inflection versus finiteness. Journal of Neurolinguistics 21: 104-119.
Bastiaanse, R. and Thompson, C. K.(2012) Perspectives on agrammatism. London: Psychology Press.
Bock, J. K.(1982) Toward a cognitive psychology of syntax:
Information processing contributions to sentence formulation.
Psychological Review 89: 1-47.
Bock, J. K.(1986) Meaning, sound, and syntax: Lexical priming in sentence production. Journal of Experimental Psychology:
Learning, Memory, and Cognition 12: 575-586.
Bock. K., Eberhard, K. M., Cutting, J. C., Meyer, A. S, and Schriefers, H.(2001) Some attractions of verb agreement. Cognitive Psychology 43(2): 83-128.
Bock, K., Eberhard, K. M., and Cutting, J. C.(2004) Producing number agreement: How pronouns equal verbs. Journal of Memory and Language 51(2): 251-278.
Bock, K. and Levelt, W. J. M.(1994) Language production:
Grammatical encoding. In: M. Gernsbacher(ed.) Handbook of psycholinguistics, 945-984. San Diego: Academic Press.
Caplan, D.(1985) Syntactic and semantic structures in agrammatism.
In: M. L. Kean(ed.) Agrammatism, 125-152. San Diego, CA:
Academic Press.
Caramazza, A. and Berndt, R.(1985) A multicomponent deficit view of agrammatic Broca’s aphasia. In: M. L. Kean(ed.)
Agrammatism, 27-63. San Diego, CA: Academic Press.
Chomsky, N. (1981) Lectures on government and binding. Dordrecht:
Foris.
Chomsky, N.(1995) The Minimalist Program. Cambridge, MA: MIT Press.
Eberhard, K. M., Cutting, J. C. and Bock, K.(2005) Making syntax of sense; number agreement in sentence production. Psychological Review 112: 531-539.
Ferreira, F.(2000) Syntax in language production: An approach using tree-adjoining grammars. In: L. R. Wheeldon(ed.) Aspects of language production, 291-330. Hove: Psychology Press.
Friedmann, N. and Grodzinsky, Y.(1997) Tense and agreement in agrammatic production: Pruning the syntactic tree. Brain and Language 56: 397-425.
Fromkin, V. A.(1971) The non-anomalous nature of anomalous utterances. Language 47(1): 27-52.
藤田郁代(1989)「失語症患者の構文の産生力の回復メカニズム」『失 語症研究』19:237-244.
藤田耕司・西村義樹(2016)「受動動詞の日英比較」藤田耕司・西村 義樹(編)『文法と語彙への統合的アプローチ』116-142.東京:
開拓社.
Garrett, M. F.(1975) The analysis of sentence production. In: G. H.
Bower(ed.) The psychology of learning and motivation, vol.9, 133- 177. New York: Academic Press.
Garrett, M. F.(1980) Levels of processing in sentence production. In:
B. Butterworth(ed.) Language production, vol. 1: Speech and talk, 177-220. London: Academic Press.
Garrett, M. F.(1982) Production of speech: Obser vations from normal and pathological language use. In: A. Ellis(ed.)
Normality and pathology in cognitive functions, 19-76. London:
Academic Press.
Griffin, Z. M.(2001) Gaze durations during speech reflect word selection and phonological encoding. Cognition 82: B1-B14.
Grodzinsky, Y.(1984) The syntactic characterization of agrammatism.
Cognition 16: 99-120.
Grodzinsky, Y.(1986) Language deficits and the theory of syntax.
Brain and Language 27: 135-159.
Grodzinsky, Y.(1990) Theoretical perspectives on language deficits.
Cambridge, Mass.: MIT Press.
で類似しており、それぞれ認知的な原理が働いて いるが、今回のデータでは、両者に共通して有効 に働く認知的な原理は見られなかった。今後の課 題としては、両者のデータをできるだけ同じ条件 に近づけるよう、失文法者の自発話の言い誤りデ ータを使用するなど、データの採取方法の工夫を 検討していきたい。
注
1 20世紀初頭に失文法が記述されて以来長い間、失文法は産出 に限られていると考えられていた。
2 反例の文献についてはBastiaanse and Thompson(2012)参照。
3 この産出パターンは英語だけでなくイタリア語、オランダ語、
ハンガリー語、ドイツ語、ロシア語など、複数の言語に渡っ て見られる。Bastiaanse and Thompson(2012)に概説されている。
4 漸次的処理の基本的な証拠としてはBock(1986), Griffin(2001)
が挙げられるが、具体的な証拠の概要については井原(2012)
参照。
5 Levelt(1989)は動詞が決定されないまま発話が開始する可能性
を示しFerreira(2000)に大きな問題として指摘されたが、Bock
and Levelt(1994)では発話開始時には動詞は1つに絞られてい
ると想定されている。
6 日本語の言い誤りに関する研究は、寺尾(1987, 1995), Ihara
(2006), 井原(2007, 2011, 2012), Iwasaki(2006, 2007, 2011)など が挙げられる。
7 「明日、発表される顔ぶれに4、が、注目されます」(顔ぶれに4注 目する)や「泣き声を4(が)聞こえるかなと思って」(泣き声を4聞 く)(いずれも著者の収集したデータより)に見られるように受 動や可能を表す「れる」、「られる」も含まれる。
8 「に」やその他の助詞に関係する誤りもあるが、ここでは取り 上げない。
9 他動詞間接受動文に関して、症例Aが「が」を正しい意味役割に 付与した数は9、逆の意味役割に付与した数は7、症例Bが「が」
を正しい意味役割に付与した数は8、逆の意味役割に付与した 数は6で、両症例とも正しく付与した数と間違えて逆転した付 与の比率に差はなく(症例A:9/16=56.24, 7/16=43.75、症例B: 8/14=57.14, 6/14=42.85)、いずれもチャンスレベルと言える。
10 Thompson(2003)の項構造複雑性仮説(ASCH)によれば複雑性
が高いということになる。
11 ミニマリストの統語構造では、直接受動文はSub-Mergeで2層 構造であるが、他動詞間接受動文はPot-Mergeで3層構造と考 えられている(藤田、西村2016)ため、他動詞間接受動文の方 が統語構造の点で複雑である、という説明ができる。
12 受動態の実験に参加した失文法者の被験者二人のうち、症例A の方がBよりも軽度であることも結果の違いに関係している可 能性が考えられる。
13 他に説明方法がない場合は、「が」をディフォルトとして説明す る可能性もある(寺尾 1987, 1995、 Iwasaki 2006, 2007)。
14 非能格動詞についてはこれとは別のテンプレートを想定する と考える。その理由は、非能格動詞のカテゴリーは非対格動 詞のカテゴリーとは別の自動詞カテゴリーとして位置づけら れること(谷口1998)に加え、収集した言い誤りデータを見る 限り、「が」と「を」に関連する言い誤りでは産出する自動詞に非 能格動詞は含まれていないことが挙げられる。
15 語彙概念構造(LCS)で表現すれば、上位事象を含めた[x ACT
(ON y)] CAUSE [(y) BECOME [y BE AT-z]](影山2000)(xが
(yに対して)行為を行い、yが変化してzの状態になる)となる。
16 言うまでもないが、被動者の際立ちの高さは、そのように解 釈されるということを意味する。
893-905.
Levelt, W. J. M.(1989) Speaking: From intention to articulation.
Cambridge, MA: MIT Press.
Ouhalla, J.(1993) Functional categories, agrammatism and language acquisition. Linguistische Berichte 143: 3-36.
Pollock, J.(1989) Verb movement, universal grammar, and the structure of IP. Linguistic Inquiry 20(3): 365-424.
Sasanuma, S., Kamio, A., and Kubota, M.(1990) Agrammatism in Japanese: Two case studies. In: Menn, L. and Obler, L. K.(eds.)
Agrammatic aphasia; Crosslanguage narrative sourcebook, 1225- 1307. Amsterdam: John Benjamins.
Stemberger, J. P.(1985) An interactive activation model of language production. In: A. Ellis(ed.) Progress in the psychology of language, 143-186. London: Erlbaum.
谷口一美(1998)「非対格性再考:その概念的基盤と文法構造との関 わ り 」 Papers from the National Conference of the English Linguistic Society of Japan(JELS-15): 231-240.
寺尾康(1987)「日本語における助詞の言い誤りについての一考察」
Bulletin of Tokoha Gakuen Junior College 18: 141-154.
寺尾康(1995)「文産出過程における統語文法研究の展望:助詞の発 話 デ ー タ を 資 料 と し て 」 Bulletin of Tokoha Gakuen Junior College 26: 245-255.
Thompson, C. K.(2003) Unaccusative verb production in agrammatic aphasia: The Argument Structure Complexity Hypothesis.
Journal of Neurolinguistics 16: 151-167.
Thompson, C. K. and Choy, J. J.(2009) Pronominal resolution and gap filling in agrammatic aphasia: Evidence from eye movements. Journal of Psycholinguistic Research 38(3): 255-283.
Thompson, C. K., Lange, K. L., Schneider, S. L., and Shapiro, L.
P.(1997) Agrammatic and non-brain-damaged subjects’ verb and verb argument structure production. Aphasiology 11: 473-490.
Hagiwara, H.(1993) The breakdown of Japanese passives and theta- role assignment principle by Broca's aphasics. Brain and Language 45: 318-339.
Hagiwara, H.(1995) The breakdown of functional categories and the economy of derivation. Brain and Language 50: 92-116.
伊藤創(2018)「日英母語話者における事態の描き方の型の違いと事 態の捉え方の型の違い」『言語研究』154:153-175.
Ihara, H.(1995) On dissymmetry between ni and kara in sentences produced by agrammatic aphasics. Proceedings of the 111th Annual Meeting. The Linguistic Society of Japan: 53-38.
井原浩子(2002)「日本語失文法者の産出文に見られる格助詞の誤用 と脱落に関する一考察」『日本認知言語学会論文集』2:1-11.
Ihara, H.(2006) On errors of case particles in normal Japanese speech. Journal of Tokyo Zokei University 7: 19-26.
井原浩子(2007)「日本語の文産出過程に関する一考察」『東京造形大 学研究報』8:84-89.
井原浩子(2011)「文産出過程の文法符号化に関する一考察」『東京造 形大学研究報』12:26-32.
井原浩子(2012)「日本語文産出における動詞決定の時期に関する一 考察」『東京造形大学研究報』13:84-89.
井原浩子(2016)「日本語失文法者における受動文の産出と理解:ブ ローカ失語の1症例について」Papers from the 16th National Conference of the Japanese Cognitive Linguistics Association 16:
399-406.
井原浩子(2017)「日本語失文法に見られるθ役割と文法役割のマッ ピング困難」Papers from the 17th National Conference of the Japanese Cognitive Linguistics Association 17: 61-68.
Ihara, H. and Fujita, I.(1997) On the production of ga in Japanese Agrammtism. Journal of Tokyo Zokei University 9A: 19-33.
Ihara, H. and Fujita I.(2000) A cognitive approach to errors in case marking in Japanese agrammatism: the priority of the goal -ni over the source -kara. In: A. Foolen and F. van der Leek(eds.)
Constructions in cognitive linguistics, 123-140. Amsterdam/
Philadelphia: John Benjamins.
Ihara, H. and Fujita . I.(2009) Which is more difficult for a Japanese aphasic to produce, direct passives or indirect passives? Journal of Tokyo Zokei University 10 : 6-14.
Iwasaki, N.(2006) Transitivity in Japanese sentence production:
Speech errors of the dative NI and the accusative O. Journal of Japanese Linguistics 22: 43-57.
Iwasaki, N.(2007) Case particle errors in Japanese; Is the nominative ga a default case marker in sentence production? In: C. T.
Schutze and V. S. Ferreira(eds.) The state of the art in speech error research: Proceedings of the LSA institute workshop(MIT working papers in linguistics): 205-219. Cambridge, MA: MIT Press.
Iwasaki, N.(2011) Incremental sentence production: Observations from elicited speech errors in Japanese. In: H. Yamashita, Y.
Hirose, and J. L. Packard(eds.) Processing and Producing Head- final Structures, 131-151. London, New York: Springer.
Kempen, G. and Hoenkamp, E.(1987) An incremental procedural grammar for sentence formulation. Cognitive Science 11: 201-288.
Kim, M. and Thompson, C. K.(2000) Patterns of comprehension and production of nous and verbs in agrammatism: Implications for lexical organization. Brain and Language 74: 1-25.
Kim, M. and Thompson, C. K.(2004) Verb deficits in Alzheimer’s disease and agrammatism: Implications for lexical organization.
Brain and Language 88: 1-20.
Langacker, R. W.(1991) Foundations of cognitive grammar, vol.2.
Stanford, California: Stanford University Press.
Lee, M and Thompson, C. K.(2004) Agrammatic aphasic production and comprehension of unaccusative verbs in sentence contexts.
Journal of Neurolinguistics 17(4): 315-330.
Lee, J., Milman, L. H., and Thompson, C. K.(2008) Functional category production in English agrammatism. Aphasiology 22: